情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
【課題】領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦する。
【解決手段】関連性分析部13は、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求め、メタデータ設定部14は、関連性分析部13による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定し、登録情報取得部17は、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得し、推薦アイテム特定部21は、関連情報に基づいて、登録情報取得部17によって取得された登録情報に登録されている属性であって、所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する。本発明は、パーソナルコンピュータに適用することができる。
【解決手段】関連性分析部13は、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求め、メタデータ設定部14は、関連性分析部13による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定し、登録情報取得部17は、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得し、推薦アイテム特定部21は、関連情報に基づいて、登録情報取得部17によって取得された登録情報に登録されている属性であって、所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する。本発明は、パーソナルコンピュータに適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することができるようにした情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、料理の本が選択されたことに応じて新製品の鍋をユーザに薦めるといったような、基準となるアイテムと異なる領域に属するアイテムを推薦するWebサービスが出てきている。
【0003】
通常、領域を横断した形でアイテムを推薦するこのようなサービスは、推薦のルールがあらかじめ決められていてルールベースで実現されるか、購買履歴などの多くのユーザの履歴に基づいて協調フィルタリングによって実現される。
【0004】
後者の問題点としては、かなり多くのユーザの履歴がないと、サービスがうまく働かないことが挙げられる。つまり、複数の領域を横断するアイテム間の関連性自体を多くのユーザの履歴によって明らかにしておく必要がある。
【0005】
一方、テレビジョン番組などのあるコンテンツが選択されたときに、そのコンテンツに設定されているキーワードと同じキーワードがメタデータとして設定されているアイテムを関連コンテンツとして推薦する技術がある。この技術によれば、ユーザがあるテレビジョン番組を選択した場合、そのテレビジョン番組の出演者と同じ人が出演する映画を収録したDVD(Digital Versatile Disc)が推薦されたりすることになる。
【0006】
この技術の問題点としては、キーワードが一致するコンテンツがない場合、関連コンテンツを推薦することできないことが挙げられる。
【0007】
そこで、ユーザの評価に基づいてアイテム間の関連性を求め、領域を横断した形でアイテムを推薦する手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−140042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の手法では、ユーザの嗜好の偏りを考慮してアイテムを推薦することはできなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面の情報処理装置は、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析手段と、前記分析手段による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定手段と、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得手段と、前記関連情報に基づいて、前記取得手段によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦手段とを備える。
【0012】
前記情報処理装置には、複数の前記ユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数の平均値である平均登録数を算出する平均登録数算出手段と、前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数であるユーザ登録数と、前記平均登録数算出手段によって算出された前記平均登録数とを比較する比較手段とをさらに設け、前記推薦手段には、前記関連情報に基づいて、前記所定のユーザの前記登録情報において前記平均登録数に比して前記ユーザ登録数が少ない前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定させることができる。
【0013】
前記情報処理装置には、前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性と、前記所定のユーザが過去にアクセスしたアイテムの属性との一致度を算出する一致度算出手段をさらに設け、前記推薦手段には、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性の前記アイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定させることができる。
【0014】
前記一致度算出手段には、前記所定のユーザが過去にアクセスした前記アイテムの属性と、前記所定のユーザが過去に前記アイテムにアクセスしたときの、前記ユーザの表出から抽出される属性との一致度を算出させ、前記推薦手段には、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定させることができる。
請求項3に記載の情報処理装置。
【0015】
本発明の一側面の情報処理方法は、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップとを含む。
【0016】
本発明の一側面のプログラムは、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップとを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明の一側面においては、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性が、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求められ、分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報がそれぞれのアイテムにメタデータとして設定され、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報が取得され、関連情報に基づいて、取得された登録情報に登録されている属性であって、所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムが推薦アイテムとして特定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係る推薦システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】ジャンルのマッピングの例を示す図である。
【図3】ジャンル間の関連性の例を示す図である。
【図4】ジャンル間の関連性の例を示す図である。
【図5】ユーザの評価の例を示す図である。
【図6】次元圧縮を行うことによって得られた各次元の値の例を示す図である。
【図7】グループ間の関連性の例を示す図である。
【図8】新規のアイテムの関連性の例を示す図である。
【図9】サーバのメタデータ設定処理について説明するフローチャートである。
【図10】サーバの他のメタデータ設定処理について説明するフローチャートである。
【図11】サーバの推薦処理について説明するフローチャートである。
【図12】推薦システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図13】図12のサーバの推薦処理について説明するフローチャートである。
【図14】コンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0021】
[推薦システムの構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る推薦システムの構成例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示されるように、推薦システムはサーバ1によって実現される。
【0023】
サーバ1は、嗜好情報取得部11、嗜好情報DB12、関連性分析部13、メタデータ設定部14、アイテムDB15、新規アイテム処理部16、登録情報取得部17、登録情報DB18、平均登録数算出部19、登録数比較部20、推薦アイテム特定部21、および送信部22から構成される。
【0024】
後に詳述するように、サーバ1においては、アイテムに対するユーザの評価に基づいて、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の関連性が求められ、求められた関連性を表す情報が、それぞれのアイテムにメタデータとして設定される。
【0025】
ここで、領域には、テレビジョン番組、本、音楽、ゲームなどが含まれる。アイテムは、各テレビジョン番組、週刊誌、文庫本などの各本、ダウンロード用の音楽コンテンツ、音楽コンテンツを収録したCDなどの各音楽、ダウンロード用のゲームコンテンツ、ゲームコンテンツを収録した記録媒体などの各ゲームとなる。
【0026】
設定されたメタデータは、ユーザに推薦するアイテムを特定するのに用いられる。例えば、ユーザの好みの所定のテレビジョン番組を基準として、基準となるテレビジョン番組と関連性のある、本や音楽などの他の領域のアイテムが推薦アイテムとして特定される。推薦アイテムの情報は、アイテムの推薦を受けるユーザが利用するクライアントに対して送信される。
【0027】
すなわち、サーバ1は、領域を横断した形でアイテムの推薦を行う装置である。サーバ1には、パーソナルコンピュータなどの複数の端末がクライアントとしてネットワークを介して接続される。
【0028】
サーバ1の嗜好情報取得部11は、アイテムに対するユーザの評価を表す嗜好情報を取得する。例えば、クライアントのユーザは、テレビジョン番組の視聴を終えた後や本を読み終えた後などに、アイテムの評価をクライアントに対して入力する。クライアントにおいては、ユーザの評価と、どのアイテムに対する評価であるのかを表す嗜好情報が生成され、サーバ1に対して送信される。評価の対象となるアイテムについては、領域、属性、キーワード、販売元などの各種のメタデータが、サンプリングされることによってサーバ1により取得されている。
【0029】
サーバ1に対する入力デバイスとして設けられるマウスやリモートコントローラなどがサーバ1の管理者により操作されることによって嗜好情報が入力されるようにしてもよい。
【0030】
嗜好情報取得部11は、クライアントから送信されてきた嗜好情報や、入力された嗜好情報を取得し、取得した嗜好情報を嗜好情報DB12に記憶させる。
【0031】
複数のクライアントから嗜好情報が送信されてくることにより、サーバ1においては、複数の領域のアイテムに対する評価を表す嗜好情報が収集され、嗜好情報DB12に記憶されることになる。
【0032】
関連性分析部13は、嗜好情報を嗜好情報DB12から読み出して分析し、それぞれのユーザの評価に基づいて、アイテム間、アイテムの属性(Attribute)間などの、あるアイテムを基準として他のアイテムを特定するのに参照される、アイテムに関する関連性を求める。
【0033】
ここで、アイテムの属性は、そのアイテムが属する領域において、アイテムのカテゴリを決めるためのものであり、具体的には、ジャンル、関連人物、地域、値段などがある。
【0034】
例えば、属性としてのジャンルには、テレビジョン番組の領域において、ドラマ、ニュース、教養、バラエティなどがあり、本の領域において、文芸、ノンフィクション、実用、芸能等などある。また、音楽の領域においては、J-POP、クラシック、ジャズ、ロックなどがあり、ゲームの領域においては、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、アクションゲームなどがある。
【0035】
また、例えば、属性としての関連人物には、テレビジョン番組の領域において、出演者、スタッフなどがあり、本の領域において、作者、翻訳者などがある。また、音楽の領域においては、歌手、作曲者などがあり、ゲームの領域においては、プログラマ、デザイナなどがある。
【0036】
さらに、例えば、属性としての地域には、テレビジョン番組の領域において、放送地域などがあり、本の領域において、作者の出身地などがある。また、音楽の領域においては、歌手の出身地などがあり、ゲームの領域においては、ゲーム中の町並みのモデルとなったモデル地域などがある。
【0037】
また、例えば、属性としての値段には、本、音楽、ゲームの各領域においては、高価および廉価などがあり、テレビジョン番組の領域においては存在しない。
【0038】
このように、それぞれの属性には、各領域においてアイテムをカテゴライズするための項目が与えられており、本実施の形態の推薦システムにおいては、各領域における属性の項目間の関連性を求めて、他の領域のアイテムを推薦することができる。
【0039】
なお、以降においては、属性としてジャンルを例にして説明するが、関連人物、地域、値段など、他の属性を適用するようにしてももちろんよい。
【0040】
例えば、関連性分析部13は、図2に示されるように、異なる領域に属するそれぞれのジャンルをユーザの評価に基づいて1つの空間にマッピングし、それぞれのジャンル間の関連性を求める。評価が似ているために関連性のあるジャンル間の空間上の距離は近いものになり、評価が似ていないために関連性のないジャンル間の空間上の距離は遠いものになる。
【0041】
ジャンルに対する評価は、それぞれのジャンルに属するアイテムに対するユーザの評価に基づいてサーバ1により求められるようにしてもよいし、ジャンルに対する評価がユーザにより直接入力されるようにしてもよい。
【0042】
図2の例において、点t1,t2はテレビジョン番組(TV)のジャンルの空間上の位置を表す。点b1乃至b5は本のジャンルの空間上の位置を表し、点m1乃至m4は音楽のジャンルの空間上の位置を表す。
【0043】
例えば、点t1と点b3の距離が近いことは、点t1によって位置が表されるテレビジョン番組のジャンル1と、点b3によって位置が表される本のジャンル2が、それぞれのジャンルに対する評価、または、それぞれのジャンルに属するアイテムに対する評価が似ていることを表す。
【0044】
図3に示されるように、関連性分析部13は、ある領域のそれぞれのジャンルを基準として、他の領域のそれぞれのジャンルとの関連性を求める。図3の例においては、テレビジョン番組のジャンル1と本のジャンル2は関連性があり、テレビジョン番組のジャンル3と本のジャンル1は関連性があるものとされている。
【0045】
テレビジョン番組と本の間だけでなく、他の領域間についても、関連性分析部13によりジャンルについての関連性が求められる。
【0046】
図4は、ジャンル間の関連性の例を示す図である。
【0047】
図4の例においては、テレビジョン番組のジャンル1と関連性のあるジャンルは、本のジャンル2,10,27、音楽のジャンル7,14,30、ゲームの所定のジャンルとされている。テレビジョン番組のジャンル2についても同様に、他の領域のジャンルとの関連性が求められている。
【0048】
以上のような関連性は、例えば、主成分分析、正準相関分析、カテゴリカル主成分分析がユーザの評価を対象として行われ、得られたアイテムの得点、ジャンルの得点から求められる。
【0049】
図5は、ユーザの評価の例を示す図である。
【0050】
図5の例においては、ある領域のアイテム1に対するユーザAの評価は5段階評価のうちの5の評価とされ、ユーザBの評価は1の評価とされている。ユーザCの評価は4の評価とされている。同様に、アイテム2に対するユーザA乃至Cの評価はいずれも2の評価とされている。アイテム3に対するユーザAとユーザBの評価は4の評価とされ、ユーザCの評価は5の評価とされている。
【0051】
このような評価を対象として例えば主成分分析が行われることによって、似ている評価のパターンがまとめられ、次元圧縮が行われる。図5の例において、アイテム1乃至3に対するユーザAの評価とユーザCの評価はそのパターンが似ている。
【0052】
図6は、図5の評価を対象として次元圧縮を行うことによって得られた各次元の値の例を示す図である。
【0053】
図6の例においては、アイテム1の次元1,2,3の値は、それぞれ、0.12,0.34,0.62とされている。このような各次元の値が主成分分析によって求められ、各次元を軸とする空間上に各アイテムや各ジャンルがマッピングされることによって、図2を参照して説明したように、それぞれのアイテム間、ジャンル間の距離が求められる。
【0054】
分析する次元の数は、任意の数、1以上の固有値に相当する数、寄与率が大きく下がる直前の数、累積寄与率が一定以上となる数とすることが可能である。
【0055】
固有値は主成分の分散に対応し、その主成分がどの程度、元の情報(変量)を保持しているかを表す。元の変量の分散が1に標準化されていれば、固有値は、主成分が元の変量何個分の情報を持つのかを表す。固有値が1以下のとき、元の変量以下の情報しかないということになり、主成分としての意味がなくなる。
【0056】
寄与率は、ある主成分によって表される情報が、全ての情報の中で、どの位の割合の量を占めるのかを表す。累積寄与率は、各主成分の寄与率を大きい順に加算したものであり、寄与率を加算した主成分までで、元の情報のうちのどのくらいの量の情報が表されるのかを表す(通常、70〜80%程度を表す次元までが採用される)。
【0057】
ユーザの評価を分析するのに用いられる正準相関分析は、各変数群において、変数に重み(重み係数)をつけて足し合わせた変量(正準変量)を考え、正準変量同士の相関関係(正準相関係数)を最大にするような重み係数を求める分析手法である。この場合、主成分得点ではなく、空間上の距離を求めるのに重み変数が用いられる。
【0058】
カテゴリカル主成分分析も、主成分分析と同様に、似たような評価のパターンをまとめて分析を行う手法である。
【0059】
対象とするK個全ての領域のアイテムの評価をまとめて分析するようにしてもよいし、K個のうちの2個の領域のアイテムの評価だけを取り出し、2領域間の関係を求め、それを組み合わせの数だけ実行することによってK個全ての領域のアイテム間の関連性を分析するようにしてもよい。
【0060】
前者の場合、例えば、対象となる領域としてテレビジョン番組、本、音楽の3領域があったとき、それぞれの領域のアイテム全ての評価をひとまとめにして分析が行われ、それぞれのアイテムが図2に示されるような、1つの空間上にマッピングされる。求められた各アイテムの主成分得点が、ひとまとめにした空間上の位置を表す座標として用いられる。この場合、全ての領域のアイテムを1つの空間にマッピングすることができるので、アイテム間の関連性は1つの空間上で求めることが可能となる。
【0061】
後者の場合、例えば、対象となる領域としてテレビジョン番組、本、音楽、映画の4領域があったとき、テレビジョン番組と本、テレビジョン番組と音楽、テレビジョン番組と映画、本と音楽、本と映画、音楽と映画のそれぞれの組み合わせでアイテムの評価が取り出され、取り出されたそれぞれの評価を対象として分析が行われる。
【0062】
テレビジョン番組の各アイテムに対する評価と本の各アイテムに対する評価を分析し、各アイテムをマッピングして得られたテレビジョン番組−本関連性空間からは、テレビジョン番組のアイテムと本のアイテムの関連性が求められ、テレビジョン番組の各アイテムに対する評価と音楽の各アイテムに対する評価を分析し、各アイテムをマッピングして得られたテレビジョン番組−音楽関連性空間からは、テレビジョン番組のアイテムと音楽のアイテムの関連性が求められる。
【0063】
同様にして、テレビジョン番組のアイテムと映画のアイテムの関連性、本のアイテムと音楽のアイテムの関連性、本のアイテムと映画のアイテムの関連性、音楽のアイテムと映画のアイテムの関連性がそれぞれ求められる。
【0064】
なお、図3に示されるようにジャンル間の関連性を求める場合、それぞれの領域のジャンルを所定の数のグループに分類し、グループ間の関連性を求めるようにしてもよい。
【0065】
図7は、グループ間の関連性を求める場合の例を示す図である。
【0066】
図7の例においては、テレビジョン番組のジャンル1とジャンル2がジャンルグループ1として分類されている。テレビジョン番組の他のジャンルも同様に、所定のジャンルグループに分類されている。
【0067】
一方、本のジャンル1とジャンル2がジャンルグループ3として分類されている。本の他のジャンルも同様に、所定のジャンルグループに分類されている。ジャンルグループの分類(クラスタリング)は、例えば、各ジャンルに対する評価の相関値に基づいて特定される。
【0068】
このようにして分類されたジャンルグループ同士の関連性が上述したような主成分分析や正準相関分析により求められ、図7に示されるように、テレビジョン番組のジャンルグループ1と関連性のあるジャンルグループとして本のジャンルグループ2が特定される。また、テレビジョン番組のジャンルグループ2と関連性のあるジャンルグループとして本のジャンルグループ10が特定され、テレビジョン番組のジャンルグループ3と関連性のあるジャンルグループとして本のジャンルグループ2が特定される。
【0069】
以上のようにして求められた関連性を表す情報は、関連性分析部13からメタデータ設定部14に供給される。
【0070】
メタデータ設定部14は、関連性分析部13により求められた関連性を表す情報である関連情報を、それぞれのアイテムのメタデータとして設定し、アイテムDB15に記憶させる。ジャンル間(属性間)の関連性を表す情報がメタデータとしてアイテムに設定される場合、そのアイテムのジャンル(属性)と関連性のある他の領域のジャンル(属性)を表す図4に示されるような情報が設定される。
【0071】
また、メタデータ設定部14は、新規アイテム処理部16により求められた関連性を表す関連情報を新規のアイテムのメタデータとして設定し、アイテムDB15に記憶させる。
【0072】
新規アイテム処理部16は、ユーザによる評価が得られていない新規のアイテムの情報が入力されたとき、新規のアイテムと類似する、関連性を既に求めているアイテムを関連情報以外のメタデータに基づいて特定する。例えば、新規アイテム処理部16は、新規のアイテムのメタデータと、アイテムDB15に記憶されている、関連性を既に求めているそれぞれのアイテムのメタデータとの一致度を求め、関連性を既に求めているアイテムのうち、一致度の最も大きいアイテムを新規のアイテムと類似するアイテムとして特定する。
【0073】
ジャンルなどのように、一致度を求めるメタデータが密なメタデータである場合、コサイン距離や内積が求められ、求められた値が一致度として用いられる。メタデータとしてのジャンルは、その種類が限られ、十分に多いアイテムをジャンル毎に分けた場合には同じジャンルのアイテムが比較的多く見つかるため、密なメタデータといえる。
【0074】
一方、キーワードや文章などのように、一致度を求めるメタデータが疎なメタデータである場合、PLSA(Probabilistic Latent Semantic Analysis)やLDA(Linear Discriminant Analysis)などで次元圧縮後、距離が求められ、求められた距離が一致度として用いられる。キーワードや文章は、その種類が多く、十分に多いアイテムを、同じキーワードや文章がメタデータとして設定されているもの毎に分けた場合には同じキーワードや文章がメタデータとして設定されているアイテムがあまり見つからないため、疎なメタデータといえる。
【0075】
また、新規アイテム処理部16は、ユーザによる評価が行われたアイテム同士の関連性が求められている場合、新規のアイテムと類似するものとして特定したアイテムと同じ空間上の位置に新規のアイテムをマッピングし、新規のアイテムと関連性のある他の領域のアイテムを求める。新規アイテム処理部16は、求めたアイテムの情報をメタデータ設定部14に出力する。
【0076】
すなわち、新規のアイテムに対しては、その新規のアイテムと類似する、関連性を既に求めているアイテムに設定されている関連情報と同じ関連情報がメタデータとして設定されることになる。
【0077】
図8は、新規のアイテムの関連性を求める場合の例を示す図である。
【0078】
図8は、テレビジョン番組の新規アイテムである新規アイテム1乃至30000の情報と、本の新規アイテムである新規アイテム1乃至4000の情報が入力された場合の例を示している。
【0079】
図8の例においては、テレビジョン番組の新規アイテム1、新規アイテム2と類似する、他の領域のアイテムとの関連性を既に求めているテレビジョン番組のアイテムはアイテム2とされている。この場合、テレビジョン番組の新規アイテム1、新規アイテム2には、テレビジョン番組のアイテム2と関連性のある本のアイテムと関連性のあることを表す関連情報がメタデータとして設定される。
【0080】
一方、本の新規アイテム1、新規アイテム4000と類似する、他の領域のアイテムとの関連性を既に求めているアイテムはアイテム3とされている。この場合、本の新規アイテム1、新規アイテム4000には、本のアイテム3と関連性のあるテレビジョン番組のアイテムと関連性のあることを表す関連情報がメタデータとして設定される。
【0081】
図1の説明に戻り、登録情報取得部17は、サーバ1により実現される推薦システムにおいてユーザの嗜好を表す情報である登録情報を取得する。例えば、クライアントのユーザは、推薦システムの利用にあたっての初期登録時や登録内容の変更時などに、各領域についての属性の好みをクライアントに対して入力する。クライアントにおいては、ユーザを識別するための識別情報と、所定の領域におけるユーザの好みの属性とを表す登録情報が生成され、サーバ1に対して送信される。
【0082】
具体的には、例えば、クライアントのユーザは、推薦システムへの初期登録時に、領域としてのテレビジョン番組において好みのジャンル(属性)であるドラマとバラエティを選択(登録)する。クライアントにおいては、そのユーザの識別情報と、テレビジョン番組におけるユーザの好みのジャンルであるドラマおよびバラエティを表す登録情報が生成され、サーバ1に対して送信される。
【0083】
なお、サーバ1に対する入力デバイスとして設けられるマウスやリモートコントローラなどがサーバ1の管理者により操作されることによって登録情報が入力されるようにしてもよい。
【0084】
登録情報取得部17は、クライアントから送信されてきた登録情報や、入力された登録情報を取得し、取得した登録情報を登録情報DB18に記憶させる。
【0085】
複数のクライアントから登録情報が送信されてくることにより、サーバ1においては、複数のユーザについての登録情報が収集され、登録情報DB18に記憶されることになる。
【0086】
また、登録情報取得部17は、登録情報が登録情報DB18に記憶されている所定のユーザによるアイテムの推薦の要求に応じて、そのユーザについての登録情報(以下、ユーザ登録情報という)を登録情報DB18から取得し、登録数比較部20に供給する。
【0087】
平均登録数算出部19は、所定のユーザによるアイテムの推薦の要求に応じて、登録情報DB18に記憶されている全ユーザの登録情報を取得し、各領域について、全ユーザの登録情報における、属性の登録数の平均値である平均登録数を算出する。
【0088】
より具体的には、例えば、平均登録数算出部19は、登録情報DB18に記憶されている全ユーザの登録情報における、テレビジョン番組についてのジャンル、関連情報、地域、値段毎の平均登録数を算出する。同様に、平均登録数算出部19は、本、音楽などの他の領域についての属性(ジャンル、関連人物、地域、値段)毎の平均登録数を算出する。
【0089】
平均登録数算出部19は、算出した平均登録数を登録数比較部20に供給する。
【0090】
登録数比較部20は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報における、各領域についての属性毎の登録数であるユーザ登録数と、平均登録数算出部19からの平均登録数とを比較する。登録数比較部20は、ユーザ登録情報において、平均登録数と比較してユーザ登録数の少ない(割合の小さい)属性を決定し、ユーザ登録情報におけるその属性を表す情報を推薦アイテム特定部21に供給する。
【0091】
例えば、ユーザ登録情報において、領域としてのテレビジョン番組におけるジャンルであるドラマおよびバラエティが登録されている場合、テレビジョン番組におけるジャンルのユーザ登録数は2となる。ここで、このようなユーザ登録数を含むユーザ登録情報において、属性毎の平均登録数と比較して、2であるジャンルのユーザ登録数が最も少ない場合、ドラマおよびバラエティを表す情報が推薦アイテム特定部21に供給される。
【0092】
このように、全ユーザの平均登録数と比較して、あるユーザのユーザ登録情報における所定の属性のユーザ登録数が少ない場合、ユーザの好みが、その領域(テレビジョン番組)における特定のジャンル(例えば、ドラマとバラエティ)に偏っており、その属性(ジャンル)への依存度が高いと言うことができる。
【0093】
推薦アイテム特定部21は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、推薦を受けようとするユーザからの依存度が高い属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。
【0094】
例えば、平均登録数と比較して、テレビジョン番組におけるジャンルのユーザ登録数が最も少なく、登録数比較部20からドラマおよびバラエティを表す情報が供給された場合、ドラマおよびバラエティのいずれかと関連性のある他の領域のジャンルのアイテムが推薦アイテムとして特定される。なお、ここで、ドラマと関連性のあるアイテムと、バラエティと関連性のあるアイテムとでは、図2で示された空間上の距離が近い方が推薦アイテムとして特定されるものとする。
【0095】
より具体的には、例えば、アイテムDB15における所定のアイテムのメタデータとして、テレビジョン番組のジャンルであるドラマと関連性のあるジャンルが、本のジャンルである文芸およびノンフィクション、音楽のジャンルであるJ-POP、ゲームのジャンルであるシミュレーションゲーム、といった関連情報が設定されている場合、本の領域においては、ドラマと関連性のある文芸がジャンルの文庫本が推薦アイテムとして特定され、音楽の領域においては、ドラマと関連性のあるJ-POPがジャンルのCDが推薦アイテムとして特定される。
【0096】
推薦アイテム特定部21は、推薦アイテムのタイトル、販売元などの情報をアイテムDB15から読み出し、読み出したそれらの情報を送信部22に出力する。
【0097】
送信部22は、推薦アイテム特定部21から供給された情報を、推薦を受けようとするユーザが使うクライアントに対してインターネットなどのネットワークを介して送信する。送信部22から送信された情報を受信したクライアントにおいては、推薦アイテムの情報をユーザに提示することが行われる。
【0098】
なお、以上の例においては、属性としてジャンルを例にして説明してきたが、他の例として、例えば、関連人物を適用することもできる。
【0099】
このとき、アイテムDB15におけるそれぞれのアイテムには、関連性分析部13により求められたジャンル間の関連性を表す関連情報の他に、関連人物間の関連性を表す関連情報がメタデータとして設定されている。なお、関連人物間の関連性は、ジャンル間の関連性と同様に、関連性分析部13によって求められるものとする。
【0100】
例えば、テレビジョン番組の出演者である○○太郎と関連性のある関連人物が、本の作者である○○花子および○×次郎、音楽の歌手である△△三郎、ゲームのプログラマである○△五郎、といった関連情報が、所定のアイテムのメタデータとして設定されているとする。
【0101】
ここで、あるユーザのユーザ登録情報において、全ユーザの平均登録数と比較して、テレビジョン番組の出演者のユーザ登録数が少ない場合、ユーザの好みが、その領域(テレビジョン番組)における特定の出演者(例えば、○○太郎と××花江)に偏っており、その属性(出演者)への依存度が高いと言うことができる。
【0102】
このような場合、推薦アイテム特定部21においては、○○太郎および××花江のいずれかと関連性のある他の領域の関連人物のアイテムが推薦アイテムとして特定される。より具体的には、例えば、本の領域においては、○○太郎と関連性のある○○花子が作者の文庫本が推薦アイテムとして特定され、音楽の領域においては、○○太郎と関連性のある△△三郎が歌手のCDが推薦アイテムとして特定される。
【0103】
同様に、各領域についての、地域間の関連性を表す関連情報や、値段間の関連性を表す関連情報を用いることにより、ユーザからの依存度が高い地域や値段に関連性のあるアイテムが、領域を横断して推薦されるようになる。
【0104】
また、関連情報として、各領域についてのジャンル間や関連人物間など、同一属性間の関連性を表す関連情報以外に、各領域についての異なる属性間の関連性を表す関連情報を用いるようにすることもできる。例えば、テレビジョン番組のジャンルと本の作者との間の関連性を表す関連情報や、テレビジョン番組のジャンルと本の値段との間の関連性を表す関連情報が、アイテムDB15におけるアイテムのメタデータとして設定されるようにしてもよい。
【0105】
例えば、テレビジョン番組のジャンルであるドラマと関連性のある属性が本の作者である○×次郎、といった関連情報が、所定のアイテムのメタデータとして設定されているとする。ここで、テレビジョン番組において、あるユーザの好みがドラマに偏っている場合、本の領域においては、ドラマと関連性のある○×次郎が作者の文庫本が推薦アイテムとして特定される。
【0106】
また、例えば、テレビジョン番組のジャンルであるバラエティと関連性のある属性が本の値段である廉価、といった関連情報が、所定のアイテムのメタデータとして設定されているとする。ここで、テレビジョン番組において、あるユーザの好みがドラマに偏っている場合、本の領域においては、ドラマと関連性のある廉価が値段の文庫本(すなわち、廉価な文庫本)が推薦アイテムとして特定される。
【0107】
なお、アイテムDB15におけるアイテムには、上述した属性の組み合わせに限らず、全ての異なる属性間の関連性を表す関連情報を設定するようにできる。なお、これらの異なる属性間の関連性も、関連性分析部13によって求められるものとする。
【0108】
また、推薦アイテム特定部21の推薦アイテムの特定に用いられる関連情報における異なる属性の組み合わせは、登録数比較部20が、ユーザ登録情報に基づいて、各領域における属性の好みの偏りを検知することで決定されるようにしてもよい。
【0109】
例えば、あるユーザのユーザ登録情報において、テレビジョン番組においては好みがドラマに偏っていて、本においては好みが○×次郎に偏っているような場合、登録数比較部20は、テレビジョン番組のドラマ(ジャンル)と本における○×次郎(作者)とを、ユーザ登録数の少ない属性として決定する。推薦アイテム特定部21においては、テレビジョン番組のジャンルと本の作者との間の関連性を表す関連情報に基づいて、ドラマと関連性のある○×次郎が作者である文庫本が推薦アイテムとして特定される。
【0110】
このようにして、サーバ1は、ユーザの嗜好に応じて、様々な属性のアイテムをユーザに推薦することができる。
【0111】
次に、以上のような構成を有するサーバ1の処理について説明する。
【0112】
[メタデータ設定処理]
はじめに、図9のフローチャートを参照して、メタデータを設定するサーバ1の処理について説明する。ここでは、関連情報を設定する対象となるアイテムは、新規のアイテムではない、ユーザにより評価が行われたアイテムであるものとする。
【0113】
ステップS1において、嗜好情報取得部11は、アイテムに対するユーザの評価を表す嗜好情報を取得し、取得した嗜好情報を嗜好情報DB12に記憶させる。
【0114】
ステップS2において、関連性分析部13は、嗜好情報を嗜好情報DB12から読み出して分析し、それぞれのユーザの評価に基づいてアイテム間の関連性を求める。ジャンル間の関連性を求める場合も同様に、ユーザの評価から求められたそれぞれのジャンルの評価や、ユーザにより入力されたそれぞれのジャンルの評価に基づいて分析が行われる。
【0115】
ステップS3において、メタデータ設定部14は、関連性分析部13により求められた関連性を表す関連情報をメタデータとして設定し、アイテムDB15に記憶させる。その後、処理は終了される。
【0116】
嗜好情報が取得される毎に、アイテムの推薦を行う前の事前処理として以上の処理が行われることにより、複数の領域のそれぞれのアイテムに対して関連情報が設定されることになる。
【0117】
[新規アイテムに対するメタデータ設定処理]
次に、図10のフローチャートを参照して、メタデータを設定するサーバ1の他の処理について説明する。ここでは、関連情報を設定する対象となるアイテムは新規のアイテムであるものとする。
【0118】
ステップS11において、新規アイテム処理部16は、ユーザによる評価が得られていない新規のアイテムの情報を取得する。取得される情報には、新規のアイテムのメタデータも含まれる。
【0119】
ステップS12において、新規アイテム処理部16は、メタデータの一致度に基づいて、新規のアイテムと類似する、関連性の分析済みのアイテムを特定する。また、新規アイテム処理部16は、特定したアイテムと同じ空間上の位置に新規のアイテムをマッピングし、新規のアイテムと関連性のある他の領域のアイテムを求める。
【0120】
ステップS13において、メタデータ設定部14は、新規のアイテムのメタデータとして、新規アイテム処理部16により求められた、新規のアイテムと類似する関連性の分析済みのアイテムに設定されている関連情報と同じ関連情報を設定し、アイテムDB15に記憶させる。その後、処理は終了される。
【0121】
[アイテムの推薦処理]
次に、図11のフローチャートを参照して、アイテムの推薦を行うサーバ1の推薦処理について説明する。この処理は、例えば、クライアントのユーザによりアイテムの推薦が要求されたときに開始される。
【0122】
ステップS21において、登録情報取得部17は、アイテムの推薦を要求したユーザについてのユーザ登録情報を登録情報DB18から取得し、登録数比較部20に供給する。
【0123】
ステップS22において、平均登録数算出部19は、登録情報DB18に記憶されている全ユーザの登録情報を取得し、各領域について、全ユーザの登録情報における、属性の登録数の平均値(平均登録数)を算出し、登録数比較部20に供給する。
【0124】
ステップS23において、登録数比較部20は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報において、平均登録数算出部19からの平均登録数と比較してユーザ登録数の少ない属性を決定する。登録数比較部20は、ユーザ登録情報においてユーザ登録数が少ないと決定された属性を表す情報を推薦アイテム特定部21に供給する。
【0125】
ステップS24において、推薦アイテム特定部21は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、登録数比較部20からの情報で表わされる、ユーザ登録情報において平均登録数と比較してユーザ登録数が少ないと決定された属性のいずれかと関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。推薦アイテム特定部21は、推薦アイテムの情報を送信部22に出力する。
【0126】
ステップS25において、送信部22は、推薦アイテム特定部21から供給された情報をクライアントに送信し、処理を終了させる。
【0127】
上述した処理は、アイテムの推薦が要求される毎に行われ、ユーザに対して推薦アイテムが順次提示される。
【0128】
以上の処理によれば、アイテムに対するユーザの評価に基づいて異なる領域に属するアイテムの属性間の関連性を求めることができる。また、ユーザの依存度が高い属性と関連性のある他の領域のアイテムを推薦アイテムとして特定することができる。したがって、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することが可能となる。これにより、推薦システムにおいては、ユーザの好みに近いと思われるアイテムがユーザに対して提示されるので、アイテムの購買率や、推薦システムへのアクセス率を上げることができる。
【0129】
以上においては、所定のユーザの登録情報と全ユーザの登録情報とを比較することで、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにしたが、ユーザの登録情報とユーザのアイテムへのアクセスの履歴とに基づいて、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにもできる。
【0130】
[推薦システムの他の構成例]
図12は、推薦システムの他の構成例を示すブロック図である。図12に示される構成のうち、図1に示される構成と同じ構成には同じ符号を付してあり、重複する説明については適宜省略する。
【0131】
図12に示されるサーバ1の構成は、平均登録数算出部19、登録数比較部20、および推薦アイテム特定部21に代わり、履歴情報DB31、一致度算出部32、および推薦アイテム特定部33が設けられている点で図1のサーバ1の構成と異なる。
【0132】
履歴情報DB31は、推薦システムとしてのサーバ1に対するユーザからのアクセスの履歴を表す履歴情報を記憶している。ここで、ユーザからのアクセスとは、ユーザによるアイテムの予約・購買や、アイテムの詳細説明の閲覧など、ユーザのアイテムに対するアクセスを示している。履歴情報は、ユーザを識別するための識別情報と、ユーザがアクセスしたアイテムおよびそのメタデータとしての属性を表すアクセス情報とを含むように構成され、アクセス情報は、ユーザがアイテムにアクセスする毎に更新される。
【0133】
一致度算出部32は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報に登録されている属性と、履歴情報DB31に記憶されている、推薦を受けようとするユーザについての履歴情報におけるアイテムの属性との一致度を、各領域の属性毎に算出し、その属性を表す情報とともに推薦アイテム特定部33に供給する。
【0134】
ここで、一致度は、例えば、ユーザ登録情報に登録されているテレビジョン番組のジャンルと、履歴情報における、ユーザの視聴したアイテム(番組)のジャンルとにおいて、同一のジャンルの数が多いほど大きい値となる。例えば、ユーザ登録情報において、テレビジョン番組の領域のジャンルとしてドラマおよびバラエティが登録されている場合、ユーザが視聴した番組の視聴回数が、ドラマ5回、バラエティ3回であったとすると、バラエティの一致度よりドラマの一致度の方が大きい値となる。
【0135】
このように、ユーザ登録情報に登録されている属性と、履歴情報におけるアイテムの属性との一致度が高いほど、ユーザの好みが初期登録時(または登録変更時)から変わらず、その領域(テレビジョン番組)におけるそのジャンルに偏っており、その属性(ジャンル)への依存度が高いと言うことができる。
【0136】
推薦アイテム特定部33は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、一致度算出部32からの一致度において、所定の値より大きい一致度についての属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。
【0137】
例えば、ユーザ登録情報に登録されているテレビジョン番組のジャンルと、履歴情報における、ユーザの視聴した番組のジャンルとの一致度が所定の値より大きい場合、その一致度の大きいジャンル(例えば、ドラマとバラエティ)のうちの視聴回数の多いアイテムのジャンルと関連性のある他の領域のジャンルのアイテムが推薦アイテムとして特定される。
【0138】
なお、以上の例においても、属性としてジャンルを例に説明してきたが、他の属性を適用するようにしてももちろんよい。
【0139】
推薦アイテム特定部33は、推薦アイテムのタイトル、販売元などの情報をアイテムDB15から読み出し、読み出したそれらの情報を送信部22に出力する。
【0140】
[アイテムの推薦処理]
次に、図13のフローチャートを参照して、アイテムの推薦を行う、図12のサーバ1の推薦処理について説明する。この処理は、例えば、クライアントのユーザによりアイテムの推薦が要求されたときに開始される。
【0141】
ステップS31において、登録情報取得部17は、アイテムの推薦を要求したユーザについてのユーザ登録情報を登録情報DB18から取得し、一致度算出部32に供給する。
【0142】
ステップS32において、一致度算出部32は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報に登録されている属性と、履歴情報DB31に記憶されている、アイテムの推薦を要求したユーザについての履歴情報におけるアイテムの属性との一致度を算出する。一致度算出部32は、算出した一致度を推薦アイテム特定部33に供給する。
【0143】
ステップS33において、推薦アイテム特定部33は、一致度算出部32からの一致度について、所定の値より大きい一致度の属性があるか否かを判定する。
【0144】
ステップS33において、所定の値より大きい一致度の属性があると判定された場合、処理はステップS34に進む。ステップS34において、推薦アイテム特定部33は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、一致度が所定の値より大きい(例えば、最も一致度の高い)属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。推薦アイテム特定部33は、推薦アイテムの情報を送信部22に出力する。
【0145】
一方、ステップS33において、所定の値より大きい一致度の属性がないと判定された場合、処理はステップS35に進む。ステップS35において、推薦アイテム特定部33は、例えば、アイテムDB15に記憶されている各アイテムにおいて人気度の最も高いアイテムを推薦アイテムとして特定し、その推薦アイテムの情報を送信部22に出力する。
【0146】
ステップS35において、送信部22は、推薦アイテム特定部33から供給された情報をクライアントに送信し、処理を終了させる。
【0147】
上述した処理は、アイテムの推薦が要求される毎に行われ、ユーザに対して推薦アイテムが順次提示される。
【0148】
なお、推薦システムにおけるユーザの初期登録直後においては、そのユーザについての履歴情報は存在しないため、上述のステップS34において、アイテムDB15に記憶されている各アイテムにおいて人気度の最も高いアイテムが推薦アイテムとして特定される。
【0149】
また、ステップS34においては、所定の値より大きい一致度の属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムが推薦アイテムとして特定されるようにしたが、例えば、所定の値より大きい一致度の属性の領域内で人気度の最も高いアイテムが推薦アイテムとして特定されるようにしてもよい。
【0150】
以上の処理によれば、アイテムに対するユーザの評価に基づいて異なる領域に属するアイテムの属性間の関連性を求めることができる。また、ユーザの依存度が高い属性と関連性のある他の領域のアイテムを推薦アイテムとして特定することができる。したがって、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することが可能となる。これにより、推薦システムにおいては、ユーザの好みに近いと思われるアイテムがユーザに対して提示されるので、アイテムの購買率や、推薦システムへのアクセス率を上げることができる。
【0151】
以上においては、ユーザの登録情報と履歴情報とにおける属性に基づいて、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにしたが、一致度算出部32が、履歴情報におけるアイテムのメタデータとしての属性と、アイテムの視聴中にユーザが示す表出(独り言や対話などの発話)から抽出される属性についてのキーワードとの一致度を算出することにより、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにしてもよい。ここでの一致度は、履歴情報におけるアイテムの属性と、ユーザが示す表出から抽出されるキーワードとの距離として求められる。
【0152】
これにより、例えば、初期登録時からユーザの嗜好が変化した場合であっても、リアルタイムにユーザの嗜好に応じた属性を抽出し、その属性と関連性のあるアイテムの推薦を実現することが可能となる。
【0153】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0154】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0155】
CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53は、バス54により相互に接続されている。
【0156】
バス54には、さらに、入出力インタフェース55が接続されている。入出力インタフェース55には、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる入力部56、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部57、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部58、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部59、光ディスクや半導体メモリなどのリムーバブルメディア61を駆動するドライブ60が接続されている。
【0157】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU51が、例えば、記憶部58に記憶されているプログラムを入出力インタフェース55及びバス54を介してRAM53にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0158】
CPU51が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア61に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部58にインストールされる。
【0159】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0160】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 サーバ, 11 嗜好情報取得部, 12 嗜好情報DB, 13 関連性分析部, 14 メタデータ設定部, 15 アイテムDB, 16 新規アイテム処理部, 17 登録情報取得部, 18 登録情報DB, 19 平均登録数算出部, 20 登録数比較部, 21 推薦アイテム特定部, 22 送信部, 31 履歴情報DB, 32 一致度算出部, 33 推薦アイテム特定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することができるようにした情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、料理の本が選択されたことに応じて新製品の鍋をユーザに薦めるといったような、基準となるアイテムと異なる領域に属するアイテムを推薦するWebサービスが出てきている。
【0003】
通常、領域を横断した形でアイテムを推薦するこのようなサービスは、推薦のルールがあらかじめ決められていてルールベースで実現されるか、購買履歴などの多くのユーザの履歴に基づいて協調フィルタリングによって実現される。
【0004】
後者の問題点としては、かなり多くのユーザの履歴がないと、サービスがうまく働かないことが挙げられる。つまり、複数の領域を横断するアイテム間の関連性自体を多くのユーザの履歴によって明らかにしておく必要がある。
【0005】
一方、テレビジョン番組などのあるコンテンツが選択されたときに、そのコンテンツに設定されているキーワードと同じキーワードがメタデータとして設定されているアイテムを関連コンテンツとして推薦する技術がある。この技術によれば、ユーザがあるテレビジョン番組を選択した場合、そのテレビジョン番組の出演者と同じ人が出演する映画を収録したDVD(Digital Versatile Disc)が推薦されたりすることになる。
【0006】
この技術の問題点としては、キーワードが一致するコンテンツがない場合、関連コンテンツを推薦することできないことが挙げられる。
【0007】
そこで、ユーザの評価に基づいてアイテム間の関連性を求め、領域を横断した形でアイテムを推薦する手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−140042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の手法では、ユーザの嗜好の偏りを考慮してアイテムを推薦することはできなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面の情報処理装置は、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析手段と、前記分析手段による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定手段と、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得手段と、前記関連情報に基づいて、前記取得手段によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦手段とを備える。
【0012】
前記情報処理装置には、複数の前記ユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数の平均値である平均登録数を算出する平均登録数算出手段と、前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数であるユーザ登録数と、前記平均登録数算出手段によって算出された前記平均登録数とを比較する比較手段とをさらに設け、前記推薦手段には、前記関連情報に基づいて、前記所定のユーザの前記登録情報において前記平均登録数に比して前記ユーザ登録数が少ない前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定させることができる。
【0013】
前記情報処理装置には、前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性と、前記所定のユーザが過去にアクセスしたアイテムの属性との一致度を算出する一致度算出手段をさらに設け、前記推薦手段には、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性の前記アイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定させることができる。
【0014】
前記一致度算出手段には、前記所定のユーザが過去にアクセスした前記アイテムの属性と、前記所定のユーザが過去に前記アイテムにアクセスしたときの、前記ユーザの表出から抽出される属性との一致度を算出させ、前記推薦手段には、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定させることができる。
請求項3に記載の情報処理装置。
【0015】
本発明の一側面の情報処理方法は、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップとを含む。
【0016】
本発明の一側面のプログラムは、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップとを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明の一側面においては、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性が、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求められ、分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報がそれぞれのアイテムにメタデータとして設定され、所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報が取得され、関連情報に基づいて、取得された登録情報に登録されている属性であって、所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムが推薦アイテムとして特定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係る推薦システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】ジャンルのマッピングの例を示す図である。
【図3】ジャンル間の関連性の例を示す図である。
【図4】ジャンル間の関連性の例を示す図である。
【図5】ユーザの評価の例を示す図である。
【図6】次元圧縮を行うことによって得られた各次元の値の例を示す図である。
【図7】グループ間の関連性の例を示す図である。
【図8】新規のアイテムの関連性の例を示す図である。
【図9】サーバのメタデータ設定処理について説明するフローチャートである。
【図10】サーバの他のメタデータ設定処理について説明するフローチャートである。
【図11】サーバの推薦処理について説明するフローチャートである。
【図12】推薦システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図13】図12のサーバの推薦処理について説明するフローチャートである。
【図14】コンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0021】
[推薦システムの構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る推薦システムの構成例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示されるように、推薦システムはサーバ1によって実現される。
【0023】
サーバ1は、嗜好情報取得部11、嗜好情報DB12、関連性分析部13、メタデータ設定部14、アイテムDB15、新規アイテム処理部16、登録情報取得部17、登録情報DB18、平均登録数算出部19、登録数比較部20、推薦アイテム特定部21、および送信部22から構成される。
【0024】
後に詳述するように、サーバ1においては、アイテムに対するユーザの評価に基づいて、それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の関連性が求められ、求められた関連性を表す情報が、それぞれのアイテムにメタデータとして設定される。
【0025】
ここで、領域には、テレビジョン番組、本、音楽、ゲームなどが含まれる。アイテムは、各テレビジョン番組、週刊誌、文庫本などの各本、ダウンロード用の音楽コンテンツ、音楽コンテンツを収録したCDなどの各音楽、ダウンロード用のゲームコンテンツ、ゲームコンテンツを収録した記録媒体などの各ゲームとなる。
【0026】
設定されたメタデータは、ユーザに推薦するアイテムを特定するのに用いられる。例えば、ユーザの好みの所定のテレビジョン番組を基準として、基準となるテレビジョン番組と関連性のある、本や音楽などの他の領域のアイテムが推薦アイテムとして特定される。推薦アイテムの情報は、アイテムの推薦を受けるユーザが利用するクライアントに対して送信される。
【0027】
すなわち、サーバ1は、領域を横断した形でアイテムの推薦を行う装置である。サーバ1には、パーソナルコンピュータなどの複数の端末がクライアントとしてネットワークを介して接続される。
【0028】
サーバ1の嗜好情報取得部11は、アイテムに対するユーザの評価を表す嗜好情報を取得する。例えば、クライアントのユーザは、テレビジョン番組の視聴を終えた後や本を読み終えた後などに、アイテムの評価をクライアントに対して入力する。クライアントにおいては、ユーザの評価と、どのアイテムに対する評価であるのかを表す嗜好情報が生成され、サーバ1に対して送信される。評価の対象となるアイテムについては、領域、属性、キーワード、販売元などの各種のメタデータが、サンプリングされることによってサーバ1により取得されている。
【0029】
サーバ1に対する入力デバイスとして設けられるマウスやリモートコントローラなどがサーバ1の管理者により操作されることによって嗜好情報が入力されるようにしてもよい。
【0030】
嗜好情報取得部11は、クライアントから送信されてきた嗜好情報や、入力された嗜好情報を取得し、取得した嗜好情報を嗜好情報DB12に記憶させる。
【0031】
複数のクライアントから嗜好情報が送信されてくることにより、サーバ1においては、複数の領域のアイテムに対する評価を表す嗜好情報が収集され、嗜好情報DB12に記憶されることになる。
【0032】
関連性分析部13は、嗜好情報を嗜好情報DB12から読み出して分析し、それぞれのユーザの評価に基づいて、アイテム間、アイテムの属性(Attribute)間などの、あるアイテムを基準として他のアイテムを特定するのに参照される、アイテムに関する関連性を求める。
【0033】
ここで、アイテムの属性は、そのアイテムが属する領域において、アイテムのカテゴリを決めるためのものであり、具体的には、ジャンル、関連人物、地域、値段などがある。
【0034】
例えば、属性としてのジャンルには、テレビジョン番組の領域において、ドラマ、ニュース、教養、バラエティなどがあり、本の領域において、文芸、ノンフィクション、実用、芸能等などある。また、音楽の領域においては、J-POP、クラシック、ジャズ、ロックなどがあり、ゲームの領域においては、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、アクションゲームなどがある。
【0035】
また、例えば、属性としての関連人物には、テレビジョン番組の領域において、出演者、スタッフなどがあり、本の領域において、作者、翻訳者などがある。また、音楽の領域においては、歌手、作曲者などがあり、ゲームの領域においては、プログラマ、デザイナなどがある。
【0036】
さらに、例えば、属性としての地域には、テレビジョン番組の領域において、放送地域などがあり、本の領域において、作者の出身地などがある。また、音楽の領域においては、歌手の出身地などがあり、ゲームの領域においては、ゲーム中の町並みのモデルとなったモデル地域などがある。
【0037】
また、例えば、属性としての値段には、本、音楽、ゲームの各領域においては、高価および廉価などがあり、テレビジョン番組の領域においては存在しない。
【0038】
このように、それぞれの属性には、各領域においてアイテムをカテゴライズするための項目が与えられており、本実施の形態の推薦システムにおいては、各領域における属性の項目間の関連性を求めて、他の領域のアイテムを推薦することができる。
【0039】
なお、以降においては、属性としてジャンルを例にして説明するが、関連人物、地域、値段など、他の属性を適用するようにしてももちろんよい。
【0040】
例えば、関連性分析部13は、図2に示されるように、異なる領域に属するそれぞれのジャンルをユーザの評価に基づいて1つの空間にマッピングし、それぞれのジャンル間の関連性を求める。評価が似ているために関連性のあるジャンル間の空間上の距離は近いものになり、評価が似ていないために関連性のないジャンル間の空間上の距離は遠いものになる。
【0041】
ジャンルに対する評価は、それぞれのジャンルに属するアイテムに対するユーザの評価に基づいてサーバ1により求められるようにしてもよいし、ジャンルに対する評価がユーザにより直接入力されるようにしてもよい。
【0042】
図2の例において、点t1,t2はテレビジョン番組(TV)のジャンルの空間上の位置を表す。点b1乃至b5は本のジャンルの空間上の位置を表し、点m1乃至m4は音楽のジャンルの空間上の位置を表す。
【0043】
例えば、点t1と点b3の距離が近いことは、点t1によって位置が表されるテレビジョン番組のジャンル1と、点b3によって位置が表される本のジャンル2が、それぞれのジャンルに対する評価、または、それぞれのジャンルに属するアイテムに対する評価が似ていることを表す。
【0044】
図3に示されるように、関連性分析部13は、ある領域のそれぞれのジャンルを基準として、他の領域のそれぞれのジャンルとの関連性を求める。図3の例においては、テレビジョン番組のジャンル1と本のジャンル2は関連性があり、テレビジョン番組のジャンル3と本のジャンル1は関連性があるものとされている。
【0045】
テレビジョン番組と本の間だけでなく、他の領域間についても、関連性分析部13によりジャンルについての関連性が求められる。
【0046】
図4は、ジャンル間の関連性の例を示す図である。
【0047】
図4の例においては、テレビジョン番組のジャンル1と関連性のあるジャンルは、本のジャンル2,10,27、音楽のジャンル7,14,30、ゲームの所定のジャンルとされている。テレビジョン番組のジャンル2についても同様に、他の領域のジャンルとの関連性が求められている。
【0048】
以上のような関連性は、例えば、主成分分析、正準相関分析、カテゴリカル主成分分析がユーザの評価を対象として行われ、得られたアイテムの得点、ジャンルの得点から求められる。
【0049】
図5は、ユーザの評価の例を示す図である。
【0050】
図5の例においては、ある領域のアイテム1に対するユーザAの評価は5段階評価のうちの5の評価とされ、ユーザBの評価は1の評価とされている。ユーザCの評価は4の評価とされている。同様に、アイテム2に対するユーザA乃至Cの評価はいずれも2の評価とされている。アイテム3に対するユーザAとユーザBの評価は4の評価とされ、ユーザCの評価は5の評価とされている。
【0051】
このような評価を対象として例えば主成分分析が行われることによって、似ている評価のパターンがまとめられ、次元圧縮が行われる。図5の例において、アイテム1乃至3に対するユーザAの評価とユーザCの評価はそのパターンが似ている。
【0052】
図6は、図5の評価を対象として次元圧縮を行うことによって得られた各次元の値の例を示す図である。
【0053】
図6の例においては、アイテム1の次元1,2,3の値は、それぞれ、0.12,0.34,0.62とされている。このような各次元の値が主成分分析によって求められ、各次元を軸とする空間上に各アイテムや各ジャンルがマッピングされることによって、図2を参照して説明したように、それぞれのアイテム間、ジャンル間の距離が求められる。
【0054】
分析する次元の数は、任意の数、1以上の固有値に相当する数、寄与率が大きく下がる直前の数、累積寄与率が一定以上となる数とすることが可能である。
【0055】
固有値は主成分の分散に対応し、その主成分がどの程度、元の情報(変量)を保持しているかを表す。元の変量の分散が1に標準化されていれば、固有値は、主成分が元の変量何個分の情報を持つのかを表す。固有値が1以下のとき、元の変量以下の情報しかないということになり、主成分としての意味がなくなる。
【0056】
寄与率は、ある主成分によって表される情報が、全ての情報の中で、どの位の割合の量を占めるのかを表す。累積寄与率は、各主成分の寄与率を大きい順に加算したものであり、寄与率を加算した主成分までで、元の情報のうちのどのくらいの量の情報が表されるのかを表す(通常、70〜80%程度を表す次元までが採用される)。
【0057】
ユーザの評価を分析するのに用いられる正準相関分析は、各変数群において、変数に重み(重み係数)をつけて足し合わせた変量(正準変量)を考え、正準変量同士の相関関係(正準相関係数)を最大にするような重み係数を求める分析手法である。この場合、主成分得点ではなく、空間上の距離を求めるのに重み変数が用いられる。
【0058】
カテゴリカル主成分分析も、主成分分析と同様に、似たような評価のパターンをまとめて分析を行う手法である。
【0059】
対象とするK個全ての領域のアイテムの評価をまとめて分析するようにしてもよいし、K個のうちの2個の領域のアイテムの評価だけを取り出し、2領域間の関係を求め、それを組み合わせの数だけ実行することによってK個全ての領域のアイテム間の関連性を分析するようにしてもよい。
【0060】
前者の場合、例えば、対象となる領域としてテレビジョン番組、本、音楽の3領域があったとき、それぞれの領域のアイテム全ての評価をひとまとめにして分析が行われ、それぞれのアイテムが図2に示されるような、1つの空間上にマッピングされる。求められた各アイテムの主成分得点が、ひとまとめにした空間上の位置を表す座標として用いられる。この場合、全ての領域のアイテムを1つの空間にマッピングすることができるので、アイテム間の関連性は1つの空間上で求めることが可能となる。
【0061】
後者の場合、例えば、対象となる領域としてテレビジョン番組、本、音楽、映画の4領域があったとき、テレビジョン番組と本、テレビジョン番組と音楽、テレビジョン番組と映画、本と音楽、本と映画、音楽と映画のそれぞれの組み合わせでアイテムの評価が取り出され、取り出されたそれぞれの評価を対象として分析が行われる。
【0062】
テレビジョン番組の各アイテムに対する評価と本の各アイテムに対する評価を分析し、各アイテムをマッピングして得られたテレビジョン番組−本関連性空間からは、テレビジョン番組のアイテムと本のアイテムの関連性が求められ、テレビジョン番組の各アイテムに対する評価と音楽の各アイテムに対する評価を分析し、各アイテムをマッピングして得られたテレビジョン番組−音楽関連性空間からは、テレビジョン番組のアイテムと音楽のアイテムの関連性が求められる。
【0063】
同様にして、テレビジョン番組のアイテムと映画のアイテムの関連性、本のアイテムと音楽のアイテムの関連性、本のアイテムと映画のアイテムの関連性、音楽のアイテムと映画のアイテムの関連性がそれぞれ求められる。
【0064】
なお、図3に示されるようにジャンル間の関連性を求める場合、それぞれの領域のジャンルを所定の数のグループに分類し、グループ間の関連性を求めるようにしてもよい。
【0065】
図7は、グループ間の関連性を求める場合の例を示す図である。
【0066】
図7の例においては、テレビジョン番組のジャンル1とジャンル2がジャンルグループ1として分類されている。テレビジョン番組の他のジャンルも同様に、所定のジャンルグループに分類されている。
【0067】
一方、本のジャンル1とジャンル2がジャンルグループ3として分類されている。本の他のジャンルも同様に、所定のジャンルグループに分類されている。ジャンルグループの分類(クラスタリング)は、例えば、各ジャンルに対する評価の相関値に基づいて特定される。
【0068】
このようにして分類されたジャンルグループ同士の関連性が上述したような主成分分析や正準相関分析により求められ、図7に示されるように、テレビジョン番組のジャンルグループ1と関連性のあるジャンルグループとして本のジャンルグループ2が特定される。また、テレビジョン番組のジャンルグループ2と関連性のあるジャンルグループとして本のジャンルグループ10が特定され、テレビジョン番組のジャンルグループ3と関連性のあるジャンルグループとして本のジャンルグループ2が特定される。
【0069】
以上のようにして求められた関連性を表す情報は、関連性分析部13からメタデータ設定部14に供給される。
【0070】
メタデータ設定部14は、関連性分析部13により求められた関連性を表す情報である関連情報を、それぞれのアイテムのメタデータとして設定し、アイテムDB15に記憶させる。ジャンル間(属性間)の関連性を表す情報がメタデータとしてアイテムに設定される場合、そのアイテムのジャンル(属性)と関連性のある他の領域のジャンル(属性)を表す図4に示されるような情報が設定される。
【0071】
また、メタデータ設定部14は、新規アイテム処理部16により求められた関連性を表す関連情報を新規のアイテムのメタデータとして設定し、アイテムDB15に記憶させる。
【0072】
新規アイテム処理部16は、ユーザによる評価が得られていない新規のアイテムの情報が入力されたとき、新規のアイテムと類似する、関連性を既に求めているアイテムを関連情報以外のメタデータに基づいて特定する。例えば、新規アイテム処理部16は、新規のアイテムのメタデータと、アイテムDB15に記憶されている、関連性を既に求めているそれぞれのアイテムのメタデータとの一致度を求め、関連性を既に求めているアイテムのうち、一致度の最も大きいアイテムを新規のアイテムと類似するアイテムとして特定する。
【0073】
ジャンルなどのように、一致度を求めるメタデータが密なメタデータである場合、コサイン距離や内積が求められ、求められた値が一致度として用いられる。メタデータとしてのジャンルは、その種類が限られ、十分に多いアイテムをジャンル毎に分けた場合には同じジャンルのアイテムが比較的多く見つかるため、密なメタデータといえる。
【0074】
一方、キーワードや文章などのように、一致度を求めるメタデータが疎なメタデータである場合、PLSA(Probabilistic Latent Semantic Analysis)やLDA(Linear Discriminant Analysis)などで次元圧縮後、距離が求められ、求められた距離が一致度として用いられる。キーワードや文章は、その種類が多く、十分に多いアイテムを、同じキーワードや文章がメタデータとして設定されているもの毎に分けた場合には同じキーワードや文章がメタデータとして設定されているアイテムがあまり見つからないため、疎なメタデータといえる。
【0075】
また、新規アイテム処理部16は、ユーザによる評価が行われたアイテム同士の関連性が求められている場合、新規のアイテムと類似するものとして特定したアイテムと同じ空間上の位置に新規のアイテムをマッピングし、新規のアイテムと関連性のある他の領域のアイテムを求める。新規アイテム処理部16は、求めたアイテムの情報をメタデータ設定部14に出力する。
【0076】
すなわち、新規のアイテムに対しては、その新規のアイテムと類似する、関連性を既に求めているアイテムに設定されている関連情報と同じ関連情報がメタデータとして設定されることになる。
【0077】
図8は、新規のアイテムの関連性を求める場合の例を示す図である。
【0078】
図8は、テレビジョン番組の新規アイテムである新規アイテム1乃至30000の情報と、本の新規アイテムである新規アイテム1乃至4000の情報が入力された場合の例を示している。
【0079】
図8の例においては、テレビジョン番組の新規アイテム1、新規アイテム2と類似する、他の領域のアイテムとの関連性を既に求めているテレビジョン番組のアイテムはアイテム2とされている。この場合、テレビジョン番組の新規アイテム1、新規アイテム2には、テレビジョン番組のアイテム2と関連性のある本のアイテムと関連性のあることを表す関連情報がメタデータとして設定される。
【0080】
一方、本の新規アイテム1、新規アイテム4000と類似する、他の領域のアイテムとの関連性を既に求めているアイテムはアイテム3とされている。この場合、本の新規アイテム1、新規アイテム4000には、本のアイテム3と関連性のあるテレビジョン番組のアイテムと関連性のあることを表す関連情報がメタデータとして設定される。
【0081】
図1の説明に戻り、登録情報取得部17は、サーバ1により実現される推薦システムにおいてユーザの嗜好を表す情報である登録情報を取得する。例えば、クライアントのユーザは、推薦システムの利用にあたっての初期登録時や登録内容の変更時などに、各領域についての属性の好みをクライアントに対して入力する。クライアントにおいては、ユーザを識別するための識別情報と、所定の領域におけるユーザの好みの属性とを表す登録情報が生成され、サーバ1に対して送信される。
【0082】
具体的には、例えば、クライアントのユーザは、推薦システムへの初期登録時に、領域としてのテレビジョン番組において好みのジャンル(属性)であるドラマとバラエティを選択(登録)する。クライアントにおいては、そのユーザの識別情報と、テレビジョン番組におけるユーザの好みのジャンルであるドラマおよびバラエティを表す登録情報が生成され、サーバ1に対して送信される。
【0083】
なお、サーバ1に対する入力デバイスとして設けられるマウスやリモートコントローラなどがサーバ1の管理者により操作されることによって登録情報が入力されるようにしてもよい。
【0084】
登録情報取得部17は、クライアントから送信されてきた登録情報や、入力された登録情報を取得し、取得した登録情報を登録情報DB18に記憶させる。
【0085】
複数のクライアントから登録情報が送信されてくることにより、サーバ1においては、複数のユーザについての登録情報が収集され、登録情報DB18に記憶されることになる。
【0086】
また、登録情報取得部17は、登録情報が登録情報DB18に記憶されている所定のユーザによるアイテムの推薦の要求に応じて、そのユーザについての登録情報(以下、ユーザ登録情報という)を登録情報DB18から取得し、登録数比較部20に供給する。
【0087】
平均登録数算出部19は、所定のユーザによるアイテムの推薦の要求に応じて、登録情報DB18に記憶されている全ユーザの登録情報を取得し、各領域について、全ユーザの登録情報における、属性の登録数の平均値である平均登録数を算出する。
【0088】
より具体的には、例えば、平均登録数算出部19は、登録情報DB18に記憶されている全ユーザの登録情報における、テレビジョン番組についてのジャンル、関連情報、地域、値段毎の平均登録数を算出する。同様に、平均登録数算出部19は、本、音楽などの他の領域についての属性(ジャンル、関連人物、地域、値段)毎の平均登録数を算出する。
【0089】
平均登録数算出部19は、算出した平均登録数を登録数比較部20に供給する。
【0090】
登録数比較部20は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報における、各領域についての属性毎の登録数であるユーザ登録数と、平均登録数算出部19からの平均登録数とを比較する。登録数比較部20は、ユーザ登録情報において、平均登録数と比較してユーザ登録数の少ない(割合の小さい)属性を決定し、ユーザ登録情報におけるその属性を表す情報を推薦アイテム特定部21に供給する。
【0091】
例えば、ユーザ登録情報において、領域としてのテレビジョン番組におけるジャンルであるドラマおよびバラエティが登録されている場合、テレビジョン番組におけるジャンルのユーザ登録数は2となる。ここで、このようなユーザ登録数を含むユーザ登録情報において、属性毎の平均登録数と比較して、2であるジャンルのユーザ登録数が最も少ない場合、ドラマおよびバラエティを表す情報が推薦アイテム特定部21に供給される。
【0092】
このように、全ユーザの平均登録数と比較して、あるユーザのユーザ登録情報における所定の属性のユーザ登録数が少ない場合、ユーザの好みが、その領域(テレビジョン番組)における特定のジャンル(例えば、ドラマとバラエティ)に偏っており、その属性(ジャンル)への依存度が高いと言うことができる。
【0093】
推薦アイテム特定部21は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、推薦を受けようとするユーザからの依存度が高い属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。
【0094】
例えば、平均登録数と比較して、テレビジョン番組におけるジャンルのユーザ登録数が最も少なく、登録数比較部20からドラマおよびバラエティを表す情報が供給された場合、ドラマおよびバラエティのいずれかと関連性のある他の領域のジャンルのアイテムが推薦アイテムとして特定される。なお、ここで、ドラマと関連性のあるアイテムと、バラエティと関連性のあるアイテムとでは、図2で示された空間上の距離が近い方が推薦アイテムとして特定されるものとする。
【0095】
より具体的には、例えば、アイテムDB15における所定のアイテムのメタデータとして、テレビジョン番組のジャンルであるドラマと関連性のあるジャンルが、本のジャンルである文芸およびノンフィクション、音楽のジャンルであるJ-POP、ゲームのジャンルであるシミュレーションゲーム、といった関連情報が設定されている場合、本の領域においては、ドラマと関連性のある文芸がジャンルの文庫本が推薦アイテムとして特定され、音楽の領域においては、ドラマと関連性のあるJ-POPがジャンルのCDが推薦アイテムとして特定される。
【0096】
推薦アイテム特定部21は、推薦アイテムのタイトル、販売元などの情報をアイテムDB15から読み出し、読み出したそれらの情報を送信部22に出力する。
【0097】
送信部22は、推薦アイテム特定部21から供給された情報を、推薦を受けようとするユーザが使うクライアントに対してインターネットなどのネットワークを介して送信する。送信部22から送信された情報を受信したクライアントにおいては、推薦アイテムの情報をユーザに提示することが行われる。
【0098】
なお、以上の例においては、属性としてジャンルを例にして説明してきたが、他の例として、例えば、関連人物を適用することもできる。
【0099】
このとき、アイテムDB15におけるそれぞれのアイテムには、関連性分析部13により求められたジャンル間の関連性を表す関連情報の他に、関連人物間の関連性を表す関連情報がメタデータとして設定されている。なお、関連人物間の関連性は、ジャンル間の関連性と同様に、関連性分析部13によって求められるものとする。
【0100】
例えば、テレビジョン番組の出演者である○○太郎と関連性のある関連人物が、本の作者である○○花子および○×次郎、音楽の歌手である△△三郎、ゲームのプログラマである○△五郎、といった関連情報が、所定のアイテムのメタデータとして設定されているとする。
【0101】
ここで、あるユーザのユーザ登録情報において、全ユーザの平均登録数と比較して、テレビジョン番組の出演者のユーザ登録数が少ない場合、ユーザの好みが、その領域(テレビジョン番組)における特定の出演者(例えば、○○太郎と××花江)に偏っており、その属性(出演者)への依存度が高いと言うことができる。
【0102】
このような場合、推薦アイテム特定部21においては、○○太郎および××花江のいずれかと関連性のある他の領域の関連人物のアイテムが推薦アイテムとして特定される。より具体的には、例えば、本の領域においては、○○太郎と関連性のある○○花子が作者の文庫本が推薦アイテムとして特定され、音楽の領域においては、○○太郎と関連性のある△△三郎が歌手のCDが推薦アイテムとして特定される。
【0103】
同様に、各領域についての、地域間の関連性を表す関連情報や、値段間の関連性を表す関連情報を用いることにより、ユーザからの依存度が高い地域や値段に関連性のあるアイテムが、領域を横断して推薦されるようになる。
【0104】
また、関連情報として、各領域についてのジャンル間や関連人物間など、同一属性間の関連性を表す関連情報以外に、各領域についての異なる属性間の関連性を表す関連情報を用いるようにすることもできる。例えば、テレビジョン番組のジャンルと本の作者との間の関連性を表す関連情報や、テレビジョン番組のジャンルと本の値段との間の関連性を表す関連情報が、アイテムDB15におけるアイテムのメタデータとして設定されるようにしてもよい。
【0105】
例えば、テレビジョン番組のジャンルであるドラマと関連性のある属性が本の作者である○×次郎、といった関連情報が、所定のアイテムのメタデータとして設定されているとする。ここで、テレビジョン番組において、あるユーザの好みがドラマに偏っている場合、本の領域においては、ドラマと関連性のある○×次郎が作者の文庫本が推薦アイテムとして特定される。
【0106】
また、例えば、テレビジョン番組のジャンルであるバラエティと関連性のある属性が本の値段である廉価、といった関連情報が、所定のアイテムのメタデータとして設定されているとする。ここで、テレビジョン番組において、あるユーザの好みがドラマに偏っている場合、本の領域においては、ドラマと関連性のある廉価が値段の文庫本(すなわち、廉価な文庫本)が推薦アイテムとして特定される。
【0107】
なお、アイテムDB15におけるアイテムには、上述した属性の組み合わせに限らず、全ての異なる属性間の関連性を表す関連情報を設定するようにできる。なお、これらの異なる属性間の関連性も、関連性分析部13によって求められるものとする。
【0108】
また、推薦アイテム特定部21の推薦アイテムの特定に用いられる関連情報における異なる属性の組み合わせは、登録数比較部20が、ユーザ登録情報に基づいて、各領域における属性の好みの偏りを検知することで決定されるようにしてもよい。
【0109】
例えば、あるユーザのユーザ登録情報において、テレビジョン番組においては好みがドラマに偏っていて、本においては好みが○×次郎に偏っているような場合、登録数比較部20は、テレビジョン番組のドラマ(ジャンル)と本における○×次郎(作者)とを、ユーザ登録数の少ない属性として決定する。推薦アイテム特定部21においては、テレビジョン番組のジャンルと本の作者との間の関連性を表す関連情報に基づいて、ドラマと関連性のある○×次郎が作者である文庫本が推薦アイテムとして特定される。
【0110】
このようにして、サーバ1は、ユーザの嗜好に応じて、様々な属性のアイテムをユーザに推薦することができる。
【0111】
次に、以上のような構成を有するサーバ1の処理について説明する。
【0112】
[メタデータ設定処理]
はじめに、図9のフローチャートを参照して、メタデータを設定するサーバ1の処理について説明する。ここでは、関連情報を設定する対象となるアイテムは、新規のアイテムではない、ユーザにより評価が行われたアイテムであるものとする。
【0113】
ステップS1において、嗜好情報取得部11は、アイテムに対するユーザの評価を表す嗜好情報を取得し、取得した嗜好情報を嗜好情報DB12に記憶させる。
【0114】
ステップS2において、関連性分析部13は、嗜好情報を嗜好情報DB12から読み出して分析し、それぞれのユーザの評価に基づいてアイテム間の関連性を求める。ジャンル間の関連性を求める場合も同様に、ユーザの評価から求められたそれぞれのジャンルの評価や、ユーザにより入力されたそれぞれのジャンルの評価に基づいて分析が行われる。
【0115】
ステップS3において、メタデータ設定部14は、関連性分析部13により求められた関連性を表す関連情報をメタデータとして設定し、アイテムDB15に記憶させる。その後、処理は終了される。
【0116】
嗜好情報が取得される毎に、アイテムの推薦を行う前の事前処理として以上の処理が行われることにより、複数の領域のそれぞれのアイテムに対して関連情報が設定されることになる。
【0117】
[新規アイテムに対するメタデータ設定処理]
次に、図10のフローチャートを参照して、メタデータを設定するサーバ1の他の処理について説明する。ここでは、関連情報を設定する対象となるアイテムは新規のアイテムであるものとする。
【0118】
ステップS11において、新規アイテム処理部16は、ユーザによる評価が得られていない新規のアイテムの情報を取得する。取得される情報には、新規のアイテムのメタデータも含まれる。
【0119】
ステップS12において、新規アイテム処理部16は、メタデータの一致度に基づいて、新規のアイテムと類似する、関連性の分析済みのアイテムを特定する。また、新規アイテム処理部16は、特定したアイテムと同じ空間上の位置に新規のアイテムをマッピングし、新規のアイテムと関連性のある他の領域のアイテムを求める。
【0120】
ステップS13において、メタデータ設定部14は、新規のアイテムのメタデータとして、新規アイテム処理部16により求められた、新規のアイテムと類似する関連性の分析済みのアイテムに設定されている関連情報と同じ関連情報を設定し、アイテムDB15に記憶させる。その後、処理は終了される。
【0121】
[アイテムの推薦処理]
次に、図11のフローチャートを参照して、アイテムの推薦を行うサーバ1の推薦処理について説明する。この処理は、例えば、クライアントのユーザによりアイテムの推薦が要求されたときに開始される。
【0122】
ステップS21において、登録情報取得部17は、アイテムの推薦を要求したユーザについてのユーザ登録情報を登録情報DB18から取得し、登録数比較部20に供給する。
【0123】
ステップS22において、平均登録数算出部19は、登録情報DB18に記憶されている全ユーザの登録情報を取得し、各領域について、全ユーザの登録情報における、属性の登録数の平均値(平均登録数)を算出し、登録数比較部20に供給する。
【0124】
ステップS23において、登録数比較部20は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報において、平均登録数算出部19からの平均登録数と比較してユーザ登録数の少ない属性を決定する。登録数比較部20は、ユーザ登録情報においてユーザ登録数が少ないと決定された属性を表す情報を推薦アイテム特定部21に供給する。
【0125】
ステップS24において、推薦アイテム特定部21は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、登録数比較部20からの情報で表わされる、ユーザ登録情報において平均登録数と比較してユーザ登録数が少ないと決定された属性のいずれかと関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。推薦アイテム特定部21は、推薦アイテムの情報を送信部22に出力する。
【0126】
ステップS25において、送信部22は、推薦アイテム特定部21から供給された情報をクライアントに送信し、処理を終了させる。
【0127】
上述した処理は、アイテムの推薦が要求される毎に行われ、ユーザに対して推薦アイテムが順次提示される。
【0128】
以上の処理によれば、アイテムに対するユーザの評価に基づいて異なる領域に属するアイテムの属性間の関連性を求めることができる。また、ユーザの依存度が高い属性と関連性のある他の領域のアイテムを推薦アイテムとして特定することができる。したがって、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することが可能となる。これにより、推薦システムにおいては、ユーザの好みに近いと思われるアイテムがユーザに対して提示されるので、アイテムの購買率や、推薦システムへのアクセス率を上げることができる。
【0129】
以上においては、所定のユーザの登録情報と全ユーザの登録情報とを比較することで、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにしたが、ユーザの登録情報とユーザのアイテムへのアクセスの履歴とに基づいて、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにもできる。
【0130】
[推薦システムの他の構成例]
図12は、推薦システムの他の構成例を示すブロック図である。図12に示される構成のうち、図1に示される構成と同じ構成には同じ符号を付してあり、重複する説明については適宜省略する。
【0131】
図12に示されるサーバ1の構成は、平均登録数算出部19、登録数比較部20、および推薦アイテム特定部21に代わり、履歴情報DB31、一致度算出部32、および推薦アイテム特定部33が設けられている点で図1のサーバ1の構成と異なる。
【0132】
履歴情報DB31は、推薦システムとしてのサーバ1に対するユーザからのアクセスの履歴を表す履歴情報を記憶している。ここで、ユーザからのアクセスとは、ユーザによるアイテムの予約・購買や、アイテムの詳細説明の閲覧など、ユーザのアイテムに対するアクセスを示している。履歴情報は、ユーザを識別するための識別情報と、ユーザがアクセスしたアイテムおよびそのメタデータとしての属性を表すアクセス情報とを含むように構成され、アクセス情報は、ユーザがアイテムにアクセスする毎に更新される。
【0133】
一致度算出部32は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報に登録されている属性と、履歴情報DB31に記憶されている、推薦を受けようとするユーザについての履歴情報におけるアイテムの属性との一致度を、各領域の属性毎に算出し、その属性を表す情報とともに推薦アイテム特定部33に供給する。
【0134】
ここで、一致度は、例えば、ユーザ登録情報に登録されているテレビジョン番組のジャンルと、履歴情報における、ユーザの視聴したアイテム(番組)のジャンルとにおいて、同一のジャンルの数が多いほど大きい値となる。例えば、ユーザ登録情報において、テレビジョン番組の領域のジャンルとしてドラマおよびバラエティが登録されている場合、ユーザが視聴した番組の視聴回数が、ドラマ5回、バラエティ3回であったとすると、バラエティの一致度よりドラマの一致度の方が大きい値となる。
【0135】
このように、ユーザ登録情報に登録されている属性と、履歴情報におけるアイテムの属性との一致度が高いほど、ユーザの好みが初期登録時(または登録変更時)から変わらず、その領域(テレビジョン番組)におけるそのジャンルに偏っており、その属性(ジャンル)への依存度が高いと言うことができる。
【0136】
推薦アイテム特定部33は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、一致度算出部32からの一致度において、所定の値より大きい一致度についての属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。
【0137】
例えば、ユーザ登録情報に登録されているテレビジョン番組のジャンルと、履歴情報における、ユーザの視聴した番組のジャンルとの一致度が所定の値より大きい場合、その一致度の大きいジャンル(例えば、ドラマとバラエティ)のうちの視聴回数の多いアイテムのジャンルと関連性のある他の領域のジャンルのアイテムが推薦アイテムとして特定される。
【0138】
なお、以上の例においても、属性としてジャンルを例に説明してきたが、他の属性を適用するようにしてももちろんよい。
【0139】
推薦アイテム特定部33は、推薦アイテムのタイトル、販売元などの情報をアイテムDB15から読み出し、読み出したそれらの情報を送信部22に出力する。
【0140】
[アイテムの推薦処理]
次に、図13のフローチャートを参照して、アイテムの推薦を行う、図12のサーバ1の推薦処理について説明する。この処理は、例えば、クライアントのユーザによりアイテムの推薦が要求されたときに開始される。
【0141】
ステップS31において、登録情報取得部17は、アイテムの推薦を要求したユーザについてのユーザ登録情報を登録情報DB18から取得し、一致度算出部32に供給する。
【0142】
ステップS32において、一致度算出部32は、登録情報取得部17からのユーザ登録情報に登録されている属性と、履歴情報DB31に記憶されている、アイテムの推薦を要求したユーザについての履歴情報におけるアイテムの属性との一致度を算出する。一致度算出部32は、算出した一致度を推薦アイテム特定部33に供給する。
【0143】
ステップS33において、推薦アイテム特定部33は、一致度算出部32からの一致度について、所定の値より大きい一致度の属性があるか否かを判定する。
【0144】
ステップS33において、所定の値より大きい一致度の属性があると判定された場合、処理はステップS34に進む。ステップS34において、推薦アイテム特定部33は、アイテムDB15に記憶されている各アイテムのメタデータに基づいて、一致度が所定の値より大きい(例えば、最も一致度の高い)属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムを推薦アイテムとして特定する。推薦アイテム特定部33は、推薦アイテムの情報を送信部22に出力する。
【0145】
一方、ステップS33において、所定の値より大きい一致度の属性がないと判定された場合、処理はステップS35に進む。ステップS35において、推薦アイテム特定部33は、例えば、アイテムDB15に記憶されている各アイテムにおいて人気度の最も高いアイテムを推薦アイテムとして特定し、その推薦アイテムの情報を送信部22に出力する。
【0146】
ステップS35において、送信部22は、推薦アイテム特定部33から供給された情報をクライアントに送信し、処理を終了させる。
【0147】
上述した処理は、アイテムの推薦が要求される毎に行われ、ユーザに対して推薦アイテムが順次提示される。
【0148】
なお、推薦システムにおけるユーザの初期登録直後においては、そのユーザについての履歴情報は存在しないため、上述のステップS34において、アイテムDB15に記憶されている各アイテムにおいて人気度の最も高いアイテムが推薦アイテムとして特定される。
【0149】
また、ステップS34においては、所定の値より大きい一致度の属性と関連性のある他の領域の属性のアイテムが推薦アイテムとして特定されるようにしたが、例えば、所定の値より大きい一致度の属性の領域内で人気度の最も高いアイテムが推薦アイテムとして特定されるようにしてもよい。
【0150】
以上の処理によれば、アイテムに対するユーザの評価に基づいて異なる領域に属するアイテムの属性間の関連性を求めることができる。また、ユーザの依存度が高い属性と関連性のある他の領域のアイテムを推薦アイテムとして特定することができる。したがって、領域を横断した形で、ユーザの嗜好によりマッチしたアイテムを推薦することが可能となる。これにより、推薦システムにおいては、ユーザの好みに近いと思われるアイテムがユーザに対して提示されるので、アイテムの購買率や、推薦システムへのアクセス率を上げることができる。
【0151】
以上においては、ユーザの登録情報と履歴情報とにおける属性に基づいて、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにしたが、一致度算出部32が、履歴情報におけるアイテムのメタデータとしての属性と、アイテムの視聴中にユーザが示す表出(独り言や対話などの発話)から抽出される属性についてのキーワードとの一致度を算出することにより、ユーザの依存度が高い属性を決めるようにしてもよい。ここでの一致度は、履歴情報におけるアイテムの属性と、ユーザが示す表出から抽出されるキーワードとの距離として求められる。
【0152】
これにより、例えば、初期登録時からユーザの嗜好が変化した場合であっても、リアルタイムにユーザの嗜好に応じた属性を抽出し、その属性と関連性のあるアイテムの推薦を実現することが可能となる。
【0153】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0154】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0155】
CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53は、バス54により相互に接続されている。
【0156】
バス54には、さらに、入出力インタフェース55が接続されている。入出力インタフェース55には、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる入力部56、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部57、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部58、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部59、光ディスクや半導体メモリなどのリムーバブルメディア61を駆動するドライブ60が接続されている。
【0157】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU51が、例えば、記憶部58に記憶されているプログラムを入出力インタフェース55及びバス54を介してRAM53にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0158】
CPU51が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア61に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部58にインストールされる。
【0159】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0160】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 サーバ, 11 嗜好情報取得部, 12 嗜好情報DB, 13 関連性分析部, 14 メタデータ設定部, 15 アイテムDB, 16 新規アイテム処理部, 17 登録情報取得部, 18 登録情報DB, 19 平均登録数算出部, 20 登録数比較部, 21 推薦アイテム特定部, 22 送信部, 31 履歴情報DB, 32 一致度算出部, 33 推薦アイテム特定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析手段と、
前記分析手段による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定手段と、
所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得手段と、
前記関連情報に基づいて、前記取得手段によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
複数の前記ユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数の平均値である平均登録数を算出する平均登録数算出手段と、
前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数であるユーザ登録数と、前記平均登録数算出手段によって算出された前記平均登録数とを比較する比較手段とをさらに備え、
前記推薦手段は、前記関連情報に基づいて、前記所定のユーザの前記登録情報において前記平均登録数に比して前記ユーザ登録数が少ない前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性と、前記所定のユーザが過去にアクセスしたアイテムの属性との一致度を算出する一致度算出手段をさらに備え、
前記推薦手段は、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性の前記アイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記一致度算出手段は、前記所定のユーザが過去にアクセスした前記アイテムの属性と、前記所定のユーザが過去に前記アイテムにアクセスしたときの、前記ユーザの表出から抽出される属性との一致度を算出し、
前記推薦手段は、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、
前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、
所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、
前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップと
を含む情報処理方法。
【請求項6】
それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、
前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、
所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、
前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析手段と、
前記分析手段による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定手段と、
所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得手段と、
前記関連情報に基づいて、前記取得手段によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
複数の前記ユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数の平均値である平均登録数を算出する平均登録数算出手段と、
前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性の登録数であるユーザ登録数と、前記平均登録数算出手段によって算出された前記平均登録数とを比較する比較手段とをさらに備え、
前記推薦手段は、前記関連情報に基づいて、前記所定のユーザの前記登録情報において前記平均登録数に比して前記ユーザ登録数が少ない前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段によって取得された前記所定のユーザの前記登録情報に登録されている前記属性と、前記所定のユーザが過去にアクセスしたアイテムの属性との一致度を算出する一致度算出手段をさらに備え、
前記推薦手段は、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性の前記アイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記一致度算出手段は、前記所定のユーザが過去にアクセスした前記アイテムの属性と、前記所定のユーザが過去に前記アイテムにアクセスしたときの、前記ユーザの表出から抽出される属性との一致度を算出し、
前記推薦手段は、前記関連情報に基づいて、所定の値より大きい前記一致度の前記属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、
前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、
所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、
前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップと
を含む情報処理方法。
【請求項6】
それぞれ異なる領域に属するアイテム同士の属性の関連性を、ユーザによるそれぞれのアイテムに対する評価に基づいた分析によって求める分析ステップと、
前記分析ステップの処理による分析によって求められた関連性を表す情報である関連情報をそれぞれのアイテムにメタデータとして設定する設定ステップと、
所定のユーザの嗜好に応じた属性が登録されている登録情報を取得する取得ステップと、
前記関連情報に基づいて、前記取得ステップの処理によって取得された前記登録情報に登録されている属性であって、前記所定のユーザの依存度が高い属性と関連性のある、前記属性のアイテムが属する領域とは異なる領域に属するアイテムを推薦アイテムとして特定する推薦ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−145742(P2011−145742A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3847(P2010−3847)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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