説明

情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

【課題】 編集者が放送映像生成処理を速やかに実行できるように支援する。
【解決手段】 メタデータは、メタデータID、映像素材のID、IN点、OUT点、レンダリング総数、関連クリップ情報数K、K個の関連クリップ情報、利用エフェクト情報数N、およびN個の利用エフェクト情報から構成される。レンダリング総数は、当該メタデータに対応するクリップに対してレンダリング作業が行われた回数を示す情報である。そもそも、映像素材から切り出されたクリップがレンダリング作業を伴わずに放送用の映像に利用されることはまず無いので、レンダリング総数が、当該クリップが放送用映像に利用された回数に相当する値になると考えられる。本発明は、映像編集システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、例えば、数多くの映像素材を選択的に利用して放送用の映像を生成する場合に用いて好適な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニュースなどのテレビジョン番組で用いる映像を生成するための手法が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、ニュース番組などで用いる映像を生成するための一般的な一連の処理(以下、放送映像生成処理と称する)を説明するフローチャートである。
【0004】
ステップS1において、編集者は、映像素材データベースに予め用意されている数多くの映像素材の中から、番組の内容に適した映像素材をいくつか選択し、ステップS2において、選択した映像素材から必要な部分(期間)を切り出する。以下、切り出された部分的な映像素材をクリップと称する。すなわち、クリップは、映像素材と、切り出しの開始点(IN点)および終了点(OUT点)によって決定される。
【0005】
次にステップS3において、編集者は、切り出した1以上のクリップを、所望する順序で繋ぎ合わせたり合成したりするなどの編集作業を行う。そして、編集者は、ステップS4において、編集結果のプレビューを行い、編集作業を終了するか否かを判断する。ここで編集者が編集作業を終了しないと判断した場合、ステップS3(ステップS1またはS2でもよい)に戻り、それ以降の処理が繰り返される。そして、編集者が編集作業を終了すると判断した場合、処理はステップS5に進められる。
【0006】
ステップS5において、編集者は編集結果に対してレンダリング作業を行う。このレンダリング作業は、色調、画質、サイズなどを修正する処理を含み、さらに、映像素材のフォーマットを出力すべきフォーマットに変換したり、データを圧縮したりする処理などが含まれる。
【0007】
ステップS6において、編集者は、レンダリング結果のプレビューを行い、レンダリング作業を終了するか否かを判断する。ここで編集者がレンダリング作業を終了しないと判断した場合、ステップS5に戻り、それ以降の処理が繰り返される。そして、編集者がレンダリング作業を終了すると判断した場合、処理はステップS7に進められる。
【0008】
ステップS7において、ここまでの処理結果、すなわち、1以上のクリップの編集結果およびレンダリング結果を含むプロジェクトファイル(以下、PJFとも略記する)が作成される。そして、放送時などには、このようにして作成されたPJFに従って、映像素材からクリップが切り出されて編集され、さらにレンダリングが行われ、その結果得られる放送映像が出力されることになる。なお、PJFは、EDLと称されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許4385974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した放送映像生成処理のうち、特に、ステップS1乃至S3の処理、すなわち、数多くの映像素材の中から番組に適したものを選択し、クリップを切り出して編集する処理は、編集者にとって負担が大きく時間のかかる作業となっていた。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、編集者が放送映像生成処理を速やかに実行できるように支援するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面である情報処理装置は、映像素材から切り出される1以上のクリップからなる一連の映像を出力するためのプロジェクトファイルを取得する取得手段と、取得された前記プロジェクトファイルに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成するメタデータ生成手段とを含み、前記メタデータには、前記クリップの切り出し元である映像素材の識別情報、および前記クリップに対するレンダリングの回数を示すレンダリング総数が少なくとも含まれている。
【0013】
本発明の一側面である情報処理装置は、前記メタデータに基づき、指定された映像素材を元とする前記クリップを検索する検索手段と、前記検索結果の前記クリップを提示する提示手段とをさらに含むことができる。
【0014】
前記メタデータには、さらに、前記切り出し元である映像素材からの前記クリップの切り出し区間を示すIN点およびOUT点が含まれ、前記メタデータ生成手段は、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成するクリップと、既存の前記メタデータとで、切り出し元である映像素材の識別情報が一致し、且つ、前記IN点およびOUT点が略一致する場合、前記クリップに対応して前記既存のメタデータを更新することができる。
【0015】
前記メタデータ生成手段は、取得された前記プロジェクトファイルのうち、生成または更新されてから所定時間が経過したものに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成することができる。
【0016】
前記メタデータには、さらに、前記クリップに関連するクリップの情報である関連クリップ情報が含まれ、前記提示手段は、さらに、指定されたクリップに対応するメタデータの前記関連クリップ情報に基づき、前記指定されたクリップに関連するクリップを提示することができる。
【0017】
前記メタデータには、さらに、前記クリップに対するエフェクト処理に関するエフェクト情報が含まれ、前記提示手段は、さらに、指定されたクリップに対応するメタデータの前記エフェクト情報に基づき、前記指定されたクリップに対して実行されたエフェクト処理を提示することができる。
【0018】
前記提示手段は、さらに、指定されたクリップに対応するメタデータの前記エフェクト情報に基づき、前記指定されたクリップに対して実行されたエフェクト処理の名称とパラメータを提示することができる。
【0019】
本発明の一側面である情報処理方法は、情報処理装置による、映像素材から切り出される1以上のクリップからなる一連の映像を出力するためのプロジェクトファイルを取得する取得ステップと、取得された前記プロジェクトファイルに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成するメタデータ生成ステップとを含み、前記メタデータには、前記クリップの切り出し元である映像素材の識別情報、および前記クリップに対するレンダリングの回数を示すレンダリング総数が少なくとも含まれている。
【0020】
本発明の一側面であるプログラムは、コンピュータを、映像素材から切り出される1以上のクリップからなる一連の映像を出力するためのプロジェクトファイルを取得する取得手段と、取得された前記プロジェクトファイルに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成するメタデータ生成手段として機能させ、前記メタデータには、前記クリップの切り出し元である映像素材の識別情報、および前記クリップに対するレンダリングの回数を示すレンダリング総数が少なくとも含まれている。
【0021】
本発明の一側面においては、映像素材から切り出される1以上のクリップからなる一連の映像を出力するためのプロジェクトファイルが取得され、取得されたプロジェクトファイルに基づき、プロジェクトファイルに対応する一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータが生成される。なお、メタデータには、クリップの切り出し元である映像素材の識別情報、およびクリップに対するレンダリングの回数を示すレンダリング総数が少なくとも含まれている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一側面によれば、編集者が放送映像生成処理を速やかに実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一般的な放送映像生成処理を説明するフローチャートである。
【図2】本発明を適用した映像編集システムの構成例を示すブロック図である。
【図3】メタデータのデータ構造を示す図である。
【図4】メタデータ生成処理を説明するフローチャートである。
【図5】メタデータ生成処理を説明するフローチャートである。
【図6】メタデータを利用した検索結果を含む操作画面の表示例である。
【図7】メタデータを利用した検索結果を含む操作画面の表示例である。
【図8】メタデータを利用した検索結果を含む操作画面の表示例である。
【図9】メタデータを利用した検索結果を含む操作画面の表示例である。
【図10】メタデータを利用した検索結果を含む操作画面の表示例である。
【図11】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
<1.実施の形態>
[映像編集システムの構成例]
図2は、本発明の実施の形態である映像編集システム10の構成例を示している。この映像編集システム10は、例えば、ニュースなどのテレビジョン番組にて放送する映像を、予め用意されている映像素材を元にして編集、生成するためのものである。
【0026】
映像編集システム10は、複数の映像編集端末11がネットワーク13を介して、映像素材DB(データベース)14、映像編集サーバ15、および映像素材検索サーバ16に接続されて成る。また、映像編集システム10は、プロジェクトファイル保持部17、メタデータ生成サーバ18、およびメタデータ保持部19を有する。
【0027】
映像編集端末11−1は、放送用映像生成処理を指示する編集者の操作を受け付けて、それらを映像編集サーバ15および映像素材検索サーバ16に実行させる端末装置である。映像編集端末11−2についても、映像編集端末11−1と同様である。以下、映像編集端末11−1と11−2を個々に区別する必要がない場合、単に映像編集端末11と称する。
【0028】
映像素材DB14には、数多くの映像素材が予め蓄積されている。映像編集サーバ15は、映像編集端末11からの制御に従い、映像素材の選択、クリップの切り出し、編集作業、およびレンダリング作業を行い、その処理結果としてられるPJF(プロジェクトファイル)をプロジェクトファイル保持部17に出力する。なお、PJFには、その生成または更新日時を示す情報、利用されている各クリップの情報(元となる映像素材のID、IN点およびOUT点など)、各クリップのレンダリング情報、クリップの編集情報(クリップの配置順序など)が少なくとも含まれているものとする。
【0029】
映像素材検索サーバ16は、映像編集端末11から通知される検索条件に合致する映像素材を映像素材DB14から検索する。さらに、映像素材検索サーバ16は、メタデータ保持部19のメタデータ(後述)を参照し、検索された映像素材から切り出されたクリップやそれに関連する情報などを映像編集端末11に提供する。編集者がこれを参照することにより、映像素材の選択、クリップの切り出し位置の設定、レンダリング作業における各種エフェクトのパラメータの設定などが支援される。
【0030】
プロジェクトファイル保持部17には、各映像編集端末11からの指示に従って映像編集サーバ15が編集処理などを実行した結果であるPJFが、指示元の各映像編集端末11を区別することなく一括して保持される。
【0031】
メタデータ生成サーバ18は、プロジェクトファイル保持部17に保持されているPJFに基づき、映像素材から切り出された各クリップにそれぞれ対応するメタデータを生成する。なお、1つの映像素材からは複数のクリップが切り出され得るが、その区間(IN点からOUT点までの区間)が、既に切り出されたことがあるクリップとほぼ一致する場合には、新たなメタデータは生成されず、既存のメタデータが更新される。
【0032】
メタデータ保持部19は、メタデータ生成サーバ18により生成または更新されたメタデータを保持する。保持されたメタデータは、映像素材検索サーバ16によって参照される。
【0033】
なお、上述したように複数の構成要素からなる映像編集システム10を1台のコンピュータにより実現するようにしてもよい。また、構成要素間の接続にネットワーク13を介することなく、相互に直接的に接続するようにしてもよい。
[メタデータのデータ構造]
図3は、メタデータのデータ構造を示している。メタデータは、メタデータID、映像素材のID、IN点、OUT点、レンダリング総数、関連クリップ情報数K、K個の関連クリップ情報、利用エフェクト情報数N、およびN個の利用エフェクト情報から構成される。
【0034】
メタデータIDは、当該メタデータを一意に特定するための情報である。なお、1つのメタデータは、1つのクリップに対応しているので、メタデータIDによってクリップを一意に特定することもできる。
【0035】
映像素材のIDは、当該メタデータに対応するクリップが切り出された元の映像素材を一意に特定するための情報である。IN点およびOUT点は、当該メタデータに対応するクリップが映像素材から切り出されたときの開始位置(IN点)と終了位置(OUT点)を示す情報である。
【0036】
レンダリング総数は、当該メタデータに対応するクリップに対してレンダリング作業が行われた回数を示す情報である。そもそも、映像素材から切り出されたクリップがレンダリング作業を伴わずに放送用の映像に利用されることはまず無いので、レンダリング総数が、当該クリップが放送用映像に利用された回数に相当する値になると考えられる。
【0037】
関連クリップ情報数Kは、以降に続く関連クリップ情報の数Kを示している。ここで、関連クリップとは、いずれかのPJF上において、一連の映像を構成する為に当該メタデータに対応するクリップと共に用いられている、当該メタデータに対応するクリップとは異なる、他のクリップを指す。なお、関連クリップ情報数Kは、関連クリップの数と同数にしてもよいが、その場合、関連クリップ情報数Kが増加し過ぎてしまい無意味な情報になってしまう可能性がある。そこで、関連クリップ情報数Kに上限を定めておくようにしてもよい。
【0038】
各関連クリップ情報は、当該関連クリップのメタデータID、当該メタデータに対応するクリップの直前に当該関連クリップが用いられた回数、および、当該メタデータに対応するクリップの直後に当該関連クリップが用いられた回数から成る。
【0039】
利用エフェクト数Nは、以降に続く利用エフェクト情報の数Nを示している。ここで、利用エフェクトとは、当該クリップに対してレンダリング作業において行われた各種のエフェクト処理(色調、画質、サイズなどを修正する処理)を指す。各利用エフェクト情報は、当該エフェクトの名称、当該エフェクトの利用総数、当該エフェクトのパラメータから成る。当該エフェクトのパラメータには、当該エフェクトの利用総数において採用されたパラメータの平均値が記載される。
【0040】
[メタデータ生成処理]
次に、映像編集システム10の動作について説明する。図4および図5は、映像編集システム10によるメタデータ生成処理を説明するフローチャートである。
【0041】
このメタデータ生成処理は、所定のタイミングで開始されて継続的に繰り返される。
【0042】
ステップS11において、プロジェクトファイル保持部17は、映像編集サーバ15から供給されるPJFを自身が保持しているか否かを判断し、保持していると判断するまで待機する。PJFを保持していると判断した場合、処理はステップS12に進められる。
【0043】
ステップS12において、プロジェクトファイル保持部17は、保持している全てのPJFを処理対象PJFに指定したか否かを判定する。ここで、全てのPJFを処理対象PJFに指定したと判定した場合、ステップS11に戻って、それ以降の処理を繰り返す。ステップS12において、処理対象PJFに指定していないPJFが残っていると判定した場合、処理はステップS13に進められる。
【0044】
ステップS13において、プロジェクトファイル保持部17は、保持しているPJFを順次1つずつ処理対象PJFに指定する。ステップS14において、プロジェクトファイル保持部17は、現在の時刻が、処理対象PJFの更新時刻(更新されていない場合には生成時刻)から所定時間以上経過しているか否かを判断し、否と判断した場合、ステップS12まで戻って処理対象PJFを指定し直す。ステップS14において、現在の時刻が、処理対象PJFの更新時刻から所定時間以上経過していると判断した場合、処理はステップS15に進められる。
【0045】
ステップS14の処理を設けたことにより、編集作業やレンダリング作業の修正が起こり得る、すなわち、再びすぐに更新され得るPJFを以降の処理対象から除外することができる。
【0046】
ステップS15において、プロジェクトファイル保持部17は、処理対象PJFをメタデータ生成サーバ18に供給する。ステップS16において、メタデータ生成サーバ18は、処理対象PJFを参照し、そこで利用されている各クリップについて、映像素材のID、IN点およびOUT点、その直前および直後に用いられているクリップに対応するメタデータのメタデータID、並びに、利用されているエフェクトの名称およびパラメータを抽出する。
【0047】
ステップS17において、メタデータ生成サーバ18は、処理対象PJFで利用されている全てのクリップを処理対象クリップに指定したか否かを判定する。ここで、全てのクリップを処理対象クリップに指定したと判定した場合、ステップS12に戻ってそれ以降の処理が繰り返され、次の処理対象PJFが指定されることになる。ステップS17において、処理対象クリップに指定していないクリップが残っていると判定した場合、処理はステップS18に進められる。ステップS18において、メタデータ生成サーバ18は、処理対象PJFで利用されている各クリップを順次1つずつ処理対象クリップに指定する。
【0048】
ステップS19において、メタデータ生成サーバ18は、メタデータ保持部19に既に保持されているメタデータを参照し、処理対象クリップと映像素材のIDが一致するメタデータを検索する。ステップS20において、メタデータ生成サーバ18は、ステップS18の検索結果として得られる既存のメタデータが存在するか否かを判定し、存在した場合、処理はステップS21に進められる。なお、ステップS20において、ステップS18の検索結果となる既存のメタデータが存在しないと判定された場合、処理はステップS23に進められる。
【0049】
ステップS21において、メタデータ生成サーバ18は、処理対象クリップのIN点およびOUT点と、検索されたメタデータのIN点およびOUT点とのそれぞれの差が所定の閾値(数フレーム相当程度)以下であるか否かを判定する。その差が所定の閾値以下であると判定された場合、処理はステップS22に進められる。ステップS22において、メタデータ生成サーバ18は、検索されたメタデータを処理対象メタデータに指定する。
【0050】
反対に、ステップS21において、その差が所定の閾値よりも大きいと判定された場合、処理はステップS23に進められる。ステップS23において、メタデータ生成サーバ18は、処理対象クリップに対して新規のメタデータを生成し、これを処理対象メタデータとする。
【0051】
ステップS21の処理を設けたことにより、同一の映像素材から切り出された、IN点およびOUT点が略同一のクリップに対し、重複してメタデータが生成されることを防止することができる。
【0052】
ステップS24において、メタデータ生成サーバ18は、処理対象メタデータのレンダリング総数に1を加算する。さらに、メタデータ生成サーバ18は、ステップS16の処理で処理対象PJFから抽出した情報に基づき、ステップS25において、処理対象メタデータの関連クリップ情報を更新し、ステップS26において、利用エフェクト情報を更新する。レンダリング総数、関連クリップ情報、および利用エフェクト情報が更新された処理対象メタデータはメタデータ保持部19に保持されることになる。
【0053】
この後、処理はステップS17に戻され、次の処理対象クリップに対応するメタデータ(処理対象メタデータ)が新規に作成または更新されることになる。
【0054】
以上で、メタデータ生成処理の説明を終了する。以上に説明したメタデータ生成処理によれば、各クリップに対応するメタデータを生成することができる。さらに、同一の映像素材から切り出された、IN点およびOUT点が略同一のクリップに対して既にメタデータが生成されている場合、重複してメタデータを新規に生成することなく、既存のメタデータを更新することができる。
【0055】
[メタデータの利用例]
次に、上述したメタデータ生成処理によって生成されたメタデータの利用方法について説明する。
【0056】
図6乃至図10は、メタデータを利用した検索結果を含む映像編集端末11の操作画面の表示例を示している。なお、映像編集端末11の操作画面に表示される各種の情報は、映像素材検索サーバ16による検索結果に基づくものである。
【0057】
すなわち、編集者が検索語を映像編集端末11に入力すると、その検索語が映像素材検索サーバ16に通知されて、映像素材検索サーバ16が映像素材DB14から検索語に合致する映像素材を検出する。さらに、映像素材検索サーバ16が、その検索結果(映像素材のID)が記述されているメタデータをメタデータ保持部19から検出する。そして、検索結果のメタデータに基づいて、編集者による映像素材の選択、クリップの切り出し、編集作業、レンダリング作業などを支援するための情報が映像編集端末11の操作画面に表示される。
【0058】
例えば、編集者が操作画面において、検索語として「打ち上げ」を入力した場合、図6に示されるように、検索語「打ち上げ」に合致した4件の映像素材が提示される。さらに、提示された4件の映像素材のいずれかを編集者が選択すると、選択された映像素材のIDが記述されたメタデータに基づいて、選択された映像素材を元にするクリップがその利用回数(メタデータにおけるレンダリング総数)順に提示される。
【0059】
ここで、提示されたクリップのいずれかを編集者が選択すると、選択されたクリップのメタデータの関連クリック情報に基づいて、例えば、図7に示されるように、選択されたクリップと同時に利用された関連クリップがその利用回数順に提示される。
【0060】
なお、図6で提示されたクリップのいずれかを編集者が選択したとき、選択されたクリップのメタデータの関連クリック情報に基づいて、例えば、図8に示されるように、選択されたクリップの直前に利用された関連クリップがその利用回数とともに提示されるようにしてもよい。
【0061】
または、図6で提示されたクリップのいずれかを編集者が選択したとき、選択されたクリップのメタデータの関連クリック情報に基づいて、例えば、図9に示されるように、選択されたクリップの直後に利用された関連クリップがその利用回数とともに提示されるようにしてもよい。
【0062】
あるいはまた、図6で提示されたクリップのいずれかを編集者が選択したとき、選択されたクリップのメタデータの利用エフェクト情報に基づいて、例えば、図10に示されるように、選択されたクリップに対して利用されたエフェクトの種類が提示されるようにしてもよい。さらに、各エフェクトのパラメータ(の平均値)が提示されるようにしてもよい。
【0063】
またさらに、図6で提示されたクリップのいずれかを編集者が選択した後に、図7乃至図10のいずれの状態を表示するかを編集者が予め選択できるようにしてもよい。
【0064】
図6乃至図10に示されたような操作画面を編集者に提示することにより、編集者による映像素材の選択、クリップの切り出し、編集作業、レンダリング作業などを支援することができる。
【0065】
ところで、上述した映像編集システム10としての一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0066】
図11は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0067】
このコンピュータ100において、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0068】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0069】
以上のように構成されるコンピュータ100では、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105およびバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0070】

コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア111に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0071】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0072】
また、プログラムは、1台のコンピュータにより処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
【0073】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0074】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 映像編集システム, 11 映像編集端末, 13 ネットワーク, 14 映像素材DB, 15 E映像編集サーバ, 16 映像素材検索サーバ, 17 プロジェクトファイル保持部, 18 メタデータ生成サーバ, 19 メタデータ保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像素材から切り出される1以上のクリップからなる一連の映像を出力するためのプロジェクトファイルを取得する取得手段と、
取得された前記プロジェクトファイルに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成するメタデータ生成手段と
を含み、
前記メタデータには、前記クリップの切り出し元である映像素材の識別情報、および前記クリップに対するレンダリングの回数を示すレンダリング総数が少なくとも含まれている
情報処理装置。
【請求項2】
前記メタデータに基づき、指定された映像素材を元とする前記クリップを検索する検索手段と、
前記検索結果の前記クリップを提示する提示手段と
をさらに含む請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記メタデータには、さらに、前記切り出し元である映像素材からの前記クリップの切り出し区間を示すIN点およびOUT点が含まれ、
前記メタデータ生成手段は、
前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成するクリップと、既存の前記メタデータとで、切り出し元である映像素材の識別情報が一致し、且つ、前記IN点およびOUT点が略一致する場合、前記クリップに対応して前記既存のメタデータを更新する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記メタデータ生成手段は、取得された前記プロジェクトファイルのうち、生成または更新されてから所定時間が経過したものに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記メタデータには、さらに、前記クリップに関連するクリップの情報である関連クリップ情報が含まれ、
前記提示手段は、さらに、指定されたクリップに対応するメタデータの前記関連クリップ情報に基づき、前記指定されたクリップに関連するクリップを提示する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記メタデータには、さらに、前記クリップに対するエフェクト処理に関するエフェクト情報が含まれ、
前記提示手段は、さらに、指定されたクリップに対応するメタデータの前記エフェクト情報に基づき、前記指定されたクリップに対して実行されたエフェクト処理を提示する
請求項2または5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示手段は、さらに、指定されたクリップに対応するメタデータの前記エフェクト情報に基づき、前記指定されたクリップに対して実行されたエフェクト処理の名称とパラメータを提示する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置による、
映像素材から切り出される1以上のクリップからなる一連の映像を出力するためのプロジェクトファイルを取得する取得ステップと、
取得された前記プロジェクトファイルに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成するメタデータ生成ステップと
を含み、
前記メタデータには、前記クリップの切り出し元である映像素材の識別情報、および前記クリップに対するレンダリングの回数を示すレンダリング総数が少なくとも含まれている
情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
映像素材から切り出される1以上のクリップからなる一連の映像を出力するためのプロジェクトファイルを取得する取得手段と、
取得された前記プロジェクトファイルに基づき、前記プロジェクトファイルに対応する前記一連の映像を構成する各クリップに対応してメタデータを生成するメタデータ生成手段と
して機能させ、
前記メタデータには、前記クリップの切り出し元である映像素材の識別情報、および前記クリップに対するレンダリングの回数を示すレンダリング総数が少なくとも含まれている
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−49693(P2012−49693A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188346(P2010−188346)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】