説明

情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

【課題】タイムコードが採用された既存の放送関連機器や映像素材と同期して、リアルタイムレンダリングされるCGアニメーションを違和感なく進行させる。
【解決手段】ステップS1で再開が指示されたCGアニメーションの進行速度Sが取得され、ステップS2で、保持されているタイムコードT0が取得される。ステップS3では、取得したタイムコードT0のフレームの値FFに端数があるか判定され、ステップS4で、再開時の進行速度Sが所定の条件を満たすか否かを判定される。そして、タイムコードT0のフレームの値FFに端数があり、再開時の進行速度Sが所定の条件を満たす場合、ステップS5で、タイムコードT0の端数を切り捨てる調整が行われる。そして、ステップS6で、調整後のタイムコードT0がタイムライン時刻に変換される。本発明は、CGアニメーションを映像素材として用いる場合に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、CG(computer graphics)アニメーションをテレビジョン番組などの映像素材として用いる場合に用いて好適な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送の映像は、放送規格によってフレームレートが所定の値(例えば30フレーム/秒)に決定されている。よって、番組に用いる映像素材も同一のフレームレートを有しているものが多く、映像素材には、時間的位置を示す情報として、フレームを最小単位としたタイムコードが付与されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、これらの映像素材を編集する機器においても、映像素材の時間的位置や区間を指定する場合、タイムコードを用いている。
【0004】
タイムコードは、HH時MM分SS秒FFフレームを示すHH:MM:SS:FFと表記される。例えば、フレームレートが30フレーム/秒の場合、FFは0乃至29の整数となる。ただし、映像素材がインタレースの場合、ODDフィールドとEVENフィールドを区別するため、実質的にはFFの値が0.5刻みとなる。
【0005】
従来のCGアニメーションを映像素材とした場合についても同様であり、予め30フレーム/秒のフレームレートで制作されレンダリングされたCGによる動画像の各フレームに対してタイムコードHH:MM:SS:FFが付与されている。
【0006】
ところで、CGアニメーションを制作するコンピュータの処理速度の高速化により、放送素材として用いるCGアニメーションを予め制作しておくのではなく、放送素材として用いるときに画像にする(リアルタイムレンダリングを行う)ことが可能となった。
【0007】
さらに、可変速でも、例えば、1倍速よりも早い速度(例えば、1.5番速、2倍速、3倍速など)、または1倍速よりも遅い速度(例えば、1/2倍速、1/4倍速、1/10倍速など)でもリアルタイムレンダリングしてCGアニメーションの進行が可能となった。
【0008】
図1は、CGアニメーションのリアルタイムレンダリングについて説明するための図である。
【0009】
同図に示すように、開始時刻01:00:00:00、終了01:00:20:00の20秒間のCGアニメーションをリアルタイムレンダリングする場合、その20秒間のうちのキーフレーム点のフレームについてのみ、CG仮想空間の内容を記述するデータが用意されている。同図の場合、タイムコード01:00:00:00、01:00:09:00、01:00:20:00がキーフレーム点とされている。そして、キーフレーム点以外のフレームについては、キーフレームに基づいてデータが補間される。補間によるフレームのデータの作成では、CG仮想空間内のオブジェクトの移動だけでなく、拡大、縮小にも対応できる。
【0010】
図2は、CGアニメーションを様々な速度で進行させたときの2番目のフレームが表示されるタイミングを示している。このタイミングは、各フレーム間の表示間隔とみなすこともできる。
【0011】
2番目のフレームが表示されるタイミングは、フレームレートが30フレーム/秒で1倍速であれば、タイムコード01:00:00:01であり、これを秒の単位に整数以下の値を許容したタイムライン時刻で表せば、タイムライン時刻01:00:00.033となる(同図では分数で1/30と表記している)。2倍速であれば、タイムコード01:00:00:02であり、これをタイムライン時刻で表せば、タイムライン時刻01:00:00.067(同図では分数で2/30と表記している)となる。
【0012】
1/2倍速であれば、タイムコード01:00:00:0.5であり、これをタイムライン時刻で表せば、タイムライン時刻01:00:00.017となる(同図では分数で1/60と表記している)。1/4倍速であれば、タイムコード01:00:00:0.25であり、これをタイムライン時刻で表せば、タイムライン時刻01:00:00.008となる(同図では分数で1/120と表記している)。したがって、1/4倍速で進行させた場合、タイムコードのフレームの値は0.25刻みとなり、タイムライン時刻の値は1/120秒刻みとなることがわかる。
【0013】
つまり、1/4倍速であれば、2番目のフレームはタイムライン時刻01:00:00.008に対応した補間により生成され、3番目のフレームはタイムライン時刻01:00:00.017に対応した補間により生成されることになる。
【0014】
ただし、タイムコードはフレームレートに依存して変化してしまうので、CGアニメーションのデータ形式の1つにおいては、任意のフレームレートに対応できる汎用性を保持するために、最小単位の秒に整数以下の値を許容したタイムライン時刻が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平4−245088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、CGアニメーションをリアルタイムレンダリングする場合においてはタイムライン時刻が採用されているものの、これを放送素材として用いる場合、他の機器との同期を取るためにタイムコードが適用されるので以下のような不都合が生じ得る。
【0017】
例えば、放送映像の編集により、1/4倍速でCGアニメーションを進行させ、その途中で停止指示により停止した場合、制作時のタイムラインのタイムコードに端数(少数点以下の値の意)が生じた状態の出力画像で停止することが起こり得る。つまり、例えば、タイムコード01:00:11:16.75のようなフレームの値に端数が生じた位置で停止することが起こり得る。
【0018】
しかしながら、タイムコードではフレームの値として整数のみ(インタレースの場合には、0.5までが可)を扱うことができるので、例えば上記の停止した状態はタイムコード01:00:11:16として保持されてしまう。したがって、CGアニメーションの進行を再開した場合、その映像は停止時から逆行したタイムコード01:00:11:16から再開されてしまうので、不自然で違和感を与えるものになってしまう。
【0019】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、タイムコードが採用された既存の放送関連機器や映像素材と同期して、リアルタイムレンダリングされるCGアニメーションを違和感なく可変速進行できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一側面である情報処理装置は、映像を編集する情報処理装置において、CGアニメーションの時間的位置を示すパラメータとして、最小単位の秒の値に端数が許容されているタイムライン時刻を用い、前記CGアニメーションのリアルタイムレンダリングを行うCG画像生成手段と、前記CGアニメーションの進行を指示するユーザの操作を入力する操作入力手段と、入力された前記ユーザの操作に対応して、前記CG画像生成手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止されたとき、停止された時間的位置を示すパラメータとして、最小単位のフレームの値FFに端数が許容されているタイムコードHH:MM:SS:FFを保持する保持手段と、保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換して前記CG画像生成手段に通知する変換手段とを含む。
【0021】
前記制御手段は、保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFのフレームの値FFに生じている端数を除去する調整を行う調整手段をさらに含むことができ、前記変換手段は、調整後の前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換することができる。
【0022】
前記調整手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止された後に再開される場合、再開後の進行速度が所定の条件を満たすときのみ、前記調整を行うことができる。
【0023】
前記調整手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止された後に再開される場合、再開後の進行速度が停止前の進行速度を同じときには前記調整を行わないことができる。
【0024】
前記制御手段は、さらに、入力された前記ユーザの操作に対応して、時間的位置示すパラメータとして前記タイムコードを用いる映像出力手段も制御することができ、前記調整手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行と、前記映像出力手段から出力される映像素材を同期させるときのみ、前記調整を行うことができる。
【0025】
本発明の一側面である情報処理方法は、CGアニメーションの時間的位置を示すパラメータとして、最小単位の秒の値に端数が許容されているタイムライン時刻を用い、前記CGアニメーションのリアルタイムレンダリングを行うCG画像生成手段を備える情報処理装置の情報処理方法において、前記CGアニメーションの進行を指示するユーザの操作を入力する操作入力ステップと、入力された前記ユーザの操作に対応して、前記CG画像生成手段を制御する制御ステップとを含み、前記制御ステップは、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止されたとき、停止された時間的位置を示すパラメータとして、最小単位のフレームの値FFに端数が許容されているタイムコードHH:MM:SS:FFを保持し、保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換して前記CG画像生成手段に通知する。
【0026】
本発明の一側面であるプログラムは、コンピュータを、CGアニメーションの時間的位置を示すパラメータとして、最小単位の秒の値に端数が許容されているタイムライン時刻を用い、前記CGアニメーションのリアルタイムレンダリングを行うCG画像生成手段と、前記CGアニメーションの進行を指示するユーザの操作を入力する操作入力手段と、入力された前記ユーザの操作に対応して、前記CG画像生成手段を制御する制御手段として機能させ、前記制御手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止されたとき、停止された時間的位置を示すパラメータとして、最小単位のフレームの値FFに端数が許容されているタイムコードHH:MM:SS:FFを保持する保持手段と、
保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換して前記CG画像生成手段に通知する変換手段として動作させる。
【0027】
本発明の一側面においては、リアルタイムレンダリングされているCGアニメーションの進行が停止されたとき、停止された時間的位置を示すパラメータとして、タイムコードHH:MM:SS:FFが保持され、保持されたタイムコードHH:MM:SS:FFがタイムライン時刻に変換されてCG画像生成手段に通知される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一側面によれば、タイムコードが採用された既存の放送関連機器や映像素材と同期して、リアルタイムレンダリングされるCGアニメーションを違和感なく可変速進行させることができる。これにより、操作性が向上し、放送等に使う画像の付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】CGアニメーションのリアルタイムレンダリングを説明する図である。
【図2】CGアニメーションを可変速で進行させた場合のタイムコードとタイムライン時刻の関係を示す図である。
【図3】本発明を適用した映像編集装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3の画像生成部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図5】操作入力部におけるユーザインタフェースの構成例を示す図である。
【図6】画像生成部による制御処理を説明するフローチャートである。
【図7】汎用コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
<1.実施の形態>
[映像編集装置の構成例]
図3は、実施の形態である映像編集装置の構成例を示すブロック図である。
【0032】
この映像編集装置10は、例えば、テレビジョン番組の映像を編集する編集者などによって操作されるものである。
【0033】
映像編集装置10は、CG画像生成部11、VTR(video tape recorder)12、ビデオサーバ13、マトリクススイッチ14、画像合成部15、および操作入力部16から構成される。映像編集装置10の各構成要素には、動作の位相を揃えるために、共通の同期信号が供給されている。映像編集装置10の全体としては、映像素材の時間的位置を示すパラメータとしてタイムコードHH:MM:SS:FFを用いている。ただし、CG画像生成部11に対する制御にのみ、時間的位置を示すパラメータとしてタイムライン時刻を用いる。
【0034】
CG画像生成部11は、操作入力部16からのタイムライン時刻等をパラメータとして用いた制御等に従い、CGアニメーションを可変速で進行させてリアルタイムレンダリングし、その結果得られる映像をマトリクススイッチ14に出力する。
【0035】
VTR12は、操作入力部16からのタイムコードをパラメータとして用いた制御に従い、記録媒体としてのビデオテープに記録されている映像素材をマトリクススイッチ14に出力する。ビデオサーバ13は、操作入力部16からのタイムコードをパラメータとして用いた制御に従い、ハードディスクなどの記録媒体に符号化されて記録されている映像素材を復号してマトリクススイッチ14に出力する。なお、CG画像生成部11、VTR12、およびビデオサーバ13以外にも、マトリクススイッチ14に対して映像素材を出力する機器があってもよい。
【0036】
マトリクススイッチ14は、編集者から入力される選択操作に従い、CG画像生成部11、VTR12、ビデオサーバ13などから入力された複数の映像素材のうちのいくつかを選択して画像合成部15に出力する。
【0037】
操作入力部16は、入力された編集者の映像素材に対する再生などの操作に従い、CG画像生成部11、VTR12、およびビデオサーバ13を制御して映像素材をマトリクススイッチ14に出力させる。画像合成部15は、操作入力部16を用いて入力された編集者の編集操作に従い、マトリクススイッチ14から入力された映像素材を合成加工して後段に出力する。
【0038】
図4は、操作入力部16の内部の構成要素のうち、CG画像生成部11の制御に関わるものを示している。
【0039】
タイムコード保持部21は、CG画像生成部11において進行させているCGアニメーションの時間的位置を示すパラメータを、VTR12およびビデオサーバ13などに対しても適用しているタイムコードにより保持する。ただし、ここで保持されるタイムコードは、そのフレーム値FFに端数が許容されている(一定桁数の小数部を保持する手段を備えた)ものとする。
【0040】
タイムコード調整部22は、保持されているタイムコードをその再生速度に応じ、フレーム値に生じた端数を切り捨てることによりタイムコードの調整を行う。
【0041】
タイムコード/タイムライン時刻変換部23は、調整されたタイムコード(調整が不要なために調整されていない場合もある)を、フレームレートに基づいてタイムライン時刻に変換する。そして、変換されたライムライン時刻がCG画像生成部11に対する制御に用いられる。フレームレートの初期値は30フレーム/秒とするが運用に応じて変更可能である。
【0042】
図3に戻る。操作入力部16は、CG画像生成部11におけるCGアニメーションの進行、VTR12およびビデオサーバ13における映像素材の再生を制御するためのユーザインタフェースであり、映像素材の時間的位置示すパラメータにタイムコードを用いる。操作入力部16は、後述する処理を行う制御手段を内蔵しており、当該ユーザインタフェースに対する編集者の操作に対応する制御信号を各部に出力する。
【0043】
図5は、操作入力部16のユーザインタフェースの一例を示している。当該ユーザインタフェースは、表示部31、プログラムボタンブロック32、編集ボタンブロック33、およびジョグシャトルダイアル34などを備える。
【0044】
表示部31は、制御対象としている映像素材の現在の時間的位置(CURRENT)、開始位置(START TC)、および終了位置(STOP TC)をタイムコードHH:MM:SS:FFにより表示する。映像素材の開始位置は、通常、01:00:00:00とするが00:00:00:00とすることもできる。
【0045】
プログラムボタンブロック32は、制御対象とする機器(CG画像生成部11、VTR12、またはビデオサーバ13)を選択したり、さらに制御対象とした機器において制御対象とする映像素材を選択したりする複数のボタンから成る。
【0046】
編集ボタンブロック33は、制御対象とされた映像素材に対する各種の操作(CUE、REW、PLAY、FF、ALL STOP、RECなど)を入力するための複数のボタンから成る。
【0047】
ジョグシャトルダイアル34は、映像素材に対する再生(CGアニメーションの場合は進行)させているときにはその速度を変更する際に操作される。例えば、右回転させることにより増速させ、左回転させることにより減速させることができる。
【0048】
なお、ジョグシャトルダイアル34にて、再生速度を任意の実数値に設定できる(任意の実数値で送信できる)ようにしてもよいが、その値が浮動小数点を含む値である場合、内部的な処理により誤差が生じ、長時間再生した結果が、編集者(操作者)の意図とずれることが生じ得る。そこで、ジョグシャトルダイアル34にて設定可能な値を誤差が生じない値に制限するようにしてもよい。具体的には、小数点以下の値を、2のべき乗の逆数の和に制限すればよく、例えば、1/(2exp(-5))=0.0625の倍数に限定すればよい。
【0049】
上述したように、操作入力部16では、映像素材の時間的位置示すパラメータにタイムコードを用いるが、CGアニメーションを映像素材としたときのために、時間的位置示すパラメータにタイムコード時刻を用いたユーザインタフェースも設けるようにしてもよい。
[動作説明]
次に、映像編集装置10におけるCG画像生成部11に対する制御について説明する。
【0050】
操作入力部16からの制御に従い、CG画像生成部11にて進行されているCGアニメーションが停止された場合、その停止位置を示すタイムコード(フレームの値FFに端数が許容されている)がタイムコード保持部21に保持される。
【0051】
したがって、1倍速よりも遅い速度でCGアニメーションが進行されていた(以下、スロー進行を称する)ときに停止されると、タイムコード保持部21のタイムコードのフレームの値FFに端数が生じ得る。
【0052】
第1のパターン
そのようなスロー進行から停止した後に停止前と同じ速度でCGアニメーションの進行を再開させる場合、タイムコード保持部21に保持されているタイムコードを調整することなく、そのままタイムライン時刻に変換してCG画像生成部11に通知して進行を再開させる。
【0053】
第2のパターン
スロー進行から停止した後に、停止前と異なり、1倍速でCGアニメーションの進行を再開させる場合、タイムコード保持部21に保持されているタイムコード(例えば、01:00:10:07.3)のフレームの値FFの端数を切り捨てる調整を行い、調整後のタイムコード(例えば、01:00:10:07)をタイムライン時刻に変換してCG画像生成部11に通知して進行を再開させる。このような調整を行うことにより、進行が再開されたCGアニメーションはタイムコード01:00:10:08のフレームから出力されることになる。したがって、出力されるフレームと、操作入力部16の表示部31に表示されるタイムコードとを完全に一致させることができる。また、フレームの値に端数が無いタイムコードを用いるVTR12およびビデオサーバ13の映像素材の再生とCGアニメーションとの進行を完全に同期させることができる。すなわち、VTR12などの素材では、フレームの値FFが01:00:10:07.3のような端数を持つ状態はなく、画像としては01:00:10:07フレームを複数回出力しているだけであるので、その途中で停止されても、01:00:10:07フレームの画像のままであるから、次に進行を再開して01:00:10:08のフレームから出力することで元々問題ない。このため、CG画像生成部と画のずれを起こさず、操作者が意図した画の同期を維持できる。
【0054】
第3のパターン
スロー進行から停止した後に、停止前と異なり、−1倍速でCGアニメーションの進行を再開させる(すなわち、逆方向に進行させる)場合にも、タイムコード保持部21に保持されているタイムコード(例えば、01:00:10:07.3)のフレームの値FFの端数を切り捨てる調整を行い、調整後のタイムコード(01:00:10:07)をタイムライン時刻に変換してCG画像生成部11に通知して進行を再開させる。このような調整を行うことにより、再開されたCGアニメーションはタイムコード01:00:10:06のフレームから出力されることになる。またVTRなどの機器との画の同期も維持できる。
【0055】
ただし、−1倍速で再開させる場合には、フレームの値FFの端数を切り上げる調整を行ってもよい。この場合、調整後のタイムコードは01:00:10:08となるので、再開されたCGアニメーションはタイムコード01:00:10:07のフレームから出力されることになるので、このような調整でも映像が停止前に遡ってから進行される逆行が生じ無い。
【0056】
第4のパターン
また、スロー進行から停止した後に、絶対値が1以上の速度でCGアニメーションの進行を再開させる場合(逆方向の進行も含む)にも、速度が速い故に見た目の違和感を与えることが無いので、タイムコード保持部21に保持されているタイムコード(例えば、01:00:10:07.3)のフレームの値FFの端数を切り捨てる調整を行い、調整後のタイムコード(例えば、01:00:10:07)をタイムライン時刻に変換してCG画像生成部11に通知して進行を再開させてもよい。ただし、逆方向の進行の場合には、フレームの値FFの端数を切り上げる調整を行ってもよい。
【0057】
これにより、進行の速度が例えば、2.1倍速などの値であっても、再開時のタイムコードのフレームの値が整数であれば、数フレーム目(2.1の場合、10フレーム目)にはタイムコードが再び整数となり、VTR12などの映像素材の再生と画を同期させる上で好都合となる。
【0058】
第5のパターン
なお、スロー進行から停止した後にCGアニメーションの進行を再開させる速度の絶対値が所定の閾値以上である場合にのみ、タイムコード保持部21に保持されているタイムコードのフレームの値FFの端数を切り捨てる調整を行うようにしてもよい。
【0059】
CG画像生成部11に対してキューアップ動作(進行位置を指定したタイムコードまで瞬時に移動させる動作)を実行させる場合には、タイムコード保持部21に保持されているタイムコードのフレームの値FFに端数があるか否かに拘わらず、移動先のタイムコードをフレームの値FFに端数がないタイムコードを移動先に指定し、その値をタイムライン時刻に変換してCG画像生成部11に通知するようにする。この結果、フレームの値FFに端数がある状態で停止しているときに、端数を除いたタイムコードに対してキューアップ動作を指示すると、端数のない状態まで、タイムライン上で移動されることになる。
【0060】
図6は、第1乃至5のパターンの動作をまとめた処理、すなわち、操作入力部16によるCG画像生成部11を制御する処理(以下、単に制御処理と称する)を説明するフローチャートである。
【0061】
この制御処理は、CGアニメーションの進行が停止された後、その再開が指示されたときに開始される。
【0062】
なお、この制御処理以前にCGアニメーションの進行が停止されたとき、図4のタイムコード調整部22は、それまでの進行速度S0を記憶しているものとする。また、図4のタイムコード保持部21は、停止されたCGアニメーションの時間的な位置を示す情報として、フレームの値FFに端数が許容されたタイムコードT0を保持しているものとする。
【0063】
ステップS1において、タイムコード調整部22は、再開が指示されたCGアニメーションの進行速度S、すなわち、操作入力部16のジョグシャトルダイアル34を用いて編集者が指示した値を取得する。ステップS2において、タイムコード調整部22は、タイムコード保持部21に保持されているタイムコードT0を取得する。
【0064】
ステップS3において、タイムコード調整部22は、取得したタイムコードT0のフレームの値FFに端数があるか否かを判定し、端数があると判定した場合、処理をステップS4に進める。反対に、取得したタイムコードT0のフレームの値FFに端数が無いと判定した場合、タイムコードT0をタイムコード/タイムライン時刻変換部23に通知して、処理をステップS6に進める。
【0065】
ステップS4において、タイムコード調整部22は、ステップS1で取得した再開時の進行速度Sが所定の条件を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて処理をステップS5に進めるか、または、ステップS5を省略してステップS6に進める。
【0066】
具体的には、進行速度Sが進行速度S0と同じである場合(パターン1)、フレームの値FFに端数が生じているタイムコードT0をタイムコード/タイムライン時刻変換部23に通知して、処理をステップS6に進める。進行速度Sの絶対値が1以上である場合(パターン2乃至4)、処理をステップS5に進める。なお、進行速度Sの絶対値が所定の閾値以上であ場合(パターン5)にのみ、処理をステップS5に進めるようにしてもよい。
【0067】
ステップS5において、タイムコード調整部22は、ステップS2で取得した、フレームの値FFに端数が生じているタイムコードT0の当該端数を切り捨てる調整を行って調整後のタイムコードT0をタイムコード/タイムライン時刻変換部23に通知する。
【0068】
ステップS6において、タイムコード/タイムライン時刻変換部23は、タイムコード調整部22から通知されたタイムコードT0をタイムライン時刻に変換し、進行再開後の各フレームに対応するタイムライン時刻を順次算出してCG画像生成部11に通知する。
【0069】
例えば、CGアニメーションの停止時のタイムコードT0が01:00:00:05.75であり、それまでの進行速度S0が1/4番速であって、再開後の進行速度が2倍速である場合、処理はステップS5に進められて、タイムコードT0が01:00:00:05に調整される。
【0070】
そして、タイムコードT0=01:00:00:05がタイムライン時刻01:00:(5×1/30)に変換される。さらに、2倍速での進行再開後は、タイムコード01:00:00:07のフレーム、次にタイムコード01:00:00:09のフレーム、その次に01:00:00:11のフレームがレンダリングされるように、出力する各フレームに対して、これらのタイムコードに対する様なタイムライン時刻が算出される。
【0071】
具体的には、タイムコード01:00:00:07を得るにはタイムライン時刻が01:00:((5×1/30)+(2×1×1/30))のように算出される。次に、タイムコード01:00:00:09を得るにはタイムライン時刻が01:00:((5×1/30)+(2×2×1/30))のように算出される。さらに、次に、タイムコード01:00:00:11を得るにはタイムライン時刻が01:00:((5×1/30)+(2×3×1/30))のように算出される。このように、進行中の各時刻においてタイムライン時刻を加算ではなく乗算により算出することにより、端数の累積誤差を抑止することができる。
【0072】
なお、上述したステップS3の処理そのものを省略するようにしてもよい。すなわち、ステップS2の後、処理をステップS4に進めるようにしてもよい。この場合、ステップS5において、タイムコードT0のフレームの値FFに端数が生じていなければ、実質的には当該端数を切り捨てる調整が行われないからである。
【0073】
以上で、操作入力部16による制御処理の説明を終了する。なお、制御処理を、VTR12やビデオサーバ13からの映像素材とCGアニメーションを同期させるときのみ実行するようにしてもよい。すなわち、操作入力部16からはCG画像生成部11とVTR12とビデオサーバ13とに、同時に同じ様な指示(制御信号)を送信することができ、同期した画の進行、停止を行うことができる。
【0074】
また、VTR12やビデオサーバ13からの映像素材とCGアニメーションを同期させるときには、進行速度Sが進行速度S0と同じであっても、タイムコードT0を調整するようにしてもよい。CG画像生成部11以外は、停止した際にもフレームの値FF(フレーム番号)に端数は、ないため、常にそれに揃えた方がよいためである。
【0075】
なお、上述した端数を切り捨てる説明は、映像がプログレッシブであることを想定したのであり、映像がインタレースの場合、端数を0.5単位で切り捨てるようにすればよい。
【0076】
上記の実施の形態では、タイムコードまたはタイムライン時刻のフレーム単位以下の小数部(端数)を保持し管理するのが、その他の機器との共通の制御部分である操作入力部16としていたが、この端数の管理を例えばCG画像生成部11内部で行う構成としてもよい。この場合、端数の処理についてどういう基準で処理するかの設定値をCG画像生成部11内部に保持させる様にし、操作入力部16からそれらを設定するようにできる。
【0077】
この場合、操作入力部16からは常に端数のないタイムコードを使って、CG画像生成部11とVTR12とビデオサーバ13とを制御する。CG画像生成部11は、操作入力部16に対しては、端数のないタイムコードを使って通信し、VTR12等と同様の機能のように見せることができる。
【0078】
本発明の特徴である、所定の場合に端数を切り捨てる処理をCG画像生成部11で行う場合でも、操作入力部16からVTR12などとCG画像生成部11に対して、同時に再生(進行)、停止の指示を出すことを繰り返した場合に、機器のタイムコードの進行がずれることなく、同期を維持してシステムを制御できる。
【0079】
例えば、VTR12のタイムコードが01:30:00:00で、CG画像生成部11のタイムコードが02:10:20:00である状態から、0.125の速度で進行を、操作入力部16から指示したとする。そして、31秒後に停止を指示すると、31×0.125×30=116.25フレームだけ進行するので、VTR12の内部のタイムコードは01:30:03:26で停止し、CG画像生成部11の内部のタイムコードは02:10:23:26.25で停止する。つぎに例えば速度での進行を指示された際に、もし端数の処理を行わないとVTR12とCG画像生成部11とでは、内部のタイムコードに0.25の差が生じたまま進行する。この停止と再侵攻を繰り返していくと、差が累積し、端数を除いたフレーム単位でも、VTR12とCG画像生成部11とで進行に差が出てしまう。この結果、同じ長さ(尺)の素材であっても、VTR12とCG画像生成部11とで素材の終了に差が生じたり、あるいは画像合成部15でそれらの画を重畳させる際に動きを合わせる意図の場合に、次第にずれが生じてしまう。本発明は、このような差・ずれを防止するものである。
【0080】
なお、CG画像生成部11に関して、端数として保持されるタイムライン時刻は、タイムコード形式ではなく、秒のみの形式でもよい。コンピュータ内部での時刻のデータ形式に関係なく、端数(小数部)を管理することで、本発明の効果を発揮できる。指示されるスローなど端数を持つ再生速度に応じて小数部を十分な桁数用意することで、本発明の特徴を実現できる。
【0081】
本発明を適用可能なシステムとしては、放送する映像の選択、合成、加工などを行うスタジオ副調整室で制御する機器(スタジオ回路)の他、映像の編集を行う編集システムや、スポーツ競技等の現場で中継映像を作成する中継車に搭載するシステムなどがあり、いずれにおいても、タイムコードで制御される機器とCG装置との連携に効果がある。
【0082】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0083】
図7は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0084】
このコンピュータ100において、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0085】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0086】
以上のように構成されるコンピュータ100では、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105およびバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0087】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0088】
また、プログラムは、1台のコンピュータにより処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
【0089】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0090】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【符号の説明】
【0091】
10 映像編集装置, 11 CG画像生成部, 12 VTR, 13 ビデオサーバ, 14 マトリクススイッチ, 15 画像生成部, 16 操作入力部, 21 タイムコード保持部, 22 タイムコード調整部, 23 タイムコード/タイムライン時刻変換部,31 表示部, 34 ジョグシャトルダイアル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を編集する情報処理装置において、
CGアニメーションの時間的位置示すパラメータとして、最小単位である秒の値に端数が許容されているタイムライン時刻を用い、前記CGアニメーションのリアルタイムレンダリングを行うCG画像生成手段と、
前記CGアニメーションの進行を指示するユーザの操作を入力する操作入力手段と、
入力された前記ユーザの操作に対応して、前記CG画像生成手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止されたとき、停止された時間的位置を示すパラメータとして、最小単位のフレームの値FFに端数が許容されているタイムコードHH:MM:SS:FFを保持する保持手段と、
保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換して前記CG画像生成手段に通知する変換手段と
を含む
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFのフレームの値FFに生じている端数を除去する調整を行う調整手段を
さらに含み、
前記変換手段は、調整後の前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記調整手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止された後に再開される場合、再開後の進行速度が所定の条件を満たすときのみ、前記調整を行う
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記調整手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止された後に再開される場合、再開後の進行速度が停止前の進行速度を同じときには前記調整を行わない
請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、さらに、入力された前記ユーザの操作に対応して、時間的位置示すパラメータとして前記タイムコードを用いる映像出力手段も制御し、
前記調整手段は、リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行と、前記映像出力手段から出力される映像素材を同期させるときのみ、前記調整を行う
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
CGアニメーションの時間的位置示すパラメータとして、最小単位の秒の値に端数が許容されているタイムライン時刻を用い、前記CGアニメーションのリアルタイムレンダリングを行うCG画像生成手段を備える情報処理装置の情報処理方法において、
前記CGアニメーションの進行を指示するユーザの操作を入力する操作入力ステップと、
入力された前記ユーザの操作に対応して、前記CG画像生成手段を制御する制御ステップと
を含み、
前記制御ステップは、
リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止されたとき、停止された時間的位置を示すパラメータとして、最小単位のフレームの値FFに端数が許容されているタイムコードHH:MM:SS:FFを保持し、
保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換して前記CG画像生成手段に通知する
情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
CGアニメーションの時間的位置示すパラメータとして、最小単位の秒の値に端数が許容されているタイムライン時刻を用い、前記CGアニメーションのリアルタイムレンダリングを行うCG画像生成手段と、
前記CGアニメーションの進行を指示するユーザの操作を入力する操作入力手段と、
入力された前記ユーザの操作に対応して、前記CG画像生成手段を制御する制御手段と
して機能させ、
前記制御手段は、
リアルタイムレンダリングされている前記CGアニメーションの進行が停止されたとき、停止された時間的位置を示すパラメータとして、最小単位のフレームの値FFに端数が許容されているタイムコードHH:MM:SS:FFを保持する保持手段と、
保持された前記タイムコードHH:MM:SS:FFを前記タイムライン時刻に変換して前記CG画像生成手段に通知する変換手段と
を含む
プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate