説明

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

【課題】複数のポートレットから情報を検索して印刷を行う場合、ポートレットごとにユーザが検索キーワードを指定する必要があり、ポートレットの数が増えると手間がかかる。そこでユーザが1つの検索語を入力するだけで関連する文書をまとめて印刷できるようにし、操作上の負担を軽減する。
【解決手段】ポータルサーバ1001は、ポートレットサーバ群1002を管理するポータルシステムを構成する。本システムでは、ポートレットの1つを主ポートレットとして定義し、ポートレットごとに検索語の形式を定義する。ポータルサーバ1001は、指定された1つの検索語で主ポートレットを検索し、その検索結果から他のポートレット用の検索語の形式に則って関連情報を抽出する。抽出した検索語形式で各ポートレットを検索した検索結果は1つの文書としてレイアウトされ、印刷データが作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は関連情報を1つにまとめて印刷データを作成可能な情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェブ(Web)技術の向上やメンテナンスの容易性からソフトウェアのWebシフトが加速しており、ネットワークに接続可能なコンピュータからソウトウェア資源を利用することができる。その中でユーザが必要な機能だけを登録可能なポータルシステムが、広く普及している。ポータルシステムでは、ポータルと呼ばれるシステムフレームワークの中に、それぞれ機能的に独立したポートレットと呼ばれる着脱可能なユーザインターフェースコンポーネントを関連付ける。それによってユーザは各ポートレットに個別にアクセスせずとも、ポータルシステムにアクセスすれば、全ての関連付けられたポートレットへ簡単にアクセスでき、ポートレットを使用することができる。
【0003】
しかし各ポートレットは独立したコンポーネントであり、各ポートレットの実データはそれぞれのポートレットサーバに分散して保存されている。このため、あるトピックに関連した情報を複数のポートレットからまとめて印刷することができないという問題があった。例えば「メール」、「文書管理」、「地図」のポートレットからなる業務ポータルシステムにおいて、ユーザは、ある出張に関する「日程表のメール」、「出張先での説明資料」、「宿泊先の地図」を印刷したいものとする。この場合、各ポートレットにアクセスしてそれぞれの印刷をユーザが指示する必要があった。
【0004】
そこで従来技術には、ユーザが各情報の検索先ごとに異なる検索用キーワードを設定して検索の実行をシステムに指示し、各検索結果を1つの文書としてレイアウト及び印刷を行えるものがある(特許文献1参照)。これによれば、複数の文書を1つの文書にまとめる手間を省き、操作性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−202991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術においては、ユーザ操作によって検索先ごとに検索用キーワードを設定しなければならないという課題があった。つまり、ユーザが検索先ごとに最適なキーワードを指定しなければならないので、検索先の数が増加するとユーザの操作上の負担も増加するという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、ユーザの操作上の負担を増加させることなく、容易にユーザが所望とする印刷物が得られる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る装置は、複数のアプリケーションをそれぞれポートレットとしてサーバ上で管理し、指定された検索語に関連する文書の印刷データを作成する情報処理装置であって、複数のポートレットのうちの1つを主ポートレットとして定義する定義手段と、前記検索語で前記主ポートレットを検索し、主ポートレットの検索結果に基づいて前記主ポートレット以外のポートレットを検索する検索手段と、前記検索手段によって得られた前記主ポートレットの検索結果と前記主ポートレット以外のポートレットの検索結果に基づいて印刷データを作成する作成手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザは検索先のポートレットごとに検索語を設定しなくても、複数の文書をまとめて印刷することができ、操作上の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成例を示す図である。
【図2】ポータルサーバの構成例を示す図である。
【図3】ポートレットサーバの構成例を示す図である。
【図4】図5乃至11と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、ポータルシステムと印刷ポートレットに係る画面構成例を示す図である。
【図5】メールポートレット、地図ポートレット、文書管理ポートレットの画面構成例を示す図である。
【図6】主ポートレットの定義情報例と検索結果例を示す図である。
【図7】主ポートレットの検索結果解析処理の流れを例示したフローチャートである。
【図8】ポートレットの検索処理の流れを例示したフローチャートである。
【図9】検索語形式の定義情報と検索キーワード情報を例示した図である。
【図10】ポートレットの検索結果情報を例示した図である。
【図11】印刷データの一例を示す図である。
【図12】図12と併せて本発明の第2実施形態を説明するために、印刷データと切り替え指示ボタンを例示した図である。
【図13】検索結果の切り替え処理の流れを例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。なお本明細書において、ポータルサーバとは企業内などで分散している様々なアプリケーションを効率的に利用するために、1つのWebシステム上に各アプリケーションをポートレットとして集約表示するシステムのサーバのことである。またポートレットとは、ポータルサーバ上で管理及び表示される着脱可能なユーザインタフェース(以下、UIと略記する)コンポーネントである。
【0011】
本実施形態に係る情報処理システムは、指定された検索語から各ポートレットの情報を検索して、関連情報をまとめて印刷可能なポータルシステムである。例えば、本システムでは1つのキーワードに基づき、これに関連する情報を各ポートレットから取得し、得られた複数の情報を1つにまとめて印刷するための印刷データを作成する。このポータルシステムに登録されている複数のポートレットについては、各ポートレットを検索する際の検索語の形式が規定されている。また登録されているポートレットのうちの1つは、「主ポートレット」として定義されている。ユーザ操作によって検索語(以下、キーワードともいう)が入力されると、ポータルサーバ(図1の1001参照)は、主ポートレットの対応アプリケーションを備えるポートレットサーバに対し、入力された検索語で検索を行う。そしてポータルサーバ1001は検索結果としてポートレットサーバから得られた情報を解析し、主ポートレット以外のその他の各ポートレット用の検索語形式として定義されている形式の語が主ポートレットの検索結果に含まれていないかを確認する。特定の形式の語が主ポートレットの検索結果に含まれる場合、その語を使って対応するポートレットサーバに検索処理を実行させる。ポータルサーバ1001は検索結果として各ポートレットから得られた情報と、最初に主ポートレットの検索で得られた情報とに基づいて印刷データを作成する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係るシステム構成例を示した図であり、ポータルシステムは、ポータルサーバ1001、ポートレットサーバ群1002、クライアントコンピュータ1003、画像形成装置1004によって構成される。
ポータルシステムのサービスを提供するポータルサーバ1001はネットワークを通じてポートレットサーバ群1002とクライアントコンピュータ1003に接続されている。ポートレットサーバ群1002はアプリケーション機能を提供し、アプリケーションデータを保存するストレージを備えている。例えば、後述するメール機能を提供するアプリケーションや地図情報を提供するアプリケーションなど、ポートレットサーバ群のいずれかに格納されている。クライアントコンピュータ1003は、ユーザがポータルシステムへアクセスするために使用する。画像形成装置1004はクライアントコンピュータ1003に接続されており、印刷データを受け取って印刷を行う。サーバ、コンピュータ、画像形成装置は、それぞれCPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、ROM(読出し専用メモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の記憶手段から構成される。なお、以下に説明する処理はポータルサーバ1001、ポートレットサーバ群1002を構成するコンピュータ、クライアントコンピュータ1003、あるいは画像形成装置1004に記憶されたプログラムをCPUが解釈して実行することで実現される。
【0013】
図2はポータルサーバ1001のシステム構成例2000を示すブロック図である。
通信制御部2001は、ポータル制御部2002の指示に従いネットワークを通じてポートレットサーバ群1002、クライアントコンピュータ1003と情報のやり取りを行う。
ポータル制御部2002は、通信制御部2001、検索制御部2003、ポートレット情報制御部2005、印刷データ制御部2007を制御し、ポータルサーバ内の処理を制御する。ポータル制御部2002は、クライアントコンピュータ1003でのユーザ操作によって指定された検索語を用いた主ポートレットの検索と、検索語形式に則った各ポートレットの検索を制御する。つまりポータル制御部2002は、ユーザにより指定された検索語を、主ポートレットに対応するアプリケーションを備えたポートレットサーバに送信し、ポートレットサーバから検索語に対応する情報を検索結果として取得する。そして主ポートレットの検索結果から、各ポートレットについて定義された形式に従った検索語を抽出して主ポートレット以外のその他の各ポートレットの検索処理を行う。処理の詳細については後述する。
検索制御部2003は、ポータル制御部2002の指示に従い検索制御データベース2004との間で情報のやり取りを行い、検索語の抽出や検索対象ポートレットの判別、ポートレットサーバからの検索結果の解析といった、検索処理の制御を行う。検索制御データベース2004は、各ポートレット用の検索語形式や主ポートレットの定義など、検索に関する情報を格納し、検索制御部2003の指示に従い情報の格納及び提供を行う。つまり、検索制御データベース2004にて、複数のポートレットのうちの1つが主ポートレットとして定義され、ポートレットごとに検索語形式が定義される。
【0014】
ポートレット情報制御部2005は、ポータル制御部2002の指示に従い、ポートレット情報データベース2006との間で情報のやり取りを行い、ポートレットの取得や追加、削除など、ポートレット情報の制御を行う。ポートレット情報データベース2006は、登録済みポートレットの一覧など、ポートレットに関する情報を格納し、ポートレット情報制御部2005の指示に従い情報の格納及び提供を行う。
印刷データ制御部2007はポータル制御部2002の指示に従い、印刷レイアウトやデータ作成など、印刷データの制御を行う。すなわち印刷データ制御部2007は各ポートレットの検索結果を合成して印刷データを作成し、通信制御部2001からネットワークを通して印刷データをクライアントコンピュータ1003に送る。
【0015】
図3はアプリケーション機能を提供するポートレットサーバ群1002のシステム構成例3000を示すブロック図である。
通信制御部3001は、ポートレット制御部3002の指示に従いネットワークを通じてポータルサーバ1001と情報のやり取りを行う。ポートレット制御部3002は、通信制御部3001、UI制御部3003、検索制御部3004を制御し、ポートレットサーバの処理を制御する。
UI制御部3003は、ポートレット制御部3002の指示に従いUI画面データの生成など、UI制御を行う。検索制御部3004は、ポートレット制御部3002の指示に従いポートレット内の文書情報の検索機能を提供する。つまり、ユーザにより指定された検索語をポータルサーバ1001から受信した場合、ポートレットサーバの検索制御部3004がその検索語に対応する情報を検索する。文書情報データベース3005は、検索制御部3004の指示に従い文書情報の格納及び提供を行う。
【0016】
次に、本実施形態に係るポータルシステムの構成を説明する。まず図4を用いて、ポータルシステムの概要を説明する。図4(A)のメイン画面4000はポータルシステムのメイン画面の一例を示しており、これはクライアントコンピュータ1003からポータルサーバ1001にアクセスした場合に表示されるUI画面である。ポータルサーバ1001で生成されたデータはクライアントコンピュータ1003に送られて、その表示部に画像が表示される。ユーザは表示画面を見ながら、メールの閲覧や送信、文書の管理などの各種ポートレット操作、キーワードによる印刷指示を行うことができる。
【0017】
ポータルシステムのメイン画面4000は複数のポートレットをそれぞれ示す表示領域から構成され、本例では表示領域4001乃至4004を示す。表示領域4001乃至4003はアプリケーションポートレットを表している。本例では表示領域4001がメールポートレットを表し、表示領域4002が地図ポートレットを表し、表示領域4003が文書管理ポートレットを表している。これらのポートレットはポートレットサーバ群1002上で動作するソフトウェアであり、メールの表示、地図の表示、文書管理といった機能が提供される。表示領域4004は印刷ポートレットを表しており、ポータルサーバ1001上で動作するソフトウェアである。これは、入力されたキーワードに基づいて、印刷すべき情報を収集してレイアウト作成機能などを提供する。図4(B)の表示画面5000は印刷ポートレットの画面例を示しており、ユーザがまとめて印刷を行いたいキーワードを入力するテキスト入力フィールド5001と、印刷処理の実行を指示するための指示ボタン5002を含む。
【0018】
図5は、アプリケーションポートレットの一例としてメールポートレット、地図ポートレット、文書管理ポートレットの画面構成例を示す。図5(A)の表示画面6000はメールポートレットの画面例である。これは、メール格納用フォルダを表示するフォルダツリーのビュー表示エリア6001を有し、このエリアで選択されたフォルダ内のメールを一覧で表示するメール一覧表示エリア6002が設けられている。その下方には、メール一覧表示エリア6002で選択されたメールの内容を表示するメール内容表示エリア6003が位置する。
【0019】
図5(B)の表示画面7000は地図ポートレットの画面例である。ユーザが表示させたい地図の住所を入力するテキストフィールド7001と、その右側に、地図の検索を実行する指示ボタン7002が配置されている。これらの下方には、検索された地図を表示する地図表示エリア7003が配置されている。
図5(C)の表示画面8000は文書管理ポートレットの画面例である。文書ファイルを格納するフォルダを表示するフォルダツリーのビュー表示エリア8001と、このエリアで選択されたフォルダ内の文書一覧を表示する文書一覧表示エリア8002が配置されている。
【0020】
[第1実施形態]
次に本発明の第1実施形態における処理を説明する。最初に主ポートレットに係る検索処理、つまり、ユーザが入力したキーワードをもとに、主ポートレットから検索結果を得る処理について説明する。まずユーザの操作指示に従ってクライアントコンピュータ1003からポータルサーバ1001へのアクセスが行われる。クライアントコンピュータ1003からのアクセス要求を受けたポータルサーバ1001は、ポータルシステムのメイン画面4000(図4(A)参照)のデータを生成する。ポータルシステムのメイン画面4000のデータを受け取ったクライアントコンピュータ1003はポータルシステムのメイン画面4000を表示する。そしてユーザは表示画面5000(図4(B)参照)の印刷ポートレットの画面に印刷を行いたいキーワードを入力して印刷の実行を指示する。本例では、テキスト入力フィールド5001に「A社への出張 9月3日」というキーワードが入力され、指示ボタン5002が操作されたものとする。
【0021】
印刷指示を受け取ったポータルサーバ1001は、以下の処理を実行する。
(1)指定された検索語の取得処理。
(2)主ポートレットの識別処理。
(3)主ポートレットの検索処理と検索結果の取得。
【0022】
(1)にて、ポータルサーバ1001はユーザがテキスト入力フィールド5001に入力したキーワードの情報を取得する。次の(2)でポータルサーバ1001は検索制御部2003を通じて検索制御データベース2004からポートレット区分の定義情報を取得する。図6(A)は検索制御データベース2004に格納されているポートレット区分の定義情報の一例を表形式で示す。本例では、ポートレット区分の欄に「主」、と「非主」の2種類を示しているが、これらは複数のアプリケーションポートレットのうち、どれが主ポートレットとして定義されているかを識別するための定義情報である。また対象ポートレットの欄には、「メールポートレット」、「地図ポートレット」、「文書管理ポートレット」を示す。第1行目には対象ポートレット「メールポートレット」がポートレット区分にて「主」と定義されているため、ポータルサーバ1001は、「メールポートレット」を主ポートレットとして認識できる。第2行目の「地図ポートレット」や第3行目の「文書管理ポートレット」はポートレット区分が「非主」で定義されている。ポータルサーバ1001はこのような定義情報を参照し、ポートレット区分が「主」で定義されているポートレットを提供するポートレットサーバに検索語を通知し、その検索語に一致する情報を取得する。なお、ポートレット区分、対象ポートレット名については、一意に識別できるID情報であってもよい。またポートレットの定義情報は、本システムの構築時にシステム構築者が定義することができ、またはユーザが任意のタイミングで変更できる。
【0023】
(3)にてポータルサーバ1001はポートレット区分が「主」であると識別したポートレット(本例ではメールポートレット)に対し、ユーザが入力したキーワード「A社への出張 9月3日」での検索を行い、検索結果を得る。図6(B)は検索結果の一例として、メールアドレス、表題、本文(日時、住所、URLを含む)からなるメール情報を示す。
【0024】
主ポートレットの検索結果を受け取ったポータルサーバ1001は、他のポートレットを検索して必要な情報を取得する。以下、図7及び図8のフローチャートを用いて説明する。
まず、ポータルサーバ1001は図7のS9001にて、検索制御部2003を通じて検索制御データベース2004から各ポートレット用の検索語形式の定義情報を取得する。検索制御データベース2004に格納されている検索語形式の定義情報の例を図9(A)に示す。検索語形式の欄には「URL(Uniform Resource Locator)」、「住所」、「郵便番号」、「電話番号」、「指定なし」を例示している。また検索対象ポートレットの欄には第1行目に「文書管理ポートレット」、第2乃至4行目に「地図ポートレット」、第5行目に「メールポートレット」を例示している。本例では「文書管理ポートレット」について「URL」形式のキーワードで検索が行われることを示し、「地図ポートレット」については「住所」、「郵便番号」、「電話番号」の各形式のキーワードで検索が行われることを示している。なお検索語形式や検索対象ポートレット名は、一意に識別できるID情報であってもよい。また検索語形式の定義情報は、本システム構築時にシステム構築者が定義することができ、またはユーザが任意のタイミングで変更できる。
【0025】
次にポータルサーバ1001は、図7のS9001で取得した各検索語形式に対して、S9002乃至9005に示す処理を繰り返し行う。S9002にて反復処理が開始し、S9003にてポータルサーバ1001のポータル制御部2002は、該当の検索語形式のデータが主ポートレットの検索結果に含まれるか否かを判定する。図6(B)に示す検索結果を例にして具体的に説明すると、図9(A)の第1行目の検索語形式、すなわちURL形式での検索処理が実行される。その結果、URL形式の語として「http://file_server/folder1b/打ち合わせ0903」が図6(B)の主ポートレットの検索結果から抽出される。検索語形式が主ポートレットの検索結果に含まれると判定された場合、S9004へ移行する。ここでポータル制御部2002はS9003で抽出した語を用いて、その語形式に関連付けられたポートレットをポートレット検索語テーブルに追加し、S9005に進む。ポートレット検索語テーブルの一例を図9(B)に表形式で示す。検索語の欄には抽出された「http://file_server/folder1b/打ち合わせ0903」のデータが追加されており、検索対象ポートレットの欄には、これに対応する「文書管理ポートレット」が示されている。
【0026】
一方、S9003にて検索語形式のデータが主ポートレットの検索結果に含まれなかったと判定された場合にはS9005に移行し、次の検索語形式に対して処理が続行する。つまり、S9002に戻り、住所形式での検索処理が行われ、その結果、「東京都千代田区1-1-1」が抽出される。このデータも図9(B)のポートレット検索語テーブルに追加され、検索対象ポートレットの欄には、これに対応する「地図ポートレット」が示されている。このように検索語形式のデータが主ポートレットの検索結果に含まれる場合には、S9004の処理が、図9(A)に示す全ての検索語形式に関して実行される。そして対象となる検索語形式がなくなると、上記処理が終了する。
【0027】
次にポータルサーバ1001は、主ポートレット以外の全ポートレットに対して図8のS1101乃至1104の処理を実行する。つまりS1101にて反復処理が開始すると、まずS1102にてポータルサーバ1001は該当ポートレットに対応する検索語があるか否かを判定する。具体的には、ポータルサーバ1001は、図9(B)に例示したポートレット検索語テーブルの検索語について検索する。その結果、検索語が見つからなかった場合、S1104に移行し、次のポートレットに対して処理が続行される。また、検索語が見つかった場合、S1103に移行し、見つかった検索語で、対象のポートレットに対して検索処理が行われ、ポータルサーバ1001は当該ポートレットから検索結果を得る。例えば、検索対象となるポートレットが文書管理ポートレットである場合、ポータルサーバ1001は、文書管理ポートレットの検索語である「http://file_server/folder1b/打ち合わせ0903」を使って検索する。図10に検索結果の一例を示す。図10(A)の検索結果1200は、地図ポートレットに対し、「東京都千代田区1-1-1」で検索することにより得られた、「東京都千代田区1-1-1」の地図情報を示す。具体的には、ポータルサーバ1001が、ポートレットサーバに対して「東京都千代田区1-1-1」を通知する。その結果、ポータルサーバ1001は、「東京都千代田区1-1-1」に関する地図情報を検索結果としてポータルサーバに通知するため、図10(A)が得られる。また図10(B)の検索結果1300は、文書管理ポートレットに対し、「http://file_server/folder1b/打ち合わせ0903」で検索することにより得られた、「打ち合わせ0903」の文書データを示す。
【0028】
次に、検索結果のレイアウトと印刷処理が実行される。ポータルサーバ1001は検索結果として得られた情報をレイアウトし、印刷データを生成する。つまりポータルサーバ1001は、主ポートレットから得た検索結果(図6(B)参照)と、各ポートレットから得た検索結果(図10参照)を、印刷データ制御部2007でレイアウトし、印刷データを生成する。
【0029】
図11は印刷データにより得られる印刷レイアウト画面1400を示す。本例では、主ポートレットの検索結果1401と、各ポートレットの検索結果1402、1403を、合成してレイアウトすることにより得られる印刷レイアウト画面を示す。主ポートレットの検索結果1401は、ユーザが入力したキーワード「A社への出張 9月3日」でメールポートレットから検索した結果、つまり図6(B)に示すメールデータに相当する。ポートレットの検索結果1402は、主ポートレットの検索結果から抽出したキーワード「東京都千代田区1-1-1」で地図ポートレットを検索した結果1200、つまり図10(A)の地図データに相当する。検索結果1403は主ポートレットの検索結果から抽出したキーワード「http://file_server/folder1b/打ち合わせ0903」で文書管理ポートレットから検索した結果1300、つまり図10(B)の文書データに相当する。なお本例ではポートレットの検索結果を2つとして説明したが、レイアウトされるポートレットの検索結果については、主ポートレットの検索結果、抽出されたキーワードの数、および各ポートレットに定義された検索語形式によって変化する。ポータルサーバ1001は、図11の印刷レイアウト画面1400の印刷物を出力するための印刷データを生成する。
【0030】
ポータルサーバ1001の印刷データ制御部2007が作成した印刷データは、通信制御部2001を通してクライアントコンピュータ1003に送信される。ポータルサーバ1001から印刷データを受け取ったクライアントコンピュータ1003は、印刷データをその表示部に表示する。ユーザは表示された印刷データを確認し、印刷実行を指示し、画像形成装置1004にて印刷する。
第1実施形態によれば、ユーザは各ポートレットに対する検索語を個別に設定しなくても、1つの検索語を入力する操作だけで、これに関連する情報をまとめて印刷することができる。従って、印刷操作上の負担を軽減することができる。
なお、第1実施形態では、例えばユーザにより入力された検索語により複数の情報が検索結果として検索された場合、最新の情報や検索語を多く含む情報のみが検索結果としてポータルサーバに通知されてもよい。
【0031】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、前述のようにレイアウトされた印刷データがユーザの望む結果とは異なる場合に、ユーザが適切なデータを選択し直すことで、所望の印刷結果が得られるポータルシステムを提供する。なおシステムや各サーバの構成、各ソフトウェアの処理などは第1実施形態の場合と同様であるため、以下では相違点を中心に説明する。
【0032】
第1実施形態では、ポートレットの検索結果に関するレイアウトや印刷データの生成に至るまでの処理の流れにおいて、ポータルサーバ1001が受け取る各ポートレットの検索結果はそれぞれ1つであった。これらの検索結果がレイアウト処理されて1つの印刷データが生成された。これに対して第2実施形態では、主ポートレットの検索結果、およびその他のポートレットの検索結果をポータルサーバ1001が受け取る場合、複数の候補のデータを受け取る。すなわち、ユーザが複数の候補データから所望のデータを選択することで意図する印刷結果を得ることができる。
【0033】
図12(A)は印刷レイアウト画面の表示例を示しており、第2実施形態ではユーザに印刷レイアウト画面を表示する際、レイアウト済みの検索結果の切り替え機能を備えた操作画面を提示する。本例では、ポータルサーバ1001が検索結果をレイアウトする際、検索結果の候補を切り替えるための切り替え指示ボタン(1504乃至1506参照)を各検索結果に付加して配置している。印刷レイアウト画面1500は、主ポートレットの検索結果1501と、各ポートレットの検索結果1502、1503を含む。指示ボタン1504乃至1506はそれぞれ、検索結果1501乃至1503に対応する切り替え指示ボタンである。つまり図11に示した印刷レイアウト画面1400との相違点は、各検索結果に対して複数の候補からユーザが所望とする検索結果を選択できるように、切り替え指示ボタン1504乃至1506を設けていることである。図12(B)に切り替え指示ボタン1600の一例を示しており、該ボタンは選択結果表示エリア1601、結果変更指示ボタン1602、候補一覧1603からなる。選択結果表示エリア1601は現在の選択結果「文書1」を表示するための領域であり、右脇の結果変更指示ボタン1602は、候補表示のため変更を行う際にユーザが操作するボタンである。ユーザが結果変更指示ボタン1602を操作した時、候補一覧1603には「文書1」、「文書2」、「文書3」という選択肢が表示され、ユーザは所望のデータを選択して表示させることで内容を確認することができる。
【0034】
次にレイアウト結果の切り替え処理について説明する。結果変更指示ボタン1602の操作が行われると、ポータルサーバ1001はその切り替え指示に従い、印刷データの再作成を行う。つまり、ユーザは印刷レイアウト画面1500上の切り替え指示ボタン1504乃至1506のいずれかを操作し、レイアウトされた検索結果の切り替えをポータルサーバ1001に指示する。
【0035】
図13のフローチャートは、切り替え指示を受け取ったポータルサーバ1001によって実行される検索結果の変更処理の流れを示す。まずS1701にてポータル制御部2002は、切り替え指示が行われた検索結果が、主ポートレットの検索結果であるか、又はその他のポートレットの検索結果であるかを判定する。具体的には、指示されたポートレットの区分が、図6において主であるか非主であるかを判定することによりS1701が実現される。
その結果、その他のポートレットの検索結果に対する切り替え指示が行われた場合、S1702に進む。ここで、切り替え指示を受けた検索結果は、新たに指定されたポートレットの検索結果へ変更され、印刷データ制御部2007は指示に従って置き換えられた検索結果を用いて印刷データの再作成を行い、処理が終了する。
一方、主ポートレットの検索結果に対する切り替え指示が行われた場合、S1703に進み、切り替え指示を受けた検索結果は、候補一覧1603にて指定された検索結果に変更される。そしてS1704に進み、ポータル制御部2002は、変更された主ポートレットの検索結果を使用して、その他のポートレット全てを再検索する。この処理は第1実施形態の場合と同様、その他のポートレットの検索手順(図8参照)に従って実行される。そして、主ポートレットを除く全てのポートレットの再検索が終了すると、検索結果に基づいて印刷レイアウトが再作成され、処理が終了する。
【0036】
第2実施形態によれば、ポータルシステムによって最初にレイアウトされた検索結果がユーザの意図しない印刷データであった場合でも、ユーザはキーワードの再入力を余儀なくされることがなくなる。すなわち、ユーザは複数の検索結果から所望の候補を選択可能であり、意図するデータが得られるまでの間、キーワードを何度も入力し直すといった手間をかけずに、印刷データの変更が可能となる。これにより、最終的な印刷結果が得られるまでにかかるユーザの手数を削減でき、利便性が高まる。
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0037】
1001 ポータルサーバ
1002 ポートレットサーバ群
1003 クライアントコンピュータ
1004 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアプリケーションをそれぞれポートレットとしてサーバ上で管理し、指定された検索語に関連する文書の印刷データを作成する情報処理装置であって、
複数のポートレットのうちの1つを主ポートレットとして定義する定義手段と、
前記検索語で前記主ポートレットを検索し、主ポートレットの検索結果に基づいて前記主ポートレット以外のポートレットを検索する検索手段と、
前記検索手段によって得られた前記主ポートレットの検索結果と前記主ポートレット以外のポートレットの検索結果に基づいて印刷データを作成する作成手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記主ポートレット以外のポートレット用の検索語形式を記憶する記憶手段を更に有し、
前記検索手段は、前記主ポートレットの検索結果に含まれる前記検索語形式の検索語を使って、前記主ポートレット以外のポートレットを検索することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記作成手段は、前記印刷データに対して各ポートレットの検索結果を選択可能にする切り替え指示ボタンを含む操作画面を表示し、ユーザ操作により選択された検索結果のデータに変更することを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記ポートレットごとの検索語形式とポートレットの区分の定義情報を記憶し、
前記検索手段は、前記ポートレットごとの検索語形式とポートレットの区分とを取得して前記主ポートレットと主ポートレット以外のポートレットを検索することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数のアプリケーションをそれぞれポートレットとしてサーバ上で管理し、指定された検索語に関連する文書の印刷データを作成する情報処理方法であって、
複数のポートレットのうちの1つを主ポートレットとして定義する定義ステップと、
前記検索語で前記主ポートレットを検索し、主ポートレットの検索結果に基づいて前記主ポートレット以外のポートレットを検索する検索ステップと、
前記検索ステップで得られた前記主ポートレットの検索結果と前記主ポートレット以外のポートレットの検索結果に基づいて印刷データを作成する作成ステップを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
複数のアプリケーションをそれぞれポートレットとしてサーバ上で管理し、指定された検索語に関連する文書の印刷データを作成するためのプログラムであって、
複数のポートレットのうちの1つを主ポートレットとして定義する定義ステップと、
前記検索語で前記主ポートレットを検索し、主ポートレットの検索結果に基づいて前記主ポートレット以外のポートレットを検索する検索ステップと、
前記検索ステップで得られた前記主ポートレットの検索結果と前記主ポートレット以外のポートレットの検索結果に基づいて印刷データを作成する作成ステップを、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−154454(P2011−154454A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14310(P2010−14310)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】