説明

情報処理装置、情報処理装置の起動モード切替え方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】情報処理装置の起動の安定性を高めることができる。
【解決手段】情報処理装置は、通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替える切替部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理装置の起動モード切替え方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置の起動にかかる時間を短縮するために、様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の撮像装置は、初回起動時には通常起動モードにて起動する。そして、この撮像装置は、2回目以降の移動時には、高速起動モードで動作することにより、起動時の処理を一部省略して高速に起動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−165588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、情報処理装置の状態によっては、高速起動を行うよりも通常起動を行う方が安定して起動することができる場合がある。
上記事情に鑑みれば、所定の条件を満たしたときには、次回の起動モードを高速起動モードから通常起動モードに切り替えることが望ましい。そこで、本開示では、通常起動モードに切り替えるための所定の条件について提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、通常起動モード、及び上記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置において、上記情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、判定結果に従って、上記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを上記高速起動モードから上記通常起動モードに切替える切替部と、を有する情報処理装置が提供される。
【0006】
かかる構成によれば、情報処理装置の状態に基づいた所定の条件を用いた判定の結果に応じて、情報処理装置の起動モードが高速起動モードから通常起動モードに切替えられる。従って、適切なタイミングで情報処理装置の起動モードを通常起動モードに切替えることができ、情報処理装置の起動の安定性を向上させることができる。
【0007】
また、本開示によれば、通常起動モード、及び上記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置において、上記情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定することと、判定結果に従って、上記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを上記高速起動モードから上記通常起動モードに切替えることと、を含む、情報処理装置の起動モード切替方法が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、コンピュータを、通常起動モード、及び上記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置であって、上記情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、判定結果に従って、上記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを上記高速起動モードから上記通常起動モードに切替える切替部と、を有する情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コンピュータを、通常起動モード、及び上記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置において、上記情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、判定結果に従って、上記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを上記高速起動モードから上記通常起動モードに切替える切替部と、を有する情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、情報処理装置の起動の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る情報処理装置のフラッシュメモリの内部構成の一例を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る情報処理装置の起動動作を示すフローチャートである。
【図4】同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第1の例を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第2の例を示すフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置が用いる、連続高速起動回数と起動時間の閾値との間の関係を示す表である。
【図7】同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第3の例を示すフローチャートである。
【図8】同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第4の例を示すフローチャートである。
【図9】同実施形態に係る情報処理装置が用いる、連続高速起動回数とイメージサイズの閾値との間の関係を示す表である。
【図10】同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第5の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.装置構成
3.起動動作
4.通常起動モードへの切替え動作
4−1.第1の例(連続高速起動回数を用いる例)
4−2.第2の例(起動時間を用いる例)
4−3.第3の例(例外処理が発生した場合の例)
4−4.第4の例(イメージサイズを用いる例)
4−5.第5の例(フラグメンテーションサイズを用いる例)
5.まとめ
【0014】
<1.概要>
情報処理装置において、ウォームブートやホットブートと呼ばれる起動モードが用いられている。これらの起動方法は、コールドブートとも呼ばれる通常の起動モードでは行う処理の一部(例えばハードウェアの初期化など)を行わずに起動する。このため、ウォームブートやホットブートは、コールドブートと比較して起動にかかる時間が短いという特徴がある。そこで、ウォームブートやホットブートは、コールドブートが通常起動モードと呼ばれるのに対して、高速起動モードとも呼ばれる。
【0015】
ユーザにとって起動にかかる時間は、待ち時間となってしまう。このため、ユーザの利便性を考えると、高速起動モードは有効である。従って、ユーザの待ち時間を短縮するためには、なるべく高速起動モードが用いられることが好ましい。しかし上述の通り、情報処理装置の高速起動モードでは、通常起動モードで行われる処理の一部が省略される。このため、連続して高速起動モードで起動し続けていると、情報処理装置の安定性が損なわれる場合がある。従って、情報処理装置を安定的に起動するためには、通常起動モードが用いられることが好ましい。そこで、高速起動モードが用いられる情報処理装置において、適切なトリガにより情報処理装置の起動モードを通常起動モードに切替え、安定的な起動を保つことが望ましい。
【0016】
本開示では、このように情報処理装置の起動モードを高速起動モードから通常起動モードに切替えるための複数のトリガについて提案する。以下、不揮発な領域に保存されたHibernation Image(WBI:Warm Boot Imageとも言う。)を用いて起動するウォームブートからコールドブートへ切替える方法について説明するが、本開示はかかる例に限定されない。例えばホットブートなどの他の高速起動モードから通常起動モードへ切替える場合にも適用することができる。
【0017】
<2.装置構成>
まず、図1及び図2を参照しながら、本開示の一実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2は、同実施形態に係る情報処理装置のフラッシュメモリの内部構成の一例を示す説明図である。
【0018】
まず図1を参照すると、本開示の一実施形態に係る情報処理装置100は、プロセッサ105と、入力部110と、ネットワークインタフェース115と、USB120と、Flash125と、RAM130と、タイマー135とを主に有する。但し、USBはUniversal Serial Busの略であり、RAMはRandom Access Memoryの略である。
【0019】
ここで、情報処理装置100は、例えばPC、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、家庭用ゲーム機器、家電機器、PDA、携帯電話、PHS、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器、撮像装置、ナビゲーション装置などの情報処理装置であってよい。但し、PCはPersonal Computerの略であり、DVDはDigital Versatile Diskの略であり、PDAはPersonal Data Assistanceの略であり、PHSはPersonal Handyphone Systemの略である。
【0020】
(プロセッサ105)
プロセッサ105は、ソフトウェアを動作させることにより情報処理装置100全体の動作を制御する処理装置である。プロセッサ105は、例えば演算器、レジスタ、周辺回路を含んでもよい。プロセッサ105の代表的な一例としては、CPUが挙げられる。但し、CPUはCentral Processing Unitの略である。なお、このプロセッサ105は、判定部、及び切替部の一例である。所定のプログラムを動作させることにより、プロセッサ105は判定部及び切替部として機能することができる。
【0021】
判定部として機能するプロセッサ105は、情報処理装置100の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定することができる。ここで用いられる所定の条件は、後に詳述される。また切替部として機能するプロセッサ105は、上記判定した結果に従って、情報処理装置100が次回起動するときの起動モードをウォームブートからコールドブートに切替えることができる。ここでプロセッサ105が起動モードを切替える方法は様々な方法が考えられる。例えばプロセッサ105は、WBIを読み込むことができない状態とすることによって、起動モードをウォームブートからコールドブートに切替えることができる。またプロセッサ105は、強制的に次回の起動モードがコールドブートとなるように設定してもよい。なお、WBIは高速起動に用いられる起動イメージの一例である。以下の説明においては、起動モードの切替は、WBIの破棄によって行われる例が用いられる。
【0022】
(入力部110)
入力部110は、例えばボタン、タッチパネル、マウス、キーボード、スイッチ、レバー、及びマイクなどユーザが所望の操作をするための入力信号を生成する機能を有する装置である。
【0023】
(ネットワークインタフェース115)
ネットワークインタフェース115は、ネットワークに接続する機能を有するインタフェースである。情報処理装置100は、ネットワークインタフェース115を介して外部の情報処理装置と接続することができる。
【0024】
(USB120)
USB120は、例えばUSB規格に従ったメス側コネクタである。USB120には、USB規格に従ったオス側コネクタが挿入されてよい。例えばUSB120には、USB規格に従ったオス側コネクタを有するUSBケーブルが挿入されてよい。例えば情報処理装置100は、USBケーブル及びメス側コネクタであるUSB120を介して他の情報処理装置と接続することができてよい。
【0025】
(Flash125)
Flash125は、情報処理装置100の内蔵記憶領域としての記憶部の一例である。またFlash125は、ここではWBIを記憶する不揮発な記憶領域の一例でもある。Flash125の内部構成の一例については、図2を用いて後述される。
【0026】
(RAM130)
RAM130は、情報処理装置100のメインメモリであり、プロセッサ105が使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶することができる。
【0027】
(タイマー135)
タイマー135は、経過時間を計測する機能を有する。タイマー135は、情報処理装置100の起動時間や終了時間を計測することができる。タイマー135が計測する起動時間又は終了時間は、情報処理装置100の起動モードを高速起動から通常起動に切替えるためのトリガ判定に用いられる。このトリガ判定については、後に詳述される。
(外部記憶媒体20)
また、情報処理装置100は、外部記憶媒体20とコネクタを介して接続することにより、外部記憶媒体20にデータを記録することもできる。
【0028】
ここで、図2を参照しながらFlash125の内部構成について説明する。Flash125の内部は、大きく分けてシステム領域とユーザ領域の2つより構成されてよい。システム領域は、起動に必要なデータをロードするLoader領域210と、起動用プログラム領域220と、WBI保存領域230より構成される。ユーザー領域240は、主にアプリケーションなどのデータが保存される。
【0029】
WBI保存領域230の先頭には、WBIヘッダ領域231が設けられてよい。後に情報処理装置100はWBIがあるか否かに応じて起動モードを選択する処理が説明される。このときWBIがあるか否かの判断は、このWBIヘッダ領域のフォーマットが正しいか否かに基づいて行われてよい。従って、切替部として機能するプロセッサ105は、このWBIヘッダ領域231をWBIのフォーマットを壊すデータで塗りつぶすことによってWBIを破棄し、次回の起動モードをコールドブートに切替えることができる。
【0030】
以上、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示した。しかし、上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。上記の構成要素の一部が省略されてもよいし、上記の構成要素に加えて他の構成要素が含まれてもよい。
【0031】
また、以下に説明される情報処理装置100の動作を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、情報処理装置100のプロセッサ105が実行することにより本開示の機能が実現されてよい。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0032】
<3.起動動作>
次に図3を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置100の起動シーケンスについて説明する。図3は、同実施形態に係る情報処理装置の起動動作を示すフローチャートである。
【0033】
図3を参照すると、情報処理装置100の起動トリガが検知されると、Loaderが起動する(S100)。そしてLoaderは、WBI保存領域230のWBIの有無を確認する(S105)。ここで、WBIの有無は、例えばWBI保存領域230の先頭に設けられるWBIヘッダ領域231のフォーマットをLoaderが解釈することにより判断されてよい。Loaderは、WBIヘッダ領域231のフォーマットが正しければWBIが有り、WBIヘッダ領域231のフォーマットが正しくなければ、WBIが無いと判断することができる。
【0034】
ステップS105の判断において、WBIが有ると判断された場合には、Loaderは、WBIをRAM130に展開し、ウォームブートする(S110)。一方、ステップS105の判断において、WBIが無いと判断された場合には、Loaderは、起動プログラムをRAM130に展開し、コールドブートする(S115)。その後、アプリケーションが起動され(S120)、システム全体が起動する。
【0035】
以上、ここではWBIを用いてウォームブートする場合の起動シーケンスについて説明された。以下では、本技術のメインテーマである高速起動モードから通常起動モードへの切替えについて説明する。なお、引き続き高速起動モードはWBIを用いたウォームブートであり、コールドブートに切替えるためのトリガについて以下複数の例を挙げて説明する。
【0036】
<4.通常起動モードへの切替え動作>
[4−1.第1の例(連続高速起動回数を用いる例)]
まず、図4を参照しながら、情報処理装置100の起動モードを高速起動モードから通常起動モードに切替える切替え動作の第1の例について説明する。第1の例は、連続高速起動回数を用いる例である。図4は、同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第1の例を示すフローチャートである。
【0037】
図4を参照すると、第1の例における連続高速起動回数を用いた、次回の起動モードをウォームブートからコールドブートに切替えるか否かの判断は、情報処理装置100の起動時に行われる。
【0038】
まず、情報処理装置100の起動トリガが検知されると、Loaderが起動する(S200)。そして、Loaderは、WBIがあるか否かを判断する(S205)。ここでステップS205のWBIがあるか否かの判断は、上述したステップS105の判断と同様の方法により行われてよい。そしてステップS205の判断によりWBIが無いと判断された場合には、Loaderは起動プログラムをRAM130に展開し、コールドブートする(S210)。
【0039】
一方、ステップS205の判断においてWBIがあると判断された場合には、LoaderはWBIをRAM130に展開し、ウォームブートする(S215)。そしてアプリケーションが起動され(S220)、システム全体が起動する。
【0040】
次に判定部として機能するプロセッサ105は、連続高速起動回数を情報処理装置100の不揮発領域から読み出す(S225)。ここで連続高速起動回数は、例えば情報処理装置100が連続してウォームブートにより起動された回数である。コールドブートにより起動されると、この連続高速起動回数は0に設定される。
【0041】
そして判定部として機能するプロセッサ105は、この連続高速起動回数が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S230)。連続高速起動回数が多いほど、情報処理装置100の起動が不安定となる可能性は高まる。このためこの閾値は、情報処理装置100が安定して起動することができる可能性に基づいて定められてよい。
【0042】
ステップS230の判断において、連続高速起動回数が所定の閾値以上であると判断された場合には、切替部として機能するプロセッサ105は、WBIを破棄して連続高速起動回数を0に設定する。そして、情報処理装置100は、コールドブートにより再起動し直される(S235)。
【0043】
一方ステップS230の判断において、連続高速起動回数が所定の閾値以上ではないと判断された場合には、プロセッサ105は、連続高速起動回数をインクリメントして不揮発領域に保存する(S240)。
【0044】
このように、第1の例においては、起動モードをコールドブートに切替えるか否かの判断が、連続高速起動回数に基づいて行われる。本手法のメリットは、複雑なロジックを必要とせずに、予め一定のサイクルでWBIを破棄することができる点にある。適切な閾値を設定しておけば、高い確率でシステムを安定的な状態に保つことができる。
【0045】
[4−2.第2の例(起動時間を用いる例)]
次に、図5及び図6を参照しながら、情報処理装置100の起動モードを高速起動モードから通常起動モードに切替える切替え動作の第2の例について説明する。第2の例は、起動時間を用いる例である。図5は、同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第2の例を示すフローチャートである。図6は、同実施形態に係る情報処理装置が用いる、連続高速起動回数と起動時間の閾値との間の関係を示す表である。
【0046】
図5を参照すると、第2の例は、次回の起動モードをウォームブートからコールドブートに切替えるか否かの判断は、情報処理装置100の起動にかかる時間を計測することにより行われる。
【0047】
まず、情報処理装置100の起動トリガが検知されると、Loaderが起動する(S300)。そして、Loaderは、WBIがあるか否かを判断する(S305)。ここでステップS305のWBIがあるか否かの判断は、上述したステップS105の判断と同様の方法により行われてよい。そしてステップS305の判断によりWBIが無いと判断された場合には、Loaderは起動プログラムをRAM130に展開し、コールドブートする(S310)。
【0048】
一方、ステップS305の判断においてWBIがあると判断された場合には、判定部として機能するプロセッサ105は、タイマーをスタートする(S315)。そしてLoaderはWBIをRAM130に展開し、ウォームブートする(S320)。そしてアプリケーションが起動され(S325)、システム全体が起動する。
【0049】
その後、判定部として機能するプロセッサ105は、タイマーにより起動をスタートしてからウォームブートが完了するまでに要した時間(起動時間とする)を算出する(S330)。そして判定部として機能するプロセッサ105は、算出した起動時間が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S335)。
【0050】
ステップS335の判断により、起動時間が閾値以上であると判断された場合には、切替部として機能するプロセッサ105は、WBIを破棄する。そして情報処理装置100は、コールドブートにより再起動し直される(S340)。
【0051】
このように、第2の例においては、起動モードをコールドブートに切替えるか否かの判断が、起動時間に基づいて行われる。起動時間に基づいて判断される場合には、ウォームブートが高速に起動することができなくなった状態が起動時間という直接的なパラメータに基づいて判断される。従って、WBIが高速起動のために役立たなくなった場合に、コールドブートにより安定的な状態に遷移させることができる。
【0052】
なお、起動時間の閾値は、一定の値が用いられてもよいし、変動する値が用いられてもよい。例えば、連続高速起動回数と起動時間との間には相関がある可能性が高い。連続高速起動回数が少ないほど起動時間は短い傾向がある。このため、連続高速起動回数が少ないにも関わらず、起動時間が長い場合には、他の何らかの問題が生じている可能性が高い。従って、起動時間の閾値は、連続高速起動回数に応じて変動する値が用いられてよい。例えば、図6に示されるように、連続起動回数に応じて変動する起動時間の閾値が用いられてよい。例えば連続起動回数が1回〜10回の場合には、起動時間の閾値として10sが用いられ、連続起動回数が11回〜50回の場合には、起動時間の閾値として30sが用いられ、連続起動回数が51回〜100回の場合には、起動時間の閾値として40sが用いられ、連続起動回数が101回以上の場合には、起動時間の閾値として50sが用いられる。
【0053】
[4−3.第3の例(例外処理が発生した場合の例)]
次に、図7を参照しながら、情報処理装置100の起動モードを高速起動モードから通常起動モードに切替える切替え動作の第3の例について説明する。第3の例は、例外処理が発生した場合の例である。図7は、同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第3の例を示すフローチャートである。
【0054】
図7を参照すると、第3の例は、情報処理装置100に例外処理が発生した場合の起動モード切替えについて示される。
【0055】
まず、情報処理装置100の起動トリガが検知されると、Loaderが起動する(S400)。そして、Loaderは、WBIがあるか否かを判断する(S405)。ここでステップS405のWBIがあるか否かの判断は、上述したステップS105の判断と同様の方法により行われてよい。そしてステップS405の判断によりWBIが無いと判断された場合には、Loaderは起動プログラムをRAM130に展開し、コールドブートする(S410)。
【0056】
一方、ステップS405の判断においてWBIがあると判断された場合には、LoaderはWBIをRAM130に展開し、ウォームブートする(S415)。そしてアプリケーションが起動され(S420)、ユーザー操作が開始される(S425)。
【0057】
ユーザーが情報処理装置100を使用し続けていると、システムの潜在的な不具合が発生する場合がある。この場合、多くの情報処理装置においては、フリーズや情報処理装置の応答がないなどの例外処理状態に陥る。判定部として機能するプロセッサ105は、この例外処理が発生しているか否かを判断する(S430)。ステップS430の判断において、例外処理が発生したと判断された場合には、切替部として機能するプロセッサ105は、WBIを破棄する。そして情報処理装置100は、コールドブートで再起動し直される(S435)。
【0058】
例外処理が発生した情報処理装置100のWBIは、データとして異常な状態となっている可能性が高い。このため、このWBIを使用しても情報処理装置100の安定動作を保証することは困難である。従って、例外処理が発生したタイミングでWBIを破棄してコールドブートし、新たにWBIを作成し直すことが望ましい。かかる構成により、より安定したシステムの起動を実現することができる。
【0059】
[4−4.第4の例(イメージサイズを用いる例)]
次に、図8及び図9を参照しながら、情報処理装置100の起動モードを高速起動モードから通常起動モードに切替える切替え動作の第4の例について説明する。第4の例は、起動イメージのイメージサイズを用いる例である。図8は、同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第4の例を示すフローチャートである。図9は、同実施形態に係る情報処理装置が用いる、連続高速起動回数とイメージサイズの閾値との間の関係を示す表である。
【0060】
図8を参照すると、第4の例は、次回の起動モードをウォームブートからコールドブートへに切替えるか否かの判断は、情報処理装置100のWBIのサイズに基づいて情報処理装置100の電源オフ時に行われる。
【0061】
まず、電源オフ操作が検知される(S500)と、プロセッサ105はWBIを作成する(S505)。ここで、判定部として機能するプロセッサ105は、作成したWBIのサイズが所定の閾値以上であるか否かを判断する(S510)。
【0062】
ステップS510の判断において、作成したWBIのサイズが閾値以上であると判断されると、プロセッサ105は、作成したWBIを保存しない(S515)。従ってこの場合、次回起動時はコールドブートされる。
【0063】
一方、ステップS510の判断において、作成したWBIのサイズが閾値以上ではないと判断されると、プロセッサ105は、作成したWBIを保存して電源をオフさせる(S520)。この場合、次回起動時は保存したWBIを用いてウォームブートされる。
【0064】
WBIのサイズは、メモリーの使用量など、WBIが作成された時点における使用状況に応じて変化する。情報処理装置100が安定的に動作しているときにはWBIのイメージサイズに大きな変化はないが、異常時にはメモリ使用量が増大してイメージサイズも大きくなる傾向がある。従って、イメージサイズの大きなWBIを用いたウォームブートは安定的に起動することができない可能性が高い。このため、第4の例では、イメージサイズが所定の閾値以上大きくなったWBIを破棄することにより、情報処理装置100の起動の安定性を向上させる。
【0065】
なお、ここでトリガとなるイメージサイズの閾値は、一定の値が用いられてもよいし、変動する値が用いられてもよい。例えば、情報処理装置100が安定的に動作している場合のWBIのイメージサイズは、連続高速起動回数と相関がある可能性が高い。連続起動回数が少ないほどイメージサイズは小さい傾向がある。このため、イメージサイズの閾値は、連続高速起動回数に応じて変動する値が用いられてもよい。例えば、図9に示されるように、連続起動回数が1〜10回の場合には、イメージサイズの閾値として100MBが用いられ、連続起動回数が11〜50回の場合には、イメージサイズの閾値として200MBが用いられ、連続起動回数が51〜100回の場合には、イメージサイズの閾値として300MBが用いられ、連続起動回数が101回以上の場合には、イメージサイズの閾値として400MBが用いられてよい。
【0066】
[4−5.第5の例(フラグメンテーションサイズを用いる例)]
次に、図10を参照しながら、情報処理装置100の起動モードを高速起動モードから通常起動モードに切替える切替え動作の第5の例について説明する。第5の例は、フラグメンテーションサイズを用いる例である。図10は、同実施形態に係る情報処理装置の起動モード切替動作の第5の例を示すフローチャートである。
【0067】
図10を参照すると、第5の例は、次回の起動モードをウォームブートからコールドブートに切替えるか否かの判断は、情報処理装置100のフラグメンテーションサイズに基づいて、電源オフ時に行われる。
【0068】
まず、電源オフ操作が検知される(S600)と、判定部として機能するプロセッサ105はメモリのフラグメンテーション情報を取得する(S605)。そして、プロセッサ105は、フラグメンテーション量が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S610)。
【0069】
ステップS610の判断において、フラグメンテーション量が閾値以上であると判断されると、プロセッサ105は、WBIを作成しない。この場合、次回起動時はコールドブートされる。
【0070】
一方、ステップS610の判断において、フラグメンテーション量が閾値以上ではないと判断されると、プロセッサ105は、WBIを作成及び保存し、電源をオフさせる(S615)。この場合、次回起動時は保存したWBIを用いてウォームブートされる。
【0071】
フラグメンテーション量は、WBIサイズと同様に通常時はその量に大きな変化はない。しかし、情報処理装置100の動作に異常が発生したときには、急激にフラグメンテーション量の増大が生じる傾向がある。異常が発生したときに作成されたWBIを用いたウォームブートは安定的に起動することができない可能性が高い。このため、第5の例では、フラグメーテンション量を用いて異常事態を検出し、フラグメンテーション量が増大したときにはコールドブートを行って情報処理装置100の起動の安定性を向上させることができる。
【0072】
<5.まとめ>
以上、ウォームブートからコールドブートに切替えるトリガについて複数の例を挙げて説明してきた。情報処理装置100は、適切なトリガを用いて、適切なタイミングでコールドブートに切替えることにより、安定的な起動を保つことができる。
【0073】
ウォームブートからコールドブートに切替える判断を行うタイミングは、例えば情報処理装置100の起動時であってもよく、また情報処理装置100の電源オフ時であってもよい。WBIは通常電源オフ前の処理として作成される。このため、例えば情報処理装置100の起動時に判断が行われるときには、WBIのヘッダ部分を書き換えることにより情報処理装置100がWBIを使用できない状態とし、次回の起動モードをコールドブートに切替えることができる。また電源オフ時に判断が行われるときには、例えばWBIを作成しない又は保存しないことにより情報処理装置100がWBIを使用できない状態とし、次回の起動モードをコールドブートに切替えることができる。コールドブートへ切替える方法としては、他にも様々な方法が用いられてよく、ここで説明した方法に限定されない。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば上記の実施形態では、ウォームブートからコールドブートに切替える判断は、連続高速起動回数、起動時間、例外処理の発生の有無、起動イメージのイメージサイズ、フラグメンテーション量に基づいて行われた。これらの条件は、それぞれ用いられることに加えて、複数の条件が組み合わされて用いられてもよい。
【0076】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【0077】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替える切替部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記判定部は、前記情報処理装置が連続して前記高速起動モードにより起動した回数に基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記判定部は、前記情報処理装置の起動時間に基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
前記(1)または(2)のいずれかに記載の情報処理装置。
(4)
前記所定の条件である起動時間の閾値は、前記情報処理装置が連続して前記高速起動モードにより起動した回数に応じて変動する、
前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記判定部は、前記情報処理装置に異常が検知されたか否かに基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
前記(1)〜(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6)
前記判定部は、前記高速起動モードにおいて使用される起動イメージの大きさに基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
前記(1)〜(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7)
前記所定の条件である起動イメージの大きさの閾値は、前記情報処理装置が連続して前記高速起動モードにより起動した回数に応じて変動する、
前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記判定部は、前記情報処理装置のフラグメンテーションの状態に基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
前記(1)〜(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(9)
前記高速起動モードは、起動イメージを用いて起動する起動モードであり、
前記切替部は、前記起動イメージを使用できない状態とすることにより、前記通常起動モードに切替える、
前記(1)〜(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10)
前記判定部は、前記情報処理装置の電源オフ時に判定を行い、
前記切替部は、前記起動イメージを作成しないことにより、前記通常起動モードに切替える、
前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定することと、
判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替えることと、
を含む、情報処理装置の起動モード切替方法。
(12)
コンピュータを、
通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替える切替部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
(13)
コンピュータを、
通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置であって、
前記情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替える切替部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0078】
100 情報処理装置
105 プロセッサ(判定部、切替部)
110 入力部
115 ネットワークインタフェース
120 USB
125 Flash
130 RAM
135 タイマー
20 外部記憶媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替える切替部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記情報処理装置が連続して前記高速起動モードにより起動した回数に基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記情報処理装置の起動時間に基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の条件である起動時間の閾値は、前記情報処理装置が連続して前記高速起動モードにより起動した回数に応じて変動する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記情報処理装置に異常が検知されたか否かに基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記高速起動モードにおいて使用される起動イメージの大きさに基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定の条件である起動イメージの大きさの閾値は、前記情報処理装置が連続して前記高速起動モードにより起動した回数に応じて変動する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記情報処理装置のフラグメンテーションの状態に基づいて、前記所定の条件を満たしているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記高速起動モードは、起動イメージを用いて起動する起動モードであり、
前記切替部は、前記起動イメージを使用できない状態とすることにより、前記通常起動モードに切替える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記情報処理装置の電源オフ時に判定を行い、
前記切替部は、前記起動イメージを作成しないことにより、前記通常起動モードに切替える、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定することと、
判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替えることと、
を含む、情報処理装置の起動モード切替方法。
【請求項12】
コンピュータを、
通常起動モード、及び前記通常起動モードよりも高速に起動する高速起動モードを有する情報処理装置の状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
判定結果に従って、前記情報処理装置が次回起動するときの起動モードを前記高速起動モードから前記通常起動モードに切替える切替部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97529(P2013−97529A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238952(P2011−238952)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】