説明

情報処理装置および制御方法およびプログラム

【課題】 レイヤーを持つ文書に対して、レイヤーを考慮して出力用紙枚数を削減する技術が開示されていなかった。
【解決手段】 レイヤーを考慮して、各レイヤーに対する出力用紙枚数を削減するための処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力される用紙をできるだけ節約するためにレイアウトを変更して出力する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出力される用紙を節約する技術として特許文献1が挙げられる。特許文献1では、最終ページに配置されたデータを前ページに配置することで用紙の節約を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−149218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、複数のレイヤー(層)を備える文書が増えている。これらの文書は、同一ページに属する描画オブジェクトが異なるレイヤーに存在している。また、各レイヤーの表示・非表示を切り替えることによって地域別・個人別・機種別の文書が簡単に出力できる。
しかしながら前記文献1では、レイヤーを考慮した用紙の節約技術について一切記載されていない。そのため、レイヤー単位で用紙を節約するための処理を実現することができなかった。
本願は上記課題を解決するための発明である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題点を解決するため、本発明は、第1レイヤーと第2レイヤーにて構成される文書を編集する情報処理装置であって、前記第1および第2レイヤーから処理対象となる対象レイヤーを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記対象レイヤーとして前記第1レイヤーが選択された場合、前記第1レイヤーを構成する第1ページの空白領域に前記第1ページの次のページである前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを配置できるか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段により配置できると判定された場合、前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを、前記第2ページの前のページである前記第1レイヤーの第1ページに配置する配置手段と、前記選択手段により選択された前記第1レイヤーについて、前記配置手段による配置結果を出力する出力制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、レイヤーによってデザインや文章を切り替えているような文書であっても、適切に間締め処理を行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】表示レイヤー、非表示レイヤーの設定方法の一例を示す図である。
【図3】間締め処理の一例を示す図である。
【図4】間締め処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】間締め処理の処理結果を示す図である。
【図6】間締め処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】間締め処理の処理結果を示す図である。
【図8】文書の一例を示す図である。
【図9】文書の一例を示す図である。
【図10】間締め処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】オブジェクト補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】間締め処理の一例を示す図である。
【図13】空白領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について説明する。
【0009】
本実施例に係る文書を編集する情報処理装置のハードウェア構成を図1に示す。
情報処理装置は、CPU1、データ入力のためのキーボード2、文書を表示するディスプレイ3、文書を格納するハードディスク4、情報処理装置を制御するプログラムや必要な情報を記憶するROM5を備える。
【0010】
また、情報処理装置は、様々なワークエリアとして利用されるRAM6、レイヤーに属する描画オブジェクトに関するレイヤー情報を取得するレイヤー処理部7、レイヤー情報に基づいてオブジェクトを処理するオブジェクト処理部8を備える。
【0011】
さらに、情報処理装置は、描画オブジェクト間の余白を削除(または減少)することで、用紙の節約処理を実行する間締め処理部9、各種データを転送するデータバス10を備える。
【0012】
また、情報処理装置には、印刷処理を実行する印刷装置11が接続されている。
【0013】
ここで、間締め処理について図を用いながら説明する。図12(a)と(b)を参照して説明すると、図12(a)においてレイアウト変更の対象としてページ1201とページ1202が選択されている(「選択中」の文字で表示、以下同様)。ページ1201にはオブジェクト1211が配置され、ページ1202にはオブジェクト1212が配置されている。ここで、間締め処理の実行がユーザにより指定されると、ページ1201の空白領域のサイズとページ1202の先頭オブジェクト1212のサイズとが比較される(第1判定処理に相当する)。ここで、間締め処理部が、ページ1201の空白領域にオブジェクト1212が収まると判定した場合、ページ1202のオブジェクト1212をページ1201へ移動する(図12(b))。
【0014】
その結果、オブジェクト1211と1212がページ1201に配置される。オブジェクト1213はオブジェクト1212の移動により生じたページ1202の空白領域を埋めるようにページ1202内において配置位置が変更される。しかし、ページ1201にはオブジェクト1213を配置可能な空白領域がないので、オブジェクト1213はページ1201に移動されない。なお、ページ1201にはオブジェクト1213を配置可能な余白領域がないので、オブジェクト213はページ201に移動されないと判断した。しかし、その他にも、ページ内の余白量が一定の閾値(例えば高さの総和が50ミリメートル)未満であれば、移動できないと判断しても良い。
【0015】
空白領域のサイズは、一例としては図13のように計算できる。図13(a)のようなページ1301があった場合、空白領域は図13(b)の網掛けで塗りつぶした個所1311〜1318である。つまりページを横に区切ってオブジェクトが存在しない領域が空白領域である。ここでは、これら空白領域の高さの総和を求めることでページ内の空白領域のサイズを求める。各領域の高さは、ページでの座標位置から求めることができる。
レイアウト変更処理により得られる図12(b)では、ページ1202の空白領域にページ1203のオブジェクト1214を配置できる。
【0016】
そのため、間締め処理が実行されることで、印刷に必要な用紙枚数を3枚から2枚に減少することが可能となる。
【0017】
図2は、2つのレイヤーを備える文書が表示されたUIを示す。本実施例の文書は、第1階層に日本語の文字が記述されており、第2階層に英語の文字が記述されている。各階層の表示、非表示を切り替えることで、1つの文書を使って、図2(A)または図2(B)が表示される。なお、図2(A)は、第1階層が表示状態であり、第2階層が非表示状態である。一方、図2(B)は、第1階層が非表示状態であり、第2階層が表示状態である。
【0018】
プレビュー画面201、206は、ディスプレイ3に表示される。
【0019】
ユーザは、プレビュー画面201、206に含まれるレイヤー情報202を操作することで上述した表示・非表示を切り替えることができる。
【0020】
具体的には、ユーザが、レイヤー情報202の日本語203を表示状態に設定することで図2(A)のように日本語の文章205が表示される。
【0021】
一方、図2(A)において、ユーザはレイヤー情報202の英語204を表示状態に設定していないので、英語の文章は図2(A)に表示されない。
【0022】
同様に図2(B)のプレビュー画面206において、レイヤー情報の日本語207が設定されず、英語208が設定されているので、図2(B)では英語の文章209が表示される。
【0023】
文章205と文章209は、同一ページにあるが別レイヤーにあるので、レイヤー情報の設定により各文章の表示・非表示が切り替えられる。
【0024】
図3は、レイヤーを考慮せずに間締め処理を実行することで得られる出力結果ついて説明する図である。
【0025】
今回の処理対象となる文書は2つのレイヤー(第1レイヤー(レイヤー1ともいう)、第2レイヤー(レイヤー2ともいう))を備えているものとする。
【0026】
対象文書は、1ページ目としてレイヤー1のページ301とレイヤー2のページ302とを備えるとする。同様に対象文書は、2ページ目としてレイヤー1のページ303とレイヤー2のページ304とを備え、3ページ目としてレイヤー1のページ305とレイヤー2のページ306とを備えるとする。
【0027】
この対象文書に対して、レイヤーを考慮せずに間締め処理が実行された結果がページ307〜309である。
【0028】
つまり、レイヤーを考慮していないため、各ページに属するオブジェクトを重ねて間締め処理が行なわれ、英語の文章と日本語の文章が重なった文章が出力されている。
例えば、2ページ目に属するレイヤー1(303)とレイヤー2(304)において、それらに属するオブジェクトはレイヤー情報を考慮しなければ、ともに2ページ目に属するオブジェクトである。
【0029】
そのため、間締め処理部は、レイヤー1の文章とレイヤー2の文章とを重ねて2ページ目308に表示し、2ページ目308の空いている領域に3ページ目の各レイヤーの文章が重なったオブジェクトが配置される。
【0030】
図4は、本実施例の間締め処理全体を示すフローチャートである。なお、本願のフローチャートの各ステップは、CPU1が処理に関連するプログラムをROM5から読み出して実行することで実現される。なお、図4の処理を図5の具体例を用いながら具体的に説明する。
【0031】
レイヤー処理部7は、対象文書の処理対象ページ内のレイヤーに関する情報を取得し(S401)、対象ページが複数のレイヤーを備えるか否かを確認する(S402)。レイヤー処理部7は、ページを構成する記述コマンドを解析することで、対象ページが複数のレイヤーを備えるか否かを確認する。図5の対象文書は、各ページに2つのレイヤーを備えるので、S403へと処理が進む。
【0032】
S402において複数のレイヤーがない(つまり1つのレイヤーである)と判定された場合、図4の処理はS407へ進む。
【0033】
一方、S402において複数のレイヤーがあると判定された場合、レイヤー処理部は、非表示レイヤーがあるか否かを判定する(S403)。S402においてレイヤーがない場合、または、S403において非表示レイヤーがない場合、間締め処理部9が、レイヤーを考慮せずに間締め処理を実行する。
【0034】
この処理は、図2において説明したユーザの設定情報を参照することで実現される。例えば、図5を表示するために図2(A)の設定が適用されていた場合、図5の文書は、表示レイヤー(図5の501、503、505)と英語の非表示レイヤー(図5の502、504、506)を持っているので、図4の処理は、ステップS404へ進む。
【0035】
オブジェクト処理部8は、間締め処理の対象オブジェクトとしてレイヤーの表示属性に従ってオブジェクトを選択する(S404)。図5の例では、オブジェクト処理部8は、表示レイヤー(日本語レイヤー)に含まれるオブジェクト501、503、505を対象レイヤーのオブジェクトとして選択する。一方、オブジェクト処理部8は、非表示レイヤー(英語レイヤー)に含まれるオブジェクト502、504、506を非表示レイヤーのオブジェクトとして選択する。
【0036】
次に、間締め処理部9は、ステップS404において選択されたオブジェクトに関して間締め処理を行う(S405)。S405の処理を図5を用いて具体的に説明する。
【0037】
図5の例では、日本語レイヤーのオブジェクトに対して間締め処理が実行される。
その結果が、507、509、511である。
【0038】
2ページ目503にあったオブジェクトが間締め処理により、1ページ目(第1ページともいう)501の空白領域に移動され、出力結果507が得られる。
【0039】
また、3ページ目505にあったオブジェクトが間締め処理により、2ページ目503(第2ページともいう)の空白領域に移動され、出力結果509が得られる。その結果、3ページ目505のオブジェクトがなくなり、3ページ目は削除される(511)。
【0040】
続けて、英語レイヤーのオブジェクトに対して間締め処理が実行される。その結果が、508、510、512である。
【0041】
なお、2ページ目504に配置されていたオブジェクトが英語レイヤーでは1ページ目502の空白領域に収まらないため、間締め処理が実行されても、2ページ目504のオブジェクトは移動処理が行われない。その結果、1ページ目502は間締め処理が実行されても1ページ目508と同じ出力結果となる。
【0042】
また、3ページ目506の上側の文章オブジェクトが間締めされて2ページ目504に移動した結果が510である。その結果、3ページ目には3ページ目506の下側の図形オブジェクトのみが残る(512)。
【0043】
最終的に、ページ507〜512に示すように、表示・非表示レイヤーごとに間締め処理され、表示・非表示を切り替えれば今までと同じようにドキュメントを扱え、かつ、図3のように複数のレイヤーのオブジェクトが混在せずにレイアウト処理を実行できる。
【0044】
なお、図4のステップS404では、各レイヤーの表示属性に従い、非表示レイヤーのオブジェクトも対象オブジェクトとして選択されたが、表示レイヤーのオブジェクトのみが間締め処理の対象レイアウトとして選択されても良い。その場合は、非表示レイヤーは間締め処理されないため、もとのページにそのまま残る。
【0045】
また、この例では各ページにすべて表示・非表示レイヤーが存在していたが、存在しているページと存在していないページが混在しても構わない。
【0046】
例えば、1ページ目は2つのレイヤー501、502を含み、2ページ目は複数のレイヤーが存在せずに、3ページ目は2つのレイヤー505、506を含む文書であっても良い。
【0047】
この場合、表示レイヤーとして(501、503、505)の各オブジェクトと非表示レイヤーとして(502、503、506)の各オブジェクトが選択される。つまり、複数のレイヤーが存在しない2ページ目のオブジェクトは、両方に属する。
【0048】
そして、S405においてレイヤー毎に間締め処理を行うことによりページをまたいでオブジェクトの移動が起こった場合、レイヤーがなかった2ページ目も表示レイヤーと非表示レイヤーの2つのレイヤーを持つことになる。
【0049】
S406において、間締め処理部は、S405またはS407において間締め処理が実行された文書をハードディスク4に保存、または、印刷装置11に対して印刷データを送信する印刷処理等を行う。なお、印刷に限らずS405の結果を表示しても良い。すなわち、S406においてS405の出力制御処理が実行される。
【0050】
以上、本実施例によれば、複数のレイヤーを持つ文書に対して、適切に間締め処理を実行できる。
【0051】
(実施例2)
実施例1において、図5の3ページ目の表示レイヤー511、非表示レイヤー512に示すように、レイヤー毎に間締め処理を適用することにより、各レイヤーの出力総ページ数が異なることがある。図5の例では、表示レイヤーは2ページ、非表示レイヤーは3ページになる。
【0052】
このようにレイヤー毎に出力総ページ数が異なる場合、ドキュメント内容やレイアウトの確認が困難になるおそれがある。例えば、ページ数がレイヤー毎に異なる場合、日本語の印刷物と英語の印刷物の両者を対応付けながら、英語の文章を確認した場合、両者の対応付けが困難になるおそれがある。
【0053】
実施例2では、上述したようなレイヤー毎に出力総ページ数が異なることにより生じる課題を解決することを目的とする。
【0054】
図6は、第2の実施例の間締め処理全体を示すフローチャートである。なお、図6の処理は、例えば複数のレイヤーの出力枚数を同期させる同期モードが設定された場合に実行される。
【0055】
なお、S601〜S603の処理は、S401〜S403の処理と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0056】
オブジェクト処理部8は、レイヤー間において対応するオブジェクトを抽出する(S604)。具体的には、オブジェクト処理部8は、ページ毎にレイヤーを重ね合わせ、重なったオブジェクトを対応するオブジェクトとして抽出する。図7の例では、1ページ目が日本語テキスト713と英語テキスト714が重なり合うため、1つ目の対応オブジェクトとして、オブジェクト713とオブジェクト714とが抽出される。
【0057】
2ページ目は、日本語テキスト715と英語テキスト716が重なり合うため、2つ目の対応オブジェクトとしてオブジェクト715とオブジェクト716が抽出される。
【0058】
3ページ目は、日本語テキスト717と英語テキスト719が重なり合うため、3つ目の対応オブジェクトとしてオブジェクト717とオブジェクト719が抽出される。また、図形718と図形720が重なり合うため、4つ目の対応オブジェクトとしてオブジェクト718とオブジェクト720が抽出される。
【0059】
オブジェクト処理部8は、各対応オブジェクトについて、対応オブジェクトのどちらかを含む領域を抽出し(S605)、抽出した情報を間締め用の領域情報として各オブジェクトと関連付けて記憶する(S606)。図7の例では、2ページ目の日本語テキスト715と英語テキスト716が2つ目の対応オブジェクトとして抽出される。そして、それぞれの外接矩形721と722を重ね合わせて更に両方のオブジェクトのどちらかが含まれる外接矩形723を特定することによりS605の抽出処理が実現される。
【0060】
また、以下にS606により記憶された情報の一例を示す。
【0061】
【表1】

【0062】
日本語テキスト715がOBJID2101の領域、英語テキスト716がOBJID2201の領域、両方のオブジェクトのどちらかが含まれる間締め用の領域情報が(90、100)−(1510、1200)となる。
【0063】
続いて、オブジェクト処理部8は、間締め対象のオブジェクトを選択する。この処理はS404の処理と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0064】
間締め処理部9は、S607において選択されたオブジェクトについて間締め処理を行う。間締め処理は、第一の実施例と同様であるが、使用する矩形情報は、S605において抽出された間締め用の領域情報である。
【0065】
これによって、レイヤーが異なっても同様のページ構成、レイアウトで間締め処理を行うことが可能となり、総ページ数も各レイヤーで同一になる。
【0066】
なお、S602、S603においてNoと判定された場合に実行されるS610の処理はS407と同じ処理であり、S609の処理はS406と同じ処理であるため詳細な説明は省略する。
【0067】
以上説明したように第2の実施例によれば、レイヤーをもつような文書の間締め処理であっても正しく間締めできる効果がある。また、総ページ数も各レイヤーで同一になるので出力物を確認するユーザの作業の軽減化が図れる。
【0068】
(実施例3)
例えば、複数人が校正処理を行った場合、文書には、図8のようにテキストの校正情報などが付与される。この校正情報は、校正結果が最終確定していないため先に校正情報を反映することができない。ここで文書情報に校正情報を反映することで出力結果が大きく変化することがある。このような状況において校正情報が反映される前の文書に対して間締め処理を実行することにより得られる出力結果と校正情報が反映された文書に対して間締め処理を実行することにより得られる出力結果は、大きく異なる。また、テキスト校正情報を反映する操作を、その都度、ユーザが指示することはユーザの操作性の負荷の増大となる。
【0069】
図8に校正情報が確定していない文書の表示UI801を図示する。
【0070】
図8の表示UI801において、テキスト削除の校正情報を示す取消し線が記載されており、テキスト領域801を最終的に縮小することが示されている。
【0071】
一方、図8の表示UI801において、テキストに対してテキスト804を挿入することが校正情報として記載されており、テキスト領域803を拡大することが示されている。
【0072】
図9の例では、1ページ目901と2ページ目902からなる文書があり、2ページ目902のテキストに対して取り消し線が付与されている。この状態で間締め処理を行った結果が903、904である。最終的には、2ページ目904のテキストは6文字しかないので1ページ目903に移動することが可能であった。しかし、間締め処理部9は、矩形情報が取り消し線を含む大きな矩形であるため1ページ目の空白領域に収まらないと判断し、2ページ目のテキストを移動しなかった。
【0073】
実施例3では、校正情報を含む文書に対する間締め処理について説明する。
【0074】
図10は、第3の実施例の間締め処理全体を示すフローチャートである。ステップS1001が第3の実施例の特徴であり、それ以降の処理は第1の実施例と同様である。
【0075】
図11は、S1001のOBJ補正処理を示すフローチャートである。
【0076】
オブジェクト処理部8は、オブジェクトを修正する校正情報が存在するか否かを確認する(S1101、第2判定処理に相当する)。オブジェクト処理部8は、処理対象ページを構成する記述コマンドを解析することで、校正情報が付加されているか否かを確認でき、S1101の処理を実行することが可能となる。
【0077】
S1101の確認処理の結果、オブジェクト処理部8が、S1102において校正情報が存在すると確認した場合、S1103へと図11の処理が進む。S1102において校正情報が存在しないと確認した場合、S1105へと図11の処理が進む。
【0078】
S1103において、オブジェクト処理部8は、校正情報を反映することにより文書のオブジェクト領域のサイズが変更するか否かを判定する。図8の例では、削除を示す校正情報と文字挿入を示す校正情報とがあるので、オブジェクト処理部8は、オブジェクトの領域のサイズが変更すると判定する。一方、S1103においてオブジェクトの領域のサイズに変更がなければ、図11の処理はS1105へと進む。
【0079】
オブジェクト処理部8は、校正情報が反映されたオブジェクトの領域サイズを間締め用の矩形情報として記憶する(S1104)。下記は、その一例である。
【0080】
【表2】

【0081】
S1105において、オブジェクト処理部は、全オブジェクトに対してS1101−S1104の処理を実行したかを確認し、処理していれば終了して図10のステップS401に進む。
【0082】
以上の処理により校正情報を含む文書に対して間締め処理を実行する場合においても、ユーザの操作負荷を増大することなく、適切な間締め処理を実現できる。
【0083】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0084】
1 CPU
2 キーボード
3 ディスプレイ
4 ハードディスク
5 ROM
6 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レイヤーと第2レイヤーにて構成される文書を編集する情報処理装置であって、
前記第1および第2レイヤーから処理対象となる対象レイヤーを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記対象レイヤーとして前記第1レイヤーが選択された場合、前記第1レイヤーを構成する第1ページの空白領域に前記第1ページの次のページである前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを配置できるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により配置できると判定された場合、前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを、前記第2ページの前のページである前記第1レイヤーの第1ページに配置する配置手段と、
前記選択手段により選択された前記第1レイヤーについて、前記配置手段によりオブジェクトの配置が変更された結果を出力する出力制御手段を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1レイヤーが選択された場合であっても、前記第1判定手段は、前記選択手段により選択されなかった前記第2レイヤーを構成する第1ページの空白領域に前記第1ページの次のページである前記第2レイヤーの第2ページのオブジェクトを配置できるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1および第2レイヤーの出力枚数を同じにするための同期モードを設定する設定手段を更に有し、
前記設定手段により前記同期モードが設定された場合、前記配置手段は、各レイヤーの出力枚数が同じになるように各レイヤーのオブジェクトを配置することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択手段により選択された前記対象レイヤーに対して校正情報が付加されているか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により前記対象レイヤーに対して前記校正情報が付加されていると判定された場合、前記校正情報に基づいて前記対象レイヤーのオブジェクトを変更する変更手段とを更に有し、
前記第1判定手段は、前記変更手段によりオブジェクトが変更された対象レイヤーについて、前記第1ページの空白領域に前記第1ページの次のページである第2ページのオブジェクトを配置できるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
第1レイヤーと第2レイヤーにて構成される文書を編集する情報処理装置における制御方法であって、
前記第1および第2レイヤーから処理対象となる対象レイヤーを選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された前記対象レイヤーとして前記第1レイヤーが選択された場合、前記第1レイヤーを構成する第1ページの空白領域に前記第1ページの次のページである前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを配置できるか否かを判定する第1判定工程と、
前記第1判定工程により配置できると判定された場合、前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを、前記第2ページの前のページである前記第1レイヤーの第1ページに配置する配置工程と、
前記選択工程により選択された前記第1レイヤーについて、前記配置工程によりオブジェクトの配置が変更された結果を出力する出力制御工程を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項6】
第1レイヤーと第2レイヤーにて構成される文書を編集する情報処理装置において実行されるプログラムであって、
前記第1および第2レイヤーから処理対象となる対象レイヤーを選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された前記対象レイヤーとして前記第1レイヤーが選択された場合、前記第1レイヤーを構成する第1ページの空白領域に前記第1ページの次のページである前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを配置できるか否かを判定する第1判定工程と、
前記第1判定工程により配置できると判定された場合、前記第1レイヤーの第2ページのオブジェクトを、前記第2ページの前のページである前記第1レイヤーの第1ページに配置する配置工程と、
前記選択工程により選択された前記第1レイヤーについて、前記配置工程によりオブジェクトの配置が変更された結果を出力する出力制御工程をコンピュータに実行さえるためのコンピュータが読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−95836(P2011−95836A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246670(P2009−246670)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】