説明

情報処理装置およびRFIDタグ

【課題】RFIDタグおよびRFIDタグを用いた情報処理装置においてRFIDタグの低消費電力化を図ること。
【解決手段】情報処理装置31はキャリア送信部32および処理部35を備えている。キャリア送信部32は、送信するキャリア信号の送信パターンを保持する送信パターン保持部33、および送信パターンに基づいてキャリア信号を送信する送信部34を備えている。処理部35は、送信部34から送出される信号を電力に変換して動作し、キャリア信号の検出に応じて検出信号を出力する受信部36、検出信号のパターンを保持する受信パターン保持部37、および受信パターン保持部37を参照し、検出信号のパターンを解析する解析部38を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置およびRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の管理やメンテナンス情報の管理などにRFID(Radio Frequency Identification)タグが用いられている。RFIDタグでは、無線通信によってIC(Integrated Circuit、集積回路)タグに対して個別情報が読み書きされる。
【0003】
RFIDタグとして、例えばリーダライタ装置から送信された無線信号を受信し、その受信信号に含まれている信号に基づいて所定の動作をするものがある。例えば、受信信号に所定の信号が含まれているときにタグ内の電源部からタグ内の処理部に電力を供給し、別の所定の信号が含まれているときにタグ内のメモリから読み出したデータをリーダライタ装置へ送信するように動作するRFIDタグがある。このようにRFIDタグに電池などの電源部を内蔵し、その電源部から供給される電力によって動作するタグをアクティブタイプのタグと呼ぶことがある。
【0004】
一方、電池を内蔵していないパッシブタイプと呼ばれるRFIDタグがある。パッシブタイプのRFIDタグでは、リーダライタ装置から送出された電波を整流して電力を発生し、この電力をタグ内のメモリに供給してメモリに情報が書き込まれる。また、セミパッシブタイプと呼ばれるRFIDタグがある。セミパッシブタイプのRFIDタグでは、内蔵するセンサを内蔵の電池から供給される電力で動作させ、リーダライタ装置との通信にはパッシブタイプと同様にリーダライタ装置からの電波から誘起される電力が用いられる。
【0005】
図15は、従来のセミパッシブタイプのRFIDタグおよびリーダライタ装置を含む情報処理装置を示すブロック図である。図15に示すように、リーダライタ装置1は、ホストからの指示に基づいてコマンド生成部2によりコマンド情報を生成する。生成されたコマンド情報は、キャリア信号に載せて送信RF回路3からアンテナを介してRFIDタグ4へ送信される。
【0006】
図16は、従来のセミパッシブタイプのRFIDタグを示すブロック図である。図16に示すように、RFIDタグ4は、アンテナを介してコマンド情報を含む電波を受信すると、電源再生回路6により電力を再生し、再生した電力をパッシブタグ部5の各部に供給する。パッシブタグ部5では、送受信回路8で受信したコマンド情報に基づいてタグコントローラ9によりメモリ10に対するデータの読み出しや書き込みが行われる。センサ19等のデバイスの動作を制御するコマンドデータもタグコントローラ9によりメモリ10に書き込まれる。また、キャリア検知信号生成回路7は、電源再生回路6からの電力の供給および停止に基づいてキャリア検知信号を生成する。
【0007】
コントローラ部11では、キャリア信号検出部12がキャリア検知信号に基づいてキャリア信号のオンおよびオフを検出する。キャリア信号がオフであるときには、デバイスコントロール部13により電源スイッチ16が切り替えられ、電池18で駆動されている電源回路17から電力がメモリ10に供給される。そして、メモリアクセス部15は、メモリ10へアクセスして、メモリ10に記憶されているコマンドデータを読み出す。コマンド制御部14は、読み出されたコマンドデータに基づいて命令を解釈し、デバイスコントロール部13によりセンサ19等のデバイスの電源をオンにしたりオフにするなどの制御を行う。
【0008】
図17は、従来の情報処理装置の動作タイミング図である。図17に示すように、RFIDタグ4では、キャリア検知信号25がオンになると、コントローラ部11は、メモリアクセス部15によりメモリ10へアクセスする。そして、コントローラ部11は、メモリ10にコントローラ部向けのコマンドが書き込まれているか否かを確認する。コントローラ部11は、コントローラ部向けのコマンドとパッシブタグ部向けのコマンドとを区別することができないため、コントローラ部向けのスタートコマンド21、パッシブタグ部向けのリードコマンド22、パッシブタグ部向けのライトコマンド23およびコントローラ部向けのストップコマンド24のいずれの場合でも、コントローラ部11によるメモリアクセス26が発生する。センサ19等のデバイスは、コントローラ部向けのスタートコマンド21によってスリープ状態からセンシング等の動作状態へ遷移し、コントローラ部向けのストップコマンド24によって動作状態からスリープ状態へ遷移する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2009/019735号パンフレット
【特許文献2】特開2008−9826号公報
【特許文献3】特表2007−525859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のセミパッシブタイプのRFIDタグを用いた情報処理装置では、RFIDタグがリーダライタ装置からのキャリア信号を検知するたびにコントローラ部によるメモリアクセスが発生し、メモリにコントローラ部向けのコマンドデータが書き込まれているか否かが調べられる。そのため、RFIDタグがリーダライタ装置からのキャリア信号を受信可能な範囲に存在する場合には、コントローラ部によるメモリアクセスが頻発するため消費電力が増えるという問題点がある。特に、例えば強誘電体メモリ(FRAM:Ferroelectric Random Access Memory)のように消費電力が多いタイプのメモリを用いた場合には、頻発するメモリアクセスによって電池の消耗が激しくなってしまう。
【0011】
低消費電力化を図ることができる情報処理装置およびRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
情報処理装置はキャリア送信部および処理部を含む。キャリア送信部は送信パターン保持部および送信部を有する。送信パターン保持部は、送信するキャリア信号の送信パターンを保持する。送信部は送信パターンに基づいてキャリア信号を送信する。処理部は受信部、受信パターン保持部および解析部を有する。受信部は、送信部から送出される信号を電力に変換して動作し、キャリア信号の検出に応じて検出信号を出力する。受信パターン保持部は検出信号のパターンを保持する。解析部は受信パターン保持部を参照し、検出信号のパターンを解析する。
【発明の効果】
【0013】
情報処理装置およびRFIDタグにおいて、処理部の低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1にかかる情報処理装置を示すブロック図である。
【図2】実施例2にかかる情報処理装置を示すブロック図である。
【図3】実施例2にかかる情報処理装置におけるスタートコマンドの一例を示す模式図である。
【図4】実施例2にかかる情報処理装置におけるストップコマンドの一例を示す模式図である。
【図5】実施例2にかかるRFIDタグを示すブロック図である。
【図6】実施例2にかかる情報処理装置におけるパターンテーブルの一例を示す模式図である。
【図7】実施例2にかかる情報処理装置におけるメモリアクセステーブルの一例を示す模式図である。
【図8】実施例2にかかるリーダライタ装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例2にかかるRFIDタグのパッシブタグ部における処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ部における処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ部における処理を説明する模式図である。
【図12】実施例2にかかるRFIDタグにおけるスタートコマンドに対する処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施例2にかかるRFIDタグにおけるストップコマンドに対する処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施例2にかかる情報処理装置の動作タイミング図である。
【図15】従来の情報処理装置を示すブロック図である。
【図16】従来のRFIDタグを示すブロック図である。
【図17】従来の情報処理装置の動作タイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この情報処理装置およびRFIDタグの好適な実施の形態を詳細に説明する。情報処理装置およびRFIDタグは、キャリア送信部から送信パターンに基づいてキャリア信号を送信し、処理部においてキャリア信号の検出に応じて出力される検出信号のパターンを解析することで、処理部の省電力化を図るものである。
【0016】
(実施例1)
・情報処理装置の説明
図1は、実施例1にかかる情報処理装置を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置31はキャリア送信部32および処理部35を備えている。キャリア送信部32は送信パターン保持部33および送信部34を備えている。送信パターン保持部33は、処理部35へ送信するキャリア信号の送信パターンを保持している。送信部34は、送信パターン保持部33に保持されている送信パターンに基づいて処理部35へキャリア信号を送信する。
【0017】
処理部35は受信部36、受信パターン保持部37および解析部38を有する。受信部36は、送信部34から送出された信号を受信し、その受信信号を電力に変換して動作する。受信部36はキャリア信号の検出に応じて検出信号を出力する。受信パターン保持部37は検出信号のパターンを保持する。解析部38は受信パターン保持部37を参照し、受信部36から出力された検出信号のパターンを解析する。
【0018】
実施例1によれば、処理部35において検出信号のパターンを解析することによって、キャリア送信部32が送信した信号に含まれるコマンドを解釈することができるので、メモリ等の他のデバイスからコマンドを読み出さずに済む。従って、処理部35の省電力化を図ることができる。特に、強誘電体メモリのように消費電力の多いメモリからコマンドを読み出す場合には、メモリへのアクセス量が減ることによって処理部35の省電力化を図ることができる。
【0019】
(実施例2)
実施例2は、実施例1にかかる情報処理装置をRFIDタグシステムに適用したものである。
【0020】
・情報処理装置の説明
図2は、実施例2にかかる情報処理装置を示すブロック図である。図2に示すように、情報処理装置としてのRFIDタグシステム41は、キャリア送信部としてのリーダライタ装置42および処理部としてのRFIDタグ47を備えている。
【0021】
・リーダライタ装置の説明
リーダライタ装置42は、送信パターン保持部としてのパターン生成テーブル43、並びに送信部としてのコマンド生成部44、パターン生成部45および送信RF(Radio Frequency)回路46を備えている。コマンド生成部44は、ホストからの指示に基づいてRFIDタグ47の後述するパッシブタグ部向けのコマンド情報および後述するコントローラ部向けのコマンド情報を生成する。パターン生成テーブル43には、キャリア信号の送信パターンが、例えばRFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドごとに格納されている。
【0022】
パターン生成部45は、パターン生成テーブル43を参照し、RFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドの種類に対応するキャリア信号の送信パターンを生成する。送信RF回路46は、コントローラ部向けのコマンド情報およびパッシブタグ部向けのコマンド情報を無線信号に変換してアンテナから送信する。コマンド生成部44およびパターン生成部45は、後述するリーダライタ装置における処理手順をコンピュータに実行させるプログラムを、プロセッサが実行することにより実現されてもよい。このプログラムは、プロセッサがアクセス可能なメモリに格納されていてもよい。パターン生成テーブル43は、プロセッサがアクセス可能なメモリに格納されていてもよい。
【0023】
・キャリア信号の送信パターンの説明
図3は、実施例2にかかる情報処理装置におけるスタートコマンドの一例を示す模式図である。スタートコマンドはRFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドの一つである。スタートコマンドによって、例えばRFIDタグ47内に設けられた後述するセンサ等のデバイスが動作を開始する。
【0024】
図3に示すように、スタートコマンドに対応するキャリア信号の送信パターンは、キャリア信号71とキャリア信号72との間に例えば30msの停止期間(dt)を有する。一つのキャリア信号71には、例えば4個のオン期間73〜76とそれぞれの間のオフ期間が含まれている。図3に示すスタートコマンドのパターンは、図2に示すパターン生成テーブル43に「スタート,30,1,0,3」と記載されているパターンに対応している。
【0025】
図4は、実施例2にかかる情報処理装置におけるストップコマンドの一例を示す模式図である。ストップコマンドはRFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドの一つである。ストップコマンドによって、例えばRFIDタグ47内に設けられた後述するセンサ等のデバイスが動作を停止する。
【0026】
図4に示すように、ストップコマンドに対応するキャリア信号の送信パターンは、キャリア信号71とキャリア信号72との間に例えば100msの停止期間(dt)を有する。図4に示すストップコマンドのパターンは、図2に示すパターン生成テーブル43に「ストップ,100,0,0,4」と記載されているパターンに対応している。
【0027】
なお、RFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドに対応するキャリア信号の送信パターンは、図3または図4に示す例に限らない。また、図3または図4に示す例ではコントローラ部向けのコマンドによってキャリア信号71,72の停止期間(dt)の長さを変えている。それに対して、コントローラ部向けのコマンドによってキャリア信号71,72の長さを変えてもよいし、キャリア信号71,72の長さおよび停止期間(dt)の長さの両方を変えてもよい。
【0028】
・パターン生成テーブルの説明
図2に示すように、パターン生成テーブル43には、キャリア信号の送信パターンとして、例えばRFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドごとに「コマンド名」、「dt」、「ライト数」、「リード数」および「キャリア数」の各データが格納されている。「コマンド名」としては例えばスタートコマンドを表すスタートや、ストップコマンドを表すストップなどである。
【0029】
「dt」はキャリア信号の停止期間を規定するデータである。「dt」が例えば30であればキャリア信号の停止期間は30msである。
【0030】
「ライト数」は、パッシブタグ部向けのライトコマンドの信号を載せるキャリア信号のオン期間の数を規定するデータである。「ライト数」が例えば0であればキャリア信号にはライトコマンドの信号が載らない。「ライト数」が例えば1であればライトコマンドの信号はキャリア信号の一つのオン期間に載せられる。ライトコマンドによってRFIDタグ47では、RFIDタグ47内のメモリの指定領域にデータが書き込まれる。ライトコマンドによってRFIDタグ47内のメモリに書き込まれるデータの一つに、スタートコマンドによって動作させるセンサ等のデバイスのID(Identifier、識別子)やパラメータ情報がある。
【0031】
「リード数」は、パッシブタグ部向けのリードコマンドの信号を載せるキャリア信号のオン期間の数を規定するデータである。「リード数」が例えば0であればキャリア信号にはリードコマンドの信号が載らない。「リード数」が例えば1であればリードコマンドの信号はキャリア信号の一つのオン期間に載せられる。リードコマンドによってRFIDタグ47では、RFIDタグ47内のメモリの指定領域からデータが読み出される。
【0032】
「キャリア数」は、ライトコマンドやリードコマンドなどの信号が載っていないキャリア信号、すなわち変調がかけられていないキャリア信号のオン期間の数を規定するデータである。「キャリア数」が例えば3であればキャリア信号の三つのオン期間において変調がかけられていない。
【0033】
なお、「ライト数」や「リード数」がゼロでない場合、ライトコマンドやリードコマンドの信号は一つのキャリア信号71(または72)に載せられてもよいし、複数のキャリア信号71(または72)に載せられてもよい。また、「ライト数」や「リード数」がゼロでない場合、ライトコマンドやリードコマンドの信号はキャリア信号71(または72)の一つのオン期間に載せられてもよいし、複数のオン期間に載せられてもよい。
【0034】
一例として、ライトコマンドやリードコマンドの信号は、キャリア信号の送信パターンの先頭のキャリア信号71に載せられてもよい。また、一例として、ライトコマンドやリードコマンドの信号は、キャリア信号71(または72)の先頭のオン期間73に載せられてもよい。図2に示すパターン生成テーブル43におけるスタートコマンドのパターンでは、図3に示す図において先頭のキャリア信号71の先頭のオン期間73にライトコマンドの信号が載る。残りのキャリア信号72、および先頭のキャリア信号71の残りの3個のオン期間74〜76では変調がかけられない。図2に示すパターン生成テーブル43におけるストップコマンドのパターンでは、図4に示す図においていずれのキャリア信号71,72のいずれのオン期間73〜76にも変調がかけられない。
【0035】
・RFIDタグの説明
図5は、実施例2にかかるRFIDタグを示すブロック図である。図5に示すように、RFIDタグ47はパッシブタグ部51、コントローラ部57、電源スイッチ65、電源回路66、電池67およびセンサ68を備えている。コントローラ部57は、通常時スリープ状態にあり、パッシブタグ部51からキャリア検知信号を受け取るのを待機する状態にある。
【0036】
パッシブタグ部51は、受信部としての電源再生回路52およびキャリア検知信号生成回路53、送受信回路54、タグコントローラ55、並びにメモリ56を備えている。メモリ56の一例として、例えば強誘電体メモリ(FRAM)が挙げられる。電源再生回路52は、アンテナを介して受信したキャリア信号を電力に変換する。キャリア検知信号生成回路53、送受信回路54、タグコントローラ55およびメモリ56は、電源再生回路52から供給される電力によって動作する。
【0037】
キャリア検知信号生成回路53は、電源再生回路52から電力が供給されている間、キャリア信号を検出する。キャリア検知信号生成回路53は、キャリア信号を検出すると検出信号としてのキャリア検知信号を出力する。
【0038】
送受信回路54はリーダライタ装置42との間で無線通信によって信号の送受信を行う。タグコントローラ55は、リーダライタ装置42から送られてきたコマンド情報を送受信回路54から受け取る。タグコントローラ55は、リードコマンドを受け取った場合、メモリ56内の指定領域からデータを読み出して送受信回路54を介してリーダライタ装置42へ返却する。タグコントローラ55は、ライトコマンドを受け取った場合、メモリ56内の指定領域にデータを書き込む。
【0039】
コントローラ部57はタイマ58、キャリア信号検出部59、受信パターン保持部(パターン保持部)としてのパターンテーブル60、解析部としてのパターン解析部61、コマンド制御部62、デバイスコントロール部63およびメモリアクセス部64を備えている。キャリア信号検出部59は、キャリア検知信号生成回路53から出力されたキャリア検知信号を検出する。キャリア信号検出部59は、キャリア検知信号のレベルがローからハイまたはハイからローに切り替わるたびにタイマ58から時刻情報を取得してパターン解析部61へ送る。
【0040】
パターン解析部61は、パターンテーブル60を参照し、キャリア信号検出部59から取得した時刻情報に基づいてコントローラ部向けのコマンドを解析する。パターンテーブル60には、キャリア検知信号の照合パターンのデータが登録されている(図6参照)。パターン解析部61は、解析したコマンドのデータをコマンド制御部62に通知する。
【0041】
コマンド制御部62は、通知されたコマンドのデータおよび後述するメモリアクセスに関する情報(図7参照、メモリアクセステーブル)に基づいて、デバイスコントロール部63を介してメモリアクセス部64によるメモリ56へのアクセスを制御する。メモリアクセス部64は、デバイスコントロール部63の制御によって、メモリ56の指定された領域から例えばセンサ68等のデバイスのIDやパラメータ情報を読み出す。コマンド制御部62は、メモリ56から読み出されたIDが自身のIDと一致するか否かを判断する。読み出されたパラメータ情報はメモリアクセス部64からデバイスコントロール部63に渡される。
【0042】
デバイスコントロール部63は、センサ68等のデバイスのIDやパラメータ情報に基づいて、指定されたセンサ68等のデバイスの電源をオンにしたりオフにしたりする。センサ68で取得したデータはメモリアクセス部64に渡され、メモリアクセス部64によってメモリ56に書き込まれる。センサ68の一例として、例えば環境の温度を検出する温度センサ、環境の湿度を検出する湿度センサ、または振動や衝撃を検出する加速度センサなどが挙げられる。キャリア信号検出部59、パターン解析部61、コマンド制御部62、デバイスコントロール部63およびメモリアクセス部64は、後述するコントローラ部における処理手順、スタート処理手順およびストップ処理手順をコンピュータに実行させるプログラムを、プロセッサが実行することにより実現されてもよい。このプログラムは、プロセッサがアクセス可能なメモリに格納されていてもよい。パターンテーブル60は、プロセッサがアクセス可能なメモリに格納されていてもよい。
【0043】
コントローラ部57には電池67で駆動される電源回路66から電力が供給される。メモリアクセス部64によってメモリ56にアクセスする際には、メモリ56は、電源回路66から供給される電力によって動作する。メモリ56には電源回路66からとパッシブタグ部51の電源再生回路52から電力が供給される。デバイスコントロール部63の制御によって電源スイッチ65が切り替えられることによって、電源回路66および電源再生回路52のいずれか一方からメモリ56に電力が供給される。
【0044】
・パターンテーブルの説明
図6は、実施例2にかかる情報処理装置におけるパターンテーブルの一例を示す模式図である。図6に示すように、パターンテーブル60には、キャリア検知信号の照合パターンとして、例えばRFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドごとにスタートやストップなどの「コマンド名」、およびキャリア検知信号の停止期間「dt」の各データが格納されている。キャリア検知信号の停止期間は、キャリア信号の停止期間と同じである。
【0045】
・メモリアクセステーブルの説明
図7は、実施例2にかかる情報処理装置におけるメモリアクセステーブルの一例を示す模式図である。図7に示すように、メモリアクセステーブル69には、例えばRFIDタグ47のコントローラ部向けのコマンドごとにスタートやストップなどの「コマンド名」、パラメータがあるかないかを示す「パラメータ有無」およびメモリ56におけるパラメータの格納領域を示す「パラメータ領域」の各データが格納されている。図7に示す例では、スタートコマンドに対してはパラメータがあり、そのパラメータは0x00013〜0x00020の領域に格納されている。ストップコマンドに対してはパラメータがないので、パラメータの格納領域は指定されていない。メモリアクセステーブル69は例えばコマンド制御部62に含まれている。メモリアクセステーブル69は、プロセッサがアクセス可能なメモリに格納されていてもよい。
【0046】
・情報処理装置における処理手順の説明
実施例2にかかる情報処理装置としてのRFIDタグシステムにおける処理手順について説明する。リーダライタ装置42における処理手順、RFIDタグ47のパッシブタグ部51における処理手順およびRFIDタグ47のコントローラ部57における処理手順の順に説明する。
【0047】
・リーダライタ装置における処理手順の説明
図8は、実施例2にかかるリーダライタ装置における処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、リーダライタ装置42の電源がオンとなり、リーダライタ装置42での処理が開始されると、コマンド生成部44はホストからの指示によってパッシブタグ部向けのコマンド情報を発行するのか否かを判断する(ステップS1)。パッシブタグ部向けのコマンド情報を発行する場合(ステップS1:Yes)、コマンド生成部44はパッシブタグ部向けのコマンド情報を生成する(ステップS8)。次いで、送信RF回路46はパッシブタグ部向けのコマンド情報を発行し、送信する(ステップS9)。
【0048】
パッシブタグ部向けのコマンド情報を発行しない場合(ステップS1:No)、コマンド生成部44はコントローラ部向けのコマンド情報を発行するのか否かを判断する(ステップS2)。コントローラ部向けのコマンド情報を発行しない場合(ステップS2:No)、ステップS1に戻り、ホストからのコマンド情報発行の指示を待つ。
【0049】
一方、コントローラ部向けのコマンド情報を発行する場合(ステップS2:Yes)、コマンド生成部44はコントローラ部向けのコマンド情報を生成する(ステップS3)。RFIDタグ47がコントローラ部向けのコマンド情報に基づいて動作する際に制御情報が必要である場合には、その制御情報をパッシブタグ部向けのライトコマンドに埋め込む。パッシブタグ部向けのライトコマンドに埋め込まれる制御情報の一例として、例えばセンサ68等のデバイスのIDやパラメータ情報などがある。
【0050】
次いで、パターン生成部45は、コントローラ部向けのコマンドの種類に対応するキャリア信号の送信パターンを生成する(ステップS4)。例えば、スタートコマンドの場合には30msの停止期間(dt)を有し、ストップコマンドの場合には100msの停止期間(dt)を有するキャリア信号の送信パターンが生成される。次いで、送信RF回路46は、コントローラ部向けのコマンド情報を発行する(ステップS5)。
【0051】
その状態でコントローラ部向けのコマンド情報の送信が終了するのを待つ(ステップS6:No)。コントローラ部向けのコマンド情報の送信が終了したら(ステップS6:Yes)、あるいはステップS9でパッシブタグ部向けのコマンド情報の送信が終了したら、コマンド生成部44は次のコマンド情報を発行するか否かを判断する(ステップS7)。次のコマンド情報を発行する場合(ステップS7:Yes)、ステップS1に戻り、ホストからのコマンド情報発行の指示を待つ。次のコマンド情報を発行しない場合(ステップS7:No)、処理を終了する。
【0052】
・RFIDタグのパッシブタグ部における処理手順の説明
図9は、実施例2にかかるRFIDタグのパッシブタグ部における処理手順を示すフローチャートである。RFIDタグ47がキャリア信号を受信すると、電源再生回路52によりパッシブタグ部51の電源がオンとなる。そして、図9に示すように、パッシブタグ部51での処理が開始されると、タグコントローラ55は送受信回路54を介してIDおよびコマンド情報を受信する(ステップS11)。
【0053】
次いで、タグコントローラ55は、受信したIDが自身のIDと一致するか否かを判断する(ステップS12)。IDが一致しない場合、RFIDタグ47はIDが一致する信号を受信するのを待つ(ステップS12:No)。IDが一致する場合(ステップS12:Yes)、タグコントローラ55は、受信したコマンド情報を解釈する(ステップS13)。そして、タグコントローラ55は解釈したコマンドの種類に応じたコマンドの処理を行う(ステップS14)。コマンドの種類がライトコマンドである場合(ステップS14:ライトコマンド)、タグコントローラ55はメモリ56の指定領域にデータを書き込み(ステップS17)、処理を終了する。
【0054】
コマンドの種類がリードコマンドである場合(ステップS14:リードコマンド)、タグコントローラ55はメモリ56の指定領域からデータを読み出す(ステップS15)。次いで、タグコントローラ55は、読み出したデータを送受信回路54へ出力し(ステップS16)、処理を終了する。送受信回路54に渡されたデータはリーダライタ装置42へ送信される。コマンドの種類がライトコマンドでもなく、リードコマンドでもない場合(ステップS14:その他)、タグコントローラ55はコマンドの解釈に失敗したとして、何も行わずに処理を終了する。
【0055】
・RFIDタグのコントローラ部における処理手順の説明
図10は、実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ部における処理手順を示すフローチャートである。図11は、実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ部における処理を説明する模式図である。
【0056】
図10に示すように、コントローラ部57での処理の開始にあたってコントローラ部57が初期化される。初期状態ではコントローラ部57はスリープ状態にあり、キャリア検知信号生成回路53からのキャリア検知信号の入力による割り込みの発生待ち状態にある。また、電池67、電源回路66および電源スイッチ65によるメモリ56への電力供給が無効、すなわちこの電源系統での電力がメモリ56に供給されていない状態にある(ステップS21)。
【0057】
スリープ状態において、キャリア信号検出部59は、パッシブタグ部51へのアクセスに続いてキャリア検知信号のレベルが変化したか否かを判断する(条件分岐:A、ステップS22)。キャリア検知信号のレベルに変化がない場合(ステップS22:No)、変化するまで待つ。キャリア検知信号のレベルが変化すると(ステップS22:Yes)、コントローラ部57が起動する。そして、キャリア信号検出部59はタイマ58から時刻情報を取得する。このときの時刻をTsとする(ステップS23)。
【0058】
次いで、キャリア信号検出部59は、パッシブタグ部51へのアクセスに続いてキャリア検知信号のレベルが変化したか否かを判断する(条件分岐:B、ステップS24)。キャリア検知信号のレベルに変化がない場合(ステップS24:No)、変化するまで待つ。キャリア検知信号のレベルが変化すると(ステップS24:Yes)、キャリア信号検出部59はタイマ58から時刻情報を取得する。このときの時刻をTeとする(ステップS25)。
【0059】
次いで、キャリア信号検出部59はBの条件分岐(ステップS24)においてキャリア検知信号のレベルがローからハイに切り替わったのか否かを判断する(条件分岐:C、ステップS26)。ステップS24からステップS26の1巡目および3巡目では、キャリア検知信号のレベルの変化はローからハイではない(図11参照)。従って、この場合(ステップS26:No)、キャリア信号検出部59はこの時点でのTeを新たにTsとする(Ts=Te、ステップS31)。そして、ステップS24に戻る。
【0060】
一方、ステップS24からステップS26の2巡目および4巡目では、キャリア検知信号のレベルの変化はローからハイである(図11参照)。従って、この場合(ステップS26:Yes)、キャリア信号検出部59はTeからTsを引いた時間情報をキャリア検知信号の停止期間dtとする(dt=Te−Ts、ステップS27)。
【0061】
例えば図6に示すパターンテーブル60の例では、キャリア検知信号の停止期間dtが30msである場合(ステップS27:dt=30ms)、パターン解析部61は、コントローラ部向けのコマンドがスタートコマンドであると解釈する。それによって、後述するスタート処理が行われる(ステップS29)。キャリア検知信号の停止期間dtが100msである場合(ステップS27:dt=100ms)、パターン解析部61は、コントローラ部向けのコマンドがストップコマンドであると解釈する。それによって、後述するストップ処理が行われる(ステップS28)。
【0062】
スタート処理もしくはストップ処理の終了後、またはキャリア検知信号の停止期間dtが30msでもなく、100msでもない場合(ステップS27:その他)、キャリア信号検出部59はこの時点でのTeを新たにTsとする(Ts=Te、ステップS30)。そして、ステップS24に戻り、これ以降、ステップS24からステップS31までを繰り返す。
【0063】
・スタート処理の説明
図12は、実施例2にかかるRFIDタグにおけるスタートコマンドに対する処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、スタート処理が開始されると、コマンド制御部62は、現在の状態がスタートの状態、すなわちセンサ68等のデバイスが動作している状態であるか否かを判断する(ステップS41)。スタートの状態である場合(ステップS41:Yes)、処理を終了する。
【0064】
スタートの状態でない場合(ステップS41:No)、電池67、電源回路66および電源スイッチ65による電源系統での電力がメモリ56に供給される。そして、メモリアクセス部64は、メモリ56の、メモリアクセステーブル69により指定される領域からIDおよびパラメータ情報等のデータを読み出す(ステップS42)。コマンド制御部62は、メモリ56から読み出されたIDが自身のIDと一致するか否かを判断する(ステップS43)。IDが一致しない場合(ステップS43:No)、処理を終了する。
【0065】
IDが一致する場合(ステップS43:Yes)、デバイスコントロール部63は、メモリ56から読み出されたパラメータ情報に基づいてセンサ68等のデバイスを起動し、動作を開始させる(ステップS44)。そして、コマンド制御部62は、現在の状態をスタートの状態に設定し(ステップS45)、処理を終了する。
【0066】
・ストップ処理の説明
図13は、実施例2にかかるRFIDタグにおけるストップコマンドに対する処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、ストップ処理が開始されると、コマンド制御部62は、現在の状態がストップの状態、すなわちセンサ68等のデバイスが動作していない状態であるか否かを判断する(ステップS51)。ストップの状態である場合(ステップS51:Yes)、処理を終了する。
【0067】
ストップの状態でない場合(ステップS51:No)、デバイスコントロール部63は全てのセンサ68等のデバイスの動作を停止させる(ステップS52)。そして、コマンド制御部62は、現在の状態をストップの状態に設定し(ステップS53)、処理を終了する。
【0068】
・動作タイミングの説明
図14は、実施例2にかかる情報処理装置の動作タイミング図である。図14に示すように、RFIDタグ47では、コントローラ部向けのスタートコマンド81のときにコントローラ部57によるメモリアクセス85が発生し、メモリ56からIDやパラメータ情報等のデータが読み出される。パッシブタグ部向けのリードコマンド82、パッシブタグ部向けのライトコマンド83およびコントローラ部向けのストップコマンド84のときには、コントローラ部57によるメモリアクセスは起こらない。従って、実施例2によれば、例えば図17に示す従来例と比較すると、コントローラ部57によるメモリアクセスの回数が従来例の1/4に減るので、その分、消費電力も減り、電池67の持ちが良くなる。
【0069】
なお、コントローラ部向けのコマンドは、スタートコマンドおよびストップコマンド以外にも適宜用意されていてもよい。また、パッシブタグ部向けのコマンドは、ライトコマンドおよびリードコマンド以外にも適宜用意されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
31 情報処理装置
32 キャリア送信部
33 送信パターン保持部
34 送信部
35 処理部
36 受信部
37 受信パターン保持部
38 解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信するキャリア信号の送信パターンを保持する送信パターン保持部と、
前記送信パターンに基づいてキャリア信号を送信する送信部と、
を有するキャリア送信部と、
前記送信部から送出される信号を電力に変換して動作し、キャリア信号の検出に応じて検出信号を出力する受信部と、
前記検出信号のパターンを保持する受信パターン保持部と、
前記受信パターン保持部を参照し、前記検出信号のパターンを解析する解析部と、
を有する処理部と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記キャリア信号の送信パターンは、パターンごとに前記キャリア信号の停止期間が異なることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記検出信号のレベルが第1のレベルから第2のレベルに遷移し、再び第1のレベルに復帰する際の前記第2のレベルの期間に基づいて前記検出信号のパターンを解析することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
受信したキャリア信号を電力に変換して動作し、前記キャリア信号の検出に応じて検出信号を出力する受信部と、
前記キャリア信号の送信元が送信する送信パターンを照合する照合パターンを保持するパターン保持部と、
前記パターン保持部を参照し、前記検出信号のパターンを解析する解析部と、
を有することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項5】
前記解析部は、前記検出信号のレベルが第1のレベルから第2のレベルに遷移し、再び第1のレベルに復帰する際の前記第2のレベルの期間に基づいて前記検出信号のパターンを解析することを特徴とする請求項4に記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−33019(P2012−33019A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172350(P2010−172350)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】