説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】美肌に顔補正を施した画像を含む写真を該当通信対象者に限定して電子メール送信可能にする。
【解決手段】情報処理装置は、画像と、前記画像の付加情報と、を対応付けて記録した画像記録手段と、送信部と、プロセッサと、を備える。この情報処理装置の前記プロセッサは、送信する電子メールの送信先識別子と、前記電子メールに添付される画像に対応付けて前記画像記録手段に記録されている付加情報に含まれる補正対象者識別子と、を比較し、前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致した場合には、前記画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させ、前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致しない場合には、前記付加情報に含まれる補正情報に基づいて前記画像から復元した補正前画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、写真撮影機能を含む情報処理装置の一例として、カメラ付きの携帯電話端末が普及している。この携帯電話端末においては、内蔵カメラにより、人(人物と記載することもある)の顔画像や、風景、物などの顔画像を含まない画像を写真撮影することが可能である。また、この携帯電話端末は、音声通信(通話)機能及び電子メール送受信機能を有する。
【0003】
特許文献には、人の肌色はメラニンの含量とヘモグロビンの含量とに左右されることが既知であるので、メラニン成分量及びヘモグロビン成分量に基づく簡易な演算により、撮影画像に含まれる人の肌色を補正する肌色補正技術を提案するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−41804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した肌色補正技術を利用することにより、カメラ付きの携帯電話端末で写真撮影した顔画像の肌色を変更して、肌色に美白効果を加えたり、顔からシミ等を除去する美顔処理を施し、肌を美しく補正(美肌補正)することが可能となる。
【0006】
また、カメラ付きの携帯電話端末に格納されている電話帳またはアドレス帳に登録済の通信対象者の顔を指定することにより、顔認識技術によって特定される通信対象者の顔画像だけを美肌補正することが可能となる。
【0007】
しかしながら、例えば集合写真などを添付して複数の通信対象者に電子メールを送信(配信または同報送信)する場合、美肌補正を施さない顔画像は、美肌補正を施した顔画像に比べて見劣りする写真となるので、美肌補正を施さない顔画像の人にとっては、不自然な写真になってしまうことを免れない。
【0008】
課題は、少なくとも二人の通信対象者に写真添付の電子メールを送信するとき、美肌に顔補正を施した画像を含む写真を該当通信対象者に限定して電子メール送信可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、情報処理装置は、画像と、前記画像の付加情報と、を対応付けて記録した画像記録手段と、送信部と、プロセッサと、を備える。この情報処理装置の前記プロセッサは、送信する電子メールの送信先識別子と、前記電子メールに添付される画像に対応付けて前記画像記録手段に記録されている付加情報に含まれる補正対象者識別子と、を比較し、前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致した場合には、前記画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させ、前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致しない場合には、前記付加情報に含まれる補正情報に基づいて前記画像から復元した補正前画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させる。
【発明の効果】
【0010】
開示した情報処理装置によれば、通信対象者に写真添付の電子メールを送信するとき、顔補正を施した画像を含む写真は該当通信対象者に限定して送信し、該当しない通信対象者には顔補正前画像を含む写真を送信することができる。
【0011】
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施の形態の携帯電話端末の外観構成を示す図。
【図2】一実施の形態の携帯電話端末の構成を示すブロック図。
【図3A】一実施の形態における顔補正写真撮影処理を説明するためのフローチャート。
【図3B】一実施の形態における顔補正写真撮影処理を説明するためのフローチャート。
【図4】一実施の形態における顔補正前画像を含む写真及び顔補正後画像を含む写真を説明するための図。
【図5】一実施の形態における画像付加情報フォーマットを説明するための図。
【図6A】一実施の形態における顔補正写真送信処理を説明するためのフローチャート。
【図6B】一実施の形態における顔補正写真送信処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されてはならない。
【0014】
[携帯電話端末の構成及び機能]
図1及び図2は本発明の一実施の形態における顔補正画像を含む写真の送信制御機能を有する情報処理装置の一例としての携帯電話端末1を示す。
【0015】
図1に外観構成を示すこの携帯電話端末1は、通信ネットワークを介した音声通信(通話)機能、図示省略の電子メールサーバ(電子メールポスト)と連携した電子メール送受信機能、及び写真撮影機能などを含む。携帯電話端末1は同様の機能を有するパーソナルコンピータなどの携帯情報端末であってもよい。
【0016】
この携帯電話端末1は、これらの機能を遂行するために、ハードウェア構成として、次の要素を含んでいる。つまり、制御機能部は、プロセッサ(CPU:Central Processing
Unit)5と、作業用メモリとしてのRAM(Random Access Memory)6と、立ち上げの
ためのブートプログラムを格納したROM(Read Only Memory)7とを備える。
【0017】
通信機能部は、アンテナ10と、無線送受信部11と、マイクロホン、スピーカ及びイヤレシーバを含むオーディオ入出力部12とを備える。情報入力・指定機能部は、テンキー20と、各種機能ボタン(キー)21と、ポインティング部22と、カーソル送り部23とを備える。また、情報表示機能部はディスプレイ(LCD)30を備え、撮像機能部はカメラ40を備える。
【0018】
さらに、情報保持機能部はOS(Operating System)、顔補正画像を含む写真の送信制御プログラムなどの各種アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を
書換え可能に保存する不揮発性のフラッシュメモリ50を固定的または着脱可能に備える。このフラッシュメモリ50には、通信対象者を特定するための情報として、氏名、電話番号、電子メールアドレス、及び写真撮影された顔画像などを対応付けて保存した電話帳(アドレス帳)51が記憶されている。
【0019】
この携帯電話端末1においては、内蔵のカメラ40により、人の顔画像や、風景、物などの顔画像を含まない画像を写真撮影することが可能である。カメラ40により写真撮影された顔画像は、通信対象者を特定するための情報として、電話帳51に予め保存される。
【0020】
後に詳述する顔補正画像を含む写真の送信制御機能を論理的に実現するには、携帯電話端末1において、情報保持機能部のフラッシュメモリ50に送信制御プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておくことにより、利用者からの要求を契機に、プロセッサ5がこの送信制御プログラムをRAMに展開して実行する。
【0021】
プロセッサ5は、送信制御プログラムを実行することにより、制御機能部、通信機能部、情報入力・保持機能部、情報表示機能部、撮像機能部、及び情報保持機能部などの上記ハードウェア構成要素と連携して、後述の顔補正写真撮影処理及び顔補正写真送信処理を遂行する。
【0022】
[顔補正画像を含む写真の送信制御機能]
次に、図1及び図2に示す一実施の形態の携帯電話端末1における動作例について関連図を併せ参照して説明する。
【0023】
〈顔補正写真撮影処理〉
携帯電話端末1においては、プロセッサ5が送信制御プログラムを実行することにより、下記手順の顔補正写真撮影処理を遂行する。
【0024】
図3Aを参照すると、内蔵のカメラ40による写真撮影時、顔補正モードが指定されているか否かを判断する(S1)。顔補正モードが指定されていないときは、通常の写真撮影処理が行われて終了する(S2)。一方、顔補正モードが指定されているときは、顔補正写真撮影処理が行われる(S3)。
【0025】
ここで、顔補正モードは、例えば利用者(撮影者)がメニューキー(ボタン)を押した後、カメラ、写真モード、及び顔補正モードを順次指定することにより、設定可能である。
【0026】
図3Bを参照すると、この顔補正写真撮影処理においては、先ず、顔補正対象として選択され、かつ電話帳51に予め登録されている人物の顔写真(顔画像)に基づいて、撮影しようとしている被写体の中から指定人物の顔が抽出される。つまり、電話帳の顔認証データから撮影対象者の顔が認識され、認識された顔に矩形が表示される(図4参照)(S31,S32)。この矩形表示に基づいて、補正対象の顔の選択(指定)があると判断される(S33)。
【0027】
補正対象の顔の指定があると判断された場合、指定顔の補正度合い及び補正エリアが画像ファイルに記録され(S34)、更に指定顔対応の人物の電子メールアドレス(単に、メールアドレスと記載することもある)が画像ファイルに記録される(S35)。これら補正エリア及び電子メールアドレスの記録処理は複数の指定顔について繰り返し行われる(S36)。ここで、指定顔対応の人物の電子メールアドレスは電話帳51から取得される。
【0028】
図4に示す顔補正後画像を含む写真P2の画像ファイルに拡張子として記録される、厳密には埋め込まれる画像付加情報は、例えばJEIDA(日本電子工業振興協会)で標準化された画像フォーマットEXIF(Exchangeable Image File Format)を採用することが可能である。
【0029】
この画像フォーマットEXIFを採用した場合、画像付加情報は次に示す画像データ(バイナリ形式)を含む(図5参照)。この画像付加情報においては、指定顔の補正度合いを示す補正RGB及び指定顔の補正エリアを示す矩形表示座標を顔補正後画像を含む写真P2の画像ファイルにそれぞれ記録しているので、顔補正後画像を含む写真P2を顔補正前画像を含む写真P1に復元することができる。
(1)EXIF type:ASCII
(2)EXIF ID:bihada(標準ID以外を使用)
(3)補正度合いを示す補正RGB:+a,+b,+c
(4)補正エリア1:矩形表示座標(X1,Y1)−(X2,Y2)
(5)補正者メールアドレス1:aaa@bbb.ne.jp
(6)補正エリア2:矩形表示座標(X3,Y3)−(X4,Y4)
(7)補正者メールアドレス2:ccc@bbb.ne.jp
上記処理S36に続いて、利用者がカメラ40を作動して顔補正写真撮影を行った場合(S37)、指定人物だけの顔画像が美肌に補正される。つまり、指定顔の補正エリアの肌成分補正が行われた後、顔補正写真撮影処理が終了する(S38)。
【0030】
〈顔補正写真送信処理〉
次に、携帯電話端末1においては、プロセッサ5が送信制御プログラムを実行することにより、下記手順の顔補正写真送信処理を遂行する。
【0031】
図6Aを参照すると、利用者(電子メールの発信者)がメニューキー(ボタン)を押した後、メール作成(編集)を行い、添付ファイルとして、美肌に顔補正を施した画像を含む写真が選択されたことを画像ファイルに拡張子として記録されている画像付加情報におけるEXIF ID=bihadaに基づいて判断した場合、顔補正写真送信処理が起動される(S4,S5)。なお、画像付加情報におけるEXIF ID=bihadaではないと判断した場合、通常のメール送信処理が行われて終了する(S6)。
【0032】
図6Bを参照すると、この顔補正写真送信処理においては、先ず画像ファイルの画像付加情報から顔補正者のメールアドレスが抽出される(S51)。画像付加情報から抽出されたメールアドレスと、編集中の送信対象メールの送信先メールアドレスとを比較することにより、送信先メールアドレスが顔補正者に対応するか判断される(S52)。
【0033】
送信先メールアドレスが画像ファイルの画像付加情報に記録してある顔補正者のメールアドレスと一致した場合、顔補正後画像を含む写真を添付した第1の送信対象メールにメールアドレスを追加する(S53)。
【0034】
また、送信先メールアドレスが画像ファイルの画像付加情報に記録してある顔補正者のメールアドレスと異なる場合、画像付加情報から補正データとして補正度合い及び補正エリアを抽出する(S55)。この抽出した補正データに基づいて顔補正前画像を含む写真に復元し、復元した写真を添付した第2の送信対象メールにメールアドレスを追加する(S56,S57)。
【0035】
複数の送信先メールアドレスがメールに設定されている状態では、全ての送信先メールアドレスについて、上記分類処理(S52,S53,S55,S56,S57)を繰り返
した後、第1の送信対象メール及び第2の送信対象メールがそれぞれ送信される(S54,S58,S59)。
【0036】
上述したように、一実施の形態の携帯電話端末1においては、美肌に顔補正を施した画像を含む写真を添付して複数の人に送信する場合、顔補正を施した画像対応の人には、顔補正後画像を含む写真を添付した電子メールを送信し、顔補正を施していない画像対応の人には、顔補正前画像を含む写真を添付した電子メールを送信することができる。
【0037】
ここで、各電子メールの送信対象者が複数であるときは同報送信する。この同報送信は、宛名(送信先メールアドレスまたは宛先メールアドレス)を複数指定して、同一のメールデータを一度に送信するサービスである。
【0038】
[変形例]
上述した一実施の形態においては、画像付加情報に基づいて、顔補正後画像を含む写真から逆補正して顔補正前画像を含む写真を復元しているが、顔補正時に補正前画像を保存しておいて、メール送信時に置換するようにしてもよい。
【0039】
また、上述した一実施の形態においては、複数の送信先メールアドレスがメールに設定されている状態において、顔補正を施した画像対応の人には顔補正後画像を添付し、顔補正を施していない画像対応の人には顔補正前画像を添付するように構成したが、他の実施形態も可能である。例えば、複数の送信先メールアドレスの中に顔補正を施していない画像対応の人が一人でも含まれる場合には、当該複数の送信先メールアドレスに対して顔補正前画像を添付するようにしてもよい。このようにすることで、同報送信される全ての人に同じ画像が添付されるようになるため、利用者ごとに異なる画像が送られた場合に発生する当該利用者間の当該画像に関する会話の不一致等を防ぐことが可能となる。
【0040】
上述した一実施の形態における各処理はその任意の複数または全てを選択し組合せて実施することもできる。
【0041】
また、上述した一実施の形態における処理はコンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD−ROMやフレキシブルディスクなどの記録媒体、さらには通信回線を経て提供可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯電話端末
5 プロセッサ(CPU)
6 RAM
7 ROM
11 無線送受信部
40 カメラ
50 フラッシュメモリ
51 電話帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像と、前記画像の付加情報と、を対応付けて記録した画像記録手段と、
送信部と、
プロセッサと、を備える情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
送信する電子メールの送信先識別子と、前記電子メールに添付される画像に対応付けて前記画像記録手段に記録されている付加情報に含まれる補正対象者識別子と、を比較し、
前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致した場合には、前記画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させ、前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致しない場合には、前記付加情報に含まれる補正情報に基づいて前記画像から復元した補正前画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、複数の送信先識別子が前記電子メールに設定されている場合であって、前記複数の送信先識別子のいずれかが前記補正対象者識別子と一致しない場合には、前記付加情報に含まれる補正情報に基づいて前記画像から復元した補正前画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記補正情報は、RGB情報及び補正エリアを示す座標情報を含む
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
画像と、前記画像の付加情報と、を対応付けて記録した画像記録手段と、
送信部と、
プロセッサと、を備える情報処理装置により実行されるプログラムであって、
前記プロセッサに、
送信する電子メールの送信先識別子と、前記電子メールに添付される画像に対応付けて前記画像記録手段に記録されている付加情報に含まれる補正対象者識別子と、を比較し、
前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致した場合には、前記画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させ、前記送信先識別子と前記補正対象者識別子が一致しない場合には、前記付加情報に含まれる補正情報に基づいて前記画像から復元した補正前画像を添付した電子メールを前記送信部に送信させる処理を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2012−209894(P2012−209894A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75924(P2011−75924)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】