説明

情報処理装置及び情報処理方法及びプログラム

【課題】地震時に複数の鉄道事業者の鉄道車両を適切な状態に置く。
【解決手段】地震情報データベース101は、複数の鉄道事業者の路線について、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示される路線軌道位置データと、複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データとを記憶する。地震計情報処理部102は、複数の地震計から地震計情報を受信する。地震判定処理部103は、各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生している場合に、地震計情報と地震計位置データの各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する。走行制御判定処理部104は、地震が発生している場合に、地震の震源地及び規模と、路線軌道位置データの各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、複数の鉄道事業者の路線ごとに、鉄道車両に対して走行制御が必要であるかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生時に、鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本願に関連する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1では、地震計装置に地震対策処置制御装置が接続し、地震対策処置制御装置に地震対策処置装置が接続している。
地震対策処置装置は、例えば、鉄道車両に各種情報を報知又は伝送する交通情報装置である。
地震対策処置装置(交通情報装置)は、鉄道線路の地上側に設けられてもよいし、鉄道車両の車内(例えば運転台又は車掌室など)に設けられてもよい。
そして、地震が発生した場合は、地震計装置が地震の震源との間の震源距離と、近傍に及ぼす地震被害の程度を推定する。
また、地震対策処置制御装置は、地震計装置の推定結果に基づき、地震が発生した旨の情報、又は鉄道車両が停止すべき旨の情報、又は鉄道車両が迂回すべき旨の情報、若しくは鉄道車両が引き返すべき旨の情報を、地震対策処置装置(交通情報装置)を介して、鉄道車両に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−284226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、特許文献1の技術では、地震対策処置装置が、地震計装置の推定結果に基づく各種情報を地震対策処置制御装置から取得し、取得した情報を鉄道車両に通知して、地震発生時の鉄道車両の停止、迂回、引き返し等を可能にしている。
つまり、特許文献1の技術では、地震計装置、地震対策処置制御装置及び地震対策処置装置が通信を行い、相互に連携することによって、地震発生時の鉄道車両の走行制御を行っている。
現状、鉄道業界では、地震計等の地震対策設備は鉄道事業者単位で配備・保有されており、複数の鉄道事業者間で地震対策設備を共用することは行われていない。
かかる現実を考慮すると、地震計装置、地震対策処置制御装置及び地震対策処置装置の連携によって地震の影響範囲を正確に推定し、適切な運行制御を行うことができるのは、実質的に、鉄道事業者が地震計装置、地震対策処置制御装置及び地震対策処置装置をすべて保有している場合に限られる。
【0005】
このため、特許文献1の技術によれば、これらの装置を完備していない鉄道事業者では、地震の影響を正確に予測することができず、また、この結果、地震発生時の安全確保動作が不十分又は過分になってしまう。
安全確保動作が不十分な場合とは、例えば、本来は、鉄道車両を緊急停止させなければならないにもかかわらず減速運転にとどまる場合である。
一方、安全確保動作が過分とは、例えば、本来は、減速運転で足りるところを鉄道車両を緊急停止させてしまう場合である。
日本国内に存在する鉄道事業者には、充実した地震対策設備を持つ鉄道事業者もあれば、充実した地震対策設備を持たない鉄道事業者もあるが、いずれの鉄道事業者であっても地震発生時に適切な安全確保動作を行う必要があることに変わりはない。
【0006】
本発明は、これらの点に鑑みたものであり、鉄道事業者ごとの設備保有状況にかからわす、地震発生時に複数の鉄道事業者の鉄道車両を適切な状態に置くことができる仕組みを実現することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、
複数の鉄道事業者の複数の路線について、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示される路線軌道位置データと、複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データとを記憶する地震情報データベースと、
前記複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信する地震計情報処理部と、
前記地震計情報処理部により受信された各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震計情報と前記地震計位置データに示される各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する地震判定処理部と、
前記地震判定処理部により地震が発生していると判定された場合に、前記地震判定処理部により判定された地震の震源地及び規模と、前記路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、前記複数の鉄道事業者の路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定する走行制御判定処理部とを有することを特徴とする。
【0008】
前記走行制御判定処理部は、
いずれかの鉄道事業者のいずれかの路線において走行制御が必要と判定した場合に、走行制御が必要と判定した鉄道事業者に対して鉄道車両の走行を制限するよう指示する走行制御信号を生成し、
前記情報処理装置は、更に、
前記走行制御判定処理部により生成された走行制御信号を、対象となる鉄道事業者が利用する通信装置に対して送信する走行制御信号送信部を有することを特徴とする。
【0009】
前記走行制御判定処理部は、
路線上の鉄道車両に対する走行制御の要否判定として、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定することを特徴とする。
【0010】
前記走行制御判定処理部は、
路線内の区間ごとに、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定することを特徴とする。
【0011】
前記地震情報データベースは、
前記複数の鉄道事業者のうちのいずれかの鉄道事業者が保有している地震計である鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データを記憶し、
前記地震計情報処理部は、
鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信し、
前記走行制御判定処理部は、
地震計を保有しない鉄道事業者及び地震計の保有数が一定以下の鉄道事業者を含めた複数の鉄道事業者について、路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る情報処理方法は、
複数の鉄道事業者の複数の路線について、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示される路線軌道位置データと、複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データとを記憶する地震情報データベースから、コンピュータが、前記路線軌道位置データと、前記地震計位置データとを読み出すデータ読出し処理と、
前記コンピュータが、前記複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信する地震計情報受信処理と、
前記コンピュータが、前記地震計情報受信処理により受信された各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震計情報と前記地震計位置データに示される各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する地震判定処理と、
前記コンピュータが、前記地震判定処理により地震が発生していると判定された場合に、前記地震判定処理により判定された地震の震源地及び規模と、前記路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、前記複数の鉄道事業者の路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定する走行制御判定処理とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプログラムは、
複数の鉄道事業者の複数の路線について、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示される路線軌道位置データと、複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データとを記憶する地震情報データベースから、前記路線軌道位置データと、前記地震計位置データとを読み出すデータ読出し処理と、
前記複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信する地震計情報受信処理と、
前記地震計情報受信処理により受信された各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震計情報と前記地震計位置データに示される各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する地震判定処理と、
前記地震判定処理により地震が発生していると判定された場合に、前記地震判定処理により判定された地震の震源地及び規模と、前記路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、前記複数の鉄道事業者の路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定する走行制御判定処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
前記走行制御判定処理において、
いずれかの鉄道事業者のいずれかの路線において走行制御が必要と判定された場合に、前記コンピュータに、走行制御が必要と判定された鉄道事業者に対して鉄道車両の走行を制限するよう指示する走行制御信号を生成させ、
前記プログラムは、更に、
前記コンピュータに、
前記走行制御判定処理により生成された走行制御信号を、対象となる鉄道事業者が利用する通信装置に対して送信させることを特徴とする。
【0015】
前記走行制御判定処理において、
前記コンピュータに、
路線上の鉄道車両に対する走行制御の要否判定として、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定させることを特徴とする。
【0016】
前記走行制御判定処理において、
前記コンピュータに、
路線内の区間ごとに、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定させることを特徴とする。
【0017】
前記データ読出し処理において、
前記コンピュータに、
前記複数の鉄道事業者のうちのいずれかの鉄道事業者が保有している地震計である鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データを読み出させ、
前記地震計情報処理において、
前記コンピュータに、
鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信させ、
前記走行制御判定処理において、
前記コンピュータに、
地震計を保有しない鉄道事業者及び地震計の保有数が一定以下の鉄道事業者を含めた複数の鉄道事業者について、路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、複数の鉄道事業者の路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定するため、鉄道事業者ごとの設備保有状況にかからわす、地震発生時に複数の鉄道事業者の鉄道車両を適切な状態に置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1に係る鉄道防災システムの構成例を示す図。
【図2】実施の形態1〜3に係る地震防災クラウドサーバ装置の構成例を示す図。
【図3】実施の形態1〜3に係る地震防災クラウドサーバ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図4】実施の形態2に係る鉄道防災システムの構成例を示す図。
【図5】実施の形態3に係る鉄道防災システムの構成例を示す図。
【図6】実施の形態1〜3に係る地震防災クラウドサーバ装置のハードウェア構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る鉄道防災システムの構成例を示す。
【0021】
図1において、地震防災クラウドサーバ装置100は、ネットワーク1000を介して海岸地震計200、沿線地震計300、中継サーバ装置500、緊急地震速報配信サーバ装置700等と接続されている。
また、地震防災クラウドサーバ装置100は、中継サーバ装置500の中継処理により鉄道事業者の車両走行制御装置400と通信可能である。
図1の例では、地震防災クラウドサーバ装置100は、鉄道事業者A、鉄道事業者B及び鉄道事業者Cの車両走行制御装置400と通信可能である。
また、地震防災クラウドサーバ装置100は、複数の海岸地震計200や複数の沿線地震計300で計測された計測結果を示す地震計情報をネットワーク1000を介して受信し、受信した地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震の震源地及び規模を判定する。
また、地震防災クラウドサーバ装置100は、地震が発生していると判定した場合に、地震の震源地及び規模と各鉄道事業者の各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、鉄道事業者の路線ごとに、鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定し、走行制御が必要な鉄道事業者の車両走行制御装置400に対して走行制御信号を送信する。
なお、地震に対応させた走行制御とは、所定の路線区間内の鉄道車両を緊急停止させることや鉄道車両を減速運転させること、鉄道車両を安全なエリアに引き返させること等である。
なお、地震防災クラウドサーバ装置100は情報処理装置の例に相当する。
また、図1では、1台の地震防災クラウドサーバ装置100が示されているが、実際の運用では、複数台の地震防災クラウドサーバ装置100を配置することが考えられる。
【0022】
海岸地震計200は、海岸エリアに配置されている地震計である。
沿線地震計300は、鉄道線路の沿線に配置されている地震計である。
海岸地震計200及び沿線地震計300は、例えば、地面の動きを測定する加速度センサと、その加速度センサからの検出信号をディジタル信号に変換するAD(アナログーデジタル)変換器と、そのディジタル信号(地震計情報)を送信する送信手段とを備える。
なお、ディジタル伝送しない場合は、AD変換器を用いなくてもよい。
加速度センサは、東西方向、南北方向、上下方向の三方向において測定を行う。
このため、海岸地震計200及び沿線地震計300からは、東西方向、南北方向、上下方向の三方向の加速度の情報が地震計情報として送信される。
また、海岸地震計200及び沿線地震計300は、例えば、所定の周波数(例えば、100MHz程度)で測定を行い、測定した加速度を通知する地震計情報を一定の周期(例えば、1秒に1回)で送信する。
つまり、海岸地震計200及び沿線地震計300が1秒に1回の割合で地震計情報を送信する場合には、地震計情報には海岸地震計200及び沿線地震計300における1秒分の計測結果が含まれている。
【0023】
車両走行制御装置400は、き電制御や自動列車停止装置等の、鉄道車両の速度、走行、停止を制御する装置である。
車両走行制御装置400は、地震防災クラウドサーバ装置100からの走行制御信号を受信すると、走行制御信号に基づいて、鉄道車両の走行制御を行う。
【0024】
中継サーバ装置500は、ネットワーク1000と車両走行制御装置400との間の通信を中継する。
【0025】
地震計情報受信装置600は、沿線地震計300からの地震計情報を受信し、受信した地震計情報を中継サーバ装置500を通じて地震防災クラウドサーバ装置100に送信する。
【0026】
緊急地震速報配信サーバ装置700は、緊急地震速報を配信するサーバ装置である。
【0027】
鉄道事業者Aは、鉄道線路(路線A)を有し、鉄道線路(路線A)で鉄道車両を運行している。
また、鉄道事業者Aは、鉄道線路(路線A)の沿線に多数の沿線地震計300を備え、海岸エリアにも海岸地震計200を備えている。
このように、鉄道事業者Aは、高度な地震対応運転制御機能を有する。
なお、海岸地震計200、沿線地震計300、車両走行制御装置400、地震計情報受信装置600を含む、鉄道事業者Aの鉄道運行システムを鉄道運行システムAと称する。
【0028】
鉄道事業者Bは、鉄道線路(路線B)を有し、鉄道線路(路線B)で鉄道車両を運行している。
鉄道事業者Bは、鉄道線路(路線B)において、極めて限定された数の沿線地震計300を備え、鉄道線路(路線A)に比べて地震対応運転制御機能が限定されている。
なお、沿線地震計300、車両走行制御装置400を含む、鉄道事業者Bの鉄道運行システムを鉄道運行システムBと称する。
【0029】
鉄道事業者Cは、鉄道線路(路線C)を有し、鉄道線路(路線C)で鉄道車両を運行している。
鉄道事業者Cは、海岸地震計200も沿線地震計300も有していない。
なお、車両走行制御装置400を含む、鉄道事業者Cの鉄道運行システムを鉄道運行システムCと称する。
【0030】
なお、図1では、説明の簡明のため、各鉄道事業者は1つの路線のみを有していることとしているが、1つの鉄道事業者が複数の路線を有していてもよい。
【0031】
このようなシステム構成において、地震防災クラウドサーバ装置100は、鉄道運行システムA、鉄道運行システムBからの地震計情報を受信し、受信した地震計情報や地盤データ等を基に、鉄道線路(路線A)、鉄道線路(路線B)、鉄道線路(路線C)に到達する地震の規模を判定し、鉄道車両の走行制御(鉄道車両の減速、停止等)の要否を判定し、各制御状態に対応した走行制御信号を各鉄道運行システムに配信する。
【0032】
そして、各鉄道運行システムでは、地震防災クラウドサーバ装置100から発信された鉄道車両の走行制御信号を受信し、受信した走行制御信号に対応して車両走行制御装置400を制御する。
車両走行制御は、例えば、き電停止、減圧等である。
【0033】
また、地震防災クラウドサーバ装置100における地震の規模の判定、鉄道車両の制御の判定に際しては、緊急地震速報配信サーバ装置700から配信される地震情報、津波情報も判断に加味してもよい。
【0034】
次に、地震防災クラウドサーバ装置100の内部構成例を、図2を参照して説明する。
【0035】
図2において、地震情報データベース101は、路線軌道位置データと、地震計位置データとを記憶する。
路線軌道位置データは、鉄道事業者A〜Cの路線A〜Cについて、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示されるデータである。
地震計位置データは、海岸地震計200及び沿線地震計300について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示されるデータである。
路線軌道位置データ及び地震計位置データにおける地理位置は、緯度経度で示されていてもよく、また、別の座標系に従っていてもよい。
【0036】
地震計情報処理部102は、海岸地震計200及び沿線地震計300の各々で計測された計測結果を示す地震計情報をネットワーク1000から受信する。
なお、鉄道事業者Aが管理している海岸地震計200及び沿線地震計300の地震計情報は、地震計情報受信装置600及び中継サーバ装置500を介して受信する。
【0037】
地震判定処理部103は、地震計情報処理部102により受信された各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震計情報と地震計位置データに示される各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する。
なお、地震判定処理部103の地震発生有無の判定、地震の震源地及び規模の判定には、既存のアルゴリズムを用いることができる。
【0038】
走行制御判定処理部104は、地震判定処理部103により地震が発生していると判定された場合に、地震判定処理部103により判定された地震の震源地及び規模と、路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、鉄道事業者A〜Cの路線ごとに、路線上の鉄道車両に対する走行制御の要否を判定する。
そして、走行制御判定処理部104は、いずれかの鉄道事業者のいずれかの路線において走行制御が必要と判定した場合に、走行制御が必要と判定した鉄道事業者に対して鉄道車両の走行を制限するよう指示する走行制御信号を生成する。
【0039】
そして、走行制御信号送信部105は、走行制御判定処理部104により生成された走行制御信号を、対象となる鉄道運行システムの車両走行制御装置400に対して送信する。
【0040】
なお、地震防災クラウドサーバ装置100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、磁気ディスク装置、通信インタフェース等を備える一般的なコンピュータで構成することができる。
この場合、地震情報データベース101を磁気ディスク装置で、地震計情報処理部102及び走行制御信号送信部105を通信インタフェースで、地震判定処理部103及び走行制御判定処理部104をCPUで実行されるコンピュータプログラムとして実現することができる。
【0041】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る地震防災クラウドサーバ装置100の動作例を説明する。
なお、図3の処理に先立って、地震判定処理部103が地震情報データベース101から地震計位置データを読み出し、更に、走行制御判定処理部104が地震情報データベース101から路線軌道位置データから読み出し(データ読出し処理)、読み出した地震計位置データ及び路線軌道位置データをワークメモリやレジスタ等に格納しておく。
【0042】
地震防災クラウドサーバ装置100では、まず、地震計情報処理部102が、海岸地震計200及び沿線地震計300からの地震計情報を受信する(S301)(地震計情報受信処理)。
【0043】
次に、地震判定処理部103が、地震計情報処理部102が受信した地震計情報を解析して、いずれかの地震計が配置されている地点で地震が発生しているかを判定する(S302)(地震判定処理)。
地震が発生していなければ(S302でNO)、処理を終了し、次の地震計情報の受信まで待機する。
【0044】
一方、地震が発生している場合(S302でYES)は、地震計情報処理部102は、地震計情報及び地震計位置データに示される各地震計の地理位置を照合、解析し、地震の震源地及び規模を判定する(S303)(地震判定処理)。
なお、震源地及び地震規模の判定の判定手法は問わない。
【0045】
次に、走行制御判定処理部104が、地震判定処理部103による震源地及び地震規模の判定結果と路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、鉄道事業者ごとに、また、路線の区間ごとに、路線上の鉄道車両に対する走行制御の要否を判定する(S304)(走行制御判定処理)。
震源地との距離、地震の規模により、地震の被害の大きさが、路線ごと、もしくは路線の区間ごとに異なるため、走行制御の内容も、路線ごと、もしくは路線の区間ごとに異なる場合がある。
例えば、路線Aは、全線にわたって車両の緊急停止が必要であるが、路線Bは、一部の区間は車両の緊急停止が必要であるものの他の区間は減速運転でよいという場合がある。
なお、走行制御の要否判定の判定手法は問わない。
【0046】
次に、走行制御が必要な区間がある場合(S305でYES)は、走行制御判定処理部104が、走行制御が必要な区間ごとに、走行制御の内容(緊急停止、減速運転等)が示される走行制御信号を生成し、走行制御信号送信部105が、生成された走行制御信号を該当する鉄道事業者の車両走行制御装置400に対して送信する(S306)。
一方、走行制御が必要な区間がない場合(S305でNO)は、処理を終了し、次の地震計情報の受信まで待機する。
【0047】
このようにして地震防災クラウドサーバ装置100から走行制御信号が送信されてきた車両走行制御装置400では、走行制御信号で指示されている制御(緊急停止、減速運転等)を、対象となる区間に所在している鉄道車両に行い、地震波が当該区間に到達した際には鉄道車両は安全な状態に置かれている。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る地震防災クラウドサーバ装置100は、複数の鉄道事業者を対象とし、多数の地震計の情報を用いて、複数の鉄道事業者の路線の中から地震発生によって走行制御が必要な路線を検出し、走行制御が必要な路線の鉄道事業者に走行制御信号を送信し、該当する鉄道車両を安全な状態にしている。
【0049】
前述したように、従来では、鉄道事業者単位で地震計等の設備を用意しており、各鉄道事業者は自前の設備を用いて地震時の鉄道車両の走行制御を行っていた。
このため、図1の例では、鉄道事業者Aの管理下にある海岸地震計200及び沿線地震計300の地震計情報は、鉄道事業者Aの路線A内の鉄道車両の安全性の確保のためだけに用いられ、鉄道事業者B、鉄道事業者Cは、鉄道事業者Aの管理下にある海岸地震計200及び沿線地震計300の地震計情報を活用できなかった。
従って、設備が充実していない鉄道事業者B、鉄道事業者Cでは、地震の影響を正確に予測することが困難であり、これら鉄道事業者における地震発生時の鉄道車両の安全確保動作は不十分又は過分にならざるを得なかった。
【0050】
これに対して、本実施の形態では、地震防災クラウドサーバ装置100は、多数の地震計、具体的には、鉄道事業者Aの管理下にある海岸地震計200及び沿線地震計300、更には、鉄道事業者Bの管理下にある沿線地震計300からも地震計情報を収集し、収集した地震計情報を総合的に解析して、鉄道事業者A、鉄道事業者B、鉄道事業者Cの各々の路線での地震の影響を正確に判断し、走行制御が必要な路線を抽出し、路線の区間ごとに必要な走行制御の内容を判断している。
このため、充実した設備を持たない鉄道事業者B、鉄道事業者Cであっても、鉄道事業者Aの海岸地震計200、沿線地震計300を含む多数の地震計の情報から導出された走行制御信号を取得することができ、地震に対して適切な安全確保動作をとることができる。
【0051】
実施の形態2.
図4は、本実施の形態に係る鉄道防災システムの構成例を示す。
【0052】
図4では、鉄道事業者Cにおけるシステム構成が異なる点を除けば、図1と同じである。
なお、図4では、作図上の都合により、図1で示されていた海岸エリア及び複数の海岸地震計200の図示を省略しているが、図4の鉄道防災システムでも海岸地震計200は存在するものとする。
図1の鉄道事業者Cでは車両走行制御装置400及び送電装置が配置されていたが、図4の鉄道事業者Cでは、代わりに、防護無線装置450及び防護無線受信装置800が配置されている。
防護無線装置450及び防護無線受信装置800は、図1の車両走行制御装置400及び送電装置が有線通信により行っていた走行制御を、無線通信(防護無線)により行う。
【0053】
地震防災クラウドサーバ装置100の内部構成例は、図2に示したものと同様である。
【0054】
また、動作についても、鉄道事業者Cにおける鉄道車両に対する走行制御が防護無線装置450及び防護無線受信装置800により実現される点を除けば、実施の形態1に示したものと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
実施の形態3.
図5は、本実施の形態に係る鉄道防災システムの構成例を示す。
【0056】
図5では、鉄道事業者Bの鉄道線路(路線B)が、鉄道事業者Aの鉄道線路(路線A)の近傍、あるいは、鉄道線路(路線A)とほぼ並行に敷設されている。
なお、本実施の形態では、鉄道事業者Bの鉄道線路(路線B)の沿線には沿線地震計300は配置されていない。
なお、図5では、鉄道事業者Cの図示を省略しているが、鉄道事業者Cが存在していてもよい。
また、図5では、図4と同様に、図1で示されていた海岸エリア及び複数の海岸地震計200の図示を省略しているが、図5の鉄道防災システムでも海岸地震計200は存在するものとする。
【0057】
図5に示すように、鉄道事業者Bの鉄道線路(路線B)の沿線に沿線地震計300が配置されていなくても、鉄道事業者Bの鉄道線路(路線B)が、鉄道事業者Aの鉄道線路(路線A)の近傍、あるいは、鉄道線路(路線A)とほぼ並行に敷設されている場合には、地震防災クラウドサーバ装置100は、鉄道事業者Aの沿線地震計300から収集した地震計情報に基づき、鉄道事業者Bの鉄道線路(路線B)への地震の影響を精度よく予測することができ、鉄道事業者Bの鉄道線路(路線B)内の鉄道車両に対して適切な走行制御を行うことができる。
【0058】
地震防災クラウドサーバ装置100の内部構成例は、図2に示したものと同様である。
また、動作も、実施の形態1に示したものと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
最後に、実施の形態1〜3に示した地震防災クラウドサーバ装置100のハードウェア構成例について説明する。
図6は、実施の形態1〜3に示す地震防災クラウドサーバ装置100のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図6の構成は、あくまでも地震防災クラウドサーバ装置100のハードウェア構成の一例を示すものであり、地震防災クラウドサーバ装置100のハードウェア構成は図6に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0060】
図6において、地震防災クラウドサーバ装置100は、プログラムを実行するCPU911(中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。
CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、SSD(Solid State Drive)、光ディスク装置、メモリカード(登録商標)読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
実施の形態1〜3で説明した「地震情報データベース101」は、磁気ディスク装置920等により実現される。
通信ボード915、キーボード902、マウス903、スキャナ装置907などは、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力装置の一例である。
【0061】
通信ボード915は、図1に示すように、ネットワークに接続されている。
例えば、通信ボード915は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)、SAN(ストレージエリアネットワーク)などに接続されている。
【0062】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
プログラム群923のプログラムは、CPU911がオペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922を利用しながら実行する。
【0063】
また、RAM914には、CPU911に実行させるオペレーティングシステム921のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
また、RAM914には、CPU911による処理に必要な各種データが格納される。
【0064】
また、ROM913には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが格納され、磁気ディスク装置920にはブートプログラムが格納されている。
地震防災クラウドサーバ装置100の起動時には、ROM913のBIOSプログラム及び磁気ディスク装置920のブートプログラムが実行され、BIOSプログラム及びブートプログラムによりオペレーティングシステム921が起動される。
【0065】
上記プログラム群923には、実施の形態1〜3の説明において「〜部」として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0066】
ファイル群924には、実施の形態1〜3の説明において、「〜の判断」、「〜の判定」、「〜の照合」、「〜の解析」、「〜の受信」、「〜の送信」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。
ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出される。
そして、読み出された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、実施の形態1〜3で説明しているフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。
データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。
また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0067】
また、実施の形態1〜3の説明において「〜部」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。
すなわち、実施の形態1〜3で説明したフローチャートに示すステップ、手順、処理により、本発明に係る「情報処理方法」を実現することができる。
また、「〜部」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。
或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。
プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。
すなわち、プログラムは、実施の形態1〜3の「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、実施の形態1〜3の「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【符号の説明】
【0068】
100 地震防災クラウドサーバ装置、101 地震情報データベース、102 地震計情報処理部、103 地震判定処理部、104 走行制御判定処理部、105 走行制御信号送信部、200 海岸地震計、300 沿線地震計、400 車両走行制御装置、450 防護無線装置、500 中継サーバ装置、600 地震計情報受信装置、700 緊急地震速報配信サーバ装置、800 防護無線受信装置、1000 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄道事業者の複数の路線について、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示される路線軌道位置データと、複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データとを記憶する地震情報データベースと、
前記複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信する地震計情報処理部と、
前記地震計情報処理部により受信された各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震計情報と前記地震計位置データに示される各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する地震判定処理部と、
前記地震判定処理部により地震が発生していると判定された場合に、前記地震判定処理部により判定された地震の震源地及び規模と、前記路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、前記複数の鉄道事業者の路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定する走行制御判定処理部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記走行制御判定処理部は、
いずれかの鉄道事業者のいずれかの路線において走行制御が必要と判定した場合に、走行制御が必要と判定した鉄道事業者に対して鉄道車両の走行を制限するよう指示する走行制御信号を生成し、
前記情報処理装置は、更に、
前記走行制御判定処理部により生成された走行制御信号を、対象となる鉄道事業者が利用する通信装置に対して送信する走行制御信号送信部を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記走行制御判定処理部は、
路線上の鉄道車両に対する走行制御の要否判定として、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記走行制御判定処理部は、
路線内の区間ごとに、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記地震情報データベースは、
前記複数の鉄道事業者のうちのいずれかの鉄道事業者が保有している地震計である鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データを記憶し、
前記地震計情報処理部は、
鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信し、
前記走行制御判定処理部は、
地震計を保有しない鉄道事業者及び地震計の保有数が一定以下の鉄道事業者を含めた複数の鉄道事業者について、路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の鉄道事業者の複数の路線について、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示される路線軌道位置データと、複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データとを記憶する地震情報データベースから、コンピュータが、前記路線軌道位置データと、前記地震計位置データとを読み出すデータ読出し処理と、
前記コンピュータが、前記複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信する地震計情報受信処理と、
前記コンピュータが、前記地震計情報受信処理により受信された各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震計情報と前記地震計位置データに示される各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する地震判定処理と、
前記コンピュータが、前記地震判定処理により地震が発生していると判定された場合に、前記地震判定処理により判定された地震の震源地及び規模と、前記路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、前記複数の鉄道事業者の路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定する走行制御判定処理とを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
複数の鉄道事業者の複数の路線について、路線ごとに、路線軌道の地理位置が示される路線軌道位置データと、複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データとを記憶する地震情報データベースから、前記路線軌道位置データと、前記地震計位置データとを読み出すデータ読出し処理と、
前記複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信する地震計情報受信処理と、
前記地震計情報受信処理により受信された各地震計からの地震計情報に基づき、地震の発生有無を判定するとともに、地震が発生していると判定した場合に、地震計情報と前記地震計位置データに示される各地震計の地理位置とに基づき、地震の震源地及び規模を判定する地震判定処理と、
前記地震判定処理により地震が発生していると判定された場合に、前記地震判定処理により判定された地震の震源地及び規模と、前記路線軌道位置データに示される各路線の路線軌道の地理位置とに基づき、前記複数の鉄道事業者の路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定する走行制御判定処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記走行制御判定処理において、
いずれかの鉄道事業者のいずれかの路線において走行制御が必要と判定された場合に、前記コンピュータに、走行制御が必要と判定された鉄道事業者に対して鉄道車両の走行を制限するよう指示する走行制御信号を生成させ、
前記プログラムは、更に、
前記コンピュータに、
前記走行制御判定処理により生成された走行制御信号を、対象となる鉄道事業者が利用する通信装置に対して送信させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記走行制御判定処理において、
前記コンピュータに、
路線上の鉄道車両に対する走行制御の要否判定として、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定させることを特徴とする請求項7又は8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記走行制御判定処理において、
前記コンピュータに、
路線内の区間ごとに、少なくとも、鉄道車両の走行停止の要否及び鉄道車両の減速走行の要否を判定させることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記データ読出し処理において、
前記コンピュータに、
前記複数の鉄道事業者のうちのいずれかの鉄道事業者が保有している地震計である鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計について、地震計ごとに、地震計が所在している地理位置が示される地震計位置データを読み出させ、
前記地震計情報処理において、
前記コンピュータに、
鉄道事業者保有地震計を含む複数の地震計の各々で計測された計測結果を示す地震計情報を受信させ、
前記走行制御判定処理において、
前記コンピュータに、
地震計を保有しない鉄道事業者及び地震計の保有数が一定以下の鉄道事業者を含めた複数の鉄道事業者について、路線ごとに、路線上の鉄道車両に対して地震に対応させた走行制御が必要であるかを判定させることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96773(P2013−96773A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238250(P2011−238250)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)