説明

情報処理装置及び情報処理方法

【課題】並行して実行される複数の機能の制約に対する利用者の利便性を向上させる。
【解決手段】資源管理部201は、入力処理部202、映像処理部203、音声処理部205、CPU206、データ管理部207といったブロックを介してテレビジョン受像機10のハードウェア資源の利用状況を監視する。資源管理部201は、監視結果とフラッシュメモリ208に格納される使用量情報とに基づいて、ハードウェア資源の使用状況を複数の機能それぞれに対応させて管理する。テレビジョン受像機10の利用者は、OSD生成部204が生成する画面を利用して、平行して実行されることが可能な機能の組み合わせを決定することができる。テレビジョン受像機10で実行可能な機能は、ネットワークIF部22を介してダウンロードして追加することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の情報を並行して処理する情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、番組を録画及び再生する電子機器は、多くの機能を並行して実行する。例えば、このような電子機器では、複数の番組を同時に録画する同時録画機能と、出力する映像を高画質化する処理を行う画質改善機能とが並行して実行される。同時録画機能では、複数のチューナを利用することで複数の番組を並行して受信することが可能となる。また、複数の機能を並行して実行することを可能とするために、処理能力の優れたプロセッサ(CPU)が利用される。プロセッサ(CPU)はワークメモリとしてDRAMを利用することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−250761号公報
【特許文献2】特開2010−021809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、如何に多くのチューナや、如何に処理能力の優れたプロセッサ(CPU)が利用されたとしても、電子機器が実行できる機能は制約されていた。例えば、電子機器が並行して実行できる機能は、当該電子機器を利用する上での制約事項として、該電子機器の利用者に予め提示されていた。具体的には、同時録画機能と画質改善機能とを並行して実行することができないことが提示されることがあった。すなわち従来は、多くの機能を並行して実行する電子機器であっても、並行して実行される機能の制約に対して、該電子機器の利用者の利便性の向上は考慮されていなかった。
【0005】
そこで本発明は上述した課題を解決するために、並行して実行される複数の機能の制約に対する利用者の利便性を向上させる情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態は上述した課題を解決するため、複数の機能を実行するためのハードウェア資源を備える情報処理装置であって、前記複数の機能の中から任意の機能を前記情報処理装置の利用者が選択することを許可する選択手段と、前記選択された機能を実行するために必要なハードウェア資源の現在の使用状況を管理する管理手段と、前記ハードウェア資源の現在の使用状況に基づいて、前記選択された機能の中で実行可能と判断される機能を提示する提示手段と、を具備する情報処理装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係る情報処理装置であるテレビジョン受像機10の構成を示すブロック図。
【図2】信号処理制御部に備えられ、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、複数の処理を並行して実行する各ブロックからなるシステム構成図。
【図3】フラッシュメモリに格納される、機能ごとのハードウェア資源の使用量に関する情報である使用量情報の一実施形態を示す図。
【図4】複数の機能を平行して実行することが可能か否かを検証する処理の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】機能の組み合わせを決定するための画面の具体例を示す図。
【図6】図4に示したフローチャートに基づいて決定された機能の組み合わせに含まれる全ての機能が実行可能か否かを判定する処理の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】図4に示したフローチャート及び図6のフローチャートに従って決定された、実行可能な機能の組み合わせを提示するための画面の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置であるテレビジョン受像機10の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るテレビジョン受像機10は、放送波処理部21、ネットワークIF部22、操作部31、受光部32、信号処理制御部40、表示器51、スピーカ52、RAM61、HDD62などで構成されている。図1のブロック図では簡易的に示しているが、本実施形態では放送波処理部21は一つのみではなく複数(例えば11個)設けられている。アンテナ98は、放送波処理部21と接続される。リモートコントローラ(以下、リモコンと称する)99は受光部32に対する信号を送信する。このリモコン99は、赤外線や無線を利用する遠隔操作機器である。
【0009】
本実施形態に係るテレビジョン受像機10は、複数の放送波処理部を利用して複数の番組を同時に録画する同時録画処理や、出力する映像を高画質化する画質改善処理を実行する。このテレビジョン受像機10では、同時録画処理や画質改善処理だけでなく他の処理も実行される。このような複数の処理(機能)は、テレビジョン受像機10に備えられたハードウェア資源の使用量に応じて実行される。これ以降の説明では、テレビジョン受像機10が、ハードウェア資源の使用量に応じて複数の処理を実行するための構成を詳細に説明する。
【0010】
放送波処理部21は、地上デジタル放送波に対応するチューナ及び復調器を備える。放送波処理部21は、アンテナ98で受信された受信信号を受け、この受信信号に対する特定チャンネルの選局処理や復調処理などを実行する。また放送波処理部21は、これらの処理を実行して得られた、番組の映像音声情報や番組名等の番組関連情報が含まれるトランスポートストリーム信号(以下、TS信号と称する)を信号処理制御部40へ出力する。本実施形態では、放送波処理部21は複数設けられる。複数の放送波処理部は、選局処理や副庁処理などを互いに独立して実行する。放送波処理部21は、地上デジタル放送ではなく衛星デジタル放送に対応するブロックであってもよい。放送波処理部21は、テレビジョン受像機10で実行される機能を追加又はアップデートするための情報が含まれるTS信号を取得することがある。
【0011】
ネットワークIF部22は、LAN又はWANなどのネットワークを介して通信を行う通信処理部を有するネットワーク通信を実行する。ネットワークIF部22は、接続したネットワーク先のサーバや記録媒体などの情報提供源から、コンテンツの映像音声情報やコンテンツ関連情報が含まれる情報を受け、この情報に基づくTS信号を信号処理制御部40へ出力する。ネットワークIF部22は、テレビジョン受像機10で実行される機能を追加又はアップデートするための情報を取得することがある。
【0012】
操作部31は、複数の操作キーを有し、複数の操作キーそれぞれに応じた操作情報を信号処理制御部40へ出力する。同様に受光部32は、リモコン99から送信された信号を受光して、受光した信号に応じた操作情報を信号処理制御部40へ出力する。この操作部31及び/又はリモコン99は、実行する機能を選択するためのキー及び選択を確定するキーを含む複数のキーを備えている。
【0013】
信号処理制御部40は、信号処理制御部40自身に備えられた各ブロックや信号処理制御部40に接続された各ブロックを利用して複数の処理を実行する。例えば信号処理制御部40は、操作部31又は、受光部32を介したリモコン99からの操作情報に応じて、複数の放送波処理部のうちの何れかからのTS信号の入力を選択する。また信号処理制御部40は、選択した入力ソースから入力されたTS信号に復号処理を施して、表示器51へ映像情報を出力すると共にスピーカ52へ音声情報を出力する。さらに信号処理制御部40は、放送波処理部21やネットワークIF部22を利用して、テレビジョン受像機10で実行される機能を追加又はアップデートするための情報をダウンロードする。
【0014】
本実施形態では信号処理制御部40は、放送波処理部21やHDD62から入力された情報に基づく再生処理、HDD62に対する録画処理、及び表示器51に表示する映像の画質改善処理などの処理を実行する。また信号処理制御部40は、再生処理、録画処理、及び画質改善処理といった複数の処理(機能)を平行して実行するためのハードウェア資源の使用状況を管理する。さらに信号処理制御部40は、ハードウェア資源の使用状況に応じた複数の機能を提示するためのOSDを生成する。そして信号処理制御部40は、生成されたOSDを利用して決定される、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、平行して実行する処理(機能)を決定する。
【0015】
表示器51は、信号処理制御部40から入力された映像信号を表示する表示パネルを含む表示モジュールである。表示器51には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)に代表される薄型平面ディスプレイを適用することができる。本実施形態では表示器51は、信号処理制御部40から入力される、優先的に実行する機能を決定するためのOSDの映像信号を表示する。
【0016】
スピーカ52は、信号処理制御部40から入力された音声信号を出力する。スピーカ52として、左右チャンネル用に2つ、更には、入力された音声信号の低音域を出力するためのサブウーハが設けられてもよい。
【0017】
RAM61は、信号処理制御部40が複数の処理を実行する際のワークメモリとして利用される。RAM61にはDRAMを適用することができる。
HDD62は、信号処理制御部40で実行される録画処理のための記録装置として利用される。HDD62は、磁気ディスクを利用するドライブ装置でなく、記憶媒体である半導体素子に対して情報をリード又はライトするSSD(Solid State Drive)であってもよい。またこのHDD62は、テレビジョン受像機10の外部に備えられても良い。
【0018】
テレビジョン受像機10は、前述した複数のブロックだけでなく、以下に説明するブロックを備えてもよい。
例えば、テレビジョン受像機10の外部から受けた所定フォーマットの規格に準拠した態様の信号から必要な情報を抽出する情報抽出部を有し、外部とのインターフェース機能を実行するブロックが備えられてもよい。所定フォーマットは、HDMI(登録商標)規格、USB規格又はIEEE1394規格などである。このブロックは、これらの規格に準じた接続端子を介して接続された外部機器や、HDD、メモリカードなどの記録媒体から受けた情報から抽出したTS信号を信号処理制御部40へ出力する。信号処理制御部40は、入力ソースの一つとして、このブロックから入力されるTS信号を選択することも可能である。
【0019】
また、テレビジョン受像機10は光ディスクに対してリード又はライトするODDを備えてもよい。
前述したとおり本実施形態は、本発明に係る構成を適用した情報処理装置として、テレビジョン受像機10を例とした実施形態である。しかし本実施形態に係る構成が、パーソナルコンピュータ、携帯型移動端末装置、HDD/光ディスクレコーダ、セットトップボックスなどの情報処理装置に適用された実施形態であっても構わない。すなわち本発明に係る実施形態は、複数の機能を平行して実行する情報処理装置であれば適用可能である。
【0020】
このような構成により、本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10は、テレビジョン受像機10自身に備えられる複数のブロックを利用して複数の処理(機能)を平行して処理する。テレビジョン受像機10は、複数の処理(機能)を平行して実行するために、テレビジョン受像機10自身に備えられるハードウェア資源の使用状況を管理する。すなわちテレビジョン受像機10は、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、複数の処理を並行して実行する。従って、本実施形態に係るテレビジョン受像機10によれば、並行して実行される複数の機能の制約に対する利用者の利便性を向上させることが可能となる。これは主に、信号処理制御部40が複数の処理を実行することで実現される。
【0021】
次に図2を用いて、図1で説明した信号処理制御部40に備えられ、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、複数の処理を並行して実行する各ブロックの構成を説明する。
【0022】
図2は、信号処理制御部40に備えられ、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、複数の処理を並行して実行する各ブロックからなるシステム構成図である。
【0023】
前述したとおり、本実施形態に係るテレビジョン受像機10は、複数の処理(機能)を平行して実行するために、テレビジョン受像機10自身に備えられるハードウェア資源の使用状況を管理する。そしてテレビジョン受像機10は、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、複数の処理を並行して実行する。
【0024】
信号処理制御部40は、資源管理部201、入力処理部202、映像処理部203、OSD生成部204、音声処理部205、CPU206、データ管理部207、フラッシュメモリ208などを備えている。
【0025】
資源管理部201は、信号処理制御部40の内部/外部に備えられるハードウェア資源の使用状況を監視する。ハードウェア資源の使用状況は、複数の機能ごとの、例えばCPU206の使用率、RAM61やHDD62の使用量、放送波処理部21の利用数などを示す情報である。資源管理部201は、監視結果であるハードウェア資源の使用状況をRAM61に記録する。また資源管理部201は、フラッシュメモリ208に格納される機能ごとのハードウェア資源の使用量に関する情報である使用量情報を読み出してRAM61に記録する。換言すると、資源管理部201は、ハードウェア資源の使用状況を複数の機能それぞれに対応させて管理する。この資源管理部201は、RAM61に記録した監視結果と使用量情報とに基づいて、機能に対する優先度を決定する。資源管理部201は、資源使用状況に応じた複数の機能を提示するための情報をOSD生成部204へ出力する。また資源管理部201は、ネットワークIF部22を介して、テレビジョン受像機10で実行される機能を追加又はアップデートするための情報である機能更新情報をダウンロードする。ダウンロードされた機能更新情報はフラッシュメモリ208に格納される。
【0026】
入力処理部202は、放送波処理部21から入力されるTS信号に対する所定の処理を施して、映像処理部203、音声処理部205、及び/又はデータ管理部207へ所定フォーマットの情報を出力する。入力処理部202はデマルチプレクサとしての機能部を含む。入力処理部202は、複数の放送波処理部のうちの何れかからのTS信号を選択するセレクタとしても動作する。入力処理部202は、例えば放送波処理部21の利用状態について資源管理部201と情報をやりとりする。
【0027】
映像処理部203は、入力処理部202から入力される映像情報に所定の処理を施して生成した映像信号を表示器51へ出力する。映像処理部203は、デスクランブラ及び映像デコーダとしての機能部を含む。映像処理部203は、例えば映像デコーダの利用状態について資源管理部201と情報をやりとりする。
【0028】
OSD生成部204は、資源管理部201から入力される、資源使用状況に応じた複数の機能を提示するための情報に基づくOSDを生成する。生成されたOSDは表示器51へ出力される。
【0029】
音声処理部205は、入力処理部202から入力される音声情報に所定の処理を施して生成した音声信号をスピーカ52へ出力する。音声処理部205は、デスクランブラ及び音声デコーダとしての機能部を含む。音声処理部205は、例えば音声デコーダの利用状態について資源管理部201と情報をやりとりする。
【0030】
CPU206は、複数の処理(機能)を実行するためにテレビジョン受像機10に備えられた複数のブロックを制御する。CPU206はRAM61をワークメモリとして利用する。このCPU206の使用率は、資源管理部201によって監視される。
【0031】
データ管理部207は、入力処理部202から入力される映像音声情報を所定のフォーマットに変換した情報をHDD62へ出力する。またデータ管理部207は、HDD62から読み出した情報に基づく映像音声情報を映像処理部203及び音声処理部205へ出力する。換言すると、データ管理部207は録画する映像音声情報をHDD62に記録し、HDD62に録画した映像音声情報を読み出す。
【0032】
フラッシュメモリ208は不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ208は、資源管理部201から入力されるハードウェア資源の使用状況、使用量情報、及び機能更新情報を格納する。これらの情報は、フラッシュメモリ208ではなくHDD62に格納されてもよい。
【0033】
このような構成により信号処理制御部40は、複数の処理(機能)を平行して実行するために、テレビジョン受像機10自身に備えられるハードウェア資源の使用状況を管理する。すなわち信号処理制御部40は、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、複数の処理を並行して実行する。従って、本実施形態に係るテレビジョン受像機10によれば、前述した構成を有する信号処理制御部40を備えるので、並行して実行される複数の機能の制約に対する利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0034】
次に図3を用いて、フラッシュメモリ208に格納されて資源管理部201に利用される情報であって、機能ごとのハードウェア資源の使用量に関する情報である使用量情報を説明する。
【0035】
図3は、フラッシュメモリ208に格納される、機能ごとのハードウェア資源の使用量に関する情報である使用量情報の一実施形態を示す図である。
使用量情報は、例えば「再生」や「番組録画」といった機能ごとに管理されている。また、ハードウェア資源の使用量を示す項目として、CPU206の使用率、RAM61の使用量又は使用率、HDD62の使用量、放送波処理部21の利用数などが管理されている。従って使用量情報は、機能ごとのハードウェア資源の使用量として管理されている。図3を参照すると、例えば、機能「再生」に対応して、CPU206の使用率が10%、RAM61の使用量が10MB、HDD62の使用量なし、放送波処理部21の利用数なし、及び、デコーダの使用量が1、という内容の使用量情報が管理されている。
【0036】
この使用量情報は更新を許可される。例えば、テレビジョン受像機10の工場出荷時は、使用量情報の初期値がフラッシュメモリ208に格納されている。その後に、資源管理部201がネットワークIF部22を介して使用量情報を更新することがある。この場合、フラッシュメモリ208に格納されている使用量情報の初期値の一部又は全ては、新たな使用量情報に更新される。また資源管理部201が、ハードウェア資源の使用状況を監視した結果、特定の機能の特定のハードウェア資源に関して、このときにフラッシュメモリ208に記憶されている値とは異なることがある。この場合、監視結果の値によって、記憶されている値が更新されるように構成されてよい。
【0037】
このようにしてフラッシュメモリ208に記憶される使用量情報は、更新されることを許可されるので、例えば機能更新情報のダウンロードによって機能が追加された場合でも、使用量情報は最新の状態に維持される。
【0038】
次に図4,図5を用いて、複数の機能を平行して実行することが可能か否かを検証する処理の動作を説明する。
図4は、複数の機能を平行して実行することが可能か否かを検証する処理の動作を説明するためのフローチャートである。
まず始めに、検証の対象となる複数の機能の組み合わせが決定される(S401)。機能の組み合わせを決定するための手法は、次のようにいくつかの例がある。機能の組み合わせを決定するためには、何れの例が適用されてもよい。何れの例で機能の組み合わせが決定されたとしても、この組み合わせに含まれる機能それぞれに対して優先順位が付与される。図5(a)〜(c)に、以下に説明する[例1]〜[例3]それぞれによる、機能の組み合わせを決定するための画面の具体例を示す。図5(a)〜(c)に提示される機能は、ネットワークIF部22を介したダウンロードにより追加すること、又は、任意に削除することが可能である。
【0039】
[例1]テレビジョン受像機10が実行できる機能が選択可能に全て提示されるOSDが表示器51に表示される。テレビジョン受像機10の利用者が、提示された全ての機能の中から任意数の機能を任意に選択することで、当該任意数からなる機能の組み合わせが決定される。利用者は、機能の選択と併せて、選択した機能の中から優先的に実行される順位である優先順位を決定することが可能である。[例1]による画面の具体例は、図5(a)に示される。図5(a)を参照すると、利用者が選択した5つの機能に対して、マルチ録画が最優先で、次いで予約録画、手動録画、再生、再生(画質改善処理)という順序の優先順位が決定されている。例えば優先順位は、利用者が選択した機能の選択順序で決定されてよい。
【0040】
[例2]テレビジョン受像機10が実行する機能を一つずつ選択することを利用者に許可するOSDが表示器51に表示される。テレビジョン受像機10の利用者は機能の中から任意の機能を1つずつ選択することで、任意数からなる機能の組み合わせが決定される。選択した順序に応じて、選択された機能の優先順位が決定される。[例2]による画面の具体例は、図5(b)に示される。
【0041】
[例3]所定期間における機能の実行履歴に基づいて、実行回数や実行時間といった頻度の多い順序で所定数の機能が選択可能に提示されるOSDが表示器51に表示される。テレビジョン受像機10の利用者が、頻度の多い順序で提示された機能を選択することで、任意数からなる機能の組み合わせが決定される。選択された機能の優先順位は、実行回数や実行時間の多い順で決定される。[例3]による画面の具体例は、図5(c)に示される。
【0042】
検証の対象となる複数の機能の組み合わせが決定された後、資源管理部201は、機能ごとのハードウェア資源の使用量を計算するための使用量カウンタを0クリアする(S402)。資源管理部201は、決定された機能の組み合わせの中に未計算の機能があるか否かを判定する(S403)。未計算の機能がある場合(S403のYes)、優先順位が上位の機能が選択される(S404)。資源管理部201は、RAM61に記録された使用量情報を参照して、選択された機能に対応するハードウェア資源の使用量をハードウェア資源ごとに使用量カウンタを用いて計算する(S405)。さらに未計算の機能があるか否かが判定される(S403)。
【0043】
未計算の機能がない場合(S403のNo)、すなわち決定された機能の組み合わせの全てが計算された場合、資源管理部201は使用量カウンタが所定の制限量を超えたか否かを判定する(S406)。制限量を超えてない場合(S406のNo)、処理は正常終了する。制限量を超えた場合(S406のYes)、処理はエラー終了する。このエラー終了に伴って、警告画面のOSDを出力してもよい。また、エラー終了した後に再び、テレビジョン受像機10の利用者に、機能の組み合わせを決定する機会を与えても良い。
【0044】
なお図4に示した動作は、機能の組み合わせが全て決定してから開始されなくてもよく、機能が一つ選択される度に開始されてもよい。
このような処理により、本実施形態のテレビジョン受像機10では、平行して実行されることが可能な機能の組み合わせが決定される。また、決定された機能の組み合わせに含まれる複数の機能を平行して実行することの可否が検証される。
【0045】
次に図6を用いて、図4に示したフローチャートに基づいて決定された機能の組み合わせに含まれる全ての機能が実行可能か否かを判定する処理の動作を説明する。
図6は、図4に示したフローチャートに基づいて決定された機能の組み合わせに含まれる全ての機能が実行可能か否かを判定する処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0046】
図4に示したフローチャートに基づいて決定された機能それぞれのハードウェア資源の使用量は、変化することがある。例えば、録画した番組を再生するときに、再生する情報のリードでエラーが発生するとリードリトライ動作が行われてメモリの使用量が増加する。また映像音声情報の圧縮符号化に圧縮効率の高い方式が採用された場合などは、この情報の再生時の解凍処理に、機能の組み合わせを決定する際に想定された量以上のプロセッサ処理量が必要となる。従って、決定された機能の組み合わせに含まれる機能を実際に実行する場合のハードウェア資源の使用量を考慮する必要が生じる。
【0047】
決定された機能の組み合わせの中から実行対象の機能が選択されると、資源管理部201は、この機能の実行前に、テレビジョン受像機10における現在のハードウェア資源の使用量を取得する(S601)。資源管理部201は、取得した現在のハードウェア資源の使用量に基づいて、仮に実行対象の機能を含む、決定された機能の組み合わせの全てが実行された場合のハードウェア資源の使用量を計算する(S602)。また資源管理部201は、仮に実行対象の機能を含む、決定された機能の組み合わせの全てが実行された場合のハードウェア資源の使用量が、所定の制限量を超えるか否かを判定する(S603)。制限量を超えない場合(S603のNo)、全ての機能は実行可能と判断される(S604)。制限量を超える場合(S603のYes)、全ての機能は実行不可能と判断され(S605)、優先順位が最下位の機能の実行を不許可とする(S606)。
このような処理により、本実施形態のテレビジョン受像機10では、決定された機能の組み合わせに含まれる全ての機能が実行可能か否かが判定される。
【0048】
次に図7を用いて、図4に示したフローチャート及び図6のフローチャートに従って決定された、実行可能な機能の組み合わせを提示するための画面を説明する。
図7は、図4に示したフローチャート及び図6のフローチャートに従って決定された、実行可能な機能の組み合わせを提示するための画面の具体例を示す図である。
図7に示した画面では、図5(a)〜(c)に示した、機能の組み合わせを決定するための画面から、“再生(画実改善処理)”の項目が消去されている。すなわち、現在のハードウェア資源の利用状況により、図5(a)〜(c)に示した画面に提示された機能の組み合わせを全て実行することはできないと判断され、提示された機能の組み合わせから、優先順位が最下位の機能である“再生(画実改善処理)”の機能が除外された。
【0049】
以上説明したように本実施形態によれば、複数の処理(機能)を平行して実行するために、テレビジョン受像機10に備えられるハードウェア資源の使用状況が管理される。また、平行して実行されることが可能な機能の組み合わせが優先度と共に決定され、決定された機能の組み合わせに含まれる複数の機能を平行して実行することの可否が検証される。さらに、決定された機能の組み合わせに含まれる何れかの機能を実行するか否かが判定される。すなわち、機能に対する優先度とハードウェア資源の使用状況とに基づいて、複数の処理が並行して実行される。従って、本実施形態に係るテレビジョン受像機10によれば、並行して実行される複数の機能の制約に対する利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0050】
なお本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さらに、異なる実施形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0051】
10…テレビジョン受像機、21…放送波処理部、22…ネットワークIF部、31…操作部、32…受光部、40…信号処理制御部、51…表示器、52…スピーカ、61…RAM、62…HDD、98…アンテナ、99…リモコン、201…資源管理部、202…入力処理部、203…映像処理部、204…OSD生成部、205…音声処理部、206…CPU、207…データ管理部、208…フラッシュメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を実行するためのハードウェア資源を備える情報処理装置であって、
前記複数の機能の中から任意の機能を前記情報処理装置の利用者が選択することを許可する選択手段と、
前記選択された機能を実行するために必要なハードウェア資源の現在の使用状況を管理する管理手段と、
前記ハードウェア資源の現在の使用状況に基づいて、前記選択された機能の中で実行可能と判断される機能を提示する提示手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記ハードウェア資源で実行できる新たな機能をアップデートするアップデート手段を更に具備し、
前記新たな機能がアップデートされてから後、前記選択手段は前記複数の機能と前記新たな機能との中から任意の機能を前記情報処理装置の利用者が選択することを許可する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
機能を実行するための演算を行うCPUと、
前記CPUのワークメモリと、
を更に具備し、
前記ハードウェア資源は、前記CPUの使用率と前記ワークメモリの使用量又は使用率とを含む請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提示手段が前記実行可能と判断される機能を提示した後に再び、前記選択手段が前記複数の機能の中から任意の機能を前記利用者が選択することを許可する請求項1乃至3の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の機能を実行するためのハードウェア資源を備える情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
前記複数の機能の中から任意の機能を前記情報処理装置の利用者が選択することを許可し、
前記選択された機能を実行するために必要なハードウェア資源の現在の使用状況を管理し、
前記ハードウェア資源の現在の使用状況に基づいて、前記選択された機能の中で実行可能と判断される機能を提示する、情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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