説明

情報処理装置

【課題】 待機モードから復帰するためのデータを着脱可能な不揮発メモリに記憶する情報処理装置において、待機モード時に不揮発メモリが取り外されたあとに再度接続されても、正常に待機モードから復帰する装置を提供する。
【解決手段】 待機モードへの移行時に認識情報を生成し、この認識情報を機器内の不揮発メモリと着脱可能な不揮発メモリの両方に記録する。待機モードからの復帰時に双方の不揮発メモリに記録された認識情報を比較し、同一であれば復帰処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像情報処理装置、映像情報処理装置の制御方法、映像情報処理装置の制御プログラム、および映像情報処理装置の制御プログラムを記録した記録媒体に関し、例えば、着脱可能なメモリ(以下、リムーバブルメモリともいう)を搭載したディスクプレーヤーや、ネットワーク接続された映像・音声データを配信するAVサーバーから映像や音声のデータをダウンロードし再生するネットワーク映像端末装置等の情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル化に伴い、音声・映像コンテンツもデジタル技術により音声・映像データに変換され、さらに、データの圧縮・伸長技術の併用によって、映像情報処理装置等に効率よく記録することが可能になってきている。また、ディスクメディアに関しては、DVDやブルーレイディスクなどの大容量ディスクが提案され、普及している。
【0003】
特に、ブルーレイディスクを記録・再生する装置については、装置に補助記憶装置を搭載し、コンテンツに応じたデータを蓄積することが可能になっており、ユーザーデータの保存やコンテンツのダウンロードなど、様々な使用方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、近年のエネルギー事情から、システムの消費電力を抑えることが重要になっている。上記の情報処理装置においても、ユーザーが使用していないときは機能を停止して待機(以下、サスペンドともいう)の状態へ移行し、ユーザーの使用開始要求によって停止する前の状態への復帰(以下、レジュームともいう)を行うサスペンド・レジューム機能や、動作状態を補助記憶装置に記録した後にシステムが電源断の状態になるハイバネーション・レジューム機能により、消費電力を低減することが可能である。特に、ハイバネーション機能は電源断にすることで、より消費電力を抑えることができ、補助記憶装置を搭載するブルーレイディスク装置においても適用できる。
【0005】
上記の補助記憶装置がUSBメモリや着脱可能なハードディスクドライブなどのリムーバブルメディアであるとき、ハイバネーション処理を実行したときの状態を記憶したリムーバブルメディアがユーザーによって取り外されていることがあり、正常に復帰することができない場合があった。そのため、メディアが取り外されたことを検出する機能を搭載する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−159589 (第1頁、第1図)
【0007】
【特許文献2】特開平8−16270 (第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2によれば、装置からリムーバブルメディアが取り外され、再度接続された場合には、レジューム起動することができないという問題点があった。例えば、リムーバブルメディアを取り外し、パーソナルコンピュータなどで映像・音声データをリムーバブルメディアに記録し、再度リムーバブルメディアを装置に取り付けた場合は、レジューム起動ができない。また、リムーバブルメディアの挿抜を検出する手段が必要であり、コストが上がるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、CPUと、メモリと、プログラムを保存するための第1の不揮発メモリと、書き換え可能な第2の不揮発メモリと、着脱可能な第3の不揮発メモリとを備え、待機モードに移行することができる情報処理装置において、待機モードに移行するときに、メモリが特定できる認識情報を生成して前記認識情報を第2の不揮発メモリと第3の不揮発メモリに記録する手段と、待機モードから復帰するときに、第2の不揮発メモリと第3の不揮発メモリに記録されている認識情報を比較する手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明は以上のように構成されているので、サスペンドモードから復帰するデータが記録されたリムーバブルメモリがサスペンドモード中に一度取り外されて再度取り付けられても、サスペンドモードに移行したときのメモリを特定できるため、待機モードから復帰することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施例である情報処理装置を説明する図である。ここでは、ディスクドライブを内蔵した映像情報装置を例にして説明する。
【0012】
図において、10は映像情報装置、101は中央演算処理装置(CPU)、103はメモリである。102はプログラムを内蔵したプログラムROM(Read Only Memory)であり、第1の不揮発メモリである。104は書き込み可能な小容量の第2の不揮発メモリであり、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などで実現される。
【0013】
106はグラフィックコントローラ、113はモニタ、107はサウンドコントローラ、114はスピーカーである。116はディスク、109はディスクドライブ、108はディスクコントローラである。115はデコーダーであり、ディスク116に記録されているコンテンツのデータをディスクドライブ109およびディスクコントローラ108を介して入力し、これを復号して、映像信号をグラフィックコントローラ106に、音声信号をサウンドコントローラ107に送信する。
【0014】
105は外部メモリインターフェースである。112はリムーバブルメモリであり、第3の不揮発メモリである。リムーバブルメモリ112は外部メモリインターフェース105に接続され、映像情報装置10とのデータ入出力が制御される。なお、第3の不揮発メモリは、着脱可能なハードディスクドライブなど、他のリムーバブルメディアであってもよい。
【0015】
110はリモコン受信部であり、リモコン111で入力されたユーザーの指示を受信し、CPU101に送信する。
【0016】
CPU101、プログラムROM102、メモリ103、不揮発メモリ104、デコーダー115、外部メモリインターフェース105、グラフィックコントローラ106、サウンドコントローラ107、ディスクコントローラ108は、BUS121を介して接続されており、プログラムROM102内のプログラムに基づき、CPU101がメモリ103を利用して映像情報装置10としてのプログラムを実行し、各装置を制御する。
【0017】
次に動作について説明する。例として、ディスク116がディスクドライブ109に挿入されて再生されたときの動作を説明する。ユーザーがリモコン111で再生指示を送ると、リモコン受信部110を介して、CPU101に再生指示の信号が送られる。CPU101はこの信号に基づき、ディスクコントローラ108とディスクドライブ109を制御して、ディスク116のデータをデコーダー115に送信するように指示する。
【0018】
さらに、CPU101は、デコーダー115、グラフィックコントローラ106、サウンドコントローラ107に指示信号を送り、ディスク116のコンテンツをデコーダー115で復調させ、復調後のデータをグラフィックコントローラ106やサウンドコントローラ107を介して、モニタ113やスピーカー114で、表示あるいは再生させる。
【0019】
また、外部メモリインターフェース105を介して、リムーバブルメモリ112を使用することもでき、ディスク116に記憶された処理内容に基づいて、リムーバブルメモリ112にデータの保存等を行うことが可能である。
【0020】
ここで、ユーザーが停止指示を送り、しばらく操作を行わなかった場合、映像情報処理装置10は待機モードに移行する。
【0021】
このときの処理を図2のフローチャートを用いて説明する。S101において、CPU101がサスペンド状態に移行すると判断したとき、サスペンド処理が開始される。
【0022】
次いで、CPU101はS102において、リムーバブルメモリ112の空き容量情報を取得する。
【0023】
S103において、CPU101はリムーバブルメモリ112の空き容量とサスペンド状態に移行するために必要な容量を比較し、リムーバブルメモリ112の空き容量がサスペンド状態に移行するために必要な容量より大きい場合にはS104以降の処理によって待機モードへ移行し、小さい場合にはサスペンド処理を中止してS108の電源OFFを実行するという判断を行う。
【0024】
S103において空き容量が十分である場合には、CPU101はS104において現時点での時間情報を取得する。例えば、2006年5月10日12時12分15秒のような時刻の情報を取得する。その後、CPU101は以下のS105からS108の処理を実行する。
【0025】
S105においては、S104で取得した時間情報および乱数を組み合わせて、メモリを特定できる認識情報を生成する。さらに、サスペンド状態に移行したことを示すサスペンド情報を作成する。
【0026】
S106において、CPU101は、S105で作成した認識情報を不揮発メモリ104およびリムーバブルメモリ112に記録する。リムーバブルメモリ112に記録する際は、セキュリティ向上のため認識情報に暗号化を施してもよい。また、サスペンド状態に移行したことを示すサスペンド情報を不揮発メモリ104に記録する。
【0027】
S107にて、レジュームの際に必要なデータであるサスペンドデータをリムーバブルメモリ112に記録する。このとき、セキュリティ向上のためサスペンドデータを暗号化してもよい。
【0028】
サスペンドデータは図3に示すように、CPU101の設定情報、メモリ103のデータ、デコーダー115の設定情報、外部メモリインターフェース105の設定情報、グラフィックコントローラ106の設定情報、サウンドコントローラ107の設定情報、ディスクコントローラ108の設定情報、ディスクドライブ109に挿入されているディスク116を特定するディスク情報などで構成される。CPU101はこれらのサスペンドデータをリムーバブルメモリ112に記録する。その後、S108にて電源OFFを実行する。
【0029】
次に、ユーザーが電源ONや再生指示を行ったときに実行されるレジューム処理を図4のフローチャートを用いて説明する。図4のS201において、電源ONやリモコン111による再生指示(例えば、再生ボタンが押された)のイベントにより、レジューム処理が開始される。
【0030】
CPU101は、S202においてCPU101のレジスタやメモリ103の初期化を行い、S203において不揮発メモリ104からサスペンド情報を取得する。
【0031】
S204で、CPU101はサスペンド情報を解析し、サスペンドからの起動でない場合はS210の通常起動を実行する。S210の通常起動の場合は、前回電源OFFされたときの状態を覚えていないため、プログラムROM102に記憶されている初期設定の状態で起動する。
【0032】
一方、サスペンドからの起動である場合には、CPU101はS205において、不揮発メモリ104に記録されているサスペンド情報の削除を行い、さらに、S206において、不揮発メモリ104に記録されている認識情報と、リムーバブルメモリ112に記録されている認識情報とを比較する。リムーバブルメモリ112に記憶されているデータが暗号化されているときは、復号を行ったあとで比較する。
【0033】
S207において、CPU101が不揮発メモリ104に記録されている認識情報とリムーバブルメモリ112に記録されている認識情報とが一致していないと判断した場合は、S210の通常起動を行う。S207において、CPU101が不揮発メモリ104に記録されている認識情報とリムーバブルメモリ112に記録されている認識情報とが一致していると判断した場合には、S208において、リムーバブルメモリ112に記録されているサスペンドデータを用いてレジューム処理を実行する。リムーバブルメモリ112に記憶されているサスペンドデータが暗号化されているときは、復号を行ったあとでレジューム処理を実行する。
【0034】
レジューム処理の実行により、S209にてレジューム起動され、サスペンド状態に移行する前の状態で、起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施の形態1の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における、サスペンドモードに移行するときの動作を説明するフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1における、サスペンドデータを説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1における、サスペンドモードから復帰するときの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10 映像情報処理装置、 101 CPU(中央演算処理装置)、 102 プログラムROM(第1の不揮発メモリ)、 103 メモリ(RAM)、 104 不揮発メモリ(EEPROMなどの第2の不揮発メモリ)、 112 リムーバブルメモリ(第3の不揮発メモリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUと、メモリと、プログラムを保存するための第1の不揮発メモリと、書き換え可能な第2の不揮発メモリと、着脱可能な第3の不揮発メモリとを備え、待機モードを有する情報処理装置において、
待機モードに移行するときに、メモリが特定できる認識情報を生成して前記認識情報を第2の不揮発メモリと第3の不揮発メモリに記録する手段と、待機モードから復帰するときに、第2の不揮発メモリと第3の不揮発メモリに記録されている認識情報を比較する手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記認識情報は、時間情報に基づき生成されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記認識が暗号化されて第3の不揮発メモリに記録されることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記待機モードに移行するときに、第3の不揮発メモリの空き容量情報を取得し、前記空き容量に基づいて待機モードへ移行するか否かを判断する手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記待機モードに移行するときに、待機モードに移行したことを示すサスペンド情報を第2の不揮発メモリに記録し、前記待機モードから復帰するときに、第2の不揮発メモリに記録されている前記サスペンド情報を用いて起動方法を選択する手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記待機モードから復帰するためのサスペンドデータを前記第3の不揮発メモリに記録することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記サスペンドデータが暗号化されて第3の不揮発メモリに記録されることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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