説明

情報処理装置

【課題】スロットユニットの取り付け強度を向上させ、耐衝撃性を向上させることができるとともに、破損した部品による装置内の導電部の電気的ショートを防止する。
【解決手段】ノートパソコンに対して例えば矢印Eに示す方向へ大きな衝撃が加わり、規制部材50が破損し、規制部材50の破片が基板11の導電パターンやコネクタなどの導電部に接触したとしても、本実施の形態の規制部材50は樹脂などの絶縁材料で形成されているため、導電部において電気的ショートを発生しにくくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットユニットを備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パーソナルコンピューター(以下、パソコンと称する)などの情報処理装置には、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)規格に準拠したカード(以下、PCMCIAカードと称する)を着脱可能なスロットを備えていることが多い。このカードは、信号処理を行う半導体素子や、各種情報を記録可能な半導体素子が内蔵されている。PCMCIAカードは、以前は使用者が任意に情報を記録することができる記録媒体として利用されることが多かったが、最近では通信回路やアンテナを内蔵し、無線通信が可能なPCMCIAカードも登場している。このような無線通信が可能なPCMCIAカードは、情報の送受信感度を安定させるために、パソコンに装着した状態でアンテナ部分がパソコンから突出する構成となっていることが多い。
【0003】
図10は、従来のパソコンの斜視図である。図10に示すように、パソコンは、第1の筐体101と第2の筐体102とが互いに回動自在となるように、ヒンジ部103に支持されている。第1の筐体101には、CPU(中央演算処理装置)やハードディスクドライブなどが内蔵されている。第2の筐体102は、液晶ディスプレイ102aを備えている。第1の筐体101には、PCカード120を挿脱可能な挿脱口を有するスロットユニット104を側面に備えている。なお、PCMCIAカード120は、各種信号処理を実行可能な半導体素子が内蔵された本体部121と、アンテナが内蔵されたアンテナ部122とを備えている。
【0004】
図11は、スロットユニット104にPCMCIAカード120が挿入された状態を示す平面図である。図11に示すように、PCMCIAカード120をスロットユニット104に挿入した場合、アンテナ部122が第1の筐体101から突出した状態になる。これは、アンテナ部122に内蔵されたアンテナの送受信性能を向上させるためである。
【0005】
しかし、図10及び図11に示す情報処理装置では、PCMCIAカード120をスロットユニット104に挿入した状態において、アンテナ部122が第1の筐体101から突出した状態となるため、誤ってパソコンを高い位置から床などに落下させてしまい、アンテナ部122を床などに衝突させてしまった場合、PCMCIAカード120に対して衝撃(例えば矢印Yに示す方向の衝撃)が加わる。これにより、PCMCIAカード120やスロットユニット104が破損してしまう可能性がある。
【0006】
特許文献1〜4は、スロットユニットの開口部近傍の剛性を上げて、PCMCIAカードやスロットユニットの破損を防止する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−131508号公報
【特許文献2】特開平7−93490号公報
【特許文献3】特開2007−12025号公報
【特許文献4】特開平11−328810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のスロットユニットでは、一部がパソコンの筐体より突出したPCMCIAカードを挿したまま、高い位置から落下させた際の落下衝撃、またはマウス操作時や外部接続端子への接続時等に不用意に手が触れるなどで、こじる方向(図11の矢印Yに示す方向)に衝撃が加わると、スロットユニットが変形または破損する可能性がある。
【0009】
スロットユニットを固定するビスをスロットユニットのカード挿入口近傍に配置することで、耐落下衝撃は向上すると予想されるが、カード挿入口付近にはアースを取るための構造や取り出しレバーを配置する必要があるため、ビスをスロットユニットのカード挿入口近傍に配置することは困難である。
【0010】
また、特許文献1〜4が開示しているように、スロットユニットの開口部近傍を固定部材により剛性を上げる構成では、パソコンの筐体より突出したPCMCIAカードに対してこじる方向(図11の矢印Yに示す方向)に大きな衝撃が加わると、固定部材が破損する可能性がある。この時、固定部材が金属で形成されていると、固定部材の破片(金属片)がパソコンに内蔵された回路基板などの導電部に接触することがあり、電気的ショートが発生する可能性がある。
【0011】
本発明の目的は、スロットユニットの取り付け強度を向上させ、耐衝撃性を向上させることができるとともに、破損した部品による装置内の導電部の電気的ショートを防止することができる情報処理装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の情報処理装置は、半導体素子を内蔵したカード状媒体を挿脱可能なスロットを備えたスロットユニットと、前記スロットユニットが固定されている回路基板と、前記回路基板が装着される筐体とを備えた情報処理装置であって、前記スロットユニットにおける前記カード状媒体の挿脱口近傍に配され、前記スロットユニットの前記カード状媒体挿脱方向に直交する方向への変位を規制可能な規制部材を備え、前記規制部材は、絶縁性材料で形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スロットユニットの取り付け強度を向上させ、耐衝撃性を向上させることができる。また、破損した部品による装置内の導電部の電気的ショートを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態における情報処理装置の外観を示す斜視図
【図2】本実施の形態における情報処理装置の外観を示す斜視図
【図3】スロットユニット近傍の斜視図
【図4】スロットユニット近傍の平面図
【図5】図4におけるZ−Z部の断面図
【図6】本実施の形態の情報処理装置の変形例を示す断面図
【図7】スロットユニットの変形例の平面図
【図8】図7におけるZ−Z部の断面図
【図9】本実施の形態の情報処理装置の変形例を示す断面図
【図10】従来の情報処理装置の斜視図
【図11】従来の情報処理装置の要部平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の情報処理装置において、前記規制部材は、前記スロットユニットにおける、前記カード状媒体の挿脱方向に直交する方向において対向する一対の側面に、当接可能な構成とすることができる。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態の情報処理装置の一例であるノートパソコンの外観を示す斜視図である。図2は、ノートパソコンのスロットユニットにPCMCIA規格に準拠したカードを挿入した状態を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、情報処理装置の一例としてノートパソコンを挙げたが、携帯電話端末や携帯型ゲーム機などのように、半導体素子を内蔵したカードを装着可能なカードスロットを備えたスロットユニットを装備した情報処理装置であればよい。
【0017】
図1に示すように、ノートパソコンは、情報処理回路が実装された電気回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵した第1の筐体1と、液晶ディスプレイ2aを備えた第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。第2の筐体2を、図1に示す位置(第1の状態)から矢印Aに示す方向へ回動させることで、液晶ディスプレイ2aとキーボード5とが近接対向した第2の状態へ移行させることができる。また、第2の状態において第2の筐体2と対向する第1の筐体1の面を上側とすると、第1の筐体1の上面1aには、各種文字の入力操作が可能なキーボード5と、液晶ディスプレイ2aに表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能なポインティングデバイス6とを備えている。なお、キーボード5やハードディスクドライブなどから入出力された情報信号は、情報処理回路(図示は省略)で所定の処理を施し、例えば液晶ディスプレイ2aで表示する表示信号などに変換される。また、第1の筐体1の側面には、PCMCIA規格に準拠したカード20(以下、PCMCIAカードと称する)を挿脱可能な挿脱口を有するスロットユニット4を備えている。
【0018】
PCMCIAカード20は、半導体記憶素子を内蔵し記憶媒体として利用されるカードや、通信回路を内蔵し有線または無線で通信が可能なカードなど、様々なカードがあるが、本実施の形態では無線通信が可能なPCMCIAカードとした。本実施の形態のPCMCIAカード20は、略板状の本体部21と、略直方体のアンテナ部22とから構成されている。本体部21は、各種信号処理や情報記憶が可能な半導体素子が内蔵されている。また、本体部21におけるアンテナ部22に対向する端部には、端子21aが配され、スロットユニット4内に配されたコネクタ40a(後述)と電気的に接続することができる。アンテナ部22は、通信回路やアンテナが内蔵されている。PCMCIAカード20は、端子21aがスロットユニット4の挿入口に対向する姿勢から、図1の矢印Bに示す方向にスロットユニット4内へ挿入することができる。図2に示すように、PCMCIAカード20は、スロットユニット4に挿入された状態では、本体部21がスロットユニット4内に収容されるが、アンテナ部22はスロットユニット4内に収容されず、第1の筐体1から突出した状態になる。
【0019】
図2に示すように、スロットユニット4に通信機能を有するPCMCIAカード20を挿入することにより、ノートパソコンで無線通信が可能になる。本実施の形態のPCMCIAカード20は、スロットユニット4に挿入された状態において、アンテナ部22が第1の筐体1から突出するため、無線電波の受信及び送信感度を向上させることができる。
【0020】
以下、スロットユニット4の保持構造について詳しく説明する。
【0021】
図3は、ノートパソコン内部におけるスロットユニット4近傍の斜視図である。図4は、ノートパソコン内部におけるスロットユニット4近傍の平面図である。図5は、図4におけるZ−Z部の断面図である。なお、スロットユニット4及び基板11は、第1の筐体1(図1等参照)内に収容されているが、図3及び図4ではスロットユニット4及び基板11を明瞭に図示するために第1の筐体1の図示は省略している。
【0022】
第1の筐体1は、上部筐体12と下部筐体13とを備えている。第1の筐体1は、上部筐体12と下部筐体13とを接合することにより形成された内部空間を有する。その内部空間には、スロットユニット4や基板11などが配されている。
【0023】
スロットユニット4は、第1の筐体1内に配された基板11にネジ44によって機械的に固定されているとともに、基板11に形成された導電部に電気的に接続されている(導電部との接続構成は不図示)。また、スロットユニット4は、本体部40、取り出しレバー42、リブ43及び接地電極45を備えている。
【0024】
本体部40は、略直方体の筐体で形成され、一方の端部が開口したカード収納部41を有する。また、本体部40は、アルミニウムなどの金属で主に形成されている。また、本体部40は、表面が鍍金されている構成としてもよい。また、カード収納部41において開口部(挿脱口)41aに対向する内面には、PCMCIAカード20の端子21aと接続可能なコネクタ40aを備えている。
【0025】
取り出しレバー42は、矢印Cに示す方向へ押圧操作可能に配されている。取り出しレバー42は、PCMCIAカード20が未挿入の状態では図4に示す位置にあるが、PCMCIAカード20を本体部40に挿入し、端子21aとコネクタ40aとが接続する位置まで挿入することにより、図4に示す位置から僅かに矢印Dに示す方向へ変位する。スロットユニット4にPCMCIAカード20が挿入された状態において、取り出しレバー42を矢印Cに示す方向へ押圧操作することにより、PCMCIAカード20を矢印Dに示す方向へ引き出すことができる。なお、PCMCIAカード20を矢印Dに示す方向へ引き出す機構の詳しい説明については、周知であるため省略する。
【0026】
PCMCIAカード20は、使用者がスロットユニット4に挿脱できる。従って、例えば、使用者に静電気が帯電している場合等に、PCMCIAカード20をスロットユニット4に挿入すると、端子21aからコネクタ40aに放電することがある。この放電を防止するため、PCMCIAカード20を挿入する開口部41aに接地電極45を備えることが規格で規定されている。そのため、カード収納部41において取り出しレバー42が配置されている開口部41aの側面41b及び側面41bに対向する側面41cのそれぞれに、側面41b及び41cの一部を切り欠くことで板バネ状とした一対の接地電極45を備える。
【0027】
リブ43は、本体部41におけるPCMCIAカード20の挿脱方向に直交する方向の両端部にそれぞれ配されている。リブ43は、ネジ44を挿通可能な開口部が形成されている。ネジ44を、リブ43に形成された開口部を挿通させ、基板11に形成されたネジ穴(不図示)に螺合させることにより、スロットユニット4を基板11に固定することができる。なお、リブ43は、できるだけ開口部41aに近い位置に配置することが好ましいが、図4に示すように開口部41aの側面41bの近傍には取り出しレバー42が配置され、両側面41b及び41cには一対の接地電極45が配置されており、しかも規格上、接地電極45は開口部41aの直近に備える必要がある。したがって、側面41b及び41cにおける開口部41aの直近を係止することは事実上不可能であるため、本実施の形態では取り出しレバー42に隣接する位置に一対のリブ43を配置した。
【0028】
図4に示すように、本体部40における開口部41aの近傍には、規制部材50が配されている。図5に示すように、規制部材50は、断面形状が略コの字状に形成されている。規制部材50は、樹脂などの絶縁材料で形成されている。規制部材50におけるPCMCIAカード20の挿脱方向に直交する方向の両端部の内の一方は、本体部40の取り出しレバー42側の側面40dが当接可能な第1の当接部50bを有し、他方の端部に本体部40の側面40cが当接可能な第2の当接部50cを有する。第1の当接部50bと側面40d、および第2の当接部50cと側面40cとは、スロットユニット4に衝撃が印加されていない状態において僅かな隙間を挟んで対向する構成としたが、スロットユニット4に衝撃が印加されていない状態において既に当接していてもよい。
【0029】
なお、リブ43は、開口部41aに最も近い位置(スロットユニット4におけるカード挿脱方向の端部)に配置することが好ましいが、スロットユニット4における開口部41a直近に一対の接地電極45が形成されているため、開口部41a近傍にリブ43を配置することは事実上不可能である。本実施の形態では、図4に示すように、リブ43をスロットユニット4におけるカード挿脱方向の略中央に配している。
【0030】
さらに、スロットユニット4にPCMCIAカード20を未挿入状態で放置した際に、開口部41aから埃等が本体部40に入り、本体部40内やコネクタ40aに対する汚染を防止するため、第1の筐体1に備えるPCMCIAカード20の挿入口と開口部41aとの間に開閉窓等を備えてもよい。
【0031】
上記のような本実施の形態の情報処理装置において、図2に示すように、スロットユニット4にPCMCIAカード20を挿入した状態で、ノートパソコンを誤って床等に落下させてしまうと、第1の筐体1から突出しているアンテナ部22を床等に衝突させてしまう可能性がある。また、マウス操作過程や外部ディスプレイと接続する過程等の外部機器操作時等に、不用意にアンテナ部22に接触してしまう可能性がある。このように第1の筐体1から突出しているアンテナ部22を床や操作している手等と衝突させ、PCMCIAカード20に対して矢印EまたはFに示す方向への衝撃が加わった場合、PCMCIAカード20はスロットユニット4に保持されているため、スロットユニット4に対しても矢印EまたはFに示す方向の力が加わる。
【0032】
図4に示すように、スロットユニット4は、ネジ44により基板11に固定されているとともに、図5に示すように、本体部40における開口部41aの近傍に規制部材50を配置していることにより、スロットユニット4に対して矢印Eに示す方向の力が加わったとしても、スロットユニット4における開口部41aの近傍は大きく変位しない。すなわち、スロットユニット5に対して矢印Eに示す方向の力が加わった場合、スロットユニット4の側面40dが規制部材50の第1の当接部50bに当接することで、スロットユニット4の矢印Eに示す方向への変位が規制される。
【0033】
また、スロットユニット4に対して矢印Fに示す方向への力が加わった場合は、スロットユニット4の側面40cが規制部材50の第2の当接部50cに当接することで、スロットユニット4の矢印F方向への変位が規制される。したがって、スロットユニット4に対して矢印Eに示す方向またはその反対方向の矢印F方向へ力が加わった際における、スロットユニット4の変形や破損を低減することができる。
【0034】
また、スロットユニット4に対して矢印Eに示す方向に大きな力が加わった場合、スロットユニット4の側面40dが第1の当接部50bに大きな押圧力を与えながら当接する。この時、規制部材50(特に第1の当接部50b)が破損することがある。規制部材50が破損すると、規制部材50の破片が第1の筐体1の中を自由に移動可能な状態になることがある。本実施の形態では、規制部材50は樹脂などの絶縁材料で形成されているため、たとえ規制部材50の破片が、基板11に配されている導電パターンやコネクタなどの導電部に接触したとしても、導電部において電気的ショートは発生しない。
【0035】
また、スロットユニット4に対して矢印Fに示す方向に大きな力が加わった場合は、上記同様、規制部材50(特に第2の当接部50c)が破損することがある。本実施の形態では、規制部材50は樹脂などの絶縁材料で形成されているため、たとえ規制部材50の破片が、基板11に形成されている導電パターンやコネクタなどの導電部に接触したとしても、導電部において電気的ショートは発生しない。
【0036】
また、スロットユニット4は取り出しレバー42を備えるため、取り出しレバー42側における第1の当接部50bの下部筐体13方向の曲げ距離は、カード収納部41を介して対向する第2の当接部50cに比べると短く構成せざるを得ない。したがって、スロットユニット4に対して矢印Eに示す方向に断続的に力が加わった場合、スロットユニット4の側面40dが第1の当接部50bに摺動することがある。この時、規制部材50(特に第1の当接部50b)がスロットユニット4の側面40dによって削られて、粉末状の破片が発生することがある。この粉末状の破片は、第1の筐体1内を自由に移動可能である。しかし、本実施の形態では、規制部材50は樹脂などの絶縁材料で形成されているため、たとえ規制部材50の粉末状の破片が、基板11に配されている導電パターンやコネクタなどの導電部に接触したとしても、導電部において電気的ショートは発生しない。
【0037】
本実施の形態によれば、スロットユニット4の開口部41a近傍に規制部材50を配置したことにより、ノートパソコンを床等に落下あるいは外部機器の操作や接続の際に不用意に手が接触してしまい、例えば矢印Eに示す方向への衝撃が加わったとしても、当接部50bとスロットユニット4の側面40dとの当接により、スロットユニット4の開口部41a近傍の位置が規制されているため、スロットユニット4は大きく変位しなく、例えば矢印Fに示す方向への衝撃が加わったとしても、当接部50cとスロットユニット4の側面40cとの当接により、スロットユニット4の開口部41a近傍の位置が規制されているため、スロットユニット4は大きく変位しない。したがって、スロットユニット4の変形や破損を低減することができ、スロットユニット4を構成している金属部品やスロットユニット4周辺の金属部品の破損や脱落を低減することができる。
【0038】
また、ノートパソコンに対して例えば矢印Eおよび/またはFに示す方向へ大きな衝撃が加わり、規制部材50が破損し、規制部材50の破片が基板11の導電パターンやコネクタなどの導電部に接触したとしても、本実施の形態の規制部材50は樹脂などの絶縁材料で形成されているため、導電部において電気的ショートは発生しない。
【0039】
なお、図5に示したように、第1の当接部50bと側面40dとのスロットユニット4における下部筐体13方向の当接距離は、第2の当接部50cと側面40cとのスロットユニット4における下部筐体13方向の当接距離に比べると、取り出しレバー42のため、短くせざるを得ない。このため矢印E方向の衝撃が加わった時、規制部材50とスロットユニット4とが、第1の当接部50bと側面40dとの当接部で、例えば側面40dが下部筐体13方向にずれる等で、矢印E方向にスロットユニット4が変位する場合が想定される。
【0040】
このような場合でも、図7および図8に示すように、規制部材50の一端に上部筐体12の内面12bに植立形成したボス12aが嵌合する孔部50aを備えることで、スロットユニット4の矢印E方向へのズレを抑制することができ、耐衝撃性を向上させることができる。また、矢印E方向の衝撃が大きく、孔部50aを設けた規制部材50に割れが生じた場合でも、規制部材50は絶縁性材料であるため、割れた破片が電気的ショートの原因となる不具合を回避できる。なお、図7及び図8は、図4及び図5に示す規制部材50に孔部50aを備え、上部筐体12の内面12bにボス12aを備えた構成である。
【0041】
なお、本実施の形態では、図5に示すようにスロットユニット4の側面40dと規制部材50の第1の当接部50bとを当接させて、スロットユニット4の矢印Eに示す方向への変位を規制する構成としたが、図9に示すように取り出しレバー42と第3の当接部50dとを当接させて、スロットユニット4の矢印Eに示す方向への変位を、孔部50aとボス12aとによる嵌合により規制する構成としてもよい。このような構成とすることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、図9は、図6に示す規制部材50に孔部50aを備え、上部筐体12にボス12aを備えた構成である。
【0042】
また、本実施の形態では、孔部50aに嵌合するボス12aをスロットユニット4に取り出しレバー42を備える方向のみに設けた場合で説明したが、スロットユニット4の側面40c側の当接部材50cに孔部を備え、当該孔部に上側筐体12に一体に植立形成したボスを嵌合するのみの構成であっても、矢印E方向への変位は抑制することができる。さらに、一対の孔部を規制部材50の両端面に設け、当該一対の孔部に嵌合する上側筐体と一体に植立形成したボスを備える構成を採用すると、さらに耐衝撃性を向上することができる。
【0043】
なお、本実施の形態における規制部材50と上部筐体12とは、例えば両面接着性テープの貼付や接着剤塗布等による接着固定や、ネジによる螺合固定等を適用することで、互いに固着することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、情報処理装置の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくともスロットユニットを備えた機器であればよい。例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機、医療機器などに有用である。PDA、携帯型ゲーム機、医療機器などには、近年小型のメモリカードを挿脱可能なスロットユニットを備えていることが多く、このようなスロットユニットにおいても本発明は有用である。
【0045】
また、本実施の形態では、PCMCIAカードを一例として挙げたが、少なくともカード状の情報媒体であればよい。また、カード状の情報媒体をスロットユニットに装着した際に、情報媒体の一部がスロットユニットから突出するように保持可能なスロットユニットを備えた情報処理装置であればよい。
【0046】
また、本実施の形態におけるスロットユニット4は、本発明のスロットユニットの一例である。また、本実施の形態における基板11は、本発明の回路基板の一例である。また、本実施の形態における第1の筐体1は、本発明の筐体の一例である。また、本実施の形態における規制部材50は、本発明の規制部材の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の情報処理装置は、半導体素子を内蔵したカード状媒体を挿脱可能なスロットを有するスロットユニットを備えた装置に有用である。
【符号の説明】
【0048】
4 スロットユニット
20 PCMCIAカード
50 規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内蔵したカード状媒体を挿脱可能なスロットを備えたスロットユニットと、
前記スロットユニットが固定された回路基板と、
前記回路基板を内包した筐体とを備えた情報処理装置であって、
前記スロットユニットにおける前記カード状媒体の挿脱口近傍に配され、前記スロットユニットの前記カード状媒体挿脱方向に直交する方向への変位を規制可能な規制部材を備え、
前記規制部材は、絶縁性材料で形成されている、情報処理装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記スロットユニットにおける、前記カード状媒体の挿脱方向に直交する方向において対向する一対の側面に、当接可能である、請求項1記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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