説明

情報処理装置

【課題】ライセンス管理システムでソフトウェアのライセンスが管理されている各機器間で、導入済のソフトウェアのライセンスを、ライセンスキーを必要とせずに、ユーザに負荷を与えることなく、簡単に他の機器に移動することができるとともに、ライセンスの移動後に自動的に所望の機器へライセンスを返却させる。
【解決手段】外部から所定の機能に対応するソフトウェアのインストールデータのダウンロードを行ってインストールする手段と、前記機能をアクティベートするため外部からライセンスファイルを取得する手段と、前記ライセンスファイルの有無とは別に、前記機能のライセンスの有無を管理する手段と、機器間でライセンスの移動を行い、該当する前記機能のライセンスの有無を更新する手段と、移動したライセンスを設定された自動返却条件に従って所定の機器に返却する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PC(Personal Computer)、複写機等の各種の機器(情報処理装置)で使用されるソフトウェアのライセンス(利用権利)の管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PCだけでなく複写機等を含む各種の機器にソフトウェアをインストールする場合に、ライセンス管理システムが用いられる。ライセンス管理システムはサーバとして、ソフトウェアのインストール時もしくはインストール後のライセンス取得時に各機器からアクセスされ、インストール対象となる機器固有の情報と引き替えにライセンスを発行することになる。これにより各機器ではソフトウェアが利用可能になり、また、ライセンス管理システムではインストール対象となる機器以外でのソフトウェアの不正利用を防止することができる。
【0003】
ところで、ライセンス取得済の機器から別の機器にライセンスを移動したい場合がある。従来のライセンス管理システムでは大別して2つのタイプが存在する。
【0004】
第1のタイプは、ライセンス取得済みの機器から、別の機器にライセンスを移したい場合に、ライセンス取得済みの機器からライセンスの返却を行い、別の機器で改めてソフトウェアの導入(インストール、ライセンス取得)を行うものである。
【0005】
第2のタイプは、ライセンス取得済みの機器(A)からライセンス返却をしないで、別の機器(B)からライセンス取得する場合に、ライセンス管理システムにおいて元の機器(A)のライセンスを無効化し、別の機器(B)にライセンスを与えるものである。
【0006】
特許文献1には、ソフトウェアの不正利用を防止しながら、ソフトウェアのライセンス情報を転送する目的で、機器にインストールするソフトウェアのライセンスを管理するシステムにおいて、他の機器に発行済みのライセンスがある場合、同ソフトウェアの導入を許可する要請が別の機器から入力された際に、ソフトウェアの導入許可(ライセンス発行)を行うと同時に、既に発行済みのライセンスを持つ機器に対して該当ソフトウェアの利用を禁止して、ライセンス情報を新機器に引き継がせるための技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したライセンス管理システムを用いる場合、ライセンス取得時には不正利用の防止を含め、正当なユーザかどうかを判断する上で、英数字10数桁程度のライセンスキーといったものをユーザに入力させる必要がある。
【0008】
従って、ライセンス取得済の機器から別の機器にライセンスを移動する場合には、第1、第2のタイプのいずれにおいても、ライセンスキーを知っている(覚えているか、手元にライセンスキー情報がある)という前提が必要である。ライセンスキーは以前のライセンス取得時に用いたものであるため、ライセンス取得済の機器の管理者が管理している場合が多いが、忘れてしまっている場合もあり、その場合にはライセンスキーを再取得する必要がある。また、ライセンスキーを知っている場合であっても、ライセンス取得済の機器とライセンス移動先の機器とが離れている場合、両方の機器で操作しなければならず、煩雑であった。この場合、各機器の付近にいる第三者に操作を依頼することも可能であるが、ライセンスキーの情報まで伝える必要があり、煩雑であった。
【0009】
更に、ライセンスを移動できたとしても、移動先での機能利用の後にライセンスを元の機器や他の機器に再び移動(返却)したいといった要望も多い。これは機器間でライセンスおよび機能を移動させておきたいのが長期間とは限らず、例えば、いつもと違う部署にいるときに"臨時(短期間)"で機能を使いたいためにライセンスおよび機能を移動させるケースがあるためである。しかしながら、このような場合は再びユーザの操作によりライセンスの移動を行わなければならず、煩雑であった。
【0010】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、ライセンス管理システムでソフトウェアのライセンスが管理されている各機器間で、導入済のソフトウェアのライセンスを、ライセンスキーを必要とせずに、ユーザに負荷を与えることなく、簡単に他の機器に移動することができるとともに、ライセンスの移動後に自動的に所望の機器へライセンスを返却させることのできる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、開示の形態にあっては、外部から所定の機能に対応するソフトウェアのインストールデータのダウンロードを行ってインストールする手段と、前記機能をアクティベートするため外部からライセンスファイルを取得する手段と、前記ライセンスファイルの有無とは別に、前記機能のライセンスの有無を管理する手段と、機器間でライセンスの移動を行い、該当する前記機能のライセンスの有無を更新する手段と、移動したライセンスを設定された自動返却条件に従って所定の機器に返却する手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の情報処理装置にあっては、ライセンス管理システムでソフトウェアのライセンスが管理されている各機器間で、導入済のソフトウェアのライセンスを、ライセンスキーを必要とせずに、ユーザに負荷を与えることなく、簡単に他の機器に移動することができるとともに、ライセンスの移動後に自動的に所望の機器へライセンスを返却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】ライセンス移動管理部が持つ情報の例を示す図である。
【図3】新規インストール/アクティベート時の処理例を示すフローチャートである。
【図4】ライセンスの移動先機器(要求元)から移動元機器(要求先)へ移動対象となる機能/ライセンスを選択するまでの処理例を示す図である。
【図5】ライセンス移動実行時の移動先機器(要求元)における処理例を示すフローチャートである。
【図6】ライセンス移動実行時の移動元機器(要求先)における処理例を示すフローチャートである。
【図7】ライセンス自動返却の設定の処理例を示す図である。
【図8】ライセンス自動返却の処理例を示すフローチャートである。
【図9】ライセンス自動返却要求を受けた機器の処理例を示すフローチャートである。
【図10】ジョブ管理部の処理例を示す図である。
【図11】各機器の情報に従うライセンス自動返却の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0015】
<構成>
図1は本発明の一実施形態にかかる画像形成装置1の構成例を示す図である。
【0016】
図1において、画像形成装置1は、システムバス101を介して接続された、システム制御部102と表示部103と操作部104と外部通信部105とジョブ管理部106と画像メモリ部107と画像加工部108と印刷部109とインストール管理部110とライセンスファイル管理部111とライセンス移動管理部112とを備えている。
【0017】
システムバス101は、画像形成装置1を構成する複数の装置(ユニット)を結ぶ経路である。
【0018】
システム制御部102は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、不揮発メモリに記憶されているプログラムをワークエリア(RAM等)に展開し、当該プログラムに従い各部を制御する。
【0019】
表示部103は、システム制御部102から指示される表示データに基づき、画面上に各種表示を行う。
【0020】
操作部104は、各種機能キー等を備えたキーボードにより構成され、押下されたキーの押下信号をシステム制御部102に伝える。
【0021】
外部通信部105は、外部に設けられたライセンス管理システム(サーバ)等と通信する。外部としては、ライセンス管理システムの他に、コンポーネントサーバやメモリデバイス(SDカード等)が含まれる。
【0022】
ジョブ管理部106は、印刷ジョブ等のジョブのスケジューリングを行う。また、ジョブ管理部106は、他機器からのライセンス移動後に自動でライセンスを返却する設定にて「機能利用後(ジョブ完了後)」となっている場合には、該当機能のジョブ完了後にライセンス移動管理部112への通知を行う。ライセンスの自動返却処理はライセンス移動管理部112が行う。
【0023】
画像メモリ部107は、画像データや印刷データ等が格納される。
【0024】
画像加工部108は、入力された画像データに対し、拡大縮小、回転等の画像処理を施し、画像処理した画像データを印刷部109に出力する。
【0025】
印刷部109は、感光ドラム、トナー、給紙部、排紙部等を備える。印刷部109は、システム制御部102からの印刷指示に従い、印刷用紙を給紙部から搬送し、画像加工部108から入力された画像データに対応する画像を感光ドラムに感光させてトナーで現像し、感光ドラムから印刷用紙にトナーを転写して定着させ、印刷用紙を排紙部から排紙する。
【0026】
インストール管理部110は、画像形成装置1にインストールされたソフトウェアの構成情報を管理する。
【0027】
ライセンスファイル管理部111は、外部通信部105を用いてライセンス管理システムよりダウンロードしたライセンスファイルを管理し、ライセンスファイル情報を用いてライセンス更新、自動ライセンス返却等の判断を実施する。
【0028】
ライセンス移動管理部112は、ライセンスファイルの移動に伴う情報を管理し、ライセンス操作に伴う対応を他機器と連動して実施する。ライセンス操作としては、他機器からの機能/ライセンスの問い合わせを行い、機能/ライセンスの移動(転送)の制御を行う。また、他機器(ライセンス移動経路の機器が対象)のディアクティベート/アクティベート(自動/手動問わず)の制御を行う。また、ライセンス移動管理部112は、ユーザ操作に基づくライセンス移動後の自動的なライセンスの返却についての情報を管理し、自動的なライセンスの返却の制御を行う。
【0029】
図2はライセンス移動管理部112が持つ情報(ライセンス移動管理情報)の例を示す図であり、該当機能識別子(プロダクトID)、該当ライセンス識別子(ライセンスID)、ライセンス本家機器、ライセンス複製機器、ライセンス保有、自動返却、返却タイミング、返却先を含んでいる。ライセンス本家機器、ライセンス複製機器、ライセンス保有、自動返却、返却タイミング、返却先は、既存機器には存在しない新規の情報となる。
【0030】
該当機能識別子(プロダクトID)
機器に導入する機能(ソフトウェア)を識別する情報である。デバイス間でライセンス移動する場合に移動先(操作元)となる機器にユーザはいるが、欲しい機能/ライセンスを予め知っているとは限らないため、移動先(操作元)から、各機器に対して機能一覧を取得する際に、この情報を参照することで移動可能な機能/ライセンスを知らせることができる。
【0031】
該当ライセンス識別子(ライセンスID)
ライセンス管理システムから機能導入時にライセンスファイルを取得するが、ライセンスファイルの実体を保持しているのはライセンスファイル管理部111であり、ライセンスファイル有無とは別にライセンス(権利)があるか否かの情報を保持する上でライセンスファイルと紐づけるための情報である。
【0032】
ライセンス本家機器
ライセンス管理システムを介さないで機器間で機能/ライセンス移動を行うが、移動後にライセンス形態によっては自動ライセンス更新、自動ディアクティベート(ライセンス返却)、または手動でディアクティベート/その後アクティベートなども考えられ、ライセンス管理システムとの通信が発生することになる。しかしながら、ライセンス管理システムとしては、該当ライセンス発行時には該当機器との通信時に機器を特定する情報(例えばシリアルNo)を取得しており、発行したライセンスと紐づけて管理していることが多い。そのため、前述したようにライセンス移動した機器全てからのアクセス時に、ライセンス管理システムが管理しているライセンスと紐づけている機器以外からのアクセスが行われることは望ましくない。ライセンスと機器を紐づけて管理しているライセンス管理システムではNG処理となるが、紐づけていない場合には先にアクセスした機器のライセンス操作が反映され、各機器(ライセンス移動経路)と齟齬が生じる可能性がある。よって、これらを避けるため、また、ライセンス管理システムに特にライセンス移動における対応を必要とさせないために、ライセンス管理システムとアクセスするのは該当ライセンスを一番初めに取得した機器(これを本家と呼ぶ)のみとする。よって、本家がアクセスする分にはサーバ管理のライセンスと機器特定情報にも矛盾が発生することがない。
【0033】
本情報は該当ライセンス初回取得機器のみ、ライセンス本家となり、その後ライセンス移動した経路となる機器すべては本家とはならないことを示している。ここでは、ライセンス本家か否か(Yes or No)ではなく、本家はどの機器かを示している。これは、移動した経路の機器(既に他機器にライセンスを奪われている)に対して手動でライセンス取得を行おうとした場合に、本家ではないので操作NGとするがなぜNGなのかをライセンスが移動され保有していないからだけでなく、ライセンス管理システムとアクセスできる機器を教えるためでもある。
【0034】
ライセンス複製機器
ライセンス管理システムを介さないで機器間で機能/ライセンス移動を行うが、移動後にライセンス形態によっては自動ライセンス更新、自動ディアクティベート(ライセンス返却)などライセンスファイルの更新/削除などが必要になるケースが存在する。この場合、「ライセンス本家機器」の部分で説明したように、ライセンス管理システムと通信するのは本家のみとするため、本家が移動経路(ライセンスが移動していくと複製されたライセンスファイルが各機器に保持されていく)のライセンスの更新/削除といった対応をつかさどる必要がある。そのためにライセンス移動経路となった(ライセンス複製したものを保持している)機器全てを把握する必要があるため、本情報を用いることになる。
【0035】
ライセンス保有
機能/ライセンスを移動する場合、ライセンスファイルを複製し移動先に提供するが、このままではライセンス管理システムが預かり知らないところで、不正利用(サーバ発行済ライセンス数増加)となってしまう。そのため、ライセンス複製して機能/ライセンスが移動する場合に移動元となる機器においてはライセンス保有していない、つまりライセンスを移動したということで保有有無に関して、「No」といった情報を持つことで不正利用を防止する。なお、ライセンス保有は「Yes」で示す。
【0036】
自動返却
ライセンス移動においては長期的に移動する場合だけでなく、一時的なレンタルの意味合いで、機能を1度だけ利用したい、もしくは機能を1h(時間)だけ利用したいといった場合も考えられ、この場合において機能利用後もしくは所定時間経過後に自動でライセンスを返却することが必要とされる。そのため、「自動返却」情報は、ライセンス移動後に、このライセンスを設定に従い他機器へ返却するのか、もしくは返却することはしないのかの情報として用いる。
【0037】
返却タイミング
「自動返却」情報にて自動で返却すると扱われた場合において、いつ返却するのかといった情報が必要になる。いつ返却するのかといった選択肢としては、「該当機能利用終了後」といったジョブを軸に考えること、「2h後、もしくは夜間に」といった時間軸としても考えることができる。これら「いつ」返却するかの情報を「返却タイミング」として管理する。
【0038】
返却先
「自動返却」情報にて自動で返却すると扱われた場合において、どこに返却するのかといった情報が必要になる。どこに返却するのかといった選択肢としては、「移動元の機器」や「ライセンス本家となる機器」といったものだけでなく、ユーザ数が多い機器、該当機能利用頻度が高い機器といった機器内の情報を軸とする考え方、または、移動元やライセンス本家となる機器に設定している機器(つまり移動元の同フロア)に返却するといったことも考えらえられる。これらどこに返すのかといった情報を「返却先」として管理する。
【0039】
<動作/ライセンス移動>
図3は新規インストール/アクティベート時の処理例を示すフローチャートであり、通常のソフトウェアインストール後のライセンス取得、いわゆるアクティベート時の処理である。なお、所定の機能を実現するソフトウェアをインストールしただけでは機能が有効とはならず、アクティベートすることにより有効となる。また、アクティベートした後にディアクティベートして無効とすることもできる。
【0040】
ステップS101において、ユーザが該当機能利用のためライセンス取得するために画面上でライセンスキーを入力してアクティベート実行を開始すると、ステップS102では、ライセンス管理システムに接続し、ライセンス管理システムにおいてライセンスキーの正当性を確認する。
【0041】
ステップS103では、接続エラーもしくはライセンスキー不正などのエラー判定となったか否かで処理を分岐する。エラー判定となった場合、ステップS108でエラー処理を行い、ステップS109で異常系によりアクティベートを完了する。
【0042】
エラー判定とならなかった場合、ライセンスキーの正当性が確認され、ステップS104では、ライセンス管理システムからライセンスファイルを取得する。ライセンスファイルには、ライセンス種別、利用期限等が格納されている。
【0043】
ステップS105では、取得したライセンスファイルを用いて機能を利用可能とするための処理を行う。ライセンスファイルに含まれる利用期限に応じて機能が利用可となる。
【0044】
ステップS106では、ライセンス移動管理部112にて本フローでライセンス取得し機能利用可となった情報を管理する。そのため該当機能を示すID、そしてライセンスファイルを示すIDと、ライセンス本家情報に自機の情報を設定し、ライセンス保有に関してもライセンスを取得しているという情報を設定する。ライセンス複製に関しては本フロー時においては何も設定されない。こちらは他機器に機能のライセンスを移動させる際に更新されるためである。これにより、ステップS107で機能利用可能となってアクティベートを完了する。
【0045】
図4はライセンスの移動先機器(要求元)から移動元機器(要求先)へ移動対象となる機能/ライセンスを選択するまでの処理例を示す図である。
【0046】
先ず、ステップS201では、要求元となる機器Dからネットワーク接続されている機器(A、B、C、・・)に対して機能一覧を問い合わせる。
【0047】
問い合わせを受けた各機器は、自機に対してインストールされた機能についての情報を機器Dに返し、機器DはステップS202でこれを取得する。もちろん各機器としてファームウェアやインストール/アンインストールといった抜き差しの対象とならないものや、ライセンス移動を想定しない機能に関しては問い合わせ結果として返す必要はない。
【0048】
各機器からの問い合わせ結果を受け、ステップS203で機器Dは画面表示を行う。ユーザが興味ある機能もしくは必要な機能をステップS204で選択すると詳細画面となる。詳細画面においては単に各機能を示す情報(名前、機能概要等)だけでなく、「機器の設置場所」「機能利用頻度」「自由記述欄のコメント(「移動させないで」等が設定されていることも想定される)」等、どの機器から移動させるかという判断材料となりえる情報も対象となる。
【0049】
これら詳細情報から、ステップS205でユーザによってどの機器から機能/ライセンスファイルならびにライセンスを移動するかを選択させ、移動実行の指示が行われる。
【0050】
図5はライセンス移動実行時の移動先機器(要求元)における処理例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップS301で機能/ライセンス移動対象の選択が行われて処理が開始すると、ステップS302では、機能/ライセンス移動を要求先に伝える前に、自機の状態を確認する。移動元機器に対して機能/ライセンス移動を要求する際に、自機にて該当機能がインストールされていてライセンスだけがない状態と、機能自体存在しない場合とがあるためである。
【0052】
機能自体存在しない場合、ステップS303では、移動元へ機能/ライセンス移動要求する際、該当機能が未インストール、もしくはバージョンに差がありインストールデータが必要となる場合として、インストールデータについても要求対象とする。
【0053】
ステップS304では、機能/ライセンスの移動を要求するが、ステップS303でインストールデータが必要となった場合には、インストールデータについても要求する。
【0054】
ステップS305では、該当機能のライセンスに基づく転送データを受信する。
【0055】
ステップS306では、転送データの受信においてエラーがなかったか判断し、エラーがなかった場合、ステップS307では、該当機能が未インストールか否か判断する。
【0056】
該当機能が未インストールの場合(該当機能も転送要求した場合)、ステップS308では、受信したインストールデータを用いてインストール処理を実行する。もちろん、バージョン差異でインストールデータを必要とした場合には内部的には更新処理が実施されることとなる。ステップS309でインストール時のエラーが判定されなければ、インストールを行わなかった場合の処理に合流する。
【0057】
ステップS310では、アクティベート処理として、ライセンスファイルを用いて該当機能を利用可能状態とする。また移動元と同じく通常のアクティベート処理と違い、機能/ライセンスを機器間で移動させるためライセンス管理システムとの通信は行わない。
【0058】
ステップS311では、自機がライセンス本家であるか否か判断し、自機がライセンス本家でない場合、ステップS312でライセンス移動管理部112にて該当情報を更新する。すなわち、「ライセンス保有」情報はライセンスをもっている状態とされ、「ライセンス本家機器」情報に関してはどの機器が本家となっているかを示す情報が記載される。また「ライセンス複製機器」情報に関しては、ライセンス本家以外は未使用であるため空欄となる。
【0059】
自機がライセンス本家である場合とは、ライセンス本家として外部システムに基づいてアクティベートを行い機能利用可能状態にあったが、その後に他機器から該当機能のライセンス移動を要求され、自機のライセンスを無効化し、他機器へライセンスを移動させたあと、再度自機が現機能のライセンスを持つ機器からライセンスを取り戻した場合が該当する。
【0060】
自機がライセンス本家である場合、ステップS313では、ライセンス移動管理部112にて該当情報を更新する。すなわち、「ライセンス保有」情報はライセンスをもっている状態とし、「ライセンス本家機器」情報に関しては自機が本家とわかるので更新処理は行われない。また、「ライセンス複製機器」情報に関しては、ライセンス本家を複製した経路として記載する必要がないため、更新処理は行われない。これにより、ステップS314では、機能/ライセンス移動の対応を完了する。
【0061】
転送データ受信または受信後の解析(もしくはインストール等)でエラーがある場合には、ステップS315のエラー処理において、再度データ転送を要求する、もしくはライセンス移動失敗とすることが考えられる。また、転送データに不備がなく、インストール処理、ならびにアクティベート処理時のエラーの場合には、自機で閉じているためリカバリー処理を行う。しかしながら、リカバリー実施後もエラーとなってしまう場合にはライセンス移動しても機能が使えない状態となるので、ライセンスを移動元に返却するなどして機器間でライセンス移動管理部で扱う情報に齟齬がないようにロールバックを行う。
【0062】
なお、本フローでは必要に応じてインストールデータ、そしてライセンスファイルのデータ受信をしているが、機器間で機能利用のライセンスの移動を何度も行うと各機器においてインストール済み、ライセンスファイル保持という状態になり得る。この場合には要求先へは機能利用のためのライセンスのみ移動を要求することで実現できる。受信データとしては、ライセンス移動のための管理に必要な情報(「ライセンス本家機器」、「有効期限」(事実上本家における有効期限。ライセンスファイルの有効期限ではない))のみとなる。
【0063】
なお、「ライセンス複製機器」情報に関しては、本家以外の機器から他機器へ移動時に本家機器へ伝えるため、ライセンス移動要求先の受信データとして必要はない。また、「ライセンス保有」情報に関してもライセンス移動時においてライセンス保有となるので情報として提供する必要はない。ただし、ロールバックなど各機器で整合を取るときには情報として知らせることも必要になる。
【0064】
図6はライセンス移動実行時の移動元機器(要求先)における処理例を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS401で機能/ライセンス移動要求が行われて処理が開始すると、ステップS402では、先ずライセンス移動要求を受け付け可能か判断する。これは既にライセンスファイルはあり、以前はライセンスをもっていたが既に他の機器にライセンスを移動させた後かもしれなく、この場合にはライセンスを移動することはできないため要求を受け付け可能かという事前判断となる。
【0066】
ライセンス移動要求受付可の場合、ステップS403では、機能/ライセンスの移動が実行可能かどうかを判断する。これは要求されたライセンスに基づく機能が、実行中または実行待機中(予約を含む)の場合などは機能/ライセンスを移動できないためである。
【0067】
ライセンス移動実行可の場合、ステップS404では、該当機能のディアクティベート処理として機能を使えない状態にする。通常のディアクティベート処理ではライセンス管理システムにライセンスを返却するが、機能/ライセンスの移動要求の場合においては、機器間で機能/ライセンス移動を実現するため、ライセンス管理システムにライセンスの返却は行わない。ここではライセンス返却を行わずディアクティベート処理としてライセンスに紐づく機能の無効化処理を行う。
【0068】
ステップS405では、自機がライセンス本家かどうかをライセンス移動管理部112の情報で確認する。
【0069】
自機がライセンス本家の場合、ステップS406では、ライセンス移動管理部112にて「ライセンス複製機器」情報に移動先機器の情報を追加する。また、「ライセンス保有」情報をライセンスを保有していないという情報に更新する。
【0070】
自機がライセンス本家ではない場合、ステップS407では、ライセンス移動管理部112にて「ライセンス保有」情報を保有していないという情報に更新する。本家ではないため「ライセンス複製機器」情報は扱わない。
【0071】
ステップS408では、ライセンス本家となる機器へライセンスを他の機器に移動したという情報を通知する。この通知を受けたライセンス本家となる機器は、自身のライセンス移動管理部112における「ライセンス複製機器」情報に、通知された機器の情報を追加する。
【0072】
ステップS409では、移動においてライセンスファイルのみでよいのか、機能自体のインストールデータも必要かの判断を行う。どちらのパターンかについては本フローの最初の要求時に含まれるものとする。
【0073】
インストールデータも移動対象としている場合、ステップS410では、該当機能を示すインストールデータ、つまりリリース形態となっている販売パッケージ(PKG)のデータを複製する。
【0074】
ステップS411では、複製したインストールデータを要求元となる機器へ転送する。ステップS412でエラーが判定されなければ、ライセンスだけの場合の処理に合流する。
【0075】
ステップS413では、該当機能に紐づくライセンスファイルを複製する。
【0076】
ステップS414では、複製したライセンスファイルを要求元となる機器へ転送する。ライセンスファイルの複製/転送については、複製/転送の限界値(例えば、10回まで)を定めて制限したり、同じフロア内の機器だけ(フロア設置情報が必要になる)とかに制限したりすることができる。
【0077】
ステップS415でエラーが判定されなければ、ステップS416で、機能/ライセンス移動要求の対応を完了する。
【0078】
ステップS417のエラー処理において、ステップS402/403といった要求受付段階(実行前)では、要求を実行できないことを要求元へ伝えるのみだが、その後のデータ転送時のエラーなどでは、ライセンス移動管理部112の情報を更新してしまっているので、更新前の状態にロールバックする。エラー処理の後にステップS418で機能/ライセンス移動要求の対応をNG処理として完了する。
【0079】
なお、データ転送時のエラーなどにおいて要求元にも自機でロールバックしたことを伝え、万が一に機器間で整合がとれていないことを防ぐため、要求元に対してロールバックを促す。
【0080】
回線断など接続できずに、要求元へ伝達できない場合には何度かリトライ処理を行うが、一向に整合処理についての通知ができない場合には、整合がとれない可能性があるため本機能のライセンスを一時無効化することも考えられる。この場合にはユーザに画面表示、メール通知などの手段を用いてライセンスを一時無効化した理由を伝え、復旧を促す。その後要求元との整合のための通知ができ、整合に問題がなければ無効化を解除することで互いの機器にて要求前の状態へロールバックができたことになる。要求元のロールバックにおいては未完了状態の一部受信済データなどは破棄する。
【0081】
なお、本フローでは必要に応じてインストールデータ、そしてライセンスファイルのデータ複製、転送をしているが、機器間で機能利用のライセンスの移動を何度も行うと各機器においてインストール済み、ライセンスファイル保持という状態になり得る。この場合には要求元へは機能利用のためのライセンスのみ移動を提供することで実現できる。転送データとしてはライセンス移動のための管理に必要な情報(「ライセンス本家」、「有効期限」(事実上の本家における有効期限。ライセンスファイルの有効期限ではない))のみとなる。ライセンスファイルの有効期限(例えば、+3ヶ月)だと移動ごとにどんどん機器として有効期限がのびてしまい、本家が最初にアクティベートした有効期限に従う必要があるため、本家の有効期限を適用(つまり要求先の有効期限適用)する。
【0082】
なお、「ライセンス複製機器」情報に関しては本家以外の機器から他機器へ移動時に本家機器へ伝えるため、ライセンス提供時に提供先へ知らせる必要はない。また、ライセンス保有に関してもライセンス移動時においてライセンス保有しないという状態となるので情報として提供する必要はない。ただし、ロールバックなど各機器で整合を取るときには情報として知らせることも必要になる。
【0083】
<動作/ライセンス移動後のライセンス自動返却>
図7はライセンス自動返却の設定の処理例を示す図である。
【0084】
図7(a)において、ステップS501で例えば機器Dから機器Aに機能のライセンス移動要求を行い、ステップS502で機器Aから機器Dに対してライセンス移動が完了すると、ステップS503では、ライセンス移動要求側の機器Dにおいてライセンス移動管理部112により自動返却設定画面がポップアップ画面として表示される。なお、ライセンス移動直後にポップアップの設定画面で入力を促す例について説明するが、この例に特に限定されない。いつでも入力可能とすることで、1度設定したものを修正することも可能である。
【0085】
次に、図7(b)において、先ず最初に、長期的なライセンス移動なのか、臨時で機能を利用したいといった短期的なライセンス移動なのかによって自動返却設定有無が変わるため、「返却予定なし」なのか「自動返却設定」を行うのかを入力させる。ステップS511のように「返却予定なし」が選択された場合においては、ステップS512のようにライセンス移動管理部112のライセンス移動管理情報の「自動返却」情報に対して「No」(自動返却しないという意味)が設定される。ライセンス移動管理情報の更新に関しては以上となる。
【0086】
ステップS513のように「自動返却設定」が選択された場合においては、「いつ」「どこに」返却するのかの2軸についての入力となる。
【0087】
「いつ」に関しては、臨時で機能を利用したいということで機能利用完了に伴い返却してもかまわない可能性もあるため、「ジョブ完了後」というジョブを意識した選択を可能としている。該当機能へのジョブを受付ジョブ完了後に即座に自動返却処理を行ってもよいが、いくつか連続でのジョブ投入も考えられるので、該当機能へのジョブ投入後には「ジョブ完了後に自動返却します。続けてジョブ投入する場合にはN,ジョブ投入完了(終了後に返却)の場合にはYを押下してください」などのフォローがあってもよい。
【0088】
また、「ジョブ」という概念ではなく「時間」の概念を用いて、何時間後、もしくはいつ返却するのかを指定させることも可能としている。細かな指定をさせることも可能とするが、ユーザ負荷を下げるためにもデフォルトとして「本日夜間(22:00)」、「1日後」、「1週間後」といったものも用意しておき簡単に設定させることも考えられる。
【0089】
ステップS514で「いつ」が選択された後、続いて返却先として「どこに」という設定になるが、こちらについてはライセンス移動管理部112のライセンス移動管理情報で把握しているライセンス本家を示す「移動元機器(ライセンス本家)」や、ライセンス移動管理情報に「どの機器から移動したか」といった移動対象といった情報を追加することで、ライセンス本家とは別に、「移動元(ライセンス移動させた機器)」といった選択もできるようになる。
【0090】
すなわち、ライセンス移動管理部112では、ライセンス移動管理情報においてライセンス本家の機器を特定して保持している。そのためライセンス自動返却設定にて「移動元機器」と選択された場合には、この保持しているライセンス本家の機器に対して返却する。また、「移動元機器」をライセンス本家となる機器と限定せずに、移動経路として本機器が移動させた1つ前の移動元として捉えることもできる。この場合にはライセンス移動管理情報に新たに「移動元機器」といった情報を追加することで、該当ライセンスを移動させた機器に移動することも実現できる。「ライセンス複製機器」情報でも移動経路の情報を保持しているが、あくまでライセンス本家のみが保持する情報としているため、新たに「移動元機器」を追加することとなる。これは、自動ライセンス更新など本家が処理のトリガをかける必要があるため移動経路となった機器を把握するためのものであり、移動された機器とライセンス本家だけの情報交換に用いられるものだからである。
【0091】
また、これらライセンス移動管理部112のライセンス移動管理情報を用いた返却対象とは別に、各機器の情報を参照したうえで返却先を選択させることも可能とするため「機能利用頻度に応じて適切な機器へ返却」といったことも可能とする。「機能利用頻度に応じて」の具体的な例としては、「機器登録ユーザ数」、「該当機能の利用頻度」、もしくは「該当機器設置場所」といったことで判断してもよい。
【0092】
「機器登録ユーザ数」では、ユーザ数が多いほど機器の利用が多くなることが予想でき、これに伴い該当機能の利用頻度も相対的に高くなるだろうという想定のもとに返却対象とする考え方になる。「該当機能利用頻度」では、機器登録ユーザ数ではあくまで想定であるため、いくら登録ユーザ数が多くとも該当機能自体が利用されない場合には意味を持たず、機器の登録ユーザ数ではなく該当機能の利用頻度、つまり該当機能のカウンタ値の高い機器へ返却させるという考え方になる。「設置場所」については、前述したものとは違い、機器の初期設定等で「設置場所」補足情報を入力可能とする必要がある。この情報は返却対象として移動元としていた場合において、移動元が既に他の機器から同機能のライセンスを取り戻している可能性もあり、返却したくても返却する必要がない場合に、同フロアの機器に移動することを想定している。該当機能利用頻度でも同じことが言えるが、よく使っている/もしくは移動元となる機器の付近(同フロア)では、同じように該当機能が使われるだろうという想定のもとでの考え方である。
【0093】
ステップS515で「どこに」が選択されることで、ステップS516のようにライセンス移動管理情報を設定する。なお、「いつ」として「ジョブ完了後」が選択された場合、ライセンス移動管理部112はジョブ管理部106へ通知を行い、ジョブ管理部106は該当するジョブの完了を監視する。詳細については後述する。
【0094】
なお、返却先となる機器がライセンス本家で把握している機器ではない場合に、ライセンス本家となる機器に移動先の機器を伝えるようにすることができる。すなわち、ライセンス自動更新を含めた移動経路(ライセンス複製先機器)の把握のため、移動元(ライセンスが奪われる側)がライセンス本家へ移動後の機器の情報を提供しているが、自動返却先の設定によってはライセンス本家が把握していない機器となる可能性があるため知らせる必要がある。これを返却先、返却元のどちらでやるかについてであるが、どちらでもかまわない。これは返却元にしても返却先にしても、ライセンス移動管理部112の情報としてライセンス本家の情報は受け渡しされるためである。よって、本家で把握している「ライセンス複製機器」情報に、ライセンス自動返却設定された機器が把握されているかどうかを知る必要があるため、こちらを返却元/返却先どちらがやるかをきめたうえで行えばよい。
【0095】
図8はライセンス自動返却の処理例を示すフローチャートである。
【0096】
図8において、ステップS601で自動返却設定が完了して処理を開始すると、ステップS602では、自動返却設定(いつ)に従い、自動返却処理実行を行うものと判断する。すなわち、自動返却設定が「ジョブ完了後」の場合、ジョブ管理部106が該当するジョブの完了を認識するとライセンス移動管理部112に通知を行い、ライセンス移動管理部112は自動返却処理実行であると判断する。自動返却設定が「時刻設定」の場合、ライセンス移動管理部112は現在時刻と比較して一致した場合に自動返却処理実行を行うものと判断する。
【0097】
ステップS603では、該当ライセンス(機能)の移動可否判断を行う。ライセンス返却前にライセンス無効化処理(ステップS604)を行う必要があるが、該当ライセンスが実行中の場合には実行できないことがあるために事前判断を行う。
【0098】
該当ライセンス(機能)が移動不可能である場合、ステップS610におけるエラー処理として、該当機能が実行中の場合には機能実行完了を待つ、もしくは設定回数に従いライセンス(機能)の無効化処理をリトライするなどして正常系ルートを維持させるパターンか、もしくはこれらリトライ処理をせずにステップS611でエラーとして終了させるパターンとなる。
【0099】
該当ライセンス(機能)が移動可能である場合、ステップS604で返却処理の事前準備として該当機能の無効化処理を行う。既に無効化されている場合はスキップする。
【0100】
ステップS605では、自動返却設定(どこ)に従い、返却先に対して返却要求を行う。返却要求を行って返却先の機器状態を確認し、返却先の機能が既に削除済みの場合にはライセンスファイル、インストールデータ、ライセンス移動管理部情報(ライセンス本家、有効期限)を転送する。
【0101】
また、続くステップS606では、返却先が電源OFF、通信NG等の場合にはステップS610におけるエラー処理として、設定回数に従いリトライ処理を行うが、通信確保できない場合には自動移動エラーとして扱う。
【0102】
自動返却先について設定されている際、設定に従い自動返却を行おうとするが、返却対象となる機器が既に返却対象のライセンスを保有している場合(ライセンス購入もしくは他機器から移動させた)もしくは返却対象が電源OFFもしくは通信エラーとなっている場合に、デフォルト優先順位に従い移動対象を変更可能とすることができる。自動返却設定がされているということで、ライセンスを移動させたのは短期間ライセンスを保持したい場合であり、選択した返却先への返却ができなかったことで、ライセンスを保持しつづけることなく適切な機器へと返却することを優先する考え方を適用させるものである。この場合の返却対象デフォルト優先順位の例としては、
(1)ユーザ設定(ユーザが選択した設定)
(2)ライセンス本家
(3)移動元
(4)設置場所
(5)機能利用頻度
(6)機器登録ユーザ数
というものが考えられる。設定した優先順位は後に変更することもできる。
【0103】
優先順位に基づく全ての機器について自動返却が行えない場合(購入等によりライセンス保有している場合、電源OFFの場合、機器自体が撤去されている場合等)は、自動返却を中止し、自機のライセンスを再び有効化する。
【0104】
また、自動返却設定タイミングが設定されている際、設定に従い自動返却する前に自機の電源がOFFで自動返却タイミングで自動返却が実行できなかった場合においては、再起動後に設定に応じて自動返却を行う。すなわち、時刻指定の場合には再起動後に実施する。また、ジョブに関しては電源断前にユーザジョブ投入がすべて完了したかの判断はできないため再度ジョブ投入を待ち、さらにジョブ投入完了(他移動可否)の報告を受ける必要がある。
【0105】
更に、自動返却設定タイミングにて自動返却処理を実行する前に、該当機能ジョブを受付実行中となり機能を無効化することができない場合においては、投入されたジョブを優先してこれらが完了してから、もしくは一定回数リトライを行うことで自動返却処理を実行させるものとしているが、ジョブの種類として時刻指定ジョブというものがある。この場合は自動返却タイミングとして指定されている時刻より先の時刻指定された場合にはNGとすることで、返却するタイミングであるにもかかわらず、一定時間後に返却するライセンス(機能)が設定されていることで該当ジョブが結果的にNGとなってしまうことを防ぐことができる。
【0106】
ステップS607では、返却先への自動返却処理として必要なデータの転送を行う(返却先の機器状態によって提供データはステップS605で説明したように変化する。)。
【0107】
ステップS608では、返却先との通信完了に伴い、ライセンス移動管理部112のライセンス移動管理情報を更新する。更新対象としては、「ライセンス保有」情報を有→無に変更し、返却完了に伴い設定済みの自動返却設定を初期化する。
【0108】
図9はライセンス自動返却要求を受けた機器の処理例を示すフローチャートである。
【0109】
図9において、ステップS701でライセンス自動返却要求を受け付けて処理を開始する。なお、機器の構成(返却対象のライセンス状態)によって受け交すデータ種類が違うため、要求元に機器の構成が知らされる。自機において該当機能が既に削除されている場合には、要求元へ該当機能データが削除済みであることを伝え、相手からライセンスファイル、インストールデータ、ライセンス移動管理情報が転送され、インストール(機能有効化)処理を実施する必要がある。
【0110】
ステップS702では、機器構成に従い必要なデータのみが転送され、そのデータを受信する。
【0111】
ステップS703では、受信データをもとに該当ライセンス(機能)の有効化処理を行う。
【0112】
ステップS704では、ライセンス移動管理情報の更新を行う。すなわち、「ライセンス保有」情報を無→有に更新する等の処理を行う。その後、処理を終了する。
【0113】
図9の詳細処理(エラー系含む)は、図5および図6に示したものと同様になる。
【0114】
図10は自動返却設定(いつ)として「ジョブ完了後」が選択された場合におけるジョブ管理部106の処理例を示す図である。
【0115】
図10(a)において、ステップS801でユーザにより「ジョブ完了後」が選択された場合(図7のステップS514の後)、機器Dでは設定を受け付けたライセンス移動管理部112がジョブ管理部106に対して「該当ジョブが完了したときにライセンス移動管理部への通知」を依頼し、ジョブ管理部106はライセンス自動返却管理情報として、該当する機能単位の該当するジョブ単位にライセンス自動返却フラグ「○」を設定する。ここでは、機能単位(パッケージ)「マーキング」に対応するジョブ単位「Cマーキング」にライセンス自動返却フラグ「○」が設定された状態を示している。
【0116】
ジョブ管理部106はライセンス自動返却フラグの設定された該当ジョブが完了したときにはライセンス移動管理部112へ通知を行うことになるが、ジョブ完了と認識するために、ライセンス移動管理部112により他機器からライセンスを移動した機能(配布単位でいうなら販売パッケージ)とジョブとの紐付けをライセンス自動返却管理情報により行う。なお、ジョブ管理部106で固有に管理せずとも、機器構成を管理している部位、例えばインストール管理部110において機器内に予めある機能やユーザにより導入される販売パッケージの情報がインストール情報として機器管理されている場合には、それをジョブ管理部106が参照するといったことでも実現することができる。
【0117】
一方、図10(b)は機器Dに対してジョブが未投入の場合のジョブスケジューリング情報を示している。
【0118】
ここで、図10(c)において、ステップS802でユーザから「Cマーキング」というジョブが投入されると、画面にてジョブ投入が完了しているかを確認する。そして、ステップS803でユーザにより「ジョブ投入完了」が選択されると(ジョブ投入が完了している場合には、ジョブ投入完了を押下してもらう)、ジョブが投入され、ジョブスケジューリング情報にジョブ「Cマーキング」が追加される。投入されたジョブ「Cマーキング」は図10(a)のライセンス自動返却管理情報でライセンス自動返却フラグ「○」が設定され、ジョブ完了後に返却する必要があるため、ジョブスケジューリング情報のライセンス自動返却フラグも有効とされる。
【0119】
その後、投入されたジョブ「Cマーキング」が実行され、実行が完了すると、ジョブ管理部106にてジョブ実行完了を認識した時点で、ライセンス移動管理部112へジョブが完了しライセンス自動返却をする必要があることを伝えるため、ジョブに該当するライセンス(販売パッケージ)を伝える。なお、ライセンス自動返却設定したユーザを特定しておき、ライセンス自動返却設定したユーザ以外のジョブでは自動返却しないようにすることができる。該当ジョブの完了のみ伝え、ライセンス移動管理部112にてジョブと機能(販売パッケージ)の紐付きを判断させることでも実現可能となる。これに応じ、ライセンス移動管理部112はライセンス自動返却の処理を行う。
【0120】
また、図10(d)において、ステップS804でユーザから「Cマーキング」というジョブが投入された場合に、継続してジョブ投入もしくは時間をあけて再度ジョブ投入の予定がある等により引き続きジョブ投入が必要である場合には、ジョブ投入が完了していないので、ステップS805で「継続してジョブ投入を行う必要がある」を押下してもらう。このとき、ジョブ完了後に返却する必要はないため、ライセンス自動返却情報フラグが有効とはならない。よって、ジョブ管理部106にてジョブ実行完了を認識した時点で、ライセンス移動管理部112へジョブが完了しライセンス自動返却をする必要があることを伝える必要もない。
【0121】
なお、所定の期間を設定する機構を設け、その期間が経過しても該当ジョブが投入されない場合には、自動返却設定に従って自動返却処理を行うことができる。ジョブ完了を待ち続け、ジョブがこなければずっと返却されないままとなってしまうのを防止するためである。
【0122】
また、該当ジョブが全て投入されたジョブ完了後、ライセンス自動返却のフラグが立っているときに該当ジョブのキャンセルを受け付けた場合には、自動移動を行わないようにすることができる。ジョブ投入完了をユーザ操作より把握することでライセンス自動返却のフラグがジョブ管理部106で立つが、該当ジョブキャンセルの際にはフラグを無視して移動しないこととする。キャンセルしたのがジョブ投入ユーザとは限らない場合等があるためである。
【0123】
更に、「ジョブ完了後」を選択させる例について説明したため、ジョブを単位に捉えているが、他機器から移動させてきたライセンス(配布単位として捉えると販売パッケージ)自体が利用されたら自動で戻すといったことも考えられる。つまり、細かな粒度の「ジョブ(販売パッケージが提供する機能の一部)に限定せずとも機能利用後の判断は可能となる。
【0124】
図11は各機器の情報に従うライセンス自動返却の処理例を示す図である。図11では、機器Aがライセンス管理システム(サーバ)から機能を購入してライセンス本家となっており、機器Bが機器Aから当該機能の移動を受け、機器Cが機器Bから当該機能の移動を受けているものとしている。
【0125】
ライセンス自動返却先としてライセンスの移動経路のみでなく、ネットワーク接続されている機器の情報を抽出したうえで最適と思える機器を移動先とすることも可能である。この場合、図7のステップS514の後に、ライセンス移動経路ではなく、「機器利用頻度に応じて適切な機器へ返却」等の機器情報参照に基づく返却先を設定してもらう。
【0126】
図11において、各機器にはライセンス返却先判断のための情報として、設置場所、該当機能利用頻度(カウンタ値)、登録ユーザ数、ライセンス自動移動希望設定等が示されている。なお、ライセンス返却先判断のための情報はこれらに限られない。
【0127】
設置場所については、機器Cから機器Aに返却する場合(ライセンス本家に返却する設定)に、機器Cにライセンスを移動している間に、機器Aは他機器から同機能のライセンスを移動もしくは新たに外部より購入していることもある。つまり、ライセンスを機器Aに返却する際には、返却する先の機器Aで既に不要となっている場合がある。よって、こういった場合においては機器Cの同フロアに返却することが望ましいと考えることも可能であるため、設置場所も選択可能としている。なお、設置場所は機器の初期設定項目として入力できるようにしておく等により情報取得が可能となる。
【0128】
図11において、ライセンス自動返却設定の返却先が「機器情報参照型、かつ設置場所」の場合には、例えば、移動先を「9F」にすれば機器Bに返却されることとなる。
【0129】
該当機能利用頻度(カウンタ値)については、ライセンスを戻す場合に利用頻度が高い機器へ返却すべきだということが考えられるため、選択可能としている。各機能のカウンタ値は機器で管理されていることが多いため、情報取得が可能となる。
【0130】
図11において、ライセンス自動返却設定の返却先が「機器情報参照型、かつ該当機能利用頻度」の場合には、該当機能利用頻度(カウンタ値)が最も多い機器Bに返却されることとなる。
【0131】
登録ユーザ数については、ユーザ数が多いほど各機能の利用頻度も高い(高くなるはず)とも考えることができるため、選択可能としている。各機器において登録ユーザ数はアドレス帳という形で保持していることが多く、情報取得が可能となる。
【0132】
図11において、ライセンス自動返却設定の返却先が「機器情報参照型、かつ登録ユーザ数」の場合には、登録ユーザ数が最も多い機器Aに移動されることとなる。
【0133】
図11ではライセンス返却先判断のための情報としてライセンス自動返却希望設定が設けられている。このライセンス自動返却希望設定については、他機器からライセンスを移動させればよいが、該当ライセンスが移動できないもしくは各ライセンス保有機器の設定情報にてライセンス移動を避けたいとある場合もある。いつこれらライセンスを取得(移動させる)することができるかわからないため、タイミングによっては他機器間で該当ライセンスの移動がありライセンス自動返却設定(データ参照型)がなされる場合があるため、その際優先的に移動してほしいと予約するタイプとして設定可能としている。こちらについても初期設定もしくはライセンス移動管理情報の設定項目として自動移動予約機能として入力可能とすることで、情報取得が可能となる。
【0134】
図11において機器間で移動したライセンスが「マーキング機能」であるとして、ライセンス自動返却設定の返却先が「機器情報参照型、かつライセンス自動返却希望」の場合には、該当する希望が設定された機器Bに返却されることとなる。
【0135】
以上、ライセンス自動返却設定に基づく返却の処理について説明したが、ライセンス自動返却のタイミングの前に他機器からライセンス移動要求を受け付けた場合には、他機器からのライセンス移動要求を優先して要求元へライセンスを移動することができる。反対に、ライセンス自動返却のタイミングの前に他機器からライセンス移動要求を受け付けた場合には、自機の自動返却設定を優先して他機器からのライセンス移動要求をキャンセルすることができる。また、他機器からライセンス移動要求を優先するか、自機の自動返却設定を優先するかを予め選択設定することもできる。
【0136】
<総括>
以上説明したように、本実施形態によれば、機器間で機能/ライセンスを移動する仕組みとして、ライセンス管理システムから提供されるライセンスファイルの有無とは別に、新規にライセンスの有無といった情報を管理するとともに、ライセンス自動返却の機能を設けたため、導入済のソフトウェアのライセンスを、ライセンスキーを必要とせずに、ユーザに負荷を与えることなく、簡単に他の機器に移動することができるとともに、ライセンスの移動後に自動的に所望の機器へライセンスを返却させることができる。
【0137】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0138】
1 画像形成装置
101 システムバス
102 システム制御部
103 表示部
104 操作部
105 外部通信部
106 ジョブ管理部
107 画像メモリ部
108 画像加工部
109 印刷部
110 インストール管理部
111 ライセンスファイル管理部
112 ライセンス移動管理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2006‐018402号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から所定の機能に対応するソフトウェアのインストールデータのダウンロードを行ってインストールする手段と、
前記機能をアクティベートするため外部からライセンスファイルを取得する手段と、
前記ライセンスファイルの有無とは別に、前記機能のライセンスの有無を管理する手段と、
機器間でライセンスの移動を行い、該当する前記機能のライセンスの有無を更新する手段と、
移動したライセンスを設定された自動返却条件に従って所定の機器に返却する手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記自動返却条件は、返却するタイミングを時刻として設定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記自動返却条件は、返却するタイミングを返却するライセンスの機能を利用するジョブの完了として設定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記自動返却条件は、返却先を該当するライセンスの移動経路の機器に基づいて設定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記自動返却条件は、返却先を他機器情報に基づいて設定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
自機が電源OFFにより返却を行うタイミングを過ぎてしまった場合、自機の再起動後に返却を実行する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記自動返却条件に優先順位を付けた条件を複数列挙して設定する手段を備え、
返却先の機器が電源OFFもしくは同ライセンス取得済の場合、前記優先順位に従って決定される機器に返却を行う
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置において、
前記優先順位に基づく全ての機器について自動返却が行えない場合、返却を中止する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
返却を行うタイミングの前に他機器からライセンス移動要求を受け付けた場合には、他機器からのライセンス移動要求を優先して要求元へライセンスを移動する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
返却を行うタイミングの前に他機器からライセンス移動要求を受け付けた場合には、自機で設定されている前記自動返却条件を優先して他機器からのライセンス移動要求をキャンセルする
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
返却を行うタイミングの前に他機器からライセンス移動要求を受け付けた場合に、他機器からのライセンス移動要求を優先して要求元へライセンスを移動するか、自機で設定されている前記自動返却条件を優先して他機器からのライセンス移動要求をキャンセルするかを選択設定する手段
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項3に記載の情報処理装置において、
自動返却設定したユーザを特定しておき、前記自動返却条件を設定したユーザ以外のジョブでは自動返却しない
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項3に記載の情報処理装置において、
該当ジョブが全て投入されたジョブ完了後、自動返却するフラグが立っているときに該当ジョブのキャンセルを受け付けた場合には、自動返却を行わない
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項3に記載の情報処理装置において、
所定期間該当ジョブが投入されない場合には、前記自動返却条件に従い返却する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理装置において、
前記所定期間を設定する手段
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
返却先となる機器がライセンス本家で把握している機器ではない場合に、ライセンス本家となる機器に移動先の機器を伝える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
制御部が、外部から所定の機能に対応するソフトウェアのインストールデータのダウンロードを行ってインストールする工程と、
制御部が、前記機能をアクティベートするため外部からライセンスファイルを取得する工程と、
制御部が、前記ライセンスファイルの有無とは別に、前記機能のライセンスの有無を管理する工程と、
機器間でライセンスの移動を行い、該当する前記機能のライセンスの有無を更新する手段と、
制御部が、移動したライセンスを指定された条件に従って所定の機器に返却する工程と
を備えたことを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
請求項17に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−248777(P2011−248777A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123412(P2010−123412)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】