説明

情報担体を接触部材に電気連結する方法およびシステム

情報担体を接触部材に電気結合する方法およびシステムに関する。情報担体は、互いに強固に接続された2つの基板層の間に埋め込まれた接触領域を含む導体トラック構造を有し、接触部材は、接触領域に電気接触する。この場合、先ず情報担体を切断またはスタンプして接触領域を端部領域に露呈させ、次に接触部材を端部領域の接触領域と電気接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報担体を接触部材に電気連結する方法およびシステムに係り、情報担体は、互いに強固に接続された2つの基板層の間に埋め込まれた接触領域を有する導体トラック構造を有し、接触部材は、接触領域に電気接触する。
【背景技術】
【0002】
DE―A―10 2005 042 089から、内部導電構造を、例えば紙またはフィルム製の基板に導電印刷材料で印刷した後に、被膜基板とラミネートすることで生成することが知られている。このようにして生成された導体トラック構造は、2つの基板層の間の内部に存在し、このため接着剤を利用する。この構造は、例えば紙製のキーパッド、蓄電構造を有するトランプ等、様々な用途に有利である。しかし、この構成には、電気信号または電流を、導体トラック構造内に引き込む、という問題がある。
【発明の概要】
【0003】
上述に鑑みて、本発明の目的は、簡単且つ確実に、情報担体を接触部材に電気連結することである。
【0004】
この目的は、本発明の請求項1および6の特徴により達成される。
【0005】
本発明による、情報担体を接触部材に電気結合する方法では、情報担体は、互いに強固に接続された2つの基板層の間に埋め込まれた接触領域を含む導体トラック構造を有する。方法では、先ず情報担体を切断またはスタンプして接触領域を端部領域に露呈させる。次に前記接触部材を端部領域の接触領域と電気接触させる。
【0006】
本発明による、情報担体を接触部材に電気接触させるシステムでは、埋め込まれた接触領域を端部領域に露呈する目的から切断またはスタンプデバイスが提供される。さらに、接触部材は、露呈した接触領域と電気接触できる形状である。
【0007】
接触領域を情報担体の端部領域に露呈させることで、簡単な方法で、接触部材を接触領域と電気接触させることができる。
【0008】
本発明のさらなる構成が従属請求項の主題に示される。
【0009】
好適な実施形態によると、電気接触をさせる処理中に、接触部材は接触領域に対して押圧される。例えば、オーム接点、静電接点、または電磁接点を形成することができる。
【0010】
端部領域に露呈する接触領域は、特に、平面状、直線上、または点状に形成されてよい。
【0011】
好適な実施形態によると、導体トラック構造と接触領域とは、(切断またはスタンプ処理前に)2つの可撓性基板層の間に、見えないように埋め込まれ、基板層としては特に紙またはフィルムが考慮される。2つの基板層は、例えば、ラミネーションにより接合することができる。
【0012】
本発明のさらなる利点および構成を、詳細な説明および図面を用いて以下でさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】情報担体の三次元表現である。
【0014】
【図2】切断またはスタンプ処理前の情報担体の側面概略図である。
【0015】
【図3】接触させる直前の情報担体の概略図である。
【0016】
【図4】接触中の、情報担体の側面概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示す情報担体は、実質的に、互いに強固に接続された2つの可撓性基板層10、11と、2つの基板層の間に埋め込まれた導体トラック構造12と、から形成される。
【0018】
2つの基板層10、11は、例えば、紙またはフィルム製であり、導体トラック構造は、この2つの基板層の間に見えないように埋め込まれている。導体トラック構造は、基板層のうちいずれかに適切な方法で塗布される。特にPEDOTまたはPANIなどの導電性有機ポリマーの利用が特別に有利であることが証明されている。これら導電性有機ポリマーは、簡単な方法で基板層に印刷できる。特に、凸版印刷、凹版印刷、または平板印刷などの大量印刷法を利用することができる。導体トラック構造を印刷する際、2つの基板層10,11は、ラミネーションなどの適切な方法で接合される。
【0019】
導体トラック構造は、情報担体1を接触部材2に電気結合させるべく(図3参照)、接触前に情報担体1を切断またはスタンプすることで露呈する接触領域13を有する。
【0020】
故に、情報担体を接触部材2に電気接触させるシステムは、切断またはスタンプデバイス3を有する(図2参照)。適切な誘導および保持デバイス4によって情報担体1を切断またはスタンプして、接触領域13を端部領域14に露呈させる。
【0021】
接触領域13が露呈すると、接触部材2を接触領域に押圧する(図3参照)。電流/電圧源5を利用して、電流または電圧を接触部材2に印加することで、対応する信号を導体トラック構造に印加する。
【0022】
特に原則としては、オーム接点、静電接点、または電磁接点が、接触領域13と接触部材2との間に形成されうる。端部領域14に露呈する接触領域13は、適切な方法で構築されてよい。特に、平面状の、直線状の、または点状の構成を考慮することができる。上述のシステム/方法を利用することで、2つの基板層の間に埋め込まれた導体トラック構造を、簡単且つ確実に接触させることができる。
【0023】
情報担体が、イベントの入場チケットである場合、その入場チケットの失効は、同時に切断またはスタンプ処理することで視覚的に示すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報担体(1)を接触部材(2)に電気結合する方法であって、
前記情報担体は、互いに強固に接続された2つの基板層(10、11)の間に埋め込まれた接触領域(13)を含む導体トラック構造(12)を有し、前記接触部材(2)は、前記接触領域(13)と電気接触し、
先ず前記情報担体(1)を切断またはスタンプして前記接触領域(13)を端部領域(14)に露呈させ、次に前記接触部材(2)を前記端部領域の前記接触領域と電気接触させる、方法。
【請求項2】
前記接触部材(2)は、前記電気接触させる処理中に、前記接触領域(13)に対して押圧される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触部材(2)と前記接触領域(13)との間の前記電気接触は、オーム接点により形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触部材(2)と前記接触領域(13)との間の前記電気接触は、静電接点により形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接触部材(2)と前記接触領域(13)との間の前記電気接触は、電磁接点により形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
情報担体(1)を接触部材に電気接触させるシステムであって、
前記情報担体は、互いに強固に接続された2つの基板層(10、11)の間に埋め込まれた接触領域(13)を含む導体トラック構造(12)を有し、
前記埋め込まれた接触領域(13)を端部領域(14)に露呈する切断またはスタンプデバイス(4)を備え、前記接触部材(2)は、前記露呈した接触領域(13)と電気接触できる形状である、システム。
【請求項7】
前記端部領域(14)に露呈する前記接触領域(13)は、平面状に構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記端部領域に露呈する前記接触領域は、直線状に構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記端部領域(14)に露呈する前記接触領域(13)は、点状に構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記2つの基板層(10、11)は、紙またはフィルム製である、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記導体トラック構造(12)と前記接触領域とは、前記2つの基板層(10、11)の間に、見えないように埋め込まれている、請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記2つの基板層(10、11)は、ラミネーションにより接合される、請求項6から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記情報担体(1)は可撓性を有するよう構成される、請求項6から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記導体トラック構造(12)と前記接触領域(13)とは、PEDOTおよびPANIを含む群から選択される導電性有機ポリマーから形成される、請求項6から13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記導電性有機ポリマーは、凸版印刷、凹版印刷、および平板印刷を含む群から選択される大量印刷法により生成される、請求項14に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−501919(P2010−501919A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524989(P2009−524989)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057234
【国際公開番号】WO2008/022849
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】