説明

情報担持用衣類セット

【課題】廉価な構成によりティーシャツなどの衣類の背面などを広告宣伝表示場所として簡単に利用できるようにした情報担持用衣類セットを提案すること。
【解決手段】広告宣伝用のティーシャツセット11は、ティーシャツ12と、その背面12aに着脱可能に取り付けた広告宣伝用の布13とを有している。ティーシャツ12の背面12aには布13より一回り小さな開口部12bが形成されており、この裏面側から、当該開口部12bを封鎖する状態に広告宣伝用の布13が面ファスナなどによって着脱可能な状態で取り付けられる。外側から開口部12bを介して布13の表面13aに担持されている情報13bを目視できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の広告宣伝などをティーシャツなどの衣類の表面を利用して行う情報担持用衣類セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣類は広告宣伝用の媒体として古くから利用されている。例えば、プロのスポーツ選手などのユニフォームにはスポーツ用具メーカなどのロゴ、マークなどが付されている。また、商品の販売キャンペーンなどにおいては、販売員などが、背面に商品の広告宣伝が印刷されたティーシャツなどを着て街頭などにおいて活動を行っている。
【0003】
ここで、衣類に表示されている広告宣伝を簡単に変更することができるように、衣類に透明なポケットを取り付けて、そこに、広告宣伝用のシートを入れるようにしたものが知られている。特許文献1、2にはこの構成の衣類が開示されている。
【特許文献1】特開平10−317219号公報
【特許文献2】特開平11−178638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポケットを付けて広告宣伝用のシートを差し替える方法では、ティーシャツなどの衣類の背面全体を使った広告宣伝を行うためには大きなポケットを設ける必要があり、コストが掛かってしまう。また、広告宣伝が印刷された布などのシートを大きなポケットに、皺にならず、また、折り目が付かないように入れることは面倒であり、皺や折り目が付いたままでは、衣類の外観品位が低下してしまう。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、廉価な構成によりティーシャツなどの衣類の背面などを広告宣伝の表示場所として簡単に利用できるようにした情報担持用衣類セットを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の情報担持用衣類セットは、
衣類本体と、
所定の情報が担持されている情報担持シートと、
前記情報担持シートを着脱可能な状態で前記衣類に取り付けるシート取付手段と、
このシート取付手段による前記情報担持シートと前記衣類の間の結合部分を外側から見えないように覆い隠している目隠し手段とを有していることを特徴としている。
【0007】
ここで、前記シート取付手段としては、例えば、面ファスナ、スナップボタン、接着剤を用いることができる。これらの一つのみを採用してもよいが、二つ以上を併用することもできる。
【0008】
また、このような面ファスナ、接着剤などによる結合部分を、情報担持シートの裏面部分と、衣類の表面における情報担持シートによって覆い隠される表面部分との間の部分とすれば、情報担持シートが目隠し手段として機能する。このため、面ファスナ、接着部分などが外から見えないので、衣類の外観品位の低下を防止できる。
【0009】
この代わりに、衣類の表面に、目隠し手段として用いる目隠し用シートを取り付けるようにしてもよい。この場合には、面ファスナ、接着剤などによる結合部分を、情報担持シートの表面部分と、目隠し用シートの裏面との間の部分とすればよい。
【0010】
目隠し用シートとして、情報担持シートの外周縁部分を覆い隠すことのできる枠状のシートを用いることができる。
【0011】
次に、情報担持シートを衣類の表面に取り付ける代わりに、衣類の裏面側に取り付けることもできる。この場合には、衣類に情報表示用の開口部を開けておき、当該開口部の裏面側に情報担持シートを取り付ければ良い。また、情報担持シートと衣類の結合部分を、衣類の開口部の内周縁部分における裏面部分と、情報担持シートの表面部分との間の部分とすれば、衣類の開口部の内周縁部分が目隠しとして機能する。
【0012】
衣類に情報表示用の開口部を形成した場合には、情報担持シートの代わりに、当該開口部に着脱可能な状態で取り付け可能な当て布を用意しておき、衣類を普段着として用いる場合には、開口部を当て布によって封鎖すればよい。
【0013】
一方、情報担持シートに担持される情報としては、商品の広告、宣伝用の情報を挙げることができる。
【0014】
また、衣類としてティーシャツを用いる場合には、その前面および/または背面に、情報担持シートを取り付けることができる。
【0015】
さらに、衣類を繰り返し使用して、異なる商品の広告宣伝などを行うためには、情報担持シートとして、異なる情報が担持された複数枚の情報担持シート、および/または、同一の情報が異なる表示形態あるいは表現形態、または異なる担持形態で担持された複数枚の情報担持シートを用意しておき、これらのうちの一枚を衣類に取り付ければよい。
【0016】
ここで、衣類も、異なる種類のものを多数枚用意しておき、各情報担持シートが各衣類に共用できるようにすれば、好みの衣類に、情報担持シートを取り付けることができるので便利である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の情報担持用衣類セットでは、衣類の表面あるいは裏面に、着脱可能な状態で情報担持シートが取り付けられ、それらの結合部分が外から直接見えないように目隠し手段によって覆い隠される。したがって、衣類を用いて各種の情報を簡単な作業により表示でき、しかも衣類の外観品位の低下も抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した情報担持用衣類セットの実施の形態を説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明を適用した広告宣伝用ティーシャツセットを示す説明図であり、図1(b)はティーシャツ背面部分の部分断面図であり、図1(c)は広告宣伝用の布が取り付けた状態におけるティーシャツ背面部分の部分断面図である。
【0020】
本例の広告宣伝用ティーシャツセット1は、ティーシャツ2と、その背面に着脱可能な状態で取り付けられる縦長の長方形の複数枚の広告宣伝用の布3から構成されている。
【0021】
広告宣伝用の布3としては、同一形状で、異なる広告宣伝用の情報が担持されたものが複数枚用意されている。これらのうちから一枚の広告宣伝用の布3が選ばれて、ティーシャツ2の背面に取り付けられている。広告宣伝用の布3の表面3aに担持されている情報3bは、例えば、インクジェットプリンタによる印刷情報、印刷機によって捺染された情報など、異なる担持形態で担持することができる。なお、同一の情報を、広告宣伝用のフレーズ、デザインなどを変えて担持した布3、すなわち、同一情報を異なる表示形態、表現形態で担持した布3を用意しておいてもよい。
【0022】
ティーシャツ2は、その背面2aには、細長い長方形の目隠し布4、5が上下に一定の間隔を開けて平行に縫い付けられている。上側の目隠し布4はその上縁および左右の側縁がティーシャツ背面2aに縫い付けられており、下縁の側から、布4とティーシャツ2の背面2aの間に、広告宣伝用の布3の上縁部分3cが挟まれている。下側の目隠し布5は、下縁および左右の側縁がティーシャツ背面2aに縫い付けられており、上縁の側から、当該布5とティーシャツ背面2aの間に、広告宣伝用の布3の下縁部分3dが挟まれている。
【0023】
上下の目隠し布4、5の裏面には、所定間隔で、雄側あるいは雌側の面ファスナ6a、7aがそれぞれ取り付けられている。また、ティーシャツ背面2aには、布3の両側縁部分の裏面に対峙する部分に、上下方向に所定間隔で、雄側あるいは雌側の面ファスナ8a、9aが取り付けられている。これに対して、広告宣伝用の布3においては、その上下の縁部分の表面における面ファスナ6a、7aに対峙する部位に、雌側あるいは雄側の面ファスナ6b、7bが取り付けられている。また、広告宣伝用の布3の左右の縁部分の裏面における面ファスナ8a、9aに対峙する部位に、雌側あるいは雄側の面ファスナ8b、9bが取り付けられている。
【0024】
面ファスナとしては、デュアルロックファスナ(登録商標、3M社製)を用いることができる。面ファスナの代わりに、スナップボタンを用いることもできる。また、アイロン掛けなどによって繰り返し、接着および剥離が可能な接着剤を用いることもできる。
【0025】
このように構成されている本例の広告宣伝用のティーシャツセット1では、複数枚の広告宣伝用の布3から一枚の布が選択され、これがティーシャツ2の背面に取り付けられる。シート取付手段として面ファスナが用いられており、広告宣伝用の布3の上下の縁部分3c、3dを、上下の目隠し布4、5の裏面側に差し込み、各面ファスナによって簡単に布3をティーシャツ背面2aに取り付けることができる。取り付けた状態では、上下の面ファスナの部分が、目隠し手段としての目隠し布4、5によって外側から見えないように覆い隠される。また、左右の面ファスナの部分が、布3の左右の縁部分によって覆い隠される。したがって、面ファスナの取り付け部分が直接に外から見えて、外観品位が悪くなることもない。
【0026】
(実施の形態2)
図2は本発明を適用した別の広告宣伝用のティーシャツセットを示す説明図である。本例のティーシャツセット11も、ティーシャツ12と広告宣伝用の布13を備えている。本例のティーシャツ12は、その背面12aに広告表示用の縦長の長方形の開口部12bが形成されている。
【0027】
開口部12bの四周縁部分の裏面には、所定の間隔で、シート取付手段としての雄側あるいは雌側の面ファスナ16a、17a、18a、19aが取り付けられている。広告宣伝用の布13の表面13aの中央部分には広告宣伝13bが印刷されており、表面13aの四周縁部分には、ティーシャツ側の各面ファスナに対峙する部位に、雌側あるいは雄側の面ファスナ16b〜19bが取り付けられている。
【0028】
本例の場合には、ティーシャツ背面12aの裏面側に、広告宣伝用の布13の表面13aが開口部12bの側に向く状態で取り付けられ、開口部12bを介して外側から布13の表面13aに担持されている広告宣伝用の情報13bを目視できる。また、開口部12bの四周縁部分が目隠し手段として機能して、面ファスナの部分が外から見えないように覆い隠される。
【0029】
ここで、広告宣伝用の布13と同一形状の当て布14を用意しておいてもよい。当て布14は、例えば、ティーシャツ11と同一の生地からなり、広告宣伝用の情報とは関係のない模様などが印刷されている。また、面ファスナ16b〜19bが表面の四周縁部分に取り付けられている。広告宣伝のために着用する場合以外においては、当て布14を取り付けて開口部12bを封鎖しておけば、一般的なティーシャツと同様に着用できる。
【0030】
(実施の形態3)
図3(a)は本発明を適用した更に別の広告宣伝用のティーシャツセットを示す説明図であり、図3(b)はティーシャツ背面部分の部分断面図である。本例のティーシャツセット21も、ティーシャツ22と広告宣伝用の布23を備えている。広告宣伝用の布23をティーシャツ22の背面22aに着脱可能な状態で取り付けるための手段として、スナップボタン25が用いられている。スナップボタン25が外側から見えないように覆い隠すための手段として、硬質の矩形枠状の目隠し用布枠24が用いられている。
【0031】
目隠し用布枠24は、広告宣伝用の布23よりも一回り大きな輪郭のものであり、そこに形成されている矩形開口部24aは当該布23よりも一回り小さい。この目隠し用布枠24の裏面には外周縁部分に沿って一定間隔でスナップボタン25が取り付けられている。ティーシャツ22の背面22aには、各スナップボタン25に対応する位置に、スナップボタンが着脱可能に嵌め込まれるボタン受け26が取り付けられている。さらに、広告宣伝用の布23の表面23aの中央には広告宣伝用の情報23bが印刷されて、その四隅には、ボタン受け26が露出する穴27が形成されている。
【0032】
広告宣伝用の布23の各穴27を、ティーシャツ22の背面22aのボタン受け26に位置決めして、各穴27からボタン受け26を露出させる。この状態で、目隠し用布枠24の各スナップボタン25をボタン受け26に位置決めして、それらに嵌め込む。このようにして、広告宣伝用の布23をティーシャツ22の背面22aに取り付けることができる。取り付けた状態では、目隠し用布枠24によって、スナップボタン25の取り付け部分が外から隠される。
【0033】
(その他の実施の形態)
上記の各例は広告宣伝用のティーシャツセットに関するものである。本発明は、ティーシャツ以外の衣類を用いて実現できることは勿論である。例えば、ジャケット、ズボンなどを用いることができる。衣類として各種のものを用意しておき、それぞれに同一の情報担持シートを取り付け可能とすれば、好みの衣類を着用して広告宣伝などを行うことができる。
【0034】
また、情報担持シートとしては、布以外の素材のシートを用いることもできる。例えば、プラスチックシートを用いて、その表面に、広告宣伝あるいはその他の画像、模様などをホログラムの形態で担持させることができる。
【0035】
さらに、情報担持シートを着脱可能な状態で衣類に取り付けるための手段としては、上記以外のものを用いることができる。例えば、接着剤、両面接着テープなどを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係るティーシャツセットを示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係るティーシャツセットを示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係るティーシャツセットを示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1、11、21 広告宣伝用のティーシャツセット
2、12、22 ティーシャツ
3、13、23 広告宣伝用の布
3b、13b、23b 広告宣伝の情報
4、5 目隠し布
6a〜9a、6b〜9b、16a〜19a、16b〜19b 面ファスナ
14 当て布
24 目隠し用布枠
25 スナップボタン
26 ボタン受け
27 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類と、
所定の情報が担持されている情報担持シートと、
この記情報担持シートを着脱可能な状態で前記衣類に取り付けるシート取付手段と、
このシート取付手段による前記情報担持シートと前記衣類の間の結合部分を外側から見えないように覆い隠している目隠し手段と、
を有していることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項2】
請求項1において、
前記シート取付手段は、面ファスナ、スナップボタン、および、接着剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項3】
請求項1において、
前記シート取付手段による前記結合部分は、前記情報担持シートの裏面部分と、前記衣類の表面における前記情報担持シートによって覆い隠される表面部分との間であり、
前記情報担持シートが前記目隠し手段として機能することを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項4】
請求項1において、
前記目隠し手段は、前記衣類の表面に取り付けた目隠し用シートであり、
前記シート取付手段による前記結合部分は、前記情報担持シートの表面部分と、前記目隠し用シートの裏面との間であることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項5】
請求項4において、
前記目隠し用シートは、前記情報担持シートの外周縁部分を覆い隠すことのできる枠状シートであることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項6】
請求項1において、
前記衣類には情報表示用の開口部が形成され、当該開口部の裏面側に前記情報担持シートが配置されており、
前記シート取付手段による前記結合部分は、前記衣類の開口部における内周縁部分の裏面と、前記情報担持シートの表面部分との間であり、
前記衣類の開口部の内周縁部分が前記目隠し手段として機能することを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項7】
請求項6において、
前記開口部を封鎖可能な当て布を有しており、
当該当て布は、前記衣類の裏面に着脱可能な状態で取り付けられることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
前記情報担持シートは、商品の広告宣伝用の情報が担持されている広告用シートであることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちのいずれかの項において、
前記衣類はティーシャツであり、
このティーシャツの前面および/または背面に前記情報担持シートが取り付けられることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちのいずれかの項において、
前記情報担持シートとして、異なる情報が担持された複数枚の情報担持シートを備えていることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項11】
請求項1ないし10のうちのいずれかの項において、
前記情報担持シートとして、同一の情報が異なる表示形態あるいは表現形態、または、異なる担持形態で担持された複数枚の情報担持シートを備えていることを特徴とする情報担持用衣類セット。
【請求項12】
請求項1ないし11のうちのいずれかの項において、
前記衣類として、異なる種類の複数枚の衣類を備えており、
各情報担持シートが各衣類に取り付け可能となっていることを特徴とする情報担持用衣類セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−212906(P2007−212906A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34679(P2006−34679)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000005913)三井物産株式会社 (37)
【Fターム(参考)】