説明

情報提供システム、サーバ、車載端末

【課題】
長期的な運転技術向上を図ったり安全性能が標準装備されている車両を新たに購入することなく、実際の運転履歴等を反映した保険料査定又は料金決定を行うシステムを提供する。
【解決手段】
車載端末は、車両のプローブ情報を取得する取得部と、前記プローブ情報を前記通信部を介してアンテナ部へ送出する通信部と、を備え、サーバは、前記車載端末から送られてきたプローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、を備える情報提供システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報提供システム、サーバ、車載端末に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車保険料の査定を行う際、車両の走行距離や安全性能、運転者の属性に応じて契約者毎に査定評価が行われる。例えば、各運転者の免許書の種別(色)や、年齢、各種安全機能(横滑り防止機能、盗難防止機能)の有無などによるリスク細分型の自動車保険の査定方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−157054
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの条件を満たすには、長期的な運転技術向上を図るか、安全性能が標準装備されている車両を新たに購入する必要がある。
【0005】
本実施形態の情報提供システム、サーバ、車載端末は、実際の運転履歴等を反映した保険料査定又は料金決定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車載端末は、車両のプローブ情報を取得する取得部と、前記プローブ情報を前記通信部を介してアンテナ部へ送出する通信部と、を備え、サーバは、前記車載端末から送られてきたプローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、を備える情報提供システム。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る情報通信システムのブロック図。
【図2】第1の実施形態の動作を示すフローチャート。
【図3】第2の実施形態に係る情報通信システムのブロック図。
【図4】第2の実施形態の動作を示すフローチャート。
【図5】第3の実施形態に係る情報通信システムのブロック図。
【図6】第3の実施形態の動作を示すフローチャート。
【図7】変形例1に係る情報通信システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施態様について図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態の情報提供システムの構成は、図1に示すように、管理サーバ10と、通信ネットワーク1と、複数のアンテナ部20と、センターサーバ30と、車載端末40と、を含む構成である。また、通信ネットワーク1を介して、管理サーバ10とアンテナ部20、センターサーバ30が接続され、アンテナ部20と車載端末40とが無線通信可能となっている。
【0010】
本実施形態では、管理サーバ10とセンターサーバ30を分けて記載しているが、これらの演算処理部100および演算処理部300、記憶部110および記憶部310を同一のものとして一つのサーバを構成していてもよい。
【0011】
通信ネットワーク1は、相互通信可能なネットワーク網である。本実施形態ではネットワーク1が例えば、LAN、イントラネット等のネットワーク等の有線通信網としているが、無線通信網に代替することができる。また、アンテナ部と管理サーバ専用の通信ネットワークを設け、別途画像撮影部と管理サーバとの通信ネットワークを設けてもよい。
【0012】
管理サーバ10は、演算処理部100と、記憶部110と、通信部120と、を含む構成である。この他、表示部、入力部を備えていても良い。
【0013】
演算処理部100は、コンピュータでいうCPUである。センターサーバ30から送られてきた安全運転評価値に応じた保険料を保険料情報DB112を参照して算出する。算出した保険料情報を車載端末40へ送出する。
【0014】
記憶部110は、リスク細分化テーブル111、保険料情報DB112である。
【0015】
リスク細分化テーブルDB111は、各車載端末毎またはドライバー毎の区分が記憶されている。
【0016】
保険料情報DB112は、上記リスクの区分に対応する保険料が記憶されている。
【0017】
通信部120は、通信ネットワーク1およびまたはアンテナ部20を介してセンターサーバ30の通信部320及び車載端末40の通信部420と接続され、各種情報の送受信を行う。
【0018】
アンテナ部20は、各種路車間通信を行うアンテナである。道路の路側に複数台配置されている。また、各アンテナ毎に位置情報または識別情報が設定されていてもよい。本実施形態では、車載端末40と無線通信により接続され、管理サーバ10とはネットワーク1を介して接続されている。例えば、アンテナ部20としては、DSRCアンテナ等の狭帯域通信アンテナであるが、その他、車載端末40と通信を行うことができるアンテナであれば良い。
【0019】
センターサーバ30は、演算処理部300と、記憶部310と、通信部320と、入力部330と、を含む構成である。
【0020】
演算処理部300は、コンピュータでいうCPUである。車載端末40から送られてきたプローブ情報を取得し、プローブ情報DB311に記憶されているプローブ情報を参照して、プローブ情報の情報量に応じた安全運転評価値および、内容に応じた安全運転評価値を算出する。
【0021】
プローブ情報の情報量に応じた評価では、情報の種類の数や情報そのもののデータ量が多い場合には、評価を高くし、少ない場合は低くする。
【0022】
プローブ情報の内容に応じた評価では、例えば、平均走行速度が予め定められた一定速度内である場合には評価を高くし、気象条件が良い条件下で走行している場合は評価を高くし、逆の場合には低くする。
【0023】
これらの基準により評価された安全運転評価値は、管理サーバ10へ送出される。
【0024】
車載端末40は、演算処理部400と、記憶部410と、通信部420と、入力部430と、表示部440とを含む構成である。車載端末40とは、車両と連携して情報を無線通信で外部とやり取りする機器をいい、例えば、車載器や携帯電話などの端末をいう。
【0025】
演算処理部400は、プローブ情報取得部401を含む構成である。その他必要な演算処理を行う。
【0026】
プローブ情報取得部401は、車両のプローブ情報を取得する。プローブ情報とは、日時、環境(天気、温度、湿度)、位置、走行速度、映像等の情報をいう。車両または車両の周囲環境から取得されるこの他の情報であってもよい。
【0027】
記憶部410は、プローブ情報DB411を含む構成であり、その他、処理に必要な情報を格納する。
【0028】
プローブ情報DB411は、プローブ情報取得部401が取得したプローブ情報を記憶する。
【0029】
通信部420は、アンテナ部20と通信ネットワーク1を介して管理サーバ10の通信部120、他の車両の通信部と接続され、各種情報の送受信を行う。
【0030】
入力部430は、各種情報を入力するために使用する。例えば、ボタンや表示部440上に表示されるタッチパネルである。また、車載端末40のドライバー等の発する声を認識することにより、入力信号としてもよい。
【0031】
表示部440は、コンテンツや地図等を表示する表示画面である。また、なお本実施形態では、画像等により表示する媒体として記載しているが、その他の出力機能、例えば、音声出力による音声出力部であってもよい。
【0032】
次に、第1の実施形態の動作について図2を参照しながら説明する。
【0033】
プローブ情報取得部401は、プローブ情報を取得する(ステップS1401)。
【0034】
プローブ情報を取得した演算処理部400は、アンテナ20と通信が確立した場合、または、一定時間毎にセンターサーバ30へ送出する(ステップS1402)。
【0035】
プローブ情報を受けたセンターサーバ30は、プローブ情報DB311を参照して情報量に応じた安全運転評価値を算出する。さらに、プローブ情報DB311を参照してプローブ情報の内容に応じた安全運転評価値の算出を行い、管理サーバ10へ送出する。これらの算出の順番は前後してもよいし、同時に行われてもよい(ステップS1301、S1302)。
【0036】
安全運転評価値を受けた管理サーバ10は、リスク細分化テーブル111、保険料情報DB112を参照して、保険料を算出する。算出した保険料を、プローブ情報を送ってきた車載端末40へ送出する(ステップS1101)。
【0037】
送られてきた保険料情報を演算処理部400は、表示部440へ表示させる(ステップS1403)。
【0038】
このように、本実施形態によれば、その時々の保険料をドライバーに知らせることができる。これにより、ドライバーに安全運転を促すことができる。
【0039】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図3を用いて説明する。
【0040】
第1の実施形態との違いは、車載端末40が撮影部450と接続されている点である。
【0041】
撮影部450は、前方または後方を走る車両のナンバープレートを撮影可能な位置に設置されているカメラである。撮影した画像または映像は、撮影情報DB412に格納される。
【0042】
また、本実施形態の演算処理部400は、撮影した映像または、画像からナンバープレートのナンバーを背景差分法等を用いて抽出する。
【0043】
本実施形態の演算処理部300は、予め盗難車両等の登録された車両のナンバープレート情報を格納するナンバー情報DB311を参照してナンバー情報の照合を行い盗難車両情報であった場合は、安全評価値情報と共に管理サーバ10へ盗難車両情報を送出する。
【0044】
本実施形態の演算処理部100は、また、盗難車両情報を受信した場合には、予め定めた盗難車情報を検知した場合の料金を保険料情報DB112から読み出し、車載端末40へ送出する。また盗難車両情報を受信した場合は、当該情報を警備会社等の外部機関に通知してもよい。
【0045】
本実施形態では、演算処理部400によって、ナンバープレートのナンバー情報の抽出を行ったが、画像または映像情報をセンターサーバ30または管理サーバ10に送り、演算処理部300、演算処理部100によりナンバー情報の抽出をおこなってもよい。
【0046】
次に、本実施形態の動作について図4を参照しながら説明する。
【0047】
プローブ情報取得部401は、プローブ情報と撮影部450で撮影した画像からナンバー情報を取得する(ステップS2401)。
【0048】
プローブ情報およびナンバー情報を取得した演算処理部400は、アンテナ20と通信が確立した場合、または、一定時間毎にセンターサーバ30へ送出する(ステップS2402)。
【0049】
プローブ情報およびナンバー情報を受けたセンターサーバ30内の演算処理部300は、プローブ情報DB311を参照して情報量に応じた安全運転評価値を算出する。さらに、プローブ情報DB311を参照してプローブ情報の内容に応じた安全運転評価値の算出を行い、管理サーバ10へ送出する。またナンバー情報について、ナンバー情報DB331を参照して、盗難車の情報か否かの判定を行う。これらの算出の順番はこの限りではなく、前後してもよいし同時に行われてもよい(ステップS2301乃至S2303)。
【0050】
安全運転評価値を受けた管理サーバ10は、リスク細分化テーブル111、保険料情報DB112を参照して、保険料を算出する。
【0051】
盗難車両情報を受けた場合は、算出した保険料に割引を行い、プローブ情報を送ってきた車載端末40へ送出する(ステップS2101)。
【0052】
送られてきた保険料情報を演算処理部400は、表示部440へ表示させる(ステップS2403)。
【0053】
本実施形態によれば、その時々の保険料をドライバーに知らせることができる。これにより、ドライバーに安全運転を促すことができる。さらに、予め登録された盗難車両を検出することができるようになる。
【0054】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図5を用いて説明する。
【0055】
第1の実施形態との違いは、車載端末40が割引情報DB413を、管理サーバ10が割引情報DB113を備えている点である。
【0056】
割引情報DB413は、管理サーバ10から送られてきた高速料金の割引情報を記憶する。
【0057】
割引情報DB113は、各リスク細分化の区分や安全運転評価値に対応する高速道路料金の割引情報が記憶されている。
【0058】
割引情報は、高速料金の割引情報の他、駐車場や、サービスエリア、パーキングエリアで利用できるクーポン情報であってもよい。
【0059】
本実施形態の演算処理部100は、センターサーバ30から送られてきた安全運転評価値に応じた割引情報を割引情報DB113を参照して算出する。算出した割引情報を車載端末40へ送出する。
【0060】
次に第3の実施形態の動作について図6を参照しながら説明する。
【0061】
プローブ情報取得部401は、プローブ情報を取得する(ステップS3401)。
【0062】
プローブ情報を取得した演算処理部400は、アンテナ20と通信が確立した場合、または、一定時間毎にセンターサーバ30へ送出する(ステップS3402)。
【0063】
プローブ情報を受けたセンターサーバ30は、プローブ情報DB311を参照して情報量に応じた安全運転評価値を算出する。さらに、プローブ情報DB311を参照してプローブ情報の内容に応じた安全運転評価値の算出を行い、管理サーバ10へ送出する。これらの算出の順番は前後してもよいし、同時に行われてもよい(ステップS3301、S3302)。
【0064】
安全運転評価値を受けた管理サーバ10は、割引情報DB113を参照して、割引情報を算出する。算出した割引情報を、プローブ情報を送ってきた車載端末40へ送出する(ステップS3101)。
【0065】
送られてきた割引情報を演算処理部400は、表示部440へ表示させる(ステップS3403)。
【0066】
送られてきた割引情報を料金所やサービスエリアで表示部440へ表示させることにより、割引を受けるようにしてもよいし、ETCシステムとの割引情報を付加した電気信号のやりとりにおいて、高速道路料金等の割引を受ける形態でもよい。
【0067】
本実施形態によれば、安全運転に対する特典として高速道路料金の割引を付与し、ドライバーに安全運転を促すことができる。
【0068】
<変形例1>
本実施形態の記憶部110は図7に示すようにアンテナ情報DB114を備えている。
【0069】
アンテナ情報DB114は、各アンテナ部20(20A、20B、……)の位置情報や識別情報等を登録する。
【0070】
アンテナ情報を読み出して車載端末40の位置情報とすることにより、通信するデータ量を削減することができる。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 … 通信ネットワーク
10 … 管理サーバ
20 … アンテナ部
30 … センターサーバ
40 … 車載端末
100 … 演算処理部
110 … 記憶部
111 … リスク細分化テーブル
112 … 保険料情報DB
113 … 割引情報DB
114 … アンテナ情報DB
120 … 通信部
300 … 演算処理部
310 … 記憶部
311 … プローブ情報DB
330 … 入力部
400 … 演算処理部
401 … プローブ情報取得部
410 … 記憶部
411 … プローブ情報DB
412 … 撮影情報DB
413 … 割引情報DB
420 … 通信部
430 … 入力部
440 … 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のプローブ情報を取得する取得部と、
前記プローブ情報を前記通信部を介してアンテナ部へ送出する通信部と、
を備える車載端末と、
前記車載端末から送られてきたプローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、
前記安全運転評価値を参照して保険料を算出する保険料演算部と、
前記保険料を前記車載端末へ送信する通信部と
を備えるサーバと、
を有する情報提供システム。
【請求項2】
車載端末から送られてきたプローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、
前記安全運転評価値を参照して保険料を算出する保険料演算部と、
前記保険料を前記車載端末へ送信する通信部と
を備えるサーバ。
【請求項3】
車両のプローブ情報を取得する取得部と、
前記車両の前方または後方を走行する車両を撮影する撮影部と、
前記撮影部が撮影した画像を解析し、前記前方または後方を走行する車両のナンバーを抽出しナンバー情報を生成する生成部と、
前記プローブ情報および前記ナンバー情報を前記通信部を介してアンテナ部へ送出する通信部と、
を備える車載端末と、
前記プローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、
前記ナンバー情報と同一のナンバー情報と一致するか否かを判定し、一致する場合は一致情報を生成するナンバー情報演算部と、
前記安全運転評価値および前記一致情報を参照して保険料を算出する保険料演算部と、
前記保険料を前記車載端末へ送信する通信部と、
を備えるサーバと、
を有する情報提供システム。
【請求項4】
車載端末から送られてきたプローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、
前記車載端末から送られてきたナンバー情報と同一のナンバー情報と一致するか否かを判定し、一致する場合は一致情報を生成するナンバー情報演算部と、
前記安全運転評価値および前記判定部により一致するか否かの情報を参照して保険料を算出する保険料演算部と、
前記保険料を前記車載端末へ送信する通信部と、
を備えるサーバ。
【請求項5】
車両のプローブ情報を取得する取得部と、
前記車両の前方または後方を走行する車両を撮影する撮影部と、
前記撮影部が撮影した画像を解析し、前記前方または後方を走行する車両のナンバーを抽出しナンバー情報を生成する生成部と、
前記プローブ情報および前記ナンバー情報を前記通信部を介してアンテナ部へ送出する通信部と、
を備える車載端末。
【請求項6】
車両のプローブ情報を取得する取得部と、
前記プローブ情報を前記通信部を介してアンテナ部へ送出する通信部と、
を備える車載端末と、
車載端末から送られてきたプローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、
前記安全運転評価値を参照して割引情報を生成する割引情報演算部と、
前記割引情報を前記車載端末へ送信する通信部と
を備えるサーバと、
を有する情報提供システム。
【請求項7】
車載端末から送られてきたプローブ情報の情報量およびまたは内容に応じた安全運転評価値を算出する評価値演算部と、
前記安全運転評価値を参照して割引情報を生成する割引情報演算部と、
前記保険料を前記車載端末へ送信する通信部と
を備えるサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−173887(P2012−173887A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33899(P2011−33899)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】