情報提供装置、及び走行支援システム
【課題】交差点に接近する車両に対して交通信号機の灯色が変更されるか否かを、車両の乗員が認識可能とすること。
【解決手段】信号制御装置は、対象交差点に接近する対象車両が対象交差点を無停止で通過するように、交通信号機の灯色変更を可能にされており、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であれば、灯色変更が不可能であるものとし、停止推奨状態でなければ、灯色変更が可能であるものとした灯色制御予定を設定する。そして、車両に搭載される情報提供装置は、信号制御装置から取得した灯色制御予定が、信号制御装置での灯色変更が可能であれば(S340:YES)、その旨を報知し(S350)、灯色変更が不可能であれば(S340:NO)、灯色変更が可能から不可能へと変更された場合にのみ(S360:YES)、自車両が、対象交差点を無停止で通過不能である旨の警告を報知する(S370)。
【解決手段】信号制御装置は、対象交差点に接近する対象車両が対象交差点を無停止で通過するように、交通信号機の灯色変更を可能にされており、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であれば、灯色変更が不可能であるものとし、停止推奨状態でなければ、灯色変更が可能であるものとした灯色制御予定を設定する。そして、車両に搭載される情報提供装置は、信号制御装置から取得した灯色制御予定が、信号制御装置での灯色変更が可能であれば(S340:YES)、その旨を報知し(S350)、灯色変更が不可能であれば(S340:NO)、灯色変更が可能から不可能へと変更された場合にのみ(S360:YES)、自車両が、対象交差点を無停止で通過不能である旨の警告を報知する(S370)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機の灯色を制御する信号制御装置との間で情報通信を行うと共に、車両に搭載される情報提供装置、及び該情報提供装置と信号制御装置とを備えた走行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路交差点に設置された交通信号機の灯色を制御する信号制御装置と、その信号制御装置との間で無線により情報通信を行うと共に、自動車に搭載される情報提供装置とを備えた走行支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このうち、特許文献1に記載の走行支援システムを構成する車載装置は、交差点に対して予め規定された位置(以下、特定位置とする)を、当該車載装置を搭載した自動車(即ち、自車両)が通過すると、自車両の車速を信号制御装置に送信する。一方、信号制御装置は、交通信号機の灯色を「進行禁止(例えば、赤色灯色)」としている場合に、自車両の車速を受信すると、その受信した車速及び交差点から特定位置までの距離に基づいて、自車両が停止することなく当該交差点を通過するように、交通信号機の灯色を「進行禁止」から「進行許可(例えば、青色(緑)灯色)」に変更(以下、自動灯色変更とする)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−28097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の走行支援システムでは、信号制御装置が自動灯色変更を実行することを、信号制御装置から車載装置に通知していない。
つまり、特許文献1に記載の走行支援システムを構成する車載装置が搭載された自動車の乗員は、自車両が交差点に接近する際に、本当に、交通信号機の灯色が「進行禁止」から「進行許可(青色)」へと変更されるのか、即ち、自車両が停止することなく交差点を通過可能であるか否かを認識できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、交差点に接近する車両に対して交通信号機の灯色が変更されるか否かを、車両の乗員が認識可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明は、車両に搭載される情報提供装置であって、交通信号機の灯色を制御する信号制御装置との間で無線により情報通信を行う。
ただし、本発明において、信号制御装置では、灯色変更手段が、制御対象とする交通信号機により交通整理が実行される対象交差点に、該交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から接近する車両(以下、対象車両)が、対象交差点を無停止で通過するように、交通信号機の灯色を進行許可へと変更する。これと共に、信号制御装置では、交通状態取得手段が、対象交差点周辺の交通状態を繰り返し取得し、その取得した交通状態が、対象交差点への進入前に車両を停止させるべき停止推奨状態でなければ、灯色変更手段が灯色を変更することを許可し、交通状態が停止推奨状態であれば、灯色変更手段が灯色を変更することを禁止とした、交通信号機の灯色の制御予定(以下、灯色制御予定)を、灯色決定手段が決定する。
【0008】
そして、本発明の情報提供装置では、予定取得手段が、信号制御装置から無線により送信される灯色制御予定を取得し、その取得した灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、対象車両である自車両の対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、報知手段が、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する。
【0009】
したがって、情報提供装置が搭載された車両の乗員は、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から対象交差点に自車両が接近する際に、灯色変更手段による灯色の変更が不実行であること、即ち、対象交差点に進入する前に自車両を停止させる必要があることを認識できる。
【0010】
なお、「灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報」とは、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されないことを認識可能な態様であればどのような情報でも良く、例えば、対象交差点への進入前に一旦、停止しなければならない旨の情報でも良いし、灯色制御予定の推移を表す情報(例えば、交通信号機の灯色が進行禁止に維持される旨の情報)であっても良い。
【0011】
また、本発明の情報提供装置において、報知手段は、灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知しても良い(請求項2)。
【0012】
このような情報提供装置によれば、自車両の乗員は、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から対象交差点に自車両が接近する際に、当該交通信号機の灯色が進行許可に変更されること、ひいては、対象交差点を無停止で通過可能であることを認識できる。
【0013】
なお、「灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報」とは、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様であればどのような情報でも良く、例えば、対象交差点を無停止で通過可能である旨の情報でも良いし、対象交差点への進入時に、交通信号機の灯色が進行禁止から進行許可に変更される旨の情報であっても良い。
【0014】
ところで、本発明は、情報提供装置と、信号制御装置とを備えた走行支援システムとしてなされたものでも良い(請求項3)。
このような本発明の走行支援システムにおいて、信号制御装置は、請求項1に記載された信号制御装置と同様の構成を有することに加えて、予定送信手段が、灯色制御予定にて決定された灯色制御予定を送信する。
【0015】
そして、走行支援システムにおける情報提供装置では、請求項1に記載された情報提供装置と同様、取得した灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、対象車両である自車両の対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、報知手段が、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する。
【0016】
このような本発明の走行支援システムによれば、請求項1に記載の発明と同様、情報提供装置が搭載された車両の乗員は、自車両が対象交差点に進入する際に、自車両を停止させる必要があることを認識できる。
【0017】
また、本発明の走行支援システムにおいて、情報提供装置の報知手段は、灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知しても良い(請求項4)。
【0018】
このような走行支援システムによれば、請求項2に記載の情報提供装置と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明における交通状態取得手段は、対象交差点から規定範囲内に存在する物体(以下、特定物体)の挙動を交通状態として取得しても良い(請求項5)。
【0019】
このような本発明の走行支援システムによれば、交通状態が停止推奨状態であるか否かを、特定物体の挙動から判断できる。
そして、対象交差点を自車両の進行方向と交差する方向に沿って横断する自動車や、歩行者(即ち、人や軽車両)が存在する場合、または自車両の進行方向と交差する方向に沿って対象交差点に進入しようとする自動車が存在する場合には、対象交差点に進入する前に、自車両を停止させる必要がある。
【0020】
よって、請求項5に記載された本発明において、灯色決定手段は、特定物体である自動車、軽車両、及び人のうちの少なくとも一つの挙動が、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向と交差する方向に沿った対象交差点での移動であれば、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項6)。
【0021】
つまり、このような本発明の走行支援システムによれば、対象交差点を横断する(若しくは、横断しようとする)自動車や歩行者が存在する対象交差点に自車両が進入する前に、自車両を停止させる必要があることを、自車両の乗員に認識させることができる。特に、軽車両や人を特定物体とすれば、それら軽車両や人といった交通弱者を保護することができる。
【0022】
ところで、特定物体の一つである緊急自動車が交差点に接近している場合、車両は、当該交差点に進入する前に停止する必要がある。よって、本発明における灯色決定手段は、特定物体である緊急自動車の挙動が、対象交差点への接近、即ち、緊急自動車が対象交差点に接近していれば、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項8)。
【0023】
このような本発明の走行支援システムによれば、緊急自動車の接近時に対象交差点に車両が進入することを防止でき、この結果、緊急自動車に対象交差点をスムーズに通過させることができる。
【0024】
なお、ここで言う緊急自動車とは、緊急用務のために運転中である自動車であり、少なくとも救急車,消防車,警察車両を含むものである。
また、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向(以下、進行予定方向とする)に沿った対象交差点の流出道路が渋滞している場合には、進行予定方向と交差する方向(以下、交差方向とする)の灯色を進行許可とすると共に、進行予定方向に沿った車両の移動を禁止することによって、交差方向の交通流を確保することが好ましい。
【0025】
このため、本発明における灯色決定手段は、交通状態として取得した流出道路の交通流が渋滞状態であれば、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項8)。
また、対象交差点に進入する前に車両を停止させることが好ましい交差点の設置環境として、幼稚園(保育園)、小学校等の通学路指定区域であるスクールゾーンや、老人福祉施設、病院等の高齢者が利用する可能性が高い施設から規定の距離内であるシルバーゾーン内が考えられる。
【0026】
そこで、本発明における灯色決定手段は、交通状態として取得した対象交差点の設置環境が、スクールゾーンまたはシルバーゾーン内である場合、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項9)。
【0027】
これにより、例えば、高齢者や、幼稚園児、保育園児、小学生といった交通弱者を、より確実に保護することができる。
ところで、例えば、緊急自動車の挙動や対象交差点の設置環境を交通状態とした場合、信号制御装置が交通状態を取得する取得先は、当該信号制御装置に設けられ、かつ対象交差点周辺の交通状態を認識する認識装置であっても良いし、車両に搭載され、かつ走行支援システムを構成する情報提供装置であっても良い。
【0028】
本発明の走行支援システムにおいて、後者のように、信号制御装置が情報提供装置から交通状態を取得する場合、当該情報提供装置では、状態送信手段が、自車両が走行する道路の交通状態(以下、状態情報)を取得して送信し、信号制御装置の交通状態取得手段は、送信された状態情報を、対象交差点周辺の交通状態として取得すれば良い(請求項10)。
【0029】
このような本発明の走行支援システムによれば、例えば、前述した認識装置などのインフラ設備を設ける必要がなくなり、信号制御装置の構成を簡素化することができる。
なお、道路上を走行する車両の中から対象車両を特定する方法として、道路上に設けられた装置によって(例えば、センサ上(下)を通過する車両を対象車両として)特定することや、情報提供装置から送信された車両情報(例えば、自車両の現在位置や進行方向などを含む情報)に基づいて、当該車両情報を送信した車両の中から対象車両を特定することが考えられる。
【0030】
そして、本発明の走行支援システムにおいて、後者のように、車両情報から対象車両を特定する場合、情報提供装置では、車両情報取得手段が、自車両の現在位置、及び進行方向を少なくとも含む車両情報を取得して、その取得した車両情報を、車両情報送信手段が、信号制御装置に送信し、信号制御装置では、信号制御装置から取得した車両情報に基づいて、対象車両を特定しても良い(請求項11)。
【0031】
このような本発明の走行支援システムによれば、例えば、対象交差点への進入路を走行する車両を検出するセンサなど、道路上に設けるべきインフラ設備を削減できる。
なお、信号制御装置の予定送信手段は、灯色決定手段にて灯色制御予定が決定される毎、または予め規定された規定時間間隔毎に、灯色制御予定を送信しても良い(請求項12)。この場合、情報提供装置の予定取得手段は、灯色制御予定が送信される毎に取得すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】走行支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】信号制御装置にて実行される灯色変更処理の概要を示した説明図である。
【図3】走行支援システムにて実行される処理のタイムチャートである。
【図4】車両情報送信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】灯色決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】変更可否判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】信号情報送信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】情報報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第一実施形態における灯色報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第二実施形態における灯色報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】停止推奨状態の変形例を例示した説明図である。
【図12】灯色変更タイミングの変形例を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
〈走行支援システムの全体構成について〉
まず、図1は、本発明が適用された走行支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【0034】
この図1に示すように、走行支援システム100は、道路交差点に設置された交通信号機40の灯色を制御する信号制御装置30と、信号制御装置30との間で無線による情報通信を行う情報提供装置1とを備えている。
【0035】
情報提供装置1は、車両(本実施形態では、自動車)に搭載される車載装置であり、位置特定部10、外部機器接続部11、表示部12、音声出力部13、無線通信部15、及び車側制御部16を少なくとも備えている。
【0036】
このうち、外部機器接続部11は、自車両に搭載されている各種機器との間で通信を行うためのインタフェースであり、各機器から送信されるデータを車側制御部16に入力する。この外部機器接続部11には、自車両の走行速度を検出するための車速センサ20、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機21、及び自車両に加わる角速度を検出するジャイロスコープ22が少なくとも接続されている。
【0037】
位置特定部10は、車速センサ20や、GPS受信機21、ジャイロスコープ22等からのデータに基づいて、周知の手法を用いて特定した自車両の現在位置や進行方向を車側制御部16に入力する。
【0038】
表示部12は、画像を表示する表示面(例えば、液晶パネル等)を備えた表示装置であり、車側制御部16からの制御に基づいて各種の画像を表示する。画像を表示する表示面は、車両の運転席に着座した人物から視認可能な場所に配置されている。音声出力部13は、音声を出力する装置(例えば、スピーカ)であり、車側制御部16からの制御に基づいて各種の案内音声を出力する。
【0039】
無線通信部15は、他車両に搭載された情報提供装置1との間で双方向の無線通信(車車間通信)、または信号制御装置30との間で双方向の無線通信(路車間通信)を行う通信装置である。
【0040】
この路車間通信に用いる通信様式としては、例えば、ノンストップ自動料金収受(いわゆるETC(登録商標))システム等で用いられる狭域通信(DSRC)や、道路交通情報通信システム(いわゆるVICS(登録商標))等で用いられる電波ビーコン及び光ビーコンの技術を用いることが考えられる。あるいは、2011年(予定)のアナログテレビ放送の終了後に利用区分が再編される予定である700MHz帯の電波を利用することも考えられる。この700MHz帯の電波は、DSRCで用いられる5.8GHz帯の電波と比較して波長が長いため、回折を起こし易い。このため、建築物が密集する都市部において、建物の影からでも良好に通信を行うことができる。
【0041】
車側制御部16は、CPU,ROM,RAMを少なくとも備えた周知のコンピュータ装置で構成されており、情報提供装置1の各部10〜13,15を統括制御することに加えて、ROM等に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0042】
この車側制御部16が実行する処理の一つとして、情報提供装置1を構成する各部から取得した自車両に関する情報(以下、車両情報とする)を、無線通信により信号制御装置30に送信する車両情報送信処理(F1)(詳細は後述)がある。また、車側制御部16が実行する処理の一つとして、路車間通信により信号制御装置30から取得した情報に基づき、交通信号機40の灯色に関する情報を報知する情報報知処理(F4)(詳細は後述)がある。
【0043】
〈信号制御装置の構成〉
信号制御装置30は、道路交差点への複数の進入路のうち、一つの進入路について交通整理を行う交通信号機40の灯色を制御する。以下、信号制御装置30が制御対象とする交通信号機40により交通整理が行われる道路交差点を、対象交差点と称す。
【0044】
そして、信号制御装置30は、無線通信部31、移動状態取得部32、信号情報データベース33、及び路側制御部34を備える。
このうち、無線通信部31は、情報提供装置1との間で双方向の無線通信(路車間通信)を行う通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式としては、上述の情報提供装置1と同様のものを用いる。
【0045】
移動状態取得部32は、対象交差点周辺の交通状態の一つである、対象交差点から規定範囲(例えば、30m)内に位置する優先対象物(本発明の特定物体の一つ)に関する状態(以下、移動状態とする)を取得し、この取得した移動状態を路側制御部34に入力する。この移動状態取得部32にて取得する移動状態は、対象交差点内を移動中の各優先対象物(即ち、自動車や歩行者、自転車など)、若しくは対象交差点に進入しようとしている各優先対象物の存否、各優先対象物の位置、移動方向、移動速度など、優先対象物の挙動を少なくとも含むものである。
【0046】
これを実現するため、本実施形態における移動状態取得部32は、少なくとも対象交差点を含む範囲を撮像範囲として、規定時間間隔で繰り返し撮像する撮像装置(図示略)と、撮像装置にて画像を撮像する毎に、その撮像した画像中の各優先対象物を認識し、移動状態を導出する周知の画像認識処理を実行する画像処理装置(図示略)とを備えている。なお、移動状態取得部32は、いわゆる路側センサであり、周知のレーダ装置や、路上に設けられたセンサなどによって実現されていても良い。
【0047】
信号情報データベース33は、交通信号機40または対象交差点に関する情報として、少なくとも、信号灯色の変化のパターンを表す信号パターンと、対象交差点の設置位置と、対象交差点が設置された環境を表す交差点設置環境とを格納する。
【0048】
このうち、信号パターンは、交通信号機40の灯色が遷移する周期、及び各灯色が点灯される期間を少なくとも含むものであり、例えば、「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」、「進行禁止(黄色)」、「進行禁止(赤色)」へと順次変更されるパターンが一般的である。なお、信号パターンは、ここで示したもの以外にも様々なパターンがあり得る。
【0049】
また、交差点設置環境は、対象交差点周辺の交通状態の一つであり、対象交差点が、幼稚園(保育園)や小学校の通学路指定区域であるスクールゾーン、または老人福祉施設や病院等の高齢者が利用する可能性が高い施設から規定の距離内であるシルバーゾーン内であるか否かを表す情報を少なくとも含むものである。なお、ここで言うスクールゾーンやシルバーゾーンの適否は、例えば、通学時間帯のみ、対象交差点の設置環境をスクールゾーンの適用内し、通学時間帯以外の時間帯は、スクールゾーンの適用外とするように、時間帯により変更されても良い。
【0050】
路側制御部34は、CPU,ROM,RAMを少なくとも備えた周知のコンピュータ装置によって構成されており、信号制御装置30の各部31,32,33を統括制御すると共に、ROM等に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0051】
この路側制御部34が実行する処理の一つとして、図2に示すように、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」であるときに、その「進行禁止(赤色)」となっている灯色の方向に沿って対象交差点Iに接近する車両(以下、対象車両とする)を認識すると、対象車両が対象交差点Iを無停止で通過するように、交通信号機40の灯色を「進行許可(青色)」へと変更する灯色変更処理がある。なお、この灯色変更処理では、図2に示すように、対象交差点Iを対象車両が通過すると、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」へと戻す。以下、灯色変更処理により、対象車両が対象交差点Iを通過するまでの期間、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更することを、灯色変更と称す。
【0052】
また、路側制御部34が実行する処理の一つとして、情報提供装置1からの車両情報、及び路側制御部34が取得した対象交差点I周辺の交通状態に基づいて、灯色変更処理による灯色変更が実行可能であるか(灯色変更を許可するか)否かを判定し、その判定結果を、交通信号機40の灯色の制御予定(以下、灯色制御予定とする)として決定する灯色決定処理(F2)(詳細は後述)がある。さらに、路側制御部34が実行する処理の一つとして、灯色決定処理(F2)にて決定された灯色制御予定を含む信号情報を、無線通信により情報提供装置1に送信する信号情報送信処理(F3)(詳細は後述)がある。
【0053】
以上説明した本実施形態の走行支援システム100では、図3のタイムチャートに示すように、情報提供装置1は、車両情報送信処理(F1)を実行することで、信号制御装置30に車両情報を送信する。
【0054】
そして、車両情報を受信した信号制御装置30は、灯色決定処理(F2)を実行することで決定した交通信号機40の灯色制御予定を少なくとも含む信号情報を、信号情報送信処理(F3)を実行することで、情報提供装置1に送信する。
【0055】
さらに、信号情報を受信した情報提供装置1は、情報報知処理(F4)を実行して、少なくとも、交通信号機40の灯色に関する情報を報知した後、車両情報送信処理(F1)を実行して、信号制御装置30に車両情報を送信する。
【0056】
つまり、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている進入路を対象交差点に接近するように走行する自動車が存在する場合、本実施形態の走行支援システム100では、情報提供装置1での車両情報送信処理(F1)の実行、信号制御装置30での灯色決定処理(F2)、及び信号情報送信処理(F3)の実行、情報提供装置での情報報知処理(F4)の実行という、一連の処理のサイクルが繰り返される。
【0057】
〈車両情報送信処理の処理内容について〉
次に、情報提供装置1の車側制御部16が実行する車両情報送信処理(F1)の処理内容について、図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0058】
この車両情報送信処理(F1)は、予め規定された規定時間(例えば、100[ms])間隔で起動されるものであり、起動されると、図4に示すように、まず、位置特定部10にて特定した自車両の現在位置,及び自車両の進行方向を取得する(S110)。続いて、ROMに予め格納されている自動車を識別する識別情報(以下、車両IDとする)を取得する(S120)。
【0059】
さらに、外部機器接続部11を介して接続された車速センサ20からのデータ(検出信号)に基づいて、自車両の走行速度を導出する(S130)。そして、S110,S120にて取得した自車両の現在位置、自車両の進行方向、車両ID、及びS130にて導出した自車両の走行速度を含む情報を車両情報として生成し、その生成した車両情報を、情報提供装置1の無線通信部15から路車間通信により送信する(S140)。
【0060】
その後、本車両情報送信処理(F1)を終了する。
〈灯色決定処理の処理内容について〉
次に、信号制御装置30の路側制御部34が実行する灯色決定処理(F2)の処理内容について、図5に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0061】
この灯色決定処理(F2)は、例えば、信号パターンに従って制御される交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となると起動される。
そして、灯色決定処理(F2)は、起動されると、図5に示すように、信号制御装置30の無線通信部31を介して情報を受信するまで待機し(S510:NO)、無線通信部31を介して情報を受信すると(S510:YES)、その受信した情報を解析して情報の内容を確認する(S520)。そのS520での確認の結果、無線通信部31を介して受信した情報が、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている進入路を対象交差点に接近するように走行している自動車(即ち、対象車両)に搭載された情報提供装置1から送信された車両情報(以下、対象車両情報)でなければ(S530:NO)、S510へと戻る。一方、受信した情報が対象車両情報であれば(S530:YES)、灯色変更処理による灯色変更の可否を判定して灯色制御予定を決定する変更可否判定処理を実行する(S540)。
【0062】
そして、その後、S510へと戻り、交通信号機40の灯色が、信号パターンに従って「進行許可(青色)」となるまで、S510からS540を繰り返す。
《変更可否判定処理の処理内容について》
続いて、変更可否判定処理は、先に説明した灯色決定処理(F2)のS540にて起動されると、図6に示すように、まず、先のS520にて内容を確認した対象車両情報から車両IDを取得し(S610)、移動状態取得部32から各優先対象物の移動状態を取得する(S620)。
【0063】
さらに、変更可否判定処理が今回起動されるまでの予め規定された時間の間に信号制御装置30の無線通信部31を介して受信した全ての緊急自動車情報を取得する(S630)。
【0064】
なお、本実施形態において、緊急自動車情報とは、対象交差点周辺の交通状態の一つであり、緊急自動車(例えば、救急車や、消防車、警察車両など、本発明の特定物体の一つ)が、緊急用務のために運転中である旨を表す緊急情報と、当該緊急自動車の現在位置と、進行方向とを含む情報である。この緊急自動車情報を無線通信部31が受信する方法は、緊急自動車に搭載された車載装置との間の路車間通信であっても良いし、その他の方法であっても良い。前者の場合、緊急自動車に搭載された情報提供装置1が、車両情報送信処理(F1)のS140において、緊急情報を付加した車両情報を緊急自動車情報として送信すれば良い。
【0065】
続いて、信号情報データベース33から交差点設置環境を取得する(S640)。
そして、S620にて取得した移動状態の中に、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向に沿った進入路と交差する方向(以下、交差方向とする)に沿って対象交差点を横断中の優先対象物が存在することを表す移動状態が存在するか否かを判定する(S650)。そのS650での判定の結果、横断中の優先対象物が存在することを表す移動状態が存在すれば(S650:YES)、対象交差点周辺の交通状態が、対象交差点に進入する前に車両を停止させるべき状態(以下、停止推奨状態)であるものと判断して、後述するS730へと進む。
【0066】
一方、S650での判定の結果、横断中の優先対象物が存在する移動状態が存在しなければ(S650:NO)、S620にて取得した移動状態の中に、対象交差点に交差方向から接近する車両(以下、優先車両とする)が存在することを表す移動状態が存在するか否かを判定する(S660)。そのS660での判定の結果、優先車両が存在することを表す移動状態が存在すれば(S660:YES)、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判断して、後述するS730へと進む。
【0067】
S660での判定の結果、優先車両が存在することを表す移動状態が存在しなければ(S660:NO)、緊急自動車情報に基づいて、対象交差点に接近する緊急自動車の有無を判定する(S670)。そのS670での判定の結果、対象交差点に接近する緊急自動車が存在すれば(S670:YES)、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判断して、後述するS730へと進む。
【0068】
このS670では、先のS630にて取得した情報中に緊急情報が含まれており、かつ、緊急自動車の現在位置、及び進行方向から、周知の手法により推定した緊急自動車の移動予定経路が、対象交差点に向かって移動している旨を表していれば、対象交差点に接近する緊急自動車が存在するものと判定すれば良い。
【0069】
なお、S670での判定の結果、対象交差点に接近する緊急自動車が存在しなければ(S670:NO)、S640にて取得した交差点設置環境が、対象交差点がスクールゾーンまたはシルバーゾーン(図6中、制限ゾーン)内であることを表しているか否かを判定する(S680)。
【0070】
そのS680での判定の結果、交差点設置環境が、対象交差点が制限ゾーン内であることを表していれば(S680:YES)、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判断して、S730へと進む。
【0071】
そのS730では、S610にて取得した車両IDに対応する車両(以下、該当車両とする)を対象車両として、灯色変更処理による灯色変更を実行することが不可能であることを決定し、その決定結果を灯色制御予定として設定する。つまり、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であれば、該当車両に対して、灯色変更処理による灯色変更の実行を禁止し、交通信号機40の灯色を、信号情報データベース33に格納された信号パターンに従って制御するまで「進行禁止(赤色)」とする。
【0072】
一方、S680での判定の結果、交差点設置環境が、対象交差点が制限ゾーン内であることを表していなければ(S680:NO)、即ち、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態でなければ、先のS520にて内容を確認した対象車両情報から、該当車両の現在位置、該当車両の進行方向、及び走行速度を取得する(S690)。その取得した該当車両の現在位置、該当車両の進行方向、及び走行速度に基づき、灯色変更処理による灯色変更を実行する灯色変更タイミングを導出する(S700)。
【0073】
具体的に、本実施形態におけるS700では、例えば、該当車両の現在位置(即ち、現在位置と対象交差点とから規定される距離)と走行速度とから、該当車両が対象交差点に到達する時刻(以下、到達推定時刻とする)、及び該当車両が対象交差点を通過し終える時刻(以下、通過推定時刻とする)を推定する。そして、到達推定時刻から所定時間(ここでは、規定された時間長)前を、灯色変更処理により交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更する灯色変更タイミングとし、通過推定時刻を、灯色変更処理により交通信号機40の灯色を「進行許可(青色)」から「進行禁止(赤色)」へと戻す灯色変更タイミングとしても良い。
【0074】
続いて、該当車両の現在位置、該当車両の進行方向、及び走行速度に基づく該当車両の走行状態が、停止推奨状態であるか否かを判定する(S710)。
具体的に、本実施形態のS710では、例えば、対象交差点から該当車両の現在位置までの距離が、対象交差点に近いとみなせる距離として予め規定された規定距離(例えば、5[m])以下であれば、該当車両の走行状態が停止推奨状態であるものと判定しても良い。さらに、本実施形態のS710では、例えば、該当車両の走行速度が、自動車が停止しているとみなせる予め規定された規定速度(例えば、5[km/h])以下であれば、該当車両の走行状態が停止推奨状態であるものと判定しても良い。
【0075】
これらのような走行状態であるときに停止推奨状態であると判定する理由は、対象交差点に進入する前に停止しようとしている該当車両に対し、灯色変更処理により灯色変更されることで、該当車両が急加速することを防止するためである。
【0076】
このようなS710での判定の結果、該当車両の走行状態が停止推奨状態であれば(S710:YES)、上述したS730にて、該当車両を対象車両として、灯色変更処理による灯色変更の実行が不可能であることを決定し、その決定結果を灯色制御予定として設定する。つまり、該当車両の走行状態が停止推奨状態である場合にも、対象交差点の交通状態が停止推奨状態である場合と同様、該当車両に対して、灯色変更処理による灯色変更の実行を禁止し、交通信号機40の灯色を、信号情報データベース33に格納された信号パターンに従って制御するまで「進行禁止(赤色)」とする。
【0077】
そして、その後、灯色決定処理(F2)のS510へと戻る。
一方、S710での判定の結果、該当車両の走行状態が停止推奨状態でなければ(S710:NO)、該当車両を対象車両として、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であることを決定し、その決定結果を灯色制御予定として設定する(S720)。つまり、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態でなければ、該当車両に対して、灯色変更処理による灯色変更を許可し、S700にて導出された灯色変更タイミングにて、交通信号機40の灯色を変更する。
【0078】
そして、その後、灯色決定処理(F2)のS510へと戻る。
〈信号情報送信処理の処理内容について〉
次に、信号制御装置30の路側制御部34が実行する信号情報送信処理(F3)の処理内容について、図7に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0079】
この信号情報送信処理(F3)は、予め規定された規定時間(例えば、100[ms])間隔で起動されるものであり、図7に示すように、起動されると、まず、灯色変更処理が正常に実行されているか否かを表す処理正異情報を取得する(S810)。
【0080】
なお、信号制御装置30の中には、路側制御部34が実行する処理の一つとして、灯色変更処理が(即ち、灯色決定処理(F2)も)含まれていない信号制御装置30があっても良い。このような信号制御装置30では、信号情報送信処理(F3)のS810にて取得する処理正異情報を、灯色変更処理が正常に実行されていない旨を表すものとすれば良い。
【0081】
続いて、先に実行した変更可否判定処理におけるS610にて取得した車両IDを、信号情報の送信先を表す通知先IDとして取得し(S820)、その際の変更可否判定処理にて設定された灯色制御予定を取得する(S830)。そして、S810〜S830にて取得した、処理正異情報、通知先ID、及び灯色制御予定を含む情報を信号情報として生成し、その生成した信号情報を、信号制御装置30の無線通信部31から路車間通信により送信する(S840)。
【0082】
その後、本信号情報送信処理(F3)を終了する。
〈情報報知処理の処理内容について〉
次に、情報提供装置1の車側制御部16が実行する情報報知処理(F4)の処理内容について、図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。この情報報知処理(F4)は、例えば、車側制御部16に電力が供給される(例えば、イグニッションスイッチがオンされる)と起動されるものである。
【0083】
そして、情報報知処理(F4)は、起動されると、図8に示すように、まず、情報提供装置1の無線通信部15を介して情報を受信するまで待機し(S210:NO)、無線通信部15を介して情報を受信すると(S210:YES)、その受信した情報を解析して、内容を確認する(S220)。その確認の結果、無線通信部15を介して受信した情報が、信号制御装置30から送信された信号情報でなければ(S230:NO)、S210へと戻り、信号情報であれば(S230:YES)、灯色制御予定に基づく情報を報知する灯色報知処理を実行する(S240)。
【0084】
そして、その後、S210へと戻り、S210〜S240を繰り返す。
《灯色報知処理の処理内容について》
本実施形態の灯色報知処理は、先に説明した情報報知処理(F4)のS240にて起動されると、図9に示すように、まず、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる処理正異情報が、灯色変更処理が正常に実行されていることを表しているか否かを判定する(S310)。このS310での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていないことを表していれば(S310:NO)、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0085】
一方、S310での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていることを表していれば(S310:YES)、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれている通知先IDを取得する(S320)。そして、そのS320にて取得した通知先IDが、自車両の車両IDと一致するか否かを判定する(S330)。
【0086】
そのS330での判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと不一致であれば(S330:NO)、信号制御装置30からの信号情報が、自車両に対して送信されたものではないものと判断して、本灯色報知処理を終了し、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0087】
一方、S330での判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと一致していれば(S330:YES)、信号制御装置30からの信号情報が、自車両に対して送信されたものと判断する。続いて、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる灯色制御予定が、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であるか否かを判定する(S340)。
【0088】
そのS340での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であれば(S340:YES)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知する(S350)。本実施形態において、S350での報知は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13から音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。
【0089】
その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
一方、S340での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更処理による灯色変更の実行が不可能であれば(S340:NO)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であるか否かを判定する(S360)。
【0090】
そのS360での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であれば(S360:YES)、「対象交差点を無停止で通過不可」である旨の警告を、規定された時間出力する(S370)。このS370での警告の出力は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13から音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0091】
なお、S360での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中でなければ(S360:NO)、報知を実行することなく、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0092】
つまり、本実施形態の灯色報知処理では、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であり(許可されており)、自車両が、対象交差点を無停止で通過可能である場合には、その旨が報知される。
【0093】
一方、本実施形態の灯色報知処理では、灯色変更処理による灯色変更の実行が不可能であれば(禁止されていれば)、通常、何ら報知されず、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能(許可)から不可能(禁止)へと、自車両が対象交差点に到達する前に変更された場合にのみ、自車両が対象交差点を無停止で通過不可能である旨が報知される。
[第1実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の灯色報知処理では、信号制御装置30での灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であれば(許可されていれば)、報知されるものの、灯色変更の実行が不可能であれば(禁止されていれば)、何ら報知しない。
【0094】
このため、自車両の乗員は、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向から対象交差点に自車両が接近する際に、交通信号機40の灯色が「進行許可(青色)」に変更されるか否か、ひいては、対象交差点を無停止で通過可能であるか否かを認識できる。
【0095】
また、本実施形態の灯色報知処理では、自車両が対象交差点に到達する前に、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能から不可能へと変更された場合にのみ、「対象交差点を無停止で通過不能」である旨が報知される。このため、自車両の乗員は、対象交差点周辺の交通状態が急変したことを認識でき、そのような状態のときに、灯色変更が実行されないこと、即ち、対象交差点に進入する前に自車両を停止させる必要があることを認識できる。
【0096】
なお、本実施形態の灯色決定処理では、対象交差点に接近する緊急自動車が存在する場合、灯色変更の実行を禁止している。このため、走行支援システム100によれば、緊急自動車の接近時に対象交差点に車両が進入することを防止でき、この結果、緊急自動車に対象交差点をスムーズに通過させることができる。
【0097】
さらに、本実施形態の灯色決定処理では、対象交差点の設置環境が、スクールゾーンやシルバーゾーン内であれば、灯色変更の実行を禁止している。このため、走行支援システム100によれば、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向から対象交差点に進入しようとする車両を、対象交差点に進入する前に停止させることができ、例えば、高齢者や、幼稚園児、保育園児、小学生といった交通弱者を保護することができる。
【0098】
また、本実施形態の灯色決定処理では、対象交差点を横断している歩行者(人や軽車両)等が存在する場合、灯色変更の実行を禁止している。このため、走行支援システム10によれば、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向から対象交差点に進入しようとする車両を、対象交差点に進入する前に停止させることができ、この結果、歩行者を保護することができる。
【0099】
ところで、一般的な街中には、人通り(や交通量)が多い複数の交差点が連続して接続された道路(以下、街中道路)が存在する。このような街中道路を自車両が走行する場合、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっているときに、自車両が交差点に接近しなければならないこともある。このようなときに、交差点毎に、「灯色変更が実行されない」旨の警告が情報提供装置から報知されると、自車両の乗員は、煩わしさを感じる可能性がある。
【0100】
しかしながら、本実施形態の灯色報知処理では、灯色変更処理による灯色変更が不可能であることが維持されていれば、何ら報知しないため、走行支援システム100によれば、自車両が街中道路を走行する場合に、自車両の乗員が、煩わしさを感じる可能性を低減できる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0101】
本実施形態における走行支援システム200(図1参照)は、第一実施形態における走行支援システム100と、情報提供装置1が実行する灯色報知処理の処理内容が異なるのみである。このため、本実施形態における走行支援システム200では、第一実施形態における走行支援システム100と同様の構成及び処理については、同一符号を付して説明を省略し、第一実施形態における走行支援システム100とは異なる灯色報知処理の処理内容を中心に説明する。
【0102】
《灯色報知処理の処理内容について》
ここで、図10は、本実施形態の灯色報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
本実施形態の灯色報知処理は、第一実施形態にて説明した情報報知処理(F4)のS240にて起動されると、図10に示すように、まず、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる処理正異情報が、灯色変更処理が正常に実行されていることを表しているか否かを判定する(S410)。このS410での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていないことを表していれば(S410:NO)、灯色変更処理による「灯色変更が実施されない」旨の警告を報知する(S480)。このS480での警告の報知は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13から音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。
【0104】
その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
一方、S410での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていることを表していれば(S410:YES)、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる通知先IDを取得する(S420)。その取得した通知先IDが、自車両の車両IDと一致するか否かを判定し(S430)、判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと不一致であれば(S430:NO)、S480にて、灯色変更処理による「灯色変更が実施されない」旨の警告を報知する。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0105】
一方、S430での判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと一致していれば(S430:YES)、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる灯色制御予定が、灯色変更の実行が可能であるか否かを判定する(S440)。
【0106】
そのS440での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更の実行が可能であれば(S440:YES)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知する(S450)。このS450での報知は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13からの音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0107】
一方、S440での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更の実行が不可能であれば(S440:NO)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であるか否かを判定する(S460)。
【0108】
そのS460での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であれば(S460:YES)、報知内容を、「対象交差点を無停止で通過不可」である旨の警告へと変更する(S470)。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0109】
なお、S460での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中でなければ(S460:NO)、S480にて、灯色変更処理による「灯色変更が実行されない」である旨の警告を報知する。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0110】
つまり、本実施形態の灯色報知処理では、信号制御装置30での灯色変更処理が正常に実行されていない場合や、灯色変更の実行禁止が継続されると、灯色変更処理による「灯色変更が実施されない」旨の警告を出力する。
[第2実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の情報提供装置1が搭載された自動車の乗員は、灯色変更が実施されるか否か、即ち、対象交差点にて停止する可能性があるのか否かを、対象交差点への接近中は、常に認識することができる。
【0111】
特に、本実施形態の灯色報知処理では、信号制御装置30が灯色変更処理を正常に実行していない場合にも、灯色変更が実施されない旨を報知するため、自車両の乗員は、交通信号機の灯色が進行許可に変更されるか否かを、より確実に認識することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0112】
まず、上記第一実施形態の変更可否判定処理では、停止推奨状態として判定する対象交差点周辺の交通状態について、複数の交通状態を例示したが、停止推奨状態として判定する交差点周辺の交通状態は、上記実施形態にて例示したものに限らない。
【0113】
例えば、図11に示すように、自車両が進行しようとしている対象交差点Iの流出道路が渋滞している場合に、対象交差点I周辺の交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い。この場合、対象交差点I周辺の交通状態として流出道路の交通流を取得し、その取得した流出道路の交通流が渋滞状態であれば、対象交差点I周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判定するステップを、変更可否判定処理に設ければ良い。
【0114】
なお、信号制御装置30による流出道路の交通流の認識は、各車両に搭載された情報提供装置1からの車両情報に基づくものでも良いし、信号制御装置30自身の移動状態取得部32にて取得した移動状態に基づくものでも良い。
【0115】
また、上記実施形態の灯色決定処理では、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であることに起因して、灯色変更の実行不可とした場合には、信号パターンに従って制御されるまでの期間、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」としていたが、この場合において、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更するタイミングは、信号パターンに従ったタイミングに限るものではない。
【0116】
例えば、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態に該当しなくなったときに、直ちに、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更しても良い。
【0117】
つまり、図12に例示するように、自車両が、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」である方向から対象交差点に進入しようとしているにも拘わらず、交差方向から対象交差点に接近する1台の優先車両が存在することで、対象交差点I周辺の交通状態が停止推奨状態となっている場合には、その優先車両が対象交差点Iを通過すると、直ちに、交通信号機40の灯色を変更しても良い。
【0118】
このようにすれば、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」であることによって、対象車両が必要以上に長い時間停止させられることを防止でき、対象交差点Iのスムーズな通行を実現できる。特に、信号パターンが、「進行禁止(赤色)」を常時点灯するパターン、「赤色」または「黄色」の点滅を繰り返すパターンの対象交差点に、上述した灯色変更の態様を適用すれば、交通信号機40の灯色を、必要な時間のみ「進入禁止(赤色)」から「進入許可(青色)」へと変更することできる。
【0119】
さらに、上記実施形態の灯色報知処理において、S370,S470での報知内容は、「対象交差点を無停止で通過不可」である旨の警告、S480での報知内容は、「灯色変更が実施されない(即ち、灯色変更を不実行)」旨の警告であったが、これらS370,S470,S480での報知内容は、これに限るものではない。例えば、「対象交差点への進入前に一旦、停止しなければならない」旨の情報でも良いし、「交通信号機の灯色が進行禁止に維持される」旨の情報でも良いし、「灯色制御予定の推移」を表す情報であっても良い。つまり、S370,S470,S480での報知内容は、灯色変更処理による灯色変更が実行されないことを認識可能な態様であればどのような情報でも良い。
【0120】
また、上記実施形態の灯色報知処理において、S350,S450での報知内容は、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨であったが、これらS350,S450での報知内容は、これに限るものではなく、例えば、「交通信号機の灯色が進行禁止から進行許可に変更される」旨の情報でも良いし、「灯色制御予定の推移」を表す情報であっても良い。つまり、S350,S450での報知内容は、自車両に対し、灯色変更処理による灯色変更が実行されることを認識可能な態様であればどのような情報でも良い。
【0121】
さらに、上記実施形態においては、信号情報送信処理の起動タイミングである規定時間間隔を、100[ms]としていたが、規定時間間隔は、この時間に限るものではなく、例えば、灯色制御処理の実行周期以下の短い時間であっても良い。
【0122】
なお、上記実施形態では、信号情報送信処理の起動タイミングを、規定時間間隔としていたが、信号情報送信処理起動タイミングは、規定時間間隔に限るものではなく、例えば、灯色決定処理の実行周期が、一周期終了する毎、即ち、灯色制御予定が決定される毎でも良い。つまり、信号情報を送信するタイミングは、規定時間間隔毎であっても良いし、灯色制御予定が決定される毎でも良い。
【0123】
ところで、上記実施形態の信号制御装置30では、移動状態取得部32から移動状態を取得していたが、信号制御装置30が移動状態を取得する方法は、これに限るものではない。例えば、情報提供装置1からの車両情報の中から、車両情報に含まれる現在位置が対象交差点から規定範囲内の車両情報を移動状態として取得しても良いし、少なくとも、現在位置を含む情報を繰り返し送信する装置を、軽車両に搭載したり、人に所持させたりした上で、それらの装置から受信した情報に基づいて認識した各優先対象物の現在位置,進行方向,移動速度などを移動状態として取得しても良い。
【0124】
特に、信号制御装置30は、車両の位置、走行速度、ブレーキ操作の有無、ウインカー操作の有無、エンジン回転数等を含み、車両の走行状態を表すプローブ情報を定期的に収集する周知のプローブ情報システムからのプローブ情報を移動状態として取得しても良い。
【0125】
また、上記実施形態の信号制御装置30では、交差点設置環境を、予め信号情報データベース33に格納し、その信号情報データベース33から取得していたが、信号制御装置30が交差点設置環境を取得する方法は、これに限るものではなく、情報提供装置1から取得してもよい。この場合、情報提供装置1は、交差点設置環境を車両情報に含めても送信しても良いし、交差点設置環境のみを、車両情報とは別に送信しても良い。このように情報提供装置1が信号制御装置30に交差点設置環境を送信する場合、その交差点設置環境は、車両に搭載されたナビゲーション装置に記憶されている地図データなどから取得すれば良い。
【0126】
なお、情報提供装置1は、車車間通信によって、他車両から受信した車両情報を、信号制御装置30に送信しても良い(本発明の状態送信手段に相当)。この場合、情報提供装置1は、緊急自動車情報を受信すると、その受信した緊急自動車情報を信号制御装置30に送信するようにすることが好ましい。
【0127】
つまり、本発明において、対象交差点周辺の交通状態は、取得可能であれば、どのような方法で取得しても良い。
[実施形態と特許請求の範囲との対応関係]
最後に、上記実施形態の記載と、特許請求の範囲の記載との関係を説明する。
【0128】
上記実施形態の情報報知処理におけるS210〜S230が、本発明の予定取得手段に相当し、灯色報知処理を繰り返し実行することで得られる機能が、本発明の報知手段に相当する。さらに、上記実施形態の灯色変更処理が、本発明の灯色変更手段に相当し、変更可否判定処理におけるS620〜S640が、本発明の交通状態取得手段に相当し、変更可否判定処理におけるS650〜S680,S720,S730が、本発明の灯色決定手段に相当し、信号情報送信処理におけるS830,S840が、本発明の予定送信手段に相当する。
【0129】
また、上記実施形態の車両情報送信処理におけるS110,S130が、本発明の車両情報取得手段に相当し、車両情報送信処理におけるS140が本発明の車両情報送信手段に相当する。
【符号の説明】
【0130】
1…情報提供装置 10…位置特定部 11…外部機器接続部 12…表示部 13…音声出力部 15…無線通信部 16…車側制御部 20…車速センサ 21…GPS受信機 22…ジャイロスコープ 30…信号制御装置 31…無線通信部 32…移動状態取得部 33…信号情報データベース 34…路側制御部 40…交通信号機 100,200…走行支援システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機の灯色を制御する信号制御装置との間で情報通信を行うと共に、車両に搭載される情報提供装置、及び該情報提供装置と信号制御装置とを備えた走行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路交差点に設置された交通信号機の灯色を制御する信号制御装置と、その信号制御装置との間で無線により情報通信を行うと共に、自動車に搭載される情報提供装置とを備えた走行支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このうち、特許文献1に記載の走行支援システムを構成する車載装置は、交差点に対して予め規定された位置(以下、特定位置とする)を、当該車載装置を搭載した自動車(即ち、自車両)が通過すると、自車両の車速を信号制御装置に送信する。一方、信号制御装置は、交通信号機の灯色を「進行禁止(例えば、赤色灯色)」としている場合に、自車両の車速を受信すると、その受信した車速及び交差点から特定位置までの距離に基づいて、自車両が停止することなく当該交差点を通過するように、交通信号機の灯色を「進行禁止」から「進行許可(例えば、青色(緑)灯色)」に変更(以下、自動灯色変更とする)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−28097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の走行支援システムでは、信号制御装置が自動灯色変更を実行することを、信号制御装置から車載装置に通知していない。
つまり、特許文献1に記載の走行支援システムを構成する車載装置が搭載された自動車の乗員は、自車両が交差点に接近する際に、本当に、交通信号機の灯色が「進行禁止」から「進行許可(青色)」へと変更されるのか、即ち、自車両が停止することなく交差点を通過可能であるか否かを認識できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、交差点に接近する車両に対して交通信号機の灯色が変更されるか否かを、車両の乗員が認識可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明は、車両に搭載される情報提供装置であって、交通信号機の灯色を制御する信号制御装置との間で無線により情報通信を行う。
ただし、本発明において、信号制御装置では、灯色変更手段が、制御対象とする交通信号機により交通整理が実行される対象交差点に、該交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から接近する車両(以下、対象車両)が、対象交差点を無停止で通過するように、交通信号機の灯色を進行許可へと変更する。これと共に、信号制御装置では、交通状態取得手段が、対象交差点周辺の交通状態を繰り返し取得し、その取得した交通状態が、対象交差点への進入前に車両を停止させるべき停止推奨状態でなければ、灯色変更手段が灯色を変更することを許可し、交通状態が停止推奨状態であれば、灯色変更手段が灯色を変更することを禁止とした、交通信号機の灯色の制御予定(以下、灯色制御予定)を、灯色決定手段が決定する。
【0008】
そして、本発明の情報提供装置では、予定取得手段が、信号制御装置から無線により送信される灯色制御予定を取得し、その取得した灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、対象車両である自車両の対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、報知手段が、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する。
【0009】
したがって、情報提供装置が搭載された車両の乗員は、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から対象交差点に自車両が接近する際に、灯色変更手段による灯色の変更が不実行であること、即ち、対象交差点に進入する前に自車両を停止させる必要があることを認識できる。
【0010】
なお、「灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報」とは、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されないことを認識可能な態様であればどのような情報でも良く、例えば、対象交差点への進入前に一旦、停止しなければならない旨の情報でも良いし、灯色制御予定の推移を表す情報(例えば、交通信号機の灯色が進行禁止に維持される旨の情報)であっても良い。
【0011】
また、本発明の情報提供装置において、報知手段は、灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知しても良い(請求項2)。
【0012】
このような情報提供装置によれば、自車両の乗員は、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から対象交差点に自車両が接近する際に、当該交通信号機の灯色が進行許可に変更されること、ひいては、対象交差点を無停止で通過可能であることを認識できる。
【0013】
なお、「灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報」とは、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様であればどのような情報でも良く、例えば、対象交差点を無停止で通過可能である旨の情報でも良いし、対象交差点への進入時に、交通信号機の灯色が進行禁止から進行許可に変更される旨の情報であっても良い。
【0014】
ところで、本発明は、情報提供装置と、信号制御装置とを備えた走行支援システムとしてなされたものでも良い(請求項3)。
このような本発明の走行支援システムにおいて、信号制御装置は、請求項1に記載された信号制御装置と同様の構成を有することに加えて、予定送信手段が、灯色制御予定にて決定された灯色制御予定を送信する。
【0015】
そして、走行支援システムにおける情報提供装置では、請求項1に記載された情報提供装置と同様、取得した灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、対象車両である自車両の対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び灯色制御予定が、灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、報知手段が、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する。
【0016】
このような本発明の走行支援システムによれば、請求項1に記載の発明と同様、情報提供装置が搭載された車両の乗員は、自車両が対象交差点に進入する際に、自車両を停止させる必要があることを認識できる。
【0017】
また、本発明の走行支援システムにおいて、情報提供装置の報知手段は、灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知しても良い(請求項4)。
【0018】
このような走行支援システムによれば、請求項2に記載の情報提供装置と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明における交通状態取得手段は、対象交差点から規定範囲内に存在する物体(以下、特定物体)の挙動を交通状態として取得しても良い(請求項5)。
【0019】
このような本発明の走行支援システムによれば、交通状態が停止推奨状態であるか否かを、特定物体の挙動から判断できる。
そして、対象交差点を自車両の進行方向と交差する方向に沿って横断する自動車や、歩行者(即ち、人や軽車両)が存在する場合、または自車両の進行方向と交差する方向に沿って対象交差点に進入しようとする自動車が存在する場合には、対象交差点に進入する前に、自車両を停止させる必要がある。
【0020】
よって、請求項5に記載された本発明において、灯色決定手段は、特定物体である自動車、軽車両、及び人のうちの少なくとも一つの挙動が、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向と交差する方向に沿った対象交差点での移動であれば、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項6)。
【0021】
つまり、このような本発明の走行支援システムによれば、対象交差点を横断する(若しくは、横断しようとする)自動車や歩行者が存在する対象交差点に自車両が進入する前に、自車両を停止させる必要があることを、自車両の乗員に認識させることができる。特に、軽車両や人を特定物体とすれば、それら軽車両や人といった交通弱者を保護することができる。
【0022】
ところで、特定物体の一つである緊急自動車が交差点に接近している場合、車両は、当該交差点に進入する前に停止する必要がある。よって、本発明における灯色決定手段は、特定物体である緊急自動車の挙動が、対象交差点への接近、即ち、緊急自動車が対象交差点に接近していれば、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項8)。
【0023】
このような本発明の走行支援システムによれば、緊急自動車の接近時に対象交差点に車両が進入することを防止でき、この結果、緊急自動車に対象交差点をスムーズに通過させることができる。
【0024】
なお、ここで言う緊急自動車とは、緊急用務のために運転中である自動車であり、少なくとも救急車,消防車,警察車両を含むものである。
また、交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向(以下、進行予定方向とする)に沿った対象交差点の流出道路が渋滞している場合には、進行予定方向と交差する方向(以下、交差方向とする)の灯色を進行許可とすると共に、進行予定方向に沿った車両の移動を禁止することによって、交差方向の交通流を確保することが好ましい。
【0025】
このため、本発明における灯色決定手段は、交通状態として取得した流出道路の交通流が渋滞状態であれば、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項8)。
また、対象交差点に進入する前に車両を停止させることが好ましい交差点の設置環境として、幼稚園(保育園)、小学校等の通学路指定区域であるスクールゾーンや、老人福祉施設、病院等の高齢者が利用する可能性が高い施設から規定の距離内であるシルバーゾーン内が考えられる。
【0026】
そこで、本発明における灯色決定手段は、交通状態として取得した対象交差点の設置環境が、スクールゾーンまたはシルバーゾーン内である場合、交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い(請求項9)。
【0027】
これにより、例えば、高齢者や、幼稚園児、保育園児、小学生といった交通弱者を、より確実に保護することができる。
ところで、例えば、緊急自動車の挙動や対象交差点の設置環境を交通状態とした場合、信号制御装置が交通状態を取得する取得先は、当該信号制御装置に設けられ、かつ対象交差点周辺の交通状態を認識する認識装置であっても良いし、車両に搭載され、かつ走行支援システムを構成する情報提供装置であっても良い。
【0028】
本発明の走行支援システムにおいて、後者のように、信号制御装置が情報提供装置から交通状態を取得する場合、当該情報提供装置では、状態送信手段が、自車両が走行する道路の交通状態(以下、状態情報)を取得して送信し、信号制御装置の交通状態取得手段は、送信された状態情報を、対象交差点周辺の交通状態として取得すれば良い(請求項10)。
【0029】
このような本発明の走行支援システムによれば、例えば、前述した認識装置などのインフラ設備を設ける必要がなくなり、信号制御装置の構成を簡素化することができる。
なお、道路上を走行する車両の中から対象車両を特定する方法として、道路上に設けられた装置によって(例えば、センサ上(下)を通過する車両を対象車両として)特定することや、情報提供装置から送信された車両情報(例えば、自車両の現在位置や進行方向などを含む情報)に基づいて、当該車両情報を送信した車両の中から対象車両を特定することが考えられる。
【0030】
そして、本発明の走行支援システムにおいて、後者のように、車両情報から対象車両を特定する場合、情報提供装置では、車両情報取得手段が、自車両の現在位置、及び進行方向を少なくとも含む車両情報を取得して、その取得した車両情報を、車両情報送信手段が、信号制御装置に送信し、信号制御装置では、信号制御装置から取得した車両情報に基づいて、対象車両を特定しても良い(請求項11)。
【0031】
このような本発明の走行支援システムによれば、例えば、対象交差点への進入路を走行する車両を検出するセンサなど、道路上に設けるべきインフラ設備を削減できる。
なお、信号制御装置の予定送信手段は、灯色決定手段にて灯色制御予定が決定される毎、または予め規定された規定時間間隔毎に、灯色制御予定を送信しても良い(請求項12)。この場合、情報提供装置の予定取得手段は、灯色制御予定が送信される毎に取得すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】走行支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】信号制御装置にて実行される灯色変更処理の概要を示した説明図である。
【図3】走行支援システムにて実行される処理のタイムチャートである。
【図4】車両情報送信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】灯色決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】変更可否判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】信号情報送信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】情報報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第一実施形態における灯色報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第二実施形態における灯色報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】停止推奨状態の変形例を例示した説明図である。
【図12】灯色変更タイミングの変形例を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
〈走行支援システムの全体構成について〉
まず、図1は、本発明が適用された走行支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【0034】
この図1に示すように、走行支援システム100は、道路交差点に設置された交通信号機40の灯色を制御する信号制御装置30と、信号制御装置30との間で無線による情報通信を行う情報提供装置1とを備えている。
【0035】
情報提供装置1は、車両(本実施形態では、自動車)に搭載される車載装置であり、位置特定部10、外部機器接続部11、表示部12、音声出力部13、無線通信部15、及び車側制御部16を少なくとも備えている。
【0036】
このうち、外部機器接続部11は、自車両に搭載されている各種機器との間で通信を行うためのインタフェースであり、各機器から送信されるデータを車側制御部16に入力する。この外部機器接続部11には、自車両の走行速度を検出するための車速センサ20、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機21、及び自車両に加わる角速度を検出するジャイロスコープ22が少なくとも接続されている。
【0037】
位置特定部10は、車速センサ20や、GPS受信機21、ジャイロスコープ22等からのデータに基づいて、周知の手法を用いて特定した自車両の現在位置や進行方向を車側制御部16に入力する。
【0038】
表示部12は、画像を表示する表示面(例えば、液晶パネル等)を備えた表示装置であり、車側制御部16からの制御に基づいて各種の画像を表示する。画像を表示する表示面は、車両の運転席に着座した人物から視認可能な場所に配置されている。音声出力部13は、音声を出力する装置(例えば、スピーカ)であり、車側制御部16からの制御に基づいて各種の案内音声を出力する。
【0039】
無線通信部15は、他車両に搭載された情報提供装置1との間で双方向の無線通信(車車間通信)、または信号制御装置30との間で双方向の無線通信(路車間通信)を行う通信装置である。
【0040】
この路車間通信に用いる通信様式としては、例えば、ノンストップ自動料金収受(いわゆるETC(登録商標))システム等で用いられる狭域通信(DSRC)や、道路交通情報通信システム(いわゆるVICS(登録商標))等で用いられる電波ビーコン及び光ビーコンの技術を用いることが考えられる。あるいは、2011年(予定)のアナログテレビ放送の終了後に利用区分が再編される予定である700MHz帯の電波を利用することも考えられる。この700MHz帯の電波は、DSRCで用いられる5.8GHz帯の電波と比較して波長が長いため、回折を起こし易い。このため、建築物が密集する都市部において、建物の影からでも良好に通信を行うことができる。
【0041】
車側制御部16は、CPU,ROM,RAMを少なくとも備えた周知のコンピュータ装置で構成されており、情報提供装置1の各部10〜13,15を統括制御することに加えて、ROM等に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0042】
この車側制御部16が実行する処理の一つとして、情報提供装置1を構成する各部から取得した自車両に関する情報(以下、車両情報とする)を、無線通信により信号制御装置30に送信する車両情報送信処理(F1)(詳細は後述)がある。また、車側制御部16が実行する処理の一つとして、路車間通信により信号制御装置30から取得した情報に基づき、交通信号機40の灯色に関する情報を報知する情報報知処理(F4)(詳細は後述)がある。
【0043】
〈信号制御装置の構成〉
信号制御装置30は、道路交差点への複数の進入路のうち、一つの進入路について交通整理を行う交通信号機40の灯色を制御する。以下、信号制御装置30が制御対象とする交通信号機40により交通整理が行われる道路交差点を、対象交差点と称す。
【0044】
そして、信号制御装置30は、無線通信部31、移動状態取得部32、信号情報データベース33、及び路側制御部34を備える。
このうち、無線通信部31は、情報提供装置1との間で双方向の無線通信(路車間通信)を行う通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式としては、上述の情報提供装置1と同様のものを用いる。
【0045】
移動状態取得部32は、対象交差点周辺の交通状態の一つである、対象交差点から規定範囲(例えば、30m)内に位置する優先対象物(本発明の特定物体の一つ)に関する状態(以下、移動状態とする)を取得し、この取得した移動状態を路側制御部34に入力する。この移動状態取得部32にて取得する移動状態は、対象交差点内を移動中の各優先対象物(即ち、自動車や歩行者、自転車など)、若しくは対象交差点に進入しようとしている各優先対象物の存否、各優先対象物の位置、移動方向、移動速度など、優先対象物の挙動を少なくとも含むものである。
【0046】
これを実現するため、本実施形態における移動状態取得部32は、少なくとも対象交差点を含む範囲を撮像範囲として、規定時間間隔で繰り返し撮像する撮像装置(図示略)と、撮像装置にて画像を撮像する毎に、その撮像した画像中の各優先対象物を認識し、移動状態を導出する周知の画像認識処理を実行する画像処理装置(図示略)とを備えている。なお、移動状態取得部32は、いわゆる路側センサであり、周知のレーダ装置や、路上に設けられたセンサなどによって実現されていても良い。
【0047】
信号情報データベース33は、交通信号機40または対象交差点に関する情報として、少なくとも、信号灯色の変化のパターンを表す信号パターンと、対象交差点の設置位置と、対象交差点が設置された環境を表す交差点設置環境とを格納する。
【0048】
このうち、信号パターンは、交通信号機40の灯色が遷移する周期、及び各灯色が点灯される期間を少なくとも含むものであり、例えば、「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」、「進行禁止(黄色)」、「進行禁止(赤色)」へと順次変更されるパターンが一般的である。なお、信号パターンは、ここで示したもの以外にも様々なパターンがあり得る。
【0049】
また、交差点設置環境は、対象交差点周辺の交通状態の一つであり、対象交差点が、幼稚園(保育園)や小学校の通学路指定区域であるスクールゾーン、または老人福祉施設や病院等の高齢者が利用する可能性が高い施設から規定の距離内であるシルバーゾーン内であるか否かを表す情報を少なくとも含むものである。なお、ここで言うスクールゾーンやシルバーゾーンの適否は、例えば、通学時間帯のみ、対象交差点の設置環境をスクールゾーンの適用内し、通学時間帯以外の時間帯は、スクールゾーンの適用外とするように、時間帯により変更されても良い。
【0050】
路側制御部34は、CPU,ROM,RAMを少なくとも備えた周知のコンピュータ装置によって構成されており、信号制御装置30の各部31,32,33を統括制御すると共に、ROM等に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0051】
この路側制御部34が実行する処理の一つとして、図2に示すように、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」であるときに、その「進行禁止(赤色)」となっている灯色の方向に沿って対象交差点Iに接近する車両(以下、対象車両とする)を認識すると、対象車両が対象交差点Iを無停止で通過するように、交通信号機40の灯色を「進行許可(青色)」へと変更する灯色変更処理がある。なお、この灯色変更処理では、図2に示すように、対象交差点Iを対象車両が通過すると、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」へと戻す。以下、灯色変更処理により、対象車両が対象交差点Iを通過するまでの期間、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更することを、灯色変更と称す。
【0052】
また、路側制御部34が実行する処理の一つとして、情報提供装置1からの車両情報、及び路側制御部34が取得した対象交差点I周辺の交通状態に基づいて、灯色変更処理による灯色変更が実行可能であるか(灯色変更を許可するか)否かを判定し、その判定結果を、交通信号機40の灯色の制御予定(以下、灯色制御予定とする)として決定する灯色決定処理(F2)(詳細は後述)がある。さらに、路側制御部34が実行する処理の一つとして、灯色決定処理(F2)にて決定された灯色制御予定を含む信号情報を、無線通信により情報提供装置1に送信する信号情報送信処理(F3)(詳細は後述)がある。
【0053】
以上説明した本実施形態の走行支援システム100では、図3のタイムチャートに示すように、情報提供装置1は、車両情報送信処理(F1)を実行することで、信号制御装置30に車両情報を送信する。
【0054】
そして、車両情報を受信した信号制御装置30は、灯色決定処理(F2)を実行することで決定した交通信号機40の灯色制御予定を少なくとも含む信号情報を、信号情報送信処理(F3)を実行することで、情報提供装置1に送信する。
【0055】
さらに、信号情報を受信した情報提供装置1は、情報報知処理(F4)を実行して、少なくとも、交通信号機40の灯色に関する情報を報知した後、車両情報送信処理(F1)を実行して、信号制御装置30に車両情報を送信する。
【0056】
つまり、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている進入路を対象交差点に接近するように走行する自動車が存在する場合、本実施形態の走行支援システム100では、情報提供装置1での車両情報送信処理(F1)の実行、信号制御装置30での灯色決定処理(F2)、及び信号情報送信処理(F3)の実行、情報提供装置での情報報知処理(F4)の実行という、一連の処理のサイクルが繰り返される。
【0057】
〈車両情報送信処理の処理内容について〉
次に、情報提供装置1の車側制御部16が実行する車両情報送信処理(F1)の処理内容について、図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0058】
この車両情報送信処理(F1)は、予め規定された規定時間(例えば、100[ms])間隔で起動されるものであり、起動されると、図4に示すように、まず、位置特定部10にて特定した自車両の現在位置,及び自車両の進行方向を取得する(S110)。続いて、ROMに予め格納されている自動車を識別する識別情報(以下、車両IDとする)を取得する(S120)。
【0059】
さらに、外部機器接続部11を介して接続された車速センサ20からのデータ(検出信号)に基づいて、自車両の走行速度を導出する(S130)。そして、S110,S120にて取得した自車両の現在位置、自車両の進行方向、車両ID、及びS130にて導出した自車両の走行速度を含む情報を車両情報として生成し、その生成した車両情報を、情報提供装置1の無線通信部15から路車間通信により送信する(S140)。
【0060】
その後、本車両情報送信処理(F1)を終了する。
〈灯色決定処理の処理内容について〉
次に、信号制御装置30の路側制御部34が実行する灯色決定処理(F2)の処理内容について、図5に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0061】
この灯色決定処理(F2)は、例えば、信号パターンに従って制御される交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となると起動される。
そして、灯色決定処理(F2)は、起動されると、図5に示すように、信号制御装置30の無線通信部31を介して情報を受信するまで待機し(S510:NO)、無線通信部31を介して情報を受信すると(S510:YES)、その受信した情報を解析して情報の内容を確認する(S520)。そのS520での確認の結果、無線通信部31を介して受信した情報が、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている進入路を対象交差点に接近するように走行している自動車(即ち、対象車両)に搭載された情報提供装置1から送信された車両情報(以下、対象車両情報)でなければ(S530:NO)、S510へと戻る。一方、受信した情報が対象車両情報であれば(S530:YES)、灯色変更処理による灯色変更の可否を判定して灯色制御予定を決定する変更可否判定処理を実行する(S540)。
【0062】
そして、その後、S510へと戻り、交通信号機40の灯色が、信号パターンに従って「進行許可(青色)」となるまで、S510からS540を繰り返す。
《変更可否判定処理の処理内容について》
続いて、変更可否判定処理は、先に説明した灯色決定処理(F2)のS540にて起動されると、図6に示すように、まず、先のS520にて内容を確認した対象車両情報から車両IDを取得し(S610)、移動状態取得部32から各優先対象物の移動状態を取得する(S620)。
【0063】
さらに、変更可否判定処理が今回起動されるまでの予め規定された時間の間に信号制御装置30の無線通信部31を介して受信した全ての緊急自動車情報を取得する(S630)。
【0064】
なお、本実施形態において、緊急自動車情報とは、対象交差点周辺の交通状態の一つであり、緊急自動車(例えば、救急車や、消防車、警察車両など、本発明の特定物体の一つ)が、緊急用務のために運転中である旨を表す緊急情報と、当該緊急自動車の現在位置と、進行方向とを含む情報である。この緊急自動車情報を無線通信部31が受信する方法は、緊急自動車に搭載された車載装置との間の路車間通信であっても良いし、その他の方法であっても良い。前者の場合、緊急自動車に搭載された情報提供装置1が、車両情報送信処理(F1)のS140において、緊急情報を付加した車両情報を緊急自動車情報として送信すれば良い。
【0065】
続いて、信号情報データベース33から交差点設置環境を取得する(S640)。
そして、S620にて取得した移動状態の中に、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向に沿った進入路と交差する方向(以下、交差方向とする)に沿って対象交差点を横断中の優先対象物が存在することを表す移動状態が存在するか否かを判定する(S650)。そのS650での判定の結果、横断中の優先対象物が存在することを表す移動状態が存在すれば(S650:YES)、対象交差点周辺の交通状態が、対象交差点に進入する前に車両を停止させるべき状態(以下、停止推奨状態)であるものと判断して、後述するS730へと進む。
【0066】
一方、S650での判定の結果、横断中の優先対象物が存在する移動状態が存在しなければ(S650:NO)、S620にて取得した移動状態の中に、対象交差点に交差方向から接近する車両(以下、優先車両とする)が存在することを表す移動状態が存在するか否かを判定する(S660)。そのS660での判定の結果、優先車両が存在することを表す移動状態が存在すれば(S660:YES)、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判断して、後述するS730へと進む。
【0067】
S660での判定の結果、優先車両が存在することを表す移動状態が存在しなければ(S660:NO)、緊急自動車情報に基づいて、対象交差点に接近する緊急自動車の有無を判定する(S670)。そのS670での判定の結果、対象交差点に接近する緊急自動車が存在すれば(S670:YES)、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判断して、後述するS730へと進む。
【0068】
このS670では、先のS630にて取得した情報中に緊急情報が含まれており、かつ、緊急自動車の現在位置、及び進行方向から、周知の手法により推定した緊急自動車の移動予定経路が、対象交差点に向かって移動している旨を表していれば、対象交差点に接近する緊急自動車が存在するものと判定すれば良い。
【0069】
なお、S670での判定の結果、対象交差点に接近する緊急自動車が存在しなければ(S670:NO)、S640にて取得した交差点設置環境が、対象交差点がスクールゾーンまたはシルバーゾーン(図6中、制限ゾーン)内であることを表しているか否かを判定する(S680)。
【0070】
そのS680での判定の結果、交差点設置環境が、対象交差点が制限ゾーン内であることを表していれば(S680:YES)、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判断して、S730へと進む。
【0071】
そのS730では、S610にて取得した車両IDに対応する車両(以下、該当車両とする)を対象車両として、灯色変更処理による灯色変更を実行することが不可能であることを決定し、その決定結果を灯色制御予定として設定する。つまり、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であれば、該当車両に対して、灯色変更処理による灯色変更の実行を禁止し、交通信号機40の灯色を、信号情報データベース33に格納された信号パターンに従って制御するまで「進行禁止(赤色)」とする。
【0072】
一方、S680での判定の結果、交差点設置環境が、対象交差点が制限ゾーン内であることを表していなければ(S680:NO)、即ち、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態でなければ、先のS520にて内容を確認した対象車両情報から、該当車両の現在位置、該当車両の進行方向、及び走行速度を取得する(S690)。その取得した該当車両の現在位置、該当車両の進行方向、及び走行速度に基づき、灯色変更処理による灯色変更を実行する灯色変更タイミングを導出する(S700)。
【0073】
具体的に、本実施形態におけるS700では、例えば、該当車両の現在位置(即ち、現在位置と対象交差点とから規定される距離)と走行速度とから、該当車両が対象交差点に到達する時刻(以下、到達推定時刻とする)、及び該当車両が対象交差点を通過し終える時刻(以下、通過推定時刻とする)を推定する。そして、到達推定時刻から所定時間(ここでは、規定された時間長)前を、灯色変更処理により交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更する灯色変更タイミングとし、通過推定時刻を、灯色変更処理により交通信号機40の灯色を「進行許可(青色)」から「進行禁止(赤色)」へと戻す灯色変更タイミングとしても良い。
【0074】
続いて、該当車両の現在位置、該当車両の進行方向、及び走行速度に基づく該当車両の走行状態が、停止推奨状態であるか否かを判定する(S710)。
具体的に、本実施形態のS710では、例えば、対象交差点から該当車両の現在位置までの距離が、対象交差点に近いとみなせる距離として予め規定された規定距離(例えば、5[m])以下であれば、該当車両の走行状態が停止推奨状態であるものと判定しても良い。さらに、本実施形態のS710では、例えば、該当車両の走行速度が、自動車が停止しているとみなせる予め規定された規定速度(例えば、5[km/h])以下であれば、該当車両の走行状態が停止推奨状態であるものと判定しても良い。
【0075】
これらのような走行状態であるときに停止推奨状態であると判定する理由は、対象交差点に進入する前に停止しようとしている該当車両に対し、灯色変更処理により灯色変更されることで、該当車両が急加速することを防止するためである。
【0076】
このようなS710での判定の結果、該当車両の走行状態が停止推奨状態であれば(S710:YES)、上述したS730にて、該当車両を対象車両として、灯色変更処理による灯色変更の実行が不可能であることを決定し、その決定結果を灯色制御予定として設定する。つまり、該当車両の走行状態が停止推奨状態である場合にも、対象交差点の交通状態が停止推奨状態である場合と同様、該当車両に対して、灯色変更処理による灯色変更の実行を禁止し、交通信号機40の灯色を、信号情報データベース33に格納された信号パターンに従って制御するまで「進行禁止(赤色)」とする。
【0077】
そして、その後、灯色決定処理(F2)のS510へと戻る。
一方、S710での判定の結果、該当車両の走行状態が停止推奨状態でなければ(S710:NO)、該当車両を対象車両として、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であることを決定し、その決定結果を灯色制御予定として設定する(S720)。つまり、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態でなければ、該当車両に対して、灯色変更処理による灯色変更を許可し、S700にて導出された灯色変更タイミングにて、交通信号機40の灯色を変更する。
【0078】
そして、その後、灯色決定処理(F2)のS510へと戻る。
〈信号情報送信処理の処理内容について〉
次に、信号制御装置30の路側制御部34が実行する信号情報送信処理(F3)の処理内容について、図7に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0079】
この信号情報送信処理(F3)は、予め規定された規定時間(例えば、100[ms])間隔で起動されるものであり、図7に示すように、起動されると、まず、灯色変更処理が正常に実行されているか否かを表す処理正異情報を取得する(S810)。
【0080】
なお、信号制御装置30の中には、路側制御部34が実行する処理の一つとして、灯色変更処理が(即ち、灯色決定処理(F2)も)含まれていない信号制御装置30があっても良い。このような信号制御装置30では、信号情報送信処理(F3)のS810にて取得する処理正異情報を、灯色変更処理が正常に実行されていない旨を表すものとすれば良い。
【0081】
続いて、先に実行した変更可否判定処理におけるS610にて取得した車両IDを、信号情報の送信先を表す通知先IDとして取得し(S820)、その際の変更可否判定処理にて設定された灯色制御予定を取得する(S830)。そして、S810〜S830にて取得した、処理正異情報、通知先ID、及び灯色制御予定を含む情報を信号情報として生成し、その生成した信号情報を、信号制御装置30の無線通信部31から路車間通信により送信する(S840)。
【0082】
その後、本信号情報送信処理(F3)を終了する。
〈情報報知処理の処理内容について〉
次に、情報提供装置1の車側制御部16が実行する情報報知処理(F4)の処理内容について、図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。この情報報知処理(F4)は、例えば、車側制御部16に電力が供給される(例えば、イグニッションスイッチがオンされる)と起動されるものである。
【0083】
そして、情報報知処理(F4)は、起動されると、図8に示すように、まず、情報提供装置1の無線通信部15を介して情報を受信するまで待機し(S210:NO)、無線通信部15を介して情報を受信すると(S210:YES)、その受信した情報を解析して、内容を確認する(S220)。その確認の結果、無線通信部15を介して受信した情報が、信号制御装置30から送信された信号情報でなければ(S230:NO)、S210へと戻り、信号情報であれば(S230:YES)、灯色制御予定に基づく情報を報知する灯色報知処理を実行する(S240)。
【0084】
そして、その後、S210へと戻り、S210〜S240を繰り返す。
《灯色報知処理の処理内容について》
本実施形態の灯色報知処理は、先に説明した情報報知処理(F4)のS240にて起動されると、図9に示すように、まず、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる処理正異情報が、灯色変更処理が正常に実行されていることを表しているか否かを判定する(S310)。このS310での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていないことを表していれば(S310:NO)、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0085】
一方、S310での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていることを表していれば(S310:YES)、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれている通知先IDを取得する(S320)。そして、そのS320にて取得した通知先IDが、自車両の車両IDと一致するか否かを判定する(S330)。
【0086】
そのS330での判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと不一致であれば(S330:NO)、信号制御装置30からの信号情報が、自車両に対して送信されたものではないものと判断して、本灯色報知処理を終了し、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0087】
一方、S330での判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと一致していれば(S330:YES)、信号制御装置30からの信号情報が、自車両に対して送信されたものと判断する。続いて、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる灯色制御予定が、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であるか否かを判定する(S340)。
【0088】
そのS340での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であれば(S340:YES)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知する(S350)。本実施形態において、S350での報知は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13から音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。
【0089】
その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
一方、S340での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更処理による灯色変更の実行が不可能であれば(S340:NO)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であるか否かを判定する(S360)。
【0090】
そのS360での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であれば(S360:YES)、「対象交差点を無停止で通過不可」である旨の警告を、規定された時間出力する(S370)。このS370での警告の出力は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13から音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0091】
なお、S360での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中でなければ(S360:NO)、報知を実行することなく、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0092】
つまり、本実施形態の灯色報知処理では、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であり(許可されており)、自車両が、対象交差点を無停止で通過可能である場合には、その旨が報知される。
【0093】
一方、本実施形態の灯色報知処理では、灯色変更処理による灯色変更の実行が不可能であれば(禁止されていれば)、通常、何ら報知されず、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能(許可)から不可能(禁止)へと、自車両が対象交差点に到達する前に変更された場合にのみ、自車両が対象交差点を無停止で通過不可能である旨が報知される。
[第1実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の灯色報知処理では、信号制御装置30での灯色変更処理による灯色変更の実行が可能であれば(許可されていれば)、報知されるものの、灯色変更の実行が不可能であれば(禁止されていれば)、何ら報知しない。
【0094】
このため、自車両の乗員は、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向から対象交差点に自車両が接近する際に、交通信号機40の灯色が「進行許可(青色)」に変更されるか否か、ひいては、対象交差点を無停止で通過可能であるか否かを認識できる。
【0095】
また、本実施形態の灯色報知処理では、自車両が対象交差点に到達する前に、灯色変更処理による灯色変更の実行が可能から不可能へと変更された場合にのみ、「対象交差点を無停止で通過不能」である旨が報知される。このため、自車両の乗員は、対象交差点周辺の交通状態が急変したことを認識でき、そのような状態のときに、灯色変更が実行されないこと、即ち、対象交差点に進入する前に自車両を停止させる必要があることを認識できる。
【0096】
なお、本実施形態の灯色決定処理では、対象交差点に接近する緊急自動車が存在する場合、灯色変更の実行を禁止している。このため、走行支援システム100によれば、緊急自動車の接近時に対象交差点に車両が進入することを防止でき、この結果、緊急自動車に対象交差点をスムーズに通過させることができる。
【0097】
さらに、本実施形態の灯色決定処理では、対象交差点の設置環境が、スクールゾーンやシルバーゾーン内であれば、灯色変更の実行を禁止している。このため、走行支援システム100によれば、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向から対象交差点に進入しようとする車両を、対象交差点に進入する前に停止させることができ、例えば、高齢者や、幼稚園児、保育園児、小学生といった交通弱者を保護することができる。
【0098】
また、本実施形態の灯色決定処理では、対象交差点を横断している歩行者(人や軽車両)等が存在する場合、灯色変更の実行を禁止している。このため、走行支援システム10によれば、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっている方向から対象交差点に進入しようとする車両を、対象交差点に進入する前に停止させることができ、この結果、歩行者を保護することができる。
【0099】
ところで、一般的な街中には、人通り(や交通量)が多い複数の交差点が連続して接続された道路(以下、街中道路)が存在する。このような街中道路を自車両が走行する場合、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」となっているときに、自車両が交差点に接近しなければならないこともある。このようなときに、交差点毎に、「灯色変更が実行されない」旨の警告が情報提供装置から報知されると、自車両の乗員は、煩わしさを感じる可能性がある。
【0100】
しかしながら、本実施形態の灯色報知処理では、灯色変更処理による灯色変更が不可能であることが維持されていれば、何ら報知しないため、走行支援システム100によれば、自車両が街中道路を走行する場合に、自車両の乗員が、煩わしさを感じる可能性を低減できる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0101】
本実施形態における走行支援システム200(図1参照)は、第一実施形態における走行支援システム100と、情報提供装置1が実行する灯色報知処理の処理内容が異なるのみである。このため、本実施形態における走行支援システム200では、第一実施形態における走行支援システム100と同様の構成及び処理については、同一符号を付して説明を省略し、第一実施形態における走行支援システム100とは異なる灯色報知処理の処理内容を中心に説明する。
【0102】
《灯色報知処理の処理内容について》
ここで、図10は、本実施形態の灯色報知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
本実施形態の灯色報知処理は、第一実施形態にて説明した情報報知処理(F4)のS240にて起動されると、図10に示すように、まず、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる処理正異情報が、灯色変更処理が正常に実行されていることを表しているか否かを判定する(S410)。このS410での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていないことを表していれば(S410:NO)、灯色変更処理による「灯色変更が実施されない」旨の警告を報知する(S480)。このS480での警告の報知は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13から音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。
【0104】
その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
一方、S410での判定の結果、処理正異情報が、信号制御装置30にて灯色変更処理が正常に実行されていることを表していれば(S410:YES)、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる通知先IDを取得する(S420)。その取得した通知先IDが、自車両の車両IDと一致するか否かを判定し(S430)、判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと不一致であれば(S430:NO)、S480にて、灯色変更処理による「灯色変更が実施されない」旨の警告を報知する。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0105】
一方、S430での判定の結果、通知先IDが、自車両の車両IDと一致していれば(S430:YES)、先のS220にて内容を確認した信号情報に含まれる灯色制御予定が、灯色変更の実行が可能であるか否かを判定する(S440)。
【0106】
そのS440での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更の実行が可能であれば(S440:YES)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知する(S450)。このS450での報知は、表示部12の表示面への表示、及び音声出力部13からの音声での出力のうち、少なくとも一方により実行される。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0107】
一方、S440での判定の結果、灯色制御予定が、灯色変更の実行が不可能であれば(S440:NO)、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であるか否かを判定する(S460)。
【0108】
そのS460での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中であれば(S460:YES)、報知内容を、「対象交差点を無停止で通過不可」である旨の警告へと変更する(S470)。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0109】
なお、S460での判定の結果、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨を報知中でなければ(S460:NO)、S480にて、灯色変更処理による「灯色変更が実行されない」である旨の警告を報知する。その後、本灯色報知処理を終了して、情報報知処理(F4)のS210へと戻る。
【0110】
つまり、本実施形態の灯色報知処理では、信号制御装置30での灯色変更処理が正常に実行されていない場合や、灯色変更の実行禁止が継続されると、灯色変更処理による「灯色変更が実施されない」旨の警告を出力する。
[第2実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の情報提供装置1が搭載された自動車の乗員は、灯色変更が実施されるか否か、即ち、対象交差点にて停止する可能性があるのか否かを、対象交差点への接近中は、常に認識することができる。
【0111】
特に、本実施形態の灯色報知処理では、信号制御装置30が灯色変更処理を正常に実行していない場合にも、灯色変更が実施されない旨を報知するため、自車両の乗員は、交通信号機の灯色が進行許可に変更されるか否かを、より確実に認識することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0112】
まず、上記第一実施形態の変更可否判定処理では、停止推奨状態として判定する対象交差点周辺の交通状態について、複数の交通状態を例示したが、停止推奨状態として判定する交差点周辺の交通状態は、上記実施形態にて例示したものに限らない。
【0113】
例えば、図11に示すように、自車両が進行しようとしている対象交差点Iの流出道路が渋滞している場合に、対象交差点I周辺の交通状態が停止推奨状態であるものとしても良い。この場合、対象交差点I周辺の交通状態として流出道路の交通流を取得し、その取得した流出道路の交通流が渋滞状態であれば、対象交差点I周辺の交通状態が停止推奨状態であるものと判定するステップを、変更可否判定処理に設ければ良い。
【0114】
なお、信号制御装置30による流出道路の交通流の認識は、各車両に搭載された情報提供装置1からの車両情報に基づくものでも良いし、信号制御装置30自身の移動状態取得部32にて取得した移動状態に基づくものでも良い。
【0115】
また、上記実施形態の灯色決定処理では、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態であることに起因して、灯色変更の実行不可とした場合には、信号パターンに従って制御されるまでの期間、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」としていたが、この場合において、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更するタイミングは、信号パターンに従ったタイミングに限るものではない。
【0116】
例えば、対象交差点周辺の交通状態が停止推奨状態に該当しなくなったときに、直ちに、交通信号機40の灯色を「進行禁止(赤色)」から「進行許可(青色)」へと変更しても良い。
【0117】
つまり、図12に例示するように、自車両が、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」である方向から対象交差点に進入しようとしているにも拘わらず、交差方向から対象交差点に接近する1台の優先車両が存在することで、対象交差点I周辺の交通状態が停止推奨状態となっている場合には、その優先車両が対象交差点Iを通過すると、直ちに、交通信号機40の灯色を変更しても良い。
【0118】
このようにすれば、交通信号機40の灯色が「進行禁止(赤色)」であることによって、対象車両が必要以上に長い時間停止させられることを防止でき、対象交差点Iのスムーズな通行を実現できる。特に、信号パターンが、「進行禁止(赤色)」を常時点灯するパターン、「赤色」または「黄色」の点滅を繰り返すパターンの対象交差点に、上述した灯色変更の態様を適用すれば、交通信号機40の灯色を、必要な時間のみ「進入禁止(赤色)」から「進入許可(青色)」へと変更することできる。
【0119】
さらに、上記実施形態の灯色報知処理において、S370,S470での報知内容は、「対象交差点を無停止で通過不可」である旨の警告、S480での報知内容は、「灯色変更が実施されない(即ち、灯色変更を不実行)」旨の警告であったが、これらS370,S470,S480での報知内容は、これに限るものではない。例えば、「対象交差点への進入前に一旦、停止しなければならない」旨の情報でも良いし、「交通信号機の灯色が進行禁止に維持される」旨の情報でも良いし、「灯色制御予定の推移」を表す情報であっても良い。つまり、S370,S470,S480での報知内容は、灯色変更処理による灯色変更が実行されないことを認識可能な態様であればどのような情報でも良い。
【0120】
また、上記実施形態の灯色報知処理において、S350,S450での報知内容は、「対象交差点を無停止で通過可能」である旨であったが、これらS350,S450での報知内容は、これに限るものではなく、例えば、「交通信号機の灯色が進行禁止から進行許可に変更される」旨の情報でも良いし、「灯色制御予定の推移」を表す情報であっても良い。つまり、S350,S450での報知内容は、自車両に対し、灯色変更処理による灯色変更が実行されることを認識可能な態様であればどのような情報でも良い。
【0121】
さらに、上記実施形態においては、信号情報送信処理の起動タイミングである規定時間間隔を、100[ms]としていたが、規定時間間隔は、この時間に限るものではなく、例えば、灯色制御処理の実行周期以下の短い時間であっても良い。
【0122】
なお、上記実施形態では、信号情報送信処理の起動タイミングを、規定時間間隔としていたが、信号情報送信処理起動タイミングは、規定時間間隔に限るものではなく、例えば、灯色決定処理の実行周期が、一周期終了する毎、即ち、灯色制御予定が決定される毎でも良い。つまり、信号情報を送信するタイミングは、規定時間間隔毎であっても良いし、灯色制御予定が決定される毎でも良い。
【0123】
ところで、上記実施形態の信号制御装置30では、移動状態取得部32から移動状態を取得していたが、信号制御装置30が移動状態を取得する方法は、これに限るものではない。例えば、情報提供装置1からの車両情報の中から、車両情報に含まれる現在位置が対象交差点から規定範囲内の車両情報を移動状態として取得しても良いし、少なくとも、現在位置を含む情報を繰り返し送信する装置を、軽車両に搭載したり、人に所持させたりした上で、それらの装置から受信した情報に基づいて認識した各優先対象物の現在位置,進行方向,移動速度などを移動状態として取得しても良い。
【0124】
特に、信号制御装置30は、車両の位置、走行速度、ブレーキ操作の有無、ウインカー操作の有無、エンジン回転数等を含み、車両の走行状態を表すプローブ情報を定期的に収集する周知のプローブ情報システムからのプローブ情報を移動状態として取得しても良い。
【0125】
また、上記実施形態の信号制御装置30では、交差点設置環境を、予め信号情報データベース33に格納し、その信号情報データベース33から取得していたが、信号制御装置30が交差点設置環境を取得する方法は、これに限るものではなく、情報提供装置1から取得してもよい。この場合、情報提供装置1は、交差点設置環境を車両情報に含めても送信しても良いし、交差点設置環境のみを、車両情報とは別に送信しても良い。このように情報提供装置1が信号制御装置30に交差点設置環境を送信する場合、その交差点設置環境は、車両に搭載されたナビゲーション装置に記憶されている地図データなどから取得すれば良い。
【0126】
なお、情報提供装置1は、車車間通信によって、他車両から受信した車両情報を、信号制御装置30に送信しても良い(本発明の状態送信手段に相当)。この場合、情報提供装置1は、緊急自動車情報を受信すると、その受信した緊急自動車情報を信号制御装置30に送信するようにすることが好ましい。
【0127】
つまり、本発明において、対象交差点周辺の交通状態は、取得可能であれば、どのような方法で取得しても良い。
[実施形態と特許請求の範囲との対応関係]
最後に、上記実施形態の記載と、特許請求の範囲の記載との関係を説明する。
【0128】
上記実施形態の情報報知処理におけるS210〜S230が、本発明の予定取得手段に相当し、灯色報知処理を繰り返し実行することで得られる機能が、本発明の報知手段に相当する。さらに、上記実施形態の灯色変更処理が、本発明の灯色変更手段に相当し、変更可否判定処理におけるS620〜S640が、本発明の交通状態取得手段に相当し、変更可否判定処理におけるS650〜S680,S720,S730が、本発明の灯色決定手段に相当し、信号情報送信処理におけるS830,S840が、本発明の予定送信手段に相当する。
【0129】
また、上記実施形態の車両情報送信処理におけるS110,S130が、本発明の車両情報取得手段に相当し、車両情報送信処理におけるS140が本発明の車両情報送信手段に相当する。
【符号の説明】
【0130】
1…情報提供装置 10…位置特定部 11…外部機器接続部 12…表示部 13…音声出力部 15…無線通信部 16…車側制御部 20…車速センサ 21…GPS受信機 22…ジャイロスコープ 30…信号制御装置 31…無線通信部 32…移動状態取得部 33…信号情報データベース 34…路側制御部 40…交通信号機 100,200…走行支援システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報提供装置であって、
制御対象とする交通信号機により交通整理が実行される対象交差点に、該交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から接近する車両を表す対象車両が、前記対象交差点を無停止で通過するように、前記交通信号機の灯色を進行許可へと変更する灯色変更手段、前記対象交差点周辺の交通状態を繰り返し取得する交通状態取得手段、及び前記交通状態取得手段にて交通状態を取得する毎に、その取得した交通状態が、前記対象交差点への進入前に車両を停止させるべき停止推奨状態でなければ、前記灯色変更手段が灯色を変更することを許可し、前記交通状態が前記停止推奨状態であれば、前記灯色変更手段が灯色を変更することを禁止とした、前記交通信号機の灯色の制御予定を表す灯色制御予定を決定する灯色決定手段を有した信号制御装置から無線により送信され、前記灯色決定手段にて決定された灯色制御予定を取得する予定取得手段と、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、前記対象車両である自車両の前記対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び前記灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記報知手段は、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
交通整理を行う交通信号機の灯色を制御する信号制御装置と、車両に搭載され、前記信号制御装置との間で無線による情報通信を行う情報提供装置とを備えた走行支援システムであって、
前記信号制御装置は、
制御対象とする交通信号機が設置された対象交差点に、該交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から接近する車両を表す対象車両が、前記対象交差点を無停止で通過するように、前記交通信号機の灯色を進行許可へと変更する灯色変更手段と、
前記対象交差点周辺の交通状態を繰り返し取得する交通状態取得手段と、
前記交通状態取得手段にて交通状態を取得する毎に、その取得した交通状態が、前記対象交差点への進入前に車両を停止させるべき停止推奨状態でなければ、前記灯色変更手段が灯色を変更することを許可し、前記交通状態が前記停止推奨状態であれば、前記灯色変更手段が灯色を変更することを禁止とした、前記交通信号機の灯色の制御予定を表す灯色制御予定を決定する灯色決定手段と、
前記灯色決定手段にて決定された灯色制御予定を送信する予定送信手段と
を備え、
前記情報提供装置は、
前記信号制御装置の予定送信手段から送信された灯色制御予定を取得する予定取得手段と、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、前記対象車両である自車両の前記対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び前記灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする走行支援システム。
【請求項4】
前記報知手段は、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知することを特徴とする請求項3に記載の走行支援システム。
【請求項5】
前記交通状態取得手段は、
前記対象交差点を含む規定範囲内に存在する物体である特定物体の挙動を、前記交通状態として取得することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の走行支援システム。
【請求項6】
前記交通状態取得手段は、
自動車、軽車両、及び人のうちの少なくとも一つを、前記特定物体とし、
前記灯色決定手段は、
前記特定物体の挙動が、前記交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向と交差する方向に沿った前記対象交差点での移動であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項5に記載の走行支援システム。
【請求項7】
前記交通状態取得手段は、
緊急自動車を前記特定物体とし、
前記灯色決定手段は、
前記特定物体の挙動が、前記対象交差点への接近であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の走行支援システム。
【請求項8】
前記交通状態取得手段は、
前記交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向に沿った前記対象交差点からの流出道路の交通流を、前記交通状態として取得し、
前記灯色決定手段は、
前記流出道路の交通流が渋滞状態であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項9】
前記交通状態取得手段は、
前記対象交差点の設置環境を、前記交通状態として取得し、
前記灯色決定手段は、
前記対象交差点の設置環境が、予め定められたスクールゾーンまたはシルバーゾーン内であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項3〜請求項8のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項10】
前記情報提供装置は、
自車両が走行する道路の交通状態を表す状態情報を取得し、その取得した状態情報を送信する状態送信手段を備え、
前記信号制御装置の交通状態取得手段は、
前記状態送信手段から送信された状態情報を、前記交通状態として取得することを特徴とする請求項3〜請求項9のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項11】
前記情報提供装置は、
当該情報提供装置が搭載された自車両の現在位置を少なくとも含む車両情報を繰り返し取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段で取得した車両情報を送信する車両情報送信手段と
を備え、
前記信号制御装置は、
前記車両情報送信手段から送信された車両情報を受信し、その受信した車両情報に基づいて、前記対象車両を特定することを特徴とする請求項3〜請求項10のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項12】
前記信号制御装置の予定送信手段は、
前記灯色決定手段にて灯色制御予定が決定される毎、または予め規定された規定時間間隔毎に、前記灯色制御予定を送信することを特徴とする請求項3〜請求項11のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項1】
車両に搭載される情報提供装置であって、
制御対象とする交通信号機により交通整理が実行される対象交差点に、該交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から接近する車両を表す対象車両が、前記対象交差点を無停止で通過するように、前記交通信号機の灯色を進行許可へと変更する灯色変更手段、前記対象交差点周辺の交通状態を繰り返し取得する交通状態取得手段、及び前記交通状態取得手段にて交通状態を取得する毎に、その取得した交通状態が、前記対象交差点への進入前に車両を停止させるべき停止推奨状態でなければ、前記灯色変更手段が灯色を変更することを許可し、前記交通状態が前記停止推奨状態であれば、前記灯色変更手段が灯色を変更することを禁止とした、前記交通信号機の灯色の制御予定を表す灯色制御予定を決定する灯色決定手段を有した信号制御装置から無線により送信され、前記灯色決定手段にて決定された灯色制御予定を取得する予定取得手段と、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、前記対象車両である自車両の前記対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び前記灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記報知手段は、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
交通整理を行う交通信号機の灯色を制御する信号制御装置と、車両に搭載され、前記信号制御装置との間で無線による情報通信を行う情報提供装置とを備えた走行支援システムであって、
前記信号制御装置は、
制御対象とする交通信号機が設置された対象交差点に、該交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向から接近する車両を表す対象車両が、前記対象交差点を無停止で通過するように、前記交通信号機の灯色を進行許可へと変更する灯色変更手段と、
前記対象交差点周辺の交通状態を繰り返し取得する交通状態取得手段と、
前記交通状態取得手段にて交通状態を取得する毎に、その取得した交通状態が、前記対象交差点への進入前に車両を停止させるべき停止推奨状態でなければ、前記灯色変更手段が灯色を変更することを許可し、前記交通状態が前記停止推奨状態であれば、前記灯色変更手段が灯色を変更することを禁止とした、前記交通信号機の灯色の制御予定を表す灯色制御予定を決定する灯色決定手段と、
前記灯色決定手段にて決定された灯色制御予定を送信する予定送信手段と
を備え、
前記情報提供装置は、
前記信号制御装置の予定送信手段から送信された灯色制御予定を取得する予定取得手段と、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可を決定した後、前記対象車両である自車両の前記対象交差点への進入前に、灯色の変更の禁止へと遷移している場合、及び前記灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の禁止を継続している場合のうち、少なくとも一方であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が不実行であることを認識可能な態様の情報を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする走行支援システム。
【請求項4】
前記報知手段は、
前記予定取得手段が取得した灯色制御予定が、前記灯色変更手段による灯色の変更の許可であれば、自車両に対し、前記灯色変更手段による灯色の変更が実行されることを認識可能な態様の情報を報知することを特徴とする請求項3に記載の走行支援システム。
【請求項5】
前記交通状態取得手段は、
前記対象交差点を含む規定範囲内に存在する物体である特定物体の挙動を、前記交通状態として取得することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の走行支援システム。
【請求項6】
前記交通状態取得手段は、
自動車、軽車両、及び人のうちの少なくとも一つを、前記特定物体とし、
前記灯色決定手段は、
前記特定物体の挙動が、前記交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向と交差する方向に沿った前記対象交差点での移動であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項5に記載の走行支援システム。
【請求項7】
前記交通状態取得手段は、
緊急自動車を前記特定物体とし、
前記灯色決定手段は、
前記特定物体の挙動が、前記対象交差点への接近であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の走行支援システム。
【請求項8】
前記交通状態取得手段は、
前記交通信号機の灯色が進行禁止となっている方向に沿った前記対象交差点からの流出道路の交通流を、前記交通状態として取得し、
前記灯色決定手段は、
前記流出道路の交通流が渋滞状態であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項9】
前記交通状態取得手段は、
前記対象交差点の設置環境を、前記交通状態として取得し、
前記灯色決定手段は、
前記対象交差点の設置環境が、予め定められたスクールゾーンまたはシルバーゾーン内であれば、前記交通状態が前記停止推奨状態であるものとすることを特徴とする請求項3〜請求項8のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項10】
前記情報提供装置は、
自車両が走行する道路の交通状態を表す状態情報を取得し、その取得した状態情報を送信する状態送信手段を備え、
前記信号制御装置の交通状態取得手段は、
前記状態送信手段から送信された状態情報を、前記交通状態として取得することを特徴とする請求項3〜請求項9のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項11】
前記情報提供装置は、
当該情報提供装置が搭載された自車両の現在位置を少なくとも含む車両情報を繰り返し取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段で取得した車両情報を送信する車両情報送信手段と
を備え、
前記信号制御装置は、
前記車両情報送信手段から送信された車両情報を受信し、その受信した車両情報に基づいて、前記対象車両を特定することを特徴とする請求項3〜請求項10のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【請求項12】
前記信号制御装置の予定送信手段は、
前記灯色決定手段にて灯色制御予定が決定される毎、または予め規定された規定時間間隔毎に、前記灯色制御予定を送信することを特徴とする請求項3〜請求項11のいずれか一項に記載の走行支援システム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−3602(P2012−3602A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139511(P2010−139511)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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