説明

情報携帯端末

【課題】 梱包状態で、制御のための情報を読み出し、書き込みできる情報携帯端末を提供する。
【解決手段】 梱包状態で情報コード読取装置10のICタグチップ56に使用国を書き込む(図3(A))。電源が投入されると(図3(B))、ICタグチップ56から読み出された国コードから、当該使用国での電波出力、周波数にLAN通信回路48を対応させた後、RFアンテナ58とRF通信回路52とを接続する(図3(C))。このため、使用国での電波出力、周波数に無線LAN通信を適応させることができる。これにより、製造段階においてLAN通信回路48に特定の国コードを設定した状態で出荷することが可能になり、品番(在庫数)、工数を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグと無線通信を行うRFIDタグリードライト機能を有する情報携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)システムは、IDや情報のデータを登録するRFIDタグと、RFIDタグを認識・制御するRFIDリーダライタ装置(情報携帯端末)とから構成される。電池を内蔵しないRFIDタグ(パッシブタグ)は、内蔵アンテナとICチップとを供え、RFIDリーダライタ装置のアンテナから出力された電波や磁界を介して電力や通信データを内蔵アンテナで受け、ICチップにデータを登録(エンコード)し、またICチップからのデータをRFIDリーダライタ装置へ返送する。
【0003】
特許文献1には、接続切換部で接続を切り換えることで、リーダ/ライタとRFIDタグとでRFアンテナを共用するRFID装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−148820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線LAN通信デバイスを有するRFIDリーダライタ装置において、無線LANの規格(電波法規制:出力電力、周波数、プロトコル)は国毎に異なり、国別に在庫品を用意すると在庫の量が膨大になる。このため、いままでは、仕向け地の無線LANの規格に合わせ、国コードを無線LAN通信デバイス(または、無線LANドライバ)に設定した後、梱包し出荷するか、もしくは各営業拠点に出荷してから、梱包された製品を一旦取り出し、仕向け地に合わせて国コードを設定しており、手間がかかっていた。
【0006】
RFIDシステムにおいて、RFIDリーダライタ装置とRFIDタグ間の無線通信に異常やエラーが多々発生する。異常発生の要因は、RFIDリーダライタ装置の故障等のRFIDリーダライタ装置側にある場合、RFIDタグの故障等のRFIDタグ側にある場合、通信距離が遠い等のユーザ側の使い方に問題がある場合等様々である。異常が発生した場合に、ユーザが原因をどこにあるか特定する必要がある。しかしながら、原因の特定は困難で、特に、読み取り光により動作確認できる光学情報読取装置に慣れているがRFIDリーダライタ装置には慣れてないユーザにとって、目視できない電波を用いるRFIDリーダライタ装置は使い難く違和感の有るものであった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、梱包状態で、制御のための情報を読み出し、書き込みできる情報携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、RFアンテナ58を介してRFIDタグ80と無線通信を行うRFIDタグリードライト機能を有する情報携帯端末10であって、 前記RFアンテナ58と接続可能に配置されたRFIDタグのチップ56と、
前記RFアンテナ58と前記RFIDタグ56のチップとの接続・非接続を切り替える第1切換手段57Aと、
前記RFアンテナ58側に接続された際には、外部のRFIDタグ80との通信を行い、前記RFIDタグのチップ56側に接続された際には、該RFIDタグのチップ56との通信を行う通信回路52と、
前記通信回路52の接続を前記RFアンテナ58側と前記RFIDタグのチップ56側とで切り換える第2切換手段57Bと、
前記RFIDタグのチップ56から読み出された情報に基づき制御を行う制御手段40と、を備え、
前記情報携帯端末の電源投入前は(S10:No)、前記第1切換手段57Aが、前記RFアンテナ58と前記RFIDタグのチップ56とを接続し(S6)、外部からの前記RFIDタグのチップへのリードライトを可能にし、
前記情報携帯端末の電源投入後で、外部RFIDタグとの無線通信開始前に(S10:Yes)、前記第1切換手段57Aが、前記RFアンテナ58と前記RFIDタグのチップ56とを非接続にし(S12)、前記第2切換手段57Bが、前記通信回路52を前記RFIDタグのチップ56側に接続し(S14)、該RFIDタグのチップ56に保持された情報を読み出し、前記制御手段40が読み出された情報に基づき制御を行い(S100)、
外部RFIDタグとの無線通信開始時に(S20:Yes)、前記第2切換手段57Bが、前記通信回路52を前記RFアンテナ58側に接続して外部RFIDタグへのリードライトを可能にする(S22)ことを技術的特徴とする。
【0009】
請求項1の情報携帯端末は、電源投入前にRFアンテナとRFIDタグのチップとが接続され、外部からのRFIDタグのチップへのリードライトを可能にする。このため、電源の投入されていない梱包状態において、情報携帯端末のRFIDタグのチップに保持された情報を読み出し、情報を書き込むことができる。そして、該RFIDタグのチップに制御情報を書き込むことで、梱包が解かれ情報携帯端末の電源が投入されると、外部RFIDタグとの無線通信を開始する前に、RFアンテナとRFIDタグのチップとを非接続にし、通信回路をRFIDタグのチップ側に接続し、該RFIDタグのチップに保持された情報を読み出し、制御手段が読み出された情報に基づき制御を行う。即ち、電源の投入されていない梱包状態において、情報携帯端末に制御のための情報を書き込むことができる。
【0010】
請求項2の情報携帯端末は、制御手段が、RFIDタグのチップから読み出された使用国の情報から、当該使用国での電波出力、周波数にLAN通信回路を対応させる。このため、梱包状態で情報携帯端末に、使用国を書き込むことで、使用国での電波出力、周波数に無線LAN通信を適応させることができる。これにより、製造段階においてLAN通信回路(無線LAN通信デバイス又は無線LANドライバ)に、ある特定の国コードを設定した状態で出荷することが可能になり、品番(在庫数)、工数を削減できる。そして、各拠点で開梱せずに使用国を設定することで、LAN通信回路が動作する前に、当該使用国でのLAN規格(電波規制)に設定することができる。
【0011】
請求項3の情報携帯端末では、RFIDタグと無線通信を開始する前に、内蔵したRFIDタグのチップ側と通信し、該チップから読み込んだデータが正常であるか否かを判断し、正常であると判断した場合に、RFアンテナを介してRFIDタグと無線通信を開始する。内蔵のRFIDタグのチップ側との通信が適切に行える場合にのみ、RFアンテナを介してRFIDタグと無線通信を開始するため、異常状態でRFIDタグとの無線通信を開始することが無い。
【0012】
請求項4の情報携帯端末では、該チップから読み込んだデータが正常では無いと判断した場合、又は、該チップとの通信ができない場合に、通信回路の故障を通知する。このため、故障の発生を読み取り開始以前に検出し、これを使用者に知らしめることができる。
【0013】
請求項5の情報携帯端末では、該チップから読み込んだデータが正常であると判断した場合であって、RFアンテナを介してRFIDタグと無線通信が出来ない時に、通信回路に故障が無いことを通知する。このため、使用者に故障箇所を知らしめることができる。
【0014】
請求項6の情報携帯端末では、チップから読み込んだデータが正常であると判断し、RFアンテナを介してRFIDタグと無線通信を開始した後、RFIDタグの読み取りに異常が有った場合に、再度チップ側と通信し、該チップから読み込んだデータが正常であるか否かを判断し、正常である場合に通信回路に故障が無いことを通知する。このため、使用中に通信回路以外に障害が発生した場合に、これを使用者に知らしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(A)は、本発明の実施形態に係る情報コード読取装置の側面図であり、図1(B)は、該情報コード読取装置が梱包された梱包容器の斜視図である。
【図2】実施形態に係る情報コード読取装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】第1切換スイッチと第2切換スイッチとの接続切り換えの説明図である。
【図4】RFIDタグ内部の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図5】RFIDタグチップに設定される情報の内容例を示す図表である。
【図6】実施形態の情報コード読取装置での処理を示すフローチャートである。
【図7】図6中の初期設定のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の情報携帯端末を情報コード読取装置に適用した実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
実施形態の情報コード読取装置は、使用者が手で持って操作するハンディータイプであって、商品に付けられたバーコード、二次元コード等の光学情報を読み取りと共に、RFIDタグとの無線通信を行い得るものである。
【0017】
図1(A)は情報コード読取装置の側面図であり、図1(B)は、該情報コード読取装置の梱包された梱包容器70の斜視図である。
情報コード読取装置10は握り部を兼用する操作部12、液晶表示装置46などを備えている。操作部12には、例えば複数のキースイッチ41が設けられ、これらキースイッチ41により、動作内容を指示するようになっている。この操作部12には、キースイッチ41に加えて、読み取り開始を指示するためのトリガースイッチ42が設けられている。情報コード読取装置10の筐体59の前端に形成された略矩形の開口部(読取口)18には後述する光学系ユニット、その周辺にRFアンテナが配置されている。
【0018】
情報コード読取装置10の回路構成を図2のブロック図を参照して説明する。
情報コード読取装置10は、バーコード、二次元コード等の光学情報の読み取りと、RFIDタグの情報を無線通信で読み取り書き込みが可能なように構成されている。情報コード読取装置10には、回路部20が設けられている。回路部20は、主に、発光ダイオード21、集光レンズ24、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、RFアンテナ58、RF通信回路52からなる無線系と、メモリ35、制御回路40、キースイッチ41、トリガースイッチ42、液晶表示装置46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0019】
実施形態の情報コード読取装置10は、更にRFIDタグを構成するワンチップのICタグチップ56を内蔵している。即ち、該ICタグチップ56は、後述するRFIDタグ内のICタグチップと同様に構成されているものである。該ICタグチップ56は、RFアンテナ58側との接続とRF通信回路52側との接続とを第1切換スイッチ57A及び第2切換スイッチ57Bにより切り換え可能に設けられている。第1切換スイッチ57A及び第2切換スイッチ57Bは、切換制御回路54を介して制御回路40により制御される。該ICタグチップ56、第1切換スイッチ57A、第2切換スイッチ57B、切換制御回路54は、当該情報コード読取装置の初期設定系を構成する。
【0020】
まず、光学系から説明する。発光ダイオード21は、照明光Lfを照射可能な光照射器として機能するもので、拡散レンズと凸レンズとを組み合わせた集光レンズ24により集光させる。受光センサ23は、読取対象物RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lrを結像レンズ27を介して受光可能に構成されるイメージセンサから成る。結像レンズ27は、外部から入射する入射光を集光して受光センサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能する。
【0021】
次に、マイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、キースイッチ41、トリガースイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、LAN通信回路48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像された画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該情報コード読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0022】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データは、メモリ35に入力されて蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0023】
制御回路40は、情報コード読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、キースイッチ41、トリガースイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、LAN通信回路48等が接続されている。制御回路40は、バーコード、二次元コード等の光学情報を読み取った結果を、LAN通信回路48を介して無線LAN通信により端末管理装置(図示せず)側へ出力するよう構成されている。
【0024】
RFアンテナ58、RF通信回路52からなる無線系50は、例えばRFIDタグとの間で電波による無線通信を行って電力の供給及びデータの読み取りを行うためのものである。ここでは、データの読み取りだけでなく、RFIDタグに対するデータの書き込みも行う。
【0025】
無線系50を構成するRF通信回路52は、制御回路40により制御される。制御回路40は、RF通信回路52を介してRFアンテナ58に電力信号を出力するとともに、RFアンテナ58が受け取った受信信号を、RF通信回路52を介して復調してデータとして抽出する。これにより、RFアンテナ58に読み取るべきRFIDタグが近づけられた状態で、該RFIDタグに対して、電波により電力供給が行われると共に、データの無線通信(書き込み及び読み取り)が行われるようになっている。制御回路40は、上述した光学情報での処理と同様に、RFIDタグから読み取った情報を、LAN通信回路48を介してLAN通信により端末管理装置(図示せず)側へ出力し、端末管理装置からLAN通信により送られた情報をRFIDタグに書き込むよう構成されている。
【0026】
図3は、第1切換スイッチ57Aと第2切換スイッチ57Bとの接続の切り換えの説明図である。本発明のRFIDタグのチップを構成するICタグチップ56、本発明の第1切換手段を構成する切換スイッチ57B、本発明の第2切換手段を構成する第2切換スイッチ57B、切換制御回路54からなる初期設定系は、電源の投入前の状態において図3(A)に示すように、第1切換スイッチ57Aは、RFアンテナ58とICタグチップ56とを接続し、第2切換スイッチ57Bは、第1切換スイッチ57A側へ接続する。即ち、RFアンテナ58及びICタグチップ56とRF通信回路52との接続を断ち、RFアンテナ58とICタグチップ56とを接続する。これにより、情報コード読取装置10が、図1(B)に示す梱包容器70に収容された出荷前の状態において、外部RFIDリーダライタ装置により、当該情報コード読取装置10のICタグチップ56へのリード・ライトを可能にしてある。
【0027】
そして、情報コード読取装置10は、梱包が解かれ電源が投入されるとRFIDタグのリード・ライトに先立ち、図3(B)に示すように、第1切換スイッチ57Aは第2切換スイッチ57B側へ接続してRFアンテナ58との接続を断ち、第2切換スイッチ57Bは、ICタグチップ56をRF通信回路52側へ接続する。これにより、ICタグチップ56に書き込まれた情報の読み出しを行うと共に、RF通信回路52の動作確認を行う。即ち、起動時に、制御手段を構成する制御回路40は、切換制御回路54を介して第2切換スイッチ57BをICタグチップ56側に切り換え、ICタグチップ56側と通信し、該ICタグチップ56からデータを読み出し、該データに基づき後述するように初期設定を行うと共に、読み込んだデータが正常であるか否かを判断する。
【0028】
ICタグチップ56からデータが正常に読み出せる場合には、RF通信回路52が正常に動作できているため、図3(C)に示すように、第1切換スイッチ57Aは、RFアンテナ58側に接続し、第2切換スイッチ57Bは、ICタグチップ56側との接続を断ち、第1切換スイッチ57A、即ち、RFアンテナ58側にRF通信回路52を接続させる。これにより、該RFアンテナ58を介して外部のRFIDタグに対して読み取り書き込みの無線通信を開始可能にする。
【0029】
図4は、情報コード読取装置10の読み出し/書き込みの対象となるRFIDタグ80内部の電気的構成を示す機能ブロック図である。RFIDタグ80は、アンテナ(LC共振回路のコイル)82と1個のICチップ90とで構成されている。ICチップ90は、整流部92、クロック抽出部98、CPU94、メモリ96、変調部99を備える。該ICチップ90は、上述した情報コード読取装置10に内蔵されているICタグチップ56と同様な構成である。
【0030】
ICチップ90の整流部92は、情報コード読取装置10より送信された電波信号をアンテナ82が受信すると、その受信信号を整流平滑してCPU94などに動作用の電源を供給すると共に、受信信号を復調した復調データをCPU94に出力する。クロック抽出部98は、アンテナ82が受信した信号から抽出したクロック信号をCPU94に供給する。CPU94は、不揮発性のメモリ96に対してデータの読み書きを行うようになっている。
【0031】
また、CPU94は、変調部99に対して送信データをシリアルに出力する。変調部99は、アンテナ82に接続されている。RFIDタグ80のメモリ96には、RFIDタグ80のIDデータや通信時の認証処理に使用するコード,情報コード読取装置10が本来読み出すことを目的としているRFIDタグ80のユーザに関するデータなどが記憶されている。
【0032】
実施形態では、情報コード読取装置10に内蔵するICタグチップ56に、情報コード読取装置を動作させるための初期設定情報が保持されている。このICタグチップ56に保持させるデータについて、図5の図表を例に参照して説明する。該ICタグチップ56には、例えば、RFIDタグの用いられている国を識別する国別設定(国コード)と、情報コード読取装置の出荷時の出力電力の調整値と、情報コード読取装置の製品番号であるシリアル番号とが記憶されている。一方、メモリ35側には、国別設定に対応する無線LANの規格(出力周波数、出力電力、無線通信プロトコル)と、及び、RFIDタグ国別設定に対応する規格(出力周波数、出力電力、無線通信プロトコル)とが保持されており、後述するように、該国別設定に対応する無線LANの規格(出力周波数、出力電力、無線通信プロトコル)をLAN通信回路48に設定し、RFIDタグの国別規格(出力周波数、出力電力、無線通信プロトコル)に、RF通信回路52を初期設定する。
【0033】
引き続き、情報コード読取装置10によるRFIDタグへの読み出し/書き込み処理について、当該処理を示す図6のフローチャートを参照して説明する。
情報コード読取装置10は、図1(B)に示すように梱包容器70に梱包された状態、即ち、電源が投入される前(S10:No)は、図3(A)を参照して上述したように、第1切換スイッチ57Aは、RFアンテナ58とICタグチップ56とを接続し(S6)、第2切換スイッチ57Bは、第1切換スイッチ57A側へ接続した状態になっている(S8)。これにより、情報コード読取装置10が、図1(B)に示す梱包容器70に収容された出荷前の状態において、外部RFIDリーダライタ装置により、当該情報コード読取装置10のICタグチップ56へのリード・ライトを可能にしてある。例えば、情報コード読取装置10の製造段階においてLAN通信回路48及びRF通信回路52に、ある特定の国コード(米国)を設定した状態で工場から出荷し、そして、各拠点で開梱せずに使用国(国別設定:英国)を、図5を参照して上述したようにICタグチップ56に書き込む。
【0034】
そして、情報コード読取装置10が梱包容器70から取り出され、図示しない電源に接続されると、無線通信の開始前に(S10:Yes)、図3(B)を参照して上述したように制御回路40は、切換制御回路54を介して第1切換スイッチ57Aを第2切換スイッチ57B側へ接続してRFアンテナ58との接続を断ち(S12)、第2切換スイッチ57BによりICタグチップ56をRF通信回路52側へ接続する(S14)。そして、通信確認回数nとして3を設定した後(S16)、ICタグチップ56側と通信し、ICタグチップ56に保持されている図5を参照して上述したデータを読み出す(S18)。通信確認回数nは、情報コード読取装置のキースイッチ41(図1参照)の操作で任意回数が設定可能である。次に、該ICタグチップ56から読み込んだデータが正常であるか否かを判断する(S20)。ここで、制御回路40は情報コード読取装置10のシリアル番号を保持しており、ICタグチップ56から読み出したシリアル番号と合致するかを判断する。ここで、データが読み出せない場合、又は、データが誤っている場合には(S20:No)、設定時間(例えば1秒)の経過を待って(S40)、再度、データの読み出しを行う。ここで、設定時間は、情報コード読取装置のキースイッチ41(図1参照)の操作で設定し得るように構成されている。設定時間が経過すると(S40:Yes)、通信確認回数nから1を減算し(S42)、通信確認回数nが0、即ち、設定された3回の通信確認が終わったかを判断し(S44)、3回通信確認が行われる以前は(S44:No)、S18に戻りICタグチップからのデータの読み出しを再度試みる。他方、3回通信確認を行い適正なデータが読み出し得ない場合には(S44:Yes)、RF通信回路の異常を液晶表示装置46(図1、図2参照)に表示する(S46)。
【0035】
一方、RFIDタグから読み出したデータ(シリアル番号)が適正な場合には(S20:Yes)、これをログデータとして、以降の正常異常を診断する際の自己診断用データとして保持し、切換制御回路54を介して第2切換スイッチ57BをRFアンテナ58側に切り換え、RFアンテナ58とRF通信回路52とを接続し、外部RFIDタグの読み書きに備える(S22)。そして、前記通信確認の際に読み込んでおいたICタグチップ56に保持された図5を参照して上述した情報{国別設定(国コード)、出力電力の調整値}を用いて初期設定を行う(S100)。
【0036】
このS100での初期設定処理について、当該処理のサブルーチンである図7を参照して説明する。ICタグチップ56に保持された国コード、出荷時の出力電力の調整値を取得し(S102)、当該情報コード読取装置に設定されている国コードをメモリ35から取得する(S104)。そして、国コードが一致しているかを判断し(S106)、国コードが一致している場合には(S106:Yes)、出荷段階で既に初期設定が済んでいるので初期化処理を終了する。
【0037】
一方、国コードが一致しない場合は(S106:No)、メモリ35からICタグチップ56側に設定された国コードに対応する無線LANの規格(出力周波数、出力電力、無線通信プロトコル)を読み出し、LAN通信回路48に当該規格を設定する(S108)。更に、国コードに対応するRFIDタグ国別設定に対応する規格(出力周波数、出力電力、無線通信プロトコル)を読み出し、保持された出荷時の出力電力の調整値を用い、RF通信回路52に当該規格を設定し(S110)、初期化処理を終了する。
【0038】
S100での初期設定の終了後、RFIDタグの読み出し/書き込み命令があると(S26:Yes)、RFIDタグへの読み出し/書き込みを行う(S28)。そして、通信が正常に行え読み出し/書き込みが適切に行えたかを判断する(S30)。通信が適正に行えた場合には(S30:Yes)、電源がオフされるまで(S34:No)、S26の処理に戻りRFIDタグへの読み出し/書き込みを繰り返す。
【0039】
ここで、通信に異常があった場合には(S30:No)、再度、ICタグチップと通信してRF通信回路が正常か否かを確認する。即ち、切換制御回路54を介して第2切換スイッチ57BをICタグチップ56側に切り換える(S52)。そして、ICタグチップ56側と通信し、ICタグチップ56に保持されているデータを読み出す(S54)。該ICタグチップ56から読み込んだデータが正常であるか否かを判断する(S56)。ここで、データが読み出せない場合、又は、データが誤っている場合には(S56:No)、RF通信回路の正常及びその他に異常要因があることを液晶表示装置46(図1、図2参照)に表示する(S58)。
【0040】
実施形態の情報コード読取装置10では、ICタグチップ56から読み込んだデータが正常であると判断し、RFアンテナを介してRFIDタグに対して無線通信を開始した後、RFIDタグの読み取りに異常が有った場合に(S30:No)、再度ICタグチップ56側と通信し(S54)、該ICタグチップ56から読み込んだデータが正常であるか否かを判断し(S56)、正常である場合にRF通信回路の正常及びその他に異常要因があることを表示する(S58)。このため、使用中に例えば落下等によりRF通信回路以外のRFアンテナ故障等の障害が発生した場合に、これを使用者に知らしめ、当該情報コード読取装置が使用不能であることを告知することができる。
【0041】
実施形態の情報コード読取装置10では、RFIDタグと無線通信を開始する前に内蔵したICタグチップ56側と通信し(S18)、該チップ56から読み込んだデータが正常であるか否かを判断し、正常であると判断した場合に(S20:Yes)、RFアンテナ58を介してRFIDタグに対して読み取り書き込みの無線通信を開始する(S22、S28)。内蔵のICタグチップ56側との通信が適切に行える場合にのみ、RFアンテナを介してRFIDタグに対して読み取り書き込みの無線通信を開始するため、異常状態でRFIDタグとの無線通信を開始することが無い。
【0042】
更に、実施形態の情報コード読取装置では、各情報コード読取装置の固有情報である出荷時の出力電力の調整値などをICタグチップ56側に保持させることで、情報コード読取装置の出力電力などを調整し適正に動作させることができる。
【0043】
実施形態の情報コード読取装置10は、制御回路40が、ICタグチップ56から読み出された使用国の情報(国コード)から、当該使用国での電波出力、周波数にLAN通信回路48を対応させる(S100)。このため、梱包状態で情報コード読取装置10に、使用国を書き込むことで、使用国での電波出力、周波数に無線LAN通信を適応させることができる。これにより、製造段階においてLAN通信回路48に、ある特定の国コードを設定した状態で出荷することが可能になり、品番(在庫数)、工数を削減できる。そして、各拠点で開梱せずに使用国を設定することで、LAN通信回路48が動作する前に、当該使用国でのLAN規格(電波規制)に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上述した実施形態では、情報携帯端末として、光学情報の読み取りとRFIDタグの読み出し/書き込みを行い得るユニバーサルタイプの情報コード読取装置を例示したが、RFIDタグの読み出し/書き込みのみを行う情報携帯端末に適用可能であることは言うまでもない。また、上述した例では、ハンディータイプを例示したが、据え置き型にも適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 情報コード読取装置
40 制御回路
48 LAN通信回路
52 RF通信回路
54 切換制御回路
56 ICタグチップ
57A 第1切換スイッチ
57B 第2切換スイッチ
58 RFアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFアンテナを介してRFIDタグと無線通信を行うRFIDタグリードライト機能を有する情報携帯端末であって、
前記RFアンテナと接続可能に配置されたRFIDタグのチップと、
前記RFアンテナと前記RFIDタグのチップとの接続・非接続を切り替える第1切換手段と、
前記RFアンテナ側に接続された際には、外部のRFIDタグとの通信を行い、前記RFIDタグのチップ側に接続された際には、該RFIDタグのチップとの通信を行う通信回路と、
前記通信回路の接続を前記RFアンテナ側と前記RFIDタグのチップ側とで切り換える第2切換手段と、
前記RFIDタグのチップから読み出された情報に基づき制御を行う制御手段と、を備え、
前記情報携帯端末の電源投入前は、前記第1切換手段が、前記RFアンテナと前記RFIDタグのチップとを接続し、外部からの前記RFIDタグのチップへのリードライトを可能にし、
前記情報携帯端末の電源投入後で、外部RFIDタグとの無線通信開始前に、前記第1切換手段が、前記RFアンテナと前記RFIDタグのチップとを非接続にし、前記第2切換手段が、前記通信回路を前記RFIDタグのチップ側に接続し、該RFIDタグのチップに保持された情報を読み出し、前記制御手段が読み出された情報に基づき制御を行い、 外部RFIDタグとの無線通信開始時に、前記第2切換手段が、前記通信回路を前記RFアンテナ側に接続して外部RFIDタグへのリードライトを可能にすることを特徴とする情報携帯端末。
【請求項2】
無線LAN通信を行うLAN通信回路を備え、
前記制御手段が、前記RFIDタグのチップから読み出された使用国の情報から、当該使用国での電波出力、周波数に前記LAN通信回路を対応させることを特徴とする請求項1の情報携帯端末。
【請求項3】
前記制御手段は、外部RFIDタグと無線通信を開始する前に、該RFIDタグのチップに保持された情報を読み出し、該チップから読み込んだデータが正常であるか否かを判断し、正常であると判断した場合に、前記第2切換手段により前記通信回路を前記RFアンテナ側に接続して外部RFIDタグへのリードライトを可能にすることを特徴とする請求項1の情報携帯端末。
【請求項4】
該チップから読み込んだデータが正常では無いと判断した場合、又は、該チップとの通信ができない場合に、前記通信回路の故障を通知する通信回路故障通知手段を備えることを特徴とする請求項3の情報携帯端末。
【請求項5】
該チップから読み込んだデータが正常であると判断した場合、そのログデータを保存しておき当該データを確認できるようにする自己診断手段を備え、RFアンテナを介してRFIDタグと無線通信が出来ない時に、前記自己診断手段により通信回路に故障が無いことを通知することを特徴とする請求項3又は請求項4の情報携帯端末。
【請求項6】
該チップから読み込んだデータが正常であると判断し、前記第2切換手段によりRFアンテナを介してRFIDタグと無線通信を開始した後、RFIDタグとの無線通信に異常が有った場合に、再度第2切換手段により前記RFIDタグのチップ側と通信し、該チップから読み込んだデータが正常であるか否かを判断し、正常である場合に通信回路に故障がないことを通知する通信回路正常通知手段を備えることを特徴とする請求項3の情報携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−257172(P2010−257172A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105874(P2009−105874)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】