説明

情報端末及び表示切替方法

【課題】ユーザが意図する表示方向でコンテンツを表示できるようにすること。
【解決手段】情報端末10は、コンテンツを表示する表示部12と、表示部12に表示されるコンテンツの表示方向を示す表示情報を取得する表示情報取得部14と、表示部12の方向を向いているユーザの顔の画像データを取得する顔データ取得部15と、画像データに基づいて顔の上下方向を判定する第1判定部16と、表示情報と、顔の上下方向とに基づいて、表示部12に表示されているコンテンツの上下方向と顔の上下方向とが一致しているか否かを判定する第2判定部17と、第2判定部17により二つの上下方向が一致していないと判定された場合に、コンテンツの上下方向が顔の上下方向と一致するように該コンテンツの表示方向を切り替える表示切替部18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末及び表示切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報端末の動きを検出して、画面に表示されているコンテンツの表示を自動的に切り替える機能を備えた情報端末が存在する。例えば、下記特許文献1には、端末内の加速度センサーにより検出された移動通信端末の動きに応じて、画面におけるコンテンツの表示対象領域を変化させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−26798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の端末では、画面の切り替えは、あくまで端末に内蔵された加速度センサーと連動して実行されるだけなので、情報端末の持ち方や置き方に依存して、ユーザが意図しない方向で画面が表示されてしまうことがある。例えば、ユーザが横向きで寝る体勢で画面を見ている時に、表示中のコンテンツの上下方向が重力方向と一致するように表示が切り替わってしまうと、画面の表示態様がユーザの期待しないものになってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ユーザが意図する表示方向でコンテンツを表示することが可能な情報端末及び表示切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の情報端末は、コンテンツを表示する表示手段と、表示手段に表示されるコンテンツの表示方向を示す表示情報を取得する表示情報取得手段と、表示手段の方向を向いているユーザの顔の画像データを取得する顔データ取得手段と、顔データ取得手段により取得された画像データに基づいて顔の上下方向を判定する第1判定手段と、表示情報取得手段により取得された表示情報と、第1判定手段により判定された顔の上下方向とに基づいて、表示手段に表示されているコンテンツの上下方向と顔の上下方向とが一致しているか否かを判定する第2判定手段と、第2判定手段により二つの上下方向が一致していないと判定された場合に、コンテンツの上下方向が顔の上下方向と一致するように該コンテンツの表示方向を切り替える表示切替手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の表示切替方法は、コンテンツを表示する表示手段を備える情報端末により実行される表示切替方法であって、表示手段に表示されるコンテンツの表示方向を示す表示情報を取得する表示情報取得ステップと、表示手段の方向を向いているユーザの顔の画像データを取得する顔データ取得ステップと、顔データ取得ステップにおいて、取得された画像データに基づいて顔の上下方向を判定する第1判定ステップと、表示情報取得ステップにおいて取得された表示情報と、第1判定ステップにおいて、判定された顔の上下方向とに基づいて、表示手段に表示されているコンテンツの上下方向と顔の上下方向とが一致しているか否かを判定する第2判定ステップと、第2判定ステップにおいて、二つの上下方向が一致していないと判定された場合に、コンテンツの上下方向が顔の上下方向と一致するように該コンテンツの表示方向を切り替える表示切替ステップと、を含む。
【0008】
このような情報端末及び表示切替方法によれば、コンテンツを視聴するユーザの顔の上下方向とコンテンツの上下方向とが一致していないと判定された場合に、コンテンツの表示方向が切り替えられる。このように、ユーザの顔の上下方向に合わせてコンテンツの表示態様を切り替えることで、ユーザが意図する方向でコンテンツを表示できる。
【0009】
また、本発明の情報端末は、情報端末の傾きの変化を検出する傾き検出手段を更に備え、傾き検出手段により情報端末の傾きの変化が検出された場合に、表示情報取得手段が表示情報を取得し、傾き検出手段により情報端末の傾きの変化が検出された場合に、顔データ取得手段が顔の画像データを取得してもよい。
【0010】
この場合、情報端末の傾きの変化が検出された場合に限り、表示情報や顔の画像データを取得する。このため、常に表示情報や顔の画像データを取得して上記の判定処理や表示切替処理を実行する場合と比べて情報端末の消費電力を抑えられる。
【発明の効果】
【0011】
このような情報端末及び表示切替方法によれば、コンテンツを視聴するユーザの顔の上下方向とコンテンツの上下方向とが一致していないと判定された場合に、コンテンツの表示方向が切り替えられる。このように、ユーザの顔の上下方向に合わせてコンテンツの表示態様を切り替えることで、ユーザが意図する方向でコンテンツを表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る情報端末の機能構成を示す図である。
【図2】図1に示す情報端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】コンテンツの上下方向とユーザの顔の上下方向とが一致するように、コンテンツの表示方向を切り替える例を示す図である。
【図4】図1に示す情報端末の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付画面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報端末10の機能ブロック図である。情報端末10は、ウェブ上のコンテンツを表示できるブラウザ機能を備える端末である。情報端末10の例としては携帯電話機や通話機能を有する携帯情報端末が挙げられるが、情報端末10の種類はこれらに限定されない。図1に示すように、情報端末10は、機能的構成要素としてコンテンツ記憶部11、表示部12、傾き検出部13、表示情報取得部14、顔データ取得部15、第1判定部16、第2判定部17、及び表示切替部18を備えている。
【0015】
情報端末10は、図2に示すように、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU101と、ROM及びRAMで構成される主記憶部102と、メモリなどで構成される補助記憶部103と、データ通信を行う通信制御部104と、文字入力用のキーで構成される操作部105と、液晶モニタ及びスピーカで構成される出力部106とを備えている。図1に示す情報端末10の各機能は、CPU101及び主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で、通信制御部104を動作させ、主記憶部102及び補助記憶部103に対してデータの読み書きを実行することで実現される。
【0016】
コンテンツ記憶部11は、情報端末10に表示するコンテンツのデータを記憶する部分である。コンテンツデータには、コンテンツが画面に表示された際の当該コンテンツの表示方向(上下方向及び左右方向)を規定する方向情報が埋め込まれている。コンテンツデータは、例えば図示しないサーバから受信したり、CD−ROM等の記憶媒体から読み出されたりした上でコンテンツ記憶部11に記憶されるが、コンテンツデータの取得方法はこれらに限定されない。
【0017】
表示部12は、コンテンツ記憶部11から読み出したコンテンツデータに基づいてコンテンツを表示する部分である。例えば、ユーザがブラウザアプリケーションをして特定のコンテンツを表示するための操作を行うと、ブラウザを起動し、当該コンテンツのデータをコンテンツ記憶部11から読み出して表示する。この際に表示部12は、読み出したコンテンツデータから方向情報を抽出すると共に、表示部12自体の現在の上下方向を取得する。そして表示部12は、コンテンツデータの方向情報と取得した表示部12の上下方向とに基づいて、表示部12自体の上下方向と表示コンテンツの上下方向とが一致するようにコンテンツを表示する。表示部12は、表示したコンテンツの表示方向を示す表示情報を生成し保持する。
【0018】
傾き検出部13は、情報端末10の傾きの変化を検出する部分である。傾き検出部13は、情報端末10に内蔵された加速度センサーを含んで構成され、情報端末10が地面に対してどの程度傾いているかを測定する。傾き検出部13は、情報端末10の傾きが90°以上変化したことを検出すると、その変化を示す変化情報を表示情報取得部14及び顔データ取得部15に出力する。
【0019】
表示情報取得部14は、表示部12に表示されるコンテンツの表示方向を示す表示情報を取得する部分である。傾き検出部13から変化情報が入力されると、表示情報取得部14は、表示部12が保持している表示情報を取得し、その表示情報を第2判定部17に出力する。
【0020】
顔データ取得部15は、表示部12の方向を向いているユーザの顔の画像データを取得する部分である。顔データ取得部15は、情報端末10の表示部12と同じ面に設けられたカメラを含んで構成され、傾き検出部13から変化情報が入力されると、そのカメラによりユーザの顔を撮影する。そして顔データ取得部15は撮影画像のデータを第1判定部16に出力する。
【0021】
第1判定部16は、顔データ取得部15により取得された画像データに基づいてユーザの顔の上下方向を判定する部分である。顔の上下方向の判定は、画像データを解析することで抽出した顔のパーツの位置情報に基づいて判定する。例えば、第1判定部16は取得した画像データからユーザの目や口の位置情報を検出した後に、双方の位置情報を比較し、例えば、画像において目が口よりも左側に位置していれば、画像の左方向を顔の上方向と判定する。但し、顔の上下方向の判定はこれに限定されない。例えば、第1判定部16は顔の他のパーツの位置関係に基づいて上下方向を判定してもよい。第1判定部16は、顔の上下方向を示す顔方向情報を第2判定部17に出力する。
【0022】
第2判定部17は、表示情報取得部14により取得された表示情報と、第1判定部16から入力された顔方向情報とに基づいて、コンテンツの上下方向と顔の上下方向とが一致しているか否かを判定する部分である。第2判定部17は、二つの上下方向が一致していないと判定した場合、そのことを示す不一致情報を表示切替部18に出力する。一方、第2判定部17は、二つの上下方向が一致していると判定した場合、表示切替部18に上記情報を出力することなく、処理を終了する。
【0023】
表示切替部18は、第2判定部17によりコンテンツの上下方向と顔の上下方向とが一致していないと判定された場合に、表示部12に表示されているコンテンツの上下方向がユーザの顔の上下方向と一致するようにコンテンツの表示方向を切り替える部分である。第2判定部17からの不一致情報が入力されると、表示切替部18は表示部12に表示されているコンテンツの表示方向を切り替える。
【0024】
コンテンツの表示方向を切り替える例を図3に示す。図3に示すように、情報端末10の表示部12には、ブラウザ画面にニュースが表示されている。表示部12と同じ面には、顔データ取得手段15の一部であるカメラ15aが設けられている。図3中の矢印Aは、このカメラ15aにより取得された顔の画像データに基づいて第1判定部16によって判定されたユーザの顔の上方向を指している。
【0025】
図3に示すように、コンテンツの表示方向を切り替える前は、表示部12に表示されているニュース画面の上下方向とそのニュース画面を閲覧するユーザの顔の上下方向とが一致していない。このため、ユーザが意図する方向でコンテンツが表示されていない。一方、コンテンツの表示方向を切り替えた後は、ニュース画面の上下方向とそのニュース画面を閲覧する顔の上下方向とが一致する。このように、ユーザの顔の上下方向に合わせてコンテンツの表示態様を切り替えることで、ユーザが意図する方向でコンテンツを表示できる。なお、表示部12に表示されるコンテンツは何ら限定されず、ニュース以外に、例えば動画コンテンツであってもよい。
【0026】
以下、図4に示すフローチャートを用いて、情報端末10において実行される処理を説明すると共に、本実施形態に係る表示切替方法について説明する。図4は、本実施形態の情報端末10での処理を示すフローチャートである。なお、コンテンツ記憶部11には、情報端末10の表示部12に表示されるコンテンツのデータが予め記憶されている。
【0027】
情報端末10の向きが変化すると、傾き検出部13により、情報端末10の傾きの変化が検知され(S01、傾き変化検出ステップ)、傾きが変化したことを示す情報が表示情報取得部14及び顔データ取得部15に出力される。
【0028】
表示情報取得部14は、傾き検出部13からの情報が入力されると、コンテンツ記憶部11から表示部12が保持している表示情報を取得し、その表示情報を第2判定部17に出力する(S02、表示情報判定ステップ)。
【0029】
一方、顔データ取得部15は、傾き検出部13からの情報が入力されると、カメラの電源を入れてユーザの顔を撮影し、取得した撮影画像を第1判定部16に出力する(S03、顔データ取得ステップ)。そして第1判定部16は、顔データ取得部15からの撮影画像に基づいてユーザの顔の上下方向を判定し、その上下方向を示す顔方向情報を第2判定部17に出力する(S04、第1判定ステップ)。
【0030】
第2判定部17は、表示情報取得部14からの表示情報と第1判定部16からの顔方向情報とに基づいて、コンテンツの上下方向と顔の上下方向が一致しているか否かを判定する(S05、第2判定ステップ)。第2判定部17が二つの表示方向が一致していないと判定した場合(S05;NO)、表示切替部18は表示部12に表示されているコンテンツの上下方向がユーザの顔の上下方向と一致するようにコンテンツの表示方向を切り替える(S06、表示切替ステップ)。一方、第2判定部17が二つの表示方向が一致していると判定した場合(S05;YES)、表示切替部18は処理を終了する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の情報端末及び表示切替方法によれば、コンテンツを視聴するユーザの顔の上下方向とコンテンツの上下方向とが一致していないと判定された場合に、ユーザの顔の上下方向に合わせてコンテンツの表示方向が切り替えられる。このように、コンテンツの表示態様を切り替えることで、ユーザが意図する方向でコンテンツを表示できる。
【0032】
特に、本発明の情報端末は、情報端末の傾きの変化を検出する傾き検出部13を更に備え、傾き検出手段13により情報端末10の傾きの変化が検出された場合に、表示情報取得部14が表示情報を取得し、傾き検出手段13により情報端末10の傾きの変化が検出された場合に、顔データ取得部15が顔の画像データを取得する。この場合、情報端末10の傾きの変化が検出された場合に限り、表示情報や顔の画像データを取得する。このため、常に表示情報や顔の画像データを取得して上記判定処理や表示切替処理を実行する場合と比べて情報端末の消費電力を抑えられる。
【0033】
以上、本発明のその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0034】
本実施形態の情報端末は、情報端末10の傾きが変化したことを傾き検出部13が検知すると、第2判定部17がユーザの顔とコンテンツの上下方向が一致しているか否かを判定し、必要に応じてコンテンツの表示方向の切替を実行するが、情報端末10の傾きの変化を検出せずに、上記判定や表示方向の切替を実行してもよい。また、傾き検出部13が検出する情報端末10の傾きの変化は、90°以上に限定されない。情報端末10の傾きの変化がユーザの設定した任意の角度以上になったときに、上記の判定や表示方向の切替を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10…情報端末、12…表示部、13…傾き検出部(傾き検出手段)、14…表示情報取得部(表示情報取得手段)、15…顔データ取得部(顔データ取得手段)、16…第1判定部(第1判定手段)、17…第2判定部(第2判定手段)、18…表示切替部(表示切替手段)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されるコンテンツの表示方向を示す表示情報を取得する表示情報取得手段と、
前記表示手段の方向を向いているユーザの顔の画像データを取得する顔データ取得手段と、
前記顔データ取得手段により取得された前記画像データに基づいて前記顔の上下方向を判定する第1判定手段と、
前記表示情報取得手段により取得された前記表示情報と、前記第1判定手段により判定された前記顔の上下方向とに基づいて、前記表示手段に表示されているコンテンツの上下方向と前記顔の上下方向とが一致しているか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により二つの前記上下方向が一致していないと判定された場合に、前記コンテンツの上下方向が前記顔の上下方向と一致するように該コンテンツの表示方向を切り替える表示切替手段と、
を備える情報端末。
【請求項2】
情報端末の傾きの変化を検出する傾き検出手段を更に備え、
前記傾き検出手段により情報端末の傾きの変化が検出された場合に、前記表示情報取得手段が前記表示情報を取得し、
前記傾き検出手段により情報端末の傾きの変化が検出された場合に、前記顔データ取得手段が前記顔の画像データを取得する、請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
コンテンツを表示する表示手段を備える情報端末により実行される表示切替方法であって、
前記表示手段に表示されるコンテンツの表示方向を示す表示情報を取得する表示情報取得ステップと、
前記表示手段の方向を向いているユーザの顔の画像データを取得する顔データ取得ステップと、
前記顔データ取得ステップにおいて、取得された前記画像データに基づいて前記顔の上下方向を判定する第1判定ステップと、
前記表示情報取得ステップにおいて取得された前記表示情報と、前記第1判定ステップにおいて判定された顔の上下方向とに基づいて、前記表示手段に表示されているコンテンツの上下方向と前記顔の上下方向とが一致しているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにおいて、二つの前記上下方向が一致していないと判定された場合に、前記コンテンツの上下方向が前記顔の上下方向と一致するように該コンテンツの表示方向を切り替える表示切替ステップと、
を含む表示切替方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−203860(P2011−203860A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68740(P2010−68740)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】