説明

情報表示パネルおよびその製造方法

【課題】本発明は金属光沢性を維持しながら、光を透過させる情報表示パネルにおいて、文字や図形などを高い表示品質で表示可能な情報表示パネルとその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】支持体の一方の面に金属板を備え、前記金属板に貫通孔が設けられており、前記貫通孔は、開口サイズが50μm〜150μmでかつ、前記貫通孔の間隔(ピッチ)が100μm〜1000μmであることを特徴とする情報表示パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属光沢性を維持しつつ、光透過性をもつ情報表示パネルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字や図形などを光らせたい場合に、その形にくり抜いた金属板の裏側から、光を当てることにより文字や図形などを光らせるものがある。しかし、金属板をくり抜くために、文字や図形などによっては中心が抜け落ちること(以下、穴抜けとする)があり、表示したい文字や図形などがあらわせない場合がある。例えば、数字の0をくり抜くと、中央の楕円も抜け落ちてしまうため、表示したい数字を表せないことがある。さらに、金属板の厚さ以下の、微細な貫通孔を設けることで、光を透過させかつ貫通孔を目立たないようにしたものがある。(例えば特許文献1参照。)しかし、金属板に貫通孔を開けると、開口率(開口面積÷全面積×100%)に比例して金属光沢性が失われる。従来の技術では金属光沢性を維持しながら光を透過させるのは困難である。また、金属板とシートを重ねることで、金属板をくり抜いても、文字や図形などの中心が穴抜けを防ぐことができるものもある。さらに、微細の貫通孔を設けた金属板とシートの間に接着層を形成して、接着強度を向上させるものがある。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−296374号公報
【特許文献2】特開平6−73863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような貫通孔を設けた金属板は、最適な貫通孔の条件(開口サイズ、ピッチ、開口形状など)を用いなければ、文字や図形などの表示が鮮明に行えないという問題点があった。また、金属板に貫通孔を設けても金属光沢性を残したままにするためには、貫通孔の開口サイズとピッチと開口形状などを限定する必要があった。さらに、微細の貫通孔を設けた金属板とシートの間に接着層を形成した場合には、光が接着層を通過することにより、光の拡散が悪いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを課題とする。具体的には、本発明は金属光沢性を維持しながら、光を透過させる情報表示パネルにおいて、文字や図形などを高い表示品質で表示可能な情報表示パネルとその製造方法を提供することを課題とする。更に、金属板越しに文字や図形などを表示するための貫通孔に、光拡散性のある接着剤を充填することにより、より金属光沢をもった情報表示パネルとその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、金属板に最適な貫通孔の条件を調整して、金属光沢を可能な限り残したまま透過光の文字が視認できることを目的としており、上記課題を解決するために次のような構成を備えている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、支持体の一方の面に金属板備え、前記金属板に貫通孔が設けられており、前記貫通孔は、開口サイズが50μm〜150μmでかつ、前記貫通孔の間隔(ピッチ)が100μm〜1000μmであることを特徴とする情報表示パネルである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記貫通孔は、前記金属板の表裏で開口サイズが異なることを特徴とする請求項1記載の情報表示パネルである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2記載の情報表示パネルにおいて、前記支持体に接していない前記金属板の表面に微細な凹凸を具備していることを特徴とする情報表示パネルである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、透明フィルム上に接着層と請求項1ないし請求項3記載の情報表示パネルが積層され、前記金属板の貫通孔は、光拡散剤を含む充填材によって充填されていることを特徴とする情報表示パネルである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、透明基板上に、複数色からなるカラーフィルタと、請求項4記載の情報表示パネルの順に積層したことを特徴とする情報表示パネルである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記支持体の他方の面に絵柄層を具備することを特徴とする請求項1〜4に記載の情報表示パネルである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5記載の金属板の貫通孔のピッチは、前記カラーフィルタの各画素の長辺方向の1/3以下であることを特徴とする情報表示パネルである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、情報表示パネルの製造方法において、金属板と第1の支持体とを積層する工程と、前記金属板の、前記第1の支持体と接していない側にマスキングレジスト層を形成する工程と、前記マスキングレジスト層に開口サイズが50μm〜150μmでかつ、間隔(ピッチ)が100μm〜1000μmであるパターンを作製する工程と、前記パターンをマスクとして、前記金属板をエッチングして貫通孔を形成する工程と、前記マスキングレジスト層を除去する工程と、前記金属板の、前記マスキングレジスト層を除去した面に微細な凹凸を設ける工程と、前記第1の支持体の、前記金属板と接していない側に絵柄層を印刷する工程と、前記絵柄層上に第2の支持体を設ける工程と、を少なくとも含むことを特徴とする情報表示パネルの製造方法である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、情報表示パネルの製造方法において、
金属板と第1の支持体とを積層する工程と、
前記金属板の、前記第1の支持体と接していない側にマスキングレジスト層を形成する工程と、
前記マスキングレジスト層に開口サイズが50μm〜150μmでかつ、間隔(ピッチ)が100μm〜1000μmであるパターンを作製する工程と、
前記パターンをマスクとして、前記金属板をエッチングして貫通孔を形成する工程と、
前記マスキングレジスト層を除去する工程と、
前記金属板の、前記マスキングレジスト層を除去した面に微細な凹凸を設ける工程と、
前記第1の支持体の、前記金属板と接していない側に第2の支持体を設ける工程と、
前記第2の支持体の、前記第1の支持体と接していない側に絵柄層を印刷する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする情報表示パネルの製造方法である。

【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、情報表示パネルの、金属板のない側から光を照射すると、金属板の貫通孔により金属光沢性を失うことがないので、金属光沢性を維持したままで美しい表示ができる情報表示パネルを提供することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、金属板の表裏で開口サイズが異なることを特徴としており、支持体に接している金属板の貫通孔のサイズが広く設計されていると、情報表示パネルの絵柄層側から光を照射した場合に、光を十分に集めて透過させることができ、文字や図形などをより明るく表示することができる情報表示パネルを提供することができる。
また、支持体に接していない金属板の貫通孔のサイズが広く設計されていると、支持体に接していない金属板の表面に微細な凹凸が存在した場合でも貫通孔の大きさがそれほど変化しないため、透過する光量がそれぞれの貫通孔によってばらつくことなく一定にすることができる
【0018】
請求項3記載の発明によれば、支持体に接してない金属板の表面に微細な凹凸を設けることで、金属板の貫通孔の存在を認識しづらくすることができ、金属光沢性を失うことがないので、金属光沢性を維持したままで美しい表示ができる情報表示パネルを提供することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、金属板の貫通孔に光拡散剤を含む充填剤を充填されていることにより、貫通孔に光が通過する際に拡散させることができる。
例えば、従来は液晶ディスプレイやメーターパネルなどは、裏面からの光が直接透過してしまわないように拡散シートが貼られている。よって金属板の貫通孔に光拡散剤を含む充填剤を充填されていることにより、拡散シートの代わりとして利用することもできる。 また、樹脂が貫通孔に充填されていると貫通孔が目立たなくなるので金属光沢性が向上する。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、透明基板側から光を照射すると、複数色からなるカラーフィルタを透過することで、金属板越しに色が付与した文字や図形などを認識することができる情報表示パネルを提供できる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、情報表示パネルの、絵柄層側から光を照射すると、絵柄層に設けた文字や図形などを金属板越しに鮮明に認識することができることから、美しい表示ができる情報表示パネルを提供することができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、金属板の貫通孔のピッチが、複数色からなるカラーフィルタの長辺方向の長さを1/3以下にすることで、モアレの発生を防ぐことができる。
モアレとは、印刷物や電子化された画像などにおいて、規則正しい模様を重ね合わせたとき、画素が相互に干渉することによりできる周期的な縞状のパターンである。例えば、2枚の規則正しいメッシュを重ねたとき、その2枚の角度をずらすとモアレが発生することがある。
モアレを防ぐことにより、金属板越しに色が付与した文字や図形などを美しく表示することができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、印刷によって設けた文字や図形などを情報表示パネルに鮮明に表示することができ、かつ、金属板の貫通孔により金属光沢性を失うことがないので、金属光沢性を維持したままで美しい表示ができる情報表示パネルの製造方法を提供することができる。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、印刷によって設けた文字や図形などを情報表示パネルに鮮明に表示することができ、かつ、金属板の貫通孔により金属光沢性を失うことがないので、金属光沢性を維持したままで美しい表示ができる情報表示パネルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態である。
【図2】本発明の一実施形態である。
【図3】本発明の一実施形態である。
【図4】本発明の一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の好適な実施の形態について、製造工程の断面を拡大した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1(a)は、金属板3上にマスキングレジストを全面塗布して、オーブンで乾燥させて、金属板3上にマスキングレジスト層2を形成した状態である。
金属板3は、微細な加工が容易であれば特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等が利用できる。
【0028】
マスキングレジスト層2は、フォトリソグラフィー法で一般的に使われるレジストを利用できる。
【0029】
マスキングレジスト層2を形成する方法としては、スピンコート法、ディッピング法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法、ラミネート等の方法を用いることができる。
【0030】
次に、図1(b)に示すように、マスキングレジスト層2の上にネガマスク6を配置し、このネガマスク6を介してマスキングレジスト層2の所定領域のみに紫外線7を照射して貫通孔のパターンを形成する。
【0031】
ネガマスク6に貫通孔のパターンの条件(開口サイズ、ピッチ、開口形状)が作成されている。ネガマスク6に形成された貫通孔の条件(開口サイズ、ピッチ、開口形状)の具体例を以下に示す。
【0032】
開口サイズについては、開口サイズを大きくするほど透過光量が増加するので、60μm以上が好ましく、また、開口サイズを小さくするほど金属光沢性が向上するので、150μm以下が好ましいので、開口サイズは60μm〜150μmの範囲が採用される。
【0033】
金属板3の開口部1側(マスキングレジスト層2が形成される側)を表面とすると、表面の開口サイズより裏面の開口サイズを広くすることによって、裏面からの光をより集められるので、透過光量が増加することになる。
また、表面の開口サイズより裏面の開口サイズを狭くすることによって、表面に凹凸が存在した場合でも開口サイズが変化しないため、透過する光量を一定にすることができる。
【0034】
貫通孔のピッチについては、貫通孔のピッチを大きくするほど金属光沢性が向上するので、100μm以上が好ましく、また、貫通孔のピッチを小さくするほど透過光量が増加するので、1000μm以下が好ましく、貫通孔のピッチは100μm〜1000μmの範囲が採用される。
【0035】
開口形状については、金属光沢性を残したまま光を透過させる形状であればよく、特に限定されることはないが、円形もしくは楕円形状にすることで開口による光の回折が略等方性に生じるためより自然な表示像観察が可能になる。
【0036】
次に、図1(c)に示すように、マスキングレジスト層2を現像液で現像処理を行うと、紫外線7が照射された部分はマスキングレジスト層2が硬化しているので残存し、紫外線7が照射されていない部分は除去され、よって、マスキングレジスト層2を選択的に除去することができ、金属板3が露出することになる。
【0037】
ここでは、マスキングレジスト層2にパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィー法に限定することなく、インクジェット法やグラビア印刷などを用いることもできる。いずれにしても、使用するマスキングレジスト層2の持っている性質に合わせた方法を採択することが必要である。
【0038】
次に、部分的に金属板3が露出している箇所を開口部1として、図2(a)に示すように、金属板3のマスキングレジスト層2のない側の面と支持体5を、接着層4を介して接着する。すなわち、各層の順序は、支持体5の上に接着層4、金属板3、開口部1を有するマスキングレジスト層2という順になる。このとき、接着層4は両面テープ、接着剤、粘着剤またはのりを用いてもよい。
【0039】
また、支持体5と金属板3との間に、接着層4を挟み込むのではなく、支持体5を熱融着させて積層してもよい。
【0040】
支持体5としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、そしてポリエチレンテレフタレート等を利用する事ができる。
【0041】
接着層4としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂等の粘着剤が使用され、厚さは1〜20μmの範囲、好ましくは2〜5μmの範囲が採用される。
【0042】
また、接着層4に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機粒子、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の有機粒子等を光拡散剤として添加してもよい。光拡散剤の添加量は、必要とされる光拡散性、粒子の種類及び粒子の粒径により異なるが、通常、接着剤に対して1〜40%、好ましくは2〜20%である。1%以上としたのは、適度な光拡散性を得るためであり、40%以下としたのは、接着力を低下させないためである。これにより、接着層4自体に光拡散機能が付加され、支持体5と金属板3を積層した際に開口部1に光拡散機能を有する接着剤が充填されて、透過光を拡散させる。
【0043】
次に、図2(b)に示すように、マスキングレジスト層2をマスクとして、金属板3をエッチングし、貫通孔1aを形成する。支持体5を設けている側からエッチングされることはないが、エッチングは金属板3を貫通して接着層4が露出するまで行われる。
【0044】
エッチングの方法としてはウエット方式またはドライ方式があるが、エッチング断面形状、エッチングレート等の観点から最適な方式および条件を選べばよい。例えば、ウエット方式では、塩酸、フッ酸、リン酸、シュウ酸、硫酸、塩化第二鉄水溶液、塩化銅溶液、苛性ソーダ等の酸性溶液又はアルカリ性溶液(水溶液)等が利用することができる。
【0045】
次に、図2(c)に示すようにマスキングレジスト層2を除去する。
その後、金属板3の、支持体5に接していない側の表面に研磨剤を用いて凹凸を設けてもよい。研磨剤は、砥粒と接着剤と合成繊維の三大要素から構成されている。砥粒は、酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させたものを用いることができる。砥粒の硬度や大きさは、金属板3の種類によって適宜選択することができる。
【0046】
次に、図2(d)に示すように、支持体5の、接着層4と接していない側に、文字や図形等を設けた絵柄層9をスクリーン印刷によって形成してもよい。
【0047】
スクリーン印刷に限定することなく、文字や図形等によって通常用いられる方法を適宜選択することができる。
【0048】
次に、図2(e)に示すように、支持体10の上に、接着層11と、絵柄層9と、支持体5と、接着層4と、金属板3を順に積層した断面図であり、このような構成を用いてもよい。ここでいう支持体5は、第1の支持体のことで、支持体10は、第2の支持体のことである。
【0049】
支持体10は、支持体5と同様な材料を用いることができる。接着層11は、接着層4と同様な材料を用いることができる。
【0050】
また、支持体10の上に、接着層11と、支持体5と、接着層4と、金属板3を順に積層した後に、支持体10の接着層11が接していない側に、絵柄層9を形成してもよい。
【0051】
この製造工程を用いることにより、金属板3をエッチングする前に支持体5の上に金属板3を積層するので、文字や図形の穴抜けを防ぐ事ができる。
【0052】
本発明の別の好適な実施の形態について、製造工程の断面を拡大した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
図3(a)に示すように金属板3の一方の面に開口部1を有するマスキングレジスト層2に、基材1の他方の面にレジスト開口部8を有するマスキングレジスト層2’を形成した状態である。開口部8は開口部1と同じ位置に配置され、かつ開口部が広くなっている。
【0054】
次に、図3(b)に示すように、エッチングを行うと貫通孔が形成した状態になる。エッチングは金属板3の一方の面と他方の面の両方向から行われることになる。レジスト開口部8はレジスト開口部1よりも開口部分が広いので、貫通孔も開口部8a側のほうが開口部1a側より大きい状態で形成される。
【0055】
次に、図3(c)に示すように、金属板3の一方の面のマスキングレジスト層2と、他方の面のマスキングレジスト層2’を除去した状態である。
【0056】
次に、図3(d)に示すように、支持体5の上に接着層4と、一方の面と他方の面の両方向からエッチングされた金属板3を順に積層する。図3(d)では、金属板3は広いほうの開口部8a側の面を接着層4と対向させて積層した場合を示しているが、金属板3のどちらの面を接着層4と対向させるかは適宜選択可能である。すなわち、接着層4と対向するのが、広いほうの開口部8a側の面か、小さいほうの開口部1a側の面かは、情報表示パネルの設計やデザインなどの条件により適宜選択が可能である。この時、接着層4の樹脂が貫通孔に部分的に充填されている。また、接着層4には、光拡散剤を添加してもよい。
さらに、支持体5の接着層4に接していない側に、スクリーン印刷によって絵柄層9を設けることができる。
【0057】
さらに、本発明の別の好適な実施の形態について、製造工程の断面を拡大した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0058】
図4(a)に示すように、金属板3の一方の側に開口部1を有するマスキングレジスト層2を設けて、他方の側にマスキングレジスト層2’を設けた状態である。
【0059】
次に、図4(b)に示すように、開口部1を有するマスキングレジスト層2をマスクとして、金属板3を所定の深さまでエッチングする。他方の側にマスキングレジスト層2を設けているために他方の側からエッチングされることはない。エッチングは上記で使用した方式やエッチング液を適宜選択することができる。
【0060】
次に、図4(c)に示すように金属板3の一方の面のマスキングレジスト層2と、他方の面のマスキングレジスト層2’を除去する。金属板3の片方の面に貫通孔でない孔1aがパターン形成されている。
【0061】
次に、図4(d)に示すように、貫通孔でない孔1aが形成されている側の面に接着層4と支持体5を積層した状態である。接着層4と、支持体5は、前述したのと同様なものを利用することができる。
【0062】
次に、図4(e)に示すように、金属板3において、接着層4と支持体5を積層している側と反対側の面にマスキングレジスト層2’’を設ける。マスキングレジスト層2’’にパターンを設ける方法は、前述した同様な方法で行うことができる。マスキングレジスト層2’’の開口部8は孔1aと同じ位置に配置されて、かつマスキングレジスト層2の開口部1よりも開口部分が広くなっている。あるいは、開口部8は開口部1と同じ位置に配置されてかつ開口部分が狭くなっていてもよい。
【0063】
次に、図4(f)に示すように開口部8側から金属板3をエッチングして孔8aを形成する。エッチングの方法は前述した同様な方法で行うことができる。孔8aは、孔1aと接続する深さまでエッチングをして、貫通孔を形成する。なお、図4(f)ではマスキングレジスト層2’’の開口部8がマスキングレジスト層2の開口部1よりも広い場合を示しているので、金属板3の孔8aが孔1aよりも開口径が大きく形成された状態を示しているが、マスキングレジスト層2’’の開口部8をマスキングレジスト層2の開口部1よりも小さくして、金属板3の孔8aが孔1aよりも開口径を小さく形成してもかまわない。
【0064】
次に、図4(g)に示すように、孔8a側のマスキングレジスト層2’’を除去する。
【0065】
次に、図4(h)に示すように、孔1a側の接着層4と支持体5を除去する。金属板3の一方の側と他方の側の開口サイズが異なる貫通孔が形成される。
【0066】
次に、図4(i)に示すように、孔8a側に接着層4と支持体5を積層する。ここでは、エッチングによって作成した貫通孔に接着層4の樹脂が充填される。貫通孔に接着層4の樹脂を充填すると金属光沢性が向上するのに対し、貫通孔に接着層4の樹脂を充填しないと光の透過光量が増加する。貫通孔に接着層4の樹脂を充填する量や、接着層4の樹脂を充填する貫通孔と充填しない貫通孔の割合については、必要に応じて最適な条件を選択すればよい。接着層4に光拡散剤を添加してもよい。
【0067】
その後、金属板3の、接着層4に接していない側の表面に研磨剤を用いて微細な凹凸を設けてもよい。金属板3の表面に微細な凹凸を設けることで、貫通孔を目立たなくすることができる。
【0068】
また、支持体5で、接着層4と接していない側に絵柄層9をスクリーン印刷によって形成してもよい。
【0069】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0070】
情報表示パネルの具体的な作製について説明する。
板厚50μmのステンレス板の一方の面にドライフィルムレジストをラミネート塗工する。ネガマスクとしては開口サイズが60、80、100、120μmで、ピッチが100、200、300、500、1000μmという条件をそれぞれ組み合わせた領域を有していて、開口形状が円形状のパターンのものを使用した。このネガマスクを介して、レジストにパターニングをする。パターンの条件は表1に示すように、金属光沢性と文字の視認性を考慮して得られた条件である。表1は、金属光沢性と貫通孔を通した文字の視認性を50cm離れた位置から5段階評価したものである。表1中の開口サイズとピッチは、ステンレス板に形成された貫通孔についての値である。
【0071】
【表1】

【0072】
炭酸ナトリウム溶液で現像すると、パターニングした箇所のステンレス板が現れる。ステンレス板の他方の面にドライフィルムレジストをラミネート塗工する。
【0073】
塩化第二鉄溶液を用いて、ステンレス板の一方の側から20μmの深さをウエットエッチングする。
ステンレス板の一方の面と他方の面に塗布してあるレジストを苛性ソーダで除去する。ステンレス板のパターンが形成されている側に、酢酸ビニル系接着剤が主成分である接着層と、ポリエチレンテレフタレートシートを積層する。接着層の膜厚は3μmで、ポリエチレンテレフタレートシートの膜厚0.5mmである。
【0074】
ステンレス板のパターンが形成されていない側に、上記と同様の方法で、ドライフィルムレジストをパターニングする。レジストのパターンの位置は、ステンレス板のパターンと同じ位置にし、条件は、開口サイズを85μmで、ピッチと開口形状は同様である。炭酸ナトリウム溶液で現像すると、パターニングした箇所のステンレス板が現れる。塩化第二鉄溶液を用いて、ステンレス板の他方の側から30μmの深さをウエットエッチングすると貫通孔が形成される。ステンレス板の他方の面のレジストを苛性ソーダで除去する。ステンレス板の一方の側の接着層とポリエチレンテレフタレートシートを除去する。
【0075】
ステンレス板の他方の側に接着層とポリエチレンテレフタレートシートを積層する。接着層の膜厚は30μmで、ポリエチレンテレフタレートシートの膜厚は400μmである。
【0076】
接着層には、光拡散剤である炭酸カルシウム(ルミパール;根本特殊化学社製)を接着層の樹脂に対して10%添加した。
ステンレス板の一方の面に、不織布表面処理材(住友3M社製)を用いて微細な凹凸を設けた。
ポリエチレンテレフタレートシートの、接着層が接していない側にスクリーン印刷を用いて数字や図形等を設けた。
よって、本発明の情報表示パネルが作製された。
【実施例2】
【0077】
カラーフィルタを具備した情報表示パネルの具体的な作製について説明する。
【0078】
カラーフィルタ作製に用いる着色組成物を着色するための着色剤には以下のものを使用した。
・赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、およびC.I.Pigment Re・d 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
【0079】
・緑色用顔料:C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造(株)製「リオノールグリーン 6YK」)を100倍の重量の純水中に拡散させ6時間攪拌した後ろ過したもの(洗浄処理あり)、およびC.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
【0080】
・青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)C.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
【0081】
それぞれの顔料を用いて赤色、緑色、青色の着色組成物を作製した。
・赤色着色組成物
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 18部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 2部
アクリルワニス(固形分20%) 108部
【0082】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物を得た。
上記分散体 150部
トリメチロールプロパントリアクリレート 13部
(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 3部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」) 1部
シクロヘキサノン 253部
【0083】
・緑色着色組成物
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色着色組成物と同様の方法で作製した。
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 16部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 8部
アクリルワニス(固形分20%) 102部
トリメチロールプロパントリアクリレート 14部
(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 4部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」) 2部
シクロヘキサノン 257部
【0084】
・青色着色組成物
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色着色組成物と同様の方法で作製した。
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 50部
紫色顔料:C.I. Pigment Violet 23 2部
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 6部
アクリルワニス(固形分20%) 200部
トリメチロールプロパントリアクリレート 19部
(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 4部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」) 2部
シクロヘキサノン 214部
【0085】
[カラーフィルタ]
得られた着色組成物を用いてカラーフィルタを作製した。ガラス基板に、赤色着色組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。乾燥の後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、ストライプ状の赤色画素の着色層を得た。なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。
炭酸ナトリウム 1.5重量%
炭酸水素ナトリウム 0.5重量%
陰イオン系界面活性剤 8.0重量%
(花王(株)製「ペリレックスNBL」)
水 90重量%
【0086】
次に、緑色着色組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布した。乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素の着色層とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素の着色層と隣接した緑色画素の着色層を得た。
【0087】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色組成物についても膜厚2μmで赤色画素、緑色画素の着色層と隣接した青色画素の着色層を得た。これで、透明基板上に赤、緑、
青の3色のストライプ状の着色層を持つカラーフィルタが得られた。
【0088】
[接着層]
接着層については、アクリル系接着剤(アロンタックSCL−200:東亜合成化学社製)10重量部、トルエン10重量部、酢酸エチル10重量部からなる接着剤層用塗布液をバーコーティング法により塗布、乾燥して膜厚2μmの接着層を得た。
接着層に炭酸カルシウムを光拡散剤として添加した。添加量は接着層に対して50%である。
【0089】
上記で作製したカラーフィルタ上に、実施例1で作製した情報表示パネルを積層した。
表2に示したように、開口サイズに関係なく画素のピッチの1/3以下の貫通孔のピッチであればモアレが発生せず、より好ましくは1/5以下であることがわかる。
【表2】

【0090】
また、光拡散剤を含む接着層が貫通孔に入り込むことにより、貫通孔を通過する光が拡散するので、金属光沢性を向上することができ、数字や図形等を美しく表示することができる。

【符号の説明】
【0091】
1、8 マスキングレジスト層の開口部
1a、8a 金属板に形成された孔の開口部
2、2’、2’’ マスキングレジスト層
3 金属板
4 接着層
5 支持体
6 ネガマスク
7 紫外線
9 絵柄層
10 支持体
11 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一方の面に金属板を備え、
前記金属板に貫通孔が設けられており、前記貫通孔は、開口サイズが50μm〜150μmでかつ、前記貫通孔の間隔(ピッチ)が100μm〜1000μmであることを
特徴とする情報表示パネル。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記金属板の表裏で開口サイズが異なることを特徴とする請求項1記載の情報表示パネル。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の情報表示パネルにおいて、前記支持体に接していない前記金属板の表面に微細な凹凸を具備していることを特徴とする情報表示パネル。
【請求項4】
透明フィルム上に接着層と請求項1ないし請求項3記載の情報表示パネルが積層され、前記金属板の貫通孔は、光拡散剤を含む充填材によって充填されていることを特徴とする情報表示パネル。
【請求項5】
透明基板上に、複数色からなるカラーフィルタと、請求項4記載の情報表示パネルの順に積層したことを特徴とする情報表示パネル。
【請求項6】
前記支持体の他方の面に絵柄層を具備することを特徴とする請求項1〜4に記載の情報表示パネル。
【請求項7】
請求項5記載の金属板の貫通孔のピッチは、前記カラーフィルタの各画素の長辺方向の1/3以下であることを特徴とする情報表示パネル。
【請求項8】
情報表示パネルの製造方法において、
金属板と第1の支持体とを積層する工程と、
前記金属板の、前記第1の支持体と接していない側にマスキングレジスト層を形成する工程と、
前記マスキングレジスト層に開口サイズが50μm〜150μmでかつ、間隔(ピッチ)が100μm〜1000μmであるパターンを作製する工程と、
前記パターンをマスクとして、前記金属板をエッチングして貫通孔を形成する工程と、
前記マスキングレジスト層を除去する工程と、
前記金属板の、前記マスキングレジスト層を除去した面に微細な凹凸を設ける工程と、
前記第1の支持体の、前記金属板と接していない側に絵柄層を印刷する工程と、
前記絵柄層上に第2の支持体を設ける工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする情報表示パネルの製造方法。
【請求項9】
情報表示パネルの製造方法において、
金属板と第1の支持体とを積層する工程と、
前記金属板の、前記第1の支持体と接していない側にマスキングレジスト層を形成する工程と、
前記マスキングレジスト層に開口サイズが50μm〜150μmでかつ、間隔(ピッチ)が100μm〜1000μmであるパターンを作製する工程と、
前記パターンをマスクとして、前記金属板をエッチングして貫通孔を形成する工程と、
前記マスキングレジスト層を除去する工程と、
前記金属板の、前記マスキングレジスト層を除去した面に微細な凹凸を設ける工程と、
前記第1の支持体の、前記金属板と接していない側に第2の支持体を設ける工程と、
前記第2の支持体の、前記第1の支持体と接していない側に絵柄層を印刷する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする情報表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−113348(P2010−113348A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234145(P2009−234145)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】