説明

情報表示装置

【課題】 複数種類の機能動作を選択的に実行して指針により異種類の情報を表示する情報表示装置において、ユーザにどの機能動作が実行されているのか、指針により何の情報が表示されているのか容易に認識させることを可能にする。
【解決手段】 複数種類の機能動作を選択的に実行することが可能な指針式の情報表示装置である。そして、開口部(61〜65)を有する文字板(5)と、文字板上で回転して情報を指し示す指針(2〜4)と、複数種類の標章(“12,3,6,9”,“TIME”,“N,E,S,W”,“COMP”)を有し文字板の下で回転する回転板(21)と、実行中の機能動作に応じて回転板(21)を回転させて対応する標章を開口部(61〜65)から選択的に露出させる回転板制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指針により情報を表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時刻表示の機能に加えて、方位計、温度計、或いは気圧計などの異なる機能を搭載した指針式の電子時計がある。このような指針式の電子時計においては、例えば、文字板に時刻表示用の記号や目盛を付する一方、ベゼル等の空いているスペースに他の機能で使用する記号や目盛を付すのが一般である。また、文字板上に小窓や小針を設けて、この小窓や小針によって他の機能の情報表示を専用に行わせることも一般に行われている。
【0003】
また、本願発明に関連する技術として、特許文献1には、時計の文字板に複数の開口部を設け、この文字板の裏側で回転板を回転させて上記開口部に露出させる記号を切り替えることで、時刻表示用の記号を午前のものと午後のものとで切り替えられるようにした電子時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−005273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの機能を有する指針式の電子時計においては、文字板やベゼル等に各機能で使用される記号や目盛を多数設けると、現在、どの機能の動作が行われているのか、指針によりどの記号や目盛が指し示されているのか分かり難くなるという課題が生じる。
【0006】
この発明の目的は、指針により異種類の情報が表示される複数種類の機能動作を選択的に実行可能な情報表示装置において、ユーザにどの機能動作が実行されて何の表示が行われているのか容易に認識させることのできる情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
開口部を有する文字板と、
該文字板上で回転して情報を指し示す複数の指針と、
前記開口部から露出可能な複数の標章を有し前記文字板の下で回転する回転板と、
該回転板を電気的に回転制御する回転板制御手段と、
前記指針により異種類の情報が指し示される複数種類の機能動作を選択的に実行する動作制御手段と、
を備え、
前記回転板の前記標章には、前記複数種類の機能動作の表示情報にそれぞれ対応する複数種類の標章が含まれ、
前記回転板制御手段は、前記動作制御手段により選択的に実行される機能動作に応じて該機能動作に対応する標章を前記開口部から露出させるように前記回転板を回転させることを特徴とする情報表示装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の情報表示装置において、
前記複数種類の機能動作には、時刻を表示する機能動作と、方位を表示する機能動作とが含まれ、
前記文字板には、90°の間隔を開けて4つの回転角度位置に4つの開口部が設けられ、
前記回転板には、前記4つの開口部から露出されて時計の目盛値を表示する4つの標章と、前記4つの開口部から露出されて方位計の目盛値を表示する4つの標章とが設けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の情報表示装置において、
前記文字板には、実行中の機能動作の種類を表示するための第1開口部が設けられ、
前記回転板の前記第1開口部からそれぞれ選択的に露出可能な位置には、前記複数種類の機能動作をそれぞれ表わす複数の標章が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の情報表示装置において、
前記文字板には、前記複数の指針のうち第1の指針の回転方向に沿って延びる帯状の開口部が設けられ、
前記回転板の前記帯状の開口部からそれぞれ選択的に露出可能な位置には、前記複数種類の機能動作で前記第1指針によってそれぞれ指し示される複数種類の情報の目盛標章が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の情報表示装置において、
前記文字板より外方に設けられ外部から操作可能にされた操作部を備え、
前記文字板には、前記操作部のある方向に対応した方向に第2開口部が設けられ、
前記回転板の前記第2開口部からそれぞれ選択的に露出可能な位置には、前記複数種類の機能動作で前記操作部を介して入力される複数種類の指令の内容をそれぞれ示す複数の標章が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に従うと、文字板上に現在実行中の機能動作に対応した標章が露出されることになるため、ユーザはこの文字板上に現れた標章により、現在何れの機能動作が実行中であり、指針により何の表示が行われているのか容易に認識することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の電子時計を示す正面図で、(A)は時刻表示機能の動作中のもの、(B)は電子コンパス機能の動作中のものである。
【図2】図1の電子時計の文字板の裏側の機構を示した平面図である。
【図3】図1の電子時計の内部構成を示したブロック図である。
【図4】文字板の開口部と回転板の表記内容の第1変形例を示す平面図である。
【図5】文字板の開口部と回転板の表記内容の第1変形例を示す平面図である。
【図6】文字板の開口部の変形例を示す平面図である。
【図7】文字板の開口部と回転板の表記内容の第2変形例を示す電子時計の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の情報表示装置の実施形態である電子時計1Aを示す正面図で、(A)は時刻表示機能の動作中のもの、(B)は電子コンパス機能の動作中のものである。
【0016】
この実施形態の電子時計1Aは、時刻表示機能と電子コンパス機能とを切り替えて実現することのできる指針式の電子時計である。この電子時計1Aは、外周のケーシング10と前面の風防ガラスとに囲まれた内側に、文字板5が設けられ、この文字板5上に時針2と、分針3と、秒針4とからなる3本の指針が回転可能に配置された構成になっている。また、ケーシング10の右上部と右下部には操作部としての操作ボタンS1,S2が設けられている。
【0017】
文字板5は、開口部61〜65と、指針2〜4の回転軸を通す貫通孔が形成された円板形状の部材である。4つの開口部61〜64は、文字板5の周辺部位に上下左右90度間隔で設けられており、もう一つの開口部65(第1開口部)は、文字板5の中央よりやや下方位置に設けられた長方形のものである。文字板5の裏側には記号や文字などの複数の標章が記された回転板21が設けられ、上記の開口部61〜65を介して回転板21の一部が露出されるようになっている。開口部61〜65は、貫通孔としても良いし、透明板や透明レンズにより構成しても良い。
【0018】
図2には、電子時計1Aの文字板5の裏側の機構を表わした平面図を示す。
【0019】
回転板21は、例えば、中央部分に同心円状の円形穴を有する円板状の部材であり、中央の円形穴の内周面には内歯車部211が形成されている。回転板21は、文字板5の裏側で機枠101に回転可能に保持され、ステップモータ23(図3参照)が回転駆動することでこの回転運動が図示略の歯車、平歯車27、内歯車部211を介して伝達されて、指針2〜4の回転軸36,46,56と同一の軸を中心に回転するようになっている。
【0020】
回転板21には、文字板5の4つの開口部61〜64と同一半径の円周上に複数の標章H1〜H8が設けられ、文字板5の開口部65と同一半径の円周上に複数の標章H9,H10が設けられている。具体的には、図2に示すように、3時の目盛値“3”を示す標章H1と、6時の目盛値“6”を示す標章H2と、9時の目盛値“9”を示す標章H3と、12時の目盛値“12”を示す標章H4と、東の方位記号“E”を示す標章H5と、南の方位記号“S”を示す標章H6と、西の方位記号“W”を示す標章H7と、北の方位記号“N”を示す標章H8である。また、時刻表示機能を表わす文字表記“TIME”からなる標章H9と、電子コンパス機能を表わす文字表記“COMP”からなる標章H10とである。
【0021】
これらのうち、時刻表示機能で使用される標章H1〜H4,H9は、回転板21が第1回転位置に移動したときに、文字板5の5つの開口部61〜65から同時に露出されるように配置され、電子コンパス機能で使用される標章H5〜H8,H10は、回転板21が上記第1回転位置から少し(例えば45°)ずれた第2回転位置に移動したときに、文字板5の5つの開口部61〜65から同時に露出されるように配置されている。
【0022】
図3には、電子時計1Aの内部構成を表したブロック図を示す。
【0023】
この電子時計1Aは、図3に示すように、CPU(中央演算処理装置)を内蔵し装置の全体的な制御を行う制御部80(回転板制御手段および動作制御手段)と、制御部80のCPUに作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)81と、制御部80のCPUにより実行される制御プログラムや制御データが格納されるROM(Read Only Memory)82と、回転板21を平歯車27を含む輪列機構25を介して独立的に回転させる第1ステップモータ23と、制御部80からの信号に基づいて第1ステップモータ23をステップ駆動する駆動回路84と、時針2と分針3と秒針4とを輪列機構33,43,53を介してそれぞれ独立的に回転させる第2〜第4ステップモータ31,41,51と、制御部80からの信号に基づき第2〜第4ステップモータ31,41,51をそれぞれステップ駆動する駆動回路85〜87と、所定の周波数信号をカウントして現在時刻の計時を行う計時部83と、地磁気の向きを検出する磁気センサ部88と、上記の操作ボタンS1,S2が操作されることで操作信号を入力するスイッチ部89を備えている。
【0024】
ROM82に格納された制御プログラムには、計時部83の計時動作と同期させて駆動回路85〜87に駆動パルスを出力して、時針2、分針3および秒針4により時刻表示を行わせる時刻表示処理の制御プログラムや、磁気センサ部88の検出データに基づいて秒針4と分針3が常に北方を指し時針2が常に南方を指すように回転制御を行うコンパス表示処理の制御プログラムや、操作ボタンS1,S2を介したユーザからの操作入力に基づいて動作させる機能を切り替えるとともに、この機能の切り替えに伴って回転板21を回転させる機能変更処理の制御プログラムが含まれている。
【0025】
上記構成の電子時計1Aによれば、図1(A)に示すように、通常の時刻表示処理が実行されているときには、時刻表示機能を示す“TIME”の標章H9が開口部65に露出され、また、開口部61〜64にはそれぞれ時刻位置を示す“12”,“3”,“6”,“9”の標章H1〜H4が露出される。すなわち、制御部80の制御によって回転板21が回転されて、回転板21が図2の位置から反時計回りに45度回転駆動された状態となる。また、この状態において回転板21に設けられた電子コンパス機能に関する標章H5〜H8,H10は、すべて文字板5の裏に隠される。そして、制御部80は、計時部83の計時データに従って指針2〜4を運針させることで、文字板5上で時刻が表示される。
【0026】
図1(A)の標章H1〜H4,H9の露出状態によって、ユーザは、電子時計1Aが時刻表示機能の動作を行っており、指針2〜4により何時何分の時刻が表示されているのかを容易に認識することができる。
【0027】
一方、例えば、スイッチ部89から指令が入力されて、電子時計1Aが電子コンパス機能として動作を開始する際には、制御部80の制御によって回転板21は時刻表示の状態から時計回りに45度回転駆動されて、図1(B)に示すように、開口部61〜65に電子コンパス機能に対応する標章H5〜H8,H10が露出される。この状態において、回転板21に設けられた時刻表示機能に関する標章H1〜H4,H9は、すべて文字板5の裏に隠される。そして、制御部80は、磁気センサ部88を作動させて地磁気の方向を示す検出データを取得し、取得したデータに基づいて指針2〜4の駆動処理を行うことで、文字板5上で方位の表示が行われる。
【0028】
図1(B)の標章H5〜H8,H10の露出状態によって、ユーザは、電子時計1Aが電子コンパスとして機能しており、指針3,4を“N”の標章H8の位置に合わせることで、“E”,“S”,“W”,“N”の標章H5〜H8により東、南、西、北の方角が示されることを容易に認識することができる。
【0029】
以上のように、この実施形態の電子時計1Aによれば、開口部61〜65が設けられている文字板5と、文字板5の裏側で回転する回転板21とを備え、時刻表示機能の動作を行うときには開口部61〜65から時刻表示機能に関する標章H1〜H4,H9を選択的に露出させ、また、電子コンパス機能の動作を行うときには開口部61〜65から電子コンパス機能に関する標章H5〜H8,H10を選択的に露出させるように切り替えることができる。従って、電子時計1Aにおいて、時刻表示機能と電子コンパス機能との何れの動作が現在実行されているのかユーザが容易に認識することができる。
【0030】
また、文字板5には90度の間隔で4つの回転角度位置に開口部61〜64が設けられており、回転板21には、上記の開口部61〜64に対応する位置に、時刻位置を示す“3”,“6”,“9”,“12”の4つの標章H1〜H4と、方位を示す“E”,“S”,“W”,“N”の4つの標章H5〜H8とがそれぞれ設けられているので、時刻表示機能と電子コンパス機能に適した標章H1〜H4,H5〜H8をそれぞれ選択的に表示させることができる。
【0031】
さらに、文字板5には中央やや下方に開口部65が設けられ、回転板21にはこの開口部65に対応した位置に時刻表示機能を表わす文字表記“TIME”からなる標章H9と、電子コンパス機能を表わす文字表記“COMP”からなる標章H10とが設けられて、動作している機能に基づいて標章H9或いは標章H10の何れかが開口部65から露出するので、時刻表示機能と電子コンパス機能との何れの動作が現在実行されているのかをユーザに確実に認識させることができる。
【0032】
[第1変形例]
図4と図5には、文字板の開口部と回転板の表記内容の第1変形例を表わした平面図を示す。
【0033】
この第1変形例は、電子時計の文字板上における一部範囲(例えば3時位置、6時位置、9時位置など)に設けられる小窓5bの構成に、回転板21bによる標章の切り替え構成を適用した例である。小窓5bには当該小窓5b内で回転する小針6(第1の指針)が設けられ、この小針6が指し示す位置によって各種の情報が表示される。
【0034】
図4と図5に示すように、この実施形態の小窓5bには、小針6の回転方向に沿って延びる帯状の開口部66が一個設けられている。この開口部66は、例えば、小針6の回転方向に沿った一部の角度範囲に設けられている。
【0035】
回転板21bは、例えば小窓5bとほぼ同等の大きさに形成され、小針6の回転軸を中心に、小窓5bの裏側で回転するように構成されている。回転板21bには、図4(A),(B),図5(A),(B)にそれぞれ示すように、潮汐計の目盛や図柄が記された標章H21と、気圧計の目盛や図柄が記された標章H22と、10分タイマーの残り時間を示す目盛や図柄が記された標章H23と、充電池の残り電力を表わすパワーリザーブメータのレンジ表記がされた標章H24とが、それぞれ開口部66から露出可能な位置に設けられている。
【0036】
そして、電子時計の小針6による情報表示機能が、潮汐計、気圧計、タイマー、パワーリザーブメータに切り替えられる際に、制御部80の制御によって、回転板21bが電気的に回転駆動されて、図4(A),(B),図5(A),(B)に示すように、対応する標章H21〜H24が開口部66から露出されるようになっている。
【0037】
この第1変形例の電子時計には、気圧計の機能、潮汐計の機能、タイマー機能、パワーリザーブメータの機能を、それぞれ実現するため、気圧センサ、潮汐データを算出する機能プログラム、タイマープログラム、充電池の電圧検出器などが備わり、これらの構成によって、上記の複数種類の機能動作が実現されるようになっている。
【0038】
なお、回転板21bに、温度計の目盛や図柄が記された標章や、高度計の目盛や図柄が記された標章を設けておき、これらを開口部66から露出させて、小針6により温度や高度を表示させるようにすることもできる。
【0039】
図6には、文字板の開口部の変形例を表わした平面図を示す。また、帯状の開口部の円周方向に沿った長さは、図6の開口部67に示すように長く構成することもできる。この場合、回転板21cには、長い開口部67に対応する大きさの目盛や記号を有する標章を設けることができる。
【0040】
以上のように、この第1変形例の構成によれば、小針6の回転方向に沿って延びる帯状の開口部66,67と、回転板21b,21cに設けられた各機能の標章H21〜H24により、潮汐計、気圧計、タイマー、パワーリザーブメータなどの各機能が切り替えられた場合に、標章H21〜H24の中から該当の機能に対応した目盛や図柄を含む標章が開口部66,67から露出することになる。それにより、ユーザは潮汐計、気圧計、タイマー、パワーリザーブメータなどの各機能の切り替えを容易に認識することができる。
【0041】
なお、この第1変形例では、文字板上の一部範囲に設けられる小窓5b,5cの構成として説明したが、この小窓5b,5cが文字板全体となるような形態の構成とすることも可能である。また、上記第1変形例では、回転板21b,21cが小窓5b,5cと同等の大きさで小窓5b,5cの中央の軸を中心に回転する構成として説明したが、回転板は文字板と同等の外径を有する大きさにして文字板の中央の軸を中心に回転する構成とし、この構成の文字板により、小窓5b,5cの開口部66,67に露出される標章を切り替えるようにすることもできる。
【0042】
[第2変形例]
図7には、文字板の開口部と回転板の表記内容の第2変形例を表わした電子時計1Dの正面図を示す。
【0043】
第2変形例の電子時計1Dは、操作ボタンS1,S2の操作によってアラーム機能のオン・オフを切り替えるアラーム設定機能と、操作ボタンS1,S2の操作によって指針2〜4の位置を移動させる針位置訂正機能と、夏時間(Daylight Saving Time)の時刻表示を行う夏時間表示機能とを有するものである。なお、針位置訂正機能は、アラーム時刻を設定する際にも使用することが可能なものである。
【0044】
文字板5dには、3箇所に開口部68,69,65dが設けられている。開口部65dは、第1実施形態における開口部65と同様に動作中の機能の種類が示されるものである。また、開口部68,69(第2開口部)は、右側の2箇所の操作ボタンS1,S2に隣接する位置に設けられており、動作中の機能に対応した操作ボタンS1,S2の操作内容が示されるようになっている。
【0045】
回転板21dには、文字板5dの開口部65dと同一半径の円周上に、時刻表示機能を表わす文字“TIME”からなる標章と、アラーム設定機能を表わす文字“ALARM”からなる標章H33と、針位置訂正機能を表わす文字“SET”からなる標章H36と、夏時間表示機能を表わす文字“DST”からなる標章H37とが設けられている。さらに、文字板5dの開口部68,69と同一半径の円周上には、アラーム機能のオン、オフの操作内容を示す文字“ON”,“OFF”からなる標章H31,H32と、指針2〜4の位置を順回転方向と逆回転方向に移動させる操作内容を示す記号“+”,“−”からなる標章H34,H35とが設けられている。
【0046】
そして、回転板21dが制御部80の制御によって各機能動作に対応するように回転制御されることで、アラーム設定機能の処理中には、図7(A)に示すように標章H31〜H33が文字板5dの開口部65d,68,69に露出され、針位置訂正機能の処理中には、図7(B)に示すように標章H34〜H36が文字板5dの開口部65d,68,69に露出され、夏時間表示機能の動作中には、図7(C)に示すように標章H37が文字板5dの開口部65dに露出され、開口部68,69には何の標章も露出されないようになっている。
【0047】
以上のように、この第2変形例の電子時計1Dによれば、実行中の機能動作に対応させて操作ボタンS1,S2の操作内容を表示する標章31,H32,H34,H35が切り替えられるので、各機能動作ごとに操作ボタンS1,S2から入力できる指令の内容が変化する場合でも、ユーザにこれらの変化を容易に認識させることができる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、回転板21の形状は、板面が中心角で360°の範囲に広がった形状とせずに、板面が扇形の範囲にのみ広がった形状としても良い。また、各機能動作の組み合わせ、文字板上の開口部の組み合わせ、回転板の標章の組み合わせも、適宜変更可能である。
【0049】
また、上記実施形態では、情報表示装置として時刻表示機能を備えた電子時計を例示したが、例えば、電子コンパス、気圧計、高度計を有し時刻表示機能を有さない装置としても良い。その他、回転板に形成された標章の具体例など、実施形態で示した細部は発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1A,1D 電子時計
2 時針
3 分針
4 秒針
5,5d 文字板
5b,5c 小窓
6 小針
21,21b〜21d 回転板
61〜69,65d 開口部
80 制御部
83 計時部
H1〜H10,H21〜H24,H31〜H37 標章
S1,S2 操作ボタン
23,31,41,51 ステップモータ
25,33,43,53 輪列機構
27 平歯車
84〜87 駆動回路
88 磁気センサ部
89 スイッチ部
101 機枠
211 内歯車部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する文字板と、
該文字板上で回転して情報を指し示す複数の指針と、
前記開口部から露出可能な複数の標章を有し前記文字板の下で回転する回転板と、
該回転板を電気的に回転制御する回転板制御手段と、
前記指針により異種類の情報が指し示される複数種類の機能動作を選択的に実行する動作制御手段と、
を備え、
前記回転板の前記標章には、前記複数種類の機能動作の表示情報にそれぞれ対応する複数種類の標章が含まれ、
前記回転板制御手段は、前記動作制御手段により選択的に実行される機能動作に応じて該機能動作に対応する標章を前記開口部から露出させるように前記回転板を回転させる
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記複数種類の機能動作には、時刻を表示する機能動作と、方位を表示する機能動作とが含まれ、
前記文字板には、90°の間隔を開けて4つの回転角度位置に4つの開口部が設けられ、
前記回転板には、前記4つの開口部から露出されて時計の目盛値を表示する4つの標章と、前記4つの開口部から露出されて方位計の目盛値を表示する4つの標章とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記文字板には、実行中の機能動作の種類を表示するための第1開口部が設けられ、
前記回転板の前記第1開口部からそれぞれ選択的に露出可能な位置には、前記複数種類の機能動作をそれぞれ表わす複数の標章が設けられていることを特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記文字板には、前記複数の指針のうち第1の指針の回転方向に沿って延びる帯状の開口部が設けられ、
前記回転板の前記帯状の開口部からそれぞれ選択的に露出可能な位置には、前記複数種類の機能動作で前記第1指針によってそれぞれ指し示される複数種類の情報の目盛標章が、設けられていることを特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記文字板より外方に設けられ外部から操作可能にされた操作部を備え、
前記文字板には、前記操作部のある方向に対応した方向に第2開口部が設けられ、
前記回転板の前記第2開口部からそれぞれ選択的に露出可能な位置には、前記複数種類の機能動作で前記操作部を介して入力される複数種類の指令の内容をそれぞれ示す複数の標章が設けられていることを特徴とする請求項1記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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