説明

情報表示装置

【課題】容易に任意の表示を任意の箇所に表示させることができ、カラーバリエーションを持たせることも可能となるので、観者の視線、興味を効果的に強く引きつけることができるPOPなどの広告表示媒体、電子表示媒体に好適な情報表示装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも、絶縁性の基材層と、該基材層上に配置された電力供給可能な電極層11と、該電極層11から電力供給を受けて表示切換可能であって、かつ、該電極層11への着脱が可能な表示媒体20と、該表示媒体20の上記電極層11に接する面とは反対側の面に配置される光透過性の絶縁層40と、を有することを特徴とする情報表示装置A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POPなどの広告表示媒体、電子表示媒体等の情報表示装置に関し、更に詳しくは、電界等の作用により可逆的に視認状態を変化させることができる表示媒体を備えた情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、薄型でフレキシブル性があり、消費電力の少ない電子ペーパーの特性を生かして、紙で作成されることの多い表示媒体やPOP等の広告表示媒体に応用することが提案されてきている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
特に、これまでの表示切替が不可能であった広告印刷物等を広告表示の切り替えが可能なものとし、より意匠性が高く、観者の視線、興味を強く引きつけるものとすることができるため、雑誌、ポスター、POP、広告看板といった広告表示媒体に電子ペーパーを利用することが提案されてきており(例えば、特許文献1及び2参照)、また、電子棚札、電子ブックに電子ペーパーを利用することが知られている。
【0003】
しかしながら、従来より提案されてきている表示媒体やPOP等の広告表示媒体用ディスプレイは、アクティブマトリクス駆動やセグメント表示をするための特別な基盤を作成したりする必要があり、構成が複雑でコストが非常に高くなってしまうといった点に課題を有している。
【0004】
また、セグメント表示の場合は、いったん作製した表示媒体やPOP等の広告表示を別のものに変更することができず、流行に敏感な広告表示を適宜容易に作製することができないといった点に課題を有している。
【0005】
一方、情報表示媒体として電気泳動方式とした電子棚札(例えば、特許文献3参照)が知られており、この電気泳動表示方式を用いた商品情報の表示札は、液晶表示面に比べ、フレキシブル性に優れ、低消費電力であり電源を切っても表示がそのまま残るので安価な表示方式である。
【0006】
しかしながら、上記特許文献3の電子棚札では、電子棚札は電源が配線された商品陳列棚に固定されているため、商品の配置換えなどによって棚札の移動が容易でない点などに課題がある。また、この電子棚札では、同一背景色の中に赤色と黒色とによる2つの異なった情報を表示できることを開示しているが、表示面積が少なく、インパクト性に欠け、消費者に訴える要素に乏しく、購買意欲を訴求するバリエーションに富んだ高い表示性能となる情報表示装置が切望されているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−341519号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2004−220498号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2001−109407号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】面谷信監修、「デジタルペーパーの最新技術」(シーエムシー、2001年11月30日発行、11〜14頁)
【非特許文献2】面谷信監修、「電子ペーパーの最新技術と応用」(シーエムシー、2004年7月30日発行、184〜186頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、容易に任意の表示を任意の箇所に表示させることができ、カラーバリエーションを持たせる
ことも可能となり、観者の視線、興味を効果的に強く引きつけることができるPOPなどの広告表示媒体、電子表示媒体に好適な情報表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討した結果、少なくとも、特定構造となる基材層と、該基材層上に配置された電力供給可能な電極層と、該電極層への着脱が可能な特定構造の表示媒体と、該表示媒体の上記電極層に接する面とは反対側の面に配置される特定構造の層とを有することにより、上記目的の情報表示装置が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 少なくとも、絶縁性の基材層と、該基材層上に配置された電力供給可能な電極層と、該電極層から電力供給を受けて表示切換可能であって、かつ、該電極層への着脱が可能な表示媒体と、該表示媒体の上記電極層に接する面とは反対側の面に配置される光透過性の絶縁層と、を有することを特徴とする情報表示装置。
(2) 電力供給可能な電極層は、着脱可能であることを特徴とする上記(1)記載の情報表示装置。
(3) 絶縁性の基材層と電力供給可能な電極層は、光透過性であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の情報表示装置。
(4) 表示媒体は、電力供給可能な電極層から電力供給を受けるための接点と、透明な前面板に形成された光透過性の電極と背面板に形成された電極が対向配置された基板電極間に、双安定型表示層を有する表示部とを備えたことを特徴とする上記(1)乃至(3)記載の情報表示装置。
(5) 表示媒体が文字、図形、記号若しくはこれらの組み合わせからなることを特徴とする上記(1)乃至(4)の何れか一つに記載の情報表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容易に任意の表示を任意の箇所に表示させることができ、カラーバリエーションを持たせることも可能となるので、観者の視線、興味を効果的に強く引きつけることができるPOPなどの広告表示媒体、電子表示媒体に好適な情報表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の情報表示装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】(a)は、図1の情報表示装置の概略断面図、(b)は、電極層の一部を拡大した説明図である。
【図3】表示媒体の部分断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明における表示媒体が文字、図形、記号若しくはこれらの組み合わせからなる各形態を平面態様で示す各説明図である。
【図5】(a)〜(f)は、電極層の他の実施形態を平面態様で示す各説明図である。
【図6】本発明の情報表示装置の他例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図である。
【図7】本発明の情報表示装置をPOP広告に用いた情報表示装置の一例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図である。
【図8】本発明の情報表示装置をPOP広告に用いた情報表示装置の他例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1〜図4は、本発明の情報表示装置の実施形態を示すものであり、図1は、情報表示装置の一例を示す概略斜視図、図2(a)は、図1の情報表示装置の概略断面図、(b)は、電極層の一部を拡大した説明図、図3は、表示媒体の部分断面図、図4(a)及び(b)は、本発明における表示媒体が文字、図形、記号若しくはこれらの組み合わせからなる各形態を平面態様で示す各説明図である。
【0015】
本実施形態の情報表示装置Aは、ボードタイプの形態であり、図1に示すように、枠体1を備え、この枠体1に絶縁性の基材層10が取り付けられている。
この絶縁性の基材層10上には、図1及び図2(a)に示すように、電力供給可能な電極層11が配置されると共に、該電極層11上には電極層11から電力供給を受けて表示切換可能であって、かつ、該電極層11への着脱が可能な表示媒体20、20……と、該表示媒体20の上記電極層11に接する面とは反対側の面に光透過性の絶縁層40が配置される構造となっている。
【0016】
絶縁性の基材層10は、絶縁性となる基材であれば特に限定されず、例えば、絶縁性の
樹脂板、絶縁性の樹脂フィルム、木製の板、木材、絶縁塗装された金属、ゴム板、紙、厚紙、布、セラミック板などが挙げられる。なお、上記枠体1も絶縁性の基材層10と同材料で構成することができ、枠体1と絶縁性の基材層10を一体に構成してもよいものである。
【0017】
本実施形態の電極層11は、基本となる、絶縁性の基材層10に直接電極(金属層からなる導電パターン等)を形成することにより構成したり、または、樹脂等のシート体上に、導電パターン(電極部)を形成した電極シートから構成したりすることができる。
この電極層11は、図示しないが、枠体等に設けられた電源部に接続されている。なお、電源部は、スイッチ部を有するものであり、本実施形態では乾電池(単三4本)、昇圧回路を備え、電圧を50Vとしている。
【0018】
電極部11のパターンは、特に限定されず、表示媒体の表示方式等により変動することができ、例えば、図2(b)に示すように、絶縁性の基材層10に、例えば、木製の基材層に直接電極(銅等の導電金属層からなるパターン、+、−)を交互に形成することより作製することができる。
【0019】
表示媒体20は、図3に示すように、透明な前面板21に形成された光透過性の電極22と、背面板23に形成された電極24がリブ25により対向配置された基板電極22,24間に、双安定型表示層26を備えると共に、前面板21の面上に、更に、光透過部31と光非透過部32とを有する表示部30を配置した形態である。
この表示媒体20の透明な前面板21は、双安定型表示装置としての表示面となるように光透過性を有するものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、透明で視認性に優れ、耐熱性、耐侯性、非収縮性、そして機械的強度、耐薬品性等に優れるものであればよく、例えば、ガラス等の無機物、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン又はスチレンとアクリロニトリル又はメチルメタアクリレートとの共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリプロピレンとかシクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロドデカン等の環状オレフィンモノマーによる単独又はエチレン等の共重合による非晶性環状オレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、各種液晶性ポリマー等の熱可塑性樹脂、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系の熱硬化性透明樹脂等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0020】
この透明な前面板21としては、具体的には、双安定型表示層26を構成することとなる電気泳動表示用液や電子粉流体(登録商標、以下同様)又はメモリー性液晶組成物等により溶解したり、変質したりしない材質のもの、化学的・物理的特性等に応じて適宜最適なものを選択することができる。また、透明な前面板21は、双安定型表示層26に用いる電気泳動表示用液等中の分散媒の揮発や、空気、水分等の透過を抑制・防止する材質であることが望ましい。
更に、この透明な前面板21には、分散媒の揮発や、空気、水分等の透過を高度に抑制・防止する目的で、ポリビニルアルコールやポリエチレンビニルアルコール等のガスバリア性フィルム等をラミネート法等により積層して用いたり、ガラスが割れたり、飛散するのを防止する目的で、ポリビニルブチラール等の樹脂フィルムを組み合わせて用いることも可能である。
【0021】
透明な前面板21に形成する光透過性の電極22としては、例えば、ITO、IZO等の透明電極材料を用いて形成された電極を挙げることができる。
この光透過性の電極22は、例えば、PET等の透明樹脂フィルムや透明ガラスなどにITO等の透明導電性材料を塗工法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の蒸着法等により形成することができる。また、この光透過性の電極22は、前面板21の全
体に渡って均一に形成された、いわゆるベタ電極とすることが、コストの面で好ましいが、フォトエッチングのような従来から用いられている方法により、パターン形成したものを用いることを妨げるものではない。前面板21の電極構成は、背面板23の電極構成に応じて適宜組み合わせたり、選択することができるものである。
【0022】
背面板23としては、上記前面板と同様に、双安定型表示層26を構成することとなる電気泳動表示用液や電子粉流体又はメモリー性液晶組成物等の漏れ出しや、溶媒の揮発を抑制できる材質であれば特に限定されるものではないが、薄型の双安定型表示装置を得る上では、例えば、樹脂フィルム、樹脂板、セラミックス板、金属板等の薄型の背面板を用いることが望ましい。なお、当該背面板23についても、分散媒の揮発や、空気、水分等の透過を高度に抑制・防止する目的で、ポリビニルアルコールやポリエチレンビニルアルコール等のガスバリア性フィルム等をラミネート法等により積層して用いることができる。なお、この背面板23は、後述する第2実施形態の透明なものと相違し、不透明な構造となっている。
【0023】
背面板23に形成する電極24は、上記前面板の電極と同様に、ITO等の透明導電性材料を塗工法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の蒸着法等により形成することや、導電性の金属材料を蒸着法等により形成することや、金属フィルム等を貼り付けることにより、形成することができる。更に、電極24が形成された基板23としては、液晶等で使用されているTFT(Thin Film Transistor)基板等を用いることを妨げるものではないが、低コストで作製可能な、いわゆるベタ電極とすることが好ましい。
更に、反射率の高い白表示の実現のためには、透明な前面板21に光透過性の電極22が形成された状態での可視光の透過率が、80%以上となるもの、好ましくは90%以上が特に望ましい。
【0024】
また、背面板23には、磁石材料27が固着されている。この磁石材料27により、表示媒体20は表示ボードとなる絶縁性の基材層10に着脱自在となる。なお、基材層10としては、上記磁石材料27と着脱自在となるように、絶縁性の基材層10を強磁性体等から構成したもの、例えば、木版内に鉄製の薄板を内蔵せしめた基材層、絶縁塗装が施された鉄板等を用いることができる。
更に、背面板23には、透明電極シートからなる電極層11の電極部等から電力供給を受けて表示媒体の電極22,24に接続する接点(取出電極)28が設けられている。
【0025】
本実施形態の表示媒体20は、図3に示すように、透明な前面板21に形成された光透過性の電極22と背面板23に形成された電極24をリブ25により対向配置させ、当該電極基板間に双安定型表示層26を封入することにより構成されると共に、前面板21の面上に、光透過部31と光非透過部32とを有するシート状の表示部30を配置することにより構成される。
電極基板は、電極同士の接触によるショートを防止し、ムラのない均一な表示を得る等のために一定の電極基板間隔を保つようにリブ25等により対向配置される。すなわち、対向配置される電極基板間隔は、従来より知られる液晶や電気泳動表示装置等で用いられている種々の手法により、当該間隔を一定に保つように、リブ25等により電極基板間隔を一定に保つように構成されている。また、一方の電極基板にフォトリソ法やナノインプリント法等により、一定の高さを有するスペーサー部材等を立てた後、もう一方の電極基板を貼り合わせる方法等により、電極基板間隔を一定に保つように構成することができる。
【0026】
双安定型表示層26としては、双安定性(バイステイブル性)のある表示層を形成するものであれば特に限定されず、例えば、電気泳動表示用液(電子粉流体を含む)から構成される双安定型表示層、または、メモリー性液晶組成物等から構成される双安定型表示層
などが挙げられる。
電気泳動表示用液としては、従来より用いられている電気泳動表示用液、例えば、少なくとも1種類以上の電気泳動粒子及び分散液媒体を含有するものであれば良く、特に限定されるものではない。
電気泳動表示用液に用いる電気泳動粒子としては、例えば、有色または無色(白色)の無機顔料粒子、有機顔料粒子、高分子微粒子等を用いることができ、これらは各単独(1種)又は2種以上を混合して用いることができる。また、親油性表面処理されている微粒子であってよいものである。好ましくは、平均粒子径が0.05〜20μmのものが用いられ、特に好ましくは、平均粒子径が0.1〜10μmのものが望ましい。また、これらの微粒子の合計含有量は、電気泳動表示用液全量に対して、好ましくは、3〜50重量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、5〜40%とすることが望ましい。
【0027】
分散液媒体としては、例えば、従来電気泳動表示に用いられている各種タイプのものを用いることができる。具体的には、芳香族系炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、アイソパー、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、リン酸エステル類、フタル酸エステル類、カルボン酸エステル類、塩素化パラフィン、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの分散液媒体の含有量としては、用いる電気泳動粒子や分散剤種によって適宜決定されるが、電気泳動表示用液全量に対して、25〜85%となるように含有することが好ましく、更に好ましくは、30〜60%とすることが望ましい。また、上記分散液媒体に対して各種油溶性染料を溶解して着色して用いることが可能である。なお、電気泳動表示用液には、上記液体タイプの他、電気泳動粒子が空気中を移動する応答速度の速い電子粉流体であってもよいものである。
更に、電気泳動表示用液には、適宜分散剤を添加することができるものであり、用いる分散剤としては、慣用的に用いられる各種の分散剤、界面活性剤や高分子界面活性剤、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、高分子型界面活性剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの分散剤の含有量としては用いる電気泳動粒子や溶媒種によって適宜決定されるが、電気泳動表示用液全量に対して、0.01〜20.0%となるように含有されることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜10%となるように含有することが望ましい。
【0028】
また、双安定型表示層を構成するメモリー性液晶組成物(デバイス)は、電源を切っても表示が維持されるメモリ性機能を持ったネマティック液晶、コレステリック液晶、スメクティック液晶の液晶組成物等から構成されるものであれば、特に限定されない。例えば、強誘電性液晶(FLC,スメクティック液晶)、無機配向膜を用いた基板間隔を1.7μm程度とした駆動電圧5Vの双安定型表示層などが挙げられる。
本形態の双安定型表示媒体20における双安定型表示層26は、例えば、負帯電の白色の電気泳動粒子(酸化チタン粒子)、正帯電の黒色粒子(カーボンブラックで着色された樹脂粒子)、分散剤及び分散液媒体を含有する電気泳動用表示液から構成されている。
【0029】
また、前面板21の面上には、図4に示すように、光透過部31と光非透過部32とを有するシート状の表示部30が直接接着又は着脱自在に配置されている。
この表示部30の作製方法等としては、例えば、1)透明なPET、塩化ビニル、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、透明なガラスなどの光透過性のシート状又は板状部材に、インクジェット印刷、レーザープリンター印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷法を用いて、光非透過部を形成する方法、2)上記光透過性のシート状部材に、スパッタリングなどの蒸着法を用いて金属材料で光非透過部を形成する方法、または、3)有色のPET、塩化ビニル等の樹脂フィルム、紙などの光非透過性のシートを、打ち抜きや切り抜きなどで文字、図形などの標章等を形成して、上記光透過性のシート部材に接着又は着脱自在に配置する方法、などにより作成する方法が挙げられる。
本実施形態では、インクジェット印刷により光非透過部32を形成したものであり、光透過部31がアルファベット文字の「O」となるように構成したものである。同様に、それぞれ「P」、「E」、「N」の表示媒体20を作製することができる。図1は、これらの「O」、「P」、「E」、「N」の表示媒体20を電極層11上に取り付けた状態を示すものである。
【0030】
本実施形態では、上記構成となるアルファベッド文字の「O」、「P」、「E」、「N」の各表示媒体20を、表示ボードとなる基材層10及び電極層11上の任意の場所に取り付け配置している。また、表示媒体20及び電極層11を保護し、表示媒体の表示性能を更に向上させると共に、安全性を更に高めるため、該表示媒体20の電極層11に接する面とは反対側の面に、光透過性の絶縁層40が配置されている。この光透過性の絶縁層40により表示媒体20及び電極層11が保護されることとなる。
光透過性の絶縁層40は、透明で視認性に優れ、絶縁性であれば良く、更に望ましくは、耐熱性、耐候性、非収縮性、そして機械的強度などに優れるものが良い。例えば、PET、PC、アクリル、PVC、PEN、PES、AS、PE、PP、ガラスなどから構成することができ、本実施態様ではアクリル製から構成されている。
【0031】
このように構成される情報表示装置Aでは、アルファベッド文字の「O」、「P」、「E」、「N」の各表示媒体20を、表示ボードとなる絶縁性の基材層10上の任意の場所に磁力手段(表示媒体20の磁石材料27と強磁性体を有する基材層10)により取り付け、光透過性の絶縁層40で各表示媒体20、電極層11を被覆することによりセットされる。
この情報表示装置Aにおいて、表示ボードとなる絶縁性の基材層10及び電極層11上の任意の位置に設けられた各表示媒体20(「O」、「P」、「E」、「N」)は枠部等に設けられた図示しないスイッチ部を「ON」とすることにより、電源部から電極層11に電力が供給され、表示媒体20の接点(取出電極)28に通電されて表示媒体20が駆動することとなる。本実施形態では、間歇的に電極層11に±を交互に反転させながら電力が供給されるタイプであるので、観者は表示媒体20の「O」「P」「E」「N」を点滅状態で認識することができるものとなる。
【0032】
本実施形態では、透明な前面板21に形成された光透過性の電極22と、背面板23に形成された電極24がリブ25等により対向配置された基板電極間に、例えば、白黒表示を行う双安定型表示層26を備えたものであり、上記前面板21における光透過性の電極22が形成された面の反対側の面上に、光透過部31と光非透過部32とを有する表示部30、具体的には、光透過性のシート状の部材(PETフィルムなど)に、光透過する部分を「O」文字となるようにインクジェット印刷により表示する光非透過部32を黒色で印刷することにより、文字「O」を表示することとなる光透過部が鮮やかに白色表示され、ハッキリと認識されることとなり、一方、黒色表示される場合には黒色印刷された光非透過部32が、光透過部31の色と同じために同化してしまい見えにくくなることとなる。これら白表示と黒表示を交互に変化させることにより、ボード表面のうちの少なくとも一面を「OPEN」というインパクトのある表示となり、観者の視線、興味を強く引くことができる表示装置として好適な情報表示装置が得られることとなる。
本発明となる情報表示装置は、店頭などでの表示ボード、壁掛け用の表示ボードの他、店頭のカウンタ広告、例えば、ラック広告、駅や空港などでのメッセージボード、ホテルや旅館などでのウェルカムボードなどの情報表示装置、並びに、搬送用の表示装置などに用いてもよいものである。
【0033】
また、上記実施形態では、「O」「P」「E」「N」の4つの表示媒体20を用いたが、予め特定の形状、例えば、図4(a)に示す、アルファベッド文字(A〜T等)の文字パネルや、絵文字、記号等からなる各表示媒体20や、図4(b)に示す、くり貫きタイ
プのアルファベッド文字や、ひらがな文字、一つの表示媒体で「OPEN」、「新装開店」、「○○○○○株式会社」となる文字、用途上使用頻度の高い「ロゴ」、「社名」、「割引」、「曜日」、「開店」、「ドット」「タイル形状」などの各表示媒体20を作製の上、予め用意しておけば、用途、その時の販売状況等に応じて多種のバリエーションとなる文字等の標章を表示ボードとなる基材層10に取り付けてインパクトのある表示を行うことができるものとなる。なお、上記くり貫きタイプのアルファベッド文字では、光透過部31と光非透過部32を有する表示部30を用いることなく、表示媒体20の表示層26自体が文字となっているタイプである。
また、印刷や蒸着によって形成される光非透過部32の表示態様(バリエーション)を変更することにより、表示内容等を容易に変更することができ、また、表示部30の光非透過部32の色を、赤色、黄色、青色、緑色などの観者の視線、興味を引く有彩色から構成すれば、更に観者の視線、興味を強く引きつけることができる。
更に、上記実施形態では、双安定型表示層26を白黒表示層としたが、電気泳動用表示液の着色粒子などの微粒子を好適に組み合わせることにより、赤色・白色表示、黄色・白色表示などの黒色と白色以外の有彩色との組み合わせ、赤色・黒色表示、黄色・黒色表示などの白色以外の有彩色同士の組み合わせであってもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、電極層11を基材層10に直接形成したが、樹脂等のシート体に導電パターンを形成した基材層10に着脱自在となるシート状の電極層であってもよいものである。
更に、電極層11の導電パターンは、特に限定されず、表示媒体の表示方式等により変動することができ、図2(b)以外の他、例えば、図5(a)に示すように、基材層10に直接又はシート体上に互いに接触せずに噛み合い、それぞれに独立した電圧を印加できる二つの櫛歯状の電極層を有する形態、図5(b)に示すように、基材層10に直接又はシート体上に、互いに接触せずに電極層が横方向に並列している形態、図5(c)に示すように、基材層10に直接又はシート体上に、互いに接触せずに四角形形状の電極層が縦横方向に整列している形態、図5(d)に示すように、基材層10に直接又はシート体上に、互いに接触せずに斜め形状の電極層が斜め方向に並列している形態、図5(e)に示すように、基材層10に直接又はシート体上に、互いに接触せずに電極層が上下2段に並列している形態、図5(f)に示すように、基材層10に直接又はシート体上に互いに接触せずに噛み合い、それぞれに独立した電圧を印加できる櫛歯状の電極層が横方向に並列している形態などが挙げられる。これらの電極層を用いることにより、各表示媒体20の表示(通電)態様を様々な状態で表示することができることとなる。
更にまた、表示ボードとなる基材層10をその材質をそのまま用いる他、基材層(絶縁性の樹脂板、絶縁性の樹脂フィルム、木製の板、ゴム板、紙、厚紙、布、セラミック板)10に、塗装、顔料含有等により、基材層の色を白色、黒色、赤色等としたり、風景画、その他の標章等を表示すれば、表示媒体の点滅等の表示と相俟ってインパクトのある表示態様となる。
【0035】
図6は、本発明の情報表示装置の他例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)その概略断面図である。なお、以下の実施形態において、上記実施形態と同様の構成は同一の図示符号を付けてその説明を省略する。
本実施形態の情報表示装置Bは、枠体1に支持板(背板)2を設けた点、絶縁性の基材層10及び電極層11を透明とした点、絶縁性の基材層10と支持板(背板)2との間に、用途や表示態様などに応じて、「スーパー○○○」、「開店」等の標章を紙等の印字シートに印刷表示等したポスターや写真などの層となる表示シート35を配置すると共に、表示媒体20の背面板23が透明である点でのみ相違するものである。
【0036】
透明な絶縁性の基材層10としては、透明性を有する絶縁性の樹脂板や絶縁性の樹脂フィルムを用いることができ、また、透明な電極層11としては、透明な絶縁性の基材層1
0に直接ITO、IZO等の透明電極材料を用いて透明な電極を形成したり、または、透明フィルム上に、ITO、IZO等の透明電極材料を用いた電極を形成した透明電極シートから構成することができる。
本実施形態の情報表示装置Bでは、透明なフィルム上に透明な電極を形成し、さらに背板部分2を付けることで、透明な基材層10と背板2の間にポスターや写真などの表示シート35を更に設けることで、表示媒体20を自由に配置できるだけでなく、表示媒体20が配置されていない領域の色や絵も自由に変えることができるようになり、よりPOPなどに好適で多様な表示を発揮できる情報表示装置となる。
【0037】
本実施形態の情報表示装置Bによれば、「O」「P」「E」「N」の4つの表示媒体20の点滅表示、表示シート35の表示内容等と相俟って観者の視線、興味を引くインパクトのある表示態様とすることができる。
また、表示シート35は表示ボードとなる絶縁性の基材層10と背板2との間に装着自在とすることができるので、表示シート35の表示内容を流行、その時の消費者ニーズに合致した広告内容等に変えることにより、多種のバリエーションとなる情報表示装置Bとすることができる。
【0038】
図7は、本発明の情報表示装置をPOP広告に用いた情報表示装置の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)はその概略断面図である。
この情報表示装置Cは、脚部3,3…と枠部4,4を有すると共に、枠部4、4同士は上部で連結されて折りたためる(開閉できる)構造となった支持体6を備え、表示媒体の表示面が正面と裏面に二面表示又は正面のみの表示が可能となるものである。本実施形態では、正面のみが表示媒体を有する構造で、裏面側は広告紙などの表示シートが取り付け自在となっている。
【0039】
この絶縁性の基材層となる表示ボード10上には、上記実施形態と同様に、図1及び図2(a)に示すように、電力供給可能な電極層11、表示媒体20、光透過性の絶縁層40が配置される構造となっている。
本実施形態の情報表示装置Cでは、狭いスペースにも簡単にPOP広告に好適となる情報表示装置を配置することができ、店頭のカウンタ広告、駅や空港などでのメッセージボード、ホテルや旅館などでのウェルカムボードなどに最適な情報表示装置とすることができる。
【0040】
図8は、本発明の情報表示装置をPOP広告に用いた情報表示装置の他例を示す斜視図である。
本実施形態の情報表示装置Dは、「w」「e」「l」「c」「o」「m」「e」の7つの表示媒体20、「OPEN」という文字からなる一つの表示媒体20、ドッド形状の表示媒体20の各種表示態様となる各表示媒体20を取り付け、それぞれをリレー状態に通電して点滅型表示としたものである。
【0041】
本発明の情報表示装置は、上述の如く、構成され、各種表示態様となるものであるが、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々変更することができる。
例えば、上記実施形態では、表示媒体20を、電極層11上の任意の場所に磁力手段(表示媒体20の磁石材料27と強磁性体を有する基材層10)により取り付けたが、磁石材料27を電極層11に繰り返し貼り剥がし可能なアクリル系、エポキシ系、合成ゴム系、ポリウレタン系などの粘着剤からなる粘着体や、微細孔を有する吸着体などの粘着手段により表示媒体を電極層11に着脱自在としたものであってもよく、また、電極層11に表示媒体20を着脱自在とする凹部を設けた嵌合手段により表示媒体を電極層11に着脱自在としたものであってもよい。これらの粘着手段、嵌合手段を用いることにより、表示
ボードとなる基材層10の強磁性体を省略することができる。
また、上記POP広告に用いた情報表示装置C及びDにおいて、上記実施形態の情報表示装置Bと同様に、支持体6に支持板(背板)2を設け、絶縁性の基材層10及び電極層11を透明とし、絶縁性の基材層10と支持板(背板)2との間に、用途や表示態様などに応じて、「スーパー○○○」、「開店」等の標章を紙等の印字シートに印刷表示等したポスターや写真などの層となる表示シート35などを配置しても良いものである。
【実施例】
【0042】
次に、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1、図1及び図2に準拠〕
枠体1の作製:木角材にて作製。
絶縁性の基材層10の作製:ラワンベニヤ板(t=5mm)を切断して作製。
電極層11の作製:鉄板(Znメッキ、t=0.3mm)を切断して作製。
光透過性の絶縁層40の作製:アクリル板(三菱レイヨン社製、アクリライト、t=3mm)を切断して作製
【0044】
下記各工程により、表示媒体20を得た。
1)用いた基板21、23
前面板21、背面板23:PETフィルム(100μm)
基板間距離:50μm
2)用いた電極
前面電極:ITO(100Ω/□)
上記前面板10に前面電極をスパッタリング法により形成した。
背面電極:アルミニウム箔
磁石材料:板状マグネット(t=2mm)
接点:粘着層付き銅薄膜
3)電気泳動表示用液の調製
下記組成となる電気泳動表示用液を用いた。
黒粒子:カーボンブラック内包アクリル粒子 10重量部
白粒子:チタンカップリング剤により親油化処理した酸化チタン粒子 20重量部
分散剤:ソルビタントリオレート 3重量部
ナイミーンL−201〔ヒドロキシエチルラウリルアミン、日本油脂社製〕
3重量部
分散媒:ノルマルパラフィン(新日本石油社製) 30重量部
SAS296(ジアリルアルカン、新日本石油化学社製) 34重量部
【0045】
4)光透過部31と光非透過部32を有する表示部30の作製
100μm厚の透明なPETフィルムにインクジェット印刷により白色インクを用いて、光非透過部32を印刷し、残りを光透過部31とした「O」の文字を作成した。同様に「P」、「E」、「N」を作成した。
5)表示媒体20の作製
上記電極付き前面板と上記電極付き背面板を50μm厚のPETフィルムをレーザー加工により一辺を残した額縁状でライン/スペースが50μm/500μmの正方形の開口部が形成されたスペーサを介して対向配置させ、この空間内に上記配合で調製した電気泳動表示用液を封入することにより、双安定型表示媒体を作製した。なお、シール部にはUV硬化型材料を使用した。この双安定型表示媒体に上記光透過部31と光非透過部32を有する表示部30を透明なアクリル系接着剤により接着した。
接着層として、アクリル酸エステル系微粘着接着剤を用いた。
6)情報表示装置の作製
図1に示す表示ボードに、上記「O」「P」「E」「N」の各表示媒体20を任意の場所に取り付けた。
【0046】
上記実施例1で得られた表示装置について、+50V又は−50Vの電圧を透明電極シート14に印加して15秒間隔で電圧の印加を+−交互に変化させたところ、双安定型表示層の表示状態が白となったときには、光非透過部32の表示内容が見えにくくなり、一方、黒表示状態となったときは、「O」、「P」、「E」、「N」がはっきり見えるようになり、繰り返し上記表示状態を変化させることにより、観者の視線、興味を強く引くことができる三次元の表示装置として好適な情報表示装置が得られることが判った。
【0047】
〔実施例2、図1及び図2に準拠〕
上記実施例1において、絶縁性の基材層10を、ラワンベニヤ板(t=3mm)と、塗装された鉄板(t=0.3mm)と、PET薄膜(t=125μm)とを積層し切断して作製、並びに、電極層11をインジウム酸化物をエッチング法にてパターンニングし切断して作製した以外は、上記実施例1と同様にして表示装置を作製した。
【0048】
上記実施例2で得られた表示装置について、+50V又は−50Vの電圧を透明電極シート14に印加して15秒間隔で電圧の印加を+−交互に変化させたところ、双安定型表示層の表示状態が白となったときには、光非透過部32の表示内容が見えにくくなり、一方、黒表示状態となったときは、「O」、「P」、「E」、「N」がはっきり見えるようになり、繰り返し上記表示状態を変化させることにより、観者の視線、興味を強く引くことができる三次元の表示装置として好適な情報表示装置が得られることが判った。
【符号の説明】
【0049】
A 情報表示装置
10 絶縁性の基材層
11 電極層
20 表示媒体
21 前面板
22 電極
23 背面板
24 電極
30 表示部
31 光透過部
32 光非透過部
40 光透過性の絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、絶縁性の基材層と、該基材層上に配置された電力供給可能な電極層と、該電極層から電力供給を受けて表示切換可能であって、かつ、該電極層への着脱が可能な表示媒体と、該表示媒体の上記電極層に接する面とは反対側の面に配置される光透過性の絶縁層と、を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
電力供給可能な電極層は、着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項3】
絶縁性の基材層と電力供給可能な電極層は、光透過性であることを特徴とする請求項1又は2記載の情報表示装置。
【請求項4】
表示媒体は、電力供給可能な電極層から電力供給を受けるための接点と、透明な前面板に形成された光透過性の電極と背面板に形成された電極が対向配置された基板電極間に、双安定型表示層を有する表示部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3記載の情報表示装置。
【請求項5】
表示媒体が文字、図形、記号若しくはこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−95652(P2011−95652A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251826(P2009−251826)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】