情報記憶媒体およびそれを用いた認証システム
【課題】大容量かつ強固な認証を容易に得られることができる情報記憶媒体を提供する。
【解決手段】IDカード3は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する強拡散媒体33及び強拡散媒体33の内部に配置される光吸収体35であって強拡散媒体33とは異なる吸収係数を有する光吸収体35により構成される情報記憶媒体31であって、強拡散媒体33に対する光吸収体35の分布を示す吸収体分布に従って、強拡散媒体33に対して光吸収体35が分布している情報記録媒体31を有している。
【解決手段】IDカード3は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する強拡散媒体33及び強拡散媒体33の内部に配置される光吸収体35であって強拡散媒体33とは異なる吸収係数を有する光吸収体35により構成される情報記憶媒体31であって、強拡散媒体33に対する光吸収体35の分布を示す吸収体分布に従って、強拡散媒体33に対して光吸収体35が分布している情報記録媒体31を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶媒体に関するものであり、特に、光を用いて情報記憶媒体の内部構造を算出するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の情報取得装置である認証システムについて図12を用いて説明する。従来の認証システムでは、システムを利用する際、まず、生体情報を読み取って(S1)生体認証を行い(S2)、生体認証に成功した場合は、ログインし、スクリーンロックを行う(S3、S4)。さらにカードIDの認証を行い(S5)、カードID認証に成功した場合は、スクリーンロックを解除する(S6)。同時に無操作時間のカウントを開始するとともに(S7)、定期的にカードチェックを行う(S9)。カードチェックの結果、カードが外された場合には、スクリーンロックを行い(S3)、カード認証が必要な状態に戻る。また、無操作時間が設定時間に達した場合には、カードを無効化する(S10)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−40944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の生体認証(バイオメトリクス認証)には、以下のような改善すべき点がある。生体認証に用いる生体情報は強固な認証を実現するが、生体情報はユーザへの個別帰属であり、ユーザ間では交換不可能である。よって、全てのものについて生体認証を利用することは適当でない。
【0005】
また、現在ではキャッシュカードやIDカードに用いられているRFIDにおいては、記憶容量が数キロ〜数十キロバイト程度の記憶容量しかない。
このような状況に鑑み、本発明は、大容量かつ強固な認証を容易に得られることができる情報記憶媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る情報記憶媒体は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している。
これにより、情報記憶媒体に光を入射し、情報記憶媒体から出力された光強度分布を取得することによって、吸収領域分布を算出することが可能となる。
【0007】
(2)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第1の吸収領域は、強拡散性を有する。
これにより、外部から第2の吸収領域の吸収領域分布を視認することはできない。
【0008】
(3)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第1の吸収領域は、領域内に一又の複数の空孔を生成することによって強拡散性を有する。
これにより、第1の吸収領域の強拡散性を制御することができる。
【0009】
(4)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第1の吸収領域は、互いに光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されている。
これにより、第1の吸収領域の構造を複雑にすることができるため、第1の吸収領域の出力光分布を容易に得ることはできない。
【0010】
(5)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第2の吸収領域は、光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されている。
これにより、第2の吸収領域の光の吸収係数を情報記憶媒体に記憶する情報として用いることができる。つまり、第2の吸収領域の光の吸収係数という物理的特性を情報として用いることができる。
【0011】
(6)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第2の吸収領域は、前記第1の吸収領域の内部に3次元で特定される位置に一又は複数配置される。
これにより、第2の吸収領域の3次元分布を情報記憶媒体に記憶する情報として用いることができる。つまり、第2の吸収領域の3次元分布という物理的特性を情報として用いることができる。
【0012】
(7)本発明に係る認証用カードは、上記に記載のいずれかの情報記憶媒体を有する。このように、情報記憶媒体を認証用カードに用いることによって、非接触型、かつ、大容量の情報を記憶することができる認証用カードを生成することができる。
【0013】
(8)本発明に係る認証システムは、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体、前記情報記憶媒体に対して光を入力する光入力手段、前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記情報記憶媒体から出力された光の分布を出力光分布として取得する出力光分布取得手段、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、を有する。
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができず、認証が得られない。よって、より安全性が高い認証システムを構築することができる。
【0014】
(9)本発明に係る認証装置は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、を有する。
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができず、認証が得られない。よって、より安全性が高い認証システムを構築することができる。
【0015】
(10)本発明に係る吸収領域分布算出装置は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができない。よって、情報記憶媒体における第2の吸収領域の分布を容易に知り得ることはない。
【0016】
(11)本発明に係る認証方法は、コンピュータを用いて、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体に対する認証を行う認証方法であって、前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得し、前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得し、前記コンピュータは、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出し、前記コンピュータは、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う。
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができず、認証が得られない。よって、より安全性が高い認証システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大容量かつ強固な認証を容易に得られることができる情報記憶媒体の提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0019】
本発明における認証システム1の概要を図1に基づき説明する。認証システム1を利用するユーザは、所定のキャッシュカード等のIDカード3を所有している。IDカード3は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する強拡散媒体33及び強拡散媒体33の内部に配置される光吸収体35であって強拡散媒体33とは異なる吸収係数を有する光吸収体35により構成される情報記憶媒体31であって、強拡散媒体33に対する光吸収体35の分布を示す吸収体分布に従って、強拡散媒体33に対して光吸収体35が分布している情報記録媒体31を有している。
【0020】
ユーザは、情報読み取り装置5の所定の位置にIDカード3の情報記憶媒体31をかざす。情報読み取り装置5は、情報記憶媒体31に対して光を入力し、入力した光に基づき情報記憶媒体31から出力された出力光強度分布を取得する。
【0021】
また、情報読み取り装置5は、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、光吸収体35を分布させる前の強拡散媒体33で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光強度分布を特定するための参照光強度分布特定情報であるパスワードを取得し、参照光強度分布サーバ7から所定の参照光強度分布を取得する。
【0022】
さらに、情報読み取り装置5は、出力光強度分布及び参照光強度分布を用いて、強拡散媒体33に対する光吸収体35の吸収体分布を算出吸収体分布として算出する。そして、情報読み取り装置5は、算出吸収体分布を認証サーバ9へ送信する。
【0023】
また、認証サーバ9は、吸収体分布を記憶されている記憶手段に算出吸収領域分布が記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば情報記憶媒体31に対する認証を実行する。
【0024】
(認証システムの構成について)
認証システム1の構成を図2に基づき説明する。認証システム1は、IDカード3、情報読み取り装置5、参照光強度分布サーバ7、及び認証サーバ9を有している。情報読み取り装置5は、光を用いてIDカード3から所定の情報を読み取る。
【0025】
先ず、IDカード3の構成を図3に基づき説明する。IDカード3は、所定の情報が記録される情報記録媒体31及び情報記録媒体31を保持する保持部37を有している。
情報記録媒体31は、強拡散媒体33及び光吸収体35により構成されている。強拡散媒体33は、内部に光吸収体35を有している。光吸収体35は、強拡散媒体33の内部に任意の分布(光吸収体分布)に従って配置される。この光吸収体分布を情報とすることによって、情報記録媒体31に所定の情報を記録することができる。
【0026】
ここで、光吸収体35は、強拡散媒体33の内部に三次元的に分布させることが可能である。例えば、強拡散媒体33の大きさを縦20mm×横20mm×高さ1mmとし、一つの強拡散媒体33の配置領域の大きさを縦20μm×横20μm×高さ20μmとすると、1000×1000×50=50M(メガ)個の光吸収体35を、強拡散媒体33の内部に配置することができる。さらに、例えば、大きさの異なる4種類の光吸収体35を配置することとすれば、50M×4=200M個の光吸収体35を配置することができる。その他、吸収係数の異なる複数種類の光吸収体35を用いることによって、さらに、光吸収体35の配置数を多くすることができる。
【0027】
また、強拡散媒体33は、媒体の外部からは内部に存在する光吸収体35の分布を目視できない程度の光の強散乱性を有している。強拡散媒体33における強散乱性は、後述するように強拡散媒体33の内部に複数の空孔を形成することによって達成されている。
情報記録媒体31は、以下のようにして生成する。まず、色素分子を含有する直径10μmのラテックス微小球(高分子微小球)をモノマーPMMA(Poly-Methyl Methacrirate)に含有させた後、そのモノマーPMMAをポリマー化する。さらに、ポリマーPMMAに対してフェムト秒光パルスを集光させて、集光させた領域にアブレーションを発生させてポリマーPMMAにサイズの異なる空孔を数多く生成する。空孔とポリマーの吸収スペクトルの違いを利用すると、位置を制御された光吸収体35を所望の位置に作成することが可能である。また光造形法等の3次元構造作成技術を利用してマスクパターンにより小さな窪みを形成することでその位置に色素分子が結合した微小球を設置することが可能である。サイズの異なる空孔を密に、かつ、ランダムに生成することによって、強拡散媒体33の強拡散性を高めることができる。なお、フェムト秒光パルスを集光させる際に、ピーク電場強度または照射ピークエネルギーを変化させることによって、空孔のサイズを変えることが可能である。従って、どのようなサイズの空孔をどのように配置するのかを予め設計しておくことによって、強拡散媒体33の散乱係数を制御することができる。
【0028】
(情報読み取り装置の構成について)
情報読み取り装置5の構成を図4に基づき説明する。情報読み取り装置5は、ファイバ・アレイ光源・検出器51、CPU53、メモリ55、通信回路57、及びタッチパネル59を有している。
ファイバ・アレイ光源・検出器51は、複数の光ファイバを束ねた光ファイバ・バンドルによって構成されている。各光ファイバは、光源としての機能と検出器としての機能を併せ持つ分岐型構造を有している。つまり、ファイバ・アレイ光源・検出器51は、情報記録媒体31に対して光を照射すると共に、情報記録媒体31から出力された光の強度を出力光強度分布として検出する。
【0029】
CPU53は、メモリ55に記録されているオペレーティング・システム(OS)、情報読み取り装置プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ55は、CPU53に対して作業領域を提供する。また、メモリ55は、オペレーティング・システム(OS)、情報読み取り装置プログラム等その他のアプリケーションを記録保持する。
【0030】
通信回路57は、参照強度分布サーバ7、認証サーバ9等との情報の送受信を行う。タッチパネル59は、ユーザから参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光強度分布を特定するための参照光強度分布特定情報であるパスワードを取得するためのインターフェイスを提供する。
【0031】
(参照光強度分布サーバの構成について)
参照光強度分布サーバ7の構成を図5に基づき説明する。参照光強度分布サーバ7は、CPU71、メモリ72、ハードディスク73、キーボード74、マウス75、ディスプレイ76、光学式ドライブ77及び通信回路78を備えている。
CPU71は、ハードディスク73に記録されているオペレーティング・システム(OS)、参照光強度分布サーバプログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ72は、CPU71に対して作業領域を提供する。ハードディスク73は、オペレーティング・システム(OS)、参照光強度分布サーバプログラム等その他のアプリケーションを記録保持する。なお、ハードディスク73に記録される参照光強度分布データベース(以下、参照光強度分布DB)については後述する。
【0032】
キーボード74、マウス75は、外部からの命令を受け付ける。ディスプレイ76は、ユーザーインターフェイス等の画像を表示する。光学式ドライブ77は、光学式メディア70から参照光強度分布サーバプログラム等のデータを読み取る。通信回路78は、情報読み取り装置5等との情報の送受信を行う。
【0033】
(認証サーバの構成について)
認証サーバ9の構成を図6に基づき説明する。認証サーバ9は、CPU91、メモリ92、ハードディスク93、キーボード94、マウス95、ディスプレイ96、光学式ドライブ97及び通信回路98を備えている。
CPU91は、ハードディスク93に記録されているオペレーティング・システム(OS)、認証サーバプログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ92は、CPU91に対して作業領域を提供する。ハードディスク93は、オペレーティング・システム(OS)、認証サーバプログラム等その他のアプリケーションを記録保持する。なお、ハードディスク93に記録される認証データベース(以下、認証DB)については後述する。
【0034】
キーボード94、マウス95は、外部からの命令を受け付ける。ディスプレイ96は、ユーザーインターフェイス等の画像を表示する。光学式ドライブ97は、光学式メディア90から認証サーバプログラム等のデータを読み取る。通信回路98は、情報読み取り装置5等との情報の送受信を行う。
【0035】
(データの説明)
参照光強度分布サーバ7が有する参照光強度分布DBを図7に基づき、認証サーバ9が有する認証DBのデータ構造を図8に基づき、それぞれ説明する。
【0036】
先ず、参照光強度分布DBを図7に基づき説明する。参照光強度分布DBは、IDカード3が有する情報記憶媒体31に対応する参照光強度分布を特定し、対応する参照光強度分布を取得するためのデータベースである。
参照光強度分布DBは、パスワード記述領域C71及び参照光強度分布記述領域C73を有している。パスワード記述領域C71には、IDカード3のユーザのみが知る参照光強度分布を特定するためのパスワードが記述される。参照光強度分布記述領域C73には、参照光強度分布が記述される。
図7においては、例えば、パスワード「54321」に対して、所定の参照光強度分布が登録されている。
【0037】
次に、認証サーバ9が有する認証DBのデータ構造を図8に基づき説明する。認証DBは、情報読み取り装置5によって算出された光吸収体35の分布が正しいか否かを判断するためのデータベースである。
認証DBには、IDカード3が有する情報記憶媒体31に配置された光吸収体35の分布が登録されている。情報読み取り装置5によって算出された光吸収体35の分布が認証DBに登録されていれば、ユーザが使用したIDカード3は正規のものであると判断し、ひいては、当該IDカード3を使用しているユーザに対する認証を与えることとなる。
【0038】
(情報読み取り装置の動作について)
情報読み取り装置5のCPU53の動作を図9に示すフローチャートを用いて説明する。CPU53は、ファイバ・アレイ光源・検出器51からIDカード3の情報記憶媒体31に関する光強度分布を取得する(S701)。また、CPU53は、参照光強度分布を特定するための参照光強度分布特定情報であるパスワードの入力を促すインターフェイスをタッチパネル59に表示する(S703)。CPU53は、パスワードを取得したと判断すると(S705)、取得したパスワードを参照光強度分布サーバ7へ送信する(S707)。
【0039】
参照光強度分布サーバ7のCPU71は、パスワードを取得したと判断すると、パスワードに対応する参照光強度分布が参照光強度分布DBに存在するか否かを判断する。CPU71は、パスワードに対応する参照光強度分布が参照光強度分布DBに存在すると判断すると、対応する参照光強度分布を情報読み取り装置5へ送信する。
情報読み取り装置5のCPU53は、参照光強度分布を取得したと判断すると(S709)、光吸収体位置特定処理(S711)、認証処理(S713)を実行する。
【0040】
以下において、光吸収体位置特定処理(S711)、認証処理(S713)を説明する。
まず、図9における光吸収体位置特定処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。CPU53は、ステップS701で取得した光強度分布及びステップS703で取得した参照光強度分布に基づき、光強度分布の差を(1)式により算出する(S801)。ここで、参照吸収媒体の出力光強度分布は、あらかじめ設計した吸収分布と散乱分布を用い、事前に数値計算により得ることができる。または、作成直後の出力光強度分布を実験的に得て、これを参照吸収媒体の後に、出力光強度分布とする。その後に、光パルス照射等により3次元吸収分布を更新することで、新しい情報記録媒体とする。
【0041】
【数1】
【0042】
そして、CPU53は、情報記憶媒体31における所定の領域における重み関数を(2)式により算出する(S803)。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、重み関数とは、情報記憶媒体31内部の位置rjにおける光の吸収係数の変化が、光強度分布に与える影響の大きさを表したものである(図10A参照)。重み関数については、例えば、Yao et al. J.Opt.Soc.Am.A.vol.14, No.1, p.325(1997)に記載されている。なお、(2)式におけるσνについては、予め情報読み取り装置5のメモリ55に記録保持している。なお、フルーエンス率(u)は、通常の検出器で得られるパワー密度と同じである。
【0045】
さらに、CPU53は、(3)式に示す再構成方程式に基づき、O(r)を算出する(S805)。ここで、O(r)は、光吸収体35を有する情報記憶媒体31と参照媒体との位置rでの波数の差を表す。
【0046】
【数3】
【0047】
また、O(r)は(4)式のように表すことができる。
【0048】
【数4】
【0049】
ここで、波数は(5)式のように表すことができる。(5)式中、νは媒体中の光速を示している。
【0050】
【数5】
【0051】
上記の数式5におけるμa(r)は吸収係数を、μs(r)は散乱係数を、それぞれ表す。従って、CPU53は、(4)式及び(5)式に基づき、ステップS711で算出したO(r)から吸収係数の差分Δμa(r)を算出する(S807)。
CPU53は、算出した光吸収体35を有する情報記憶媒体31内部の各位置における吸収係数の差分値に基づき、情報記憶媒体31の内部において、吸収係数の差分値が他の位置に比べて大きくなっている位置に光吸収体35が分布していると判断する(S809)。
CPU53は、以上のステップにより情報記憶媒体31内部における光吸収体35の分布を判断する。
【0052】
次に、図9における認証処理について図11に示すフローチャートを用いて説明する。CPU53は、光吸収体35の分布を認証サーバ9へ送信する(S1101)。
認証サーバ9のCPU91は、光吸収体35の分布を取得したと判断すると、取得した光吸収体35の分布が認証DBに登録されているか否かを判断する。CPU91は、取得した光吸収体35の分布が認証DBに登録されていると判断すると、認証された旨を情報読み取り装置5へ送信する。一方、CPU91は、取得した光吸収体35の分布が認証DBに登録されていないと判断すると、認証されなかった旨を情報読み取り装置5へ送信する。
【0053】
情報読み取り装置5のCPU53は、認証された旨を認証サーバ9から取得したと判断すると(S1103)、予め定められた以降の処理を実行する(S1105)。一方、CPU53は、認証されなかった旨を認証サーバ9から取得したと判断すると(S1103)、処理を終了する。
[他の実施例]
【0054】
1 強拡散媒体33
前述の実施例1においては、均一の強拡散媒体33を用いることとしたが、不均一の強拡散媒体を用いるようにしてもよい。不均一な強拡散媒体としては、例えば、光の散乱率や吸収係数が異なる複数の強拡散媒体を上下に配置し、一体として機能するものが挙げられる。
また、前述の実施例1においては、強拡散媒体33を生成するにあたって、フェムト秒レーザを用いた空孔形成を例示したが、強拡散性を生成することができるものであれば、例示のものに限定されない。
【0055】
2 光吸収体35
前述の実施例1においては、光吸収体35として色素を含有するラテックス微小球を例示したが、光吸収性を有し、強拡散媒体33の内部に配置できるものであれば、例示のものに限定されない。
【0056】
3 算出吸収分布の算出
前述の実施例1においては、算出吸収分布を算出するに当たって、重み関数、再構成方程式等を用いたが、強拡散媒体33の内部における光吸収体35の分布を算出することができるものであれば、例示のものに限定されない。
【0057】
4 参照光強度分布の取得
前述の実施例1においては、ユーザからパスワードを得ることによって、参照光強度分布を取得することとしたが、情報記憶媒体31に対応する参照光強度分布を取得することができる方法であれば、例示のものに限定されない。例えば、IDカード3にRFIDを埋め込み、当該RFIDにパスワードに対応する情報を記録しておくようにしてもよい。
【0058】
5 データベース
前述の実施例1においては、各データベースを対応するサーバに保持することとしたが、いずれか一方のサーバに両方のデータベースを保持するようにしてもよい。また、情報読み取り装置5が、各データベースを保持するようにしてもよい。
【0059】
6 フローチャートにおける処理の順番
前述の実施例1においては、図に示した各フローチャートに基づいて、各処理を実現するようにした。しかし、各処理を実現できるものであれば、各フローチャート内における処理の順番は例示のものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る情報記憶媒体は、個人認証システムに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る認証システム1の概要を説明する図である。
【図2】認証システム1の構成を示す図である。
【図3】図2に係るIDカード3の構成を示す図である。
【図4】図2に係る情報読み取り装置5の構成を示す図である。
【図5】図2に係る参照光強度分布サーバ7の構成を示す図である。
【図6】図2に係る認証サーバ9の構成を示す図である。
【図7】参照光強度分布DBを示した図である。
【図8】認証DBを示した図である。
【図9】情報読み取り装置5のCPU53の動作を示すフローチャートである。
【図10】光吸収体位置特定処理を示すフローチャートである。
【図10A】重み関数の概念を示す図である。
【図11】認証処理を示すフローチャートである。
【図12】従来の認証システムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
1 認証システム
3 IDカード
5 情報読み取り装置
7 参照光強度分布サーバ
9 認証サーバ
31 情報記憶媒体
33 強拡散媒体
35 光吸収体
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶媒体に関するものであり、特に、光を用いて情報記憶媒体の内部構造を算出するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の情報取得装置である認証システムについて図12を用いて説明する。従来の認証システムでは、システムを利用する際、まず、生体情報を読み取って(S1)生体認証を行い(S2)、生体認証に成功した場合は、ログインし、スクリーンロックを行う(S3、S4)。さらにカードIDの認証を行い(S5)、カードID認証に成功した場合は、スクリーンロックを解除する(S6)。同時に無操作時間のカウントを開始するとともに(S7)、定期的にカードチェックを行う(S9)。カードチェックの結果、カードが外された場合には、スクリーンロックを行い(S3)、カード認証が必要な状態に戻る。また、無操作時間が設定時間に達した場合には、カードを無効化する(S10)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−40944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の生体認証(バイオメトリクス認証)には、以下のような改善すべき点がある。生体認証に用いる生体情報は強固な認証を実現するが、生体情報はユーザへの個別帰属であり、ユーザ間では交換不可能である。よって、全てのものについて生体認証を利用することは適当でない。
【0005】
また、現在ではキャッシュカードやIDカードに用いられているRFIDにおいては、記憶容量が数キロ〜数十キロバイト程度の記憶容量しかない。
このような状況に鑑み、本発明は、大容量かつ強固な認証を容易に得られることができる情報記憶媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る情報記憶媒体は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している。
これにより、情報記憶媒体に光を入射し、情報記憶媒体から出力された光強度分布を取得することによって、吸収領域分布を算出することが可能となる。
【0007】
(2)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第1の吸収領域は、強拡散性を有する。
これにより、外部から第2の吸収領域の吸収領域分布を視認することはできない。
【0008】
(3)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第1の吸収領域は、領域内に一又の複数の空孔を生成することによって強拡散性を有する。
これにより、第1の吸収領域の強拡散性を制御することができる。
【0009】
(4)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第1の吸収領域は、互いに光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されている。
これにより、第1の吸収領域の構造を複雑にすることができるため、第1の吸収領域の出力光分布を容易に得ることはできない。
【0010】
(5)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第2の吸収領域は、光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されている。
これにより、第2の吸収領域の光の吸収係数を情報記憶媒体に記憶する情報として用いることができる。つまり、第2の吸収領域の光の吸収係数という物理的特性を情報として用いることができる。
【0011】
(6)本発明に係る情報記憶媒体は、前記第2の吸収領域は、前記第1の吸収領域の内部に3次元で特定される位置に一又は複数配置される。
これにより、第2の吸収領域の3次元分布を情報記憶媒体に記憶する情報として用いることができる。つまり、第2の吸収領域の3次元分布という物理的特性を情報として用いることができる。
【0012】
(7)本発明に係る認証用カードは、上記に記載のいずれかの情報記憶媒体を有する。このように、情報記憶媒体を認証用カードに用いることによって、非接触型、かつ、大容量の情報を記憶することができる認証用カードを生成することができる。
【0013】
(8)本発明に係る認証システムは、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体、前記情報記憶媒体に対して光を入力する光入力手段、前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記情報記憶媒体から出力された光の分布を出力光分布として取得する出力光分布取得手段、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、を有する。
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができず、認証が得られない。よって、より安全性が高い認証システムを構築することができる。
【0014】
(9)本発明に係る認証装置は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、を有する。
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができず、認証が得られない。よって、より安全性が高い認証システムを構築することができる。
【0015】
(10)本発明に係る吸収領域分布算出装置は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができない。よって、情報記憶媒体における第2の吸収領域の分布を容易に知り得ることはない。
【0016】
(11)本発明に係る認証方法は、コンピュータを用いて、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体に対する認証を行う認証方法であって、前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得し、前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得し、前記コンピュータは、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出し、前記コンピュータは、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う。
これにより、参照光分布を得られない限り、算出吸収分布を算出することができず、認証が得られない。よって、より安全性が高い認証システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大容量かつ強固な認証を容易に得られることができる情報記憶媒体の提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0019】
本発明における認証システム1の概要を図1に基づき説明する。認証システム1を利用するユーザは、所定のキャッシュカード等のIDカード3を所有している。IDカード3は、所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する強拡散媒体33及び強拡散媒体33の内部に配置される光吸収体35であって強拡散媒体33とは異なる吸収係数を有する光吸収体35により構成される情報記憶媒体31であって、強拡散媒体33に対する光吸収体35の分布を示す吸収体分布に従って、強拡散媒体33に対して光吸収体35が分布している情報記録媒体31を有している。
【0020】
ユーザは、情報読み取り装置5の所定の位置にIDカード3の情報記憶媒体31をかざす。情報読み取り装置5は、情報記憶媒体31に対して光を入力し、入力した光に基づき情報記憶媒体31から出力された出力光強度分布を取得する。
【0021】
また、情報読み取り装置5は、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、光吸収体35を分布させる前の強拡散媒体33で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光強度分布を特定するための参照光強度分布特定情報であるパスワードを取得し、参照光強度分布サーバ7から所定の参照光強度分布を取得する。
【0022】
さらに、情報読み取り装置5は、出力光強度分布及び参照光強度分布を用いて、強拡散媒体33に対する光吸収体35の吸収体分布を算出吸収体分布として算出する。そして、情報読み取り装置5は、算出吸収体分布を認証サーバ9へ送信する。
【0023】
また、認証サーバ9は、吸収体分布を記憶されている記憶手段に算出吸収領域分布が記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば情報記憶媒体31に対する認証を実行する。
【0024】
(認証システムの構成について)
認証システム1の構成を図2に基づき説明する。認証システム1は、IDカード3、情報読み取り装置5、参照光強度分布サーバ7、及び認証サーバ9を有している。情報読み取り装置5は、光を用いてIDカード3から所定の情報を読み取る。
【0025】
先ず、IDカード3の構成を図3に基づき説明する。IDカード3は、所定の情報が記録される情報記録媒体31及び情報記録媒体31を保持する保持部37を有している。
情報記録媒体31は、強拡散媒体33及び光吸収体35により構成されている。強拡散媒体33は、内部に光吸収体35を有している。光吸収体35は、強拡散媒体33の内部に任意の分布(光吸収体分布)に従って配置される。この光吸収体分布を情報とすることによって、情報記録媒体31に所定の情報を記録することができる。
【0026】
ここで、光吸収体35は、強拡散媒体33の内部に三次元的に分布させることが可能である。例えば、強拡散媒体33の大きさを縦20mm×横20mm×高さ1mmとし、一つの強拡散媒体33の配置領域の大きさを縦20μm×横20μm×高さ20μmとすると、1000×1000×50=50M(メガ)個の光吸収体35を、強拡散媒体33の内部に配置することができる。さらに、例えば、大きさの異なる4種類の光吸収体35を配置することとすれば、50M×4=200M個の光吸収体35を配置することができる。その他、吸収係数の異なる複数種類の光吸収体35を用いることによって、さらに、光吸収体35の配置数を多くすることができる。
【0027】
また、強拡散媒体33は、媒体の外部からは内部に存在する光吸収体35の分布を目視できない程度の光の強散乱性を有している。強拡散媒体33における強散乱性は、後述するように強拡散媒体33の内部に複数の空孔を形成することによって達成されている。
情報記録媒体31は、以下のようにして生成する。まず、色素分子を含有する直径10μmのラテックス微小球(高分子微小球)をモノマーPMMA(Poly-Methyl Methacrirate)に含有させた後、そのモノマーPMMAをポリマー化する。さらに、ポリマーPMMAに対してフェムト秒光パルスを集光させて、集光させた領域にアブレーションを発生させてポリマーPMMAにサイズの異なる空孔を数多く生成する。空孔とポリマーの吸収スペクトルの違いを利用すると、位置を制御された光吸収体35を所望の位置に作成することが可能である。また光造形法等の3次元構造作成技術を利用してマスクパターンにより小さな窪みを形成することでその位置に色素分子が結合した微小球を設置することが可能である。サイズの異なる空孔を密に、かつ、ランダムに生成することによって、強拡散媒体33の強拡散性を高めることができる。なお、フェムト秒光パルスを集光させる際に、ピーク電場強度または照射ピークエネルギーを変化させることによって、空孔のサイズを変えることが可能である。従って、どのようなサイズの空孔をどのように配置するのかを予め設計しておくことによって、強拡散媒体33の散乱係数を制御することができる。
【0028】
(情報読み取り装置の構成について)
情報読み取り装置5の構成を図4に基づき説明する。情報読み取り装置5は、ファイバ・アレイ光源・検出器51、CPU53、メモリ55、通信回路57、及びタッチパネル59を有している。
ファイバ・アレイ光源・検出器51は、複数の光ファイバを束ねた光ファイバ・バンドルによって構成されている。各光ファイバは、光源としての機能と検出器としての機能を併せ持つ分岐型構造を有している。つまり、ファイバ・アレイ光源・検出器51は、情報記録媒体31に対して光を照射すると共に、情報記録媒体31から出力された光の強度を出力光強度分布として検出する。
【0029】
CPU53は、メモリ55に記録されているオペレーティング・システム(OS)、情報読み取り装置プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ55は、CPU53に対して作業領域を提供する。また、メモリ55は、オペレーティング・システム(OS)、情報読み取り装置プログラム等その他のアプリケーションを記録保持する。
【0030】
通信回路57は、参照強度分布サーバ7、認証サーバ9等との情報の送受信を行う。タッチパネル59は、ユーザから参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光強度分布を特定するための参照光強度分布特定情報であるパスワードを取得するためのインターフェイスを提供する。
【0031】
(参照光強度分布サーバの構成について)
参照光強度分布サーバ7の構成を図5に基づき説明する。参照光強度分布サーバ7は、CPU71、メモリ72、ハードディスク73、キーボード74、マウス75、ディスプレイ76、光学式ドライブ77及び通信回路78を備えている。
CPU71は、ハードディスク73に記録されているオペレーティング・システム(OS)、参照光強度分布サーバプログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ72は、CPU71に対して作業領域を提供する。ハードディスク73は、オペレーティング・システム(OS)、参照光強度分布サーバプログラム等その他のアプリケーションを記録保持する。なお、ハードディスク73に記録される参照光強度分布データベース(以下、参照光強度分布DB)については後述する。
【0032】
キーボード74、マウス75は、外部からの命令を受け付ける。ディスプレイ76は、ユーザーインターフェイス等の画像を表示する。光学式ドライブ77は、光学式メディア70から参照光強度分布サーバプログラム等のデータを読み取る。通信回路78は、情報読み取り装置5等との情報の送受信を行う。
【0033】
(認証サーバの構成について)
認証サーバ9の構成を図6に基づき説明する。認証サーバ9は、CPU91、メモリ92、ハードディスク93、キーボード94、マウス95、ディスプレイ96、光学式ドライブ97及び通信回路98を備えている。
CPU91は、ハードディスク93に記録されているオペレーティング・システム(OS)、認証サーバプログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ92は、CPU91に対して作業領域を提供する。ハードディスク93は、オペレーティング・システム(OS)、認証サーバプログラム等その他のアプリケーションを記録保持する。なお、ハードディスク93に記録される認証データベース(以下、認証DB)については後述する。
【0034】
キーボード94、マウス95は、外部からの命令を受け付ける。ディスプレイ96は、ユーザーインターフェイス等の画像を表示する。光学式ドライブ97は、光学式メディア90から認証サーバプログラム等のデータを読み取る。通信回路98は、情報読み取り装置5等との情報の送受信を行う。
【0035】
(データの説明)
参照光強度分布サーバ7が有する参照光強度分布DBを図7に基づき、認証サーバ9が有する認証DBのデータ構造を図8に基づき、それぞれ説明する。
【0036】
先ず、参照光強度分布DBを図7に基づき説明する。参照光強度分布DBは、IDカード3が有する情報記憶媒体31に対応する参照光強度分布を特定し、対応する参照光強度分布を取得するためのデータベースである。
参照光強度分布DBは、パスワード記述領域C71及び参照光強度分布記述領域C73を有している。パスワード記述領域C71には、IDカード3のユーザのみが知る参照光強度分布を特定するためのパスワードが記述される。参照光強度分布記述領域C73には、参照光強度分布が記述される。
図7においては、例えば、パスワード「54321」に対して、所定の参照光強度分布が登録されている。
【0037】
次に、認証サーバ9が有する認証DBのデータ構造を図8に基づき説明する。認証DBは、情報読み取り装置5によって算出された光吸収体35の分布が正しいか否かを判断するためのデータベースである。
認証DBには、IDカード3が有する情報記憶媒体31に配置された光吸収体35の分布が登録されている。情報読み取り装置5によって算出された光吸収体35の分布が認証DBに登録されていれば、ユーザが使用したIDカード3は正規のものであると判断し、ひいては、当該IDカード3を使用しているユーザに対する認証を与えることとなる。
【0038】
(情報読み取り装置の動作について)
情報読み取り装置5のCPU53の動作を図9に示すフローチャートを用いて説明する。CPU53は、ファイバ・アレイ光源・検出器51からIDカード3の情報記憶媒体31に関する光強度分布を取得する(S701)。また、CPU53は、参照光強度分布を特定するための参照光強度分布特定情報であるパスワードの入力を促すインターフェイスをタッチパネル59に表示する(S703)。CPU53は、パスワードを取得したと判断すると(S705)、取得したパスワードを参照光強度分布サーバ7へ送信する(S707)。
【0039】
参照光強度分布サーバ7のCPU71は、パスワードを取得したと判断すると、パスワードに対応する参照光強度分布が参照光強度分布DBに存在するか否かを判断する。CPU71は、パスワードに対応する参照光強度分布が参照光強度分布DBに存在すると判断すると、対応する参照光強度分布を情報読み取り装置5へ送信する。
情報読み取り装置5のCPU53は、参照光強度分布を取得したと判断すると(S709)、光吸収体位置特定処理(S711)、認証処理(S713)を実行する。
【0040】
以下において、光吸収体位置特定処理(S711)、認証処理(S713)を説明する。
まず、図9における光吸収体位置特定処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。CPU53は、ステップS701で取得した光強度分布及びステップS703で取得した参照光強度分布に基づき、光強度分布の差を(1)式により算出する(S801)。ここで、参照吸収媒体の出力光強度分布は、あらかじめ設計した吸収分布と散乱分布を用い、事前に数値計算により得ることができる。または、作成直後の出力光強度分布を実験的に得て、これを参照吸収媒体の後に、出力光強度分布とする。その後に、光パルス照射等により3次元吸収分布を更新することで、新しい情報記録媒体とする。
【0041】
【数1】
【0042】
そして、CPU53は、情報記憶媒体31における所定の領域における重み関数を(2)式により算出する(S803)。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、重み関数とは、情報記憶媒体31内部の位置rjにおける光の吸収係数の変化が、光強度分布に与える影響の大きさを表したものである(図10A参照)。重み関数については、例えば、Yao et al. J.Opt.Soc.Am.A.vol.14, No.1, p.325(1997)に記載されている。なお、(2)式におけるσνについては、予め情報読み取り装置5のメモリ55に記録保持している。なお、フルーエンス率(u)は、通常の検出器で得られるパワー密度と同じである。
【0045】
さらに、CPU53は、(3)式に示す再構成方程式に基づき、O(r)を算出する(S805)。ここで、O(r)は、光吸収体35を有する情報記憶媒体31と参照媒体との位置rでの波数の差を表す。
【0046】
【数3】
【0047】
また、O(r)は(4)式のように表すことができる。
【0048】
【数4】
【0049】
ここで、波数は(5)式のように表すことができる。(5)式中、νは媒体中の光速を示している。
【0050】
【数5】
【0051】
上記の数式5におけるμa(r)は吸収係数を、μs(r)は散乱係数を、それぞれ表す。従って、CPU53は、(4)式及び(5)式に基づき、ステップS711で算出したO(r)から吸収係数の差分Δμa(r)を算出する(S807)。
CPU53は、算出した光吸収体35を有する情報記憶媒体31内部の各位置における吸収係数の差分値に基づき、情報記憶媒体31の内部において、吸収係数の差分値が他の位置に比べて大きくなっている位置に光吸収体35が分布していると判断する(S809)。
CPU53は、以上のステップにより情報記憶媒体31内部における光吸収体35の分布を判断する。
【0052】
次に、図9における認証処理について図11に示すフローチャートを用いて説明する。CPU53は、光吸収体35の分布を認証サーバ9へ送信する(S1101)。
認証サーバ9のCPU91は、光吸収体35の分布を取得したと判断すると、取得した光吸収体35の分布が認証DBに登録されているか否かを判断する。CPU91は、取得した光吸収体35の分布が認証DBに登録されていると判断すると、認証された旨を情報読み取り装置5へ送信する。一方、CPU91は、取得した光吸収体35の分布が認証DBに登録されていないと判断すると、認証されなかった旨を情報読み取り装置5へ送信する。
【0053】
情報読み取り装置5のCPU53は、認証された旨を認証サーバ9から取得したと判断すると(S1103)、予め定められた以降の処理を実行する(S1105)。一方、CPU53は、認証されなかった旨を認証サーバ9から取得したと判断すると(S1103)、処理を終了する。
[他の実施例]
【0054】
1 強拡散媒体33
前述の実施例1においては、均一の強拡散媒体33を用いることとしたが、不均一の強拡散媒体を用いるようにしてもよい。不均一な強拡散媒体としては、例えば、光の散乱率や吸収係数が異なる複数の強拡散媒体を上下に配置し、一体として機能するものが挙げられる。
また、前述の実施例1においては、強拡散媒体33を生成するにあたって、フェムト秒レーザを用いた空孔形成を例示したが、強拡散性を生成することができるものであれば、例示のものに限定されない。
【0055】
2 光吸収体35
前述の実施例1においては、光吸収体35として色素を含有するラテックス微小球を例示したが、光吸収性を有し、強拡散媒体33の内部に配置できるものであれば、例示のものに限定されない。
【0056】
3 算出吸収分布の算出
前述の実施例1においては、算出吸収分布を算出するに当たって、重み関数、再構成方程式等を用いたが、強拡散媒体33の内部における光吸収体35の分布を算出することができるものであれば、例示のものに限定されない。
【0057】
4 参照光強度分布の取得
前述の実施例1においては、ユーザからパスワードを得ることによって、参照光強度分布を取得することとしたが、情報記憶媒体31に対応する参照光強度分布を取得することができる方法であれば、例示のものに限定されない。例えば、IDカード3にRFIDを埋め込み、当該RFIDにパスワードに対応する情報を記録しておくようにしてもよい。
【0058】
5 データベース
前述の実施例1においては、各データベースを対応するサーバに保持することとしたが、いずれか一方のサーバに両方のデータベースを保持するようにしてもよい。また、情報読み取り装置5が、各データベースを保持するようにしてもよい。
【0059】
6 フローチャートにおける処理の順番
前述の実施例1においては、図に示した各フローチャートに基づいて、各処理を実現するようにした。しかし、各処理を実現できるものであれば、各フローチャート内における処理の順番は例示のものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る情報記憶媒体は、個人認証システムに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る認証システム1の概要を説明する図である。
【図2】認証システム1の構成を示す図である。
【図3】図2に係るIDカード3の構成を示す図である。
【図4】図2に係る情報読み取り装置5の構成を示す図である。
【図5】図2に係る参照光強度分布サーバ7の構成を示す図である。
【図6】図2に係る認証サーバ9の構成を示す図である。
【図7】参照光強度分布DBを示した図である。
【図8】認証DBを示した図である。
【図9】情報読み取り装置5のCPU53の動作を示すフローチャートである。
【図10】光吸収体位置特定処理を示すフローチャートである。
【図10A】重み関数の概念を示す図である。
【図11】認証処理を示すフローチャートである。
【図12】従来の認証システムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
1 認証システム
3 IDカード
5 情報読み取り装置
7 参照光強度分布サーバ
9 認証サーバ
31 情報記憶媒体
33 強拡散媒体
35 光吸収体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元散乱物体中の吸収領域分布を用いたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体。
【請求項3】
前記第1の吸収領域は、
領域内に一又の複数の空孔を生成することによる拡散性を有すること、
を特徴とする請求項2に記載の情報記憶媒体。
【請求項4】
前記第1の吸収領域は、
光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されていること、
を特徴とする請求項2〜3に記載の情報記憶媒体。
【請求項5】
前記第2の吸収領域は、
互いに光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されていること、
を特徴とする請求項2〜4に記載のいずれかの情報記憶媒体。
【請求項6】
前記第2の吸収領域は、
前記第1の吸収領域の内部に3次元で特定される位置に一又は複数配置されること、
を特徴とする請求項2〜5に記載のいずれかの情報記憶媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体を有する認証用カード。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体、
前記情報記憶媒体に対して光を入力する光入力手段、
前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記情報記憶媒体から出力された光の分布を出力光分布として取得する出力光分布取得手段、
前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、
前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、
を有する認証システム。
【請求項9】
請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、
前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、
前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、
を有する認証装置。
【請求項10】
請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、
前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、
前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
を有する吸収領域分布算出装置。
【請求項11】
コンピュータを用いて、請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体に対する認証を行う認証方法であって、
前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得し、
前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得し、
前記コンピュータは、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出し、
前記コンピュータは、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行うこと、
を特徴とする認証方法。
【請求項1】
三次元散乱物体中の吸収領域分布を用いたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
所定の光の拡散係数及び吸収係数を有する第1の吸収領域及び前記第1の吸収領域とは異なる吸収係数を有する第2の吸収領域により構成される情報記憶媒体であって、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を示す吸収領域分布に従って、前記第1の吸収領域に対して前記第2の吸収領域が分布している情報記憶媒体。
【請求項3】
前記第1の吸収領域は、
領域内に一又の複数の空孔を生成することによる拡散性を有すること、
を特徴とする請求項2に記載の情報記憶媒体。
【請求項4】
前記第1の吸収領域は、
光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されていること、
を特徴とする請求項2〜3に記載の情報記憶媒体。
【請求項5】
前記第2の吸収領域は、
互いに光の吸収係数が異なる複数の領域により構成されていること、
を特徴とする請求項2〜4に記載のいずれかの情報記憶媒体。
【請求項6】
前記第2の吸収領域は、
前記第1の吸収領域の内部に3次元で特定される位置に一又は複数配置されること、
を特徴とする請求項2〜5に記載のいずれかの情報記憶媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体を有する認証用カード。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体、
前記情報記憶媒体に対して光を入力する光入力手段、
前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記情報記憶媒体から出力された光の分布を出力光分布として取得する出力光分布取得手段、
前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、
前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、
を有する認証システム。
【請求項9】
請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、
前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、
前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行う認証手段、
を有する認証装置。
【請求項10】
請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得する出力光分布取得手段、
前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得する参照光分布取得手段、
前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出する吸収領域分布算出手段、
を有する吸収領域分布算出装置。
【請求項11】
コンピュータを用いて、請求項2〜6のいずれかに記載の情報記憶媒体に対する認証を行う認証方法であって、
前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対して入力した光に基づき前記光吸収手段から出力された光の分布を示す出力光分布を取得し、
前記コンピュータは、前記情報記憶媒体に対応する参照情報記憶媒体であって、前記第2の吸収領域を分布させる前の前記第1の吸収領域で構成された参照情報記憶媒体に光を入力し、前記参照情報記憶媒体から出力された光の分布である参照光分布を取得し、
前記コンピュータは、前記出力光分布及び前記参照光分布を用いて、前記第1の吸収領域に対する前記第2の吸収領域の分布を算出吸収領域分布として算出し、
前記コンピュータは、前記吸収領域分布が記憶されている記憶手段に前記算出吸収領域分布が記憶されているか否かの判断に基づき、前記情報記憶媒体に対する認証を行うこと、
を特徴とする認証方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−237920(P2009−237920A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83559(P2008−83559)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(504150450)国立大学法人神戸大学 (421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(504150450)国立大学法人神戸大学 (421)
【Fターム(参考)】
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