説明

情報記憶媒体

【課題】本発明は、マイクロコンピュータ等に用意されたシリアルインタフェースを有効に利用し、より汎用性の高いシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】情報処理システム10は、情報処理装置20と情報記憶媒体30とを備える。情報処理装置20の制御部21は、シリアルインタフェースであるSPIを備える。情報記憶媒体30は、SPIを複数のSPIに分岐するブリッジ装置32を備える。制御部21からのコマンド制御により、いずれかのSPIスレーブがアクティブ化される。情報記憶媒体30には、バックアップメモリ33を含め複数のSPIデバイスを接続することが可能である。また、情報記憶媒体30は、インタフェース変換装置を備えることで、GPIOデバイスやUARTデバイスを接続可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に接続され、情報処理装置との間でデータの入出力を行う情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なマイクロコンピュータや各種プロセッサの多くはペリフェラル(周辺機器)との接続用のSPI(Serial Peripheral Interface)を備える。SPIを利用することで、各種のセンサなどをマイクロコンピュータや各種プロセッサに接続させることが可能である。
【0003】
メインメモリなどを接続するメモリバスは、データバス、アドレスバス、制御信号線など多数の信号線が必要となる。これに対して、SPIは、シリアルで信号を送信するインタフェースであり、信号線数、端子の数を少なくすることが可能である。したがって、比較的低速なデータ転送を行うセンサなどの接続用に利用される。
【0004】
【特許文献1】特開2005−141298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、マイクロコンピュータや各種プロセッサには、SPIが用意されているものが存在するが、機器の多機能化に伴いSPIの端子数が足りなくなるケースが発生する。あるいは、外部デバイスの仕様が変更された場合、マイクロコンピュータやプロセッサのインタフェースを変更する必要があり、コストが高くなるという問題があった。
【0006】
上記特許文献1は、シリアルインタフェースをパラレルインタフェースに変換するブリッジ回路に関するものである。この技術を利用することで、パラレルインタフェースに対応したデバイスを、シリアルインタフェースを備えたホストシステムに接続させることが可能となっている。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、マイクロコンピュータ等に用意されたシリアルインタフェースを有効に利用し、より汎用性の高いシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、外部接続用メモリインタフェースと、前記外部接続用メモリインタフェースに接続されるメモリと、外部接続用シリアルインタフェースと、前記外部接続用シリアルインタフェースに接続され、前記外部接続用シリアルインタフェースを複数のデバイス用シリアルインタフェースに分岐させる分岐装置と、を備え、前記分岐装置および各デバイス用シリアルインタフェースを介して、前記外部接続用シリアルインタフェースに複数のデバイスを接続可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の情報記憶媒体において、前記複数のデバイスのうち一のデバイスがバックアップ用メモリであることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の情報記憶媒体において、前記複数のデバイス用シリアルインタフェースのうち一のデバイス用シリアルインタフェースに、インタフェース変換装置が接続され、前記インタフェース変換装置を介して、前記複数のデバイスのうち一のデバイスが接続されることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の情報記憶媒体において、前記複数のデバイスのうち一のデバイスが信号送信装置であり、前記信号送信装置により送信する信号を利用して、外部装置を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の情報記憶媒体において、前記複数のデバイスのうち一のデバイスが信号受信装置であり、前記信号受信装置により外部装置から送信された信号を受信することにより、外部装置の情報を収集することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の情報記憶媒体において、前記複数のデバイスのうち一のデバイスが演算手段であり、前記演算手段により、演算処理を実行することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項6に記載の情報記憶媒体において、前記外部接続用メモリインタフェースおよび前記外部接続用シリアルインタフェースを介して接続される情報処理装置において実行されるアプリケーションプログラムが前記メモリに格納されており、前記情報処理装置において前記アプリケーションプログラムを実行するときに必要となる所定の処理が、前記演算装置において実行されることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、情報処理装置において実行されるアプリケーションプログラムを格納する情報記憶媒体であって、前記アプリケーションプログラムを格納するメモリと、演算装置と、を備え、前記情報処理装置において前記アプリケーションプログラムを実行するときに必要となる所定の処理が、前記演算装置において実行されることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載の情報記憶媒体において、前記演算装置は、マイクロコンピュータ、を含み、前記情報記憶媒体に電源が供給されたときに、前記マイクロコンピュータの動作を規定する暗号化された制御プログラムが前記マイクロコンピュータにロードされ、前記マイクロコンピュータにおいて、前記制御プログラムが復号されることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項8に記載の情報記憶媒体において、前記演算装置は、ハードウェア回路、を含み、前記ハードウェア回路により、前記所定の処理が実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の情報記憶媒体は、外部接続用シリアルインタフェースを複数のデバイス用シリアルインタフェースに分岐させる分岐装置を備えることで、外部接続用シリアルインタフェースに複数のデバイスを接続可能とした。これにより、マイクロコンピュータや各種のプロセッサなどに単一のシリアルインタフェースが備えられている場合であっても、情報記憶媒体に搭載した複数のデバイスにアクセスすることが可能である。
【0019】
また、マイクロコンピュータや各種のプロセッサの仕様変更や設計変更は不要であるので、コストを高くすることなく、マイクコンピュータやプロセッサに複数のデバイスを接続することが可能である。
【0020】
また、情報記憶媒体は、インタフェース変換装置を備えるので、シリアルインタフェースを経由して、他のインタフェースのデバイスを接続可能である。
【0021】
本発明の情報記憶媒体はアプリケーションプログラムを格納するメモリと、演算装置とを備え、情報処理装置においてアプリケーションプログラムを実行するときに必要となる所定の処理が、演算装置において実行される。これにより、情報処理システムのセキュリティを強化することが可能である。たとえば、アプリケーションプログラムが不正に複製されたとしても、情報記憶媒体が存在しなければ、アプリケーションプログラムの実行を完結することができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
{第1の実施の形態}
<情報処理システムの構成>
以下、図面を参照しつつ本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る情報処理システム10のブロック図である。情報処理システム10は、情報処理装置20と情報記憶媒体30とを備えている。情報記憶媒体30は、情報処理装置20に着脱可能となっている。情報処理装置20は、情報記憶媒体30を接続することで、情報記憶媒体30に格納されているデータを処理して、様々なアプリケーションを実行することが可能である。
【0023】
情報処理装置20は、CPU、RAMなどを備える制御部21と、操作部22と、表示部23とを備えている。制御部21は、情報処理装置20の全体制御を行う。操作部22は、操作ボタンやカーソルなどで構成される。表示部23は、液晶表示装置などである。あるいは、表示部23がタッチパネル式ディスプレイで構成されていてもよい。
【0024】
制御部21には、パラレルインタフェースであるメモリバス201と、シリアルインタフェースであるSPIバス202とが接続されている。
【0025】
情報記憶媒体30は、プログラムROM31と、ブリッジ装置32と、バックアップメモリ33と、赤外線LED34とを備えている。バックアップメモリ33は、たとえば、EEPROMやフラッシュメモリが利用できる。したがって、情報処理装置20の電源がOFFされた後も、バックアップメモリ33は、データを保持することができる。
【0026】
プログラムROM31は、メモリバス41に接続されている。ブリッジ装置32は、SPIバス42に接続されている。情報記憶媒体30が、情報処理装置20のメモリスロット25に装着されると、メモリバス41がメモリバス201に接続され、SPIバス42がSPIバス202に接続される。これにより、制御部21は、プログラムROM31およびブリッジ装置32にアクセス可能となる。
【0027】
ブリッジ装置32には、さらに、SPIバス43を介してバックアップメモリ33が接続されている。また、ブリッジ装置32には、GPIO(General Purpose Input Output)バス44を介して赤外線LED34が接続されている。
【0028】
図2は、ブリッジ装置32のブロック図である。ブリッジ装置32は、SPIハブコア321と、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)コントローラ322と、GPIOコントローラ326とを備えている。
【0029】
SPIハブコア321は、SPIを複数のSPIに分岐するための回路である。SPIハブコア321には、チップセレクト信号線CSと、クロック信号線CKと、データ入力信号線DIと、データ出力信号線DOが接続されている。これら、信号線CS、CK、DI、DOが、図1に示すSPIバス42に対応している。
【0030】
SPIハブコア321には、チップセレクト信号線SCS1、SCS2、SCS3、SCS4が接続されている。つまり、SPIハブコア321には、4つのSPIスレーブが接続される。チップセレクト信号線SCS1は、第1のSPIデバイスに接続される。第1のSPIデバイスは、本実施の形態においては、図1に示すバックアップメモリ33に対応している。
【0031】
チップセレクト信号線SCS2は、第2のSPIデバイスに接続される。図1に示す本実施の形態においては、第2のSPIデバイスは接続されていない。
【0032】
また、クロック信号線SCK、データ出力信号線SDO、データ入力信号線SDIが、それぞれ、第1のSPIデバイスに接続されている。また、信号線SCK、SDO、SDIは、分岐して、第2のSPIデバイスに対応するインタフェースを形成している。クロック信号線SCKは、SPIハブコア321から、第1のSPIデバイスおよび第2のSPIデバイスにクロック信号を供給する信号線である。データ出力信号線SDOは、第1のSPIデバイスおよび第2のSPIデバイスにデータを出力する信号線である。データ入力信号線SDIは、第1のデバイスおよび第2のデバイスからデータを入力する信号線である。
【0033】
このように、本実施の形態の情報記憶媒体30には、2つのSPIデバイスを搭載可能としている。
【0034】
チップセレクト信号線SCS3は、UARTコントローラ322に接続されている。また、クロック信号線SCK、データ出力信号線SDO、データ入力信号線SDIが分岐して、UARTコントローラ322に接続されている。さらに、UARTコントローラ322の下流側には、赤外線通信部323と2つのセレクタ324、325が接続されている。
【0035】
UARTコントローラ322の出力信号線は、2つに分岐し、一方は、直接セレクタ324に接続され、他方は、赤外線通信部323を介してセレクタ324に接続される。赤外線通信部323は、UART信号を、赤外線無線信号に変換する。セレクタ324は、出力信号線TXに接続されている。これにより、出力信号線TXには、UART信号あるいは赤外線無線信号が出力される。
【0036】
また、入力信号線RXは、2つに分岐し、一方は、直接セレクタ325に接続され、他方は、赤外線通信部323を介してセレクタ325に接続される。赤外線通信部323は、入力信号線RXを介して入力した赤外線無線信号をUART信号に変換する。入力信号線RXを介して入力されたUART信号は、直接セレクタ325に入力される。セレクタ325の出力信号線は、UARTコントローラ322に接続される。これにより、UARTコントローラ322は、UART信号を入力する。
【0037】
そして、出力信号線TXおよび入力信号線RXは、UARTデバイスあるいは赤外線無線通信インタフェースに接続される。このように、本実施の形態の情報記憶媒体30は、UARTインタフェースを備えたデバイスを搭載可能である。あるいは赤外線無線通信インタフェースを搭載することで、赤外線無線通信デバイスを制御することが可能である。
【0038】
チップセレクト信号線SCS4は、GPIOコントローラ326に接続されている。また、クロック信号線SCK、データ出力信号線SDO、データ入力信号線SDIが分岐して、GPIOコントローラ326に接続されている。
【0039】
そして、GPIOコントローラ326には、2つのGPIOインタフェース(GPIO_A、GPIO_B)が接続されている。図1で示した本実施の形態においては、GPIO_Aインタフェースに、赤外線LED34が接続されている。GPIOコントローラ326は、汎用入出力ポートを備えており、LEDを直接駆動することが可能である。
【0040】
また、図1に示す本実施の形態においては、GPIO_Bインタフェースには、デバイスは接続されていない。このように、本実施の形態の情報記憶媒体30には、2つのGPIOデバイスを搭載可能としている。
【0041】
以上説明したように、ブリッジ装置32は、SPIインタフェースを4つのSPIインタフェースに分岐させるSPIハブコア321を備える。そして、2つのSPIインタフェースには、SPIデバイスが接続可能である。また、残る2つのSPIインタフェースは、それぞれUARTコントローラ322、GPIOコントローラ326に接続されることで、UARTデバイスやGPIOデバイスを接続可能である。
【0042】
SPIハブコア321は、情報処理装置20の制御部21からチップセレクト信号線CSを介してチップセレクト信号を入力する。このチップセレクト信号は、ブリッジ装置32をアクティブにするための信号である。ブリッジ装置32がアクティブになった後、SPIハブコア321が備えるコマンドデコーダ3211は、制御部21から入力したコマンドをデコードし、いずれかのインタフェース(つまい、いずれかのSPIスレーブ)を特定する。そしてデコードされたコマンドに応じてSPIハブコア32は、チップセレクト信号線SCS1、SCS2、SCS3、SCS4のいずれかの信号に選択信号を送出する。これにより、いずれかのインタフェースがアクティブとなる。
【0043】
そして、SPIハブコア321は、制御部21からデータ入力信号線DIを介してデータを入力する。このデータは、そのままデータ出力信号線SDOに送出され、アクティブとなっているデバイスに対して出力される。
【0044】
逆に、アクティブとなっているデバイスから送出されたデータが、データ入力信号線SDIを介してSPIハブコア321に入力される。SPIハブコア321は、入力したデータをそのままデータ出力信号線DOに送出する。送出されたデータは、制御部21において処理される。
【0045】
このようにして、情報処理装置20は、情報記憶媒体30に搭載された各デバイスとデータの入出力を行い、さまざまな処理を実行するのである。また、情報処理装置20は、プログラムROM31に格納されたアプリケーションプログラムを実行する。
【0046】
なお、図2で示したブリッジ装置32では、SPIハブコア321に接続された信号線SCK、SDO、SDIが分岐して各SPIスレーブに接続されている。つまり、SPIハブコア321と各SPIスレーブ間で各信号線SCK、SDO、SDIを分岐させた。この他の構成として、各SPIスレーブに接続されるクロック信号線やデータ入出力信号線がSPIハブコア321を経由しない構成とすることもできる。具体的には、SPIハブコア321には、上述したように、クロック信号線CK、データ入力信号線DI、データ出力信号線DOが接続される。そして、これら信号線CK、DI、DOが、分岐して、各SPIスレーブに接続されるのである。つまり、SPIハブコア321と外部インタフェース端子との間で各信号線CK、DI、DOを分岐させるのである。このような構成にすれば、SPIハブコア321に信号線SCK、SDO、SDIの端子を備える必要がなくなるので、パッケージのサイズを小さくすることが可能である。
【0047】
<デバイスへのアクセス手順>
以上のように構成された情報処理システム10において、情報処理装置20が、情報記憶媒体30に搭載された各デバイスにアクセスする手順について説明する。
【0048】
図3は、SPIハブコア321における信号入出力シーケンスである。図3の上段は、SPIハブコア321と制御部21との間で入出力される信号を示し、図3の下段は、SPIハブコア321とSPIスレーブとの間で入出力される信号を示している。
【0049】
上述したように、SPIハブコア321は、チップセレクト信号線CSにより制御部21から選択信号を入力し、クロック信号線CKにより制御部21からクロック信号を得る。そして、図に示すように、SPIハブコア321は、チップセレクト信号CSを介して選択信号を入力した後、データ入力信号線DIを介してHUBモードコマンドを入力している。
【0050】
本実施の形態において、SPIハブコア321は、デフォルト状態(以下では、スルーモードと呼ぶ。)では、第1のSPIデバイスであるバックアップメモリ33を選択する。つまり、デフォルト状態では、チップセレクト信号線SCS1に選択信号を出力して、バックアップメモリ33とデータの入出力を行う。これに対して、SPIハブコア321は、HUBモードコマンドを入力すると、次に入力するインタフェース指定コマンドで指定されたデバイスとデータの入出力を行うのである。つまり、インタフェース指定コマンドで指定されたSPIスレーブに対応するチップセレクト信号線SCSnに選択信号を出力する。図に示すように、SPIハブコア321は、8ビットのHUBモードコマンドを入力した後に、8ビットのインタフェース指定コマンドを入力している。
【0051】
図4は、SPIハブコア321が、制御部21から入力するコマンドの一覧である。各コマンドは8ビットのコマンドである。各コマンドの最後のビットはxと表記しているが、これは、各コマンドが上位7ビットから特定されるからである。
【0052】
コマンド「1001_000x」は、モードリセットコマンドである。このコマンドは、HUBモードに遷移しているSPIハブコア321のステータスを再びスルーモードに遷移させる。コマンド「1000_000x」は、HUBモードコマンドである。情報処理装置20が第1のSPIデバイス以外のデバイスにアクセスしたい場合に利用するコマンドである。コマンド「1100_000x」は、UARTコントローラへアクセスするためのインタフェース指定コマンドである。コマンド「1100_010x」は、第2のSPIデバイスへアクセスするためのインタフェース指定コマンドである。コマンド「1100_100x」は、GPIOコントローラへアクセスするためのインタフェース指定コマンドである。
【0053】
SPIハブコア321は、インタフェース指定コマンドを入力すると、指定されたSPIスレーブ(第2のSPIデバイス、UARTコントローラ322、または、GPIOコントローラ326)にチップセレクト信号線SCS2、SCS3、SCS4を介して選択信号を送信し、各SPIスレーブと信号の入出力を行う。
【0054】
図3に示す下段は、SPIハブコア321が、インタフェース指定コマンドで指定されたSPIスレーブと入出力する信号を示している。上述したように、データ入力信号線DIで入力されるコマンドやデータは、そのままデータ出力信号線SDOから出力される。また、SPIハブコア321は、指定されたSPIスレーブに対応したチップセレクト信号線SCSnに対して選択信号を出力している。SPIスレーブは、チップセレクト信号線SCSnを介して選択信号を入力した後、データ出力信号線SDOを介してデータを入力する。また、チップセレクト信号線SCSnにより選択信号を入力しているSPIスレーブからデータが出力されると、そのデータは、データ入力信号線SDIを介してSPIハブコア321に入力される。SPIハブコア321は、入力したデータをそのままデータ出力信号線DOを介して制御部21に出力する。このようにして、情報処理装置20は、インタフェース指定コマンドで指定したデバイスとの間でデータの入出力を行い、各デバイスを制御するのである。
【0055】
このように、情報記憶媒体30は、制御部21から出力されたコマンドに従って、複数のデバイスのうちの1つを選択して動作させることができる。つまり、ソフトウェア制御により、デバイスを指定してデータの入出力を行うことが可能となっている。図3に示すシーケンスで、特定のデバイスとHUBモードでデータの入出力を行った後、制御部21は、SPIハブコア321にモードリセットコマンドを出力する。これにより、ブリッジ装置32は、再びスルーモードに遷移する。
【0056】
図5は、制御部21が情報記憶媒体30に搭載された各デバイスにアクセスするための手順を示す図である。制御部21は、まず、アクセスするデバイスがスルーモードでアクセス可能か、HUBモードにおいてアクセス可能かを判断する(ステップS1)。
【0057】
スルーモードでアクセス可能な場合、つまり、第1のSPIデバイスであるバックアップメモリ33にアクセスする場合、制御部21は、バックアップメモリ33にデータを出力する。あるいは、バックアップメモリ33に対するメモリアドレスを出力する(ステップS2)。そして、図3等で説明したように、SPIハブコア321とバックアップメモリ33との間で信号の入出力が行われ、制御部21は、バックアップメモリ33から出力されたデータを入力する(ステップS3)。
【0058】
ステップS1において、HUBモードに遷移すべきと判断した場合、つまり、第2のSPIデバイス、あるいは、UARTコントローラ322またはGPIOコントローラ326に接続されたデバイスにアクセスする場合、制御部21は、HUBモードコマンドを出力する(ステップS4)。
【0059】
続いて、制御部21は、インタフェース指定コマンドを出力する(ステップS5)。SPIハブコア321は、インタフェース指定コマンドに応じて、チップセレクト信号線SCS2、SCS3、SCS4のいずれかに選択信号を出力する。
【0060】
そして、制御部21は、インタフェース指定コマンドで指定されたデバイスに対するデータを出力する。あるいは、インタフェース指定コマンドで指定されたデバイスにアドレスを出力する(ステップS6)。そして、図3等で説明したように、SPIハブコア321と選択されたデバイスとの間で信号の入出力が行われ、制御部21は、選択されているデバイスから出力されたデータを入力する(ステップS7)。
【0061】
図1に示すように、本実施の形態においては、GPIOインタフェースに赤外線LED34が接続されている。図6は、GPIOコントローラ326を介した赤外線LED34の制御イメージを示す図である。
【0062】
SPIハブコア321は、制御部21からデータ入力信号線DIを介して入力する信号を、そのままデータ出力信号線SDOを介してGPIOコントローラ326に出力する。その一方で、コマンドデコーダ3211では、データ入力信号線DIを介して入力したコマンドを解析する。そして、コマンドデコーダ3211は、コマンドがHUBコマンドである場合には、SPIハブコア321をHUBモードに遷移させる。また、コマンドデコーダ3211は、コマンドがGPIOコントローラを指定するインタフェース指定コマンドである場合には、チップセレクト信号線SCS4に選択信号を出力する。
【0063】
GPIOコントローラ326は、汎用入出力ポート3261を備えており、チップセレクト信号線SCS4を介して選択信号を入力した場合には、データ出力信号線SDOを介して入力した信号を、汎用入出力ポート3261から出力する。そして、この汎用入出力ポート3261より出力した信号で、直接赤外線LED34を駆動するのである。
【0064】
具体的には、制御部21は、GPIOインタフェースを指定するインタフェース指定コマンドを出力した後、データ入力信号線DIを介してSPIハブコア321に赤外線駆動信号を出力する。そして、赤外線駆動信号がHighの場合に、赤外線高輝度LEDが点灯、Lowの場合に消灯するよう制御するのである。これにより、制御部21において、赤外線通信機器の搬送周波数に対応したパルスをソフトウェア制御で生成することが可能であり、レート調整を行う回路を別途設ける必要がない。
【0065】
一般的には、赤外線機器の制御に用いられる搬送周波数は38KHzである。一方、本実施の形態における制御部21の動作クロックは、たとえば1パルス0.235μsである。38KHzの周波数では、1パルスの幅が約13μsとなるため、制御部21は、55ビット分のHigh信号あるいはLow信号を連続して出力することで、赤外線機器の搬送周波数に対応したパルスを生成することが可能である。このように、ソフトウェア制御により赤外線機器を制御できるため、ハードウェア構成の仕様変更等、コストを掛けることなく、柔軟に仕様変更に対応可能なシステムを構築できる。
【0066】
図7は、赤外線LED34より出力される赤外線により、ラジコンカーを制御している図を示す。このように、本実施の形態の情報記憶媒体30は、赤外線LED34を搭載することで、ラジコンカーなどの遠隔制御を行うことが可能である。このように、赤外線LED34を搭載した情報記憶媒体30を挿入することで、情報処理装置20を各種のリモコンとして動作させることが可能である。
【0067】
また、図1にも示したように、情報記憶媒体30は、プログラムROM31およびバックアップメモリ33を備えている。これにより、プログラムROM31に格納したアプリケーションプログラムを制御部21で実行することが可能である。さらには、アプリケーションプログラムの実行中、バックアップする必要のあるデータをバックアップメモリ33に格納することが可能である。
【0068】
このように本実施の形態の情報記憶媒体30は、単一のシリアルインタフェース(SPI)を備えるが、複数のSPIデバイスやその他のインタフェースのデバイスを搭載することが可能である。これにより、マイクロコンピュータや各種のプロセッサが単一のシリアルインタフェースしか備えていない場合にも、ハードウェアの仕様変更、設計変更を行うことなく、情報記憶媒体30を利用して多数のデバイスを利用することができる。さらには、情報記憶媒体30が着脱可能となっているので、情報記憶媒体30を差し替えることで、異なるさらに多様なデバイスを利用可能である。
【0069】
{第2の実施の形態}
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は、第2の実施の形態に係る情報記憶媒体30のブロック図である。この実施の形態に係る情報処理装置20は、図1に示した第1の実施の形態と同様である。
【0070】
図8に示すように、第2の実施の形態の情報記憶媒体30には、GPIOインタフェースに赤外線受光部35が接続されている。赤外線受光部35は、外部の装置から出力された赤外線を受光し、その信号を得ることが可能である。その他の情報記憶媒体30の構成は第1の実施の形態と同様である。したがって、情報処理装置20は、赤外線受光部35を介して、外部の装置から信号を取得することが可能である。
【0071】
図9は、第2の実施の形態に係る情報処理システム10の利用形態を示す図である。健康器具51、52は、赤外線LEDを備え、赤外線通信が可能な器具である。健康器具51、52は、測定者の体重、体脂肪、血圧、脈拍などを測定し、それらのデータを赤外線通信で送信するのである。
【0072】
情報記憶媒体30に備えられた赤外線受光部35は、健康器具51、52から送信された測定データを受信する。情報処理装置20は、SPIおよびGPIOインタフェースを介して健康器具51、52で測定された測定データを集計し、解析するのである。
【0073】
測定データを集積、解析するアプリケーションプログラムは、プログラムROM31に格納されている。さらに、このアプリケーションプログラムは、解析結果に応じて測定者に提供するカウンセリング情報を表示部23に表示するのである。このようにして、複数の健康器具で測定されたデータを集積、解析し、各人に応じたカウンセリング情報を提供することが可能である。また、各人のカウンセリング情報は、バックアップメモリ33に格納することが可能である。
【0074】
なお、情報記憶媒体30に、第1の実施の形態で説明した赤外線LED34と、第2の実施の形態で説明した赤外線受光部35の両方を備えるようにしてもよい。
【0075】
{第3の実施の形態}
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図10は、第3の実施の形態に係る情報記憶媒体30のブロック図である。この実施の形態に係る情報処理装置20は、図1に示した第1の実施の形態と同様である。この実施の形態の情報処理システム10は、GPS(Global Positioning System)に利用される。
【0076】
図10に示すように、第3の実施の形態の情報記憶媒体30には、UARTインタフェースにGPS受信機36が接続されている。また、第2のSPIデバイスとしてセンサ37が接続されている。
【0077】
GPS受信機36は、GPS衛星から送信された位置情報を受信することが可能である。その他の情報記憶媒体30の構成は第1の実施の形態と同様である。したがって、情報処理装置20は、GPS受信機36が受信した位置情報を処理することで、情報処理装置20の現在位置を取得可能である。また、センサ37を利用して、各種の周辺環境を測定可能である。これらGPS位置情報やセンサ入力情報を処理するアプリケーションプログラムは、プログラムROM31に格納される。また、バックアップメモリ33は、データバックアップ用に用いられる。
【0078】
{第4の実施の形態}
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図11は、第4の実施の形態に係るブリッジ装置32のブロック図である。第4の実施の形態に係る情報処理装置20は、図1に示した第1の実施の形態と同様である。また、ブリッジ装置32以外の情報記憶媒体30の構成も、図1で示した第1の実施の形態と同様である。
【0079】
図11に示すブリッジ装置32には、図2で示したブリッジ装置32が備える各ブロックに加え、さらに演算器327が備えられている。演算器327には、チップセレクト信号線SCS5が接続されている。また、クロック信号線SCK、データ出力信号線SDO、データ入力信号線SDIが分岐して演算器327に接続されている。さらには、演算器327とチップセレクト信号線SCS1が接続されており、演算器327からチップセレクト信号線SCS1に選択信号を出力することが可能となっている。
【0080】
このように、演算器327は、5番目のSPIスレーブとしてSPIハブコア321に接続されており、チップセレクト信号線SCS5を介して選択信号を得ることで、情報処理装置20と信号の入出力を行う。
【0081】
演算器327において実行されるファームウェアは、暗号化された状態でプログラムROM31あるいはバックアップメモリ33に格納されている。暗号アルゴリズムとしては、DESやAESなどが用いられる。
【0082】
演算器327は、情報記憶媒体30に電力が供給された時点で、プログラムROM31あるいはバックアップメモリ33からファームウェアをロードし、演算器327においてファームウェアを復号する。したがって、演算器327は、DESやAESなどの復号回路ブロックを備える。なお、演算器327は、バックアップメモリ33からファームウェアをロードする際には、チップセレクト信号線SCS1に選択信号を出力することで、バックアップメモリ33にアクセスする。
【0083】
このような構成の情報記憶媒体30が接続された情報処理装置20は、プログラムROM31からアプリケーションプログラムを読み出して各種のアプリケーションを実行する。そして、このアプリケーションの処理に必須の一部の処理は、演算器327にロードされたファームウェアにより実行される。言い換えると、情報処理装置20が、プログラムROM31に格納されたアプリケーションプログラムを実行するとき、必ず演算器327における処理が必要となるのである。
【0084】
このような構成とすることにより、本実施の形態の情報処理システム10はセキュリティの高いシステムとなる。たとえば、プログラムROM31に格納されているアプリケーションプログラムが不正に複製されたとしても、演算器327を備えた情報記憶媒体30を情報処理装置20に接続しない限りアプリケーションプログラムの実行を完結することはできないからである。また、演算器327にロードされるファームウェアは暗号化された状態でプログラムROM31あるいはバックアップメモリ33に格納されているので、実行コードが解析されることを回避できる。
【0085】
たとえば、アプリケーションプログラムがゲームプログラムであれば、ゲームプログラムの実行の中で、ベクター描画処理や文字フォントデータの表示演算を演算器327において実行させるのである。これにより、情報記憶媒体30が存在しなければ、ゲームを正常に進行させることが不可能となる。
【0086】
また、演算器327は、情報処理装置20における処理負荷を軽減させる役割もある。この意味において、演算器327をアクセラレータとして利用すると考えることができる。つまり、上述したHUBモードにおいて、演算器327が選択され、演算処理が実行されることにより、ブリッジ装置32はアクセラレータモードに遷移するのである。
【0087】
なお、演算器327がマイクロプロセッサの場合には、上述したように、ファームウェアを演算器327にロードすることで、演算処理を実行させているが、演算器327による処理を完全にハードウェア化してもよい。この場合には、演算器327における処理プログラムがいずれのメモリにも格納されていないので、よりセキュリティの強度を上げることができる。
【0088】
また、第1の実施の形態で説明した場合と同様、この実施の形態においても、各SPIスレーブに接続されるクロック信号線やデータ入出力信号線がSPIハブコア321を経由しない構成とすることもできる。つまり、信号線CK、DI、DOが、分岐して、演算器327を含む各SPIスレーブに接続される形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施の形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【図2】ブリッジ装置のブロック図である。
【図3】SPIハブコアにおける入出力信号のシーケンス図である。
【図4】SPIハブコアを制御するコマンドの一覧である。
【図5】情報記憶媒体に搭載された各デバイスにアクセスするための手順を示す図である。
【図6】赤外線LEDを制御する処理部のブロック図である。
【図7】情報処理システムによりラジコンカーを制御している様子を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る情報記憶媒体のブロック図である。
【図9】情報処理システムにより健康測定データを解析するイメージを示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る情報記憶媒体のブロック図である。
【図11】第4の実施の形態に係るブリッジ装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0090】
10 情報処理システム
20 情報処理装置
30 情報記憶媒体
31 プログラムROM
32 ブリッジ装置
321 SPIハブコア
33 バックアップメモリ(第1のSPIデバイス)
34 赤外線LED
35 赤外線受光部
36 GPS受信機
37 センサ(第2のSPIデバイス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続用メモリインタフェースと、
前記外部接続用メモリインタフェースに接続されるメモリと、
外部接続用シリアルインタフェースと、
前記外部接続用シリアルインタフェースに接続され、前記外部接続用シリアルインタフェースを複数のデバイス用シリアルインタフェースに分岐させる分岐装置と、
を備え、
前記分岐装置および各デバイス用シリアルインタフェースを介して、前記外部接続用シリアルインタフェースに複数のデバイスを接続可能としたことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記憶媒体において、
前記複数のデバイスのうち一のデバイスがバックアップ用メモリであることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項3】
請求項1に記載の情報記憶媒体において、
前記複数のデバイス用シリアルインタフェースのうち一のデバイス用シリアルインタフェースに、インタフェース変換装置が接続され、前記インタフェース変換装置を介して、前記複数のデバイスのうち一のデバイスが接続されることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項4】
請求項1に記載の情報記憶媒体において、
前記複数のデバイスのうち一のデバイスが信号送信装置であり、前記信号送信装置により送信する信号を利用して、外部装置を制御することを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項5】
請求項1に記載の情報記憶媒体において、
前記複数のデバイスのうち一のデバイスが信号受信装置であり、前記信号受信装置により外部装置から送信された信号を受信することにより、外部装置の情報を収集することを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項6】
請求項1に記載の情報記憶媒体において、
前記複数のデバイスのうち一のデバイスが演算手段であり、前記演算手段により、演算処理を実行することを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項7】
請求項6に記載の情報記憶媒体において、
前記外部接続用メモリインタフェースおよび前記外部接続用シリアルインタフェースを介して接続される情報処理装置において実行されるアプリケーションプログラムが前記メモリに格納されており、前記情報処理装置において前記アプリケーションプログラムを実行するときに必要となる所定の処理が、前記演算装置において実行されることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項8】
情報処理装置において実行されるアプリケーションプログラムを格納する情報記憶媒体であって、
前記アプリケーションプログラムを格納するメモリと、
演算装置と、
を備え、
前記情報処理装置において前記アプリケーションプログラムを実行するときに必要となる所定の処理が、前記演算装置において実行されることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項9】
請求項8に記載の情報記憶媒体において、
前記演算装置は、
マイクロコンピュータ、
を含み、
前記情報記憶媒体に電源が供給されたときに、前記マイクロコンピュータの動作を規定する暗号化された制御プログラムが前記マイクロコンピュータにロードされ、前記マイクロコンピュータにおいて、前記制御プログラムが復号されることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項10】
請求項8に記載の情報記憶媒体において、
前記演算装置は、
ハードウェア回路、
を含み、
前記ハードウェア回路により、前記所定の処理が実行されることを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−98997(P2009−98997A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270910(P2007−270910)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】