説明

情報記録再生システム及び情報記録再生方法

【課題】 磁気テープ同士が貼り付いた場合でも、テープの切断を防止しつつ、磁気テープの安定した走行を可能とする情報記録再生システムを提供する。
【解決手段】 本発明の情報記録再生システムは、磁気テープの使用、即ち、再生や早送り/巻戻し等の磁気テープの走行動作を最後に行った時点からの経過時間(期間)を例えば一定期間毎に算出する。算出した経過時間に応じた磁気テープの走行速度を決定し、その走行速度で磁気テープを走行させる。このように磁気テープの走行速度を磁気テープの走行状態に応じて最適化することにより、磁気テープが保存されている系から持ち出され長期間経過した後に返却されたような場合であっても、磁気テープに必要以上の負荷をかけることなく安定した走行を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体として磁気テープを用いた情報記録再生システムに関し、更に詳細には、磁気テープを安定した状態で走行するとともに、より信頼性の高い情報記録再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビや映画等の映像を記録再生するための民生用記録媒体としてDVD−R等の光ディスクが主流となりつつある。一方、業務用の情報記録再生システムではコスト面等を重視して、磁気テープが記録媒体として広く普及している。磁気テープは、放送局におけるテレビ映像等のバックアップ記録等に用いられている。しかしながら、磁気テープは、一定の環境の下で保存されていても、長期間動作させなければ磁気テープ同士の接触部分が貼り付いてしまうことがある。これによって、貼り付いたテープ部分で情報の転写が生じ、記録されている情報が正しく再生されなかったり、磁気テープの動作時に貼り付いた部分に負荷がかかりテープが切断する等の問題を生じることがあった。磁気テープが切断した場合には、駆動装置に切れたテープが絡み付いて駆動装置の故障を起こすこともあった。
【0003】
特許文献1には、ビデオテープを品質良く管理することを目的として、現在の時間情報と以前のテープ巻き直しが行なわれた時間から算出した保存期間と、テープ巻き直しを必要として設定された保存期間とを比較して、自動的にテープ巻き直しが必要なカセットを取り出してテープの巻き直し制御を行うカセット収納装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許3237191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ビデオテープがカセット収納装置から持ち出されて、長期間経過した後に返却される場合もあり得る。このような場合には、テープの巻き直し制御が長期間行なわれていないため、磁気テープ同士の接触部分が貼り付いている可能性があり、上記のようなテープの切断等の問題が生じる。特許文献1では、このような問題には何ら対処していない。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、磁気テープ同士の貼り付きを防止するとともに、仮に磁気テープ同士が貼り付いた場合でも、磁気テープの切断を防止し安定した走行を可能とする情報記録再生システムを提供することである。また、本発明の第2の目的は、特に保存期間が長く老朽化した磁気テープについては、テープ走行を行うと同時に、他の記録媒体へのバックアップ記録を可能とする情報記録再生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、磁気テープ用の情報記録再生システムであって、
前記磁気テープが使用されてからの期間を求める手段と;
求めた期間に基づいて、前記磁気テープの走行速度を決定する手段と;
求めた期間が所定期間を経過している場合に、前記決定した走行速度で、前記磁気テープを走行させる手段と;を備える情報記録再生システムが提供される。
【0008】
本発明の情報記録再生システムは、磁気テープの使用、即ち、再生や早送り/巻戻し等の磁気テープの走行動作を最後に行った時点からの経過時間(期間)を例えば一定期間毎に算出する。算出した経過時間に応じた磁気テープの走行速度を決定し、その走行速度で磁気テープを走行させる。このように磁気テープの走行速度を磁気テープの経過時間に応じて最適化することにより、磁気テープが保存されている系から持ち出されて長期間経過した後に返却されたような場合であっても、磁気テープに必要以上の負荷をかけることなく安定した走行を可能とする。
【0009】
本発明の情報記録再生システムでは、さらに、複数の磁気テープの中から前記走行させる磁気テープを選択する手段を備えることが好ましい。また、前記複数の磁気テープの収容部に対して選択された磁気テープを挿抜する磁気テープ挿抜手段をさらに備えることが好ましい。
【0010】
本発明の情報記録再生システムでは、前記走行速度を決定するために、走行速度を高速から低速にかけて3段階に予め設定しておき、いずれかを前記算出した期間に応じて選定することが好ましい。また、前記磁気テープを走行させる際に、磁気テープを順送り及び/または巻戻しすることが好ましい。前記磁気テープを走行させる際に、磁気テープの情報を再生すると同時に、再生された磁気テープの情報を他の記録媒体へ記録する手段をさらに備えることが好ましい。前記他の記録媒体が光ディスクであることが望ましい。
【0011】
本発明の第2の態様に従えば、磁気テープの情報記録再生方法であって、
前記磁気テープが使用されてからの期間を求めることと;
求めた期間に基づいて、前記磁気テープの走行速度を決定することと;
求めた期間が所定期間を経過している場合に、前記決定した走行速度で、前記磁気テープを走行させることと;を備える情報記録再生方法が提供される。
【0012】
本発明の情報記録再生方法では、磁気テープが使用されてからの期間をTとし、T1<T2<T3を満たす第1の所定期間T1、第2の所定期間T2、第3の所定期間T3を定め、T1<T≦T2の場合に、磁気テープを第1の速度vで走行させ、T2<T≦T3の場合に、磁気テープを第2の速度v(<v)で走行させ、T3<Tの場合に、磁気テープを第3の速度v(<v)で走行させることが好ましい。また、第2の速度vが磁気テープの再生速度であることが好ましい。磁気テープを第2の速度v及び第3の速度vで走行する際に磁気テープの情報を再生すると同時に、再生された磁気テープの情報を他の記録媒体へ記録することが好ましい。前記他の記録媒体が光ディスクであることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、磁気テープに必要以上の負荷をかけることなく、磁気テープを安定した状態で走行させることができる。また、老朽化した磁気テープについては、同時にその記録データを他の記録媒体へバックアップ記録することができるので、より信頼性の高い情報記録システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の情報記録再生システムの実施形態を図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0015】
実施形態
[情報記録再生システムの構成]
まず、図1及び2を用いて、本発明の情報記録再生システムの構成について説明する。図1に示すように、本発明の情報記録再生システム1は、主に、磁気テープ収容部11、磁気テープ挿抜搬送部12、磁気テープ情報管理部13、磁気テープ挿抜制御部14、磁気テープ駆動部15及び光ディスク記録部16で構成される。磁気テープ収容部11は、複数の磁気テープ(TP1,TP2,TP3,…,TPi)を収容する。磁気テープ挿抜搬送部12は、磁気テープ収容部11から所望の磁気テープを取り出して磁気テープ駆動部15に挿入する動作、または、磁気テープ駆動部15から磁気テープを抜き取り、磁気テープ収容部11の所定の場所へ収容する動作を行う。磁気テープ情報管理部13は、内部にメモリ部を有しており、磁気テープの挿抜時間や走行動作時間等の情報をメモリ部に記録するとともに、その情報を管理する。磁気テープ挿抜制御部14は、磁気テープ情報管理部13で記録・管理されている情報に応じて磁気テープ挿抜搬送部12を制御する。磁気テープ駆動部15は、記録再生等のために磁気テープを走行させる。光ディスク記録部16は、磁気テープの記録情報を光ディスクに記録する。
【0016】
図2に示すように、磁気テープ収容部11は主に収容棚21で構成されている。収容棚21には、情報記録再生システム1やその他の情報記録再生装置を用いて予め情報記録が行なわれた複数の磁気テープ22が、上下左右に規則的に収容されている。磁気テープ22はそれぞれ所定の場所(収容棚21中の位置)に収容されており、各磁気テープの収容場所の情報は磁気テープ情報管理部13によって管理されている。
【0017】
磁気テープ挿抜搬送部12は、支柱部と、支柱部を収容棚21と磁気テープ駆動部15との間で移動させるキャスター部とからなる磁気テープ搬送系23、及び、磁気テープ搬送系23の支柱部上を上下方向及び回転方向にそれぞれ独立して移動可能な複数の磁気テープ挿抜部24で構成される。磁気テープ挿抜搬送部12は、収容棚21と磁気テープ駆動部15との間で移動可能に配置されている。磁気テープ挿抜搬送部12の磁気テープ搬送系23は、そのキャスター部により、収容棚21と磁気テープ駆動部15との間で前後方向(紙面における横方向)及び左右方向(紙面における垂直方向)に移動すると同時に、磁気テープ挿抜部24が所定の高さとなるように上下に移動する。磁気テープ搬送系23の移動により、収容棚21に収容された磁気テープ及び磁気テープ駆動部15に搭載された磁気テープにアクセスすることができる。
【0018】
収容棚21と磁気テープ駆動部15との間の磁気テープの搬送動作について、さらに詳細に説明する。まず、磁気テープ搬送系23及び磁気テープを載せていない空の磁気テープ挿抜部24を移動して、空の磁気テープ挿抜部24を所定の磁気テープの収容位置前方に配置する。次いで、磁気テープ搬送系23を用いて磁気テープ挿抜部24をさらに収容棚21の方向に移動するとともに、所定の磁気テープ22を抜き取る。次いで、磁気テープ搬送系23が磁気テープ駆動部15の方向に移動するとともに、収容棚21から抜き取った磁気テープ22を載せた磁気テープ挿抜部24を磁気テープ駆動部15側に面するように回転移動させる。さらに、磁気テープ22を載せた磁気テープ挿抜部24を磁気テープ駆動部15の磁気テープ挿入口の高さまで移動する。次いで、磁気テープ駆動部15に磁気テープ22を挿入するために、さらに磁気テープ搬送系23を磁気テープ駆動部15の方向に移動する。
【0019】
一方、磁気テープ駆動部15で走行動作が完了した磁気テープ22は、以下のようにして収容棚21の所定の位置に戻す。まず、磁気テープ搬送系23及び磁気テープを載せていない空の磁気テープ挿抜部24を移動して、空の磁気テープ挿抜部24を磁気テープ駆動部15の挿入口の前方に配置する。次いで、磁気テープ搬送系23を用いて磁気テープ挿抜部24をさらに磁気テープ駆動部15の方向に移動するとともに、磁気テープ駆動部15から磁気テープ22を抜き取る。次いで、磁気テープ搬送系23が収容棚21の方向及び磁気テープの収容位置である左右方向(紙面における垂直方向)に移動するとともに、磁気テープ駆動部15から抜き取った磁気テープ22を載せた磁気テープ挿抜部24を収容棚21に面するように回転移動させる。さらに、磁気テープ22を載せた磁気テープ挿抜部24を収容棚21の磁気テープ22の収容位置の高さまで移動する。次いで、収容棚21の所定位置に磁気テープを挿入するために、さらに磁気テープ搬送系23を収容棚21の方向に移動する。
【0020】
これにより、収容棚の所望の位置への磁気テープの挿抜及び磁気テープ駆動部15への磁気テープ22の挿抜が可能となる。なお、収容棚21への磁気テープの挿抜を行う磁気テープ挿抜部と磁気テープ駆動部15への磁気テープの挿抜を行う磁気テープ挿抜部とをそれぞれ専用の挿抜部として構成し、その間で磁気テープを移動させる搬送部を設けてもよい。また、磁気テープ挿抜搬送部12として、ロボットアーム等の搬送機構を用いてもよい。
【0021】
再び、図1を参照して、磁気テープ情報管理部13は、磁気テープ収容部11で磁気テープの挿抜を行った時間や磁気テープ駆動部15で磁気テープの走行を行った際の時間等の情報を内部のメモリ部に記録するとともに、磁気テープ毎に管理する。磁気テープ情報管理部13は、内部のメモリ部に記録された時間情報を定期的に読み出し、磁気テープが前回走行を行った時間から現在までの経過時間(期間)を磁気テープ毎に算出して求める。こうして求めた期間を予め設定した所定の期間と比較して、その所定期間を経過している磁気テープについては、その時間情報を磁気テープ挿抜制御部14に送信する。なお、磁気テープ情報管理部13としては、パーソナルコンピュータやサーバー等を用い得る。
【0022】
磁気テープ挿抜制御部14は、主に磁気テープ挿抜/走行時間管理部、磁気テープ挿抜指示部及び磁気テープ走行制御部で構成される。磁気テープ挿抜/走行時間管理部は、磁気テープ情報管理部13から送信された磁気テープ毎の時間情報に基づいて、磁気テープ駆動部15で走行させる磁気テープを選択する。磁気テープ挿抜指示部は、選択された磁気テープを磁気テープ駆動部15に搭載するように、磁気テープ挿抜搬送部12に対して指示を与える。磁気テープ走行制御部は、磁気テープ情報管理部13から送信された磁気テープ毎の時間情報に基づいて、磁気テープ駆動部15に搭載された磁気テープの走行条件を決定するとともに、磁気テープ駆動部15の走行動作を制御する。磁気テープ挿抜制御部14としては、パーソナルコンピュータやサーバー等を用い得る。なお、磁気テープ挿抜制御部14において、磁気テープ駆動部15の走行条件を、磁気テープ毎に管理してもよい。また、その情報を、磁気テープ情報管理部13を介して各磁気テープに記録してもよい。
【0023】
磁気テープ駆動部15は、磁気テープ挿抜搬送部12を介して磁気テープ収容部11から搬送された磁気テープを駆動する。磁気テープ挿抜制御部14の制御情報に基づいて、磁気テープを順送り及び/または巻戻しの方向に走行させる。このときの走行速度は、上述のように、磁気テープ情報管理部13からの情報、特に、磁気テープの保存期間や前回の磁気テープの走行動作からの時間等の時間情報に基づいて、予め磁気テープ挿抜制御部14で決定される。磁気テープ駆動部15は、順送り及び/または巻戻しの方向にそれぞれ3段階の走行速度で磁気テープを走行させることができるとともに、並行して磁気テープの記録情報を再生することもできる。なお、磁気テープの走行速度は上記3段階に限られず、磁気テープの保存状態に合わせて種々変更し得る。
【0024】
光ディスク記録部16では、磁気テープ駆動部15で再生された磁気テープの記録情報を搭載されたDVD−R等の光ディスクに記録する。特に保存期間が長く老朽化した磁気テープは磁気テープ駆動部15で走行する際の耐久性が問題となるが、このような磁気テープについては、磁気テープ駆動部で記録情報を再生しながら光ディスクのような他の記録媒体にバックアップ記録を行う。これにより、仮に走行後に磁気テープが使用できない状態となった場合でも、磁気テープに記録されていた情報は別の記録媒体へ保存され以後も再生することが可能となる。なお、磁気テープの記録情報は、一旦ハードディスク等の固定式の記録媒体に固定した後に光ディスクに転送しても構わない。また、磁気テープの記録情報のバックアップ先としては光ディスクに限定されず、MO等の光磁気ディスクやハードディスク、新しい磁気テープ等に記録しても構わない。
【0025】
なお、本実施形態では、磁気テープ情報管理部13と磁気テープ挿抜制御部14とを別の装置として構成したが、1台のコンピュータにこれらの機能を併せ持つような構成にしてもよい。
【0026】
[情報記録再生システムの制御]
次に、本発明の情報記録再生システムの制御方法について、図1及び3を用いて具体的に説明する。図3は、本発明の情報記録再生システムの制御に関するフローチャート図である。
【0027】
まず、磁気テープ情報管理部13において、内部のメモリ部に記録されている複数の磁気テープ(TP1,TP2,TP3,…,TPi)の各時間情報にアクセスし、前回の走行動作からの期間Tを算出する。この時間情報の算出は定期的に行うが、その間隔は任意の値に設定し得る。次いで、前回の走行動作からの期間Tが所定期間T1を経過している磁気テープを選別する(ステップS1)。ここで、所定期間T1として1年程度の期間を設定し得るが、この期間は磁気テープの特性(品質)に合わせて任意に決定し得る。
【0028】
次に、選別した磁気テープを磁気テープ挿抜搬送部12を用いて磁気テープ収容部11から取り出し、磁気テープ駆動部15に搬送し搭載する(ステップS2)。次いで、前回の走行動作からの期間Tが所定期間T1よりも長い所定期間T2(例えば、3年)よりも長いかどうかを判断する(ステップS3)。前回の走行動作からの期間Tがこの所定期間T2よりも短いと判断された場合には、磁気テープ駆動部15に搭載された磁気テープを第1の速度vで早送りする(ステップS4)。早送りの際の走行速度は、例えば、標準の走行速度(再生速度)の約1.5倍とする。
【0029】
一方、前回の走行動作からの期間TがT2よりも長いと判断された場合には、前回の走行動作からの期間Tが期間T2よりも長い所定期間T3(例えば、5年)と比較する(ステップS5)。前回の走行動作からの期間TがT3よりも短いと判断された場合には、磁気テープ駆動部15は磁気テープを標準の走行速度(第2の速度v:再生速度)となるように駆動して再生する。この再生と同時に、再生された情報を光ディスク記録部16の光ディスク(例えば、DVD−R)にバックアップ記録する(ステップS6)。一方、ステップS5で、前回の走行動作からの期間TがT3よりも長いと判断された場合には、磁気テープ駆動部15は磁気テープを標準の走行速度よりも遅い第3の速度v、例えば標準の走行速度の0.7倍程度の速度で駆動して再生する。この再生と同時に、再生された情報を光ディスク記録部16の光ディスクにバックアップ記録する(ステップS7)。
【0030】
このようにして、テープの最後まで早送りされた、または、標準速度若しくは低速で再生された磁気テープは、テープの最初の部分まで巻き戻される(ステップS8)。これとともに、磁気テープの走行動作を行った時間を磁気テープ情報管理部13に記録する(ステップS9)。最初の部分まで巻き戻された磁気テープは、磁気テープ挿抜搬送部12によって磁気テープ駆動部15から磁気テープ収容部11の所定の位置まで搬送され、収容される(ステップS10)。
【0031】
このように、本発明の情報記録再生システムは、磁気テープの保存期間に応じて磁気テープの走行速度を変更するとともに、特に保存期間が長く老朽化した磁気テープについては、安全面を考慮してその記録情報を光ディスク等の他の記録媒体へバックアップ記録することができる。これにより、磁気テープが一時的に情報記録再生システムの管理下から外れた場合でも、磁気テープ情報管理部に前回の走行動作の時間(時刻)等の必要な情報が記録されているので、この情報に基づいて、磁気テープの走行動作を好適な走行速度で行うことができる。また、再生後に磁気テープが使用できなくなっても、光ディスク等にその情報のバックアップデータが保存されているので、必要な情報にアクセス可能である。
【0032】
上記実施形態では、磁気テープ毎に所定期間T1の値を変更し得る。例えば、高品質の磁気テープと低品質の磁気テープとではテープの耐久性等の面で異なるので、低品質の磁気テープに合わせて所定期間T1を決定することになる。しかしながら、高品質の磁気テープでは走行が必要な時期に達していないので、走行の必要のない磁気テープを走行させることになり、無駄な時間が生じてしまう。従って、各磁気テープの品質に応じて所定期間T1を設定することで、効率の良い磁気テープの走行動作が可能となる。
【0033】
上記実施形態では、磁気テープはテープの最初まで巻き戻された状態で収容棚に収容されているが、磁気テープの最後まで巻き取られた状態で収容しておいても構わない。この場合、磁気テープは保存期間に応じた速度で、磁気テープ駆動部によって巻き戻された後、必要に応じて他の記録媒体へバックアップ記録を行いながら、磁気テープを最後まで走行させる。こうすることで、磁気テープの走行動作の度に、未記録領域を含めた最初から最後まで磁気テープを往復で走行させることができる。
【0034】
上記実施形態では、磁気テープ情報管理部13のメモリ部に、磁気テープ収容部11で磁気テープの挿抜を行った時間や磁気テープ駆動部15で磁気テープの走行を行った際の時間等の情報を記録したが、磁気テープ駆動部15で磁気テープを走行させる際に、磁気テープ自体にそれらの情報及び磁気テープのIDを記録するようにしてもよい。磁気テープ駆動部15で磁気テープを駆動する際に、磁気テープ情報管理部13に記録された情報と磁気テープ自体に記録された情報とを、例えば情報管理部13で照合することによって、走行動作を行おうとしている磁気テープが磁気テープ情報管理部13で指示した磁気テープであるかを確認することができる。また、仮に磁気テープが磁気テープ情報管理部13の管理の下から外れた場合でも、他の駆動装置においても磁気テープ中の走行時間等の情報を記録・更新可能にしておいてもよい。これにより、磁気テープが再び磁気テープ情報管理部13の管理下に戻った場合でも、磁気テープ情報管理部13の情報または磁気テープ自体に記録されている情報のいずれかの最新の情報に基づいて、磁気テープの走行の有無や走行条件等を決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、放送局におけるテレビ映像等のバックアップ用情報記録再生システムとして用い得ることはもちろん、磁気テープを用いたデータのバックアップ記録が行なわれる、例えば、大規模データベース等におけるStorage Area Network(SAN)を用いた情報記録再生システムとしても用い得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態における情報記録システムの概略構成図である。
【図2】情報記録システムの磁気テープ挿抜搬送部を主に示した概略構成図である。
【図3】本発明の情報記録再生システムの制御方法を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0037】
1 情報記録再生システム
11 磁気テープ収容部
12 磁気テープ挿抜搬送部
13 磁気テープ情報管理部
14 磁気テープ挿抜制御部
15 磁気テープ駆動部
16 光ディスク記録部
21 磁気テープ収容棚
22 磁気テープ
23 磁気テープ搬送系
24 磁気テープ挿抜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープ用の情報記録再生システムであって、
前記磁気テープが使用されてからの期間を求める手段と;
求めた期間に基づいて、前記磁気テープの走行速度を決定する手段と;
求めた期間が所定期間を経過している場合に、前記決定した走行速度で、前記磁気テープを走行させる手段と;を備える情報記録再生システム。
【請求項2】
さらに、複数の磁気テープの中から前記走行させる磁気テープを選択する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生システム。
【請求項3】
前記複数の磁気テープの収容部に対して選択された磁気テープを挿抜する磁気テープ挿抜手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の情報記録再生システム。
【請求項4】
前記走行速度を決定するために、走行速度を高速から低速にかけて3段階に予め設定しておき、前記求めた期間に応じて3段階のいずれかの速度を選定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報記録再生システム。
【請求項5】
前記磁気テープを走行させる際に、磁気テープを順送り及び/または巻戻しを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報記録再生システム。
【請求項6】
前記磁気テープを走行させる際に、磁気テープの情報を再生すると同時に、再生された磁気テープの情報を他の記録媒体へ記録する装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報記録再生システム。
【請求項7】
前記他の記録媒体が光ディスクであることを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生システム。
【請求項8】
磁気テープの情報記録再生方法であって、
前記磁気テープが使用されてからの期間を求めることと;
求めた期間に基づいて、前記磁気テープの走行速度を決定することと;
求めた期間が所定期間を経過している場合に、前記決定した走行速度で、前記磁気テープを走行させることと;を備える情報記録再生方法。
【請求項9】
磁気テープが使用されてからの期間をTとし、T1<T2<T3を満たす第1の所定期間T1、第2の所定期間T2、第3の所定期間T3を定め、
T1<T≦T2の場合に、磁気テープを第1の速度vで走行させ、
T2<T≦T3の場合に、磁気テープを第2の速度v(<v)で走行させ、
T3<Tの場合に、磁気テープを第3の速度v(<v)で走行させることを特徴とする請求項8に記載の情報記録再生方法。
【請求項10】
第2の速度vが磁気テープの再生速度であることを特徴とする請求項9に記載の情報記録再生方法。
【請求項11】
磁気テープを第2の速度v及び第3の速度vで走行する際に磁気テープの情報を再生すると同時に、再生された磁気テープの情報を他の記録媒体へ記録することを特徴とする請求項9または10に記載の情報記録再生方法。
【請求項12】
前記他の記録媒体が光ディスクであることを特徴とする請求項11に記載の情報記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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