説明

情報記録媒体および情報記録装置

【課題】メモリカード等に電子ペーパーを備えて内部状態を表示する場合、電子ペーパー表示を更新する手段を持たないホスト機器がメモリカードの内部状態を変更すると、電子ペーパーの表示内容がメモリカードの内部状態と一致しなくなる課題がある。
【解決手段】ホスト機器に着脱可能なメモリカード100であって、データのライトまたはイレーズが可能なメモリ手段140と、メモリ手段140の内部状態に関する情報を表示する電子ペーパー手段160と、ホスト機器からのライトまたはイレーズの命令に応じて、電子ペーパー手段160の表示を無効化する表示制御手段150と、を備えることで、誤った情報表示を防止する。また、ライトやイレーズ後に正しい情報を再計算し、電子ペーバー手段160への表示を指示するホスト機器と組み合わせることで、正しい情報が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部状態の表示手段を備えたリムーバブルな情報記録媒体、および、情報記録媒体が装着される情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ媒体、ディスク媒体、不揮発メモリ媒体など、リムーバブルな記録媒体の内部状態を可視化するため、記録媒体の表面に表示手段を設けた記録媒体の例が知られている(特許文献1など)。
【0003】
表示手段には電子ペーパーを用いることで、表示内容を電気的に何度も書換え可能とし、さらに記録媒体の内部に電池等の電源を必要とせずに情報表示を維持できる。電子ペーパーについては特許文献2などの例が知られている。
【0004】
電子ペーパーによる表示手段を備えた記録媒体は、専用の記録再生装置やパソコンなどのホスト機器に記録媒体を装着しなくとも、記録媒体表面の電子ペーパーを用いて、記録媒体の空き容量や記録日時など種々の情報を確認できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−245747号公報
【特許文献2】特開平11−316397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで電子ペーパーの表示内容を更新する方法について、一般的に考えられる2つの方法について説明する。具体例として、メモリカードに映像を記録する用途で、メモリカードの表面には電子ペーパーでメモリカードの空き容量が表示されるものとする。
【0007】
電子ペーパーの表示内容を更新する1番目の方法は、メモリカード自身が電子ペーパーに表示すべき内容を算出して表示する方法である。この方法ではメモリカードの空き容量を算出する手段がメモリカードの内部に必要となる。例えば、メモリカードの内部に小型のマイコンを備え、メモリカードに記録されたファイルシステムの管理情報をマイコンが解釈して空き容量を計算し、この結果を電子ペーパーに表示する、などの方法が考えられる。
【0008】
1番目の方法の利点は、メモリカードが装着されるホスト機器側に電子ペーパーの表示情報を生成する手段が不要となる点である。例えば、メモリカードが装着されるホスト機器としては、映像をメモリカードに記録する専用の記録再生装置の具体例として、カメラやレコーダなどの機材が想定されるが、その他に、一般のパソコンにメモリカードが装着されることも考えられる。
【0009】
一般のパソコンでメモリカード内のファイルを削除した場合でも、1番目の方法であれば、メモリカードの内部でファイルの削除に伴って空き容量が再計算され、ファイル削除後の新しい空き容量が電子ペーパーに表示される。ホスト機器は、メモリカードが電子ペーパーなどの表示手段を備えているか否かに関係なく、単純にファイルの削除だけを行えば、電子ペーパーの表示内容は新たな情報に更新される。
【0010】
しかし1番目の方法は、メモリカードの内部で電子ペーパーの表示情報を生成する手段が必要となる。例えば、前述の空き容量表示にはマイコン等の演算手段が必要である。さらに、最終記録日時などの情報を電子ペーパーに表示する場合は、メモリカードの内部に時計やカレンダー等の手段が必要となる。これらの手段を追加することは、メモリカードのコストアップ要因となり好ましくない。
【0011】
電子ペーパーの表示内容を更新する2番目の方法は、ホスト機器側が電子ペーパーに表示する情報を生成し、この情報を記録媒体に伝達して電子ペーパーの表示を更新させる方法である。
【0012】
2番目の方法では、メモリカードが装着されたパソコンなどのホスト機器側がファイル削除後の空き容量を計算し、その計算結果を記録媒体に伝達して電子ペーパーの表示内容を更新させる。
【0013】
ホスト機器側では一般にメモリカード上のファイルを管理するためのファイルシステムを備えており、ファイル削除後の空き容量を計算することは容易である。従って、この計算結果をメモリカードに伝達し、電子ペーパーに表示させる指示手段があれば、メモリカードの電子ペーパーにファイル削除後の空き容量を表示させることができる。
【0014】
また、ホスト機器は時計やカレンダー機能を有している場合が多く、最終更新日時などの情報をメモリカードに伝達して表示させることも容易である。
【0015】
2番目の方法は、ホスト機器から伝達された情報を電子ペーパーに表示さえすれば良く、1番目の方法と比較してメモリカード側の構成がシンプルになる利点がある。
【0016】
しかしながら、メモリカードが装着可能なホスト機器の種類は、カメラやレコーダなど専用の記録再生装置だけでなく、一般のパソコンなどもホスト機器に含まれる。一般のパソコンは特定のメモリカードに対して電子ペーパーの表示を更新する指示手段が備えてあるとは限らない。このようなパソコンでメモリカード内のファイルを削除しても、メモリカード側の電子ペーパーに表示された空き容量の値は変化せず、ファイル削除前の古い情報がユーザに表示され続けることになる。
【0017】
空き容量の例に限らず、メモリカードの電子ペーパーに種々の情報を表示する場合、電子ペーパー表示を更新する手段を持たないホスト機器が、メモリカードの内部状態を変更すると、電子ペーパーの表示内容がメモリカードの内部状態と一致しなくなる課題がある。
【0018】
本発明ではこの課題に鑑み、リムーバブル記録媒体の電子ペーパー表示を更新させる手段を持たないホスト機器が、リムーバブル記録媒体の内部状態を変更すると、電子ペーパー表示がリムーバブル記録媒体の内部状態と一致しなくなる課題を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の情報記録媒体は、ホスト機器に着脱可能な情報記録媒体であって、データのライトまたはイレーズが可能なメモリ素子と、前記メモリ素子の内部状態に関する情報を表示する情報表示手段と、前記ホスト機器からのライトまたはイレーズの命令に応じて、前記情報表示手段の表示を無効化する表示制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、リムーバブル記録媒体の電子ペーパー表示を更新させる手段を持たないホスト機器が、リムーバブル記録媒体の内部状態を変更すると、電子ペーパー表示がリムーバブル記録媒体の内部状態と一致しなくなる課題を防止する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1における情報記録媒体の構成を表すブロック図
【図2】実施の形態2における情報記録装置の構成を表すブロック図
【図3】実施の形態3における情報記録装置の構成を表すブロック図
【図4】実施の形態3における情報記録媒体の電子ペーパー手段でタイムコードを表示させた例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における情報記録媒体の構成を表すブロック図である。図1において、メモリカード100は、インタフェース手段110と、コマンド解釈手段120と、メモリ制御手段130と、メモリ手段140と、表示制御手段150と、電子ペーパー手段160を含む。
【0024】
以上のように構成された実施の形態1における情報記録媒体について、その動作を説明する。メモリカード100がホスト機器に装着されると、インタフェース手段110を介して、ホスト機器からメモリカード100へコマンドが伝達される。
【0025】
ホスト機器から伝達されるコマンドがリード、ライト、イレーズなどメモリ手段140に対するコマンドの場合、コマンド解釈手段120は、メモリ制御手段130にコマンドを伝達する。メモリ制御手段130は、コマンドの内容に応じてメモリ手段140に対してリード、ライト、イレーズなどを実行する。
【0026】
ホスト機器から伝達されるコマンドが、電子ペーパー手段160に情報を表示させるコマンドの場合、コマンド解釈手段120は、表示制御手段150へコマンドを伝達する。表示制御手段150は、コマンドの内容に応じて電子ペーパー手段160に情報を表示させる。
【0027】
ここで、実施の形態1における情報記録媒体は、ホスト機器から伝達されるコマンドがライトやイレーズなど、メモリ手段140の内部状態を変化させるコマンドの場合、自発的に電子ペーパー手段160の表示を無効化する特徴を有する。
【0028】
以下、この特徴的な機能について説明する。今、メモリカード100には、専用のホスト機器、例えばカメラやレコーダなどの機器で、複数の映像素材がファイルとして記録済みの状態であるとする。メモリカード100の電子ペーパー手段160には、メモリ手段140の内部状態に関する情報が表示されている。
【0029】
表示される情報としては、例えば、メモリ手段140の空き容量、記録可能な空き時間、記録済みの容量、記録済みの時間、これまでの書換え回数、残りの書換え可能な回数、最終記録日時、収録された映像素材の数、最後に収録された映像や音声のタイムコード、など種々の情報が想定される。これらの情報のうち、電子ペーパー手段160には複数の種類の情報が表示されても良いし、いずれかの1つの情報だけを取り扱うように設計しても良い。
【0030】
次に、メモリカード100が、カメラやレコーダなど専用のホスト機器から外され、一般のパソコンに装着されたとする。カメラやレコーダなど専用のホスト機器だけでなく、一般のパソコンでも、ユーザはメモリカード100に収録された映像ファイルを閲覧したり削除したりできる。
【0031】
ここで、ユーザが映像ファイルを削除する操作を行なうと、メモリカード100にはパソコンからインタフェース手段110を介して、ライトやイレーズなどのコマンドが伝達される。これらのコマンドはコマンド解釈手段120で解釈され、メモリ制御手段130へ伝達される。メモリ制御手段130は伝達されたコマンドに従って、メモリ手段140をライトやイレーズする。
【0032】
さらにコマンド解釈手段120は、ホスト機器から伝達されたコマンドが、ライトやイレーズなど、メモリ手段140の内部状態を変化させるコマンドの場合、コマンド解釈手段120が自ら表示制御手段150に特別なコマンドを発行する。その特別なコマンドは、電子ペーパー手段160の表示を無効化させる指示であり、特別なコマンドを受理した表示制御手段150は、電子ペーパー手段160にそれまで表示されていた情報を無効な表示に変更する。
【0033】
一方で、ホスト機器から伝達されたコマンドが、リードやステータス取得など、メモリ手段140の内部状態を変化させないコマンドの場合、コマンド解釈手段120は特別なコマンドを表示制御手段150に発行せず、電子ペーパー手段160の表示は維持される。
【0034】
この機能によって、電子ペーパー手段160の表示は次のように変化する。例えばメモリカード100の空き容量が電子ペーパー手段160に表示されているとする。ユーザがパソコンでメモリカード100の映像ファイルを閲覧し、その後、メモリカード100をパソコンから取り外しても、メモリカード100の空き容量表示は何も変化せず、電子ペーパー手段160には正しい空き容量が表示されている。
【0035】
次に、ユーザがパソコンでメモリカード100の映像ファイルを削除すると、前述のライトまたはイレーズなどのコマンドがパソコンからメモリカード100へ伝達されるため、電子ペーパー手段160の空き容量表示は無効な表示に変化する。
【0036】
ユーザは、メモリカード100をパソコンから取り外し、電子ペーパー手段160の表示を見ると、表示内容が無効化されていることがわかる。ユーザには、メモリカード100の内部状態と電子ペーパー手段160の表示内容が一致していないことが認識され、これによって、誤った空き容量、例えばファイル削除前の空き容量がユーザに表示される状態を防止できる。
【0037】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。前述の実施の形態1で情報記録媒体が自らの電子ペーパー表示を無効化することで、ユーザに誤った情報が表示される状態が防止された。実施の形態2では、さらに情報記録媒体の電子ペーパー表示を正しい情報に更新する方法について説明する。
【0038】
図2は実施の形態2における情報記録装置の構成を表すブロック図である。図2において、ホスト機器200は、CPU手段210と、バス手段220と、メディアインタフェース手段230と、AV信号処理手段250と、AV信号入出力手段260を含む。ホスト機器200にメモリカード270が装着される。
【0039】
以上のように構成された実施の形態2における情報記録装置について、その動作を説明する。メディアインタフェース手段230には、実施の形態1で説明したメモリカード等の情報記録媒体が接続され、メモリカード270として表されている。
【0040】
AV信号入出力手段260には撮像素子やレンズ、マイクロフォンなど、映像や音声を入力するための手段や、モニタやスピーカーなど、映像や音声を出力するための手段が設けられている。AV信号処理手段250は、映像や音声に関する信号処理を行い、エンコーダやデコーダなどの機能も含まれている。
【0041】
CPU手段210は一般的な演算プロセッサ、メインメモリ、および、CPU手段を動作させるためのプログラムを格納する記憶領域などを含んでいる。CPU手段210には所望のデータを記録媒体にファイルとして記録するためのファイルシステムが搭載されている。
【0042】
映像や音声をメモリカードに記録する場合、AV信号入出力手段260から入力された映像や音声は、AV信号処理手段250で信号処理され、圧縮されたディジタルのAVデータとなる。これらのAVデータはバス手段220を介して、CPU手段210によってファイルとしてメモリカード270に記録される。
【0043】
ファイル記録後、CPU手段210はファイルシステムでメモリカードの空き容量を再計算し、空き容量を電子ペーパーに表示させるコマンドをメモリカード270に発行する。
【0044】
メモリカード270は映像や音声が記録された際に、ライトのコマンドが伝達されたことで、電子ペーパー表示が無効な表示になっている。しかし、映像や音声の記録後に、ホスト機器200のCPU手段210が、新たな空き容量をコマンドで伝達したことで、AVデータ記録後の新たな空き容量が電子ペーパーに表示される。この状態で、ホスト機器200からメモリカード270を取り外すと、電子ペーパーにはAVデータ記録後の正しい空き容量が表示されている。
【0045】
次に、メモリカード270に記録された映像や音声のファイルを削除した場合について説明する。ユーザがホスト機器200を操作して、メモリカード270の映像や音声のファイルを削除すると、CPU手段210はファイルシステムの管理情報を更新するために、メモリカード270に対してライトまたはイレーズなどのコマンドを発行する。
【0046】
これによって、メモリカード270の電子ペーパー表示は、一時的に無効な表示になる。しかし、CPU手段210はファイル削除後の空き容量をファイルシステムで再計算し、この計算結果を電子ペーパーに表示させるコマンドでメモリカード270へ伝達する。メモリカード270は、送られてきた新たな空き容量の値を電子ペーパーに表示する。
【0047】
この状態で、ホスト機器200からメモリカード270を取り外すと、電子ペーパーにはファイル削除後の正しい空き容量が表示されており、ユーザに正しい情報が提供される。
【0048】
以上のように、実施の形態2では、電子ペーパー表示が無効化されたメモリカードに対して、ホスト機器が正しい情報表示に更新する。
【0049】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。前述の実施の形態1と実施の形態2ではメモリカードの電子ペーパー手段に空き容量を表示する事例で説明したが、実施の形態3では映像や音声の記録用途に便利なタイムコードを表示する方法について説明する。
【0050】
図3は実施の形態3における情報記録装置の構成を表すブロック図である。図3において、ホスト機器300は、CPU手段310と、バス手段320と、メディアインタフェース手段330と、タイムコード生成手段340と、AV信号処理手段350と、AV信号入出力手段360を含む。ホスト機器300にメモリカード370が装着される。
【0051】
以上のように構成された実施の形態3の情報記録装置について、その動作を説明する。タイムコード生成手段340は映像や音声のタイムコードを生成する。
【0052】
タイムコードの例としては、米国のSMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)が定めた、SMPTEタイムコードなどがあり、映像や音声の位置を時:分:秒:フレームからなる4つの数値で表わす。
【0053】
図4は実施の形態3の情報記録媒体であるメモリカード370の電子ペーパー手段でタイムコードを表示させた例を表した図である。図4(a)から(d)までは、それぞれがメモリカードを表しており、各メモリカードには、タイムコードが電子ペーパーで表示されている。
【0054】
図4(a)はタイムコードの値が、時:分:秒:フレーム=00時:00分:00秒:00フレームを表している。図4(b)はタイムコードの時:分:秒:フレームの値が、無効な表示になっている。図4(c)はタイムコードの値が、時:分:秒:フレーム=12時:34分:56秒:20フレームを表しており、さらに反転表示になっている。図4(d)はタイムコードの値が、時:分:秒:フレーム=00時34分56秒20フレームを表している。
【0055】
タイムコードは収録された映像や音声に対して、任意の位置を指し示す情報であり、映像や音声のアドレスに相当する。最後に記録された映像や音声のタイムコードが、メモリカード等の記録媒体の電子ペーパーに表示されていれば、メモリカード内の映像や音声を再生しなくても、収録済みの位置が特定できるため有益である。
【0056】
図3において、メディアインタフェース手段330には、実施の形態1で説明したメモリカード等の情報記録媒体が接続され、メモリカード370として表されている。ただし、メモリカード370の電子ペーパー手段には、タイムコードが表示される。
【0057】
映像や音声がメモリカードに記録される処理について説明する。図3において、AV信号入出力手段360には撮像素子やレンズ、マイクロフォンなど、映像や音声を入力するための手段や、モニタやスピーカーなど、映像や音声を出力するための手段が設けられている。AV信号処理手段350は、映像や音声に関する信号処理を行い、エンコーダやデコーダなどの機能も含まれている。
【0058】
CPU手段310は一般的な演算プロセッサ、メインメモリ、および、CPU手段を動作させるためのプログラムを格納する記憶領域などを含んでいる。CPU手段310には所望のデータを記録媒体にファイルとして記録するためのファイルシステムが搭載されている。
【0059】
映像や音声をメモリカードに記録する場合、AV信号入出力手段360から入力された映像や音声は、AV信号処理手段350で信号処理され、圧縮されたディジタルのAVデータとなる。このとき、タイムコード生成手段340で生成されるタイムコード情報は、AV信号処理手段350、または、CPU手段310に伝達され、AVデータにタイムコード情報が付加される。
【0060】
これらのAVデータはバス手段320を介して、CPU手段310によってファイルとしてメモリカード370に記録される。記録終了時にCPU手段310は、最後に記録された映像や音声の最終フレームのタイムコードを、タイムコード生成手段340やAV信号処理手段350から取得する。CPU手段310は、タイムコードの値を電子ペーパーに表示させるため、電子ペーパーに情報を表示させるコマンドと供にタイムコードの値をメモリカード370に伝達する。
【0061】
メモリカード370は映像や音声が記録された際に、AVデータを記録するためのライトのコマンドが伝達されたことで、電子ペーパー表示が無効な表示になっている。無効な表示とは、例えば図4(b)に示すように、タイムコードの値が数値以外の文字や記号で表現され、タイムコードの値が無効であることを意味する表示である。
【0062】
しかし、映像や音声の記録後に、図3のホスト機器300のCPU手段310が、タイムコードの値を電子ペーパーに表示させるコマンドをメモリカード370に伝達したことで、最後に記録された映像や音声の最終フレームのタイムコードが、図4(d)に示すように、電子ペーパーに表示される。
【0063】
この状態で、図3のホスト機器300からメモリカード370を取り外すと、電子ペーパーには最後に記録された映像や音声の最終フレームのタイムコードが表示されている。ユーザはメモリカード370に表示されたタイムコードを見て、どの位置まで映像や音声が記録されているかを知ることができる。
【0064】
次に、メモリカード370に記録された映像や音声のファイルを削除した場合について説明する。ユーザがホスト機器300を操作して、メモリカード370の映像や音声のファイルを削除すると、CPU手段310はファイルシステムの管理情報を更新するために、メモリカード370に対してライトまたはイレーズなどのコマンドを発行する。これによって、メモリカード370の電子ペーパー表示は、一時的に無効な表示になる。
【0065】
しかし、CPU手段310はファイル削除後にメモリカード370に残ったファイルの中から、最後に記録されたファイルとなる映像や音声のファイルを調べ、その最終フレームのタイムコードをファイルから読み出す。そしてCPU手段310は、読み出したタイムコードの値を電子ペーパーに表示させるコマンドと供にメモリカード370に伝達する。
【0066】
これによって、メモリカード370の電子ペーパーには、ファイル削除後にメモリカード内に残ったファイルの中で、最後に記録された映像や音声の最終フレームのタイムコードに表示が更新される。
【0067】
この状態で、ホスト機器300からメモリカード370を取り外すと、電子ペーパーにはファイル削除後に残ったファイルの中で、最後に記録された映像や音声のタイムコードが表示されており、ユーザに正しい情報が提供される。
【0068】
なお、ホスト機器300がメモリカード370をフォーマットする機能、すなわち、ファイルシステムの管理情報を初期化する機能を有する場合、フォーマット処理の際にCPU手段310は、ファイルシステムの管理情報を更新するために、メモリカード370に対してライトまたはイレーズなどのコマンドを発行する。
【0069】
これによって、メモリカード370の電子ペーパー表示は、一時的に無効な表示になる。しかし、フォーマット処理後に、CPU手段310は、電子ペーパーにタイムコードの値として、時:分:秒:フレーム=00時:00分:00秒:00フレームという値を表示させても良い。これによって、フォーマット直後の未記録のメモリカードは、図4(a)の表示に示すように、タイムコードがオールゼロの表示になり、ユーザはメモリカードが未記録の状態であることが分かる。
【0070】
メモリカードがフォーマット後の未記録状態であることを示す方法はこの表示方法に限らず、タイムコードの欄にアルファベットや記号など、タイムコードの数字ではない表示をすることで表現しても良い。
【0071】
タイムコードの他に、空き容量や最終更新日時を表示するメモリカードの場合も同様に、本来の表現とは区別できる表示を行うことで、ユーザはメモリカードがフォーマット後の未記録状態であることが分かる。
【0072】
なお、ホスト機器300がメモリカード370に映像や音声を記録した際に、カード容量を使い切り、これ以上の映像や音声を記録できないフル記録状態になった場合は、前述のように、最後に記録された映像や音声の最終フレームのタイムコードを、メモリカードの電子ペーパーに表示させるだけでなく、図4(c)に示すように、タイムコードの表示を反転表示にしても良い。これによって、ユーザは最後に記録された映像や音声のタイムコードが分かるだけでなく、メモリカードがフル記録状態であることも分かる。
【0073】
なお、図3のタイムコード生成手段340は、SMPTEタイムコードの例で説明したが、一般的な年月日時分秒をあらわすタイムコードでも良い。これに合わせて、メモリカードの電子ペーパーには、最後に映像や音声が記録された終了日時を一般的な年月日時分秒として表示しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明にかかる情報記録媒体および情報記録装置は、電子ペーパーなどの表示手段を備えたリムーバブルな記録媒体に利用され、さらに、表示手段に正しい情報を表示させる情報記録装置に利用される。
【符号の説明】
【0075】
100 メモリカード
110 インタフェース手段
120 コマンド解釈手段
130 メモリ制御手段
140 メモリ手段
150 表示制御手段
160 電子ペーパー手段
200、300 ホスト機器
210、310 CPU手段
220、320 バス手段
230、330 メディアインタフェース手段
250、350 AV信号処理手段
260、360 AV信号入出力手段
270、370 メモリカード
340 タイムコード生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト機器に着脱可能な情報記録媒体であって、
データのライトまたはイレーズが可能なメモリ素子と、
前記メモリ素子の内部状態に関する情報を表示する情報表示手段と、
前記ホスト機器からのライトまたはイレーズの命令に応じて、前記情報表示手段の表示を無効化する表示制御手段と、
を備える情報記録媒体。
【請求項2】
前記メモリ素子の内部状態に関する情報は、前記情報記録媒体の空き容量、前記情報記録媒体のデータを最後に更新した最終更新日時、または、前記情報記録媒体に最後に記録された映像または音声のタイムコード、のいずれかを表す
請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
請求項1に記載の情報記録媒体が装着される情報記録装置であって、
前記情報記録媒体にファイルを作成または削除するためのファイルシステムと、
前記情報記録媒体にファイルを作成または削除した後に、前記情報記録媒体の空き容量を計算し、前記空き容量の情報を前記情報記録媒体の情報表示手段に表示させる指令を発行する制御手段と、
を備える情報記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報記録媒体が装着される情報記録装置であって、
前記情報記録媒体に映像や音声をタイムコードと供に記録する記録手段と、
前記情報記録媒体に映像や音声を記録した後に、最後に記録した映像または音声のタイムコードを計算し、前記タイムコードの情報を前記情報記録媒体の情報表示手段に表示させる指令を発行する制御手段と、
を備える情報記録装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報記録媒体が装着される情報記録装置であって、
前記情報記録媒体のファイルシステム管理情報を初期化する初期化手段と、
前記情報記録装置は、前記情報記録媒体のファイルシステム管理情報を初期化した後に、フォーマット済みの未記録状態であることを示す情報を前記情報記録媒体の情報表示手段に表示させる指令を発行する制御手段と、
を備える情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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