説明

情報記録媒体判別装置

【課題】 光ディスクとしてのCD及びDVDのディスク表面から情報記録面までの距離を検出して光ディスクの種類を判別する情報記録媒体判別装置に関する。
【解決手段】 情報記録面までの距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現してからの時間の計時値、対物レンズの所定位置から移動値、及びフォーカスドライブ電圧値を夫々検出し、設定された規定計時値、規定移動値及び規定フォーカスドライブ電圧値とを比較する判断手段とを有する光ディスクの種類を判別する情報記録媒体判別装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【0001】
【0002】
【産業上の利用分野】光ディスクとしてのCD及びDVDのディスク表面から情報記録面までの距離を検出して光ディスクの種類を判別する情報記録媒体判別装置に関する。
【0003】
【0002】
【0004】
【従来の技術】従来、CD(Compact Disk)とLD(LASER Disk)を一台の再生装置で再生することが可能な、CD/LDコンパチブル再生装置が一般化している。このCD/LDコンパチブル再生装置は、光ディスクの表面から情報記録面までの距離がCDとLDで共通(共に1.2mm)であるため、一つの焦点位置に光ビームを集光させる光ピックアップを用いて双方のディスクの再生が可能である。
【0005】また、上記のCD/LDコンパチブル再生装置において、再生装置に載置された光ディスクがCDかLDかを判別する場合には、CDとLDの直径の差を検出して、光ディスクの種類を判別することが可能であった。
【0006】
【0003】近年、従来のCDよりも記憶密度を飛躍的に向上させ、一本の映画等が記録可能な高密度記録媒体であるDVD(Digital Video Disk又はDigital Versatile Disk)の開発が盛んである。このDVDは、光ディスクの表面から情報記録面までの距離がCDは1.2mmであるのに対してDVDは略0.6mmと異なるが、情報を担う記録ピットの読取り原理がCDと同一であることから、DVDとCDの双方を再生することが可能なCD/DVDコンパチブル再生装置の提案が盛んに行われている。
【0007】このCD/DVDコンパチブル再生装置には各光ディスクの情報記録面上で情報読取りビームが最適に集光するように、光ディスクの種類に応じて焦点距離を変えた2種類のレンズを交換する方式の再生装置や、ホログラム素子による二焦点レンズを用いたCD/DVDコンパチブル再生装置が提案されている。
【0008】
【0004】例えば、このホログラム素子(回折格子)を用いた二焦点レンズ12は図8(a)に示すように、回折格子13と対物レンズ11を同一光路上に配置したもので、コリメータレンズ14で平行光線とされた光ビームを回折格子13により0次光と±1次光の三つのビームに分光(−1次光は図示せず)し、このうち0次光と+1次光の光路長の差を利用して、当該0次光と+1次光を同一線上の異なる位置に焦点を結ばせるものである。
【0009】具体的には、DVD又はCDの情報記録面に対して0次光と比較して+1次光の方が対物レンズ11から遠い位置に焦点を結ぶように構成されているので、0次光がDVDの情報記録面に最適に集光すると共に、+1次光がCDの情報記録面に最適に集光する様に設定されている。
【0010】
【0005】例えば、この二焦点レンズを用いた光ピックアップを徐々に光ディスクから遠ざける場合を考えると、最初に0次光のビームが光ディスクの情報記録面に照射され、ディスク再生装置の光ピックアップに設けられた図示せぬ4分割フォトダイオードから、フォーカスエラー信号であるS字信号が出力される。更に、光ピックアップを遠ざけると、+1次光の光ディスクからの反射光が0次光の光路を戻ることによって生じる疑似的なS字信号が得られる。そして、最後に+1次光に対応するS字信号が得られる。
【0011】図8(b)は、二焦点レンズを光ディスクから規定速度で遠ざけた場合に、上述した、0次光のS字信号、疑似のS字信号及び+1次光のS字信号の出現の様子を示したものである。0次光と+1次光の分光比は略に1:1としている。
【0012】
【0006】しかるに、二焦点レンズの場合は、0次光の最適集光はDVDに対してなされ、+1次光の最適集光はCDに対して成されるので、0次光によるフォーカスS字信号の大きさを、DVDの情報記録面に照射された場合を100%とすると、CDの情報記録面に照射された場合は100%とならず小さいものとなる。同様に、+1次光によるフォーカスS字信号の大きさを、CDの情報記録面に照射した場合を100%とすると、DVDの情報記録面に照射された場合は、100%とならず、小さいものとなる。このように、二焦点レンズの場合は、光ピックアップによって検出されるフォーカスエラー信号の振幅値が異なり、DVDディスクの場合の0次光と+1次光の比、0次光/+1次光は、CDディスクの0次光と+1次光の比、0次光/+1次光よりも大きくなる。
【0013】
【0007】
【0014】
【発明が解決しようとする課題】また、CD/DVDコンパチブル再生装置では、再生前の立上げ動作として、再生すべき光ディスクの種類に応じて最適なフォーカスサーボを行うためのフォーカスサーボ制御が必要となる。このフォーカスサーボ動作は、光ディスクに対して垂直な方向に光ピックアップを所定量移動させ、その際に得られるフォーカスエラー信号(FE信号)に基づいて最適なフォーカス位置を検出し、フォーカスイン(閉路)する。しかし、CD又はDVDに対してフォーカスインさせる最適のS字信号は1つであるが、ホログラム素子による二焦点レンズを用いたCD/DVDコンパチブル再生装置の場合は、光ピックアップから複数のフォーカスエラー信号(0次光のS字信号、疑似のS字信号及び+1次光のS字信号)が得られるため、最初に検出したS字信号でフォーカスインすると言う問題が生じてくる。
【0015】
【0008】そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたもので、CD/DVDコンパチブル再生装置において、CDとDVDを判別すると共に、得られたフォーカスエラー信号の中から最適なS字信号にフォーカスインすることが可能な情報記録媒体判別装置を提供することにある。
【0016】
【0009】
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、情報記録媒体の表面から記録情報が記録された情報記録面までの距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、同一光軸上の異なる位置に焦点を結ぶ複数の光ビームを情報記録面に夫々照射する照射手段と、複数の光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズと、対物レンズをフォーカス方向に所定の速度で駆動する対物レンズ駆動手段と、対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現してからの時間を計時する計時手段と、計時手段にて計時された時間が所定時間になったかどうかを検出する検出手段と、検出手段により検出された後に得られるフォーカスエラー信号のレベルと、設定された基準レベルとを比較する判断手段とを有することを特徴とする。
【0018】
【0010】請求項2に記載の発明は、情報記録媒体の表面から記録情報が記録された情報記録面までの距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、光ビームを情報記録面に夫々照射する照射手段と、光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズと、対物レンズをフォーカス方向に所定の速度で駆動する対物レンズ駆動手段と、対物レンズ駆動手段に移動された対物レンズの所定位置から移動位置を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて情報記録媒体の判別を行うことを特徴とする。
【0019】
【0011】請求項3記載の発明は、請求項2記載の情報記録媒体判別装置において、検出手段は、対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現したときのフォーカスドライブ電圧値を検出し、判別手段は、検出手段にて検出されたフォーカスドライブ電圧値と予め設定された基準電圧値とを比較して判別を行なうことを特徴とする。
【0020】
【作用】
【0021】
【0012】本発明は、情報記録媒体の表面から記録情報が記録された情報記録面までの距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現してからの時間を計時し、計時された時間が所定時間になった後に得られるフォーカスエラー信号のレベルと、設定された基準レベルとを比較するようにしたので、得られたフォーカスエラー信号のレベルにより、情報記録媒体の種類を判別すると共に、最適なS字信号にフォーカスインすることが可能となる。
【0022】
【0013】また、本発明は、情報記録媒体の表面から記録情報が記録された情報記録面間での距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現した時の対物レンズの移動位置を検出し、得られた移動位置により、情報記録媒体の種類を判別すると共に、最適なS字信号にフォーカスインすることが可能となる。
【0023】
【0014】また、本発明は、情報記録媒体の表面から記録情報が記録された情報記録面までの距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現した時のフォーカスドライブ電圧値を検出し、検出されたフォーカスドライブ電圧値と予め設定された基準電圧値とを比較するようにしたので、得られたフォーカスドライブ電圧値により、情報記録媒体の種類を判別すると共に、最適なS字信号にフォーカスインすることが可能となる。
【0024】
【0015】
【0025】
【実施例】図1は、本発明の第1実施例による情報記録媒体判別装置のブロック図である。符号20は、再生用の光ディスクであり、スピンドルモータ21により駆動される。また、符号22は、二焦点レンズを用いた光ピックアップであり、光ディスク20の情報記録面上に担持されたピットを光ビームにより情報を読み取っている。この光ピックアップ22の出力信号は、FE生成回路23に供給され、得られたフォーカスエラー信号以外の高周波領域の不要な信号を取除いた後、ピークホールド回路24に供給される。このピークホールド回路24は、例えば、フォーカスエラー信号の正極側の最大振幅値の電圧をほぼ一定に保持する回路である。一方、光ピックアップの出力信号は、RFOK生成回路37にも供給される。RFOK生成回路37では、フォーカス合算信号を生成し、このフォーカス合算信号が所定の閾値を越えた時、マイコン25の制御部にRFOK信号を供給する。
【0026】
【0016】ピークホールド回路24は、マイコン25の制御部にピークホールド値を出力する。ピークホールド値は、マイコン25からのピークホールド電圧リセット信号(ピークホールド電圧RST信号)により、リセットされ、別のフォーカスエラー信号が供給された場合は、その時供給されるフォーカスエラー信号の正極側の最大振幅値にピークホールドされる。また、FE生成回路23の出力信号は、FZC発生回路26に供給される。このFZC発生回路26は、一般にオペアンプ等で構成されるゼロスクロスコンパレータであり、ゼロクロス検出パルス(FZC信号)を出力し、マイコン25に供給する。また、FE生成回路23の出力信号は、フォーカスサーボループ系のFE信号となりループスイッチ27においてON(閉路)/OFF(開路)制御される。
【0027】
【0017】このループスイッチ27の制御は、マイコン25からの指令(FEシャント信号)で行われ、ループスイッチがONしている場合は、フォーカスサーボループが閉回路になり、FE生成回路23、マイコン25、サーボコントロール回路28、サーボコイル駆動回路29及びアクチュエータコイル30の閉回路の状態で自動的にフォーカスサーボが行われる。また、ループスイッチ27がOFFされている場合は、マイコン25の指令により、フォーカスコイル駆動回路29によりアクチュエータコイル30に駆動電圧が供給され対物レンズ(以下レンズと呼ぶ)を規定速度で上昇又は降下動作が行われる。また、マイコン25には各種検出回路から検出した信号(時間値や電圧値等)、及び検出された信号により求めた規定値(時間値や電圧値等)を記憶するためのRAM32や、情報記録媒体判別装置が必要とする規定値(時間値や電圧値等)が予め記憶されているROM33が設けられている。
【0028】
【0018】図2は、本発明の第1実施例の動作タイムチャート図である。本発明の実施例に用いられる、二焦点レンズは、従来例で説明した二焦点レンズであり、回折格子13における0次光と+1次光の分光比を略1:1、に設定したものを用いている。この二焦点レンズを用いた場合、レンズの上下動によって、得られるフォーカスエラー信号であるS字信号(0次光と+1次光)の最大振幅の関係は、以下に示す大小関係になる。即ち、(FED0/FED1)>(FEC0/FEC1)
ここで用いられる記号は、以下の通りである。
FED0:DVDの0次光によるS次信号の最大振幅電圧値FED1:DVDの+1次光によるS次信号の最大振幅電圧値FEC0:CDの0次光によるS次信号の最大振幅電圧値FEC1:CDの+1次光によるS次信号の最大振幅電圧値
【0029】
【0019】また、図2(a)に用いられる記号で、SFDは、フォーカスドライブ電圧であり、レンズの位置電圧である。また、レンズを最大に上昇(光ディスクに接近する方向)させることが可能な位置を最大上昇位置と呼び、記号UH で示している。また、レンズが最大に降下(光ディスクから遠ざかる方向)することが可能な位置を最大降下位置と呼び、記号UL で示している。
【0030】(b)及び(c)は、レンズが最大上昇位置から降下する動作の中で得られるフォーカスエラー信号であるS字信号の振幅電圧の様子を示している。ここで用いられるTH1は、S字信号を検出するために情報記録媒体判別装置のROM33に、予め設けられた閾値(TH)であり、TH1は、少なくともDVD及びCDの0次光により得られるS字信号の最大振幅電圧以下に設定されている。そしてFZC信号は、このTH1と比較され出力される。
【0031】
【0020】また、TH2は、CDの+1次光によるS次信号の最大振幅電圧とDVDの+1次光によるS次信号の最大振幅電圧のほぼ中間値、即ち、FEC1>TH2>FED1の関係が成立する数値に規定している。規定の仕方は、予め閾値(TH2)をROMに設ける場合の他、0次光によるS字信号レベルに予め決められた係数を乗算することによって求めることもできる。この場合は、ディスクの反射率に影響されないものとなる。また、T1及びT2はマイコン25の内部に設けられたタイマーによる計時時間であり、T1は、0次光によるS字信号より作られたFZCから0次光のピーク電圧を測定した後、ピーク電圧をリセットするまでの時間であり、例えば疑似S字信号が大きい場合、ピーク電圧を測定した後、疑似S字信号を通過し疑似光と+1次光の中間付近までの時間とすると疑似S字信号がマスクされることとなる。また、T2は、前記FZCから+1次光のS字信号を通過し、+1次光のピーク電圧を測定した後までの時間、或いは、レンズが最大降下位置(UL )に至までに要する時間である。
【0032】
【0021】また、図2(d)及び(e)は、S字信号のゼロクロス信号を検出した時に、FZC発生回路26から得られるゼロクロス検出パルスと、マイコン25から供給されるリセットパルス(FCS)を示している。また、(f)は、ピークホールド回路24の出力信号の様子を示している。記号V1は、ピークホールド回路24の出力電圧であり、0次光により発生したS字信号の最大振幅値をピークホールドした時の波形であり、測定点である。V2は+1次光により発生したS字信号の最大振幅値をピークホールドした時の波形であり測定点である。
【0033】
【0022】では、ここで本発明の第1実施例の動作を図1乃至図3を用いて説明する。
【0034】先ず、図3に示す、フローチャート図において、ステップS1で情報記録媒体判別装置の規定位置に光ディスクを載置する。その後、ステップS2に移行して、載置されたディスクの初期動作として、ループスイッチ27をOFFさせ、レンズを規定最大上昇位置(UH )まで上昇させる。次いで、ステップS3に移行して、ピークホールド電圧をリセットし、レンズを規定最大上昇位置(UH )から、規定最大降下位置(UL )まで、規定速度でレンズを降下させる。その後、ステップS4に移行し、レンズが降下する間に光ピックアップ22から検出されるフォーカスエラー信号であるS字信号の最大振幅電圧(SFE)が、TH1を越えるか否かを監視し、SFE≧TH1の条件が満足するまで、監視を継続する。これは、FZC信号によって監視している。
【0035】
【0023】ステップS4において、SFE≧TH1の条件が満足された場合(ステップS4;YES)には、マイコン25に設けられたタイマーの計時を開始する(ステップS5)。そして、ステップS6に移行し、一定時間後、ピークホールド回路24により最初に得られたS字信号の最大振幅電圧の正極側の最大電圧(ピーク値)値をV1として、RAM32に記憶する。そして、ステップS7において、タイマーの計時時間Tが、予めROM33に記憶されている規定時間T1と比較し、T≧T1の条件が満足するまでタイマーの計時を継続する。上記T≧T1の条件が満足された場合(ステップS7;YES)には、ステップS8に移行し、マイコン25からリセットパルスを出力し、ピークホールド回路24に保持されているピークホールド電圧V1を略0Vまで放出させる。
【0036】
【0024】その後、ステップS9に移行し、ステップS7と同様に、タイマーによって計時されていた計時時間Tが、予めROMに記憶されている規定時間T2と比較し、T≧T2の条件が満足するまでタイマーの計時を継続する。上記T≧T2の条件が満足した場合(ステップS9;YES)には、ステップS10に移行する。ステップS10において、タイマーの計時時間がT2を経過した後、ピークホールド回路24にピークホールドされている電圧値をV2として、RAM32に記憶する。次いで、ステップS11に移行し、ピークホールド回路24の出力電圧V2とROM33に記憶されている規定閾値(TH2)を比較し、V2≧TH2条件が満足する場合(ステップS11;YES)には、ステップS13に移行し、光ディスクがCDであると判断される。また、V2≧TH2の条件が満足されない場合(ステップS11;NO)には、ステップS12に移行し、光ディスクがDVDであると判断される。
【0037】
【0025】その後、ステップS14に移行し、レンズの位置を監視する。即ち、レンズの位置情報(SFD)により、SFD≧UL の条件を満足するまで、レンズの降下を持続する。そして、SFD≧UL の条件が満足された場合(ステップS14;YES)には、ステップS15に移行し、タイマーをリセットする。その後、ステップS16に移行し、レンズを上昇させる。そして、ステップS17において、レンズの位置を監視し、SFD≧UH の条件が満足するまで、レンズの上昇を継続する。SFD≧UH の条件が満足した場合(ステップS17;YES)には、ステップS18に移行し、レンズを降下させる。ステップS18において、レンズの降下が開始されると、ステップS19に移行し、最初に得られるS字信号をSFE≧TH1の条件で監視する。これはFZC信号によって監視している。
【0038】
【0026】この監視動作は、SFE≧TH1の条件が満足するまで継続され、条件が満足された場合(ステップS19;YES)には、ステップS20に移行し、上述したステップS11で、光ディスクがCDであると判断されている場合は、ステップS21に移行され、光ディスクがDVDであると判断されている場合は、ステップS23に移行される。ステップS20において、光ディスクがCDの場合(ステップS20;YES)には、ステップS21において、タイマーの計時を開始する。その後、ステップS22でタイマーの計時時間T1を監視し、T≧T1の条件が満足するまで計時を継続する。そして、T≧T1の条件が満足された場合(ステップS22;YES)には、ステップS23に移行する。
【0039】
【0027】ステップS23において、ループスイッチがフォーカスゼロクロスによりON状態になるようにし、ステップS24において、マイコン25からの指令に基づき、ループスイッチ27をON状態にしてフォーカスサーボ回路を閉回路にし、ステップS25に移行し、一連の光ディスク判別動作及びフォーカスイン動作を終了する。また、ステップS20において、情報記録媒体判別装置に載置された光ディスクがステップS11において、DVDであると判別されている場合(ステップS20;NO)には、ステップS23に移行され、上述した、ステップS24、S25を経て一連の光ディスク判別動作及びフォーカスイン動作を終了する。
【0040】
【0028】尚、ステップS11において、ピークホールド回路24の出力電圧値と予めROM33に設けた閾値(TH2)を比較して光ディスクの種類を判別したが、上述したように0次光及び+1次光のS字信号の最大振幅値との間に、(FEC0/FEC1)<(FED0/FED1)の関係があるので、例えば或る数値βを(FEC0/FEC1)<β<(FED0/FED1)の関係が成立する数値βとすれば、ディスクの反射光量に影響されない同様の判断が可能となる。
【0041】即ち、図2の(f)に示したように、0次光により得られるS字信号の最大振幅値をV1とし、+1次光により得られるS字信号の最大振幅値をV2としたならば、V2×β>V1の条件式をステップS11とする。
【0042】
【0029】上記式においてV2×β>V1の条件を満足する場合(ステップS11;YES)には、ステップS13に移行し、光ディスクがCDであると判断される。また、V2×β>V1の条件が満足されない場合(ステップS11;NO)には、ステップS12に移行し、光ディスクがDVDであると判断される。
【0043】よって、本発明による第1実施例では、ピークホールド回路24の+1次光の出力電圧値と閾値(TH1)との関係で判断を行う方法以外に、ピークホールド回路24によって得られる0次光と+1次光の最大振幅値によりCDとDVDを判断することが可能である。
【0044】
【0030】また、図2(g)はフォーカス合算信号をある閾値で比較したRFOK信号である。T1、T2の測定スタートのタイミングは、上述の0次光のFZCではなく、RFOK信号でも可能である。また、ピークホールド出力が、閾値TH1を越えた時をT1、T2の測定スタートのタイミングとすることも可能である。
【0045】また、レンズの移動方向は最大上昇位置より降下される場合を前述したが、最大降下位置より上昇させて行うことも可能である。この場合は、S字信号の順番は、0次光→疑似→+1次光ではなく、+1次光→疑似→0次光になるが同様の判断が可能である。また、上述した最大上昇位置より降下させる場合、V2を測定したら一気に最大降下値にするか、初期状態に戻すことも可能である。また、フォーカスリセットのタイミングは、疑似S字信号と+1次光S字信号の間ではなく、疑似S字信号が小さい場合にはV1測定後にリセットすることも可能である。また、ディスクの記録面の影響を受け難くするためにステップS2で光ディスクを規定の回転数で回転させることも可能である。
【0046】
【0031】図4は、本発明の第2及び第3実施例による情報記録媒体判別装置のブロック図である。この第2及び第3実施例が第1実施例と異なる点は、アクチュエータコイル30に供給される駆動電圧を補正するためのイコライザ(EQ)回路34と基準電圧として基準電源35を含めた電圧検出用のコンパレータ36を新たに設けたことであり、第1実施例と同一の部分については、重複を避けるため説明を省略する。図4において、EQ回路34の役目は、アクチュエータコイル30の駆動電圧とレンズの位置情報との関係をほぼ直線的に対応させるためのものである。また、このEQ回路34の出力電圧はオペアンプで構成されるコンパレータ36の一方の端子に供給され、他方の端子には基準電圧としての基準電源35が接続されている。
【0047】
【0032】図5(a)は、本発明の第2実施例における動作タイムチャート図であり、図図5(b)は、本発明の第3実施例における動作タイムチャート図である。図5(a)に示す動作は、図6の動作フローチャートで説明し、図5(b)に示す動作は、図7の動作フローチャートで説明する。また、図5に用いられている記号のうち、記号FDは、アクチュエータコイル30の駆動電圧がEQ回路34によって変換された時のフォーカスドライブ電圧(FD)であり、レンズの位置電圧(SFD)に対して、リニアに変化する。また、基準電圧(E)が得られるレンズの位置から、更にレンズを降下させた時、光ピックアップ22によってS字信号信号を最初に検出するまでの時間は、CDとDVDで異なるので、この検出時間をDVDの場合は記号TD1に、又CDの場合はTC1と記す。
【0048】
【0033】上述したように図5(a)は、基準電圧(E)が得られるレンズの位置から、更にレンズを降下させた時、光ピックアップ22によってS字信号を最初に検出するまでの時間を規定値としてROM33に記憶したが、図5(b)は、TD1及びTC1に相当するレンズの位置で発生するフォーカスドライブ電圧(FD)を規定値としてROM33に記憶している。E1、E2はその時の電圧を示している。
【0049】
【0034】では、図4、図5(a)及び図6のフローチャート図を用いて、本発明の第2実施例の動作を説明する。先ず、図6に示す、フローチャート図において、ステップS1は、情報記録媒体判別装置の規定位置に光ディスクを載置する。その後、ステップS2に移行して、レンズを規定最大上昇位置(UH )まで上昇させる。次いで、ステップS3に移行して、レンズを最大上昇位置(UH )から、規定速度でレンズを降下させる。その後、ステップS4に移行し、FD電圧を監視する。レンズが降下し、FD電圧がROM33に記憶されている基準電圧(E)に至った場合(ステップS4;YES)には、ステップS5に移行し、マイコン25のタイマーにより計時を開始する。次に、ステップS6に移行し、タイマーの計時開始後、最初に検出されるS字信号を監視する。
【0050】
【0035】ステップS6において、SFE≧TH1の条件が満足された場合(ステップS6;YES)には、ステップS7に移行し、タイマーの計時動作を停止する。尚、監視はFZC信号によって行っている。そして、ステップS8に移行し、ステップS5からステップS7までに計時された計時時間をタイマー値として、RAM32に記憶する。次いで、ステップS9に移行し、RAM32に記憶されたタイマー値T1とROM33に記憶されている検出時間の規定値Tとを比較する。TはTC1<T<TD1を満足する値とする。即ち、タイマー値T1の値が規定値Tを越える場合(ステップS9;YES)には、ステップS10において、光ディスクがDVDであると判断される。又、タイマー値T1の値が規定値Tを越える場合(ステップS9;NO)には、ステップS11において、光ディスクがCDであると判断される。
【0051】
【0036】図6にフローチャート図において、光ディスクの種類が判別された以降の動作ステップは、図3に示す第1実施例のフローチャート図のステップS14以降の動作ステップと同一であり、説明を省略する。
【0052】
【0037】次に、図4、図5(b)及び図7のフローチャート図を用いて、本発明の第3実施例の動作を説明する。先ず、図7に示す、フローチャート図において、ステップS1は、情報記録媒体判別装置の規定位置に光ディスクを載置する。その後、ステップS2に移行して、レンズを規定最大上昇位置(UH )まで上昇させる。次いで、ステップS3に移行して、レンズを最大上昇位置(UH )から、規定速度でレンズを降下させる。その後、ステップS4に移行し、最初に得られるS字信号を閾値(TH1)で監視し、検出された場合(ステップS4;YES)には、ステップS5に移行し、フォーカスドライブ電圧(FD)値をRAM32に記憶する。尚、監視はFZC信号によって行っている。
【0053】
【0038】次いで、ステップS6に移行し、RAM32に記憶されたフォーカスドライブ電圧値(E1又はE2)とROM33に記憶されている基準電圧(E0)とを比較する。E0はE1<E0<E2を満足する値とする。即ち、フォーカスドライブ電圧値E1又はE2の値が基準値E0を越える場合(ステップS6;NO)には、ステップS8において、光ディスクがDVDであると判断される。又、フォーカスドライブ電圧値E1又はE2の値が基準値E0を越えない場合(ステップS6;YES)には、ステップS7において、光ディスクがCDであると判断される。図7にフローチャート図において、光ディスクの種類が判別された以降の動作ステップは、図3に示す第1実施例のフローチャート図のステップS14以降の動作ステップと同一であり、説明を省略する。
【0054】
【0039】尚、本発明の第2及び第3実施例の中で、判別のための基準となる0次光のFZCは、本発明の第1実施例と同様に図2(g)のフォーカス合算信号を或る閾値で比較したRFOK信号であっても、また、ピークホールド出力が閾値TH1を越えた時であっても同様の効果が得られる。
【0055】また、レンズの移動方向は第1実施例と同様に最大降下位置より上昇させて行うことも可能である。
【0056】また、イコライザ(EQ)回路34は、フォーカスドライブ信号の高域のノイズを除去するためのもので、ノイズの無い場合はイコライザ(EQ)回路34が無くても可能である。
【0057】また、ディスク傾き、面振れの影響を除去するためにステップS2で光ディスクを規定の回転数で回転させることも可能である。
【0058】また、第2の実施例の基準値Eは最大降下位置(UL )でも同様の降下が得られる。
【0059】
【0040】
【0060】
【発明の効果】本発明の第1実施例では、光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現してからの時間を計時し、計時された時間が所定時間になった後に得られるフォーカスエラー信号のレベルと、設定された基準レベルとを比較するようにしたので、得られたフォーカスエラー信号のレベルと計時時間により、情報記録媒体の種類を判別すると共に、最適なS字信号にフォーカスインすることが可能となる。
【0061】
【0041】また、本発明の第2及び第3実施例では、光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現した時のフォーカスドライブ電圧値を検出し、検出されたフォーカスドライブ電圧値と検出されるまでに要した計時時間と、予め設定された基準電圧値と基準計時時間を比較するようにしたので、得られたフォーカスドライブ電圧値又は計時時間により、情報記録媒体の種類を判別すると共に、最適なS字信号にフォーカスインすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による情報記録媒体判別装置のブロック図。
【図2】本発明の第1実施例における動作タイムチャート図。
【図3】本発明の第1実施例における動作フローチャート図。
【図4】本発明の第2及び第3実施例による情報記録媒体判別装置のブロック図。
【図5】本発明の第2及び第3実施例における動作タイムチャート図。
【図6】本発明の第2実施例における動作フローチャート図。
【図7】本発明の第3実施例における動作フローチャート図。
【図8】従来例におけるホログラム素子による二焦点レンズを用いた時に得られるS字信号の様子を示した図。
【符号の説明】
20・・・光ディスク
21・・・スピンドルモータ
22・・・光ピックアップ
23・・・FE生成回路
24・・・ピークホールド回路
25・・・マイコン
26・・・FZC発生回路
27・・・ループスイッチ
28・・・サーボコントロール回路
29・・・サーボコイル駆動回路
30・・・アクチュエータコイル
31・・・モータ駆動回路
32・・・RAM
33・・・ROM
34・・・EQ回路
35・・・基準電源
36・・・コンパレータ
37・・・RFOK生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 情報記録媒体の表面から記録情報が記録された情報記録面までの距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、同一光軸上の異なる位置に焦点を結ぶ複数の光ビームを前記情報記録面に夫々照射する照射手段と、前記複数の光ビームに前記焦点を結ばせるための対物レンズと、前記対物レンズをフォーカス方向に所定の速度で駆動する対物レンズ駆動手段と、前記対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現してからの時間を計時する計時手段と、前記計時手段にて計時された時間が所定時間になったかどうかを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された後に得られるフォーカスエラー信号のレベルと、設定された基準レベルとを比較する判断手段とを有することを特徴とする情報記録媒体判別装置。
【請求項2】 情報記録媒体の表面から記録情報が記録された情報記録面までの距離が異なる少なくとも2種類の情報記録媒体の種類を判別する情報記録媒体判別装置であって、光ビームを前記情報記録面に夫々照射する照射手段と、前記光ビームに焦点を結ばせるための対物レンズと、前記対物レンズをフォーカス方向に所定の速度で駆動する対物レンズ駆動手段と、前記対物レンズ駆動手段に移動された前記対物レンズの所定位置から移動位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記情報記録媒体の判別を行うことを特徴とする情報記録媒体判別装置。
【請求項3】 前記検出手段は、前記対物レンズを記録媒体に対して所定位置から移動させることにより得られる最初のフォーカスエラー信号等が出現したときのフォーカスドライブ電圧値を検出し、前記判別手段は、前記検出手段にて検出されたフォーカスドライブ電圧値と予め設定された基準電圧値とを比較して判別を行なうことを特徴とする請求項2記載の情報記録媒体判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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