説明

情報記録装置

【課題】 磁気テープに記録された記録情報をDVDにダビングする際に、ダビング開始直後であっても適切な画像情報の記録が可能な情報記録装置を提供する。
【解決手段】 トラッキング補正が終了しているかどうかが判定される(ステップS2)。ステップS2において、トラッキング補正が終了していないと判定された場合には、まず、ダビングの準備動作として磁気テープを所定期間再生する(VCR再生)(ステップS3)。そして、この所定期間のVCR再生中にトラッキング補正部によりトラッキング補正を実行する(ステップS4)。そして、磁気テープを最初の位置に巻き戻す(VCR巻き戻し)(ステップS5)。これにより、ダビングの準備動作が完了する(ステップS6)。そして、VCR部において、磁気テープを再生する(ダビング再生)(ステップS7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録装置に関し、特に、磁気テープ等のアナログ記録媒体からDVD(Digital Versatile Disc)等のデジタル記録媒体に対してダビングが実行可能な情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の圧縮符号化技術の発達に伴い、映画などの映像音声情報を記録するのに、従来から知られているアナログ的に情報が記録される磁気テープ(ビデオテープ)からデジタル的に情報が記録されるDVD等への記録が普及してきている。
【0003】
したがって、従来用いられていた磁気テープの再生/記録が可能なVCR(Video Cassette Recorder)の機能とともに、DVD等の再生/記録も可能な複合機能を有する情報記録装置が提案されている。
【0004】
この種の情報記録装置では、一体型として設けられているためダビング機能が通常付加されており、ユーザが所定の操作を実行することにより一例として磁気テープに記録された情報をDVDに対してダビングすることが可能な構成となっているのが一般的である。
【0005】
特許文献1〜3には、一例として簡易な操作でたとえば磁気テープからDVDへのダビングが可能な構成が開示されている。
【特許文献1】特開2004−221884号公報
【特許文献2】特開2004−220648号公報
【特許文献3】実用新案登録第3092141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常VCRでは、磁気テープ挿入後、最初の再生動作時にトラッキング動作を実行し、最適なトラッキング位置に固定させる。そのためトラッキング動作中には、映像の乱れが生じることになる。
【0007】
したがって、磁気テープ挿入後、最初の再生動作前にダビング動作をすぐに実行した場合には、ダビング再生の際に初めてトラッキング動作が実行されるためたとえばDVDにダビングされる際にはトラッキング動作中の乱れた映像すなわち画像情報が記録されることになる。すなわち、従来の構成においては、ダビング開始直後は、適切な画像情報の記録が実行できない可能性があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、磁気テープに記録された記録情報をDVDにダビングする際に、ダビング開始直後であっても適切な画像情報の記録が可能な情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報記録装置は、磁気テープに対してアナログ再生信号を再生する磁気テープ再生部と、磁気テープ再生部からのアナログ再生信号を受けて、記録媒体に対してデジタル記録する記録部とを備える。磁気テープ再生部は、磁気テープの再生時にトラッキングを調整するトラッキング補正部を含む。磁気テープに記録されている記録情報を記録媒体にダビングする場合に、磁気テープ再生部は、トラッキング補正部によるトラッキングの調整後にダビング再生を開始し、記録部は、トラッキングの調整後にダビング再生に従う磁気テープに記録されている記録情報を記録媒体に対して記録する。磁気テープ再生部は、トラッキング補正部におけるトラッキング調整後に磁気テープを最初の再生位置に戻すための巻戻し手段をさらに含む。磁気テープに記録されている記録情報を記録媒体にダビングする場合に、トラッキング再生部は、トラッキング補正部によるトラッキングの調整が終わっている場合には、トラッキングの調整を実行せずにダビング再生を開始する。
【0010】
本発明に係る別の情報記録装置は、磁気テープに対してアナログ再生信号を再生する磁気テープ再生部と、磁気テープ再生部からのアナログ再生信号を受けて、記録媒体に対してデジタル記録する記録部とを備える。磁気テープ再生部は、磁気テープの再生時にトラッキングを調整するトラッキング補正部を含む。磁気テープに記録されている記録情報を記録媒体にダビングする場合に、磁気テープ再生部は、トラッキング補正部によるトラッキングの調整後にダビング再生を開始し、記録部は、トラッキングの調整後にダビング再生に従う磁気テープに記録されている記録情報を記録媒体に対して記録する。
【0011】
好ましくは、磁気テープ再生部は、トラッキング補正部におけるトラッキング調整後に磁気テープを最初の再生位置に戻すための巻戻し手段をさらに含む。
【0012】
好ましくは、磁気テープに記録されている記録情報を記録媒体にダビングする場合に、トラッキング再生部は、トラッキング補正部によるトラッキングの調整が終わっている場合には、トラッキングの調整を実行せずにダビング再生を開始する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る情報記録装置は、磁気テープに記録されている記録情報を記録媒体にダビングする場合に、トラッキングの調整後にダビング再生が開始される。したがって、磁気テープに記録された記録情報を記録媒体にダビングする際に、ダビング開始直後であっても適切な画像情報の記録が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰返さない。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に従う情報記録装置1の概略ブロック図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う情報記録装置1は、情報記録装置1全体を制御する制御部5と、磁気テープ(ビデオテープ)に対して情報の再生/記録が可能なVCR部10と、DVDに対して情報の再生/記録が可能なDVD部15と、ハードディスクに対して情報の再生/記録が可能なHDD部20とを備える。
【0016】
VCR部10、DVD部15およびHDD部20は、制御部5の指示に基づいて互いに情報が転送されてそれぞれダビングが可能な構成となっているものとする。
【0017】
たとえば、磁気テープからDVDへのダビングの場合には、制御部5の指示に基づいて、VCR部10において、磁気テープの再生動作が実行される。そして、再生信号がDVD部15に転送されて、DVD部15において所定の変換処理が実行されてDVDに対して磁気テープに記録されていた記録情報が記録される。すなわち、VCR部10は再生動作を実行し、DVD部15は、VCR部10の再生動作に伴う再生信号に基づいて記録動作を実行する。VCR部10、DVD部15およびHDD部20の対応する記録媒体に対する再生動作あるいは記録動作については一般的な技術であるためその詳細な説明は省略する。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に従うVCR部10の概略ブロック図である。
図2を参照して、本発明の実施の形態に従うVCR部10は、VCR部10を制御するVCR制御ユニット50と、磁気テープの再生動作あるいは記録動作を実行するためのドライブ部51と、ダビング時にDVD部15あるいはHDD部20と情報の授受を実行するための転送制御部52とを含む。
【0019】
VCR制御ユニット50は、制御部5からの指示を受けてVCR部10の内部回路を制御する指示信号等を出力し、内部回路の状態を管理する。
【0020】
ドライブ部51は、磁気テープの再生動作あるいは記録動作等を実行する。また、ドライブ部51は、トラッキング補正部53を含む。トラッキング補正部53は、磁気テープの再生動作が実行された際に磁気ヘッドが磁気テープの記録トラックの正しい位置を確実になぞれるように、ヘッドの位置とテープの送りを正確に制御するための調整機構(図示せず)を制御する(トラッキング補正)。これにより、磁気テープの個体差に伴う再生画像の乱れを補償することが可能となる。また、ドライブ部51には、磁気テープを巻き戻しあるいは早送りするための機構が設けられているものとする。なお、これらの技術は、一般的な技術であるためその詳細な説明は省略する。
【0021】
通常、トラッキング補正部53は、磁気テープが図示しない挿入口から初めて挿入されドライブ部51で磁気テープの再生動作が初めて実行された場合にトラッキング補正を実行して、その調整値を保持する。したがって、当該磁気テープが挿入口から取り出されるまでは同じ調整値を維持する。
【0022】
転送制御部52は、VCR制御ユニット50の指示に基づいてDVD部15あるいはHDD部20に対してドライブ部51での再生動作に伴う再生信号を伝達する。あるいは、VCR制御ユニット50の指示に基づいてDVD部15あるいはHDD部20から伝達された再生信号をドライブ部51に伝達する。なお、DVD部15あるいはHDD部20においても図示しないが同様の機能を有する転送制御部が設けられているものとする。これにより、VCR部10、DVD部15およびHDD部20は、制御部5の指示に基づいて互いに情報が転送されてそれぞれダビングが可能な構成となっている。
【0023】
一方、上述したようにドライブ部51で磁気テープの再生動作を実行していない場合には、トラッキング補正が実行されていないためすぐにダビングを開始した場合には、トラッキング補正が実行完了するまでの間再生画像が乱れる可能性がある。
【0024】
図3は、本発明の実施の形態に従う磁気テープから他の記録媒体へのダビングの際のVCR部10の動作を説明するフローチャート図である。
【0025】
図3を参照して、本発明の実施の形態に従う磁気テープから他の記録媒体へのダビング方式について、まず、ユーザからの磁気テープから他の記録媒体へのダビングを指示する所定のコマンドが情報記録装置1に入力されるものとする(スタート)(ステップS0)。そして、ダビングが開始される(ステップS1)。具体的には、制御部5は、所定のコマンドを受信して、VCR部10およびDVD部15あるいはHDD部20に対してダビングを実行するように指示する。
【0026】
次に、VCR部10において、トラッキング補正部53により既にトラッキング補正が終了しているかどうかが判定される。ステップS2において、トラッキング補正が終了していないと判定された場合には、まず、ダビングの準備動作として磁気テープを所定期間再生する(VCR再生)(ステップS3)。そして、この所定期間のVCR再生中にトラッキング補正部53によりトラッキング補正を実行する(ステップS4)。そして、磁気テープを最初の位置に巻き戻す(VCR巻き戻し)(ステップS5)。これにより、ダビングの準備動作が完了する(ダビング開始準備完了)(ステップS6)。
【0027】
そして、VCR部10において、磁気テープが再生される(ダビング再生)(ステップS7)。
【0028】
そして、再生信号が転送制御部52に伝達され、転送制御部52からDVD部15あるいはHDD部20の同じ機能を有する転送制御部に伝達される。そして、DVD部15あるいはHDD部20において、対応する記録媒体に対して転送された再生信号が所定の方式に従って記録される。
【0029】
一方、ステップS2において、トラッキング補正が終了している場合には、上述したようにトラッキング補正をする必要が無いのでダビング開始準備完了としてステップS6に進む。なお、トラッキング補正が終了しているかどうかの判定は、トラッキング補正部53が動作すれば動作したことを示すフラグを立てることにより判断が可能である。具体的には、一例として、トラッキング補正部53が動作した場合には、図示しない予め設けられたメモリ等の記憶領域を用いてフラグを示す情報を格納することにより、VCR制御ユニット50がフラグを示す情報が格納されているかどうかを判定することにより実現可能である。なお、上述した挿入口(図示せず)から磁気テープが取り出されればそのフラグをもとに戻す動作をさせればよい。
【0030】
本方式により、磁気テープが挿入されて再生動作を1回も実行していない場合に、ダビングを開始した場合においても、画像が乱れることなく、トラッキング補正された適切な画像情報を他の記録媒体に記録することが可能となる。
【0031】
すなわち、たとえば、磁気テープに記録された記録情報をDVDにダビングする際に、ダビング開始直後であっても適切な画像情報の記録が可能である。
【0032】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に従う情報記録装置1の概略ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に従うVCR部10の概略ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う磁気テープから他の記録媒体へのダビングの際のVCR部10の動作を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0034】
1 情報記録装置、5 制御部、10 VCR部、15 DVD部、20 HDD部、50 VCR制御ユニット、51 ドライブ部、52 転送制御部、53 トラッキング補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープに対してアナログ再生信号を再生する磁気テープ再生部と、
前記磁気テープ再生部からの前記アナログ再生信号を受けて、記録媒体に対してデジタル記録する記録部とを備え、
前記磁気テープ再生部は、前記磁気テープの再生時にトラッキングを調整するトラッキング補正部を含み、
前記磁気テープに記録されている記録情報を前記記録媒体にダビングする場合に、前記磁気テープ再生部は、前記トラッキング補正部によるトラッキングの調整後にダビング再生を開始し、前記記録部は、前記トラッキングの調整後に前記ダビング再生に従う前記磁気テープに記録されている前記記録情報を前記記録媒体に対して記録し、
前記磁気テープ再生部は、前記トラッキング補正部における前記トラッキング調整後に前記磁気テープを最初の再生位置に戻すための巻戻し手段をさらに含み、
前記磁気テープに記録されている記録情報を前記記録媒体にダビングする場合に、前記トラッキング再生部は、前記トラッキング補正部によるトラッキングの調整が終わっている場合には、トラッキングの調整を実行せずに前記ダビング再生を開始する、情報記録装置。
【請求項2】
磁気テープに対してアナログ再生信号を再生する磁気テープ再生部と、
前記磁気テープ再生部からの前記アナログ再生信号を受けて、記録媒体に対してデジタル記録する記録部とを備え、
前記磁気テープ再生部は、前記磁気テープの再生時にトラッキングを調整するトラッキング補正部を含み、
前記磁気テープに記録されている記録情報を前記記録媒体にダビングする場合に、前記磁気テープ再生部は、前記トラッキング補正部によるトラッキングの調整後にダビング再生を開始し、前記記録部は、前記トラッキングの調整後に前記ダビング再生に従う前記磁気テープに記録されている前記記録情報を前記記録媒体に対して記録する、情報記録装置。
【請求項3】
前記磁気テープ再生部は、前記トラッキング補正部における前記トラッキング調整後に前記磁気テープを最初の再生位置に戻すための巻戻し手段をさらに含む、請求項2記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記磁気テープに記録されている記録情報を前記記録媒体にダビングする場合に、前記トラッキング再生部は、前記トラッキング補正部によるトラッキングの調整が終わっている場合には、トラッキングの調整を実行せずに前記ダビング再生を開始する、請求項2記載の情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−323940(P2006−323940A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146752(P2005−146752)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】