説明

情報読取装置および情報読取システム

【課題】 磁気カードに対応したカードシステムにおいて、カードインフラ切り替えの投資コストを低減し、最小限のソフト変更のみで、非接触ICカードのデータと非接触ICカードの状態を表す情報とを取違えることなく通信する。
【解決手段】 通信部2を介して行われた非接触ICカード17との通信結果に基づいて、非接触ICカード17の情報または非接触ICカード17の状態を表す情報を各々異なる様式あるいは異なるタイミングチャートでI/F部3を介して磁気カードリーダの出力信号と同様の仕様で出力する。端末5側は、I/F部6で受信したデータの様式やタイミングチャートを照合し、カードデータと判定したときには通常のカード処理を行い、非接触ICカードの状態を表す情報と判定したときには、その内容に従い報知部7によりその情報をカード利用者やオペレータに報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気カードを対象としたインフラに対応する情報読取装置および情報読取システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、キャッシュカードやクレジットカード、あるいは定期券などの各種カードについて、従来の磁気カードからICカードへの移行や導入が検討されている中、非接触型ICカードが注目を集めている。この非接触型ICカードは、読取装置にかざすだけで情報をやり取りすることができ、磁気カード等に比べて処理速度も速く、また、複数の対象に対して同時に読み取りが行えるといった衝突防止機構を備えるなど、操作性が良く利便性が高いという利点を有している。また、カードを搬送する機構が不要で、磁気ヘッドや接触端子による摩耗や接触不良などの心配がないため、導入した側もシステムの保守や管理コストを大幅に軽減することが可能となることから、さまざまな分野での利用拡大が期待されている。
【0003】
しかし、非接触型ICカードを使用したシステムは、一部では既に実用化も進み定着の段階に入っているが、これまでの磁気カードを対象として拡充されてきた既存の各種端末やネットワークなどのインフラを、非接触型ICカード対応に切り替えるためには大規模な初期投資が必要となることから、現状ではまだそれほど普及は進んでいない。
【0004】
このようなコストやインフラの未整備という壁を破り、現在の磁気カードを対象としたインフラからのシームレスな移行をはかることが、非接触型ICカードの普及の鍵の一つとなる。このカードインフラのシームレスな移行に関するものとして、ICカード読み取り書き込み装置に磁気カードのデータの通信仕様と同一にするための通信データ変換インターフェイスを持たせるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
図12は上記特許文献1に記載されたカード式自動販売機を示すものである。このカード式自動販売機に接続されるICカード読み取り書き込み装置について、図12を用いて説明する。
【0006】
図12において、101はカード式自動販売機であり、マスター制御部である主制御部102に制御バスライン108を介してコネクタ107が接続されている。コネクタ107には、磁気カードを処理するための磁気カード読み取り書き込み装置109が接続されるようになっており、主制御部102はコネクタ107を介して接続された通信インターフェイス110に対してポーリングをかけてデータの送受信やコマンドの送信を行いながら、自動販売機全体を統括している。
【0007】
このカード式自動販売機101に対して、ICカード読み取り書き込み装置111は通信インターフェイス112に対する通信データ変換インターフェイス113を設けており、ICカードのデータはICカード読み取り書き込み装置111により読み込まれ、通信インターフェイス112を通して通信データ変換インターフェイス113に送られ、ここでICカードのデータを磁気カード読み取り書き込み装置109の通信インターフェイス110から送信されるデータと同様の通信仕様にデータ変換して主制御部102に送信する構成となっている。
【0008】
かかる構成により、磁気カード読み取り書き込み装置用のインターフェイスを持つカード式自動販売機101に何も変更すること無しに、磁気カード読み取り書き込み装置109を接続するためのコネクタ107にICカード読み取り書き込み装置111を接続することができ、ICカードの利用が可能となる。
【特許文献1】特開平4−195380号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載のものは、機器間インターフェイスとして一般的なシリアルポートを経由して双方向通信する場合について述べたものであるが、既設の磁気カードシステムに接続される磁気カードリーダの多くは、磁気ヘッドを通して再生された信号を復調回路によりクロック信号(データ判別タイミング信号)とデータ信号とに分離出力し、これらの信号を物理的な媒体の電気的インターフェイスやデータ転送のためのフレーム形式の変換などの加工をせずにそのまま上位装置へ送信するものであり、磁気カード上に記録されたデータのみを上位装置に転送する、いわゆる片方向通信にしか対応していない。
【0010】
また、上記のICカード読み取り書き込み装置の代わりに非接触ICカード読み取り書き込み装置が接続される場合には、その非接触ICカード読み取り書き込み装置は通信可能範囲内に在る非接触型ICカードのデータを読み取り、そのデータを磁気カードリーダから出力される磁気データイメージ情報と同様の通信仕様にデータ変換して上位装置へ送信することになる。また、通信可能範囲内に複数の非接触型ICカードが同時に存在していても、通常は衝突防止機構により特定キャリアを選択して正しく処理される。
【0011】
しかし、キャッシュカードやクレジットカードなどの金融系カード、あるいは定期券などの交通系カード等の適用分野においては、利用者等の決済意志の正確な反映のため、通信可能範囲内に複数の非接触型ICカードが同時に存在する場合や、非接触型ICカードが期待する仕様に合致していない場合には、カード処理をせずに利用者等が適切に次の行動に移れるような報知を行うことが要求される。
【0012】
しかしながら、従来の構成では、非接触型ICカードから読み取ったデータを単に磁気データイメージ情報にデータ変換して上位装置に送信するだけであり、通信可能範囲内に複数の非接触型ICカードが同時に存在する場合等の情報の扱いや処理手段は明示されていない。従って、前記のようなカード処理を行わない状態になった場合でも利用者等はそのことを知ることができず、また、このような利用者等に1つのカードのみを通信可能範囲内に位置させることや、仕様に合致していないカードを通信可能範囲内から除き、仕様に合致しているカードを通信可能範囲内に位置させること等の情報を利用者等に提供して利用者等に適切な次の行動を促すことができなかった。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、カードインフラ対応の投資コストを大幅に低減しつつ、非接触型データキャリアから読み取ったデータのみならず、通信可能範囲内に在る非接触型データキャリアの状態などの情報をも送信することができる情報読取装置およびこれを用いた情報読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の情報読取装置は、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在するか否かを判断し、複数の非接触型データキャリアが存在すると判断した場合には複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する制御部とを備えたものである。
【0015】
この構成によれば、磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて、通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが同時に存在する旨の情報を外部に送信することができる。
【0016】
また、本発明の情報読取装置は、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しているか否かを判断し、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものであると判断した場合には、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する制御部とを備えたものである。
【0017】
この構成によれば、磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて、非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を外部に送信することができる。
【0018】
また、本発明の情報読取システムは、情報読取装置と前記情報読取装置から情報を受信する上位装置とからなる情報読取システムであって、前記情報読取装置は、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在するか否かを判断し、複数の非接触型データキャリアが存在すると判断した場合には、複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する第1の制御部とを備え、前記上位装置は、前記情報読取装置から送信された情報や読み取りデータを受信する受信部と、情報を報知する報知部と、前記情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が複数の非接触型データキャリアが存在することを示す情報である場合にその旨を前記報知部に報知させる第2の制御部とを備えたものである。
【0019】
この構成によれば、情報読取装置は、磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて、通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが同時に存在する旨の情報を上位装置に送信することができ、上位装置は、情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が複数の非接触型データキャリアが存在することを示す情報である場合にその旨を報知部により報知することができる。
【0020】
また、本発明の情報読取システムは、情報読取装置と前記情報読取装置から情報を受信する上位装置とからなる情報読取システムであって、前記情報読取装置は、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しているか否かを判断し、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものであると判断した場合には、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する第1の制御部とを備え、前記上位装置は、前記情報読取装置から送信された情報や読み取りデータを受信する受信部と、情報を報知する報知部と、前記情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が非接触型データキャリアが期待する仕様に合致していないことを示す情報である場合にその旨を前記報知部に報知させる第2の制御部とを備えたものである。
【0021】
この構成によれば、情報読取装置は、磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて、非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を上位装置に送信することができ、上位装置は、情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報である場合にその旨を報知部により報知することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明は、既設の磁気カードシステムを非接触型データキャリア対応に切り替える際のシステムの大幅な変更が不要で、インフラ対応の投資コストを大幅に低減することができると共に、情報読取装置から送信されるデータが非接触型データキャリアの読み取りデータか非接触型データキャリアの状態を表す情報かの区別を確実に行うことができ、必要に応じて利用者に報知することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図1から図7を用いて説明する。
【0024】
図1において、1は非接触型データキャリアの一例としての非接触ICカード17に対応したカードリーダであり、このカードリーダ1は、無線により非接触ICカード17と通信を行う通信部2と、通信部2を介して読み取った情報を上位装置である端末5へ送るI/F(インターフェイス)部3と、CPU(中央処理装置)4などから構成される。なお、通信部2は、変調器11と、電力出力モジュール12と、アンテナ13と、帯域フィルタ14と、増幅器15および復調器16などから構成されている。
【0025】
CPU4は、非接触ICカード17へのコマンドの発行や、非接触ICカード17から受信した情報のデータ変換および端末5への情報の送出など、カードリーダ1全体の制御を行うものである。また、変調器11は、CPU4が発行するコマンドを非接触ICカード17に伝送するために搬送周波数信号の変調を行う。そして、変調された信号は電力出力モジュール12により、必要な電圧または電流にまで引き上げられ、アンテナ13から出力される。帯域フィルタ14は、電力出力モジュール12からの強力な信号を遮断し、アンテナ13で受信される非接触ICカード17からの微弱な応答信号のみをフィルタリングする。この非接触ICカード17からの応答は、帯域フィルタ14に接続された増幅器15を介して増幅され、復調器16により信号のデコードが行われてCPU4へと伝えられる。また、I/F部3から出力されるクロック信号およびデータ信号である磁気データイメージ情報9は、カードリーダ1とのインターフェイスをなす端末5のI/F部6に送信されるようになっている。
【0026】
なお、磁気データイメージ情報9は、非接触ICカード17から読み取ったデータをCPU4で磁気カードの規格と同様の様式(データフォーマット)にデータ変換したうえで、磁気カードリーダの再生回路の出力仕様と同様の仕様で端末5に送出されるが、後述するようにCPU4が通信部2の通信可能範囲内に複数の非接触ICカード17が存在することを検知した場合や非接触ICカード17が期待する仕様に合致していないことを認識した場合などには、その旨を示す情報として磁気カードの規格とは異なるデータフォーマットで端末5に送出される。
【0027】
また、カードリーダ1に対する上位装置としての端末5は、カードリーダ1から与えられるクロック信号およびデータ信号である磁気データイメージ情報9を受け取るI/F部6と、カードリーダ1から与えられるI/F部6に入力された磁気データイメージ情報9が非接触ICカード17から読み取ったデータであるのか非接触ICカード17の状態を表す情報であるのかを判別し、非接触ICカード17の状態を示す情報であった場合にその旨を適宜報知部7に報知させる主制御部8とから構成される。この主制御部8は、端末5内の各部の動作を統括するものである。なお、端末5で行う前記判別や報知については後に説明する。
【0028】
また、端末5はネットワークを介してセンタ等に設けられたサーバ10と接続されている。
【0029】
なお、この端末5の例としては、決済用カードを用いて決済処理を行う決済端末装置などがあり、図2に端末5の一例としての決済端末装置を示している。図2(a)は斜視図であり、図2(b)は要部断面図である。この図2は、決済端末装置である端末5に磁気カード読取用の磁気カードリーダ20が組み込まれた状態を示したものであり、磁気カードリーダ20は図3に示すように、磁気カード18の情報を読み取る磁気ヘッド21と、磁気ヘッド21で読み取った情報を処理して端末5へ送る再生回路22などから構成される。なお、この再生回路22は、磁気カード18上の磁気ストライプ19から磁気ヘッド21を通して再生したアナログ信号をディジタル信号に変換して出力するものである。
【0030】
そして、上記したカードリーダ1と端末5とにより情報読取システムが構成されている。なお、この情報読取システムは、カードリーダ1と端末5とが別体に存在したものであっても、カードリーダ1を端末5に組み込んで一体としたものであっても良い。また、端末5が決済端末装置である場合、端末5はI/F部6に入力されたカードデータに基づいて、ネットワークを介してサーバ10へカード情報の与信照会や、売上げ処理などを行う。
【0031】
以上のように構成された情報読取システムについて、図1から図7を用いてその動作を説明する。
【0032】
まず、図2に示すような、磁気カード18の情報を読み取る機能を備えた端末5の処理について説明する。なお、この端末5では、図1におけるカードリーダ1に代えて、図3に示した磁気カードリーダ20を搭載したものとしている。
【0033】
図2(b)に示すように、端末5に設けられたカード走行案内溝24の走行ガイド23に沿って磁気カード18を摺動すると、磁気カードリーダ20に設けられた磁気ヘッド21が磁気カード18の磁気ストライプ19に圧接され、磁気カード18の磁気記録データが再生される。磁気ヘッド21による再生波形は、再生回路22によりクロック信号(データ判別タイミング信号)とデータ信号とに分離出力される。図4(a)は、このときの各部の信号例を示したものであり、図4(b)はその一部分を拡大したタイミングチャートである。このように、磁気カード18の読み取り機能を有する磁気カードリーダ20で読み取られた磁気カード18の情報は、磁気カード読取装置の通信仕様であるクロック信号とデータ信号として端末5に送信される。
【0034】
次に、上記した磁気カードリーダ20に代えて、端末5に、非接触ICカード17との通信機能を有した図1に示すカードリーダ1を搭載した場合の処理について説明する。
【0035】
図1に示すカードリーダ1のCPU4は、非接触ICカード17への送信コマンドを随時発行し、アンテナ13の交信領域内に非接触ICカード17が存在するかどうかを周期的に確認するようになっている。非接触ICカード17がアンテナ13に近接されると、アンテナ13は非接触ICカード17からの応答を受けてこの応答をCPU4に送信し、CPU4は引き続き決められた通信手順に従って逐次的に非接触カード17に対してコマンドを送信し、非接触ICカード17内の情報を読み書きする。そして、CPU4は図4に示した磁気カードリーダ20の再生回路22の出力仕様と同様の仕様になるように、非接触ICカード17から受信した情報をクロック信号およびデータ信号として波形化し、具体的には、オール“0”、スタートマーク、データ、エンドマーク、LRC(水平冗長検査文字)、オール“0”の順序にて出力する。そして、この波形化後のデータはI/F部3を介して端末5に送信される。
【0036】
端末5の主制御部8が、後述するようにI/F部6に入力されたデータを非接触ICカード17のデータであると判断すると、端末5は受信したカードデータに基づいて、従来の磁気カードを対象としたカードシステムの場合と同様に、ネットワークを介してサーバ10へカード情報の与信照会や、売上げ処理などを行うことが可能となる。なお、I/F部6に入力される非接触カード17のデータは、磁気カード18のデータフォーマットと同様になるようにしてあるので、既設の磁気カードシステムのネットワーク環境がそのまま利用でき、非接触ICカード17を利用するための特別なネットワークの変更は不要となる。
【0037】
次に、アンテナ13の交信領域内に複数の非接触ICカード17が同時に入れられた場合について説明する。
【0038】
なお、ここではビット符号化の一例として、ビットウィンドウ内のレベルの変化(立下りエッジまたは立ち上がりエッジ)によりビットの値が定義される符号化方式が使用されるものとする。この方式では、ビットウィンドウ内に「変化なし」の状態がある場合にはエラーとして認識される。
【0039】
図5に示すように、アンテナ13の交信領域内に2つの非接触ICカード17が同時に入れられると、CPU4からの送信コマンドを受けて2つの非接触ICカード17が同時に応答するため、それぞれの非接触ICカード17が異なるビット値を送信した場合、カードリーダ1の増幅器15から出力される信号は、2つの信号が衝突して重なった状態になる。そして、受信されるべきビットの負への変化と正への変化が互いに相殺され、復調器16の出力においてビットウィンドウ内に「変化なし」の状態が発生する。これにより、CPU4はアンテナ13の交信領域内に複数の非接触ICカード17が存在することを認識することができる。
【0040】
なお、衝突防止アルゴリズムの反復により、アンテナ13の交信領域内に在る個々の非接触ICカード17が保有する固有な製造番号(ID)等を識別することで、複数の非接触ICカード17が存在するかどうかを認識することも可能である。
【0041】
次に、非接触型ICカード17が期待する仕様に合致していない場合の一例として、アンテナ13の交信領域内に他の種類の非接触ICカード17が入れられた場合について説明する。
【0042】
一般的に、認証されていないカードリーダからのデータの読み取りおよび/または書き込みは障害を発生させる可能性があるため、非接触ICカード17への認証されていないアクセスは何らかの方法でプロテクトされる。なお、ここではプロテクトの一例として、秘密鍵を用いた認証手順が使用されるものとする。
【0043】
アンテナ13の交信領域内に非接触ICカード17が入れられると、最初にカードリーダ1と非接触ICカード17との間で通信関係が築かれる。この後、CPU4から非接触ICカード17に認証開始のコマンドが送出される。非接触ICカード17は、このコマンドを受信すると乱数Aを発生して応答信号に含めてカードリーダ1に返信する。
【0044】
次に、非接触ICカード17から前記応答信号を受信したカードリーダ1のCPU4は、乱数Bを発生させて共通鍵と共通鍵アルゴリズムを使用して暗号化したデータブロックを生成し、このデータブロックを非接触ICカード17に送出する。なお、このデータブロックには2つの乱数(乱数Aと乱数B)が含まれる。カードリーダ1から前記データブロックを受信した非接触ICカード17は、このデータブロックを復号してデータブロック中に含まれる乱数Aを取り出し、自身が送った乱数Aと比較する。それらが同じものであった場合、非接触ICカード17は両者の共通鍵が同じであることを認識する。
【0045】
次に、非接触ICカード17は別の乱数Cを発生させ、これと先に受信したデータブロック中に含まれていた乱数Bを付加して暗号化したデータブロックを生成し、このデータブロックをカードリーダ1に返信する。非接触ICカード17から前記データブロックを受信したカードリーダ1のCPU4は、このデータブロックを復号してデータブロック中に含まれる乱数Bを取り出し、自身が送った乱数Bと比較する。それらが同じものであった場合、CPU4は両者の共通鍵が同じであることが立証されたことを認識する。このようにして、カードリーダ1と非接触ICカード17は同じアプリケーションに属することを知ることができ、以後、カードリーダ1は非接触ICカード17へのアクセスが可能になる。
【0046】
ところが、他の種類の非接触ICカード17の場合には、復号したデータブロック中に含まれる乱数Bと自身が送った乱数Bとが異なるものになるため、このときCPU4は非接触ICカード17が期待する仕様に合致していないことを認識することができる。
【0047】
また、認識するための別の方法として、必須とするコマンドを非接触ICカード17が対応していない場合(このとき、そのコマンドに対して無応答となる)や、コマンドに対する非接触ICカード17の応答が期待した結果と異なる場合、あるいは非接触ICカード17内のアプリケーションデータ中に必要な情報が格納されていない等の場合にも、期待する仕様に合致していないと認識される。
【0048】
次に、非接触ICカード17が正しく処理されたとき、アンテナ13の交信領域内に複数の非接触ICカード17が存在することを認識したとき、アンテナ13の交信領域内に存在する非接触ICカード17が期待する仕様に合致していないことを認識したとき、の各々の場合のリーダライタ1から端末5に送信される磁気データイメージ情報9のデータフォーマットの例と、端末5にてそれらの情報を解析する場合について説明する。
【0049】
図6は、非接触ICカード17との通信の結果に基づいて、カードリーダ1のI/F部3から端末5に出力される磁気データイメージ情報9のデータフォーマットの一例を示したものであり、それぞれ、図6(a)は非接触ICカード17が正しく処理されたとき、図6(b)はアンテナ13の交信領域内に複数の非接触ICカード17が存在することを認識したとき、図6(c)は非接触ICカード17が期待する仕様に合致していないことを認識したときのものである。
【0050】
なお、ここでは、IDカードの国際規格で定められた記録仕様のうち、トラック1のデータフォーマットで磁気データイメージ情報9が送信されるものとしている。トラック1において、スタートマークの次の桁はフォーマットコードとして割り当てられており、英字で“A”から“Z”までの値をとることになっている。
【0051】
ここで、図6(b)および図6(c)に示すように、通信可能範囲内に在る非接触ICカード17の状態を表す情報の場合には、磁気データイメージ情報9を生成するCPU4にて、フォーマットコードを英字以外の文字(例えば“#”など)にすることで、図6(a)に示すような非接触ICカード17のデータと区別することができる。また、フォーマットコードの次の文字で、情報が示す内容を識別できるようにすることも可能である。例えば、通信可能範囲内に複数の非接触ICカード17が存在する場合には、識別情報としてフォーマットコードの次の文字を“2”とし、非接触ICカード17が期待する仕様に合致していない場合には、識別情報としてフォーマットコードの次の文字を“1”としてカードリーダ1から端末5に送信する。そして、端末5には、予め、図示しない記憶部に、フォーマットコードの次の文字が“1”である場合には非接触ICカード17が期待する仕様に合致していないことを意味する情報であることを、フォーマットコードの次の文字が“2”である場合には通信可能範囲内に複数の非接触ICカード17が存在することを意味する情報であることを記憶させておく。そして、端末5の主制御部8がカードリーダ1から送信されてきた情報を解析し、この解析した情報と前記記憶部に記憶している情報とから、カードリーダ1から送られてきた情報が示す内容を識別することが可能となる。
【0052】
なお、磁気データイメージ情報9を磁気カード18の規格とは異なるデータフォーマットにする際の好ましい態様としては、例えば、スタートマークのコードを規格に定められたコードとは異なる別のコードにすることが考えられる。正規の磁気カードイメージ情報9の場合、スタートマークはパリテイビットも含めて45h(16進数表記)で表されるが、これを7Fhなどにすることにより、会員カードなど限られたエリアで使用されるハウスカードなどと偶然にデータフォーマットが一致してしまう可能性を大幅に低減することができる。
【0053】
なお、スタートマークの代わりにエンドマークのコードを磁気カードの規格に定められたコードとは異なる別のコードに換えたり、スタートマークおよびエンドマークの両方を同時に別のコードに換えたりしても良い。また、LRC(水平冗長検査文字)の計算アルゴリズムを替えるなどという方法を採っても良い。
【0054】
また、アンテナ13の交信領域内に複数の非接触ICカード17が存在する場合の磁気データイメージ情報9と、非接触ICカード17が期待する仕様に合致しない場合の磁気データイメージ情報9を、同じデータフォーマットにしているが、それぞれ異なるデータフォーマットにしても良い。また、文字数は5文字に限るものでなく、磁気カード18の規格を超えるものであっても良い。
【0055】
次に、I/F部3から出力される磁気データイメージ情報9を端末5が受け取ったときの処理について図7を用いて説明する。
【0056】
なお、端末5には、予め磁気データに関するフォーマットと、非接触ICカード17の状態を表す情報に関するデータフォーマットとを情報として上記した図示しない記憶部に記憶させておき、端末5の主制御部8が、前述の予め与えられたフォーマットとI/F部6に入力されたクロック信号およびデータ信号である磁気データイメージ情報9のフォーマットとを比較することにより、I/F部6に入力された磁気データイメージ9がどちらの情報なのかを識別することができるようになっている。また、この識別した結果に基づいて、端末5の報知部7により利用者や操作者などに非接触ICカード17との通信の状態を報知するようになっており、この報知部7の例としては、視覚的にメッセージを表示するLCDなどの表示デバイスがある。
【0057】
以下、非接触ICカード17との通信の状態等を報知する例について、図7を用いて説明する。
【0058】
端末5の主制御部8は、カード処理が許可されている間、I/F部6に入力があるかどうかを確認する。(ステップS1)
入力があることを検知した場合には、その入力が完全に終わるまで待ってから受信データのフォーマットの照合を行い(ステップS2およびステップS3)、受信データが図6(a)に示す正規な磁気データのデータフォーマットと一致していれば、端末5の報知部7である表示デバイスに処理中であることを報知するメッセージを表示して(ステップS6)、カード情報の与信照会や売上げ処理など行う。(ステップS10)
一方、I/F部6で受信したデータが、非接触ICカード17の状態を表す情報であると判断した場合には、さらにその詳細な内容を解析して(ステップS4およびステップS5)、図6(b)に示すデータフォーマットと一致した場合には、表示デバイスに、通信可能範囲内に複数の非接触ICカード17が在る旨のメッセージを表示して利用者等に報知を行う(ステップS7)。また、I/F部6で受信したデータが、図6(c)に示すデータフォーマットと一致した場合には、表示デバイスに、非接触ICカード17が使えない旨のメッセージを表示して利用者等に報知を行う(ステップS8)。
【0059】
なお、いずれのデータフォーマットにも一致しなかった場合には、表示デバイスに、再度カード操作を促すメッセージを表示して利用者等に報知を行う(ステップS9)。
【0060】
このように、非接触ICカード17の読み取り状況に応じた報知を行うことにより、非接触ICカード17の利用者や操作者などは、非接触ICカード17との通信に関する現在の状況を確実に知ることができ、例えば、非接触ICカード17が使えない旨のメッセージの報知を受けた場合には、使えないカードを取り除いたり、正しいカードに差し替えたりといった適切な行動をとることができる。
【0061】
なお、報知部7はLEDなどのランプが点灯するものであっても良いし、音やメロディなど聴覚的に伝えるものであっても良い。
【0062】
なお、本実施の形態では、カードリーダ1は非接触ICカード17のみに対応した例を示しているが、その他の非接触型データキャリアに対応したもの、あるいは磁気カードや接触ICカードなど複数のカードに対応したものであっても良いことは言うまでもない。
【0063】
また、本実施の形態では、カードリーダ1は端末5に組み込まれた例を示しているが、これに限るものではなく、カードリーダ1と端末5とが別個に存在し、カードリーダ1が端末5の外部機器として接続されるものであっても良い。この場合、カードリーダ1にも報知部を設け、カードリーダ1からも報知を行うようにしてもよい。あるいは、端末5とカードリーダ1のどちらかに報知部を設け、どちらかのみから報知を行うようにしても良い。
【0064】
また、本実施の形態では、通信可能範囲内に在る非接触型データキャリア17の状態を、アンテナ13の交信領域内に複数の非接触ICカード17が存在するか、あるいは非接触ICカード17が期待する仕様に合致していないか、の2つにしか区別していないが、さらに詳細に区別し、その旨の情報を端末5に送信するようにしても良い。また、通信可能範囲内に非接触ICカード17が1つも無いなどといった上記以外の情報を端末5に送信し、それらの情報を端末5により報知するようにしても良い。
【0065】
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態における情報読取システムの概略構成を示すブロック図である。
【0066】
本実施の形態において、実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、カードリーダ1が磁気カード18および非接触ICカード17の両方の処理に対応した複合型のカードリーダであるという点と、カード検出センサ26の出力信号も併せてカードリーダ1のI/F部3から端末5に出力される点である。
【0067】
なお、カードリーダ1のI/F部3は、CPU4からの図示していない制御信号に基づいて、磁気ヘッド21で読み取った情報を端末5に出力するのか、アンテナ13で受信した情報に基づいた情報を端末5に出力するのかを切り替える信号セレクタとしても機能するものである。そして、通常は磁気ヘッド21で読み取った情報とカード検出センサ26の出力信号とを端末5に出力する状態になっているが、CPU4がアンテナ13を介して非接触ICカード17から情報を受け取り、CPU4から非接触ICカード17との通信の結果を端末5に出力する旨の信号をI/F部3が受信した場合には、CPU4が生成する、カード検出センサ26の出力信号に似せた擬似的なカード検出センサの信号およびクロック信号とデータ信号である磁気データイメージ情報9とを端末5に出力するように切り替える。
【0068】
なお、このカード検出センサ26が搭載されるカードリーダの例としては、スロットタイプのカードリーダなどがある。図9は、このスロットタイプのカードリーダの構造を示した概略図であり、図9(a)は磁気カード18が挿入される前の状態を示しており、図9(b)は磁気カード18が完全に挿入された状態を示している。なお、カード検出センサ26は、図9には図示されていないが、カード収納箱25に磁気カード18が完全に挿入されているかどうかを検知できるように、カード収納箱25の奥側に配設されている。そして、このカード検出センサ26は、一例として、光を発光する発光部とこの発光部が発光した光を受光する受光部とからなり、磁気カード18が完全に挿入された場合に発光部が発光した光がこの磁気カード18により遮られ、受光部が光を受光できなくなった場合に磁気カード18が完全に挿入されたことを検出するものである。
【0069】
図10は、このカードリーダ1のカード収納箱25に磁気カード18を挿入して引き抜くという一連の操作で出力される各部の信号を示したものである。なお、クロック信号とデータ信号は、カードリーダ1に取り付けられた磁気ヘッド21と磁気カード18の磁気ストライプ19とが圧接された状態で摺動するときに出力される信号であるため、磁気カード18が挿入および引き抜かれるといった磁気カード18が移動している間は出力されるが、磁気カード18が完全に挿入されている(停止している)ことを示すカード検出センサ26の出力信号がアクティブ(High区間)の間は出力されない。
【0070】
図11は、非接触ICカード17との通信の結果に基づいてカードリーダ1のCPU4で生成され、カードリーダ1のI/F部3から端末5へ出力される信号を示すものであり、図11(a)は正しく読み取りが行われた非接触ICカード17のデータを出力するときの信号の一例を示し、図11(b)は異常状態である非接触ICカード17の状態を表す情報を出力するときの信号の一例を示したものである。磁気カード18の読み取りは、カード収納箱25にカードを完全に挿入した状態から引き抜くときに行われるため、磁気カードの通信仕様と同様にした非接触ICカード17のデータは、このカード引き抜き時の信号波形を模擬している。すなわち、図11(a)に示すように、カード検出センサ26の出力信号であるセンサ信号がノンアクティブ(Low区間)の間にクロック信号およびデータ信号が出力される。
【0071】
一方、非接触ICカード17との通信の状態を表す情報を出力する際のタイミングチャートについては、前述の非接触ICカード17のデータを出力する場合と完全に切り分けができるように、磁気カードを操作したときには発生し得ないタイミング、すなわち、図11(b)に示すようにカード検出センサ26の出力信号であるセンサ信号がアクティブ(High区間)の間にクロック信号およびデータ信号を出力するものとしている。
【0072】
なお、端末5には予め非接触ICカード17のデータを送信する場合のタイミングチャートと、非接触ICカード17の状態を表す情報を送信する場合のタイミングチャートとを情報として与えておき、端末5の主制御部8は前述の予め与えられたタイミングチャートとI/F部6に入力された各信号のタイミングチャートとを比較することにより、I/F部6に入力された磁気データイメージ情報9がどちらの情報なのかを識別することができるようになっており、異常を示す場合には、その旨を報知部7により操作者等に報知するものである。
【0073】
なお、正常に読み取られた非接触ICカード17のデータを出力する場合のタイミングチャートについては、カード引き抜き時の信号波形を模擬する例について示したが、カード挿入時の信号波形を模擬するようにしても良いし、挿入時と引き抜き時の両方の信号波形を模擬するようにしても良い。
【0074】
また、非接触ICカード17の状態を表す情報については、実施の形態1と同様に非接触ICカード17のデータのフォーマットと異なるものにしても良い。
【0075】
なお、本実施の形態では、カードリーダ1が磁気カード18および非接触ICカード17の両方に対応している例について説明したが、非接触ICカード17のみに対応したもの、あるいはその他のデータキャリアに対応したものであっても良い。
【0076】
以上のように本実施の形態によれば、カードリーダ1と端末5の接続に関して、端末5側はクロック信号とデータ信号とを用いた従来の磁気カードリーダとのインターフェイス回路からの変更が不要であり、かつ通信可能範囲内に複数の非接触ICカード17が存在するなどといったカードデータ以外の情報をも受け取ることができるため、非接触ICカード対応へのインフラ切り替えに伴う障害もなく、同時にインフラ対応の投資コストも抑えることができる。
【0077】
また、実施の形態1と同様に、CPU4で生成しI/F部3から端末5に出力される非接触ICカード17のデータや情報の通信仕様を磁気カード18のデータの通信仕様と同様とすることで、端末5側はプログラムの追加など最小限のソフト変更のみで非接触ICカード17の適用を可能にしており、端末5側への影響を最小限に抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の情報読取装置および情報読取システムは、既設の磁気カードシステムを非接触ICカード対応にする際に、システムの大幅な変更が不要となりインフラ切り替えの投資コストを大幅に低減することができると共に、非接触ICカードのデータあるいは非接触ICカードの状態を表す情報を通信することができ、磁気カードを対象とした既存のインフラに対応する情報読取装置および情報読取システムのアップグレードなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1における情報読取システムの概略構成を示す図
【図2】(a)磁気カードリーダを備えた端末の一例を示す図、(b)磁気カードリーダを備えた端末の要部を切り欠いた図
【図3】同磁気カードリーダの概略構成を示す図
【図4】(a)磁気カードリーダの各部の信号例を示す図、(b)磁気カードリーダの各部の信号例の一部分を拡大したタイミングチャート
【図5】非接触ICカードとの通信において衝突が起こったときの信号の一例を示す図
【図6】(a)正規な磁気データイメージ情報の例を示す図、(b)複数の非接触ICカードが同時に存在する場合に送出する磁気データイメージ情報の例を示す図、(c)非接触ICカードが期待する仕様に合致していない場合に送出する磁気データイメージ情報の例を示す図
【図7】端末におけるカード処理を概略的に示したフローチャート
【図8】本発明の実施の形態2における情報読取システムの概略構成を示す図
【図9】(a)磁気カードが挿入される前のカードリーダを示す図、(b)磁気カードが完全に挿入されたカードリーダを示す図
【図10】磁気カードを操作したときに出力される信号の一例を示す図
【図11】(a)正しく読み取りが行われた非接触ICカードのデータを出力するときの信号の一例を示す図、(b)異常状態である非接触ICカードの状態を表す情報を出力するときの信号の一例を示す図
【図12】従来のICカード読み取り書き込み装置が接続されるカード式自動販売機の概略構成を示す図
【符号の説明】
【0080】
1 カードリーダ
2 通信部
3 I/F部
4 CPU(中央処理装置)
5 端末
6 I/F部
7 報知部
8 主制御部
9 磁気データイメージ情報
10 サーバ
11 変調器
12 電力出力モジュール
13 アンテナ
14 帯域フィルタ
15 増幅器
16 復調器
17 非接触ICカード
18 磁気カード
19 磁気ストライプ
20 磁気カードリーダ
21 磁気ヘッド
22 再生回路
23 走行ガイド
24 カード走行案内溝
25 カード収納箱
26 カード検出センサ
101 カード式自動販売機
102 主制御部
103 表示制御部
104 商品搬送部
105 硬貨計数制御部
106 キー入力制御部
107 コネクタ
108 制御バスライン
109 磁気カード読み取り書き込み装置
110 通信インターフェイス
111 ICカード読み取り書き込み装置
112 通信インターフェイス
113 通信データ変換インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在するか否かを判断し、複数の非接触型データキャリアが存在すると判断した場合には複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する制御部とを備えた情報読取装置。
【請求項2】
複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報は、磁気カードの規格に定められた様式とは異なる様式とした情報である請求項1記載の情報読取装置。
【請求項3】
磁気カードの規格に定められた様式とは異なる様式とした情報は、スタートマークとエンドマークのいずれか一方あるいは両方のコードを規格とは異なるコードにした情報である請求項2記載の情報読取装置。
【請求項4】
第2の通信部から上位装置に送信されるデータ信号は、第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在することを表す識別情報を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の情報読取装置。
【請求項5】
磁気カード読取部と、前記磁気カード読取部に磁気カードが存在するか否かを検知する磁気カード検知部と、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在するか否かを判断し、複数の非接触型データキャリアが存在すると判断した場合には複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する制御部とを備えた情報読取装置。
【請求項6】
複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報は、磁気カード操作時のタイミングチャートとは異なるタイミングとして制御部が疑似的に生成した磁気カード検知部の磁気カードを検知している旨の信号とクロック信号とデータ信号である請求項5記載の情報読取装置。
【請求項7】
無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しているか否かを判断し、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものであると判断した場合には、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する制御部とを備えた情報読取装置。
【請求項8】
磁気カード読取部と、前記磁気カード読取部に磁気カードが存在するか否かを検知する磁気カード検知部と、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しているか否かを判断し、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものであると判断した場合には、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する制御部とを備えた情報読取装置。
【請求項9】
非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報は、磁気カード操作時のタイミングチャートとは異なるタイミングとして制御部が疑似的に生成した磁気カード検知部の磁気カードを検知している旨の信号とクロック信号とデータ信号である請求項8記載の情報読取装置。
【請求項10】
情報読取装置と前記情報読取装置から情報を受信する上位装置とからなる情報読取システムであって、前記情報読取装置は、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在するか否かを判断し、複数の非接触型データキャリアが存在すると判断した場合には、複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する第1の制御部とを備え、前記上位装置は、前記情報読取装置から送信された情報や読み取りデータを受信する受信部と、情報を報知する報知部と、前記情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が複数の非接触型データキャリアが存在することを示す情報である場合にその旨を前記報知部に報知させる第2の制御部とを備えた情報読取システム。
【請求項11】
情報読取装置が上位装置に送信する複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報は、磁気カードの規格に定められた様式とは異なる様式とした情報である請求項10記載の情報読取システム。
【請求項12】
磁気カードの規格に定められた様式とは異なる様式とした情報は、スタートマークとエンドマークのいずれか一方あるいは両方のコードを規格とは異なるコードにした情報である請求項11記載の情報読取システム。
【請求項13】
情報読取装置が上位装置に送信するデータ信号は、第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在することを表す識別情報を含む請求項10から12のいずれか1項に記載の情報読取システム。
【請求項14】
情報読取装置と前記情報読取装置から情報を受信する上位装置とからなる情報読取システムであって、前記情報読取装置は、磁気カード読取部と、前記磁気カード読取部に磁気カードが存在するか否かを検知する磁気カード検知部と、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記第1の通信部の通信可能範囲内に複数の非接触型データキャリアが存在するか否かを判断し、複数の非接触型データキャリアが存在すると判断した場合には複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する第1の制御部とを備え、前記上位装置は、前記情報読取装置から送信された情報や読み取りデータを受信する受信部と、情報を報知する報知部と、前記情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が複数の非接触型データキャリアが存在することを示す情報である場合にその旨を前記報知部に報知させる第2の制御部とを備えた情報読取システム。
【請求項15】
情報読取装置が上位装置に送信する複数の非接触型データキャリアが存在する旨の情報は、磁気カード操作時のタイミングチャートとは異なるタイミングとして制御部が疑似的に生成した磁気カード検知部の磁気カードを検知している旨の信号とクロック信号とデータ信号である請求項14記載の情報読取システム。
【請求項16】
情報読取装置と前記情報読取装置から情報を受信する上位装置とからなる情報読取システムであって、前記情報読取装置は、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しているか否かを判断し、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものであると判断した場合には、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する第1の制御部とを備え、前記上位装置は、前記情報読取装置から送信された情報や読み取りデータを受信する受信部と、情報を報知する報知部と、前記情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が非接触型データキャリアが期待する仕様に合致していないことを示す情報である場合にその旨を前記報知部に報知させる第2の制御部とを備えた情報読取システム。
【請求項17】
情報読取装置と前記情報読取装置から情報を受信する上位装置とからなる情報読取システムであって、前記情報読取装置は、磁気カード読取部と、前記磁気カード読取部に磁気カードが存在するか否かを検知する磁気カード検知部と、無線により非接触型データキャリアと通信を行うための第1の通信部と、上位装置と通信を行うための第2の通信部と、前記第1の通信部を介して行われた前記非接触型データキャリアとの通信の結果に基づいて前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しているか否かを判断し、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものであると判断した場合には、前記非接触型データキャリアが期待する仕様に合致しないものである旨の情報を磁気カード読取装置の通信仕様に倣いクロック信号とデータ信号を用いて前記第2の通信部から前記上位装置に送信する第1の制御部とを備え、前記上位装置は、前記情報読取装置から送信された情報や読み取りデータを受信する受信部と、情報を報知する報知部と、前記情報読取装置から受信した情報を解析し、その情報が非接触型データキャリアが期待する仕様に合致していないことを示す情報である場合にその旨を前記報知部に報知させる第2の制御部とを備えた情報読取システム。
【請求項18】
情報読取装置が上位装置に送信する複数の非接触型データキャリアが期待する仕様に合致していないことを示す情報は、磁気カード操作時のタイミングチャートとは異なるタイミングとして制御部が疑似的に生成した磁気カード検知部の磁気カードを検知している旨の信号とクロック信号とデータ信号である請求項17記載の情報読取システム。
【請求項19】
報知部は表示機能を有し、文字情報により報知を行う請求項10から18のいずれか1項に記載の情報読取システム。
【請求項20】
報知部は音声機能を有し、音声情報により報知を行う請求項10から19のいずれか1項に記載の情報読取システム。
【請求項21】
情報読取装置を上位装置に組み込んだ請求項10から20のいずれか1項に記載の情報読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−40098(P2006−40098A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221347(P2004−221347)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】