説明

情報読取装置および磁気情報読取装置

【課題】埃や異物の侵入から磁気ヘッドを保護しつつ、カードの情報記録部と磁気ヘッドの位置合わせの容易性や操作性を向上させた磁気情報読取装置を提供する。
【解決手段】磁気情報読取装置1Aの磁気ヘッド23は、スリット部21を通過するカード2に記録された磁気情報を読み取る。蓋体22Aは、対向する第1の壁部21aと第2の壁部21bとの間に配置され、スリット部21の少なくとも下部を外部から遮蔽する。スイッチ30は、磁気ヘッド23へ電力の供給・遮断を行なう。蓋体22は第1の壁部21aにより回動可能に支持され、第1の壁部21aから第2の壁部21bに向けて下方に傾斜するように設けられる。スイッチ30は、蓋体22Aの回動に応じて電力の供給・遮断を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録された情報を読み取る情報読取装置に関する。特にカードに記録された磁気情報を読み取る磁気情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置では、カードをスキャンするスリットに埃や異物が侵入した場合、情報読取ヘッドが汚損して、読取精度が低下する可能性がある。このため、スリットの外部にシャッターを設け、スリット内部へ埃や異物の侵入を防ぐ構造が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−81843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置は、構造上、磁気カードの前方において通路を閉塞しているシャッターに磁気カードの先端部を当接させ、スリットを通過させる向きに力を加えることにより、シャッターを当該通過させる向きと直交する向きに変位させる構造になっている。このため、カードをスキャンする際に力を要する上に、カードと磁気ヘッドの確実な位置合わせが容易でない。また、あらかじめ装置に電源を入れた状態でこのような操作を行なう必要があるため、読み取りに手間取ると装置が消費する電力が無駄になってしまう。
【0005】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、埃や異物の侵入から情報読取ヘッドを保護しつつ、情報記録部と情報読み取りヘッドの位置合わせの容易性や操作性を向上させた情報読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は以下に列挙する種々の態様を採り得る。
【0007】
本発明の第1の態様は、磁気情報読取装置であって、対向する第1の壁部と第2の壁部との間にカードを通過させるように形成されたスリット部と、前記スリット部を通過する前記カードに記録された磁気情報を読み取るための第1の磁気ヘッドと、前記第1の壁部と前記第2の壁部との間に配置され、前記スリット部の少なくとも下部を外部から遮蔽するための第1の蓋体と、前記第1の磁気ヘッドへ電力の供給・遮断を行なうためのスイッチとを備える。前記蓋体は前記第1の壁部により回動可能に支持されるとともに、前記第1の壁部から前記第2の壁部に向けて下方に傾斜するように設けられる。前記スイッチは、前記蓋体の回動に応じて前記電力の供給・遮断を行なう。
【0008】
このような構成によれば、カードをスリット部内に挿入する動作により、スリットの下部に埃等の堆積を防止するための第1の蓋体が回動され、スリット部が開放されると同時にスイッチが操作され第1の磁気ヘッドに電力が供給される。
【0009】
本発明の第1の態様において、前記第1の磁気ヘッドは前記第1の蓋体上に設けられ、前記第1の磁気ヘッドを上方から覆う第2の蓋体をさらに備える。
【0010】
このような構成によれば、第1の蓋体を回動させる動作とカードを情報読取可能な位置へ配置する動作とを兼ねることができる。第1の磁気ヘッドは第2の蓋体により埃や異物の侵入より保護される。
【0011】
本発明の第1の態様において、前記スリット部に前記カードが挿入された場合に、前記第1の蓋体を前記カード側に付勢する付勢手段をさらに備える。
【0012】
このような構成によれば、カードの磁気情報記録部と第1の磁気ヘッドとの密着性が増す。
【0013】
本発明の第1の態様において、前記第2の蓋体は、前記第2の壁部から前記第1の壁部に向けて下方に傾斜した状態で設けられている。
【0014】
このような構成によれば、第2の蓋部の傾斜面によってカードが第1の蓋体すなわち第1の磁気ヘッドが設けられている箇所へと導かれる。
【0015】
本発明の第1の態様において、前記磁気情報を読み取るための第2の磁気ヘッドをさらに備え、前記第2の磁気ヘッドは、前記カードを前記スリット部内に配置した場合の前記第1の磁気ヘッドの位置と対向する位置に設けられている。
【0016】
このような構成によれば、カードをスリット部に挿入する向きに依らず、磁気情報の読み取りが可能となる。
【0017】
本発明の第2の態様は、情報読取装置であって、情報を記録したカードを通過させるスリットと、前記スリットに臨ませて設けられ、前記カードの情報を読み取るヘッドと、前記スリットを遮蔽するためのシャッターとを備える。前記シャッターは、前記スリットの一方の壁部に内方へ回動可能に取り付けられている。
【0018】
このような構成によれば、カードの挿入によりスリットを開放する操作を円滑に行なうことができる。
【0019】
本発明の第2の態様において、前記シャッターは前記スリットの内部に配置されている。
【0020】
このような構成によれば、スリットを開放するためのシャッターの変位量を最小限に抑えることができる。
【0021】
本発明の第2の態様において、前記シャッターの開放を検出するスイッチをさらに備え、 前記スイッチからの出力に基づき前記ヘッドへの電力の供給・遮断が行なわれる。
【0022】
このような構成によれば、カードがスリットに挿入されてシャッターが操作された場合にのみヘッドに電力を供給することができる。
【0023】
本発明の第2の態様において、前記読取部は前記シャッターの表面に設けられている。
【0024】
このような構成によれば、シャッターを回動させる動作とカードを情報読取可能な位置へ配置する動作とを兼ねることができる。
【0025】
本発明の第2の態様において、前記スリットに前記カードが挿入された場合に、前記シャッターを前記カード側に付勢する付勢手段をさらに備える。
【0026】
このような構成によれば、カードの情報記録部とヘッドとの密着性が増す。
【0027】
本発明の第2の態様において、前記ヘッドは磁気センサーを有する。
【0028】
ヘッドと情報記録部の位置合わせに比較的高い精度が求められる磁気読取方式に本発明を適用することは有益である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報読取装置を示す斜視図である。
【図2】図1の情報読取装置における読取部の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る情報読取装置における読取部の構成を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る情報読取装置における読取部の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る情報読取装置における読取部の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る情報読取装置における読取部の構成を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る情報読取装置における読取部の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付の図面を参照しつつ本発明について以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0031】
図1に本発明の第1の実施形態に係る情報読取装置1(磁気情報読取装置)を示す。本実施形態の情報読取装置1は、カード2の情報記録部3に記録された磁気情報を読み取り可能に構成されており、本体部を構成する筐体10と、読取部20とを備えている。
【0032】
筐体10は、片手で持って操作ができる程度の寸法を有し、操作部11、表示部12、印刷部13を備えている。筐体10は内部電源が収容可能に構成されており、情報読取装置1の携帯を可能としている。
【0033】
操作部11は、筐体10の上面における下端部側(図1における左側)に設けられており、複数の操作キーを備えている。ユーザーは操作キーを適宜操作して情報読取装置1に所望の動作を実行させる。
【0034】
表示部12は、筐体10の上面における中央部に設けられており、種々の情報をユーザーに対して表示する。
【0035】
印刷部13は、筐体10の上端側(図1における右側)に設けられており、その内部には図示しない用紙収容部、用紙搬送機構および印刷ヘッドが設けられている。
【0036】
用紙収容部に収容されたロール紙の先端部が用紙搬送機構により印刷ヘッドに対向する位置へと搬送され、印刷ヘッドによる印刷に供される。印刷ヘッドを通過したロール紙の先端部は用紙搬送機構により用紙出口14へと搬送される。用紙出口14より排出されたロール紙の先端部は切断されて、記録された情報を所望する者に手渡される。
【0037】
読取部20は、筐体10の下端側面17に設けられており、筐体10の幅方向に沿って延設されたスリット21(スリット部)が形成されている。
【0038】
図1および図2の(a)に示すように、スリット21は対向する第1の壁部21aと第2の壁部21bにより画成され、読取部20の左右側面および上面において開口している。スリット21はカード2の厚さよりも僅かに広い幅を有し、カード2が第1の壁部21aと第2の壁部21bの間を通過可能に構成されている。また、スリット21の内部における第1の壁部21aにはシャッター22が設けられている。シャッター22は、蓋体22aと、回動軸22bと、捩りばね22c(付勢部材)とを備えている。
【0039】
蓋体22aは板状の部材であり、長手方向の寸法はスリット21の長さ(読取部20の左右両側面間の寸法)に略等しい。回動軸22bは蓋体の長手方向両側端部に設けられ、第1の壁部21aの一部に形成された凹部21c内に取り付けられて、蓋体22aを図2の(a)に示す遮蔽位置と、図2の(b)に示す退避位置との間で回動可能に支持する。
【0040】
捩りばね22cは、回動軸22bの少なくとも一方に装着されて一端部を第1の壁部21aに固定されている。捩りばね22cの他端部は蓋体22aに当接されて、蓋体22aを遮蔽位置に向けて付勢する。よってシャッター22に外力が付与されていない状態においては、蓋体22aは遮蔽位置に位置することとなる。
【0041】
図2の(a)に示す遮蔽位置において、蓋体22aは第1の壁部21aと第2の壁部21bの間に配置されてスリット21の少なくとも下部を外部から遮蔽している。このとき蓋体22aの上面22dは、第1の壁部21aから第2の壁部21bに向かって下方に傾斜している。
【0042】
磁気ヘッド23は磁気センサーを有し、カード2の情報記録部3に記録された磁気情報を読み取ることができる。磁気センサー23は、遮蔽位置にある蓋体22aのさらに下方における第2の壁部21bに配置され、スリット21内に突出している。
【0043】
図2の(a)に示すように、カード2の情報記録部3を第2の壁部21bの側へ向けてカード2を上方からスリット21に挿入すると、カード2の下端部が蓋体22aに当接する。カード2をスリット21の下部に向けて押し込むと、蓋体22aは捩りばね22cの付勢力に抗しつつスリット21の内方に傾斜し、図2の(b)に示す退避位置へ向けて回動される。
【0044】
蓋体22aが回動されつつスリット21を開放していく際に、カード2の下端部は蓋体22aの上面22d上を滑り、図2の(b)に示すようにカード2の情報記録部3が磁気ヘッド23に対向しうる位置へと導かれる。
【0045】
退避位置まで回動された蓋体22aは、先端部を除いて第1の壁部21aに形成された凹部21cに収容される。蓋体22aの先端部はスリット21の内部に突出してカード2に当接し、捩りばね22cの付勢力によりカード2を第2の壁部21bの側へ押圧する。
【0046】
この状態からカード2をスリット21に沿って移動させることにより情報記録部3が磁気ヘッド23と接触し、情報記録部3に記録された磁気情報が磁気ヘッド23に読み取られる。
【0047】
磁気情報の読み取りを終えてカード2がスリット21から脱すると、シャッター22に作用していた外力が失われ、蓋体22aは捩りばね22cの付勢力により図2の(a)に示す遮蔽位置へと復帰する。
【0048】
上記のように、本実施形態の構成によれば、シャッター22に外力が付与されていない通常時において、磁気ヘッド23を含むスリット21の下部が蓋体22aにより上方から覆われている。したがって埃や異物の侵入から磁気ヘッド23を適切に保護することができる。また埃がスリット21内に堆積することによる磁気ヘッド23と情報記録部3の位置決め不良を防止することができる。
【0049】
またカード2をスリット21内に挿入する動作によりシャッター22が内方に傾斜して開放され、同時に蓋体22aの上面22dによってカード2が適切な情報読取可能位置へと導かれるため、操作性に優れると共に、磁気ヘッド23と情報記録部3の位置合わせを容易に行なうことができる。
【0050】
シャッター22はスリットの内部に配置されるため、スリット21を開放するためのシャッター22の変位量を最小限とすることができ、円滑な操作が可能となるだけでなく、装置の小型化や部品コストの抑制も可能である。
【0051】
さらに退避位置にある蓋体22aが、情報読取可能位置に配置されたカード2を第2の壁部21bの側すなわち磁気ヘッド23が設けられている側へ押し付ける力を付与するため、情報記録部3と磁気ヘッド23の密着性が増す。よって磁気ヘッド23による磁気情報の読み取りをより確実に行なうことができる。
【0052】
次に図3を参照しつつ本発明の第2の実施形態に係る情報読取装置1Aについて説明する。第1の実施形態と同一または同等の要素については同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0053】
本実施形態に係る情報読取装置1Aのシャッター22Aは、スイッチ30を備えている点において第1の実施形態に係る情報読取装置1と相違する。
【0054】
スイッチ30は、蓋体22aが退避位置へ向かって所定の角度だけ回動したことを検出し、検出信号を出力するように構成されている。例えばスイッチ30として蓋体22aが一定の角度以上回動すると押圧されるプッシュスイッチを用い、押圧されている間は検出信号を出力し続ける構成とされる。
【0055】
上記の「所定の角度」は図3の(a)に示す蓋体22aの遮蔽位置と図3の(b)に示す蓋体22aの退避位置との間で適宜定められる。
【0056】
本実施形態の情報読取装置1Aが備える電力供給部40は、スイッチ30が出力する検出信号を受信している間のみ磁気ヘッド23に電力を供給するように構成されている。すなわちシャッター22Aに外力が作用していない通常時においては、磁気ヘッド23への電力供給は遮断されている。
【0057】
図3の(a)に示すように、カード2の情報記録部3を第2の壁部21bの側へ向けてカード2を上方からスリット21に挿入すると、カード2の下端部が蓋体22aに当接する。カード2をスリット21の下部に向けて押し込むと、蓋体22aは捩りばね22cの付勢力に抗しつつスリット21の内方に傾斜し、図3の(b)に示す退避位置へ向けて回動される。
【0058】
蓋体22aが退避位置に達するまでの適宜のタイミングにおいてスイッチ30が操作されると、検出信号が出力される。電力供給部40は当該検出信号を受けて磁気ヘッド23への電力供給を開始し、磁気情報の読み取りが可能な状態とされる。
【0059】
磁気情報の読み取りを終えてカード2がスリット21から脱すると、シャッター22Aに作用していた外力が失われ、蓋体22aは捩りばね22cの付勢力により図3の(a)に示す遮蔽位置へと復帰する。
【0060】
これによりスイッチ30からの検出信号の出力が断たれ、電力供給部40は磁気ヘッド23への電力供給を遮断する。
【0061】
上記以外のシャッター22Aの動作は第1の実施形態に係るシャッター22と同じであるため、重複する説明を割愛する。
【0062】
上記のように、本実施形態の構成によれば、カード2がスリット21に挿入されてシャッター22Aが操作された場合にのみ磁気ヘッド23に電力が供給される。これにより簡単な操作で情報読取装置1Aの電源を入れることが可能であるとともに、使用時のみ電源が投入されることとなるため、情報読取装置1Aの消費電力を可及的に抑えることが可能である。とりわけ携帯型の情報読取装置にあっては、こうした省電力性は有益である。
【0063】
次に図4を参照しつつ本発明の第3の実施形態に係る情報読取装置1Bについて説明する。第1の実施形態と同一または同等の要素については同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0064】
本実施形態に係る情報読取装置1Bは、スリット21の内部に第1のシャッター24と第2のシャッター25を備え、磁気ヘッド26が第1のシャッター24に設けられている点において第1の実施形態と相違する。
【0065】
図4の(a)に示すように、第1のシャッター24は、第1の蓋体24aと、第1の回動軸24bと、第1の捩りばね24c(付勢部材)とを備えている。
【0066】
第1の蓋体24aは板状の部材であり、長手方向の寸法はスリット21の長さ(読取部20の左右両側面間の寸法)に略等しい。第1の回動軸24bは蓋体の長手方向両側端部に設けられ、第1の壁部21aの一部に形成された凹部21c内に取り付けられて、第1の蓋体24aを図4の(a)に示す遮蔽位置と、図4の(b)に示す退避位置との間で回動可能に支持する。
【0067】
第1の捩りばね24cは、第1の回動軸24bの少なくとも一方に装着されて一端部を第1の壁部21aに固定されている。第1の捩りばね24cの他端部は第1の蓋体24aに当接されて、第1の蓋体24aを遮蔽位置に向けて付勢する。よって第1のシャッター24に外力が付与されていない状態においては、第1の蓋体24aは遮蔽位置に位置することとなる。
【0068】
図4の(a)に示す遮蔽位置において、第1の蓋体24aは第1の壁部21aと第2の壁部21bの間に配置されてスリット21の少なくとも下部を外部から遮蔽している。このとき第1の蓋体24aの上面24dは、第1の壁部21aから第2の壁部21bに向かって下方に傾斜している。
【0069】
磁気ヘッド26は磁気センサーを有し、カード2の情報記録部3に記録された磁気情報を読み取ることができる。磁気ヘッド26は、その少なくとも一部が第1の蓋体24aの上面24dより突出するように設けられている。
【0070】
第2のシャッター25は、第2の蓋体25aと、第2の回動軸25bと、第2の捩りばね25cとを備えている。
【0071】
第2の蓋体25aは板状の部材であり、長手方向の寸法はスリット21の長さ(読取部20の左右両側面間の寸法)に略等しい。第2の回動軸25bは蓋体の長手方向両側端部に設けられ、第2の壁部21bの一部に形成された凹部21d内に取り付けられて、第2の蓋体25aを図4の(a)に示す遮蔽位置と、図4の(b)に示す退避位置との間で回動可能に支持する。
【0072】
第2の捩りばね25cは、第2の回動軸25bの少なくとも一方に装着されて一端部を第2の壁部21bに固定されている。第2の捩りばね22cの他端部は第2の蓋体22aに当接されて、第2の蓋体22aを遮蔽位置に向けて付勢する。よって第2のシャッター25に外力が付与されていない状態においては、第2の蓋体25aは遮蔽位置に位置することとなる。
【0073】
図4の(a)に示す遮蔽位置において、第2の蓋体25aは第1の壁部21aと第2の壁部21bの間に配置されてスリット21の少なくとも下部を外部から遮蔽し、磁気ヘッド26を上方から覆っている。このとき第2の蓋体25aの上面25dは、第2の壁部21bから第1の壁部21aに向かって下方に傾斜している。
【0074】
図4の(a)に示すように、カード2の情報記録部3を第1の壁部21aの側へ向けてカード2を上方からスリット21に挿入すると、カード2の下端部が第2の蓋体25aに当接する。カード2をスリット21の下部に向けて押し込むと、第2の蓋体25aは第2の捩りばね25cの付勢力に抗しつつスリット21の内方に傾斜し、図4の(b)に示す退避位置へ向けて回動される。
【0075】
第2の蓋体25aが回動されつつスリット21を開放していく際に、カード2の下端部は第2の蓋体25aの上面25d上を滑り、第1の蓋体24aの上面24dへと導かれる。
【0076】
カード2をスリット21の下部に向けてさらに押し込むと、第1の蓋体24aは第1の捩りばね24cの付勢力に抗しつつスリット21の内方に傾斜し、図4の(b)に示す退避位置へ向けて回動される。
【0077】
第1の蓋体24aが回動されつつスリット21を開放していく際に、カード2の下端部は第1の蓋体24aの上面24d上を滑り、図4の(b)に示すようにカード2の情報記録部3が磁気ヘッド26に対向しうる位置へと導かれる。
【0078】
退避位置まで回動された第1の蓋体24aは、第1の壁部21aに形成された凹部21cに収容され、磁気ヘッド26がスリット21の内部に突出する。第1の捩りばね24cの付勢力により、磁気ヘッド26はカード2の側へ押圧される。
【0079】
この状態からカード2をスリット21に沿って移動させることにより情報記録部3が磁気ヘッド26と接触し、情報記録部3に記録された磁気情報が磁気ヘッド26に読み取られる。
【0080】
磁気情報の読み取りを終えてカード2がスリット21から脱すると、第1のシャッター24および第2のシャッター25に作用していた外力が失われ、第1の蓋体24aは第1の捩りばね24cの付勢力により、第2の蓋体25aは第2の捩りばね25cの付勢力により、各々図4の(a)に示す遮蔽位置へと復帰する。
【0081】
上記のように、本実施形態の構成によれば、第1のシャッター24および第2のシャッター25に外力が付与されていない通常時において、磁気ヘッド26を含むスリット21の下部が第2の蓋体25aにより上方から覆われている。したがって埃や異物の侵入から磁気ヘッド26を適切に保護することができる。また埃がスリット21内に堆積することによる磁気ヘッド26と情報記録部3の位置決め不良を防止することができる。
【0082】
またカード2をスリット21内に挿入する動作により第2のシャッター25と第1のシャッター24が順次開放され、同時に第2の蓋体25aの上面25dと第1の蓋体24aの上面24dとによってカード2が適切な情報読取可能位置へと導かれるため、操作性に優れると共に、磁気ヘッド26と情報記録部3の位置合わせを容易に行なうことができる。
【0083】
さらに退避位置にある第1の蓋体24aが、情報読取可能位置に配置されたカード2に向けて磁気ヘッド26を押し付ける力を付与するため、情報記録部3と磁気ヘッド26の密着性が増す。よって磁気ヘッド26による磁気情報の読み取りをより確実とすることができる。
【0084】
次に図5を参照しつつ本発明の第4の実施形態に係る情報読取装置1Cについて説明する。第3の実施形態と同一または同等の要素については同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0085】
本実施形態に係る情報読取装置1Cの第2のシャッター25Aは、スイッチ30Aを備えている点において第3の実施形態に係る情報読取装置1Bと相違する。
【0086】
スイッチ30Aは、第2の蓋体25aが退避位置へ向かって所定の角度だけ回動したことを検出し、検出信号を出力するように構成されている。例えばスイッチ30Aとして第2の蓋体25aが一定の角度以上回動すると押圧されるプッシュスイッチを用い、押圧されている間は検出信号を出力し続ける構成とされる。
【0087】
上記の「所定の角度」は図5の(a)に示す第2の蓋体25aの遮蔽位置と図5の(b)に示す第2の蓋体25aの退避位置との間で適宜定められる。
【0088】
本実施形態の情報読取装置1Cが備える電力供給部40Aは、スイッチ30Aが出力する検出信号を受信している間のみ磁気ヘッド26に電力を供給するように構成されている。すなわち第2のシャッター25Aに外力が作用していない通常時においては、磁気ヘッド26への電力供給は遮断されている。
【0089】
図5の(a)に示すように、カード2の情報記録部3を第1の壁部21aの側へ向けてカード2を上方からスリット21に挿入すると、カード2の下端部が第2の蓋体25aに当接する。カード2をスリット21の下部に向けて押し込むと、第2の蓋体25aは第2の捩りばね25cの付勢力に抗しつつスリット21の内方に傾斜し、図5の(b)に示す退避位置へ向けて回動される。
【0090】
第2の蓋体25aが退避位置に達するまでの適宜のタイミングにおいてスイッチ30Aが操作されると、検出信号が出力される。電力供給部40Aは当該検出信号を受けて磁気ヘッド26への電力供給を開始し、磁気情報の読み取りが可能な状態とされる。
【0091】
磁気情報の読み取りを終えてカード2がスリット21から脱すると、第2のシャッター25Aに作用していた外力が失われ、第2の蓋体25aは捩りばね25cの付勢力により図5の(a)に示す遮蔽位置へと復帰する。
【0092】
これによりスイッチ30Aからの検出信号の出力が断たれ、電力供給部40Aは磁気ヘッド26への電力供給を遮断する。
【0093】
上記以外の第2のシャッター25Aの動作は第3の実施形態に係る第2のシャッター25と同じであるため、重複する説明を割愛する。
【0094】
上記のように、本実施形態の構成によれば、カード2がスリット21に挿入されて第2のシャッター25Aが操作された場合にのみ磁気ヘッド26に電力が供給される。したがって情報読取装置1Cの消費電力を可及的に抑えることが可能である。とりわけ携帯型の情報読取装置にあっては、省電力性は有益である。
【0095】
なおスイッチ30Aは、第1のシャッター24の側に設けてもよい。この場合の動作は第2の実施形態におけるスイッチ30と同様である。
【0096】
次に図6を参照しつつ本発明の第5の実施形態に係る情報読取装置1Dについて説明する。第3の実施形態と同一または同等の要素については同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0097】
本実施形態に係る情報読取装置1Dは、第2の壁部21bにも磁気ヘッド23が設けられている点において第3の実施形態と相違する。
【0098】
磁気ヘッド23は、遮蔽位置にある第2の蓋体25aのさらに下方における第2の壁部21bに配置され、スリット21内に突出している。より具体的には、カード2をスリット21内に挿入した場合(第1の蓋体24aが退避位置にある場合)の磁気ヘッド26の位置と対向する位置に設けられている。
【0099】
本実施形態の構成によれば、カード2の情報記録部3の向きに依らず、磁気情報の読み取りが可能となり、操作性が向上する。すなわち、図6の(a)に示すように情報記録部3を第2の壁部21bの側に向けてスリット21に挿入すれば、図6の(b)に示すように磁気ヘッド23により磁気情報の読み取りが行なわれ、情報記録部3を第1の壁部21aの側に向けてスリット21に挿入すれば、磁気ヘッド26により磁気情報の読み取りが行なわれる(図7参照)。
【0100】
第1のシャッター24および第2のシャッター25の動作は第3の実施形態と同様であり、重複する説明は割愛する。
【0101】
次に図7を参照しつつ本発明の第6の実施形態に係る情報読取装置1Eについて説明する。第5の実施形態と同一または同等の要素については同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0102】
本実施形態に係る情報読取装置1Eの第2のシャッター25Bは、スイッチ30Bを備えている点において第5の実施形態に係る情報読取装置1Dと相違する。
【0103】
スイッチ30Bは、第2の蓋体25aが退避位置へ向かって所定の角度だけ回動したことを検出し、検出信号を出力するように構成されている。例えばスイッチ30Bとして第2の蓋体25aが一定の角度以上回動すると押圧されるプッシュスイッチを用い、押圧されている間は検出信号を出力し続ける構成とされる。
【0104】
本実施形態の情報読取装置1Eが備える電力供給部40Bは、スイッチ30Bが出力する検出信号を受信している間のみ磁気ヘッド23、26に電力を供給するように構成されている。すなわち第2のシャッター25Bに外力が作用していない通常時においては、磁気ヘッド23、26への電力供給は遮断されている。
【0105】
図7の(a)に示すように、カード2の情報記録部3を第1の壁部21aの側へ向けてカード2を上方からスリット21に挿入すると、カード2の下端部が第2の蓋体25aに当接する。カード2をスリット21の下部に向けて押し込むと、第2の蓋体25aは第2の捩りばね25cの付勢力に抗しつつスリット21の内方に傾斜し、図7の(b)に示す退避位置へ向けて回動される。
【0106】
第2の蓋体25aが退避位置に達するまでの適宜のタイミングにおいてスイッチ30Bが操作されると、検出信号が出力される。電力供給部40Bは当該検出信号を受けて磁気ヘッド23、26への電力供給を開始し、磁気情報の読み取りが可能な状態とされる。
【0107】
磁気情報の読み取りを終えてカード2がスリット21から脱すると、第2のシャッター25Bに作用していた外力が失われ、第2の蓋体25aは捩りばね25cの付勢力により図7の(a)に示す遮蔽位置へと復帰する。
【0108】
これによりスイッチ30Bからの検出信号の出力が断たれ、電力供給部40Bは磁気ヘッド23、26への電力供給を遮断する。
【0109】
上記以外の第2のシャッター25Bの動作は第3の実施形態に係る第2のシャッター25と同じであるため、重複する説明を割愛する。
【0110】
上記のように、本実施形態の構成によれば、カード2がスリット21に挿入されて第2のシャッター25Bが操作された場合にのみ磁気ヘッド23、26に電力が供給される。したがって情報読取装置1Eの消費電力を可及的に抑えることが可能である。とりわけ携帯型の情報読取装置にあっては、省電力性は有益である。
【0111】
なおスイッチ30Bは、第1のシャッター24の側に設けてもよい。この場合の動作は第2の実施形態におけるスイッチ30と同様である。
【0112】
上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる事は勿論である。
【0113】
本発明に係る情報読取装置は、カード2に記録された磁気情報を磁気ヘッド23、26により読み取る構成に限られない。例えばバーコード等を用いてカードに情報を記録し、スリットを通過する当該バーコード等を光学的に読み取るヘッドを読取部20が備える構成としてもよい。
【0114】
シャッターの蓋体に付勢力を加える付勢部材は、必ずしも捩りばねである必要はない。蓋体を所定の向きに付勢できるのであれば、適宜の構成を採用できる。
【符号の説明】
【0115】
1:情報読取装置)、2:カード、21:スリット、22:シャッター、22a:蓋体、22c:捩りばね、23、26:磁気ヘッド、30:スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の壁部と第2の壁部との間にカードを通過させるように形成されたスリット部と、
前記スリット部を通過する前記カードに記録された磁気情報を読み取るための第1の磁気ヘッドと、
前記第1の壁部と前記第2の壁部との間に配置され、前記スリット部の少なくとも下部を外部から遮蔽するための第1の蓋体と、
前記第1の磁気ヘッドへ電力の供給・遮断を行なうためのスイッチとを備え、
前記第1の蓋体は前記第1の壁部により回動可能に支持されるとともに、前記第1の壁部から前記第2の壁部に向けて下方に傾斜するように設けられ、
前記スイッチは、前記第1の蓋体の回動に応じて前記電力の供給・遮断を行なう、磁気情報読取装置。
【請求項2】
前記第1の磁気ヘッドは前記第1の蓋体上に設けられ、前記第1の磁気ヘッドを上方から覆う第2の蓋体をさらに備える、請求項1に記載の磁気情報読取装置。
【請求項3】
前記スリット部に前記カードが挿入された場合に、前記第1の蓋体を前記カード側に付勢する付勢手段をさらに備える、請求項1または2に記載の磁気情報読取装置。
【請求項4】
前記第2の蓋体は、前記第2の壁部から前記第1の壁部に向けて下方に傾斜した状態で設けられている、請求項2または3に記載の磁気情報読取装置。
【請求項5】
前記磁気情報を読み取るための第2の磁気ヘッドをさらに備え、
前記第2の磁気ヘッドは、前記カードを前記スリット部内に配置した場合の前記第1の磁気ヘッドの位置と対向する位置に設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気情報読取装置。
【請求項6】
情報を記録したカードを通過させるスリットと、
前記スリットに臨ませて設けられ、前記カードの情報を読み取るヘッドと、
前記スリットを遮蔽するためのシャッターとを備え、
前記シャッターは、前記スリットの一方の壁部に内方へ回動可能に取り付けられている、情報読取装置。
【請求項7】
前記シャッターは前記スリットの内部に配置されている、請求項6に記載の情報読取装置。
【請求項8】
前記シャッターの開放を検出するスイッチをさらに備え、
前記スイッチからの出力に基づき前記ヘッドへ電力の供給・遮断が行なわれる、請求項6または7に記載の情報読取装置。
【請求項9】
前記読取部は前記シャッターの表面に設けられている、請求項6から8のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項10】
前記スリットに前記カードが挿入された場合に、前記シャッターを前記カード側に付勢する付勢手段をさらに備える、請求項6から9のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項11】
前記ヘッドは磁気センサーを有する、請求項6から10のいずれか一項に記載の情報読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate