説明

情報配信装置、情報配信システム、および情報配信方法

【課題】ユーザの満足度を満たすスポット情報を配信可能な情報配信装置、情報配信システム、および情報配信方法を提供すること。
【解決手段】情報配信装置10は、設定手段11と、配信手段12と、を備えている。設定手段11は、複数のユーザ端末20から受信したスポット情報をログデータとして記憶し、このログデータに基づいて各スポットに対する共起スポットを算出する。配信手段12は、ユーザ端末20の現在位置に対する共起スポットを、スポット情報としてユーザ端末20に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット情報を配信可能な情報配信装置、情報配信システム、および情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、PHS(Personal Handyphone System)、モバイルコンピュータ等に対し、ネットワークを介して道案内や観光案内等の情報を提供する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、渋谷駅周辺を散策したい場合、案内情報を提供するセンタにアクセスして渋谷駅周辺を2〜3時間の予定で案内する案内用スクリプトを実行させ、センタが案内情報を音声や文字などで携帯電話へ送信することにより、時間と場所に応じた案内サービスを受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−215211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で作成される案内用スクリプトは、一般的なスポットを案内するため、ユーザの意図とは異なる情報が提供される可能性がある。例えば、アウトドアショップの情報が欲しいユーザに対して雑貨店の情報を送っても有益な情報とはならず、ユーザの満足度を満たすことはできない。
【0005】
本発明の目的は、ユーザの満足度を満たすスポット情報を配信可能な情報配信装置、情報配信システム、および情報配信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報配信装置は、複数のユーザ端末にネットワークを介して接続され、前記ユーザ端末に対してスポット情報を配信する情報配信装置であって、前記複数のユーザ端末から各ユーザが訪れたスポットを受信し、前記各ユーザが所定期間内に訪れた前記スポットをログデータとして収集するログ収集手段と、前記ログデータに含まれる各スポットに対する共起スポットをそれぞれ算出し、前記スポットと前記共起スポットとを関連付けて記憶手段に記憶させる共起スポット計算手段と、前記ユーザ端末から当該ユーザの現在位置を受信し、当該ユーザの現在位置に最も近いスポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出する共起スポット抽出手段と、前記抽出された共起スポットを前記スポット情報として前記ユーザ端末に配信するスポット情報配信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、複数のユーザ端末からユーザが所定期間内に実際に訪れたスポットをログデータとして収集し、このログデータに基づいて各スポットに対する共起スポットを算出する。ここで、共起スポットについて説明する。スポットAを訪れたユーザがスポットBを訪れる確率が高い場合に、スポットBをスポットAの共起スポットとする。また、ユーザ端末からの要求または設定によりユーザ端末の現在位置を受信し、当該現在位置に最も近いスポットに対する共起スポットを記憶手段から抽出し、当該ユーザ端末に対してこの共起スポットをスポット情報として送信する。
これによれば、情報配信装置は、ユーザが実際に訪れたスポットをログデータとして収集するため、実データに基づいた適切な共起スポットを求めることができる。また、共起スポットを提示されたユーザは、他の人がどのようなスポットを訪れているかという情報に基づいて次の予定を立てることができるため、ユーザにとって有益な情報を配信することができる。特に、同じ趣味や嗜好を持っている人は同じスポットを訪れる確率も高いため、実データに基づいて求められた共起スポットをユーザに提示することで、ユーザにとって有益な情報を配信することができる。すなわち、ユーザの満足度を向上させることができる。
【0008】
本発明の情報配信装置において、前記共起スポット計算手段は、前記スポットと任意のスポットについて、前記スポットにいた人数に対する前記スポットおよび前記任意のスポットの両方にいた人数の割合と、前記任意のスポットにいた人数に対する前記スポットおよび前記任意のスポットの両方にいた人数の割合とを掛け合わせて得られる共起度を算出し、前記共起度が所定の閾値以上であれば前記任意のスポットを前記スポットに対する共起スポットとすることが好ましい。
【0009】
この発明では、各スポットと他の任意のスポットとの共起性を、共起度という指標を用いて判定する。共起度が高いほど共起性が高いということであり、閾値を設定して共起スポットか否かを判定する。これによれば、共起度という指標を用いるため、適切に共起スポットを求めることができる。したがって、情報配信装置は、適切に求められた共起スポットにより、ユーザが満足する情報を提供することができる。
【0010】
本発明の情報配信装置において、前記共起スポット抽出手段は、前記ユーザの現在位置がスポットである場合は、当該スポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出し、前記ユーザの現在位置がスポットから離れている場合は、前記ユーザの現在位置に最も近いスポットを特定し、当該スポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出することが好ましい。
【0011】
ユーザ端末から取得した現在位置は、道路上にある可能性もあり、スポットにあるとは限らない。したがって、現在位置がスポットにある場合はスポットを特定できるが、現在位置がスポットにない場合は、最も近い位置にあるスポットを特定する。これにより、ユーザ端末から受信したデータを無駄なく利用し、多数のログデータを収集できるため、実データに基づいたより適切な共起スポットを求めることができる。
【0012】
本発明の情報配信システムは、ユーザが訪れたスポットを送信する複数のユーザ端末と、このユーザ端末にネットワークを介して接続され、前記複数のユーザ端末から各ユーザが訪れたスポットを受信し、前記各ユーザが所定期間内に訪れた前記スポットをログデータとして収集するログ収集手段と、前記ログデータに含まれる各スポットに対する共起スポットを算出し、前記スポットと前記共起スポットとを関連付けて記憶手段に記憶させる共起スポット計算手段と、前記ユーザ端末から当該ユーザの現在位置を受信し、当該ユーザの現在位置に最も近いスポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出する共起スポット抽出手段と、前記抽出された共起スポットを前記スポット情報として前記ユーザ端末に配信するスポット情報配信手段と、を備えた情報配信装置と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明では、情報配信装置はユーザが実際に訪れたスポットをユーザ端末から取得し、ログデータとして収集するため、実データに基づいた適切な共起スポットを求めることができる。また、情報配信装置からユーザ端末に配信されたスポット情報として共起スポットを提示されたユーザは、他の人がどのようなスポットを訪れているかという情報に基づいて次の予定を立てることができるため、ユーザにとって有益な情報を配信することができる。特に、同じ趣味や嗜好を持っている人は同じスポットを訪れる確率も高いため、実データに基づいて求められた共起スポットをユーザに提示することで、ユーザにとって有益な情報を配信することができる。すなわち、ユーザの満足度を向上させることができる。
【0014】
本発明の情報配信方法は、ユーザ端末に対してスポット情報を配信する情報配信方法であって、複数のユーザ端末から各ユーザが訪れたスポットを受信するステップと、前記各ユーザが所定期間内に訪れた前記スポットをログデータとして収集するステップと、前記ログデータに含まれる各スポットに対する共起スポットをそれぞれ算出し、前記スポットと前記共起スポットとを関連付けて記憶手段に記憶させるステップと、前記ユーザ端末から当該ユーザの現在位置を受信するステップと、当該ユーザの現在位置に最も近いスポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出するステップと、前記抽出された共起スポットを前記スポット情報として前記ユーザ端末に配信するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この発明では、ユーザが実際に訪れたスポットをログデータとして収集するため、実データに基づいた適切な共起スポットを求めることができる。また、共起スポットを提示されたユーザは、他の人がどのようなスポットを訪れているかという情報に基づいて次の予定を立てることができるため、ユーザにとって有益な情報を配信することができる。特に、同じ趣味や嗜好を持っている人は同じスポットを訪れる確率も高いため、実データに基づいて求められた共起スポットをユーザに提示することで、ユーザにとって有益な情報を配信することができる。すなわち、ユーザの満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかる情報配信装置のネットワーク構成および機能構成を示すブロック図。
【図2】前記情報配信装置の動作を示すフローチャート。
【図3】前記情報配信装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
情報配信システム1は、図1に示すように、情報配信装置10と、ユーザ端末20と、がそれぞれインターネット2を介して接続された構成となっている。
【0018】
情報配信装置10には、予めユーザ端末20がユーザ登録され、各ユーザ端末20には、ユーザを識別するユーザIDが付与されている。ユーザ登録しているユーザ端末20のうち、情報配信装置10に対して位置情報の送信を許可しているユーザ端末20は、情報配信装置10に現在位置を送信する。情報配信装置10は、受信したユーザ端末20の現在位置をログデータとして記憶し、蓄積されたログデータに基づいて、各スポットに対する共起スポットを求める。
情報配信装置10は、ユーザ端末20の現在位置を取得し、この現在位置に該当するスポット、または最も近いスポットに対する共起スポットを、当該ユーザ端末20に対して送信する。
【0019】
以下、各構成について詳述する。
インターネット2はTCP/IPなどの汎用のプロトコルに基づくインターネットであるが、これに限られない。例えば、無線媒体により情報が送受信可能な複数の基地局がネットワークを構成する通信回線網などのネットワーク、など、データを送受信させるいずれの構成も利用できる。
【0020】
情報配信装置10は、ハードウェア構成として、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶手段と、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段と、を備えている。RAMはデータなどを一時的に記憶できる一時領域などを有しており、ROMはOS(Operating System:基本ソフトウェア)や各種サーバを制御するプログラム、各種アプリケーション、各種データ等が格納されている。CPUは、これらの記憶手段に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って各種処理を行う。
【0021】
情報配信装置10の記憶手段には、図1に示すように、ログデータベース101と、共起スポットデータベース102と、ユーザデータベース103と、スポットデータベース104と、が記憶されている。
ログデータベース101は、例えば、以下の表1に示すように、ユーザ端末20を識別するユーザIDと、ユーザ端末20が訪れたスポットを識別するスポットIDと、その時間と、が関連付けられて1つのレコードとして記憶されたテーブル構造となっている。ここで、ユーザIDは、情報配信装置10を利用するためにユーザ登録を行った際に、一意に識別可能に付与されてユーザデータベースに記憶されている。また、スポットIDは、スポットを一意に識別可能に付与され、予めスポットデータベースに記憶されている。なお、項目はここに列挙したものに限られず、ログデータとして利用可能であればその他の項目を適宜追加してもよい。
【0022】
【表1】

【0023】
共起スポットデータベース102は、例えば、以下の表2に示すように、スポットを識別するスポットIDと、このスポットに共起する2件のスポットIDと、が関連付けられて1つのレコードとして記憶されたテーブル構造となっている。なお、記憶される共起スポットの件数は特に限定されず、1件でもよいし、3件以上のスポットが記憶されていてもよい。
【0024】
【表2】

【0025】
ユーザデータベース103は、ユーザを識別するユーザIDと、ユーザの属性等の情報と、情報配信装置10に対する位置情報の送信の可否と、が関連付けられて記憶されている。
スポットデータベース104は、スポットを識別するスポットIDと、スポットの名称と、スポットの位置を示す緯度や経度の座標と、交通案内等の情報と、が関連付けられて記憶されている。
【0026】
また、情報配信装置10は、制御手段の機能構成として、共起スポットを設定する設定手段11と、スポット情報を配信する配信手段12と、を備えている。
設定手段11は、複数のユーザ端末20から受信した各ユーザが訪れたスポットをログデータとして記憶し、このログデータに基づいて各スポットに対する共起スポットを設定する。設定手段11は、第1の位置情報受信部111と、ログ作成部112と、共起スポット計算部113と、を備えている。ここで、第1の位置情報受信部111およびログ作成部112が、本発明のログ収集手段として機能する。
【0027】
第1の位置情報受信部111は、位置情報の送信を了承しているユーザ端末20から定期的に送信されてくる当該ユーザ端末20の位置情報を受信する。具体的には、ユーザ端末20においてGPS信号を受信することで算出された位置情報を受信する。位置情報には、ユーザ端末20の位置を示す緯度や経度の座標、およびその位置にいた時間等が含まれている。第1の位置情報受信部111で受信したユーザの位置情報は、ログデータを収集するために利用される。
ログ作成部112は、第1の位置情報受信部111で受信した位置情報に含まれる座標と、スポットデータベース104に記憶された各スポットの座標と、から当該座標の位置に存在するスポットを判定し、ユーザ端末20の所有者であるユーザを識別するユーザIDに、そのユーザがいたスポットを識別するスポットIDと、そのスポットにいた時間と、を関連付けてログデータとしてログデータベース101に記憶させる。
【0028】
共起スポット計算部113は、ログデータベース101に記憶されたログデータに基づいて、各スポットに対する共起スポットを算出する。具体的には、所定期間内にスポットSaに立ち寄った人数をP(Sa)、スポットSbに立ち寄った人数をP(Sb)、スポットSaとSbの両方に立ち寄った人数をP(Sa;Sb)とし、スポットSaとSbとの共起度C(Sa;Sb)を以下の式(1)で求める。ここで、所定期間は5時間、半日、1日など適宜設定することができる。
【0029】
C(Sa;Sb)=P(Sa;Sb)/P(Sa)×P(Sa;Sb)/P(Sb) ・・・(1)
【0030】
共起度C(Sa;Sb)が任意の閾値以上であれば共起性ありとし、任意の閾値に満たない場合は共起性なしと判定する。すなわち、共起度C(Sa;Sb)が任意の閾値以上の場合は、スポットSaはスポットSbの共起スポットであり、スポットSbはスポットSaの共起スポットであると言うことができる。なお、閾値は、任意に設定することができる。そして、スポットSaの共起スポットと判定されたスポットSbのスポットIDを、スポットSaのスポットIDと関連付けて、共起スポットデータベース102に記憶させる。このように、スポットSaに対する共起度を全てのスポットについてそれぞれ計算し、共起スポットを求める。
【0031】
配信手段12は、ユーザ端末20の現在位置に対する共起スポットを、スポット情報としてユーザ端末20に送信する。配信手段12は、第2の位置情報受信部121と、共起スポット抽出部122と、スポット情報配信部123と、を備えている。ここで、第2の位置情報受信部121および共起スポット抽出部122が、本発明の共起スポット抽出手段として機能する。
第2の位置情報受信部121は、ユーザ端末20からユーザの位置情報を取得する。具体的には、ユーザ端末20においてGPS信号を受信することで算出された位置情報を受信する。位置情報には、ユーザ端末20の位置を示す緯度や経度の座標等が含まれている。第2の位置情報受信部121で受信したユーザの位置情報は、当該ユーザに最適なスポット情報を配信するために利用される。
【0032】
共起スポット抽出部122は、ユーザ端末20の位置情報と、スポットデータベース104に記憶された各スポットの座標と、からユーザ端末20が位置するスポットを特定する。ユーザ端末20が位置する座標がいずれのスポットにも該当しない場合は、最も近いスポットを特定する。そして、特定されたスポットを識別するスポットIDに関連付けられた共起スポットを、共起スポットデータベース102から抽出する。
スポット情報配信部123は、抽出された共起スポットを識別するスポットIDに関連付けられたスポット情報を、スポットデータベース104から取得し、当該スポット情報を当該ユーザ端末20へ配信する。スポット情報としては、スポットの名称、場所、業種、交通案内等が含まれている。なお、ユーザ端末20の位置する座標がいずれのスポットにも該当しない場合は、共起スポット抽出部122で特定された最も近いスポットに関する情報も、共起スポットの情報とともに配信する。
【0033】
ユーザ端末20としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、モバイルコンピュータなどを使用することができ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶手段と、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段と、を備えている。ユーザ端末20は、GPS信号を受信して経度や緯度の座標を算出し、情報配信装置10に送信できるように構成されている。情報配信装置10に対する位置情報の送信を了承しているユーザ端末20には、情報配信装置10に対して定期的に位置情報を送信するプログラムが組み込まれ、このプログラムを実行している。
【0034】
[情報配信装置10の動作]
次に、情報配信装置10の動作を、フローチャートに基づいて説明する。
情報配信システム1は、共起スポットを求めるステップと、ユーザ端末20に対してスポット情報を提供するステップと、が別々に動作する。
まず、共起スポットを求めるステップを図2に基づいて説明する。
情報配信システム1では、ユーザ端末20は予め情報配信装置10にユーザ登録され、一意に識別可能なユーザIDが付与されている。ユーザ登録時には、情報配信装置10に対して位置情報を送信することを了承するか否かを選択し、この情報がユーザデータベース103に記憶されている。なお、位置情報の送信を了承しているユーザ端末20には、定期的に情報配信装置10に対して位置情報を送信するプログラムが組み込まれている。
【0035】
第1の位置情報受信部111は、ユーザ端末20から送信されてくる位置情報を受信する(ステップS11)。
次に、ログ作成部112は、位置情報に含まれる緯度や経度の座標に基づいて、スポットデータベース104から該当するスポットを特定する。そして、当該位置情報を送信したユーザ端末20のユーザIDと、当該スポットのスポットIDと、位置情報に含まれる時間と、を関連付けてログデータベース101に記憶させる(ステップS12)。
【0036】
そして、共起スポット計算部113は、ログデータベース101に記憶されたログデータに基づいて、あるスポットに対するその他のスポットの共起度を上記(1)式を用いて算出し、共起度がある閾値以上、例えば60%以上となるスポットを当該スポットの共起スポットであるとして、当該スポットを識別するスポットIDに共起スポットと判定されたスポットを識別するスポットIDを関連付けて、共起スポットデータベース102に記憶させる(ステップS13)。
【0037】
例えば、アウトドアショップAを訪れたユーザは、その後にアウトドアショップBおよびアウトドアショップCを訪れる確率は高いが、宝石店Dに訪れる確率は低い。この確率が上述した共起度であり、この共起度が閾値以上であるアウトドアショップBおよびアウトドアショップCは、アウトドアショップAの共起スポットとなる。したがって、アウトドアショップAにアウトドアショップBおよびアウトドアショップCが関連付けられてそれぞれのスポットIDが共起スポットデータベース102に記憶される。
【0038】
次に、ユーザ端末20にスポット情報を提供するステップを図3に基づいて説明する。
ユーザは、スポット情報を取得したい場合に、ユーザ端末20から情報配信装置10にアクセスして、スポット情報の要求を送信する。このとき、ユーザ端末20の位置情報も同時に送信する。
第2の位置情報受信部121は、ユーザ端末20からの要求を位置情報とともに受信する(ステップS21)。
【0039】
次に、共起スポット抽出部122は、受信した位置情報に含まれる座標に基づいて、スポットデータベースから該当するスポットを特定する。該等するスポットがない場合は、最も近いスポットを特定する。そして、当該スポットの共起スポットを共起スポットデータベース102から抽出する(ステップS22)。
スポット情報配信部123は、抽出されたスポットに関する情報をスポットデータベース104から取得し、当該スポット情報を、スポット情報の要求をしたユーザ端末20に対して配信する。(ステップS23)。
【0040】
上述した例において、アウトドアショップBにいるユーザがユーザ端末20から情報配信装置10にアクセスしてスポット情報を要求すると、情報配信装置10は、アウトドアショップBの共起スポットとして共起スポットデータベース102に記憶されているアウトドアショップAおよびCのスポット情報をユーザ端末20に対して送信する。なお、共起スポットが複数ある場合、ユーザ端末20の表示画面には共起度の高い順に表示させるようにしてもよい。
【0041】
[本実施形態の作用効果]
以上の本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
設定手段11は、ユーザ端末20から受信した位置情報に基づいてログデータを収集し、収集したログデータに基づいて各スポットに対する共起スポットを求めている。このように、ユーザが実際に訪れたスポットの情報を用いて共起スポットを求めるので、実データに基づいた適切な共起スポットを求めることができる。
また、配信手段12は、ユーザ端末20の現在位置に基づいて、前述のように適切に設定された共起スポットをスポット情報として配信するため、ユーザの意図に適ったスポット情報を配信することができ、ユーザの満足度を満たすことができる。
【0042】
例えば、アウトドアショップAを訪れているユーザが、他のショップも見てみたいと思う場合、情報配信装置10に対してスポット情報を要求すると、アウトドアショップAに関連付けられた共起スポットであるアウトドアショップBおよびCの情報が送信されてくる。このように、共起スポットを用いて情報配信を行うことで、ユーザの趣味や興味に合った情報を配信することができ、ユーザの満足度を向上させることができる。
一方、アウトドアショップを訪れたいという明確な目的がない場合でも、他の人がどのような場所を訪れているかという情報を得ることができるため、ユーザにとっては有益である。
【0043】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
例えば、上記実施形態では、ユーザ端末20からの要求があると、配信手段12は共起スポットを抽出してユーザ端末20に送信しているが、スポット情報を配信するタイミングはこれに限られない。例えば、配信手段12が定期的にユーザ端末20にアクセスして現在位置を取得し、一方的にユーザ端末20にスポット情報を配信する構成であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、ユーザ端末20から定期的に送信されてくる位置情報が情報を受信し、その都度ログデータを作成しているが、例えば、ユーザ端末20がその日に訪れた場所の座標と時間をユーザ端末20側で蓄積しておき、1日の終わり、例えば24時にまとめて情報配信装置10に送信してログデータを作成してもよい。
また、上記実施形態では、ユーザ端末20に組み込まれたプログラムを実行することで、情報配信装置10に定期的に位置情報を送信する構成としたが、情報配信装置10が定期的に位置情報の配信を了承しているユーザ端末20にアクセスして位置情報を取得する構成でもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、設定手段11および配信手段12を1つの装置内に構成したが、別々の装置に各手段を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ユーザに対してスポット情報を配信するための情報配信装置、情報配信システム、および情報配信方法として利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1…情報配信システム
10…情報配信装置
11…設定手段
12…配信手段
20…ユーザ端末
101…ログデータベース
102…共起スポットデータベース
103…ユーザデータベース
104…スポットデータベース
111…第1の位置情報受信部
112…ログ作成部
113…共起スポット計算部
121…第2の位置情報受信部
122…共起スポット抽出部
123…スポット情報配信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末にネットワークを介して接続され、前記ユーザ端末に対してスポット情報を配信する情報配信装置であって、
前記複数のユーザ端末から各ユーザが訪れたスポットを受信し、前記各ユーザが所定期間内に訪れた前記スポットをログデータとして収集するログ収集手段と、
前記ログデータに含まれる各スポットに対する共起スポットをそれぞれ算出し、前記スポットと前記共起スポットとを関連付けて記憶手段に記憶させる共起スポット計算手段と、
前記ユーザ端末から当該ユーザの現在位置を受信し、当該ユーザの現在位置に最も近いスポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出する共起スポット抽出手段と、
前記抽出された共起スポットを前記スポット情報として前記ユーザ端末に配信するスポット情報配信手段と、を備えた
ことを特徴とする情報配信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報配信装置において、
前記共起スポット計算手段は、前記スポットと任意のスポットについて、前記スポットにいた人数に対する前記スポットおよび前記任意のスポットの両方にいた人数の割合と、前記任意のスポットにいた人数に対する前記スポットおよび前記任意のスポットの両方にいた人数の割合とを掛け合わせて得られる共起度を算出し、前記共起度が所定の閾値以上であれば前記任意のスポットを前記スポットに対する共起スポットとする
ことを特徴とする情報配信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報配信装置において、
前記共起スポット抽出手段は、
前記ユーザの現在位置がスポットである場合は、当該スポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出し、
前記ユーザの現在位置がスポットから離れている場合は、前記ユーザの現在位置に最も近いスポットを特定し、当該スポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出する
ことを特徴とする情報配信装置。
【請求項4】
ユーザが訪れたスポットを送信する複数のユーザ端末と、
このユーザ端末にネットワークを介して接続され、
前記複数のユーザ端末から各ユーザが訪れたスポットを受信し、前記各ユーザが所定期間内に訪れた前記スポットをログデータとして収集するログ収集手段と、
前記ログデータに含まれる各スポットに対する共起スポットを算出し、前記スポットと前記共起スポットとを関連付けて記憶手段に記憶させる共起スポット計算手段と、
前記ユーザ端末から当該ユーザの現在位置を受信し、当該ユーザの現在位置に最も近いスポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出する共起スポット抽出手段と、
前記抽出された共起スポットを前記スポット情報として前記ユーザ端末に配信するスポット情報配信手段と、を備えた情報配信装置と、を備えた
ことを特徴とする情報配信システム。
【請求項5】
ユーザ端末に対してスポット情報を配信する情報配信方法であって、
複数のユーザ端末から各ユーザが訪れたスポットを受信するステップと、
前記各ユーザが所定期間内に訪れた前記スポットをログデータとして収集するステップと、
前記ログデータに含まれる各スポットに対する共起スポットをそれぞれ算出し、前記スポットと前記共起スポットとを関連付けて記憶手段に記憶させるステップと、
前記ユーザ端末から当該ユーザの現在位置を受信するステップと、
当該ユーザの現在位置に最も近いスポットに対する共起スポットを前記記憶手段から抽出するステップと、
前記抽出された共起スポットを前記スポット情報として前記ユーザ端末に配信するステップと、を備えた
ことを特徴とする情報配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−141746(P2012−141746A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293487(P2010−293487)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】