説明

情報隠蔽用紙

【課題】隠蔽情報の控えを取得できるとともに、隠蔽情報を鮮明なものとする。
【解決手段】筆記具等で直接的に記入した文字・図形を隠蔽できるように構成されているとともに、その文字・図形が複写された控え書が得られるように構成されている情報隠蔽用紙により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記入情報を特定人のみが知り得る状態で隠蔽できるとともに、その記入情報の控え書をも得ることができる情報隠蔽用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
情報隠蔽用紙は、所望の箇所に隠蔽情報を直接的又は間接的に記入した後に、該記入箇所を内面として折り畳んだ状態を維持することにより情報隠蔽状態にし、さらに必要に応じて折り畳み状態を解除して記入した情報を読み取ることができるように構成されたものであり、例えば、個人情報や口座番号を記入して各種届出機関へ郵送する際の情報隠蔽葉書としてよく利用されている。
このような情報隠蔽用紙においては、いったん折り畳み状態とすると記入者自らも記入情報の確認ができなくなるため、記入した内容の控えを取りたいという要望があり、これを達成すべく下記文献1〜2のように、控え書に筆記具等で直接的に情報を記入すると、顕色剤と発色剤との化学反応を用いた既知の複写機能によって、後に隠蔽される隠蔽情報記入部に同様の情報が複写されるように構成されたものが発案されるに至っている(下記、特許文献1〜2)。
【特許文献1】特開平7−144491
【特許文献2】特開2005−254585
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの従来の控え書が得られる情報隠蔽用紙は、筆記具等で直接的に情報が記入される控え書には比較的鮮明な情報が確実に記入されるものの、後に隠蔽される隠蔽情報記入部には筆圧不足による複写不十分や、顕色剤や発色剤又はこれらの反応によって形成された文字・図形部分と隠蔽のための粘着剤との化学反応、さらに当該文字・図形部分の剥離時における剥離面への取られ等により、情報が不鮮明になることが多々あり、これにより受取人が折り畳み状態を解除して隠蔽情報を読みとろうとしたときに所望の情報が読み取れないという事故が生ずることがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、製造が容易で、しかも煩雑な操作なく簡易に隠蔽情報の控え書を得ることができるとともに、隠蔽情報を読み取るべき者に鮮明な文字・図形情報を届けることができる情報隠蔽用紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
<請求項1記載の発明>
折り線を介して剥離性粘着用紙部、非剥離性粘着用紙部及び隠蔽情報記入用紙部がこの順に連接されている基紙と、
前記剥離性粘着用紙部及び非剥離性粘着用紙部を被覆し、隠蔽情報記入用紙部を被覆しないようにして前記基紙の一方面に剥離可能に貼合されている複写紙と、を備え、
前記剥離性粘着用紙部は、複写紙が貼合されている面に前記隠蔽情報記入用紙部に対して再剥離性をもって粘着する剥離性粘着部を有し、
非剥離性粘着用紙部は、複写紙によって貼合されている面に前記隠蔽情報記入用紙部に対して非剥離性をもって粘着する非剥離性粘着部を有し、
隠蔽情報記入用紙部は、複写紙非対向面側に隠蔽情報記入部を有し、
前記複写紙は、前記隠蔽情報記入用紙部を折り線で複写紙被覆面側に折り返したときに、前記隠蔽情報記入部と重なる位置に控え記入部を有し、
かつ、前記基紙が少なくとも隠蔽情報記入用紙部の複写紙対向面に発色剤層を備える上用紙であるとともに、前記複写紙が少なくとも控え書記入部に顕色剤層を有する下用紙である、ことを特徴とする情報隠蔽用紙。
【0005】
(作用効果)
本発明の情報隠蔽用紙は、隠蔽情報記入用紙部の複写紙非対向面に隠蔽情報記入部を有し、前記隠蔽情報記入用紙部を折り線で複写紙被覆面側に折り返したときに前記隠蔽情報記入部と重なる複写紙の部位に控え記入部を有する。さらに、本発明の情報隠蔽用紙は、基紙が少なくとも隠蔽情報記入用紙部の複写紙対向面に発色剤層を有する上用紙であるとともに、前記複写紙が少なくとも控え書記入部に顕色剤層を有する下用紙である。
従って、隠蔽情報記入用紙部を折り線で複写紙被覆面側に折り返して複写紙上に重ね合わせた状態で、隠蔽情報記入部に筆記具等で直接的に情報を記入すると控え記入部に情報が複写され、簡易に情報の控えを取ることができる。
さらに、本発明の情報隠蔽用紙は、複写紙と基紙とが剥離可能に粘着されているため、情報の記入後に複写紙を基紙から剥離することにより控え書とすることができる。そして、このとき、基紙の剥離性粘着部及び非剥離性粘着部が露出されるが、この剥離性粘着部及び非剥離性部が露出された状態で、前記隠蔽情報記入用紙部を折り線で折って非剥離性粘着用紙部の非剥離性部側に折り重ねると、隠蔽情報記入用紙部と非剥離性粘着用紙部とが剥離不能に貼合されて一体となり、そして、隠蔽情報記入用紙部の隠蔽情報記入部と剥離性粘着用紙部の剥離性粘着部とが同一面となる。
従って、この隠蔽情報記入用紙部の隠蔽情報記入部と剥離性粘着用紙部の剥離性粘着部とが同一面の状態から、隠蔽情報記入用紙部と剥離性粘着用紙部とを隠蔽情報記入部が内面となるように折り線で折って重ね合わせると、剥離性粘着用紙部の剥離性粘着部によって両用紙部が剥離可能に貼合される。
かくして、隠蔽情報記入部に記入した情報が隠蔽状態となるが、本発明では、特徴的に隠蔽された情報が複写されたものではなく筆記具等をもって直接的に記入されてものである。このため筆圧不足や粘着剤との化学反応等に起因して、情報が不鮮明となることがなく、もって隠蔽情報を読み取るべき者に鮮明な情報が届けられる。
さらに、本発明の情報隠蔽用紙は、隠蔽状態では、隠蔽情報記入用紙部、非剥離性粘着用紙部、剥離性粘着用紙部が重なって一体化されるため、各用紙部をハンドリング性に優れるように比較的低坪量としても、隠蔽時にはある程度の剛性を確保することができる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
複写紙又は隠蔽情報用紙部の少なくとも一方に、前記隠蔽情報記入用紙部を折り線で複写紙被覆面側に折り返して重ね合わせたときに、これらを剥離可能に一時的に接着させる仮止め接着部が設けられている請求項1記載の情報隠蔽用紙。
【0007】
(作用効果)
隠蔽情報記入用紙部を折り線で複写紙被覆面側に折り返したときに、複写紙と隠蔽情報用紙部とが剥離可能に一時的に接着されるので、情報を記入する際に両紙がずれることがなく、隠蔽情報記入部に記入した情報が確実に控え記入部に複写されるようになる。
【発明の効果】
【0008】
以上のとおり本発明によれば、製造が容易であり、しかも煩雑な操作なく簡易に情報の控え書を得ることができ、さらに隠蔽情報を読み取るべき者に鮮明な文字・図形情報を届けることができる情報隠蔽用紙が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次いで、本発明の実施形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
図1に本形態の情報隠蔽用紙を複写紙被覆面側から見た図を、図2に複写紙非対向面側から見た図を、図3に、図1のIII−III断面図を示す。
【0010】
本形態の情報隠蔽用紙X1は、折り線L1〜3を介して剥離性粘着用紙部A、非剥離性粘着用紙部B及び隠蔽情報記入用紙部Cがこの順に連接された基紙1の一方面に、前記剥離性粘着用紙部A及び非剥離性粘着用紙部Bを被覆し、隠蔽情報記入用紙部Cを被覆しないようにして複写紙2が剥離可能に貼合されている。
【0011】
基紙1は、剥離性粘着用紙部A、非剥離性粘着用紙部B及び隠蔽情報記入用紙部Cが、それぞれ葉書サイズとされており、前記折り線L1,L2で折って各用紙部A,B,Cを重ね合わせると、葉書サイズに折り畳まれるように形成されている。葉書サイズで図の説明を行っているが、サイズは特に葉書に限定するものではなく、封筒サイズ等必要に応じて異なるサイズを使用することができる。
【0012】
隠蔽情報記入用紙部Cは、複写紙非対向面側に隠蔽情報記入部cを有する。隠蔽情報記入部cは、例えば、親展情報や金融機関等に関する情報等の隠蔽情報を記載する箇所を指定するための題字・枠欄等により構成される不変情報であり、これらの題字・枠欄等はオフセット印刷、グラビア印刷等の適宜の印刷手段により予め設けることができる。また、隠蔽性能向上のため、宛名部、隠蔽情報記入部以外の部分に適宜地紋印刷や染色等を行うことも可能である。
【0013】
非剥離性粘着用紙部Bは、複写紙2が貼合されている面に前記隠蔽情報記入用紙部Aに対して非剥離性をもって接着する非剥離性粘着部bを有する。非剥離性粘着部bは、非剥離性粘着剤の塗布又は塗工により形成することができる。
【0014】
非剥離性粘着剤としては、例えば、天然又は合成ゴム系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、有機溶剤系、エマルジョン系の既知の粘着剤を用いることができる。
【0015】
ゴム系粘着財の具体例を挙げれば、主成分として天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等の中から選ばれた少なくとも1種を含有するものが挙げられる。
【0016】
アクリル系粘着剤の具体例を挙げれば、主成分として、アクリル酸エステル単独重合体、アクリル酸エステル単位2種以上を含む共重合体及びアクリル酸エステルと他の官能性単量体との共重合体の中から選ばれた少なくとも1種を含有するものが挙げられる。前記アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル等が挙げられる。また、官能性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸基含有単量体等が挙げられる。ここで、アクリル系粘着剤を用いるのであれば、リサイクル処理における離解工程や再生工程において、不都合をもたらさないようにすべく、アルカリ可溶性、水溶性又は水再分散性を有するものを用いるのが望ましい。
【0017】
なお、非剥離性粘着剤には、所望に応じて粘着付与剤、架橋剤、充填剤等が配合される。粘着付与剤としては、例えばロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂等の天然樹脂、C5系、C9系、DCPD系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、金属キレート化合物、金属塩等が挙げられる。
【0018】
非剥離性粘着剤の塗布・塗工は、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の従来各種塗工機による塗工を採用することができる。また、模様印刷あるいはベタ印刷によって粘着剤の塗布量や塗布分布を適宜調整することが容易であることから、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷等各種印刷による印刷塗工を採用することもできる。
【0019】
非剥離性粘着剤の塗布・塗工量としては、用いる非剥離性粘着剤の種類により適宜変更するが、固形部重量で1〜40g/cm2、好適には、5〜25g/cm2である。
【0020】
一方、剥離性粘着用紙部Aは、複写紙2が貼合されている面に前記隠蔽情報記入用紙部Aに対して再剥離性をもって粘着する剥離性粘着部aを有する。
【0021】
剥離性粘着部aは、剥離性粘着剤の塗布又は塗工により形成することができる。剥離性粘着剤としては、例えば、非剥離性粘着剤を基剤として、これに粘着力を抑制するための微粒子充填材を混合してなるものが代表的に用いられるが、もちろん、その他の紙同士又はシート同士を適宜再剥離可能に粘着することが可能な既知の粘着剤を適宜採用し得る。
【0022】
ここで、剥離性粘着剤の基剤となる非剥離性粘着剤としては、非剥離性粘着部の形成のために用いることができるものとして先に掲げた種々の非剥離性粘着剤を用いることができる。これに混合する微粒子充填剤としては、亜鉛華、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。なお、微粒子充填剤の粒子径は、基剤の粘着力等を考慮して適宜選択する。
【0023】
剥離性粘着剤の塗布・塗工は、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の従来各種塗工機による塗工を採用することができる。また、模様印刷あるいはベタ印刷によって粘着剤の塗布量や塗布分布を適宜調整することが容易である、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷等各種印刷による印刷塗工を採用することもできる。
【0024】
剥離性粘着剤の塗布・塗工量としては、用いる非剥離性粘着剤の種類により適宜変更するが、固形部重量で1〜40g/cm2、好適には、5〜25g/cm2である。
【0025】
また、剥離性粘着部aは、非剥離性粘着剤を塗布又は塗工した後に、この塗布・塗工面に重ねて離型剤をパターン塗工・塗布する等して非剥離性粘着剤の粘着力を適宜抑制することにより形成したものであってもよい。パターン塗工・塗布は、印刷により容易に離型剤を種々の模様に、例えば網点状に、塗布・塗工できるオフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷等各種印刷法により好適に行うことができる。塗布・塗工量は、剥離性粘着剤を用いる場合と同様の範囲でよい。
【0026】
離型剤としては、シリコン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の既知の離型剤の中から適宜選択して用いることができる。この際、基紙の各粘着部構成分を考慮する。離型剤の塗布・塗工量は、0.1〜1.0g/m2程度塗布すればよい。
【0027】
さらに、剥離性粘着部aは、非剥離粘着層、層間剥離層、目止め層等の種々の層構造を組みあわて形成することもできる。
【0028】
なお、剥離性粘着部aによってなされる剥離性粘着用紙部Aと隠蔽情報記入用紙部Cとの粘着力(剥離強度)は、JIS Z 0237の10にある180度引きはがし粘着力の測定で0.049〜4.9N/50mmとなるようにするのが好適である。
【0029】
なお、例えば、剥離性粘着部aは、前記非剥離性粘着剤を網点状等上記印刷機によってパターン印刷してその粘着力を弱めるようにし、非剥離性粘着部bを非剥離性粘着剤をベタ印刷することによって、各粘着部を設けることもできる。このようにすると、非剥離性粘着部bと剥離性粘着部aとを別個に設ける必要はなく、原紙上に非剥離性粘着剤を印刷パターンを変更しつつ印刷するだけで、両粘着部を設けることができ製造が簡易である。
【0030】
ここで、上述の各用紙部A,B,Cの境界となる折り線L1、L2は、印刷によって描かれた線、ミシン目線、折り筋線、線状に低坪量部を配した低坪量線等であり、折り畳みの際の目印となるものであれば特に態様は限定されない。好適には、折りを容易にするミシン目線、折り筋線、低坪量線である。
【0031】
一方、複写紙2は、剥離性粘着用紙部A及び非剥離性粘着用紙部Bが連接されてなる領域と同様の大きさとされており、剥離性粘着用紙部A及び非剥離性粘着用紙部Bと縁をあわせてぴったりと重ねて貼合されている。
【0032】
この複写紙2は、前記隠蔽情報記入用紙部Cを折り線L2で複写紙2被覆面側に折り返したときに、該隠蔽情報記入部cと非対面に重なり合う位置に、控え記入部sを有する。控え記入部sは、隠蔽情報記入部aと同様に、例えば、親展情報や金融機関等に関する情報等の隠蔽情報を記載する箇所を指定するための文字・枠等により構成されており、オフセット印刷、グラビア印刷等によって適宜の印刷手段により設けられている。
【0033】
さらに、複写紙2は、必要時に基紙1から剥離して分離することが容易にできるように構成するのが望ましく、本形態では複写紙2の基紙1対向面を離型処理層21を設けることでこの機能を確保している。
【0034】
前記離型処理は、基紙1との貼合に先だって複写紙2の原紙の適宜面に離型剤を0.1〜2.5g/m2程度塗布すればよく、離型剤としては、シリコン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の既知の離型剤の中から適宜選択して用いることができる。この際、基紙1の各粘着部構成分を考慮する。
【0035】
離型剤の塗布方法としては、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の従来各種塗工機による塗工を採用することができるが、特に、模様印刷あるいはベタ印刷によって離型剤の塗布量や塗布分布を適宜調整することが容易なオフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷等各種印刷による印刷塗工が好適である。
【0036】
なお、後に説明する本形態の隠蔽情報用紙の使用法からして、基紙と複写紙との粘着力(剥離強度)は、JIS Z 0237の10にある180度引きはがし粘着力の測定で3〜25N/50mmであるのが好適である。
【0037】
他方、本形態の情報隠蔽用紙X1は、基紙1が少なくとも隠蔽情報記入用紙部Cの複写紙対向面に発色剤層10を備える感圧複写用紙における上用紙であり、複写紙2が、少なくとも控え記入部sに顕色剤層20を有する感圧複写用紙における下用紙である。
【0038】
各用紙の素材となる原紙の種類については得に限定されない。古紙を原料とする再生紙あるいはバージンパルプ原料とする非再生紙のいずれであってもよい。また、耐水紙や合成紙であってもよい。
【0039】
基紙1の坪量は、特に限定されないが、折り畳み時に隠蔽情報が反対面から透けて視認されない程度の不透明度を確保できること、複写紙への複写を確実にすべく低筆圧でも簡易に記入情報が転写されること、郵送や取り扱いの利便性等を考慮すると30〜60g/m2程度であるのが望ましい。
【0040】
複写紙2の坪量も、特に限定されないが、基紙との貼合、剥離及び控え書としての利便性を考慮すれば、50〜80g/m2程度であるのが望ましい。
【0041】
他方、前記発色剤層10には電子供与性の発色剤をマイクロカプセル化して公知の手段でインキ化したものか使用でき、顕色剤層20には電子受容性の顕色剤をインキ化したものを使用することができる。発色剤は、顕色剤と反応して発色する染料あるいは染料前駆体である。染料としては、例えば、クリスタルバイオレットラクトン等のロイコ系染料、キサンテン系、メロシアニン系、チアジン系、アジン系、メチン系、アゾ系、ピラゾリン系、スチルベン系、クマリン系、フェニルメタン系等の染料が挙げられ、また、染料前駆体としては、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ビスフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロピラン系化合物、およびそれらの混合物等が挙げられる。
【0042】
一方、カプセル壁材については、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ尿素、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリウレア等であり、カプセル壁の生成手段においては、従来から慣用されている方法、例えば、インサイチュ法、界面縮重合法、コアセルベーション法、あるいは、オリフィス法を用いることができるものであって、これらは水系でカプセル化されるものである。
【0043】
なお、発色剤層、顕色剤層の形成は、既知の技術に従って発色剤又は顕色剤を原紙上に塗工、印刷する等して層状に設ければよい。
【0044】
<本形態の情報隠蔽用紙の使用例>
次いで、本形態の情報隠蔽用紙X1の使用例を説明する。
まず、隠蔽情報記入用紙部Cを折り線L2で複写紙2側に折り返して重ね合わせる。本形態の情報隠蔽用紙X1は、このように隠蔽情報記入用紙部Cを折り線L2で複写紙2側に折り返すと、図1〜4及び先の説明から明らかなとおり、隠蔽情報記入部aと控え記入部cの位置が重なり合うとともに、隠蔽情報記入用紙部Aの発色剤層形成面と複写紙2の顕色剤層形成面とが対面される。
【0045】
次いで、この隠蔽情報記入用紙部Cと複写紙2とが重ね合わせられた状態で、隠蔽情報記入部cに鉛筆、ボールペン等の筆記具によりある程度の筆圧をもって情報を記入する。このとき、基紙1の複写紙対向面に存在する発色剤層10の発色剤と、複写紙2の基紙対向面の顕色剤層20の顕色剤とが前記筆圧が加わった部位において反応し、複写紙2において記入内容と同様の情報が発色発現して複写がなされる。ここで、上述のとおり控え記入部sと隠蔽情報記入部cとは重なり合う位置にあるので隠蔽情報記入部cに記入した情報はそのまま控え記入部sに複写される。
【0046】
なお、この隠蔽情報記入用紙部Cと複写紙2とが重ね合わせられた状態を確実に維持して、ずれなく控え記入部sへの転写を達成すべく、例えば、図9及び10に他の形態X2として示すように、複写紙2の隠蔽情報記入用紙部Cと重なる位置に、一時的に剥離可能な状態で、これらを接着する仮止め接着部30を配することができる。もちろん、隠蔽情報用紙部側に仮止め接着剤部を配することもできる。仮止め接着部30は上述の剥離性粘着部aの形成のための種々の粘着剤と同様の粘着剤を適宜の箇所に塗布することにより形成できる。また、仮止め接着部30は、必要時に情報記入を妨げない範囲で剥離紙(図示しない)等で被覆することにより意図しない部位への接着を防止することができる。さらに硬化後に実質的に粘着性を示さない接着剤であらかじめ隠蔽情報記入用紙部Cを仮止めしておくこともできる。
【0047】
次いで、隠蔽情報記入部cに必要情報の記入が終了したならば、図5に示すとおり、折り畳まれた隠蔽情報記入用紙部Cを再度開いて複写紙2を基紙1から剥離する。複写紙2は離型処理層21を介して基紙1の剥離性粘着部a及び非剥離性粘着部bに貼合されているので容易に剥離することができ基紙1と別体にすることができる。この時、先の発色剤および顕色剤による複写機能によって、剥離して基紙1と別体された複写紙2の控え記入部sには、基紙1の隠蔽情報記入用紙部Cの隠蔽情報記入部cに記載した情報と同様の情報が転写されているので、当該複写紙2が控え書として機能するようになる。この後、控え書は必要に応じて記入者等が保管すればよい。
【0048】
一方、複写紙2を剥離すると基紙1においては剥離性粘着部aと非剥離性粘着部bとが露出されるので、図6に示すように、隠蔽情報記入用紙部Cを折り線L2で非剥離性粘着用紙部側に折り返して重ね合わせる。このように折り畳むと非剥離性粘着用紙部Bの非剥離性粘着部bの作用により両者が剥離不能に接着され一体化される。このとき、隠蔽情報記入部cと剥離性粘着部aとは同一面になる。
【0049】
次いで、図7に示すように折り線L1で前記隠蔽情報記入部cが内面となるようにして、隠蔽情報記入用紙部Cと剥離性粘着用紙部Aとを重ね合わせるようにして折り畳む。このように折り畳むと、折り重なり合う面同士は、剥離性粘着部aを介して剥離可能に粘着され、隠蔽情報記入部cに記入した内容が隠蔽状態となる。ここで、隠蔽される情報は、転写されたものではなく、実際に筆記具等を用いて直接的に記入されたものであるので、極めて鮮明なものである。
【0050】
隠蔽情報記入部cに記入された情報を隠蔽状態にした後には、必要に応じて郵送先を外面に記入する等して郵送等によって所望の機関や受け取人に送付する。本形態では、図1に示されるとおり基紙の非剥離性粘着用紙部Bの非剥離粘着部bが設けられていない側の面に郵送先情報40が予め印刷されており、また、各用紙部が葉書サイズであることから、剥離性粘着部aによる両用紙部の粘着により郵便葉書が形成される。
【0051】
上記郵送先情報に従って郵送された情報隠蔽状態の情報隠蔽用紙X1を、受け取った受取機関あるいは受取人等の隠蔽情報を見るべき者は、剥離可能に粘着されている部位を引き剥がし、図8に示されるように見開きの状態として情報を確認する。このとき、先にも述べたが、隠蔽されていた情報は、発色剤と顕色剤との反応によって転写されたものではなく、筆記具をもって直接的に隠蔽情報記入部に記入したものであるので、受取人は鮮明な情報を読みとることができる。
【0052】
なお、剥離性粘着部aの一部に非剥離性粘着区画を設ける等しておけば、読み取りの際の引き剥がし時に隠蔽情報記入用紙部の表面の一部が剥離されて剥離痕が形成されるので、この剥離痕の有無により第3者によって開封作業がなされたか否かの確認をすることができる。
【0053】
以上のとおり、本形態の情報隠蔽用紙は、簡易に差し出した内容の控え書を得ることができるとともに、極めて鮮明な情報を隠蔽して所望の相手方に受け渡すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、親展情報やクレジットカード番号等不特定人には知られたくない情報を記入して特定機関や会社に郵送するための隠蔽式葉書、支給金額を記載して給与受取人に渡す給料明細書等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本形態の情報隠蔽用紙の複写紙貼合面側の図である。
【図2】本形態の情報隠蔽用紙の複写紙非貼合面側の図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】その情報隠蔽用紙の使用態様を説明するための第1の断面図である。
【図5】その情報隠蔽用紙の使用態様を説明するための第2の断面図である。
【図6】その情報隠蔽用紙の使用態様を説明するための第3の断面図である。
【図7】その情報隠蔽用紙の使用態様を説明するための第4の断面図である。
【図8】その情報隠蔽用紙の使用態様を説明するための第5の断面図である。
【図9】本発明の情報隠蔽用紙の第2の形態の断面図である。
【図10】その使用時の説明のための断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…基紙、2…複写紙、10…発色剤層、20…顕色剤層、21…離型処理層、30…仮止め接着部、40…郵送先情報、A…剥離性粘着用紙部、a…剥製性粘着部、B…非剥離性粘着用紙部、b…非剥離性粘着部、C…隠蔽情報記入用紙部、c…隠蔽情報記入部、s…控え記入部、L1,L2…折り線、X1〜X2…情報隠蔽用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線を介して剥離性粘着用紙部、非剥離性粘着用紙部及び隠蔽情報記入用紙部がこの順に連接されている基紙と、
前記剥離性粘着用紙部及び非剥離性粘着用紙部を被覆し、隠蔽情報記入用紙部を被覆しないようにして前記基紙の一方面に剥離可能に貼合されている複写紙と、を備え、
前記剥離性粘着用紙部は、複写紙が貼合されている面に前記隠蔽情報記入用紙部に対して再剥離性をもって粘着する剥離性粘着部を有し、
非剥離性粘着用紙部は、複写紙によって貼合されている面に前記隠蔽情報記入用紙部に対して非剥離性をもって接着する非剥離性粘着部を有し、
隠蔽情報記入用紙部は、複写紙非対向面側に隠蔽情報記入部を有し、
前記複写紙は、前記隠蔽情報記入用紙部を折り線で複写紙被覆面側に折り返したときに、前記隠蔽情報記入部と重なる位置に控え記入部を有し、
かつ、前記基紙が少なくとも隠蔽情報記入用紙部の複写紙対向面に発色剤層を備える上用紙であるとともに、前記複写紙が少なくとも控え書記入部に顕色剤層を有する下用紙である、ことを特徴とする情報隠蔽用紙。
【請求項2】
複写紙又は隠蔽情報用紙部の少なくとも一方に、前記隠蔽情報記入用紙部を折り線で複写紙被覆面側に折り返して重ね合わせたときに、これらを剥離可能に一時的に接着させる仮止め接着部が設けられている請求項1記載の情報隠蔽用紙。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−30417(P2008−30417A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209224(P2006−209224)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】