説明

意匠材

【課題】製造コスト及び設置コストを低減させることができるとともに、表面の意匠を容易に施すことができる意匠材を提供する。
【解決手段】板状又は可撓性を有しつつシート状に形成された基材1と、該基材1の表面に薄膜状に形成されたステンレス材又はアルミニウム材から成る金属層2と、該金属層2の表面に塗布され、所望の色彩及び模様から成る意匠が施される密着シーラ3と、該密着シーラ3の表面に塗布された透明なトップコート4とを具備した意匠材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に施された意匠が目視可能とされた意匠材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の内装或いは外装における外観の意匠性を向上すべく、タイルや大理石から成る意匠材を敷設することが通常行われている。例えば、所定形状とされたタイルや大理石を所望箇所に各々敷設することにより、タイル調或いは大理石調の外観を得ることができるのである。また、建物の内装や外装に樹脂製シートを敷設させ、外観の意匠性を向上させることも行われていた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の意匠材においては、材料費が嵩んでしまい製造コストが悪化してしまうとともに、敷設が面倒であり設置コストも悪化してしまうという問題があった。また、従来の樹脂製シートから成る意匠材においては、その表面に意匠を施すのが困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、製造コスト及び設置コストを低減させることができるとともに、表面の意匠を容易に施すことができる意匠材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、板状又は可撓性を有しつつシート状に形成された基材と、該基材の表面に薄膜状に形成されたステンレス材又はアルミニウム材から成る金属層と、該金属層の表面に塗布され、所望の色彩及び模様から成る意匠が施される密着シーラと、該密着シーラの表面に塗布された透明なトップコートとを具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の意匠材において、前記基材は、不燃材から成るとともに、密着シーラは、不燃塗料から成ることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の意匠材において、前記金属層は、ステンレス材又はアルミニウム材を前記基材の表面に蒸着にて付着させて成ることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の意匠材において、前記密着シーラには、大理石又はタイルを模した意匠が施されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、タイルや大理石など従来のものに比べ、製造コスト及び設置コストを低減させることができるとともに、金属層の表面に塗布されて所望の色彩及び模様から成る意匠が施される密着シーラを具備しているので、表面の意匠を容易に施すことができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、基材は不燃材から成るとともに、密着シーラは不燃塗料から成るので、本意匠材を建物の内外装材や車両の内装材などとして利用すれば、火災の発生を抑制し安全性を向上させることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、金属層は、ステンレス材又はアルミニウム材を基材の表面に蒸着にて付着させて成るので、より平滑な金属層の形成を可能とすることができ、密着シーラに対して意匠を精度よく施すことができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、密着シーラには、大理石又はタイルを模した意匠が施されたので、実際の大理石やタイルを使用しなくても大理石調或いはタイル調の外観を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る意匠材は、建物の内外装材や車両の内装材などとして利用されるもので、図1に示すように、基材1と、金属層2と、密着シーラ3と、トップコート4とから主に構成されている。尚、金属層2、密着シーラ3及びトップコート4は、極めて薄く形成されたものであるが、説明の便宜上、実際より厚く図示して模式化してある。
【0014】
基材1は、板状(可撓性を有さない硬質材料など)又は可撓性を有しつつシート状に形成されたものから成り、例えばケイ軽板やMDFなどの建材に似た不燃材から成るものが好ましい。これにより、得られる意匠材を不燃性又は難燃性のものとすることができ、火災の発生を抑制し安全性をより向上させることができる。
【0015】
金属層2は、基材1の表面に薄膜状に形成されたステンレス材又はアルミニウム材から成るものであり、例えば基材1の表面に塗布された接着剤(これも難燃性或いは不燃性のものとするのが好ましい)にて薄膜状のステンレス材(ステンレス箔)又はアルミニウム材(アルミニウム箔)を付着して構成されている。また、例えばステンレス材又はアルミニウム材を基材の表面に蒸着にて付着させて成るよう構成してもよく、この場合、より平滑な金属層の形成を可能とすることができ、密着シーラに対して意匠を精度よく施すことができる。
【0016】
密着シーラ3は、金属層2の表面に塗布され、所望の色彩及び模様から成る意匠が施されるものであり、不燃塗料から成るものとするのが好ましい。かかる不燃塗料から成るものとすれば、不燃材から成る基材1と併せて、火災の発生を抑制し安全性を向上させることができる。然るに、周知のコピー(印刷)機にて密着シーラ3上に所望の写真(大理石やタイルの表面を模した写真)等を転写させることにより、当該密着シーラ3の表面に意匠を施すことができる。
【0017】
この密着シーラ3は、金属層2上に塗布されることから当該金属層2上に平滑に塗布することができるので、コピー(印刷)機にてより容易に意匠を施すことができる。また、かかる密着シーラ3は、意匠を施すためには白色のものが最も好ましいが、施すべき意匠に悪影響がなければ他の色彩(例えば黒色など)を有したものであってもよい。
【0018】
トップコート4は、密着シーラ3の表面に塗布された透明な樹脂から成るもので、例えばアクリル樹脂を用いることができる。かかるトップコート4は、透明である故、その下の意匠を目視させることができるとともに、密着シーラ3上の意匠を覆って保護することができることから、当該意匠の劣化を防止することができるとともに、長期間色あせず目視させ得ることができる。尚、当該トップコート4を極めて薄く形成するようにすれば、不燃材から成る基材1及び、不燃塗料から成る密着シーラ3と併せて、火災の発生を抑制し安全性を向上させることができる。
【0019】
次に、上記意匠材の製造方法について図2のフローチャートに基づいて説明する。
まず、所望材質から成る基材1を所定形状に形成する(S1)。そして、当該基材1の表面に対してステンレス材又はアルミニウム材を薄膜状に付着させて金属層2を形成する(S2)。その後、形成された金属層2の表面に対して密着シーラ3を塗布し(S3)、その塗料を固化させる。
【0020】
而して、密着シーラ3の表面に対して周知のコピー(印刷)機にて印刷処理し、所望意匠(本実施形態においては、大理石又はタイルを模した意匠)を施し(S4)、その意匠面(密着シーラ3の表面全体)に対して所定樹脂を塗布し、トップコート4を形成する。尚、基材1は、上述の如く予め所定形状として加工するようにしてもよく、或いは上記工程が終了した後、所定形状とするようにしてもよい。
【0021】
上記実施形態に係る意匠材によれば、タイルや大理石など従来のものに比べ、製造コスト及び設置コストを低減させることができるとともに、金属層2の表面に塗布されて所望の色彩及び模様から成る意匠が施される密着シーラ3を具備しているので、表面の意匠を容易に施すことができる。また、基材1は不燃材から成るとともに、密着シーラ3は不燃塗料から成るので、本意匠材を建物の内外装材や車両の内装材などとして利用すれば、火災の発生を抑制し安全性を向上させることができる。
【0022】
更に、金属層2は、ステンレス材又はアルミニウム材を基材の表面に蒸着にて付着させて成るので、より平滑な金属層の形成を可能とすることができ、密着シーラ3に対して意匠を精度よく施すことができる。また更に、密着シーラ3には、大理石又はタイルを模した意匠が施されたので、実際の大理石やタイルを使用しなくても大理石調或いはタイル調の外観を得ることができる。
【0023】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、建物の内装材や外装材、或いは車両の内装材等に適用し得る他、種々のものに適用することができる。また、基材1、密着シーラ3及びトップコート4の材質は特に限定されるものではなく、安全性の観点からは難燃性、不燃性のものが好ましいが、他の材質であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
板状又は可撓性を有しつつシート状に形成された基材と、該基材の表面に薄膜状に形成されたステンレス材又はアルミニウム材から成る金属層と、該金属層の表面に塗布され、所望の色彩及び模様から成る意匠が施される密着シーラと、該密着シーラの表面に塗布された透明なトップコートとを具備した意匠材であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る意匠材を示す断面模式図
【図2】同意匠材の製造方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0026】
1 基材
2 金属層
3 密着シーラ
4 トップコート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状又は可撓性を有しつつシート状に形成された基材と、
該基材の表面に薄膜状に形成されたステンレス材又はアルミニウム材から成る金属層と、
該金属層の表面に塗布され、所望の色彩及び模様から成る意匠が施される密着シーラと、
該密着シーラの表面に塗布された透明なトップコートと、
を具備したことを特徴とする意匠材。
【請求項2】
前記基材は、不燃材から成るとともに、密着シーラは、不燃塗料から成ることを特徴とする請求項1記載の意匠材。
【請求項3】
前記金属層は、ステンレス材又はアルミニウム材を前記基材の表面に蒸着にて付着させて成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の意匠材。
【請求項4】
前記密着シーラには、大理石又はタイルを模した意匠が施されたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の意匠材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−28942(P2009−28942A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193094(P2007−193094)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(591129818)株式会社オオタ (1)
【Fターム(参考)】