説明

感光記録材料用包装箱

【課題】被覆回動部を完全に閉鎖しなければ蓋体を被せることができない感光記録材料用包装箱を提供すること。
【解決手段】箱本体5が、感光性記録材料を収容する収容部11と、収容部の上部において蓋体9が丁度被さるように構成された蓋被覆部13とを備えている。蓋被覆部13は、長手方向に延びる被覆固定面15と、長手方向に延び被覆固定面と平行で且つ谷折れ罫線に沿って外側下方へ回動して取り出し口を開放可能な被覆回動部19と、被覆固定面の両側において被覆固定面と直角に形成され且つ被覆固定面及び箱本体と接続されている第1被覆端面21と第2被覆端面23とを備える。被覆回動部19の両端には第1内フラップ41と第2内フラップ43とが形成され、各内フラップは、被覆回動部の閉鎖時にはそれぞれ第1被覆端面21及び第2被覆端面23の内側に接触状態で位置し、被覆回動部の開放時にはこれらの下端側が各被覆端面の内側に接触状態で位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Xレイフィルム等の感光記録材料の包装に適した包装箱に係り、特に蓋体を箱本体に被せるときに被せ違いを起こさない構造を有する感光記録材料用包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
Xレイフィルム等の感光記録材料を包装する包装箱には、従来図8(a)に示すように、感光記録材料を収容し長手方向及び短手方向を有する断面が矩形の箱本体103と、感光記録材料の取り出し口に遮光可能に設けられる蓋体105とが別体に形成された包装箱101が使用されていた。
【0003】
このような包装箱の従来の構成では、箱本体103の上部に蓋体105が丁度被さるように構成された蓋被覆部107が形成されており、蓋被覆部107は長手方向に延びる被覆固定面109と、長手方向に延び被覆固定面109と平行で谷折れ罫線111に沿って外側下方へ回動して取り出し口を開放可能な被覆回動部113とを備える。また被覆固定面の両側には、被覆固定面109と直角に形成され且つ被覆固定面及び箱本体103と接続されている2つの被覆端面115、117が形成されている。
【0004】
しかし従来の構成では被覆回動部113の両側にフラップは存在せず、そのため図8(b)に示すように被覆回動部113が完全に閉鎖していない状態で蓋体105を被せようとすると、蓋体105の背面板120が被覆回動部113と2つの被覆端面115、117との間に入った状態となる場合があった。明るい場所ではこのような状況は直ちに把握できるが、感光記録材料用包装箱は暗室で開閉作業をしなければならないため、作業者は上記のような状況に至ったことに気付かずにそのまま包装箱を暗室から持ち出して、感光記録材料が露光してしまう危険があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の包装箱が有している上記の問題点を考慮して、本発明は、被覆回動部を完全に閉鎖しなければ蓋体を被せることができない感光記録材料用包装箱を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を有する本発明の感光記録材料用包装箱によれば上記の課題を解決し得ることを見い出した。
【0007】
本発明の感光記録材料用包装箱は、感光記録材料を収容し長手方向及び短手方向を有する断面が矩形の箱本体と、感光記録材料の取り出し口に遮光可能に設けられる蓋体とが別体に形成された包装箱であり、上記箱本体は、上記感光性記録材料を収容する収容部と、該収容部の上部において上記蓋体が丁度被さるように構成された蓋被覆部とを備えており、上記蓋被覆部は、長手方向に延びる被覆固定面と、長手方向に延び上記被覆固定面と平行で且つ谷折れ罫線に沿って外側下方へ回動して上記取り出し口を開放可能な被覆回動部と、上記被覆固定面の両側において上記被覆固定面と直角に形成され且つ上記被覆固定面及び上記箱本体と接続されている第1被覆端面及び第2被覆端面とを備え、上記被覆固定面の上記第1被覆端面側が、円弧状に形成された上角部を備え、上記被覆回動部の上記第1被覆端面側が、円弧状に形成された上角部を備え、上記被覆回動部の両端には第1内フラップと第2内フラップとが形成されており、各内フラップは、被覆回動部の閉鎖時にはそれぞれ上記第1被覆端面及び第2被覆端面の内側にこれらと接触状態で位置し、被覆回動部の開放時には上記第1内フラップと第2内フラップの下端側がそれぞれ上記第1被覆端面及び第2被覆端面の内側にこれらと接触状態で位置することができることを特徴とするものである(第1の態様)。
【0008】
上記発明において、上記蓋被覆部が段ボールで形成されていてもよい(第2の態様)。
【0009】
また上記発明において、上記谷折れ罫線が段ボールのフルートの延びる方向に対して斜めに形成されていてもよい(第3の態様)。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様によれば、被覆回動部が完全に閉鎖していない状態で蓋体を被せようとすると、蓋体の背面板の下辺が内フラップに当接してそれ以上蓋体を押し込むことができなくなる。従って暗室において作業者は被覆回動部が完全に閉鎖していないことに気が付くことができるから、蓋体が完全に被さっていない状態で包装箱を暗室から持ち出して、感光記録材料が露光してしまう危険性がなくなる。
【0011】
第2の態様によれば、保形性および遮光性に優れた包装箱を提供できる。
【0012】
第3の態様によれば、谷折れ罫線をフルートの方向と平行にすると、被覆回動部が谷折れ罫線以外の部位で折れ曲がってしまう場合があるが、段ボールのフルートの延びる方向に対して斜めに谷折れ罫線を形成することでこのような現象を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の感光記録材料用包装箱について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいて行うが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
図1は本発明に係る感光記録材料用包装箱(以下、包装箱という)の開封時における全体を示す斜視図であり、図2は被覆回動部の閉鎖時の状態を示す斜視図であり、図3は被覆回動部の開放時の状態を示す斜視図である。また図4は蓋体を被せるときの様子を示す斜視図であり、図5は被覆回動部の第1被覆端面側の拡大図及び該部分の展開図であり、図6は被覆回動部が僅かに開いているときに蓋体を被せようとした場合の説明図である。また図7は被覆回動部の谷折れ罫線が段ボールのフルートの延びる方向に対して斜めに形成されている実施形態を示す正面図であり、図8は従来の包装箱の構成の斜視図及びその問題点を示す斜視図である。
【0015】
本発明の包装箱1は、内装袋3によって密封された感光記録材料Mを収容し、長手方向及び短手方向を有する断面が矩形の箱本体5と、感光記録材料Mの取り出し口7に遮光可能に設けられる蓋体9とが別体に形成されている。尚、内装袋3は「白グラ」と呼ばれる紙、アルミ箔及びポリエチレンの積層フィルムで構成されている。また本発明の包装箱1は箱本体5の内箱6及び後述する蓋被覆部が段ボールで構成され、例えばBフルート(段数が約50/300mm)や、Eフルート(段数が約94/300mm)のようなマイクロフルート段ボールが使用される。また箱本体5の外箱8及び蓋体9は、板紙で構成されている。
【0016】
箱本体5は、感光性記録材料Mを収容する収容部11と、収容部11の上部において蓋体9が丁度被さるように構成された蓋被覆部13とを備えている。蓋被覆部13は、箱本体5の内箱6が上方に突出した部分であり、長手方向に延びる被覆固定面15と、同じく長手方向に延び被覆固定面15と平行で且つ谷折れ罫線17に沿って外側下方へ回動することで取り出し口7が開放可能となる被覆回動部19とを備えている。また被覆固定面15の両側には、それぞれ被覆固定面15から直角に折れ曲がるように形成され、被覆固定面15に接続されている第1被覆端面21と第2被覆端面23とが形成されている。
【0017】
被覆固定面15の第1被覆端面21側は、曲率半径30mmの円弧が90度に亘って形成された上角部25を構成し、これに対応して被覆回動部19の第1被覆端面21側も、同じく曲率半径30mmの円弧が90度に亘って形成された上角部27を構成している。これら2つの円弧状の上角部25、27は、図4に示すように蓋体9を第2被覆端面23側(図4の左側)から斜め状態で被せてきた時に、蓋体9の下辺が円弧状の上角部25、27に案内されるので、暗室でも作業者が容易に蓋体9を所定の位置まで押し下げて確実な閉鎖を行うことができる。
【0018】
第1被覆端面21の上辺29は被覆固定面15の上辺31より低い位置にあり、これにより蓋体9を第2被覆端面23側から斜め状態で被せてきた時に、蓋体9の下辺が第1被覆端面21の上辺29に当接して蓋体9が所定位置まで下げられない事態が生じることを防止している。尚、上角部25、27を円弧状に形成する構成や第1被覆端面21の上辺29を被覆固定面15の上辺31より低い位置とする構成は、このような構成が採用される側と反対側から蓋体9を被せることを想定したものであり、従って図4の右側から蓋体9を被せることを想定する場合には、図4の左側にこのような構成を採用することができる。
【0019】
図5(a)に示すように、被覆回動部19の第1被覆端面21側には、円弧状の上角部27の直下に鉤状に切り欠かれた切り欠き部33が形成され、円弧状の上角部27と切り欠き部33との境界部分は尖った先端部35の形状を有する。このような上角部27及び先端部35の構成は、図5(b)に示すような展開図において、ミシン目37およびその延長線上にある1点鎖線で示す罫線39を山折りにすることにより形成されている。
【0020】
被覆回動部19の両端には本発明の特徴的構成である第1内フラップ41と第2内フラップ43とが形成されている。第1内フラップ41と第2内フラップ43は、被覆回動部19の閉鎖時にはそれぞれ第1被覆端面21及び第2被覆端面23の内側にこれらと接触状態で位置する。また被覆回動部19の開放時には第1内フラップ41と第2内フラップ43の下端側がそれぞれ第1被覆端面21及び第2被覆端面23の内側にこれらと接触状態で位置する。従って被覆回動部19を外側へ約120度に亘って回動しても、第1内フラップ41と第2内フラップ43の下端側が第1被覆端面21及び第2被覆端面23の内側に存在し続ける。これにより、第1内フラップ41と第2内フラップ43が第1被覆端面21及び第2被覆端面23の外側にはみ出て、蓋体9を被せることができなくなることが防止される。
【0021】
第1内フラップ41と第2内フラップ43の作用について図6を参照しながら説明する。図6に示すように被覆回動部19が僅かに開放している状態にあるとき、第1内フラップ41と第2内フラップ43の上辺45、47が、被覆回動部19と、第1被覆端面21及び第2被覆端面23との間の隙間に跨るように存在する。そのため、蓋体9を蓋被覆部13に被せるときに、誤って蓋体9の背面板50が、被覆回動部19と、第1被覆端面21及び第2被覆端面23との間の隙間の位置に来たとしても、背面板50の下辺が第1内フラップ41と第2内フラップ43の上辺45、47に当接してそれ以上蓋体9を押し込むことができなくなる。これにより暗室において作業者は被覆回動部19が完全に閉鎖していないことに気が付くことができるから、蓋体9が完全に被さっていない状態で包装箱1を暗室から持ち出して、感光記録材料が露光してしまう危険性がなくなる。
【0022】
上述したように本実施形態では蓋被覆部13は段ボールで構成されているが、蓋被覆部13は段ボールのフルートが水平になるように形成されている。この場合、谷折れ罫線17を同様に水平に形成すると、被覆回動部19が谷折れ罫線17以外の部位で折れ曲がってしまう場合がある。こうした形態を採用する場合には、谷折れ罫線17は、折れ曲がり位置を安定化させる全切りと、耐久性を確保する筋押しを交互に形成することが好ましい。例えば全切り25mm、筋押し25mmを交互に、または全切り15mm、筋押し32mmを交互に形成すると、良好な特性が得られる。
【0023】
別の形態として、図7に示すように谷折れ罫線17が段ボールのフルートの延びる方向に対して斜めになるように形成してもよい。具体的には包装箱1の幅寸法が38cmの場合、谷折れ罫線17の左端と右端の高さの差が10〜30mmであることが好ましい。この場合においても、谷折れ罫線17には全切りと筋押しを交互に形成することが可能であり、例えば、全切り15mm、筋押し32mmを交互に形成することができる。
【0024】
一方、耐久性より取り出し性を優先したい場合は、谷折れ罫線17をミシン線にしてもよい。例えば全切りを8mm、接続部分(ニック)を3mmにする
と、被覆回動部19をミシン線から手で容易に切り取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の感光記録材料用包装箱は、様々な種類の感光記録材料を包装するための包装箱として広く利用することが可能である。特に、直接撮影医療用フィルムなどのXレイフィルム用の包装箱として好ましく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る包装箱の開封時における全体を示す斜視図である。
【図2】被覆回動部の閉鎖時の状態を示す斜視図である。
【図3】被覆回動部の開放時の状態を示す斜視図である。
【図4】蓋体を被せるときの様子を示す斜視図である。
【図5】被覆回動部の第1被覆端面側の拡大図及び該部分の展開図である。
【図6】被覆回動部が僅かに開いているときに蓋体を被せようとした場合の説明図である。
【図7】被覆回動部の谷折れ罫線が段ボールのフルートの延びる方向に対して斜めに形成されている実施形態を示す正面図である。
【図8】従来の包装箱の構成の斜視図及びその問題点を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 (感光記録材料用)包装箱
3 内装袋
5 箱本体
6 内箱
7 取り出し口
8 外箱
9 蓋体
11 収容部
13 蓋被覆部
15 被覆固定面
17 谷折れ罫線
19 被覆回動部
21 第1被覆端面
23 第2被覆端面
25 被覆固定面の上角部
27 被覆回動部の上角部
29 第1被覆端面の上辺
31 被覆固定面の上辺
33 切り欠き部
35 先端部
37 ミシン目
39 罫線
41 第1内フラップ
43 第2内フラップ
45 第1内フラップの上辺
47 第2内フラップの上辺
50 蓋体の背面板
M 感光記録材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光記録材料を収容し長手方向及び短手方向を有する断面が矩形の箱本体と、感光記録材料の取り出し口に遮光可能に設けられる蓋体とが別体に形成された包装箱であり、
前記箱本体は、前記感光性記録材料を収容する収容部と、該収容部の上部において前記蓋体が丁度被さるように構成された蓋被覆部とを備えており、
前記蓋被覆部は、長手方向に延びる被覆固定面と、長手方向に延び前記被覆固定面と平行で且つ谷折れ罫線に沿って外側下方へ回動して前記取り出し口を開放可能な被覆回動部と、前記被覆固定面の両側において前記被覆固定面と直角に形成され且つ前記被覆固定面及び前記箱本体と接続されている第1被覆端面及び第2被覆端面とを備え、
前記被覆固定面の前記第1被覆端面側が、円弧状に形成された上角部を備え、前記被覆回動部の前記第1被覆端面側が、円弧状に形成された上角部を備え、
前記被覆回動部の両端には第1内フラップと第2内フラップとが形成されており、各内フラップは、被覆回動部の閉鎖時にはそれぞれ前記第1被覆端面及び第2被覆端面の内側にこれらと接触状態で位置し、被覆回動部の開放時には前記第1内フラップと第2内フラップの下端側がそれぞれ前記第1被覆端面及び第2被覆端面の内側にこれらと接触状態で位置することができることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項2】
請求項1において、前記蓋被覆部が段ボールで形成されていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項3】
請求項2において、前記谷折れ罫線が段ボールのフルートの延びる方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−106436(P2007−106436A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297891(P2005−297891)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】