説明

感情推定装置、事例感情情報生成装置、及び感情推定プログラム

【課題】ユーザの感情状態をより精度良く推定する。
【解決手段】音声入力装置16により、ユーザからの入力となる入力文を示す入力文データを取得し、感情推定部42により、取得したユーザからの入力となる入力文と、ハードディスク26に予め記憶された所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報の各事例を示す文との類似度を導出し、導出された類似度に基づいてユーザの感情状態を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感情推定装置、事例感情情報生成装置、及び感情推定プログラムに係り、特に、ユーザからの入力文から当該ユーザの感情状態を推定する感情推定装置、所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を各々対応付けた事例感情情報を生成する事例感情情報生成装置、及び感情推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザからの入力文に対して応答文を生成してユーザと対話を行う応答生成装置では、ユーザの感情状態に応じた応答文を生成することが望まれている。
【0003】
このユーザの感情状態を推定する技術として、特許文献1には、単語毎に当該単語に対応する感情状態を関連付けて予め記憶しておき、ユーザから入力される入力文に含まれる単語などから文全体が表わす感情状態を推定する技術が開示されている。例えば、単語「新年会」に感情状態として「嬉しい」あるいは「positive」、単語「たくさん」に感情状態として「嬉しい」あるいは「positive」、単語「辛い」に感情状態として「辛い」あるいは「negative」と関連付けて予め記憶し、入力文に含まれる単語が示す感情状態の多数決の結果をユーザの感情状態と推定するものとする。この場合、例えば、入力文として、「新年会がある」が入力されると「嬉しい」と感情状態が推定される。
【特許文献1】特開2005−332266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、入力文からユーザの感情状態を精度良く推定できない場合がある、という問題点があった。
【0005】
すなわち、例えば、入力文として「新年会がたくさんあって辛いよ」が入力された場合、単語の感情の多数決により「嬉しい」と感情状態を推定されてしまう。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、ユーザの感情状態をより精度良く推定することができる感情推定装置、事例感情情報生成装置、及び感情推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ユーザからの入力となる入力文を示す入力文データを取得する取得手段と、所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報を予め記憶した記憶手段と、前記取得手段により取得された入力文データにより示される入力文と前記記憶手段に記憶された事例感情情報の各事例を示す文との類似度を導出する導出手段と、前記導出手段により導出された類似度に基づいて前記ユーザの感情状態を推定する推定手段と、を備えている。
【0008】
請求項1記載の発明では、記憶手段により、所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報が予め記憶されており、取得手段により、ユーザからの入力となる入力文を示す入力文データが取得される。なお、上記取得手段は、例えば、キーボード等のユーザから入力文が入力されることにより入力文データを取得するものとしてもよく、また、例えば、ネットワークを介して外部装置から受信することにより入力データを取得するものとしてもよく、また、音声を認識により入力データを取得するものとしてもよい。
【0009】
そして、本発明では、導出手段により、取得手段により取得された入力文データにより示される入力文と記憶手段に記憶された事例感情情報の各事例を示す文との類似度が導出され、推定手段により、導出手段により導出された類似度に基づいてユーザの感情状態が推定される。
【0010】
このように、請求項1記載の発明によれば、ユーザからの入力となる入力文と、予め記憶された所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報の各事例を示す文との類似度を導出し、導出された類似度に基づいてユーザの感情状態を推定しているので、ユーザの感情状態をより精度良く推定することができる。
【0011】
なお、請求項1記載の発明は、請求項2記載の発明のように、前記取得手段により取得された入力文データにより示される入力文と前記記憶手段に記憶された事例感情情報の各事例を示す文の構文構造の解析を行なって当該入力文と各事例を示す文に各々含まれる単語の品詞を解析する解析手段をさらに備え、前記導出手段が、前記解析手段により解析された入力文と各事例を示す文を比較して、各事例を示す文毎に、品詞別に入力文と一致する単語数を求め、当該品詞別の一致する単語数に対して品詞別に予め定められた重み値を加味して、前記類似度を導出してもよい。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記導出手段が、前記品詞別の一致する単語数に対して品詞別に予め定められた重み値をそれぞれ乗算し、当該乗算の結果得られた値を、当該品詞別の一致する単語数を求める際に比較した入力文と事例を示す文に各々含まれる単語数の平方根でそれぞれ除算した結果得られた値を前記類似度として導出してもよい。
【0013】
また、請求項2又は請求項3記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記品詞別に予め定められた重み値を、述語となる動詞、自立語、非自立語の動詞の重み値が他の品詞の重み値よりも大きくすることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、請求項5記載の発明のように、前記推定手段が、前記導出手段により導出された類似度が最も大きい事例を示す文に対応する感情状態情報により示される感情状態を前記ユーザの感情状態と推定してもよい。
【0015】
一方、請求項6記載の発明は、自然言語で表現された文書を示す文書データを取得する取得手段と、文書において、事例と当該事例により示される感情状態を示す感情語を接続する所定の手がかり語を示す手がかり語情報を記憶した記憶手段と、前記取得手段により取得された文書データにより示される文書の構文構造の解析を行なって構文構造及び文に含まれる単語の品詞を解析する解析手段と、前記解析手段により構文構造が解析された文書から前記記憶手段に記憶された手がかり語情報により示される手がかり語を検索し、手がかり語が検索された場合、当該手がかり語により接続される事例を示す文と感情語を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された事例を示す文と感情語により示される感情状態とを各々対応付けた事例感情情報を生成する生成手段と、を備えている。
【0016】
請求項6記載の発明では、記憶手段により、文書において、事例と当該事例により示される感情状態を示す感情語を接続する所定の手がかり語を示す手がかり語情報が記憶されており、取得手段により、自然言語で表現された文書を示す文書データが取得される。
【0017】
そして、本発明では、解析手段により、取得手段により取得された文書データにより示される文書の構文構造の解析が行われて構文構造及び文に含まれる単語の品詞が解析され、抽出手段により、解析手段により構文構造が解析された文書から記憶手段に記憶された手がかり語情報により示される手がかり語が検索され、手がかり語が検索された場合、当該手がかり語により接続される事例を示す文と感情語が抽出され、生成手段により、抽出手段により抽出された文節に含まれる事例を示す文と感情語により示される感情状態とを各々対応付けた事例感情情報が生成される。
【0018】
このように、請求項6記載の発明によれば、取得した文書データにより示される自然言語で表現された文書の構文構造及び文に含まれる単語の品詞を解析し、構文構造を解析した文書から事例と当該事例により示される感情状態を示す感情語を接続する手がかり語を検索し、手がかり語が検索された場合、当該手がかり語により接続される事例を示す文と感情語を抽出し、抽出した事例を示す文と感情語により示される感情状態とを各々対応付けた事例感情情報が生成しているので、様々事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報を容易に生成することができる。
【0019】
一方、上記目的を達成するため、請求項7記載の発明の感情推定プログラムは、取得手段により取得された入力文データにより示される入力文と、前記記憶手段に記憶された、所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報の当該各事例を示す文とを比較して類似度を導出する導出ステップと、前記導出ステップにより導出された類似度に基づいてユーザの感情状態を推定する推定ステップと、を含んでいる。
【0020】
よって、請求項7記載の発明によれば、請求項1と同様に、ユーザの感情状態をより精度良く推定することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザからの入力となる入力文と、予め記憶された所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報の各事例を示す文との類似度を導出し、導出された類似度に基づいてユーザの感情状態を推定しているので、ユーザの感情状態をより精度良く推定することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明を、ユーザからの入力文に対して応答文を生成してユーザと対話を行う応答生成装をパーソナル・コンピュータを用いて実現した場合を例として説明する。
【0023】
図1には、本実施の形態に係る応答生成装置10の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0024】
同図に示すように、応答生成装置10は、ユーザからの各種の操作指示が入力される、マウスやキーボードなどの入力装置12と、各種情報を表示するディスプレイ14と、例えば、マイクなどの音声入力装置16と、コンピュータ本体18と、を備えている。
【0025】
コンピュータ本体18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)20と、CPU20による各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)22と、後述する、事例感情情報生成処理プログラムや応答処理プログラム、感情推定処理プログラム、応答生成処理プログラムを含む各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)24と、各種情報を記憶するために用いられるハードディスク26と、入力装置12に対して入力された操作指示を検出する操作入力検出部28と、ディスプレイ14への操作画面やメッセージなどの各種情報の表示を制御する表示制御部30と、音声入力装置16から出力された音声信号が入力する外部インタフェース部32と、外部の通信ネットワーク18に接続され、当該ネットワーク18の間で通信データの送受信を行うネットワークインタフェース部34と、が備えられており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。
【0026】
従って、CPU20は、RAM22、ROM24、及びハードディスク26に対するアクセス、入力装置12を介した各種入力情報の取得、ディスプレイ14に対する各種情報の表示、音声入力装置16より入力される音声の把握、及びネットワーク18を介して他の端末装置とのデータの送受信の制御、を各々行うことができる。
【0027】
応答生成装置10は、ネットワーク18を介してWebサーバ等の他の端末装置にアクセスし、当該端末装置で公開されているWebページに含まれる、例えば新聞記事等の自然言語で表現された文書を示す文書データを取得する。
【0028】
そして、応答生成装置10は、取得した文書データにより示される文書を解析して、当該文書に含まれる事例を示す文と当該事例により示される感情状態を示す感情語を抽出し、抽出した事例を示す文と感情語を各々対応付けた事例感情情報を生成し、生成した事例感情情報をハードディスク26に記憶する。
【0029】
一方、音声入力装置16には、ユーザと対話を行う際に当該ユーザからの入力となる入力文が音声で入力される。
【0030】
応答生成装置10は、音声入力装置16より入力された音声を示す音声信号に対して音声認識処理を行なって入力された入力文を示す入力文データを取得し、取得した入力文データにより示される入力文と前記事例感情情報の各事例を示す文の類似度を求めてユーザの感情状態を推定し、推定結果に基づいて入力文に対する応答文を生成してディスプレイ14に表示させる制御を行なうものとされている。
【0031】
図2には、本実施の形態に係る応答生成装置10の機能的な構成を示す機能ブロック図が示されている。
【0032】
同図に示されるように、応答生成装置10は、入力文認識部40と、感情推定部42と、応答生成部44と、応答表示制御部46と、事例文抽出部48と、事例感情情報生成部50と、構文構造解析部52と、を備えている。
【0033】
事例文抽出部48は、ネットワーク18、事例感情情報生成部50、及び構文構造解析部52に接続されており、ネットワーク18より取得した文書データが入力される。
【0034】
事例文抽出部48は、文書データが入力された場合、構文構造解析部52に対して当該文書データにより示される文書の構文構造の解析を依頼する。
【0035】
構文構造解析部52は、入力文認識部40、感情推定部42及び事例文抽出部48に接続されており、入力文認識部40、感情推定部42及び事例文抽出部48から構文構造の解析を依頼する自然言語で表現された文を示す情報が入力される。
【0036】
構文構造解析部52は、解析が依頼された場合、当該解析が依頼された文に対して形態素解析や係り受け解析などの構文構造の解析を行なって、当該文に含まれる単語の係り受け関係や当該単語の原形、当該単語の品詞(名詞や、動詞、接続助詞、形容詞など)を特定し、解析結果を示す情報を依頼元に出力する。
【0037】
事例文抽出部48は、構文構造解析部52より解析結果を示す情報が得られると、構文構造が解析された文書データにより示される文書から予めハードディスク26に記憶した手がかり語情報により示される手がかり語を検索する。そして、事例文抽出部48は、手がかり語が検索された場合、当該手がかり語により接続される事例を示す文と感情語を抽出し、当該抽出した事例を示す文及び感情語を示す情報を事例感情情報生成部50へ出力する。
【0038】
ここで、この感情語とは、例えば、「楽しむ」や「嬉しい」などユーザの感情状態を表わした語であり、下記の(1)又は(2)に当てはまる語をいう。
【0039】
(1)感情語で「感情動作表現」の定義
(1−1)「XはYをZ」または「XはYにZ」という表現が可能(Z=楽しむ,喜ぶ,驚く)
【0040】
(2)感情語で「感情状態表現」の定義
「XはYがZ」という表現が可能(Z=嬉しい、悲しい、怖い)
ここで、
X=感情主
Y=対象
Z=当該語
【0041】
また、感情語には、上記の(1)(2)以外に、辞書で定義された(3)「慣用句感情表現」がある。
【0042】
本実施の形態では、図3に示すような、複数の感情語を感情語情報としてハードディスク26に予め記憶させている。
【0043】
また、本実施の形態では、図4に示すような、各感情語が示す感情状態を感情クラスとして、感情語と対応させて感情クラス情報としてハードディスク26に予め記憶させている。
【0044】
また、手がかり語とは、例えば、「ので」や「から」など事例と当該事例により示される感情状態を示す感情語を接続する語をいう。
【0045】
また、本実施の形態では、図5に示すような、複数の手がかり語を手がかり語情報としてハードディスク26に予め記憶させている。
【0046】
事例感情情報生成部50は、事例文抽出部48、及びハードディスク26に接続されており、事例文抽出部48より抽出された事例を示す文及び感情語を示す情報が入力される。
【0047】
事例感情情報生成部50は、事例文抽出部48よりに入力された情報に示される事例を示す文と感情語を対応付けた事例感情情報を生成し、当該生成した事例感情情報をハードディスク26に記憶させる。
【0048】
これにより、ハードディスク26には、図6に示すような、事例を示す文と当該事例を示す文により示される感情状態を示す感情語を各々対応付けた事例感情情報が記憶される。
【0049】
一方、入力文認識部40は、音声入力装置16、感情推定部42、及び構文構造解析部52に接続されており、音声入力装置16より音声信号が入力される。
【0050】
入力文認識部40は、音声信号が入力された場合、入力された音声信号に基づいて音声認識処理を行なって入力された音声により示される入力文を示す入力文データを取得し、取得した入力文データを感情推定部42へ出力する。
【0051】
なお、本実施の形態では、音声入力装置16に対してユーザから音声により入力文が入力されるものとしたが、入力装置12に対してユーザから入力文が入力されることにより入力文を示す入力文データを取得するものとしてもよい。
【0052】
感情推定部42は、入力文認識部40、ハードディスク26、構文構造解析部52及び応答生成部44に接続されており、入力文認識部40より入力文を示す入力文データが入力される。
【0053】
感情推定部42は、入力文データにより示される入力文とハードディスク26に記憶された事例感情情報の各事例を示す文との類似度を導出し、導出した類似度に基づいてユーザの感情状態を推定する。
【0054】
なお、本実施の形態に係る感情推定部42は、構文構造解析部52に対して入力文データにより示される入力文とハードディスク26に記憶された事例感情情報の各事例を示す文の構文構造の解析を依頼する。感情推定部42は、構文構造解析部52より解析結果を示す情報が得られると、認識部40により解析された入力文と各事例を示す文を比較して、各事例を示す文毎に、品詞別に入力文と一致する単語数を求める。そして、感情推定部42は、各事例を示す文毎に、品詞別の一致する単語数に対して品詞別に予め定められた重み値を加味してコサイン類似度の演算を行なって類似度を導出する。
【0055】
ここで、一般的なコサイン類似度は、図7に示す(1)式のように表わされるが、本実施の形態に係る感情推定部42では、図8に示す(2)式のように品詞別に重み値(W1〜W4)を加味してコサイン類似度の演算を行なって類似度を導出する。
【0056】
そして、本実施の形態に係る感情推定部42では、類似度を導出した結果、類似度が所定の閾値よりも大きいものが存在する場合、類似度が最も高いものをユーザの感情状態と推定し、何れの類似度も上記閾値以下である場合、感情状態の推定結果=なし、とする。
【0057】
応答生成部44は、感情推定部42、ハードディスク26、及び応答表示制御部46に接続されており、感情推定部42より推定結果を示す情報が入力される。
【0058】
応答生成部44は、ユーザの感情状態が推定された場合、当該感情状態に応じた応答文を生成し、ユーザの感情状態が推定されなかった場合、予めハードディスク26に記憶された複数の相槌文の何れか1つを応答文として選択する。
【0059】
本実施の形態では、図9に示すような、複数の相槌文を相槌文情報としてハードディスク26に予め記憶させている。
【0060】
応答表示制御部46は、応答生成部44及びディスプレイ14に接続されており、応答生成部44より応答文を示す応答文データが入力される。
【0061】
応答表示制御部46は、感情推定部42より応答文データが入力した場合、応答文データにより示される応答文をディスプレイ14に表示させる制御を行なう。
【0062】
ところで、以上のように構成された応答生成装置10の各構成要素(入力文認識部40、感情推定部42、応答生成部44、応答表示制御部46、事例文抽出部48、事例感情情報生成部50、構文構造解析部52)による処理は、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現することができる。但し、ソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現することもできることは言うまでもない。
【0063】
以下では、本実施の形態に係る応答生成装置10が、事例感情情報の生成を行なう事例感情情報生成処理プログラムや入力文に対する応答を行なう応答処理プログラムを実行することにより上記各構成要素による処理を実現するものとされている場合について説明する。この場合、当該事例感情情報生成処理プログラムや応答生成処理プログラムをROM24やハードディスク26に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用することができる。
【0064】
次に、本実施の形態に係る応答生成装置10の作用を説明する。
【0065】
最初に、図10を参照して、事例感情情報の生成を行なう際の本実施の形態に係る応答生成装置10の作用を説明する。なお、図10は、ネットワーク18より文書データが取得された際にCPU20により実行される事例感情情報生成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムは、HDD46の所定の領域に予め記憶されている。
【0066】
同図のステップ100では、取得された文書データにより示される文書に対して形態素解析や係り受け解析などの構文構造の解析を行なって、当該文書に含まれる単語の係り受け関係や当該単語の原形、当該単語の品詞を特定する。
【0067】
これにより、例えば、文書データにより示される文書が「友人の口から旅行に行くから楽しみだと聞いた」である場合、本ステップ100の構文構造の解析の結果、図11に示すように解析される。なお、図11では、破線及び実線の矢印により係り受け関係を示している。
【0068】
次のステップ102では、構文構造が解析された文書から予めハードディスク26に記憶された手がかり語情報(図5参照。)により示される手がかり語を検索する。
【0069】
次のステップ104では、手がかり語が検索されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ106へ移行する一方、否定判定となった場合は本事例感情情報生成処理プログラムは終了となる。
【0070】
ステップ106では、入力文から検索された手がかり語により接続される事例を示す文と感情語を抽出する。
【0071】
図11に示す例では、手がかり語「から」を2つ含んでおり、一方の修飾先が感情語「楽しみだ」である。そこで、本実施の形態では、修飾先が感情語であるものと抽出対象として、感情語を修飾する手がかり語の直前の文節に対して係り受け関係を有する文節を含んだ文を、事例を示す文として抽出する。図11に示す例では、手がかり語「から」の直前の文節「行く」とそれを修飾する部分「旅行に」から「旅行に行く」を抽出する。
【0072】
また、本実施の形態では、感情語を含んだ文節を抽出する。図11に示す例では、感情語「楽しみ」を含む文節から、「楽しみだ」が抽出される。
【0073】
次のステップ108では、感情クラス情報(図4参照。)に基づき、抽出した感情語を含む文節の当該感情語から感情表現を検索する。
【0074】
上述した例では、図4に示す感情クラス情報の対応表から、「楽しみ」の感情状態が「楽しい」であると検索される。
【0075】
これにより、図12に示すような事例を示す文と当該文により示される感情状態の知識が獲得される。
【0076】
次のステップ110では、抽出された文節に含まれる事例を示す文と感情語を各々対応付けた事例感情情報として記憶させ、本事例感情情報生成処理プログラムは終了となる。
【0077】
これにより、ネットワーク18を介して取得された文書データから、図6に示すような、事例を示す文と当該事例を示す文により示される感情状態を示す感情語を各々対応付けた事例感情情報が生成されて、ハードディスク26に記憶される。
【0078】
次に、図13を参照して、ユーザと対話を行う際の本実施の形態に係る応答生成装置10の作用を説明する。なお、図13は、音声入力装置16に対してユーザから音声により入力文が入力された際にCPU20により実行される応答処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムは、HDD46の所定の領域に予め記憶されている。
【0079】
同図のステップ200では、取得された入力文データに基づいてユーザの感情状態を推定する感情推定処理を実行する。
ここで、図14を参照して、本実施の形態に係る感情推定処理について説明する。なお、図14は、CPU20により実行される感情推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムも上記応答処理プログラムと同様に予めインストールしておく形態等を適用することができる。
【0080】
同図のステップ300では、入力文データにより示される入力文をハードディスク26に記憶された事例情報の各事例を示す文と入力文を比較し、各事例を示す文毎に、当該事例を示す文の単語と入力文の単語が一致する単語数を求める。そして、本ステップ300では、入力文と各事例を示す文との類似度として、各事例を示す文毎に、図7に示す(1)式を用いて品詞別に重み値(W1〜W4)を加味してコサイン類似度の演算を行なって入力文との類似度を導出する。
【0081】
次のステップ302では、上記ステップ300において導出された各事例を示す文毎の入力文との類似度に所定閾値以上のものが存在するか否か判定し、肯定判定となった場合はステップ304へ移行し、否定判定となった場合はステップ306へ移行する。
【0082】
ステップ304では、入力文との類似度が最も高い事例を示す文に対応する感情状態をユーザの感情状態と推定して、ステップ202(図13参照。)へ移行する。
【0083】
ここで、以下に、図6に示す事例感情情報の各文とユーザからの入力文「突然展示会に来てくれる」の類似度を、図7に示す(1)式の類似度計算手法と、図8に示す(2)式の類似度計算手法を用いて計算する場合を例にとって説明する。なお、(2)式の重み(W1〜W4)は、述語となる動詞、自立語、非自立語の動詞の重み値(W1〜W3)を他の品詞の重み値(W4)よりも大きくして、例えば、W1=1,W2=0.8,W3=0.8,W4=0.4とする。なお、この重み値は、一例であり、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0084】
〔(1)式の類似度計算手法による類似度計算〕
【0085】
入力文に含まれる単語 「展示会 に まで 来る くれる」
図6のデータ4の文に含まれる単語「発表会 に まで 来る しまう」
図6のデータ5の文に含まれる単語「いつも 発表会 に 来る くれる」
【0086】
よって、入力文とデータ4の文は、
入力文に含まれる単語数 =5(展示会,に,まで,来る,くれる)
データ4の文に含まれる単語数=5(発表会,に,まで,来る,しまう)
入力文とデータ4の文とで一致する単語数=3(に,まで,来る)
である。
【0087】
よって、(1)式の類似度計算手法による入力文とデータ4の文の類似度は
類似度=3÷{sqrt(5)×sqrt(5)}=0.6
と導出される。
【0088】
また、入力文とデータ5の文は、
入力文に含まれる単語数 =5(展示会,に,まで,来る,くれる)
データ5の文に含まれる単語数=5(いつも,発表会,に,来る,くれる)
入力文とデータ5の文とで一致する単語数=3(に,来る,くれる)
である。
【0089】
よって、(1)式の類似度計算手法による入力文とデータ5の文の類似度は
類似度=3÷{sqrt(5)×sqrt(5)}=0.6
と導出される。
【0090】
ここで、本来、ユーザ発話「展示会にまで来てくれる」の感情は「ありがたい」と判定されるのが望ましいが、(1)式の類似度計算手法の場合は類似度が同じなので、データ5の感情状態「恥ずかしい」とデータ6の感情状態「ありがたい」がランダムに選択するものとした場合、ランダム選択の結果「恥ずかしい」が選択されれば出力を誤る。
【0091】
〔(2)式の類似度計算手法による類似度計算〕
【0092】
この入力文とデータ4の文は、
【0093】
入力文に含まれる単語数 =5(展示会,に,まで,来る,くれる)
データ4の文に含まれる単語数=5(発表会,に,まで,来る,しまう)
入力文とデータ4の文とで動詞が一致する単語数=1(来る)
入力文とデータ4の文とで自立語が一致する単語数=0(展示会⇔発表会)
入力文とデータ4の文とで動詞−非自立が一致する単語数=0(くれる⇔しまう)
入力文とデータ4の文とでその他の単語が一致する単語数=2(に⇔に,まで⇔まで)
である。
【0094】
よって、図8に示す(2)式の類似度計算手法による入力文とデータ4の文の類似度は
類似度={(1×1)+(0.8×0)+(0.8×0)+(0.4×2)}
÷{sqrt(5)×sqrt(5)}
=1.8÷5=0.36
と導出される。
【0095】
また、入力文とデータ5の文は、
入力文に含まれる単語数 =5(展示会,に,まで,来る,くれる)
データ5の文に含まれる単語数=5(いつも,発表会,に,来る,くれる)
入力文とデータ5の文とで動詞が一致する数 =1(来る)
入力文とデータ5の文とで自立語が一致する数=0(展示会⇔いつも,展示会⇔発表会)
入力文とデータ5の文とで動詞−非自立が一致する数=1(くれる⇔くれる)
入力文とデータ5の文とでその他の単語が一致する数=1(に⇔に)
である。
【0096】
よって、図8に示す(2)式の類似度計算手法による入力文とデータ5の文の類似度は
類似度={(1×1)+(0.8×0)+(0.8×1)+(0.4×1)}
÷{sqrt(5)×sqrt(5)}
=2.2÷5=0.44
と導出される。
【0097】
ここで、(2)式の類似度計算手法では、類似度が0.36<0.44なので、入力文とデータ5の文の方が類似度は高い。よって、データ5の文に対応する感情状態である「ありがたい」がユーザの感情状態と推定される。
【0098】
このユーザから入力された入力文「展示会にまで来てくれる」に対する感情として「ありがたい」は適切であり、(2)式の類似度計算手法では、ユーザの感情状態をより精度良く推定することができることが分かる。
【0099】
一方、ステップ306では、ユーザの感情状態と推定結果を 推定結果=なし、としてステップ202(図13参照。)へ移行する。
【0100】
ステップ202では、上記感情推定処理での推定結果に基づいて応答文を生成する応答生成処理を実行する。
ここで、図15を参照して、本実施の形態に係る応答生成処理について説明する。なお、図15は、CPU20により実行される応答生成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムも上記応答処理プログラムと同様に予めインストールしておく形態等を適用することができる。
【0101】
同図のステップ400では、上記感情推定処理で感情状態が推定できたか否かを判定し、肯定判定であった場合はステップ402へ移行し、否定判定であった場合はステップ404へ移行する。
【0102】
ステップ402では、推定された感情状態に基づいて応答文を生成してステップ204(図13参照。)へ移行する。
【0103】
なお、本実施の形態では、感情状態を示す感情語の品詞が形容詞である場合は、当該感情語を原形に変換すると共に、時制を過去形に変換する。そして、変形した感情語に文末処理として「んですね」を付加することにより応答文を生成する。
【0104】
これにより、例えば、感情語が「楽しい」である場合、感情語が形容詞であると判断されて、当該感情語を原形に変換されると共に、時制が過去形に変換されて「楽しかった」と変換される。そして、変形した感情語に文末処理が行なわれて応答文として「楽しかったんですね」が生成される。
【0105】
一方、感情状態を示す感情語の品詞が動詞である場合は、当該感情語を形容詞表現した同義語が存在するか否かを判別する。なお、この判別は、形容詞表現した同義語が存在する感情語を、当該同義語と対応付けてハードディスク26に予め記憶させておき、品詞が動詞であると解析された感情語がハードディスク26に記憶されているか否かにより判別する。
【0106】
形容詞表現の同義語が存在する場合は、感情語が形容詞である場合と同様に、当該同義語を原形に変換すると共に時制を過去形に変換し、上記文末処理を行なって応答文を生成する。
【0107】
形容詞表現の同義語が存在しない場合は、感情語を、図16に示すように変換ルールに従って「テイル形」もしくは「タ形」に変換し、変形した感情語に上記文末処理を行なうことにより応答文を生成する。
【0108】
これにより、例えば、感情語が「がっかりする」である場合、感情語が動詞であると判断されて、当該感情語を形容詞表現した同義語が存在しないため、図16に示すように変換ルールに従って「がっかりしている」もしくは「がっかりした」に変換される。そして、変形した感情語に文末処理が行なわれて応答文として「がっかりしているんですね」もしくは「がっかりしたんですね」が生成される。
【0109】
一方、ステップ404では、ハードディスク26に記憶された相槌文情報(図9参照。)の相槌文の何れか1つを応答文としてステップ204(図13参照。)へ移行する。
【0110】
これにより、例えば、音声入力装置16に対してユーザから音声により入力文として「旅館についてしまえばのんびりできるんだけどね」が入力された場合、上記ステップ300において入力文と各事例を示す文との類似度が導出されるが、上記ステップ302において各事例を示す文との類似度が低いため否定判定されて、上記ステップ306において推定結果=なし、とされた場合であっても、上記ステップ404において相槌として、例えば、「そうですね」が生成される。
【0111】
ステップ204では、上記応答処理で生成された応答文をディスプレイ14に表示させ、本応答処理プログラムを終了する。
【0112】
以上のように、本実施の形態によれば、ユーザからの入力となる入力文と、予め記憶された所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報の各事例を示す文との類似度を導出し、導出された類似度に基づいてユーザの感情状態を推定しているので、ユーザの感情状態をより精度良く推定することができ、ユーザの感情状態に合った応答を生成できる。
【0113】
また、本実施の形態によれば、外部より取得した文書データにより示される文書の構文構造及び文に含まれる単語の品詞を解析し、構文構造を解析した文書から事例と当該事例により示される感情状態を示す感情語を接続する手がかり語を検索し、手がかり語が検索された場合、当該手がかり語により接続される事例を示す文と感情語を抽出し、抽出した事例を示す文と感情語により示される感情状態とを各々対応付けた事例感情情報が生成しているので、様々事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報を容易に生成することができる。また、入力文に手がかり語が複数含まれる場合でも、感情語を修飾する手がかり語により接続される事例を示す文と感情語を抽出することにより、事例を示す文と当該文により示される感情状態を適切に抽出できる。
【0114】
なお、本実施の形態では、ユーザから発話された音声を音声認識処理することによって入力文を取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、キーボードにより入力文が入力されるものとしてもよい。
【0115】
また、本実施の形態では、ネットワーク18より文書データが取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、キーボードにより入力されることにより文書データを取得するものとしてもよく、また、例えば、CD−R、DVDなどの記録メディアを読み取ることにより文書データを取得するものとしてもよい。
【0116】
また、本実施の形態では、類似度が最も大きい事例を示す文に対応する感情状態をユーザの感情状態と推定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、類似度が予め定めたしきい値以上となる事例を示す文に対応する感情状態の多数決の結果をユーザの感情状態と推定してもよい。
【0117】
また、本実施の形態では、応答文をディスプレイ14に表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、応答文を音声で出力するものとしてもよい。
【0118】
その他、本実施の形態で説明した応答生成装置10の電気系の要部構成(図1参照。)、及び応答生成装置10の機能的な構成(図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0119】
また、本実施の形態で説明した各種の情報(図3〜図6、図9参照。)のデータ構造も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0120】
さらに、本実施の形態で説明した事例感情情報生成処理プログラム(図13参照。)、応答処理プログラム(図13参照。)、感情推定処理プログラム(図14参照。)、及び応答生成処理プログラム(図15参照。)の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】実施の形態に係る応答生成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る応答生成装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る感情語情報のデータ構造の一例を示す図である
【図4】実施の形態に係る感情クラス情報のデータ構造の一例を示す図である
【図5】実施の形態に係る手がかり語情報のデータ構造の一例を示す図である
【図6】実施の形態に係る事例感情情報のデータ構造の一例を示す図である
【図7】一般的なコサイン類似度の計算式である
【図8】実施の形態に係るコサイン類似度の計算式の一例である
【図9】実施の形態に係る相槌文情報のデータ構造の一例を示す図である
【図10】実施の形態に係る事例感情情報生成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】文書の構文構造の解析の一例を示す図である。
【図12】獲得される事例を示す文と当該文により示される感情状態の関係を示す図である。
【図13】実施の形態に係る応答処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る感情推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る応答生成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る変換ルールの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0122】
10 応答生成装置
12 入力装置(取得手段)
16 音声入力装置(取得手段)
18 コンピュータ本体(生成手段)
26 ハードディスク(記憶手段)
34 ネットワークインタフェース部(取得手段)
42 感情推定部(導出手段、推定手段)
48 事例文抽出部(抽出手段)
50 事例感情情報生成部(生成手段)
52 構文構造解析部(解析手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力となる入力文を示す入力文データを取得する取得手段と、
所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報を予め記憶した記憶手段と、
前記取得手段により取得された入力文データにより示される入力文と前記記憶手段に記憶された事例感情情報の各事例を示す文との類似度を導出する導出手段と、
前記導出手段により導出された類似度に基づいて前記ユーザの感情状態を推定する推定手段と、
を備えた感情推定装置。
【請求項2】
前記取得手段により取得された入力文データにより示される入力文と前記記憶手段に記憶された事例感情情報の各事例を示す文の構文構造の解析を行なって当該入力文と各事例を示す文に各々含まれる単語の品詞を解析する解析手段をさらに備え、
前記導出手段は、前記解析手段により解析された入力文と各事例を示す文を比較して、各事例を示す文毎に、品詞別に入力文と一致する単語数を求め、当該品詞別の一致する単語数に対して品詞別に予め定められた重み値を加味して、前記類似度を導出する
請求項1記載の感情推定装置。
【請求項3】
前記導出手段は、前記品詞別の一致する単語数に対して品詞別に予め定められた重み値をそれぞれ乗算し、当該乗算の結果得られた値を、当該品詞別の一致する単語数を求める際に比較した入力文と事例を示す文に各々含まれる単語数の平方根でそれぞれ除算した結果得られた値を前記類似度として導出する
請求項2記載の感情推定装置。
【請求項4】
前記品詞別に予め定められた重み値は、述語となる動詞、自立語、非自立語の動詞の重み値が他の品詞の重み値よりも大きくされている
請求項2又は請求項3記載の感情推定装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記導出手段により導出された類似度が最も大きい事例を示す文に対応する感情状態情報により示される感情状態を前記ユーザの感情状態と推定する
請求項1〜請求項4の何れか1項記載の感情推定装置。
【請求項6】
自然言語で表現された文書を示す文書データを取得する取得手段と、
文書において、事例と当該事例により示される感情状態を示す感情語を接続する所定の手がかり語を示す手がかり語情報を記憶した記憶手段と、
前記取得手段により取得された文書データにより示される文書の構文構造の解析を行なって構文構造及び文に含まれる単語の品詞を解析する解析手段と、
前記解析手段により構文構造が解析された文書から前記記憶手段に記憶された手がかり語情報により示される手がかり語を検索し、手がかり語が検索された場合、当該手がかり語により接続される事例を示す文と感情語を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された事例を示す文と感情語により示される感情状態とを各々対応付けた事例感情情報を生成する生成手段と、
を備えた事例感情情報生成装置。
【請求項7】
取得手段により取得された入力文データにより示される入力文と、前記記憶手段に記憶された、所定の事例を示す文と当該文により示される感情状態を示す感情状態情報を各々対応付けた事例感情情報の当該各事例を示す文とを比較して類似度を導出する導出ステップと、
前記導出ステップにより導出された類似度に基づいてユーザの感情状態を推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる感情推定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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