説明

感熱記録体

【課題】支持体上に感熱発色層を設け、その上に中間層を介して放射線硬化型のオーバーコート層を形成した感熱記録体において、光沢性が高く、印字時のヘッドマッチング性、発色濃度及び発色画像の保存性等に優れた高級感のある感熱記録体を開発すること。
【解決手段】支持体上に無色又は淡色の発色性化合物と該発色性化合物を熱時発色せしめる顕色性化合物を含有する感熱発色層を設け、その上に中間層を介して放射線硬化型のオーバーコート層を形成した感熱記録体において、該中間層がテルペン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール、疎水性高分子化合物及びコロイド性無機化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感熱記録体に関する。更に詳しくは光沢性が高く、印字時のヘッドマッチング性、発色濃度及び発色画像の保存性に優れた高級感のある感熱記録体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無色又は淡色の塩基性染料と有機又は無機の呈色剤を熱により反応させて記録画像を得る感熱記録体は比較的安価で、装置がコンパクトで且つメンテナンスフリーであるため、ファクシミリやプリンターの分野で近年急速に普及し、POSラベル、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)、設計図等の第2原図、カード類等の分野で、感熱記録体に対するニーズが拡大している。
【0003】
しかしながら、これら感熱記録体は発色画像の保存性に問題が有り(特に発色画像の可塑剤、油、水による退色)、又、地肌かぶりなどの欠点が有る。この問題を解決する方法としては様々な方法が提案されており、紫外線硬化型樹脂を使用したものとしては感熱発色層上に紫外線硬化型樹脂層(オ−バ−コ−ト層)を設ける方法(特許文献1)、感熱発色層の上に中間層を介して電子線硬化型樹脂層(オ−バ−コ−ト層)を設ける方法(特許文献2)、紫外線硬化型樹脂に感熱発色剤を無溶媒状態で分散させる方法(特許文献3)などが提案されている。
【0004】
しかし、感熱発色層上に放射線硬化型樹脂層(オ−バ−コ−ト層)を設ける方法では、放射線硬化型樹脂や、一般的に用いられる希釈溶剤の為に塗工の際に感熱発色層で発色がおこり、実用的なレベルのものではなかった。また中間層を介して放射線硬化型樹脂層(オ−バ−コ−ト層)を設ける方法では、中間層と放射線硬化型樹脂層との密着性が十分でないという問題がある。また、オーバーコート層を形成する際に一般的に溶剤などで希釈して塗工することが多いが、中間層の厚みによっては、塗工の際に希釈溶剤などが感熱発色層にしみ込み地肌かぶりが起こりやすく、又発色画像の耐水性、耐可塑剤性等の保存性のほか、印字時のヘッドマッチング性も悪くなるという傾向がある。
いずれにしても光沢性が高く、ヘッドマッチング性、及び発色画像の耐水性、耐可塑剤性性等の保存性に優れた高級感のある感熱記録体を得るという目的は未だ達成されていない。本発明に用いるテルペン/無水マレイン酸共重合体は特許文献4、5に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特公昭58−35478号公報
【特許文献2】特公平3−20355号公報
【特許文献3】特公昭57−52920号公報
【特許文献4】特表平9−511012号公報
【特許文献5】特開2002−192836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光沢性が高く、印字時のヘッドマッチング性、発色濃度が良好で且つ発色画像の保存性に優れた高級感のある感熱記録体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記したような問題点を解決すべく種々の検討を重ねた結果、特定の組成を有する組成物からなる中間層を設けることにより前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)支持体上に無色又は淡色の発色性化合物と該発色性化合物を熱時発色せしめる顕色性化合物を含有する感熱発色層を設け、その上に中間層を介して放射線硬化型のオーバーコート層を形成した感熱記録体において、該中間層がテルペン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール、疎水性高分子化合物及びコロイド性無機化合物を含有することを特徴とする感熱記録体、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
光沢性が高く、印字時のヘッドマッチング性、発色濃度及び発色画像の耐水性、耐可塑剤性等の保存性に優れた高級感のある感熱記録体が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を詳細に説明する。
本発明において中間層に用いられるテルペン/無水マレイン酸共重合体は、テルペン化合物と無水マレイン酸とのラジカル重合により製造され、特許文献4、5等に製造方法が開示されている。本発明に用いられるテルペン/無水マレイン酸共重合体のテルペン化合物と無水マレイン酸の共重合体割合とその分子量は特に限定されるものではないが、好ましくはテルペン化合物:無水マレイン酸=1:0.25モル比〜1:2.5モル比、分子量が5千〜5万のものの中から選ばれる。このテルペン/無水マレイン酸共重合体は、テルペン化合物と無水マレイン酸とのラジカル重合により製造され、特許文献4、5等で述べられている方法で得られる。
【0010】
本発明において中間層に用いられるポリビニルアルコール(PVA)又は変性ポリビニルアルコールのうちポリビニルアルコール(PVA)は、例えば重合度が300〜3000、鹸化度が70モル%〜99.5モル%の性状を有するものであり、好ましくは重合度が500〜1000、鹸化度が75モル%〜90モル%の範囲で使用される。又変性ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアルコール(PVA)の変性体であるカルボキシル化変性PVA、アセトアセチル化PVA、シリル化変性PVA、スルホン化変性PVA等の使用が可能であり、これらのものもポリビニルアルコールと同様に市場から入手することができる。
これらのうち好ましいものは、ポリビニルアルコール及びカルボキシル化変性PVAである。
【0011】
本発明において中間層に用いられる疎水性高分子化合物としては、スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリル/スチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブチラール、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ロジンエステル樹脂、コロイダルシリカと(メタ)アクリル共重合体の複合体粒子等の疎水性高分子化合物又はそれらのエマルション等が挙げられる。
これらのうち好ましいものとしては、スチレン/(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸系共重合体及びポリアクリル酸エステルが挙げられる。
尚、上記において「(メタ)アクリル酸系」とは(メタ)アクリル酸エステルを意味する。
【0012】
更に、本発明において中間層に用いられるコロイド性無機化合物としては、コロイダルシリカ、アルミナゾル、コロイド性含水珪酸アルミニウム、コロイド性含水珪酸マグネシウム、コロイド性含水珪酸マグネシウム/リチウム、コロイド性含水フッ素珪酸マグネシウム等が挙げられる。
これらのうち好ましいものとしては、コロイダルシリカ、コロイド性含水珪酸アルミニウム及びコロイド性含水珪酸マグネシウムが挙げられる。
【0013】
本発明において用いられる中間層に用いられる上記化合物の使用割合は、テルペン/無水マレイン酸共重合体が10〜80重量%、好ましくは20〜50重量%、ポリビニルアルコールが0.5〜20重量%、好ましくは1〜5重量%、疎水性高分子化合物が10〜80重量%20〜70重量%、コロイド性無機化合物が5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲でそれぞれ使用される(重量%は中間層中に占める各成分の重量比)。
更に、本発明における中間層には、必要に応じて下記の本発明の感熱発色層の調製に用いられる結合剤、充填剤、その他各種の添加剤が併用されてもよい。
【0014】
本発明の感熱記録体は、支持体上に感熱発色層、テルペン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール、疎水性高分子化合物及びコロイド性無機化合物を含有する中間層、放射線硬化型のオーバーコート層がこの順で形成されたものである。
本発明において感熱発色層には通常無色ないし淡色の発色性化合物と該発色性化合物を熱時発色させうる顕色性化合物を主要な成分とし、以下に示すような結合剤及びその他必要に応じ、充填剤、熱可融性化合物、その他の添加物等を含有する。
【0015】
本発明における感熱発色層を形成するに当たっては、発色性化合物は通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、顕色性化合物は通常0.5〜80重量%、好ましくは5〜40重量%、結合剤は通常1〜90重量%、充填剤及び熱可融性化合物(増感剤)は通常各々0〜80重量%、その他滑剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤等が各々任意の割合で、例えば通常各々0〜30%重量使用される(重量%は感熱発色層中に占める各成分の重量比)。
【0016】
感熱発色層に使用する発色性化合物の例としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであればよく、特に制限されない。その具体例としては、例えばフルオラン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スピロ系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、ラクタム系化合物、フルオレン系化合物等が挙げられる。
【0017】
用いうるフルオラン系化合物の具体例としては、例えば3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−イソブチルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(p−トルイジノエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−エトキシエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−(p−トルイジノエチルアミノ)−6−メチル−7−フェネチルフルオラン等が挙げられる。
【0018】
同じくトリールメタン系化合物としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン又はCVL)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルアミノインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0019】
更にスピロ系化合物としては、例えば3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、1,3,3−トリメチル−6−ニトロ−8’−メトキシスピロ(インドリン−2,2’−ベンゾピラン)等が、ジフェニルメタン系化合物としては、例えばN−ハロフェニル−ロイコオーラミン、4,4−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が、チアジン系化合物としては、例えばベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が、ラクタム系化合物としては、例えばローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム等が、フルオレン系化合物としては、例えば3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド等が挙げられる。
これらの発色性化合物は単独もしくは混合して用いられる。
【0020】
感熱発色層に使用する顕色性化合物も一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであればよく、特に制限されない。用いうる顕色性化合物の具体例としては、例えばα−ナフトール、β−ナフトール、p−オクチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2’−(2,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド等のフェノール性化合物、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸等の芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその金属塩等が挙げられる。
【0021】
本発明において用いうる結合剤の具体例としては、例えばメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、水溶性イソプレンゴム、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン/無水マレイン酸共重合体塩等の水溶性のもの或は、スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリル/スチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブチラール、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ロジンエステル樹脂、コロイダルシリカとアクリル共重合体の複合体粒子等の疎水性高分子化合物又はそれらのエマルジョン等が挙げられる。
【0022】
本発明において用いうる充填剤(フィラー)の例としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタン、タルク、クレイ、カオリン、コロイダルシリカ、硫酸バリウム金属粉末等の無機フィラーやこれらの無機フィラーを表面処理したフィラー、スチレンマイクロボール、ポリスチレン樹脂ビーズ、アクリル系樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、ポリオレフィン樹脂、ベンゾグアナミン−ホルマリン縮合物の樹脂粉末、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルマリン縮合物の樹脂粉末、尿素−ホルマリン縮合物の樹脂粉末、エポキシ樹脂パウダー、ポリエチレンパウダー、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、芳香族ポリエステル等の有機フィラー等があげられる。
【0023】
本発明において用いうる熱可融性化合物の例としては、例えば動植物性ワックス、合成ワックスなどのワックス類や高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、芳香族アミンのアセチル化物、ナフタレン誘導体、芳香族エーテル、芳香族カルボン酸誘導体、芳香族スルホン酸エステル誘導体、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体、ビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体等、常温で固体であり約70℃以上の融点を有するものをあげることができる。これらは、通常発色感度を高める増感剤として作用する。
【0024】
上記においてワックス類としては、例えば木ろう、カルナウバろう、シェラック、パラフィン、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等が、高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸等が、高級脂肪酸アミドとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が、高級脂肪酸アニリドとしては、例えばステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等が、芳香族アミンのアセチル化物としては、例えばアセトトルイジド等が、ナフタレン誘導体としては、例えば1−ベンジルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル等が、芳香族エーテルとしては、例えば1,2−ジフェノキシエタン、1,4−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1−フェノキシ−2−(4−クロロフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)エタン等が、芳香族カルボン酸誘導体としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル等が、芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、例えばp−トルエンスルホン酸フェニルエステル、フェニルメシチレンスルホナート、4−メチルフェニルメシチレンスルホナート等が、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体としては、例えば炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル等が、ビフェニル誘導体としては、例えばp−ベンジルビフェニル、p−アリルオキシビフェニル等が、ターフェニル誘導体としては、例えばm−ターフェニル等が、各々例示される。
【0025】
更に、本発明においては上記以外の種々の添加剤を使用することができる。用いうるその他の添加剤の例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、酸化防止あるいは老化防止効果を付与するためのフェノール誘導体、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、各種の界面活性剤、消泡剤等が必要に応じて加えられる。
【0026】
前記材料を用いて例えば次のような方法によって本発明における感熱発色層が調製される。即ち、常法によりまず発色性化合物、顕色性化合物をそれぞれ別々に結合剤あるいは、必要に応じてその他の添加物と共にボールミル、アトライター、サンドミルなどの分散機にて粉砕、分散した後(粉砕、分散を湿式で行うときは通常水を媒体として用いる)、混合して感熱発色層塗布液を調製し、紙(普通紙、上質紙、コート紙等)、プラスチックシート、合成紙等の支持体上に通常、乾燥時の重量で1〜20g/m2になるようにバーコーター、ブレードコーター等により塗布(発色性化合物と顕色性化合物の比は、通常乾燥重量比で2:1〜1:10である)、乾燥して感熱発色層を有した支持体を得る。
【0027】
次にテルペン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール、疎水性高分子化合物及びコロイド性無機化合物、必要に応じて結合剤、充填剤、その他の添加物を併用して中間層形成塗布液とし、前記感熱発色層上に固形分重量が0.5〜5g/m2になるように塗布、乾燥して中間層を形成する。
【0028】
本発明の感熱記録体では、このようにして形成された中間層上に放射線硬化型のオーバーコート層を設ける。放射線硬化型のオーバーコート層は、通常単官能や多官能のモノマー、オリゴマーを主要な成分とし、必要に応じて前記したフィラー、滑剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、更にポリマー、レベリング剤、ラジカル反応性シリコーンマクロマー、酸化防止剤、重合禁止剤、帯電防止剤、蛍光染料などの添加剤を含有する。また、紫外線で硬化する場合は光重合開始剤と、必要に応じて光重合促進剤を含有する。本発明におけるオーバーコート層を形成するに当たっては単官能や多官能のモノマー、オリゴマーが20〜100重量%、必要に応じてフィラーや滑剤等が0.1〜50重量%、その他界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤等が各々任意の割合で、例えば各々0〜30重量%使用される。紫外線硬化させる場合は重合開始剤および促進剤を各々0.1〜15重量%含有させる。
【0029】
使用しうる単官能モノマーの例としては、例えばスチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどのビニルモノマー、エポキシ(メタ)アクリレート、飽和ポリエステル/スチレン、ポリエチレン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエン/チオール、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレートなどのオリゴマー、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどのビニルモノマー、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリンなどがあげられる
【0030】
同じく多官能モノマーの例としては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,20−エイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソペンチルジオールジ(メタ)アクリレート、3−エチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマーや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレートなどの3官能以上のモノマーが挙げられる。
【0031】
更にオリゴマーの例としては、例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、飽和ポリエステル/スチレン、ポリエチレン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエン/チオール、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0032】
本発明の感熱記録体において、中間層の上にオ−バ−コ−ト層を設ける為に使用される放射線硬化型樹脂組成物には、電子線で硬化させる場合はなくてもよいが、紫外線で硬化させる場合は光重合開始剤を、又必要に応じ、光重合促進剤を使用する。光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、ベンジルなどが挙げられる。光重合促進剤としてN−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、N,N−ジエチル−P−アミノベンゾニトリル等のアミン系化合物や、トリ−n−ブチルホスフィン等のリン化合物、ヘキサクロロエタン等の塩素化合物、ミヒラーケトンなどを、単独あるいは2種以上組み合わせても使用することができる。
【0033】
また、本発明の感熱記録体において、中間層の上にオ−バ−コ−ト層を設ける為に使用される放射線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、合成ワックス、植物油、動物油、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加することができる。また、アクリル共重合体、シリコーンオイル、アルキル基、アミノ基、エポキシ基、フッ素基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基等で変性したシリコーンオイル、フッ素系界面活性剤、ポリマー、レベリング剤、ラジカル反応性シリコーンマクロマー、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、帯電防止剤、蛍光染料等を添加することができる。
【0034】
本発明で使用する前記放射線硬化型樹脂組成物は上記の各成分を均一に混合することにより得ることができる。このようにして得られた放射線硬化型樹脂組成物は従来のロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、スクリーン印刷機などによりそれ自体公知の方法で中間層上に塗布し、溶剤などで希釈する場合は塗布、乾燥後、紫外線又は電子線を照射して塗膜を硬化させる。オーバーコート層用放射線硬化型樹脂組成物の塗布量は特に限定されるものではないが、乾燥重量が少なすぎると本発明の目的を達成することはできず、また多すぎると感熱記録体の記録感度が低下する恐れや塗膜の割れの問題があるので、通常は乾燥重量として好ましくは0.5〜20g/m2、より好ましくは1〜10g/m2の範囲で塗工するのがよい。放射線の照射装置としては、例えば100〜500eVのエネルギーを有する電子線加速装置や、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置があげられる。使用する装置によって光量、光源の配置などが決定されるが、例えば、高圧水銀灯を用いる場合、80〜120W/cmの光量を有したランプにより、搬送速度20〜60m/分、1〜4回照射して硬化させるのが好ましい。
【0035】
感熱発色層の上に中間層を介して放射線硬化型のオーバーコート層を形成した感熱記録体において、該中間層がテルペン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール、疎水性高分子化合物及びコロイド性無機化合物を含有する本発明の感熱記録体は、従来公知のものに比べ光沢性が高く、印字時のヘッドマッチング性及び発色画像の保存性に優れている。
【実施例】
【0036】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。実施例中「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0037】
実施例1
(感熱記録層の形成)
下記組成の混合物をサンドグラインダーを用いて平均粒径が2μm以下になるように粉砕、分散化してそれぞれ[A]液、[B]液を調製した。
[A]液:3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
[B]液:ビス(3−アリル−4ヒドロキシフェニル)スルホン 25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
【0038】
次いで各調製液を下記の割合で混合して感熱発色層塗布液を調製し、厚さ75μmの白色ポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイル W900J、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)に乾燥時の重量が8g/m2となるように塗布、乾燥して感熱発色層を得た。
[A]液 8部
[B]液 20部
50%炭酸カルシウム分散液 10部
50%カルボキシル化スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス 8部
水 20部
【0039】
(中間層の形成)
次に中間層塗布液として、下記の調製液を前記感熱発色層上に乾燥時の重量が2g/m2となるように塗布、乾燥を行って中間層を形成した。
20%テルペン/無水マレイン酸共重合体(注1) 100部
10%ポリビニルアルコール(注2) 20部
50%エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体エマルション(注3)
120部
5%コロイド性含水珪酸アルミニウム水性液(注4) 400部
水 260部
注1:分子量が15,000、リモネンと無水マレイン酸のモル比が1:0.6のアンモニウム水溶液
注2:商品名:PVA−117、(株)クラレ製
注3:商品名:ポリゾール EVA P−400B、昭和高分子(株)製
注4:商品名:クニピア G、クニミネ工業(株)製
【0040】
(オーバーコート層の形成)
次に前記中間層上に下記の組成物を乾燥塗布量が3g/m2となる様に塗布し、80W/cmの高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(GS ASE−20;日本電池社製)によりコンベアー速度40m/分で2回照射させることにより硬化させて、本発明の感熱記録体を得た。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 35部
EO変性ビスフェノールAジアクリレート(KAYARAD R−551;日 本化薬製) 6部
1,4−ブタンジオールジアクリレート 12部
炭酸カルシウム 40部
光開始剤(イルガキュアー184;チバガイギー社) 7部
【0041】
実施例2
実施例1の(中間層の形成)におけるテルペン/無水マレイン酸共重合体(分子量=15,000、リモネン:無水マレイン酸=1:0.6モル比)の代わりにテルペン/無水マレイン酸共重合体(分子量=15,000、リモネン:無水マレイン酸=1:1モル比)を使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録体を得た。
【0042】
実施例3
実施例1の(中間層の形成)におけるテルペン/無水マレイン酸共重合体(分子量=15,000、リモネン:無水マレイン酸=1:0.6モル比)の代わりにテルペン/無水マレイン酸共重合体(分子量=30,000、リモネン:無水マレイン酸=1:0.6モル比)を使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録体を得た。
【0043】
実施例4
実施例1の(中間層の形成)における10%ポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、(株)クラレ製)の化合物の代わりに10%カルボキシル化PVA(商品名:ゴーセナール T−350、の本合成化学工業(株)製)を使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録体を得た。
【0044】
実施例5
実施例1の(中間層の形成)における50%エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体エマルション 120部の代わりに40%スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルシヨン(商品名:サイビノール EK−61、サイデン化学(株)製)150部を使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録体を得た。
【0045】
実施例6
実施例1の(中間層の形成)における5%コロイド性珪酸アルミニウム水性液の代わりに40%コロイダルシリカ水性液(商品名:スノーテックス 40、日産化学工業(株)製)100部%を使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録体を得た。
【0046】
比較例1
実施例1の(中間層の形成)において、10%ポリビニルアルコールを用いない他は実施例1と同様にして比較用の感熱記録体を得た。
【0047】
比較例2
実施例1の(中間層の形成)において、コロイド性含水珪酸アルミニウムの代わりに炭酸カルシウムを使用する他は実施例1と同様にして本発明の感熱記録体を得た。
以上の様にして得られた本発明及び比較用の感熱記録体の品質性能を表1に示す。
【0048】
比較例3
実施例1の(中間層の形成)において、20%テルペン/無水マレイン酸共重合体を用いない他は実施例1と同様にして比較用の感熱記録体を得た。
以上の様にして得られた本発明及び比較用の感熱記録体の品質性能を表1に示す。
【0049】
表1
品質性能表
1) 2) 3) 4) 5)
光沢度 発色濃度 耐水性 耐可塑剤性 ヘッドマッチング性
実施例1 83 1.86 1.68 1.85 ○/○/○
実施例2 83 1.86 1.68 1.85 ○/○/○
実施例3 84 1.88 1.69 1.86 ○/○/○
実施例4 83 1.85 1.69 1.85 ○/○/○
実施例5 84 1.85 1.69 1.84 ○/○/○
実施例6 83 1.87 1.70 1.84 ○/○/○
比較例1 83 1.84 0.90 1.45 ○/△/○
比較例2 77 1.84 1.78 0.90 ○/△/△
比較例3 75 1.84 1.30 1.40 △/×/△
【0050】
1)光沢度
未発色の感熱記録体の60度鏡面光沢度をJIS Z8741に準じて測定した。測定にはグロスチェッカIG−320((株)堀場製作所製)を用いた。
2)発色濃度
市販のビデオグラフィックプリンター(UP−860;SONY株式会社製)で標準条件で画像をプリント(発色印字)し、発色印字部分をマクベス反射濃度計(RD−914型 マクベス社製)で測定した値。
3)耐水性
2)と同様に発色させた感熱記録体を25℃の水道水に24時間浸漬後、発色印字部の残存濃度を測定した。
4)耐可塑剤性
2)と同様に発色させた感熱記録体の発色印字面に市販のプラスチック消しゴムに重ね0.0198MPa(200g/cm2)の荷重下、室温で24時間放置後の同面のマクベス反射濃度計による測定値。
5)ヘッドマッチング
2)と同様に発色させた時の発色印字音の有無/感熱記録体表面のキズの有無/サーマルヘッドへのカス付着の有無を判定した。
○−−−なし。
△−−−僅かあり。
×−−−あり。
【0051】
表から明らかなように本発明の感熱記録体は光沢度及び発色濃度が高く、又発色画像の耐水性、耐可塑剤性等の保存性更にはヘッドマッチング性に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に無色又は淡色の発色性化合物と該発色性化合物を熱時発色せしめる顕色性化合物を含有する感熱発色層を設け、その上に中間層を介して放射線硬化型のオーバーコート層を形成した感熱記録体において、該中間層がテルペン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール、疎水性高分子化合物及びコロイド性無機化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。

【公開番号】特開2006−224477(P2006−224477A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41515(P2005−41515)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】