説明

感熱記録体

【課題】
本発明は、高感度であり、かつ印字画質、印刷適性、再印字性に優れた感熱記録体を提供することを課題とする。
【解決手段】
支持体上に、アンダー層、および該アンダー層上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該アンダー層がアルデヒド化澱粉を含有することを特徴とする感熱記録体。アンダー層中のアルデヒド化澱粉の含有率が、アンダー層の全固形分に対して15重量%〜30重量%であると、特に高感度であり、かつ印字画質、印刷適性、再印字性が良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高感度であり、かつ印字画質、印刷適性、再印字性に優れた感熱記録体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう)とフェノール性化合物等の電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう)を、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダー、顔料、感度向上剤(増感剤)、滑剤およびその他の助剤を添加して得られた塗工液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、記録時に騒音がない、現像定着の必要がない、メンテナンスフリーである、機器が比較的安価である、コンパクトである、得られた発色が非常に鮮明であるといった特徴があり、ファクシミリ、コンピューターの端末プリンタ、自動券売機、計測用レコーダー、ハンディターミナルなどに広範囲に使用されている。
【0003】
近年、各種金券、チケット用やハンディターミナル用など、用途が更に多様化していることから、用途ごとに種々のプリンターが導入されており、幅広い印加エネルギー領域において、高画質の記録像を得られることが求められている。これに加え、近年プリンターの省エネルギー目的による小型化や、高性能化に伴う印字の高速化、低エネルギー化が進んでいることから、微小な熱エネルギーでも高濃度かつ高画質な画像が得られることが要求されている。このような要求に対し、支持体と感熱記録層の間にアンダー層を設け、支持体の平滑性と断熱性を向上させることで高感度化する方法が知られており、特許文献1には、支持体と感熱記録層の間に無機顔料を含有させたアンダー層を設けた感熱記録体が開示されている。
【0004】
また、銀行のATM用やガスや電気の検針用では、あらかじめ感熱記録面に固定情報を印刷しておき、可変情報を感熱記録法で記録する方法が主流であるため、感熱記録面の印刷時に必要な表面強度(印刷適性)が求められるようになってきている。さらに、これらの用途においては、夏場の屋外など高温高湿下にて長時間保存した後でも十分な印字濃度が得られること(再印字性)も要求されるようになっている。このような要求に対し、顔料及び樹脂を主成分とする保護層を感熱記録層上に設ける方法が知られており、特許文献2および特許文献3には、顔料及び樹脂を主成分とする保護層を感熱記録層上に設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-108518号
【特許文献2】特開昭48−30437号
【特許文献3】特開昭48−31958号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、支持体と感熱記録層の間に無機顔料を含有させたアンダー層を設けた特許文献1の感熱記録体は、比較的感度が高く印字画質も良好であるが、印刷適性が劣り、再印字性も十分ではない。また、顔料及び樹脂を主成分とする保護層を感熱記録層上に設けた特許文献2および特許文献3の感熱記録体は、印刷適性、再印字性は良好であるが、保護層により感熱記録層への熱伝導性が低下するため、低印加エネルギーでは十分な感度が得られず、ひいては十分な印字画質を得ることができなかった。
【0007】
そこで本発明は、高感度であり、かつ印字画質、印刷適性、再印字性に優れた感熱記録体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
支持体上に、アンダー層、および該アンダー層上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該アンダー層がアルデヒド化澱粉を含有することを特徴とする感熱記録体によって達成された。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高感度であり、かつ印字画質、印刷適性、再印字性に優れた感熱記録体を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の具体的な詳細について説明する。
【0011】
本発明の感熱記録体は、支持体上に、アンダー層、および該アンダー層上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該アンダー層がアルデヒド化澱粉を含有することを特徴としている。
【0012】
本発明のアンダー層が含有するアルデヒド化澱粉は、アルデヒド基を有する澱粉である。一般に、アルデヒド化澱粉は、ジアルデヒドまたはポリアルデヒドなどの架橋剤を用いて澱粉にアルデヒド基を導入させ、これを架橋反応させることにより得られるが、架橋反応しなかったアルデヒド基が残基として存在するため、アルデヒド基を有する。
【0013】
本発明の感熱記録体が高感度であり、かつ印字画質、印刷適性、再印字性に優れる理由は以下のように推測される。
本発明では、支持体上にアルデヒド化澱粉を含有するアンダー層を設ける。支持体上にアンダー層を設けることにより、支持体表面の凹凸が被覆され、アンダー層表面の平滑性は支持体表面より向上する。これにより、該アンダー層上に設ける感熱記録層が均質(感熱記録層の膜厚が均一)となるため、プリンター等による印字の際にサーマルヘッド等からの熱エネルギーが感熱記録層中で均質に作用し、発色ムラの少ない良好な印字画質が得られる。また、感熱記録層表面の平滑性が向上するため、印字の際にサーマルヘッド等との接触が良好となり、印字画質が向上する。
さらに、前記アンダー層は印字の際に断熱層として有効に作用し、サーマルヘッド等からの熱エネルギーを効率的に活用することが可能となるため、高感度であり、かつ印字画質が良好となる。
【0014】
一方、支持体上にアンダー層を設けると、印刷適性、再印字性が低下するが、本発明では支持体上にアンダー層を設けても印刷適性、再印字性が良好である。その理由は定かではないが、本発明のアンダー層が含有する前記アルデヒド化澱粉は反応性に富むアルデヒド基を有しており、アルデヒド化澱粉同士、あるいはアルデヒド化澱粉とアンダー層ならびに感熱記録層が含有する後述のバインダーなどが強固に結合するため、アンダー層ならびに感熱記録層の強度が良好であり、優れた印刷適性、再印字性が得られるものと推測される。
なお、本発明においては、長期間保存を想定して、50℃、90%RHの環境下で24時間処理する加速試験にて再印字性を評価する。このような高温高湿下に置かれても印字濃度の低下が少ない感熱記録体は、5年あるいは10年と長く放置しても、その発色性を失うことがないと考えられる。
【0015】
本発明において、アンダー層中の前記アルデヒド化澱粉の含有率は、上記課題に対する所望の効果が得られる範囲で適宜調整可能であるが、アンダー層の全固形分に対して5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%〜30重量%が特に好ましい。アンダー層中のアルデヒド化澱粉の含有率が10重量%未満であると、アンダー層ならびに感熱記録層の強度が十分に得られず、印刷適性、再印字性が不十分となることがある。また、アンダー層中のアルデヒド化澱粉の含有率が30重量%を超えると、アンダー層中の空隙が少なくなり、断熱層としての作用が低下して、感度、印字画質が不十分となるおそれがある。
【0016】
本発明のアンダー層は、前記アルデヒド化澱粉と共に公知の顔料、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤を含有することが好ましい。アンダー層が前記顔料を含有することで、感熱記録層表面の平滑性の向上効果や印字の際の断熱性が優れ、さらに高感度であり、かつ印字画質が良好となる。特に炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリンを含有することが好ましい。
本発明において、アンダー層が前記顔料を含有する場合、顔料の含有率は上記課題に対する所望の効果が得られる範囲で適宜調整可能であるが、アンダー層の全固形分に対して50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。
【0017】
本発明のアンダー層は、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、前記アルデヒド化澱粉と共に各種公知のバインダーを含有することが可能である。かかるバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0018】
次に、本発明の感熱記録体の感熱記録層で使用される各種材料を例示するが、バインダー、架橋剤、顔料などは上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することができる。
【0019】
本発明の感熱記録体に使用可能なロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオ
ラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0020】
本発明の感熱記録体で使用可能な顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものがすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、およびこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物は、日本曹達(株)製商品名D−90として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。これらの顕色剤は、単独または2種以上混合して使用することもできる。
【0021】
本発明の感熱記録体で使用可能な増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0022】
本発明の感熱記録体で使用可能なバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0023】
本発明の感熱記録体で使用可能な架橋剤としては、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
【0024】
本発明の感熱記録体で使用可能な顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。なお、保護層中に用いる顔料としては、サーマルヘッドの摩耗性などを考慮した場合、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウムが好ましい。
【0025】
本発明の感熱記録体で使用可能な滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
【0026】
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性効果などを示す画像安定剤として、4,4'−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4'−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン等を添加することもできる。
その他、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0027】
本発明の感熱記録体の感熱記録層に使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダーおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。前記材料の量は、要求される性能および記録適性に従って決定され特に限定されるものではないが、ロイコ染料1重量部に対し顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.5〜10重量部程度であることが好ましい。
【0028】
本発明においては、紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布、およびこれらを組み合わせた複合シート等の任意の支持体に、前記アルデヒド化澱粉を含有したアンダー層、上記組成からなる感熱記録層を順次塗工、乾燥することにより、目的とする感熱記録体が得られる。
前記アンダー層上に設ける感熱記録層の塗工量は特に限定されないが、固形分で2〜12g/mの範囲とすることが好ましい。
【0029】
本発明の感熱記録体は、印字画像の保存性向上を目的に、前記感熱記録層上に上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で保護層を設けることもできる。さらに、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。
【0030】
前記アンダー層、感熱記録層、保護層、バックコート層等の各層を塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができる。各層の塗工方法としては、エアーナイフ法、ロッドブレード法、ベントブレード法、ベベルブレード法、ロール法、スロット型カーテン法、スライド型カーテン法、スライドホッパー型カーテン法、ビード型カーテン法、スプレー法、ダイ法などを例示することが可能であり、これらの塗工方法から適宜選択され使用される。
また、各層の塗工後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の感熱記録体を実施例および比較例によって説明する。なお説明中、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。各種分散液、あるいは塗液を以下のように調製した。
[実施例1]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、アンダー層塗工液1を調製した。
<アンダー層塗工液1>
焼成カオリン(エンゲルハード社製:アンシレックス90) 100部
アルデヒド化澱粉(固形分30%) 40部
水 160部
【0032】
次いで、アンダー層塗工液1を支持体(坪量50g/mの基紙)の片面に、固形分で塗工量10.0g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、、アンダー層塗工紙を得た。
【0033】
下記配合の顕色剤分散液(A液)、ロイコ染料分散液(B液)、および増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
顕色剤分散液(A液)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 18.8部
水 11.2部
ロイコ染料分散液(B液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山田化学社製:
ODB−2) 3.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 6.9部
水 3.9部
増感剤分散液(C液)
シュウ酸ジベンジル 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 18.8部
水 11.2部
【0034】
次いで、下記の割合で分散液を混合して感熱記録層塗工液を調製した。
<感熱記録層塗工液>
顕色剤分散液(A液) 36.0部
ロイコ染料分散液(B液) 13.8部
増感剤分散液(C液) 36.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 10.0部
水 25.0部
【0035】
次いで、感熱記録層塗工液を前記アンダー層塗工紙のアンダー層上に、乾燥重量で塗工量4.0g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が1000秒になるように処理し、感熱記録体を得た。
【0036】
[比較例1]
アンダー層塗工液1に替え、下記のアンダー層塗工液2を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
<アンダー層塗工液2>
焼成カオリン(エンゲルハード社製:アンシレックス90) 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス
(旭化成社製:F1755、固形分50%) 24部
水 176部
【0037】
[比較例2]
アンダー層塗工液1に替え、下記のアンダー層塗工液3を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
<アンダー層塗工液3>
焼成カオリン(エンゲルハード社製:アンシレックス90) 100部
ヒドロキシエーテル化澱粉(固形分30%) 40部
水 160部
【0038】
[比較例3]
アンダー層塗工液1に替え、下記のアンダー層塗工液4を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
<アンダー層塗工液4>
焼成カオリン(エンゲルハード社製:アンシレックス90) 100部
部分ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(日本合成社製:GL05、
固形分10%) 120部
水 80部
【0039】
上記の実施例及び比較例で得られた感熱記録体について次のような評価試験を行った。
<印字濃度>
作製した感熱記録体について、印字試験機(大倉電機社製:TH−PMD、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.35mJ/dotでベタ印字した。印字部の濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、印字濃度を評価した。
【0040】
<印字画質>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.25mJ/dotでベタ印字した。印字部の画質を目視にて下記の基準で評価した。
○:印字部が均一に発色しており、白ヌケ(未発色部)が見られない。
△:印字部に白ヌケ(未発色部)が生じている。
×:印字部に著しく白ヌケ(未発色部)が生じている。
【0041】
<印刷適性>
作製した感熱記録体について、プリューフバウ印刷機を用いて感熱記録層上に下記条件にてベタ印刷を行った。
・印刷速度:100m/minもしくは200m/min
・印刷インキ:東洋インキ社製、ハイユニティーMZ藍
・インキ盛り量:0.25ml
・湿し水:0.015ml
・印刷ユニット圧:50kgf
・湿し水ユニット圧:20kgf
ベタ印刷部の剥け(インキのタック(粘着性)によりアンダー層もしくは感熱記録層が引き剥がされること)を目視で観察し、印刷適性を下記の基準で評価した。
○:剥けが見られない。
△:剥けが見られる。
×:剥けが著しい。
【0042】
<再印字性>
作製した感熱記録体について、23℃、50%RHの環境下で24時間処理したサンプル(A)、および50℃、90%RHの環境下で24時間処理したサンプル(B)の2種類を作製した。サンプル(A)及びサンプル(B)に、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.35mJ/dotでベタ印字した。印字部の濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、再印字性を下記の基準で評価した。
再印字性(%)=(サンプル(B)の濃度/サンプル(A)の濃度)×100
○:再印字性(%)が80以上
△:再印字性(%)が70以上80未満
×:再印字性(%)が70%未満
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、アンダー層、および該アンダー層上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該アンダー層がアルデヒド化澱粉を含有することを特徴とする感熱記録体。