説明

感熱記録材料の製造方法

【課題】塗工欠陥がなく、記録濃度、印字画質に優れた感熱記録材料を提供することにある。
【解決手段】支持体上に、吸油量(JIS K 5101)40〜120ml/100gの吸油性顔料を含有する下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含有する感熱記録層を順次有する感熱記録材料の製造方法において、下塗り層用塗液と感熱記録層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成する感熱記録材料の製造方法であって、前記下塗り層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が50〜200mPa・sであり、且つ、前記感熱記録層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が下塗り層用塗液の塗布時の粘度より250〜600mPa・s高いことを特徴とする感熱記録材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感熱記録材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無色乃至は淡色のロイコ染料と有機または無機の顕色剤との呈色反応を利用し、熱により両発色物質を接触せしめて発色像を得るようにした感熱記録材料はよく知られている。かかる感熱記録材料は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで且つその保守も比較的容易であるため、ファクシミリや各種プリンタ等の記録媒体としてのみならず、幅広い分野において使用されている。
【0003】
紙やフィルム等の基材に塗液を塗布する方法として、エアナイフ塗布法、ブレード塗布法、ロッド塗布法、ロール塗布法、バー塗布法等の接触型の塗布方法が用いられているが、このような方法で作製された感熱記録材料は、塗布品質が悪いこと、上層の塗液の下層への浸み込み、上層塗布時のハジキ等に起因する上層のピンホール、長時間の連続塗布における品質のバラツキ等の問題が生じるほか、ストリーク等の塗布欠陥が生じ易いこと、高速塗布に限界があること、多数回塗布から生じる生産性の低下等の問題がある。
【0004】
これらの塗布方法に対して、カーテン塗布方法は、塗液の自由落下カーテンを形成し、これを支持体に衝突せしめて塗布する非接触型の塗布方法であり、塗布品質が良好で、高速塗布に適性を有することが知られている(特許文献1参照)。また、複数層の塗液膜からなる塗料膜を形成してカーテン塗布することも可能であり、多層塗布の生産性を大幅に向上することができる。このカーテン塗布方法は、基材上にスリット状のコーターリップから塗液を膜状に垂らして塗布するもので、塗液の成膜性や基材への濡れ性を改善して塗布ムラや塗布欠点を防止するために、静的表面張力、動的表面張力、粘度等に対して細かな調整が必要である(特許文献2参照)。係る観点から塗布自体の均一安定性は極めて重要であり、それによって得られる感熱記録材料の性能や生産効率が大きく左右される。
【0005】
カーテン塗布法による同時多層塗布では上述のように複数の層を同時に塗布できるため、生産性を大幅に向上できる利点があり、感熱記録紙の製造方法においても従来より検討されている。
【0006】
カーテン塗布において、原紙の凹凸をキャンセルするため、カーテン塗布の前に、予め何らかの塗布層をブレードコーター等で塗布したり、カレンダー処理して平滑性を高めた原紙の上に塗布層をカーテン塗布したりする場合がある。前者の例として、プラスチック中空粒子を含むアンダーコート層をブレードで塗工し、前記アンダー層上に感熱発色層を含む2層以上をカーテン塗工法により同時塗布する方法が開示されている。(特許文献3)。この方法では、画質向上効果はあるものの、コストアップや画質以外の品質低下に繋がるといった欠点があった。一方、後者の方法では原紙の平滑性は高まるものの、加圧により原紙が圧縮されて密度が上昇し嵩高性(クッション性)が損なわれるため、感熱記録の際のサーマルヘッドとの密着が悪くなり、結果として記録濃度や印字画質の低下が発生する。
【0007】
下塗り層用塗液をカーテン塗布する方法として、支持体上に吸油量が75ml/100g以上の顔料を含有する下塗り層と、発色成分をバインダー中に分散させて混合した感熱記録層を同時多層カーテン塗布により製造する方法(特許文献4)、支持体上に第1下塗り層を塗工し、乾燥させない湿潤状態で第2下塗り層をカーテン塗布する方法(特許文献5)、第1下塗り層を塗工し、一旦乾燥させた状態で第2下塗り層をカーテン塗布する方法(特許文献6)等が開示されている。また、クッション性の高い嵩高原紙の上に下塗り層を含む塗布液をカーテン塗布する方法(特許文献7)が開示されている。
【0008】
また、感熱記録材料を構成する層の一部または全部が、複数層の塗液膜から成る塗料膜をカーテン塗布して形成されたものであり、塗液の粘度や表面張力を特定した方法(特許文献8を参照)、感熱記録材料を構成する層の一部または全部が、複数層の塗液膜から成る塗料膜をカーテン塗布して形成されたものであり、塗布後2分以内に塗料膜を乾燥させる方法(特許文献9を参照)、感熱記録材料を構成する層の一部または全部が、複数層の塗液膜から成る塗料膜をカーテン塗布して形成し、上層となる層の塗液の密度が、隣接する下層となる層に対して140%以下である方法(特許文献10を参照)、感熱記録材料を構成する層の一部または全部が、複数層の塗液膜から成る塗料膜をカーテン塗布して形成し、さらに支持体と水平面とがなす角度が45度以下の状態で塗料膜を乾燥させる方法(特許文献11を参照)が開示されている。
【0009】
しかし、これら従来開示されている技術では、下塗り層をブレード塗布法等により平滑に塗布する場合に比べ、依然として記録濃度、印字画質といった印字品質に対して、更なる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公昭49−24133公報
【特許文献2】特開昭57−39985号公報
【特許文献3】特開2010−94981号公報
【特許文献4】特公平4−8238号公報
【特許文献5】特開2006−175636号公報
【特許文献6】特許第3739947号公報
【特許文献7】特開2005−220480号公報
【特許文献8】特開2001−18526号公報
【特許文献9】特開2001−113226号公報
【特許文献10】特開2001−138631号公報
【特許文献11】特開2001−138632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、塗工欠陥がなく、記録濃度、印字画質に優れた感熱記録材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上記課題を種々検討した結果、支持体上に、吸油量(JIS K 5101)40〜120ml/100gの吸油性顔料を含有する下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含有する感熱記録層を順次有する感熱記録材料の製造方法において、下塗り層用塗液と感熱記録層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成する感熱記録材料の製造方法であって、前記下塗り層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が50〜200mPa・sであり、且つ、前記感熱記録層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度を下塗り層用塗液の塗布時の粘度より250〜600mPa・s高くすることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、以下の感熱記録材料を提供するものである。
【0014】
項1:支持体上に、吸油量(JIS K 5101)40〜120ml/100gの吸油性顔料を含有する下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含有する感熱記録層を順次有する感熱記録材料の製造方法において、下塗り層用塗液と感熱記録層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成する感熱記録材料の製造方法であって、前記下塗り層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が50〜200mPa・sであり、且つ、前記感熱記録層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が下塗り層用塗液の塗布時の粘度より250〜600mPa・s高いことを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
項2:前記支持体の、マイクロトポグラフで測定した0.98MPaの加圧下における表面粗さRp値が10〜20μmである、項1に記載の感熱記録材料の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塗工欠陥がなく、記録濃度、印字画質に優れた感熱記録材料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の感熱記録材料の製造方法について詳細に説明する。本発明では、支持体上に、吸油量(JIS K 5101)40〜120ml/100gの吸油性顔料を含有する下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含有する感熱記録層を順次有する感熱記録材料の製造方法において、下塗り層用塗液と感熱記録層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成する感熱記録材料の製造方法であって、前記下塗り層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が50〜200mPa・sであり、且つ、前記感熱記録層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度を下塗り層用塗液の塗布時の粘度より250〜600mPa・s高くすることを特徴とする感熱記録材料の製造方法である。
【0017】
ここで塗液の粘度は、塗布時の塗布液の温度におけるB型粘度計による60rpmでの測定値である。
【0018】
(支持体)
本発明に用いられる原紙としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGWRMP、TMP、CTMP、CGP等の機械パルプ及び古紙パルプ等の各種パルプを含み、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン等の各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤等の各種配合剤を好適に配合して抄造され、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも抄造できる。
【0019】
本発明に用いられる原紙としては、ノーサイズプレス原紙、或いは澱粉、ポリビニルアルコール等でサイズプレスされた原紙等を挙げることができる。また、本発明における原紙の抄紙方法における抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機等、製紙業界で公知の抄紙機が適宜使用できる。
【0020】
本発明における効果は、従来カーテン塗工等の輪郭塗工によって製造する感熱記録紙の支持体には向いていないとされた、表面の粗い支持体において特に顕著である。具体的には、マイクロトポグラフによって0.98MPaの加圧下で測定した表面粗さRp値が10μm以上の表面の粗い支持体について効果は発揮され、さらに14μm以上のより表面の粗い支持体について、効果が著しく発揮される。また、効果の発揮される表面粗さの上限値については、20μm程度である。
【0021】
ここで表面粗さRp値はマイクロトポグラフによって0.98MPaの加圧下で0.5μm、0.9μm、1.3μm、1.7μmの4波長の接触率から測定した加圧後100msecの値である。
【0022】
(下塗り層)
本発明では、支持体と感熱記録層との間に同時多層カーテン塗布法により下塗り層が形成される。
【0023】
下塗り層に含有される顔料としては、吸油量(JIS K 5101)40〜120ml/100gの吸油性顔料が使用されるが、かかる吸油性顔料の具体例としては、酸化アルミニウム、焼成珪藻土、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、タルク等が挙げられる。これらの吸油性顔料の中でも、70ml/100g以上の吸油量を有する焼成カオリンが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の無機顔料や、密実のプラスチック粒子、プラスチック中空粒子等の有機顔料も使用できる。下塗り層に含有される顔料の合計量は、下塗り層全固形分に対して40〜90質量%であることが好ましい。
【0024】
また、本発明において、下塗り層用塗液は、下塗り層の塗布膜を構成する塗液の粘度が50〜200mPa・sであることが好ましく、50〜180mPa・sであることがより好ましい。50mPa・s未満では、カーテン膜が不安定となり塗工欠陥が生じる。また、200mPa・sを超えると、支持体の被覆性が不均一となり、目標とする印字画質が得られない。
【0025】
下塗り層の接着剤としては、ポリビニルアルコール及び澱粉から選ばれる少なくとも1種の接着剤が使用される、接着強度及びカーテン膜安定性の点からポリビニルアルコールを使用することがより好ましい。ポリビニルアルコールとしては、未変性及び変性、完全鹸化及び部分鹸化、いずれも使用可能である。例えば、変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。なかでも、重合度が500〜2500で、鹸化度が95モル%以上の完全鹸化ポリビニルアルコールが好ましく、重合度としては、800〜2500が更に好ましい。
【0026】
本発明では、下塗り層において、ポリビニルアルコール及び澱粉から選ばれる少なくとも1種の接着剤の含有量としては、前記下塗り層の全固形分に対して5〜15質量%含有させることが好ましく、更に好ましくは5〜13質量%である。ポリビニルアルコール及び澱粉から選ばれる少なくとも1種の接着剤の含有量が5〜15質量%の範囲であれば、カーテン膜が不安定となって塗工欠陥が発生したり、下塗り層用塗液が原紙の凹凸を完全に被覆できず白抜けとなって画質が悪化したり、塗膜強度が低く印刷適性が劣ったり、断熱性が損なわれて記録濃度、印字画質が低下するといった問題は生じない。
【0027】
下塗り層用塗液中には、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、他の接着剤を使用してもよい。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子や、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョンが挙げられるが、記録濃度、印字画質の向上のためには、例えば、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ラテックス、アクリル酸メチル・ブタジエン共重合ラテックス等の合成ゴムラテックスを含有することが好ましい。
【0028】
本発明での下塗り層はカーテン塗布法によって形成されるため、表面張力を調整してカーテン膜を安定化するため、また原紙への濡れ性を調整するためにも下塗り層用塗液には界面活性剤が添加されることが好ましい。また、塗工時の温度における塗液の表面張力の範囲としては、白金プレート法で測定した静的表面張力が22〜35mN/mに調整されることが好ましく、更に好ましくは25〜32mN/mである。静的表面張力が22mN/m未満であると、泡による欠陥が生じ易くなり、一方、35mN/mを超えるとカーテン膜安定性が悪くなると共に、塗料の濡れ性が低いため原紙の凹凸を拾い易くなり印字画質が悪化する。
【0029】
添加される界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等が挙げられるが、カーテン膜安定性の点から、特に好ましくは、下記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。更に、塩としては、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩が好ましく、また、アルキル基としては、炭素数2〜20が好ましく、更に炭素数4〜10が特に好ましい。具体的にはイソブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基が好ましい。また、界面活性剤の添加量としては、下塗り層用塗液の全固形分に対して0.01〜2.0質量%程度であることが好ましい。0.01質量%未満では、添加の効果が少なく表面張力が十分に低くならずカーテン膜切れし易くなると共に、塗料の濡れ性が低いため原紙の凹凸がそのまま塗工面に反映されてしまい印字画質が悪くなる。2質量%を超えると下塗り層用塗液が泡立ち易くなり塗工欠陥の原因となる。効果と塗料物性等のバランスから、界面活性剤の更に好ましい添加量としては0.02〜1.0質量%程度である。
【0030】
【化1】

(式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す)
【0031】
また、下塗り層用塗液中には、更に必要に応じて、消泡剤、増粘剤、ワックス等を添加してもよい。消泡剤の種類別の特徴としては、一般的にオイルタイプが破泡性、活性剤タイプが抑泡性、エマルジョンタイプが脱気性に優れており、本発明では、エマルジョンタイプを使用することが好ましい。
【0032】
エマルジョン型消泡剤としては、高級アルコールをエマルジョン化したもの、グリセリンエステル、ステアリル酸イソアミル、コハク酸ジエステル、ソルビタンラウリル酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ジエチレングリコールジスレアリート、低分子量ポリエチレングリコールオレイン酸エステル等の脂肪酸エステルをエマルジョン化したもの及びアルキルコハク酸無水物をエマルジョン化したもの等が挙げられる。エマルジョン型消泡剤の市販品としては、SNデフォーマー569、SNデフォーマー573、SNデフォーマー585、SNデフォーマー590及びノプコ1407−K(以上サンノプコ社製)等が挙げられる。
【0033】
なかでも、脂肪酸エステルをエマルジョン化したものが好ましく用いられる。
【0034】
前記脱気作用を有する消泡剤は、下塗り層用塗液の全固形分に対して0.001〜1質量%添加され、更に好ましくは0.005〜0.5質量%である。0.001〜1質量%の範囲であれば、消泡効果に優れ、結果として泡欠陥が発生し難い。また、自由落下して薄膜化したカーテンが膜割れを起こし易くなって引き起こされる塗工欠陥が発生し難い。
【0035】
本発明では、下塗り層用塗液の塗布はカーテンコーターを用いた塗布法により感熱記録層用塗液と同時塗布される。下塗り層用塗液の塗布量としては、特に制限はないが、感熱記録体の特性に応じて、乾燥重量で2g/m以上が好ましく、3g/m以上がより好ましく、4〜10g/mが特に好ましい。また、2層以上の多層に分けることもできる。
【0036】
次に感熱記録層について、述べる。
【0037】
(感熱記録層)
また、本発明において、感熱記録層用塗液は、感熱記録層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度を下塗り層用塗液の塗布時の粘度より250〜600mPa・s高くすることを特徴とする。
【0038】
また、好ましくは300〜500mPa・sである。塗液の粘度差が250mPa・s未満では層間混合が起こり易く、目標とする印字画質が得られない。また、600mPa・sを超えるとカーテン膜に筋などの欠陥が発生し、塗工が困難となる。
【0039】
本発明では、感熱記録層の接着剤としてポリビニルアルコール及び澱粉から選ばれる少なくとも1種の接着剤が使用されることが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、未変性及び変性、完全鹸化及び部分鹸化、いずれも使用可能である。例えば、変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。なかでも、重合度が500〜3000であり、鹸化度が95モル%以上の完全鹸化ポリビニルアルコールが好ましく、重合度としては、1000〜2700が更に好ましい。
【0040】
本発明では、感熱記録層において、ポリビニルアルコール及び澱粉から選ばれる少なくとも1種の接着剤の含有量としては、前記感熱記録層の全固形分に対して5〜20質量%含有させることが好ましく、更に好ましくは5〜18質量%である。ポリビニルアルコール及び澱粉から選ばれる少なくとも1種の接着剤の含有量が5〜20質量%の範囲であれば、カーテン膜が不安定となって塗工欠陥が発生したり、塗膜強度が低く印刷適性が劣ったり、記録濃度、印字画質が低下するといった問題は生じない。
【0041】
感熱記録層用塗液中には、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、他の接着剤を使用してもよい。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子や、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョンが挙げられる。
【0042】
本発明で感熱記録層中に添加される顔料としては、各種公知の顔料が使用されるが、例えば、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、雲母等の無機顔料や密実プラスチック粒子、プラスチック中空粒子、生澱粉のような有機顔料が適宜使用することができ、単独または複数の組み合わせで用いられる。
【0043】
本発明の感熱記録層は、各種公知のロイコ染料、顕色剤を含有する。その他、必要に応じて、増感剤、各種助剤等を含有してもよい。
【0044】
例えば、黒色発色を与えるロイコ染料としては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン等の少なくとも1種を用いることができる。また、必要に応じて、ロイコ染料として、黒とは異なる色調に発色する、例えば赤、赤紫、オレンジ、青、緑等の発色色調を与えるロイコ染料を使用してもよい。
【0045】
本発明で使用されるロイコ染料はこれらに限定されるものではなく、2種以上を併用することもできる。かかるロイコ染料の使用量としては、感熱記録層の全固形分に対して3〜30質量%程度である。
【0046】
本発明において、前記ロイコ染料を固体微粒子状態として使用する場合、該ロイコ染料を、水を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライター、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によって粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体等の水溶性合成高分子化合物のほか、必要に応じて界面活性剤、消泡剤等と共に分散媒体中に分散させて分散液とし、この分散液を感熱記録層用塗液の調製に用いることができる。
【0047】
またロイコ染料を溶剤に溶解した後、この溶液を水中で上記水溶性高分子を安定化剤として乳化分散後、この乳化液から溶剤を蒸発させ染料前駆体を固体微粒子化して使用することもできる。いずれの場合も固体微粒子状態で使用するロイコ染料の分散粒子の平均粒子径は、適切な発色感度を得るために0.2〜3.0μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μm程度である。
【0048】
本発明においては、ロイコ染料の使用方法として、上記固体微粒子状態で使用する以外に、有機高分子とロイコ染料とからなる複合粒子としても使用することができる。複合粒子の作製については、公知の方法により可能である。例えば、前記有機高分子がポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種である複合粒子の作製方法について記載する。上記複合粒子は、ロイコ染料、並びに重合によりポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種を形成する高分子形成性原料を、100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤に溶解混合し、この有機溶剤溶液をポリビニルアルコール等の親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製されたもの、或いは前記ロイコ染料を高分子形成性原料に溶解し、この溶解液を前述の方法で平均粒子径が0.5〜3μm程度に乳化分散後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製される。
【0049】
本発明において、感熱記録層に使用される顕色剤としては、公知の化合物を使用することができる。かかる顕色剤の具体例としては、例えば、4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、及びビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル等のフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のフェノール性化合物、または安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等の多価金属との塩等の有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−ブトキシカルボニル)ウレア、N−p−トルエンスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。
【0050】
本発明において、感熱記録層中のロイコ染料と顕色剤の使用比率は、用いるロイコ染料と顕色剤の種類に応じて適宜選択すべきもので、特に限定するものではないが、一般にロイコ染料1質量部に対して1〜7質量部程度、好ましくは1〜6質量部程度の顕色剤が使用される。これらの物質を含む感熱記録層用塗液の調製は、一般に水を分散媒体とし、ボールミル、アトライター、サンドミル等の撹拌、粉砕機によりロイコ染料と顕色剤とを一緒に、または別々に分散する等して塗液として調製される。
【0051】
更に、目的に応じて増感剤を併用することもできる。増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、p−ベンジルビフェニル、トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が例示される。これらの増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に顕色剤1質量部に対して4質量部以下の範囲で調節するのが望ましい。
【0052】
また、所望の効果を損なわない限り、目的に応じて記録像の保存性を更に高めるために、保存性改良剤を併用することもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−(2,2−プロピリデン)ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(5−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−クロロ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ソーダ、更にジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
【0053】
本発明では、感熱記録層に含有する消泡剤も、下塗り層と同様に脱気作用を有する消泡剤が好ましい。
【0054】
感熱記録層用塗液中には、前記脱気作用を有する消泡剤が感熱記録層用塗液の全固形分に対して0.01〜2質量%添加され、更に好ましくは0.02〜1質量%である。0.01質量%未満では、消泡効果が十分ではないためカーテン膜切れはないものの泡を巻き込んで塗布されるため、泡欠陥が発生し易い。一方、2質量%を超えると、感熱記録層用塗液自体のカーテン膜安定性が悪化したりする他に、同時多層塗布される下塗り層用塗液へ消泡剤がマイグレーションを起こしてカーテン膜安定性が感熱記録層用塗液や保護層用塗液に比較して劣る下塗り層用塗液の膜安定性を容易に悪化させるため、感熱記録層用塗液中の消泡剤の添加量も適性化する必要があると考えられる。
【0055】
なお、感熱記録層用塗液に添加される消泡剤については、上記の脱気作用を有する消泡剤以外に、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、他の消泡剤を使用してもよい。
【0056】
本発明においては、より製品の付加価値を高めるため、多色感熱記録材料とすることもできる。一般に多色感熱記録体は、加熱温度の差、または熱エネルギーの差を利用する試みであり、一般に、支持体上に異なる色調に発色する高温発色層と低温発色層を順次積層して構成されたものであってこれらを大別すると消色型と加色型の2種類、マイクロカプセルを用いた方法及び有機高分子と染料前駆体からなる複合粒子を使用して多色感熱記録材料を製造する方法がある。
【0057】
本発明において、感熱記録層をカーテン塗布法によって形成される場合は、表面張力を調整してカーテン膜を安定化するために界面活性剤が添加されることが好ましい。塗工時の温度における塗液の表面張力の範囲としては、25℃における白金プレート法で測定した静的表面張力が22mN/m以上31mN/m以下に調整されることが好ましく、更に好ましくは25mN/m以上30mN/m以下である。静的表面張力が22mN/m未満であると、泡による欠陥が生じ易くなり、一方、31mN/mを超えるとカーテン膜安定性が悪化したり、ハジキが発生して未塗工部が生じたりする。添加される界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等が挙げられるが、カーテン膜安定性の点から、特に好ましくは、下記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。更に、塩としては、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩が好ましく、また、アルキル基としては、炭素数2〜20が好ましく、更に炭素数4〜10が特に好ましい。具体的にはイソブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基が好ましい。また、界面活性剤の添加量としては、感熱記録層用塗液の全固形分に対して0.05〜3.0質量%程度であることが好ましい。0.05質量%未満では、添加の効果が少なく表面張力が十分に低くならずカーテン膜切れし易くなる。3質量%を超えると塗液が泡立ち易くなり塗工欠陥の原因となる。効果と塗料物性等のバランスから、界面活性剤の更に好ましい添加量としては0.10〜3.0質量%程度である。
【0058】
【化2】

(式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す)
【0059】
また、感熱記録層中には必要に応じて各種の助剤を添加することができる。例えば、ワックス類、金属石鹸、蛍光染料、着色染料、架橋剤、粘度調整剤等が適宜添加される。
【0060】
下塗り層用塗液及び感熱記録層用塗液の塗布において用いられるカーテン塗布法とは、塗液を流下して自由落下させ支持体に非接触で塗布する方法であり、スライドカーテン法、カップルカーテン法、ツインカーテン法等の公知のものを採用することができ、特に制限されるものではない。また、特開2006−247611号公報に記載のように、カーテンヘッドから塗料を下向きに噴出させて斜面上で塗料層を形成させ、斜面の終端部の下向きのカーテンガイド部から塗料カーテンを形成してウエブ面上に該塗料層を移行させることもできる。感熱記録層用塗液の塗布量は特に制限はなく、乾燥重量で1〜12g/m程度、特に2〜10g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、下塗り層及び感熱記録層は必要に応じて2層以上に分けることができ、各層の組成、塗工量を変えることもできる。なお、塗料濃度、塗布速度、カーテン膜幅、落下角度等の諸条件は、各々のカーテン塗布法及び塗布装置に合わせ、適宜調整して行うことが望ましい。これらのカーテン塗布法は、非接触方式の輪郭塗工であるため、均一な厚さの塗工層が得られる。一方、ブレード、バー、エアナイフ塗工等の接触方式の塗工では、支持体の表面性(凹凸)の影響を受けるため、膜厚が不均一となる。このため、同一塗工量では、カーテン塗布で形成された感熱記録層の方が良好な画質を得ることができる上、画像の保存性も向上する。なお、各塗液は必要に応じて各種公知の方法で塗布前に脱泡処理することができる。
【0061】
本発明において、感熱記録層上に、必要に応じて少なくとも1層以上の保護層を設けてもよい。保護層は、従来から公知の感熱記録体に使用されている保護層が利用できる。保護層は、顔料と接着剤を主体として構成される。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を添加することが好ましく、紫外線吸収剤を含むこともできる。また光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
【0062】
本発明では、水溶性接着剤として重合度1000〜3000のポリビニルアルコールを、保護層の全固形分に対して15〜50質量%含有することにより本発明の効果をより一層高めることができる。重合度1000〜3000のポリビニルアルコールとしては、例えば、完全鹸化または部分鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及び珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0063】
なかでも、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性のポリビニルアルコールは保護層表面のバリア性を向上させ、耐薬品性等の保存性を向上させることができ、好ましく用いられる。
【0064】
水溶性接着剤の含有量は、総計で、保護層の全固形分に対して10〜80質量%程度が好ましく、特に20〜75質量%程度がより好ましい。
【0065】
10質量%未満ではバリア性が十分ではないばかりでなく、表面強度が低下し、紙粉の悪化等につながる。一方、80質量%を超えるとスティッキングが悪化する恐れがある。
【0066】
水溶性接着剤以外の接着剤として、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、スチレン・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル系共重合体等のラテックス等の併用が可能である。
【0067】
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。
【0068】
なかでも、カオリン、水酸化アルミニウムは可塑剤や油等の薬品に対するバリア性の低下が少なく、しかも記録濃度の低下も小さいため、好ましい。
【0069】
顔料の使用量は、保護層の全固形分に対して5〜80質量%程度であり、特に10〜70質量%程度の範囲が好ましい。
【0070】
5質量%未満では、サーマルヘッドとの滑りが悪くなり、スティッキングを起こしたり、ヘッド粕の悪化を招く。一方、80質量%を超えると、バリア性が悪くなり、保護層としての機能が大幅に低下する。
【0071】
助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、アセチレングリコール系、フッ素系、シリコン系、リン酸エステル系、エーテル型等の界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等の界面活性剤、グリオキザール、硼酸、ジアルデヒド澱粉、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤(架橋剤)、疎水性ポリカルボン酸共重合物、紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等が挙げられる。助剤の使用量は、広い範囲から適宜設定することができる。
【0072】
本発明において、保護層は、下塗り層及び感熱記録層と共に同時多層カーテン塗布することで、カーテン流量を多くしてカーテン膜を安定させて塗工欠陥の発生を抑制させたり、また、保護層のバリア性や生産効率を高め、製造時の消費エネルギーをより低減させることができる点で好ましい。カーテン塗布に用いる塗布装置としては、特に限定されないが、前述のエクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置、或いは前述の特開2006−247611号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0073】
保護層用塗液の塗布量は特に制限はなく、乾燥重量で0.3〜10g/m程度、特に0.5〜8g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、保護層は必要に応じて2層以上に分けることができ、各層の組成、塗工量を変えることもできる。
【0074】
塗液の塗布後は乾燥され、その後は、好ましくはカレンダー処理により平滑化処理され使用に供される。
【0075】
本発明においては、感熱記録材料の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録材料とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等の塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することができる。或いは磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録体とすることもできる。特に、粘着加工、及び磁気加工を施したものは感熱ラベルや、感熱磁気乗車券等の用途に有用である。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録材料とすることもできる。勿論、両面感熱記録材料とすることもできる。
【実施例】
【0076】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
【0077】
実施例1
パルプ紙料は以下のような配合で調製した。ここでの質量部は、全パルプ固形分100質量部に対する各材料の固形分質量比率である。得られた支持体の密度は550kg/mであった。
<パルプ配合>
LBKP(濾水度440mlcsf) 100質量部
<内添薬品>
タルク(原紙中灰分で表示) 9質量部
市販カチオン化澱粉 1質量部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.03質量部
【0078】
(支持体の作製)
得られたパルプ紙料を、長網抄紙機により坪量50g/mの原紙を作製した。なお、長網抄紙機の乾燥ゾーンの中間で原紙にサイズプレスで片面当り0.30g/mの市販酸化澱粉を付着し乾燥した。
抄紙工程の最後で、感熱記録層を形成する側の表面に金属ロールと弾性ロールのソフトニップカレンダーによりカレンダー処理して支持体を作製した。また加圧条件は線圧100kN/m、なお、カレンダー加圧条件は、カレンダー処理される原紙の単位幅(1m)あたりに加えられる加重(kN)としてkN/mの単位で記載する。上記の方法で得られた支持体のマイクロトポグラフで測定した0.98MPaの表面粗さRp値は15.0μmであった。
【0079】
(下塗り層用塗液の調製)
吸油量110ml/100gの焼成カオリン75部、軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアント−15、白石化学工業社製)10部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:PT−1004A、固形分濃度43%、日本ゼオン社製)8部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA124、重合度2400、鹸化度98.5%、クラレ社製)の15%水溶液60部、グリセリンエステル系エマルジョン型消泡剤(商品名:ノプコ1407K、サンノプコ社製)5%水分散液0.2部、更にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の10%水溶液2部、及び水170部を均一に混合攪拌して、100mPa・sの下塗り層用塗液を得た。また、白金プレート法で測定された下塗り層用塗液の静的表面張力は30.0mN/mであった。
【0080】
(ロイコ染料/増感剤分散液(A液)調製)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン25部、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液25部、及び水30部からなる組成物を、サンドミルによりレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.9μmになるまで粉砕してロイコ染料/増感剤分散液(A液)を得た。
【0081】
(顕色剤分散液(B液)調製)
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン45部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液25部、及び水30部からなる組成物を、サンドミルによりレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.5μmになるまで粉砕して顕色剤分散液(B液)を得た。
【0082】
(感熱記録層用塗液の調製)
A液60部、B液70部、軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアント15、白石化学工業社製)の60%水分散液10部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH42、昭和電工社製)の60%水分散液15部、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2200、奥多摩工業社製)の60%水分散液10部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−124、重合度2400、鹸化度98.5mol%、クラレ社製)の15%水溶液60部、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液30部、グリセリンエステル系エマルジョン型消泡剤(商品名:ノプコ1407K、サンノプコ社製)5%水分散液5部、更にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の10%水溶液10部、及び水90部を順次添加、混合攪拌して粘度500mPa・sの感熱記録層用塗液を得た。また、白金プレート法で測定された感熱記録層用塗液の静的表面張力は29.0mN/mであった。
【0083】
(感熱記録材料の作製)
坪量50g/m2の上質紙の片面に、下塗り層用塗液及び感熱記録層用塗液を、スライドホッパー型カーテン塗布装置を用いて、下層側から下塗り層用塗液及び感熱記録層用塗液の順で構成される塗料膜を形成し、各層の固形分塗布量が下塗り層6.0g/m、感熱記録層3.0g/mとなるように、塗工速度600m/分にて同時多層カーテン塗布乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い、感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は100mPa・s、500mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ30.0mN/m、29.0mN/mであった。
【0084】
実施例2
実施例1の支持体の作製において、カレンダー加圧条件を100kN/mから80kN/mに変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、上記の方法で得られた支持体のマイクロトポグラフで測定した0.98MPaの加圧下における表面粗さRp値は18.5μmであった。
【0085】
実施例3
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、水90部を115部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は100mPa・s、370mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ30.0mN/m、29.5mN/mであった。
【0086】
実施例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、水170部を150部に変更し、塗液の粘度を200mPa・sとした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は200mPa・s、500mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ29.7mN/m、29.0mN/mであった。
【0087】
実施例5
(保護層用塗液の調製)
カオリン(1級カオリン、商品名:UW−90、エンゲルハード社製)の50%水分散液50部に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ―410、重合度2400、日本合成化学社製)の10%水溶液600部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ−8−36、固形分濃度36%、中京油脂社製)25部、更にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の5%水溶液20部を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
【0088】
(感熱記録材料の作製)
実施例1で作製した坪量50g/m2の上質紙の片面に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液及び上記保護層用塗液を、スライドホッパー型カーテン塗布装置を用いて、下層側から下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液の順で構成される塗料膜を形成し、各層の固形分塗布量が下塗り層6.0g/m、感熱記録層3.0g/m、保護層2.5g/mとなるように、塗工速度600m/分にて同時多層カーテン塗布乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い、感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液、保護層用塗液の粘度は100mPa・s、500mPa・s、400mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ30.0mN/m、29.0mN/m、30mN/mであった。
【0089】
比較例1
実施例1において、下塗り層用塗液の水170部を140部に変更して、塗液の粘度を250mPa・sとし、感熱記録層用塗液の水90部を80部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は250mPa・s、600mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ29.0mN/m、28.6mN/mであった。
【0090】
比較例2
実施例1において、感熱記録層用塗液の水90部を125部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は100mPa・s、300mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ30.0mN/m、29.7mN/mであった。
【0091】
比較例3
実施例1において、下塗り層用塗液の吸油量110ml/100gの焼成カオリン75部を軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアント−15、白石化学工業社製)75部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は80mPa・s、500mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ30.0mN/m、29.0mN/mであった。
【0092】
比較例4
実施例1において、感熱記録層用塗液の水90部を70部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は100mPa・s、750mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ30.0mN/m、28.3mN/mであった。
【0093】
比較例5
実施例1において、下塗り層用塗液の水170部を200部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。なお、塗布時の下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液の粘度は45mPa・s、500mPa・sであり、静的表面張力はそれぞれ31.0mN/m、29.0mN/mであった。
【0094】
得られた感熱記録材料について、以下の評価試験を行い、その結果を表1に記載した。
【0095】
(記録濃度)
感熱記録用シミュレーター(TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー0.15mJ/dotにて記録し、ベタ記録部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。記録部については、実用上、0.7以上であることが必要とされる。
【0096】
(印字画質)
上記のベタ記録部の印字画質を目視評価した。
〇:抜けがなく画質が極めて優れている。
△:抜けが見られるが画質は良好であり実用レベル。
×:抜けが著しく多く見られ、画質は悪く実用上問題である。
【0097】
(塗工層層間混合)
得られた感熱記録材料をウルトラミクロトームにて切り出し、電子顕微鏡にて断面を観察した。また、その断面についてエネルギー分散型X線分光法で元素分析を行い、ケイ素の分布状態を観察した。なお、ケイ素は、下塗り層用塗液の焼成カオリンに由来するものである。
〇:ケイ素が均一に分布しており、塗工層間の境界も明確で層間混合が見られない。
△:ケイ素分布はやや不均一で層間混合が若干見られるが、塗工層間の境界は目視で確認出来る。
×:ケイ素分布が不均一で、塗工層間の境界が明確でない。
【0098】
(塗工欠陥)
実際のカーテン膜の状態および塗工後の塗工面の状態について目視で観察した。
○:カーテン膜も安定しており、塗工後の欠陥もみられない。
×:カーテン膜の膜切れや筋が発生し、塗工が困難。
【0099】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、吸油量(JIS K 5101)40〜120ml/100gの吸油性顔料を含有する下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含有する感熱記録層を順次有する感熱記録材料の製造方法において、下塗り層用塗液と感熱記録層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成する感熱記録材料の製造方法であって、前記下塗り層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が50〜200mPa・sであり、且つ、前記感熱記録層の塗布膜を構成する塗液の塗布時の粘度が下塗り層用塗液の塗布時の粘度より250〜600mPa・s高いことを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
【請求項2】
前記支持体の、マイクロトポグラフで測定した0.98MPaの加圧下における表面粗さRp値が10〜20μmである、請求項1に記載の感熱記録材料の製造方法。