説明

慣性力を利用した分級装置

【課題】慣性力を利用した分級装置において、粉砕された種々の粒径の粒子群から成る粉体を超微粉や微粉、そして粗粉へと効率良く分級可能な装置を提供するものであり、また、粉砕により均一な超微粉を製造する際に、粗大粉を容易に除去することのできる分級装置を提供するものである。
【解決手段】粉体の供給ノズルは外筒と内筒間から形成される断面リング状の円筒形状を有しており、同様に二次エアー供給ノズル、分級ノズル、並びに超微粉、微粉の回収口は前記内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置されていること、並びに、断面中空リング形状の粉体供給管の入口には整流リングが設けられており、該整流リングはリング環状に沿って穿たれた開口部を有する整流ノズルになっている分級装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の慣性力を利用した微粉体の分級装置に関するものであり、特に本発明は、粉砕された種々の粒径の粒子群から成る粉体を超微粉や微粉、そして粗粉へと効率良く分級可能な装置を提供するものであり、また、粉砕により均一な超微粉を製造する際に分級材料を均一に分散させることを可能にした構成を開発して、粗大粉を容易に除去することのできる分級装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
電池材料、例えばリチウム、ニッケルなどの金属化合物、そしてトナーなど各種電子部品材料、食品分野における添加物などは、その使用目的から、均一な微粉材料としての供給が求められている。粉砕などにより、粒子径で5ミクロン以下の粉体に効率良く製造して供給するというニーズは、上述した各種の分野で非常に高まってきているが、このような粉体を製造する場合においては、微量ではあるが粗大粒の混入は免れず、該粗大粒を簡単に除去する分級装置があれば供給される微粉材料は優れた原材料の粉体となり、当該粉体を用いた使用製品の品質や性能向上が大いに図れるものである。
【0003】
また、近未来的には、本発明の分級装置を用いて、粒径分布のブロードな微粉末を1ミクロン程度で分級することにより、1ミクロン以下のナノ材料も得ることができ、粒子径が細かくなれば、従来とは異なる機能を有する各種の分野における新しい素材や材料の発見ができる可能性も充分にある。
【0004】
斯くして、本発明に係る慣性力を利用した分級装機の原理は、特開昭63−101858号公報(以下、特許文献1と称する)、並びに特公平03―044827号公報(以下、特許文献2と称する)の発明を説明する従来例として開示されているものが知られており、前記、特許文献1、並びに特許文献2において開示された従来の分級装置の断面図を図6に示している。
【0005】
図6において、コアンダブロック50の先端に曲面51を形成し、該コアンダブロック50上に設けた粉体供給ノズル52から前記曲面51の接線方向に向けて粉体材料を含む気流を噴射し、その気流のコアンダ効果による湾曲気流の形成と、気流中に含まれる粉粒体の慣性力によって粉体材料を超微粉53、微粉54、細粉55、及び粗粉56とに分級し、超微粉53を第1通路57から回収し、微粉54を第2通路58から回収している。また、前記細粉55は第3通路59から回収され、更に粗粉56を粗粉回収口60から回収する装置である。
【0006】
そして、従来の分級装置おいては、極めて高速の気流を必要とし、静圧の高い吸引ブロワーが要求されると共に、前記粉体供給ノズル52からの噴射気流に対して交差方向に流れる二次エアー61を必要とし、その二次エアー流入用の通路62を設ける必要があり、装置の構成が複雑になりがちである。従って、従来の分級装置においては、当該分級領域部分を特許文献1の第3図の如く水平方向に広がるスリット状断面となし、装置を平型形状に構成しており、また、この形状は、特許文献2の第4図や特許請求の範囲1の記載においても明らかなように特許文献2の発明においても同様の平型形状を採用している。
【0007】
斯くして、平型形状の従来装置において、平型形状の分級領域部分と超微粉53、微粉54、細粉55を吸引ブロワーで吸引するための装置内の接続部等は、その断面形状の異なる部品同士の組み合わせ、例えば、平型形状に円型パイプの接続など、該接続部分で分級された粉体材料が残留しがちで決して分級効率の良い分級装置ではなかった。
【0008】
また、特許文献1、並びに特許文献2に開示された従来の分級装置では、粉体供給ノズル52から噴射される気流に対して二次エアー61を衝突させる分級であるために、二次エアー61が高速に加速されていないと粉体材料を効果的に分散させることができず、分級精度が悪いという問題がある。
【0009】
そして、特許文献1、並びに特許文献2の発明は、慣性力を利用した分級装置を平型形状化して、装置のシンプル化と、分級効率や分級精度の向上を目的になされた発明ではあるが、より細かい精密分級精度が求められ、その分級効率や処理能力の向上が要求されてきている分級装置として、最近のニーズには対応できない残念な部分があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭63−101858号
【特許文献2】特公平03−044827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しょうとする課題は、分級装機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、粉砕された種々の粒径の粒子群から成る粉体は一次エアーにて分級領域に導入され超微粉や微粉、そして粗粉へと精度良く分級可能な装置を提供するものであり、また、粉砕により均一な超微粉を製造する際に、本発明は効率良く粗大粉を容易に除去することのできる分級装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルは外筒と内筒間から形成される断面リング状の円筒形状を有しており、同様に二次エアー供給ノズル、分級ノズル、並びに超微粉、微粉の回収口は前記内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置されている慣性力を利用した分級装置であり、分級装置の分級領域を外筒と内筒からなる左右対称の円筒形状で構成して、分級効率の向上と精度の良い分級を可能にした。
【0013】
また、本発明は、分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルに連通する外筒と内筒間から形成される断面中空リング形状の粉体供給管の入口には整流リングが設けられており、該整流リングの形状は、リング環状に沿って穿たれた開口を有する円筒形状のノズルが設けられたもので、この構成は、エゼクターを介して投入された分級材料がトップカバーケーシング内から整流ノズルを介して均一で整流された流れとなり、分級領域内で精度良く分級されることを可能にした。
【0014】
更に、本発明の分級装置においては、他の応用例として、前記粉体の供給ノズルに連通する外筒と内筒間から形成される整流リングの形状をリング環状に沿って穿たれた円錐形状ノズルと成したもので、この構成は、エゼクターを介して投入された分級材料がトップカバーケーシング内で残留することなく、整流ノズルを介して均一で整流された流れとなり、分級領域内で精度良く、そして効率良く分級されることを可能にした。
【0015】
斯くして、本発明の分級装置においては、分級効率の向上と分級精度を高めるために分級機の分級領域内に分級材料を供給する開口された開口部を有する粉体供給ノズルを設け、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ前記粉体の供給ノズルの形状は分級領域に向かって徐々に内筒間との間隙が狭くなる形状を有しており、この構成は、分級材料の均一化をより促進させ、且つ、分級材料の流れを加速して分級領域に分級材料を噴射するものであり、全体が円筒形状の本発明において、当該部分の構成は、分級装置の分級効率の向上と分級精度を高めた装置を提供するものである。
【0016】
そして、本発明は、上述した分級装置において、精度良く分級できた前記超微粉、並びに微粉を装置内に残留させることなく回収して、結果効率良い分級装置を提供するもので、その構成は、前記超微粉、並びに微粉の回収口に内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置され、該開口部を有する超微粉並びに微粉の回収空間部は2か所から4か所の吸引口を有して粉体の回収管に接続されている分級装置を提供した。
【0017】
また、本発明の分級機装置は、前記超微粉の回収口は内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置され、該開口部を有する超微粉並びに微粉の回収空間部には環状の整流リングが設けられ、該環状の整流リングはリング環状に沿って穿たれた開口部を有する円筒形状或いは円錐形状の整流ノズルを有しており、該整流ノズルを介して前記微粉は粉体の回収管に吸引されていく構成を提供することで、供給された分級材料を均一に分級させることを可能にした。即ち、凝集した塊と微粉が混在していると精度のよい分級は不可能であるが、全てが細かく分級されていれば精度良く分級可能であり、本発明は、上述した構成を採用することにより効率良い分級装置を提供可能とし、また、当該装置の構成は、前記分級材料を分級過程で整流ノズル上面等の装置内に残留させることを極めて少なくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルは外筒と内筒間から形成される断面リング状の円筒形状を有しており、同様に二次エアー供給ノズル、分級ノズル、並びに超微粉、微粉の回収口は前記内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置されている分級装置であり、装置の分級領域を外筒と内筒からなる左右対称の円筒形状で構成して、分級効率の向上と精度の良い分級を可能にした。
【0019】
本発明は、外筒と内筒により構成される分級領域近傍に超微粉と微粉を分級する円筒リング形状の開口を有した回収口を設け、粗粉は下部に設けた粗粉回収容器に収納されるように構成されており、超微粉をのみを分級する場合に、該超微粉は粉体材料の微粉と粗粉を取り除いたものとして精度の良い分級が、効率良く可能である装置を提供することができた。
【0020】
また、本発明においては、分級効率の向上と分級精度を高めるために分級機の分級領域内に分級材料を供給する開口された開口部を有する粉体供給ノズルを設け、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ前記粉体の供給ノズルの形状は分級領域に向かって徐々に内筒間との間隙が狭くなる形状を有しており、最終ノズル幅を2mmのリング状に設定し、当該部分の最大風速80m/s時に混合比が1:1000となる処理能力において、一桁ミクロンの分級を可能とした装置を提供することができた。
【0021】
更に、本発明の円筒形状分級機は筒状、或いは中空円筒形状の粉体導入管や整流ノズル、粉体供給ノズル、そして、円筒リング形状の開口を有しており、当該円筒形状分級機は、供給された分級材料を均一に分級させることを可能にした。即ち、凝集した塊と微粉が混在していると精度のよい分級は不可能であるが、全てが細かく分級されていれば精度良く分級可能であり、本発明は、上述した構成を採用することにより効率良い分級装置を提供可能とし、また、当該装置の構成は、分級材料を分級過程で装置内に残留させることを極めて少なくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の分級装置の概略構成を説明する概略構成図である。
【図2】本発明の分級装置全体を説明するフロー図である。
【図3】本発明の分級装置本体を説明する立断面図である。
【図4】(A)本発明に使用される整流リングの形状例を示す平面図である。 (B)整流リングを外筒、内筒間に装着した状態を示す説明図で図4(A)のa―a要部断面図ある。
【図5】(A)微粉及び細粉吸引機構例を説明する概略図である。 (B)図5(A)のフロー図である。
【図6】従来の分級装置を説明する要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルは外筒と内筒間から形成される断面リング状の円筒形状を有しており、同様に二次エアー供給ノズル、分級ノズル、並びに超微粉、微粉の回収口は前記内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置されている慣性力を利用した分級装置であり、分級装置の分級領域を外筒と内筒からなる左右対称の円筒形状で構成したことを要旨とする。
【0024】
また、本発明は、分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルに連通する外筒と内筒間から形成される断面中空リング形状の粉体供給管の入口には整流リングが設けられており、該整流リングはリング環状に沿って穿たれた開口を有する円筒形状のノズルが設けられたもので、この構成は、エゼクターを介して投入された分級材料がトップカバーケーシング内から整流ノズルを介して均一で整流された流れとなり、分級領域内で分級材料が精度良く分級されるように構成した。
【0025】
更に、本発明の分級装置においては、他の応用例として、前記粉体の供給ノズルに連通する外筒と内筒間から形成される整流リングの形状をリング環状に沿って穿たれた円錐形状ノズルと成したもので、この構成は、エゼクターを介して投入された分級材料がトップカバーケーシング内で残留することなく、整流ノズルを介して均一で整流された流れとなり、分級領域内で精度良く、そして効率良く分級されることを可能にしている。
【0026】
斯くして、本発明の分級装置においては、分級効率の向上と分級精度を高めるために分級機の分級領域内に分級材料を供給する開口された開口部を有する粉体供給ノズルを設け、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ前記粉体の供給ノズルの形状は分級領域に向かって徐々に内筒間との間隙が狭くなる形状を有しており、この構成は、分級材料の均一化をより促進させ、且つ、分級材料の流れを加速して分級領域に分級材料を噴射するものであり、全体が円筒形状の本発明において、当該部分の構成は、分級装置の分級効率の向上と分級精度を高めた装置を提供するものである。
【0027】
そして、本発明は、上述した分級装置において、精度良く分級できた前記超微粉、並びに微粉を装置内に残留させることなく回収して、結果効率良い分級装置を提供するもので、その構成は、前記超微粉、並びに微粉の回収口に内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置され、該開口部を有する超微粉並びに微粉の回収空間部は2か所から4か所の吸引口を有して粉体の回収管に接続されていることが好ましい。
【0028】
また、本発明の分級機装置は、超微粉の回収口は内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置され、該開口部を有する超微粉並びに微粉の回収空間部には環状の整流リングが設けられ、該環状の整流リングはリング環状に沿って穿たれた開口部を有する円筒形状或いは円錐形状の整流ノズルを有しており、該整流ノズルを介して前記微粉は粉体の回収管に吸引されていく構成を提供することで、供給された分級材料を均一に分級させることを可能にした。即ち、凝集した塊と微粉が混在していると精度のよい分級は不可能であるが、全てが細かく分級されていれば精度良く分級可能であり、本発明は、上述した構成を採用することにより効率良い分級装置を提供可能とし、当該装置の構成は、前記分級材料を分級過程で整流ノズル上部等、装置内に残留させることなく効率良く回収可能とした。
【実施例】
【0029】
図1は本発明の分級装置の概略構成を説明する概略構成図であり、図2は本発明の分級装置全体を説明するフロー図である。図1及び図2において、1は一次エアー吸引口、2は分級材料投入口であり、該分級材料投入口2から投入された分級材料の粉体はエゼクター3を介して高圧を維持したまま一次エアーと混合され、導管4を通り、トップカバーケーシング5内に導入される。トップカバーケーシング5は、外筒6と該外筒6内に設置された内筒7からなる分級装置本体の頭部を形成するものであり、外筒6、内筒7、そして、トップカバーケーシング5は共に円筒形状を有しており、内筒7はその上部においてトップカバーケーシング5内に突出した円錐形状部8と下部の粗粉回収容器9側に突出された円錐形状部10を有している。
【0030】
また、外筒6と内筒7間により形成される断面中空リング形状の空間11は、分級材料と一次エアーが混合された粉体12の供給管13であり、該粉体供給管13の上部には整流リング14が装着されている。整流リング14は前記トップカバーケーシング5に送られてきた分級材料の粉体12と一次エアーの混合体を前記円錐形状部8にて加速し通過させる工程で、粉体12と一次エアーの混合をより均一な状態で噴出させるためのもので、環状のリングに複数のノズル状の孔15a、15b、15c・・・が穿設されている。
【0031】
16は分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルであり、17は粉体供給ノズル16を形成する粉体供給ノズルの円型外周部を示している。前記粉体供給ノズル16は下方に向かう過程で内筒7との幅が序々に狭まる形状で、分級材料の粉体12を粉体供給ノズル16の噴射口までに加速して分級領域18に噴射する。そして同時に二次エアー吸引口19から吸引された二次エアー20を分級ノズル21の上部から噴出させると、分級ノズル21の円弧壁22の上部から噴出した噴流は円弧壁22に沿って流れ、粉体12中の超微粉23は慣性力が小さいために分級ノズル21の円弧壁22の近傍壁面を移動して分級ノズル21の下部にある超微粉回収スリット24に入る。また超微粉回収室25の直下には微粉回収スリット26が設けられており、超微粉23より慣性力の大きい微粉27は前記分級ノズル21の円弧壁22より少し離れて流れ微粉回収スリット26に入る。超微粉回収ノズル28及び微粉回収ノズル29は夫々のスリット内に回収された超微粉23と微粉27を図2のバグフィルター30、31を介して夫々収容容器32、33に収集する。
【0032】
そして、粗粉34は慣性力が大きいために分級ノズル21の円弧壁22面より離れ落下する様に下部に設けられた粗粉回収容器9に回収される。
尚、図2は前記分級装置本体35とバグフィルター30、31、並びに超微粉23の収容容器32、微粉27の収容容器33との連繋を示すものであり、一次エアー吸引口1や分級材料投入口2、並びに二次エアー20の吸引は吸引ブロワー36にて行われている。また、図1に示す粗粉の回収容器9も密閉型ではなく、図2に示す如く吸引ブロワー36に接続された形式を採る場合もある。
【0033】
斯くして、図3は、図1の分級装置概略構成を実際に製作する装置用として切り替えた所謂、実施設計図であり、図3において、3はエゼクター、4は導管、5はトップカバーケーシング、6は円筒形状の外筒、7は筒状の内筒であり、該内筒7の外周状に整流リング14、粉体供給ノズル16、二次エアー20のノズル、円形に配置された分級ノズル21の円弧壁22、リング形状の開口部を有する超微粉回収スリット24、同様に26はリング形状の開口部を有する微粉回収スリットとなし、従来装置がその製作や、組立てが複雑であるとの理由から平型形状としていた慣性力を利用した分級機において、粉体の供給ノズル16は外筒6と内筒7間から形成される断面リング状の円筒形状を有しており、同様に二次エアー供給ノズル20、分級ノズル21、並びに超微粉、微粉の回収スリット24、26は前記内筒7を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置されている構成の分級装置として完成させることができた。
【0034】
そして、本発明の実施例は図3の如く、粉体材料の移動方向が外筒6と内筒7にて形成される断面リング状の円筒の外周上に沿っているものであり、粉体材料が円滑に装置内を流れることから、装置内に吹き溜まりを作ることもなく分級装置の分級効率を向上させることが確実に行えるものである。
【0035】
次に図4(A)は、本発明に使用される整流リングの形状例を示す平面図、図4(B)は整流リングを外筒、内筒間に装着した状態を示す説明図で図4(A)のa―a要部断面図ある。
図4(A)、(B)において前記整流リング14の他の形状例を述べておく。即ち、整流リング14は、如何に断面中空リング形状空間11が形成する供給管13に分級材料を均一に供給することが出来るかを課題にその形状の改良を試みたもので、図4(A)、(B)において整流リング14はリングの環状に沿って穿たれた開口部37a、37b、37c・・・を有する円錐形状の整流ノズル38a、38b、38c・・・が設けられているので、斯く円錐形状の整流ノズル38a、38b、38c・・・を通過する分級材料は、該円錐形状の整流ノズル38a、38b、38c・・・により加速され、より均一な分級材料となり、供給管13に導入される精度の良い分級が可能になった。即ち、分級材料は凝集した塊と微粉が混在していると精度のよい分級は不可能であるが、全てが細かく分級されていれば精度良く分級可能であり、本発明は、上述した構成を採用することにより効率良い分級装置を提供可能とし、当該装置の整流ノズル38a、38b、38c・・・の上部はすり鉢形状であることから、分級材料の整流ノズル上部等に装置内残留や装置内に吹き溜まり部を作らない。
【0036】
また、図5(A)は超微粉23、及や微粉27の回収室より分級された材料を吸引して収容容器に収集する機構例を説明する概略図、図5(B)は図5(A)のフロー説明図である。
図5(A)、(B)において25は内部側に超微粉回収スリット24を有する超微粉回収室25、39a、39b、39c、39dは粉体の吸引口、40は粉体の回収管であり、該粉体の回収管40にバックフィルター30を介して粉体の回収容器が接続されている。
【0037】
そして、本実施例では、超微粉23の超微粉回収室25は内筒7を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の回収スリット24を有して配置され、該回収スリット24を有する超微粉回収室25は、2か所から4か所の吸引口39a、39b、39c、39dを有して粉体の回収管40に接続されているもので、吸引口38a、38b、38c、38dを設けることにより、また回収管40の形状例として、徐々にその径を変えた回収管40を採用することで、分級材料の装置内残留や装置内に吹き溜まり部を作らない。
【0038】
斯くして、本発明は、分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルは外筒と内筒間から形成される断面リング状の円筒形状を有しており、同様に二次エアー供給ノズル、分級ノズル、並びに超微粉、微粉の回収口は前記内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置されている分級装置であり、装置の分級領域を外筒と内筒からなる左右対称の円筒形状で構成して、分級効率の向上と精度の良い分級を可能にした。
【0039】
本発明は、外筒と内筒により構成される分級領域近傍に超微粉と微粉を分級する円筒リング形状の開口を有した回収口を設け、粗粉は下部に設けた粗粉回収容器に収納されるように構成されており、超微粉をのみを分級する場合に、該超微分は粉体材料の微粉と粗粉を取り除いたものとして精度の良い分級が、効率良く可能である装置を提供することができた。
【0040】
また、本発明においては、分級効率の向上と分級精度を高めるために分級機の分級領域内に分級材料を供給する開口された開口部を有する粉体供給ノズルを設け、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ前記粉体の供給ノズルの形状は分級領域に向かって徐々に内筒間との間隙が狭くなる形状を有しており、最終ノズル幅を2mmのリング状に設定し、当該部分の最大風速80m/s時に混合比が1:1000となる処理能力において、一桁ミクロンの分級を可能とした装置を提供することができた。
【0041】
更に、本発明の円筒形状分級機は筒状、或いは中空円筒形状の粉体導入管や整流ノズル、粉体供給ノズル、そして、円筒リング形状の開口を有しており、当該円筒形状分級機は、供給された分級材料を均一に分級させることを可能にした。即ち、凝集した塊と微粉が混在していると精度のよい分級は不可能であるが、全てが細かく分級されていれば精度良く分級可能であり、本発明は、上述した構成を採用することにより効率良い分級装置を提供可能とし、また、当該装置の構成は、分級材料を分級過程で装置内に残留させることを極めて少なくすることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 一次エアー吸引口
2 分級材料投入口
3 エゼクター
4 導管
5 トップカバーケーシング
6 外筒
7 内筒
8 円錐形状部
9 粗粉回収容器
10 円錐形状部
11 断面中空リング形状の空間
12 粉体
13 供給管
14 整流リング
15a、15b、15c・・・ ノズル状の孔
16 粉体供給ノズル
17 粉体供給ノズルの円筒型外周部
18 分級領域
19 二次エアー吸引口
20 二次エアー
21 分級ノズル
22 円弧壁
23 超微粉
24 超微粉回収スリット
25 超微粉回収室
26 微粉回収スリット
27 微粉
28 超微粉回収ノズル
29 微粉回収スリット
30 バックフィルター
31 バックフィルター
32 収容容器
33 収容容器
34 粗粉
35 分級装置本体
36 吸引ブロワー
37a、37b、37c・・・ 穿たれた開口部
38a、38b、38c・・・ 円錐形状の整流ノズル
39a、39b、39c、39d 粉体の吸引口
40 粉体の回収管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルは外筒と内筒間から形成される断面リング状の円筒形状を有しており、同様に二次エアー供給ノズル、分級ノズル、並びに超微粉、微粉の回収口は前記内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置されていることを特徴とする慣性力を利用した分級装置。
【請求項2】
分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルに連通する外筒と内筒間から形成される断面中空リング形状の粉体供給管の入口には整流リングが設けられており、該整流リングはリング環状に沿って穿たれた開口部を有する円筒形状の整流ノズルが設けられていることを特徴とする慣性力を利用した分級装置。
【請求項3】
分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルに連通する外筒と内筒間から形成される断面中空リング形状の粉体供給管の入口には整流リングが設けられており、該整流リングはリング環状に沿って穿たれた開口部を有する円錐形状の整流ノズルが設けられていることを特徴とする慣性力を利用した分級装置。
【請求項4】
分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記粉体の供給ノズルは分級領域に向かって徐々に内筒間との間隙が狭くなる形状を有していることを特徴とする慣性力を利用した分級装置。
【請求項5】
分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記超微粉並びに微粉の回収口は内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置され、該開口部を有する超微粉並びに微粉の回収空間部は2か所から4か所の吸引口を有して粉体の回収管に接続されていることを特徴とする慣性力を利用した分級装置。
【請求項6】
分級機の分級領域内に分級材料を供給するために開口された開口部を有する粉体供給ノズルを有し、該粉体供給ノズルから分級材料の粉体を分級領域に噴出させ、該噴出させた分級材料は粒子の慣性力のみにより少なくとも超微粉、微粉、粗粉に分級するための分級装置において、前記超微粉の回収口は内筒を中心にその外周部で夫々円筒リング形状の開口を有して配置され、該開口部を有する超微粉並びに微粉の回収空間部には環状の整流リングが設けられ、該環状の整流リングはリング環状に沿って穿たれた開口部を有する円筒形状或いは円錐形状の整流ノズルを有しており、該整流ノズルを介して前記微粉は粉体の回収管に吸引されていく構成であることを特徴とする慣性力を利用した分級装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−135730(P2012−135730A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290302(P2010−290302)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000152136)株式会社徳寿工作所 (5)
【Fターム(参考)】