説明

慣性回転装置、およびその始動方法

【課題】 捲き紐などの道具を使わずとも、独楽自体を操作するだけで誰にでも簡単に回転始動可能であり、しかも安定且つ高速に回転可能であって玩具に留まらず巾広い工業製品に応用可能となる新たな独楽技術を提供する。
【解決手段】 半球面形状であって、その底端20を該半球面形状の中央軸心Cに直交する同心真円形とした自転独楽2を設けると共に、該自転独楽2と同一寸法形状の半球面形状で、底端30を有するベース独楽3を設けた上、同ベース独楽3底端30と当該自転独楽2底端20とを対峙して低摩擦軸受け機構40(43)を有する回転軸4を組み込み、当該ベース独楽3に対して当該自転独楽2が低摩擦回転自在に一体化してなるものとした慣性回転装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、あらゆる回転装置に関連するものであり、特に独楽、発電機、ジャイロスコープ、玩具、乗り物、自動車用ミッションなどの慣性回転装置類を製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
独楽は古くからの伝統的玩具として誰もが子供の頃に一度は遊んだことのあるものであり、こうした従来型の独楽には、円盤形や円錐形、球形などの塊部分の重心に同心状の軸棒を一体化し、上がわに立設状となった軸棒を手指に摘んで捻るようにして回転させるものや、大型のものの場合には両掌間に軸棒を挟み摺動かすようにして回転されるもの、こうした軸棒を有する独楽、および貝独楽に代表されるような軸を持たない独楽を含め、塊部分の周囲に捲き紐を捲き付けて独楽を投げる瞬間に捲き紐を引き、回転力を与えるようにして回すものなど様々なものがあり、多種多様な遊びができる楽しい玩具の一つといえるものの、上手に回転させるようになるにはかなりの練習を必要とし、したがって、小さな子供達の多くは、安定して回転させるようになる前に飽きてしまうという残念な結果を招くことになっていた。
【0003】
また、その構造上、軸棒の先端や塊部分の先端などの回転部分が必ず接地し、接地面から大きな摩擦力を受けてしまい、その抵抗のために短時間の中に急激に減速して停止、横転してしまうという不都合をどうしても伴うことから、上手に回せるようになった子供達も次第に興味が薄れがちで、特に近時のようにファミコンで手軽に疑似体験をすることができる時代に生きる子供達の間に定着する要素の少ない玩具と云わざるを得ない状況にあるのと同時に、この安定して持続し続けるようにした回転を実現するのが難しいという欠点を有することから、玩具以外の工芸品や工業用品および産業用の装置などとしての応用面への展開も限界があり、一部にモーターの回転駆動力を利用して高精度の独楽を継続回転させるようにしたジャイロスコープなどへの応用に限られている。
【0004】
(従来の技術)
こうした技術的な課題を抱えながらでも、独楽の原理を生かして果敢に応用しようとする技術として、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、接地先端がわ部分を球面状にし、先端の一点だけでなく、球状周壁面を接地、転動しながら様々な姿勢で回転可能としたもや、同特許文献1(2)に見られるような、接地先端に硬質素材製の球体を埋め込み、芯ブレのない高性能の独楽を提供可能とする技術や、特許文献1(3)のように、塊部分の全体を球面状に形成し、軸棒部分を介して筆記具の上端に着脱自在に装着可能なものとしたり、ルーレットなど新たに別機能を追加したものや、特許文献1(4)のように、接地先端に金属端部を装着して回転精度を高めると共に、独楽全体を砲弾形にして内部に鈴を収容し、回転姿勢の多様性や発音などの機能を付加したものなどが散見される。
【0005】
また、特許文献2の(5)ないし(7)のような、塊部分の内部にLED(発光ダイオード)などの発光部品、それを発光可能なボタン電池、および、独楽の回転で発生する遠心力で自動操作可能なスイッチ機構などを内蔵したもの、特許文献1(8)の、塊部分の内部にLED(発光ダイオード)などの発光部品と、独楽の他物への衝突で発電可能な圧電素子とを内蔵したもの、特許文献1(9)のように、塊部分の外周縁に沿って化学薬品利用の発光チューブを点在に装着可能としたものなどの外、特許文献1(10)に示されるような、接地軸先端の周壁にピニオンを形成した独楽を簡易的に保持可能な別体枠部品を有して、該ピニオンに噛合したラック部品を該別体枠部品のガイド溝に沿って一定方向に引き抜き、または押し入れ操作するようにして誰でも簡単に、当該独楽を回転起動可能とするようにしまものや、特許文献1(11)の、回し棒を独楽上部中心に挿して捻り操作して初期回転を行い、その後鞭で叩いて回転力を与えるようにしたもの、または、例えば特許文献1(12)のように、独楽ではなく竹とんぼであるが、手に把持可能な駆動装置に竹とんぼを搭載し、一方の手で駆動装置を握持し、他方の手で同駆動装置の引き縄を引いて竹とんぼに一定方向の回転力を与えるようにして誰でも簡単に遊べるようにしたものなども垣間みれる。
【0006】
しかし、前者特許文献1(1)(3)(4)に示されているような、独楽塊部分またはその下がわの一部を球形または砲弾形に形成したものなどは、回転中に軸が傾いても球面形状の何れかが接地していて横転、停止するまでの時間を延長できると共に、様々な角度姿勢で回転するものになるという利点を有しているものの、接地面積が大きくなることから、接地面の摩擦を受けてしまって安定した高速回転が得られないという欠点を有しており、また、特許文献1(2)(4)のように、独楽の接地先端に金属製などの硬質な球体または球面形状部品などを装着したものでは、先端部分の接地摩擦抵抗を大幅に軽減して耐摩耗性を向上し、安定した高速回転を得易くするようなものになってはいるものの、独楽が傾き先端硬質部品以外の周壁面が接地すると、直ぐさま減速、停止してしまうという課題を残すものであった。
【0007】
一方、特許文献2の(5)ないし(7)のように、LEDおよびそれ用の電源となるボタン電池やスイッチを内蔵したものは、回転中に独楽自体が発光して趣向性および付加価値を高めることが可能となってはいるものの、ボタン電池は消耗部品として交換が必要となり、リサイクル処理や新たな交換電池の購入などに手間と費用とが掛かるだけではなく、自然環境にも負担を掛けてしまうという重大な欠点があり、他方、特許文献2(8)のように、独楽本体内にLEDおよび発電用の圧電素子を内蔵して電池を不要として自然環境に優しいものとし、さらに独楽の接地先端にベアリングを介して接地部品を回転自在に組み込み、接地先端の回転摩擦は、接地面(グラウンドがわ)の摩擦係数に拘わらず、低摩擦で高速回転できるようになってはいるものの、独楽自体を回転始動させるには、従来どおりの軸棒の捻りや紐を捲き付けて投げ回しするなどしか方法は無く、ある程度の練習が不可欠であるという問題を残しており、しかもベアリングで支持した接地部品以外の部分が接地してしまうと、一気に横転、停止してしまうという欠点があった。
【0008】
更には、特許文献2(9)に見られるもののように、化学薬品利用の発光チューブを装着可能としたものなどでは、発光部品自体が消耗品であって発光時間が過ぎてしまう毎に芥を大量に発生させてしまうという欠点があり、特許文献2の(10)ないし(12)に開示されたもののように、独楽を回転始動および安定回転させるために独楽以外の別部品類を組み合わせるようにしたものなどは、部品点数の増加を招き、独楽およびそれ用の装備品などをセット購入する必要があり、独楽を単独購入する場合に比較して各段に高価なものとなってしまう上、部品点数が多い分破損もし易くなって耐久強度を高めるのが難しく、破損部品は早期の中に芥の発生原因となってしまうという致命的な欠点を有するものでしかなかった。
【特許文献1】(1)特開2005−34603号公報 (2)特開2007−289535号公報 (3)実用新案登録第3070030号公報 (4)実用新案登録第3091927号公報
【特許文献2】(5)特開2001−293257号公報 (6)実用新案登録第3110026号公報 (7)実用新案登録第3114906号公報 (8)特開2003−210854号公報 (9)実用新案登録第3030816号公報 (10)特開平8−98958号公報 (11)実用新案登録第3086663号公報 (12)実用新案登録第3097324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(問題意識)
上述してきたとおり、従前までに提案のある各種独楽の殆どが安定した高速回転を得るのが難しく、仮令発光や発音の機能を有するものであっても、その電源にボタン電池を内蔵するものが多く、また、回転始動するために捲き紐やラック・ピニオンなどの別部品類を必要とするものになっており、高速で安定した回転が得られるようにして、子供達を含む誰でもが簡単に回転始動可能で、長い間に渡って飽きずに遊べるようになる新たな玩具としての独楽の必要性を認識しながらも、これまでのところでは、こうした高性能な独楽の開発を達成できなかった玩具業界は固よりのこと、趣向性の高いレジャー用品やインテリア、家電品、自動車、その他の乗用機械類、産業用機械、各種部品類など様々な工業製品を製造、販売する各業界にあっても、その実現化を未だ果たし得ていないというのが実情と云える。
【0010】
(発明の目的)
そこで、この発明は、捲き紐などの道具を一切使用せず、独楽自体を操作するだけで誰にでも簡単に回転始動可能であり、しかも安定且つ高速に回転可能であり、その結果、玩具に留まらず巾広い工業製品に応用可能となる新たな独楽技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の慣性回転装置、およびその新規な始動方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の慣性回転装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、砲弾形または円盤形であって中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形、半楕円形、二等辺三角形、または、それら何れかを先端がわ断面形とした短円柱形の何れか一つによる立体形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する同心真円形とした自転独楽を設けると共に、中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形、半楕円形、矩形、または、それら何れかを先端がわ断面形とした短柱形、もしくは、線対称以外で該中央軸心に直角な先端接地平面を有する多角形の何れか一つか、あるいは、それらの組み合わせかの何れか一つの立体形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する扁平形としたベース独楽を設けた上、同ベース独楽底端と当該自転独楽底端とを非接触で近接対峙し、相互一致させた中央軸心上に低摩擦軸受け機構を有する回転軸を組み込み、当該ベース独楽に対して当該自転独楽が低摩擦回転自在に一体化してなるものとした構成を要旨とする慣性回転装置である。
【0012】
この基本的な構成からなる慣性回転装置を、より具体的なものとして示すと、砲弾形であり、中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形の半球面形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する同心真円形とした自転独楽を設けると共に、該自転独楽と同一寸法形状の半球面形状、底端を有するベース独楽を設けた上、同ベース独楽底端と当該自転独楽底端とを非接触で近接対峙し、相互一致させた中央軸心上に低摩擦軸受け機構を有する回転軸を組み込み、当該ベース独楽に対して当該自転独楽が低摩擦回転自在に一体化してなるものとした構成からなる慣性回転装置と云うことができる。
【0013】
(関連する発明)
上記した慣性回転装置に関連し、この発明には、その始動方法も包含しており、その構成は、ベース独楽を確り把持し、自転独楽外周壁面の回転軸心から僅かに偏心する適所を接地させるよう、回転軸を僅かに傾斜させた姿勢で、直線状または円弧状の任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させ、必要に応じて同様の付勢動作を繰り返すようにして、当該ベース独楽に対して自転独楽を安定高速回転させた後、同高速回転している自転独楽を上向きに、該ベース独楽を下向きの姿勢として接地し、該ベース独楽上配置とした自転独楽が、低摩擦軸受け機構を有する回転軸回りに、低摩擦且つ高速で安定回転するようにしてなるものとした、この発明の基本をなしている前記した慣性回転装置の始動方法が、その構成である。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明の慣性回転装置によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、従前までの独楽であれば、回転始動するのに捲き紐やラック・ピニオンなどの別部品類を必要としていたが、こうした始動用部品類は基本的に一切不要となるだけでなく、誰でも特段の練習をせずに、片手による簡単な操作で通常は得ることの出来ない程度の高速で安定した回転をたちどころに得ることができる上、ベース独楽を下向き姿勢に接地した場合に、自転独楽が受ける摩擦を最小限に留めて各段の低摩擦回転を実現化するものとなって、従来型の独楽では得られない程度の長い時間に亘って回転運動を持続できるものとなるから、子供達は勿論のこと大人にも長期間に渡って飽きずに利用できるものとなり、玩具独楽としての利用に留まらず、巾広い分野への応用、実用化の可能性を秘めたものになるという秀れた特徴が得られるものである。
【0015】
加えて、半球面形状の同一形状とした自転独楽およびベース独楽とを互いの底端同士で対峙し、一致させた中央軸心上に低摩擦軸受け機構を有する回転軸を組み込んでなるものは、慣性回転装置の全体形状が略球形体をなすものとなって、自転独楽とベース独楽との区別が無くなり、何れか一夫を把持し、何れか他方の外周壁面適所を接地させて、任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させることで、誰でも簡単に低摩擦高速安定回転を得ることが可能なものとなる上、長時間に渡って回転を維持できるから、玩具としてだけでなく、インテリアや新たな家電製品などへの応用など、巾広い製品展開が期待されるものになる。
【0016】
また、自転独楽と共に回転するよう一体化した回転軸の、ベース独楽内に延伸した端部がわに発電用回転子を設け、該発電用回転子に対峙するベース独楽内に発電用固定子を設けて内部発電機を形成した慣性回転装置は、自転独楽がベース独楽に対して回転すると発電し、ベース独楽内に配した様々な電子回路を作動できるものとなり、例えば、ベース独楽内適所に発光回路を内蔵し、同ベース独楽の発光部対応外壁に透光窓を形成したものは、該内部発電機からの発電電力を受けた発光回路発光部が透光窓を透してベース独楽外部を照明するものとなり、ベース独楽内適所に発音回路を内蔵し、発音部対応外壁に透音窓を形成してなるものは、該内部発電機からの発電電力を受けた発音回路発音部が透音窓を通じ、ベース独楽外部に向けて音を発するものとなり、従って、バッテリーを全く搭載することなく、慣性回転装置の自転独楽、ベース独楽が相対的に回転している間に亘ってベース独楽が自動発光および/または自動発音するものとなり、バッテリー交換や廃棄処理の削減ならびに自然環境保護にも役立ち、各段に経済的なものとすることができるという卓越した効果を有している。
【0017】
そして、ベース独楽に一体化した回転軸の自転独楽内に延伸した端部がわに発電用固定子を設け、該発電用固定子に対峙する自転独楽内適所に発電用回転子を設けて内部発電機を形成した慣性回転装置は、、自転独楽がベース独楽に対して回転すると発電し、自転独楽内に配した様々な電子回路を作動できるものとなり、例えば、自転独楽内適所に発光回路を内蔵し、同自転独楽の発光部対応外壁に透光窓を形成したものは、該内部発電機からの発電電力を受けた発光回路発光部が透光窓を透して自転独楽外部を照明するものとなり、自転独楽内適所に発音回路を内蔵し、発音部対応外壁に透音窓を形成してなるものは、該内部発電機からの発電電力を受けた発音回路発音部が透音窓を通じ、自転独楽外部に向けて音を発するものとなり、従って、バッテリーを全く搭載すること無く、慣性回転装置の自転独楽、ベース独楽が相対的に回転している間に亘って自転独楽が自動発光および/または自動発音するものとなり、特に、接地させたベース独楽上で自転独楽が回転している状態では、自転独楽が回転発光および/または回転発音するものとなる上、バッテリー交換や廃棄処理の削減ならびに自然環境保護にも役立ち、各段に経済的なものとすることができるという秀れた特徴を発揮できる。
【0018】
さらに、この発明の慣性回転装置の始動方法によれば、捲き紐やラック・ピニオンなどの別部品類が基本的に不要で、子供から大人まで誰でも、ベース独楽を確り把持した上で、自転独楽外周壁面の回転軸心から僅かに偏心する適所を接地させるよう、回転軸を僅かに傾斜させた姿勢のまま直線状または円弧状の任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させ、必要に応じて同様の付勢動作を繰り返すようにしさえすれば、当該ベース独楽に対して自転独楽を安定高速回転させることができるから、初めて手にした利用者でも煩わしい練習など一切必要とせず、即座に高速回転させることができるようになる上、始動後高速回転している自転独楽部分を上向きにし、このベース独楽を下向きの姿勢として接地し、該ベース独楽の上配置とした自転独楽部分が、そのまま低摩擦軸受け機構を有する回転軸回りに低摩擦且つ高速で安定回転するようにしさえすれば、この自転独楽に加わる抵抗を低摩擦軸受け機構および周囲の空気抵抗だけという最小限度に止めたものとすることが可能となり、自転独楽の高速回転を通常の独楽では考えられない程に長時間に亘って持続可能なものにすることができるという大きな特徴を得ることができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
慣性回転装置は、ベース独楽に対して当該自転独楽を低摩擦回転自在に一体化してなるものを基本とするが、後述する実施例に示すように、例えば、ベース独楽および自転独楽の接地端面のみを露出し、両接地端面以外の周囲を外殻カプセルで包囲するよう一体化したものや、ベース独楽の外端に、始動用の操作ハンドルを回転自在に立設、または、着脱自在且つ回転自在に立設してなるものなどとすることができる。
【0020】
自転独楽は、慣性回転装置の中央軸心を中心に、ベース独楽に対して相対的に自転して安定的な慣性回転を可能とするものであり、砲弾形または円盤形であって中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形(概略半球形)、半楕円形(概略半楕円体形)、二等辺三角形(概略円錐形)、または、それら何れかを先端がわ断面形とした短円柱形の何れか一つによる立体形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する同心真円形に形成し、中央軸心上となる適所に低摩擦軸受け機構を有する回転軸を組み込み、ベース独楽に対して低摩擦回転自在に一体化、可能なものとしなければならず、金属製、木製、ガラス製、プラスチック製、天然ゴム製、炭素繊維樹脂製、ガラス繊維樹脂製、または、それらの組み合わせなどからなる各種素材製のものとすることが可能である。
【0021】
ベース独楽は、慣性回転装置の中央軸心を中心に、自転独楽を相対的に回転自在に支持可能とするものであり、中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形(概略半球形)、半楕円形(概略半楕円体形)、矩形(概略円板形)、または、それら何れかを先端がわ断面形とした短柱形、もしくは、線対称以外で該中央軸心に直角な先端接地平面を有する多角形の何れか一つか、あるいは、それらの組み合わせかの何れか一つの立体形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する扁平形としなければならず、前記自転独楽と同様に金属製、木製、ガラス製、プラスチック製、天然ゴム製、炭素繊維樹脂製、ガラス繊維樹脂製、または、それらの組み合わせなどからなる各種素材製のものとすることが可能である。
【0022】
回転軸は、ベース独楽に対して当該自転独楽を低摩擦回転自在に一体化するものであり、底端同士を非接触で近接対峙したベース独楽と自転独楽との相互一致させた中央軸心上に組み込んみ、少なくとも何れか一方との間に低摩擦軸受け機構を介在させたものとしなければならず、ベース独楽内部全体と自転独楽内部全体とを縦貫するよう内蔵したものとすることができる外、ベース独楽と自転独楽との各底端同士のみを回転自在に連結してなるものとすることができ、金属製、木製、ガラス製、硬質プラスチック製、炭素繊維樹脂製、ガラス繊維樹脂製、または、それらの組み合わせなどからなる各種素材製のものとすることが可能である。
【0023】
低摩擦軸受け機構は、回転軸、自転独楽およびベース独楽を互いに低摩擦抵抗で回転自在に支持し合うよう組み合わせ可能とする機能を有するものであり、玉軸受け、ころ軸受け、ラジアル玉軸受け、スラスト玉軸受け、ラジアルころ軸受け、スラストころ軸受けなどの転がり軸受けか、または、流体潤滑(動圧)型、流体潤滑(制圧)型、自己潤滑型などの滑り軸受けかの何れか、あるいは、それらと同等以上の低摩擦軸受け機能を発揮可能なものとすることができる外、それらを複数箇所に配して組み合わせたものとすることが可能である。
【0024】
内部発電機は、ベース独楽に対して低摩擦回転する自転独楽の慣性回転力を電力に変換可能とするものであり、回転軸を自転独楽と共に回転するよう結合一体化し、同回転軸のベース独楽内に延伸した端部がわに発電用回転子を同心状に設けると共に、該発電用回転子に対峙するベース独楽内適所に発電用固定子を設けてなるものや、または、回転軸をベース独楽に結合一体化し、同回転軸の自転独楽内に延伸した端部がわに発電用固定子を同心状に設けると共に、該発電用固定子に対峙する自転独楽内適所には発電用回転子を設けてなるものとすることができ、当該内部発電機を形成したベース独楽内適所に、該内部発電機からの発電電力を受けて発光する発光回路および/または発音回路を内蔵した上、同ベース独楽の発光部対応外壁に透光窓を形成し、発音部対応外壁には透音窓を形成してなるものとすることが可能であり、また、内部発電機を形成した自転独楽内適所に、該内部発電機からの発電電力を受けて発光する発光回路および/または発音回路を内蔵した上、同自転独楽の発光部対応外壁に透光窓を形成し、発音部対応外壁には透音窓を形成してなるものとすることが可能である。
【0025】
慣性回転装置の始動方法は、始動用の道具を使わず、当該慣性回転装置自体の形状および摩擦を利用して簡単に回転始動可能とするものであり、例えば、ベース独楽を確り把持し、自転独楽外周壁面の回転軸心から僅かに偏心する適所を接地させるよう、回転軸を僅かに傾斜させた姿勢で、直線状または円弧状の任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させ、必要に応じて同様の付勢動作を繰り返すようにし、当該ベース独楽に対して自転独楽を安定高速回転させた後、同高速回転している自転独楽を上向きに、該ベース独楽を下向きの姿勢として接地し、このベース独楽で上配置とした自転独楽が、低摩擦軸受け機構を有する回転軸回りに低摩擦且つ高速で安定回転するようにしてあり、また、着脱自在な磁石や嵌合形状などを介してベース独楽の適所に接続した操作ハンドル部品を握持するようになし、前述同様の転動移動操作を行って回転始動した後、この操作ハンドル部品をベース独楽から離脱させ、同ベース独楽を下向きの姿勢として接地し、自転独楽部分が低摩擦軸受け機構を有する回転軸回りに低摩擦且つ高速で安定回転するようにしてなるものとすることが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0026】
図1の慣性回転装置の縦断面図、図2の分解した慣性回転装置の縦断面図、図3の慣性回転装置の正面図、図4の異なる軸の慣性回転装置の縦断面図、図5の分解した異なる軸の慣性回転装置の縦断面図、および、図6の慣性回転装置の正面図に示す事例は、半球面形状であって、その底端20を該半球面形状の中央軸心Cに直交する同心真円形とした自転独楽2を設けると共に、該自転独楽2と同一寸法形状の半球面形状、底端30を有するベース独楽3を設けた上、同ベース独楽3底端30と当該自転独楽2底端20とを対峙して回転軸4を組み込み、当該ベース独楽3に対して当該自転独楽2が低摩擦回転自在に一体化してなるものとした、この発明の慣性回転装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0027】
それら図1ないし図3の各図からも明確に把握できるとおり、この発明の慣性回転装置1は、その一部を形成する自転独楽2が、ステンレス鋼板を板金加工によって概略砲弾形に加工したものであり、中央軸心Cを通る縦断面形が、同中央軸心Cを対称軸Cとして線対称となる半円形の外郭形状(立体半球面形)とし、同立体形状の底端20は、該中央軸心Cに直交する同心真円板形に加工したステンレス鋼板製円形板を施蓋状に結合したものであり、ベース独楽3は、前記慣性回転装置1の自転独楽2とは別の他部を形成するものであって、当該自転独楽2と同一寸法形状とするよう、ステンレス鋼板を板金加工によって概略砲弾形に加工したものであり、その底端30が、中央軸心Cに直交する同心真円板形に加工したステンレス鋼板製円形板を施蓋状に結合したものとしてある。
【0028】
図1ないし図3中に示すように、当該自転独楽2底端20とベース独楽3底端30とを非接触で近接対峙し、相互一致させた中央軸心C上に低摩擦軸受け機構となるラジアルボールベアリング40の1個を有する短尺回転軸ボルト4を組み込み、同回転軸ボルト4頭部がベース独楽3底端30に結合一体化してあり、該回転軸ボルト4先端がわを、自転独楽2底端20の中央軸心C上に貫通するよう装着した上、ナット41を螺着し、当該ベース独楽3に対して当該自転独楽2を低摩擦回転自在に一体化してなるものである。
【0029】
図4ないし図6中に示すように、慣性回転装置1は、その直径に僅かに満たない長さに設定した回転軸ボルト4の基端を、ベース独楽3の半球面形内面壁中央から、中央軸心C上に一致するよう立設し、同回転軸ボルト4中途部が、ベース独楽3底端30の中央、および、自転独楽2底端20の中央に貫通し、自転独楽2の半球面形内面壁中央付近まで達するよう組み合わせると共に、ベース独楽3底端30内がわ直近に位置する回転軸ボルト4中途部は、ベース独楽3底端30内がわ壁面に一体化してある固定環42および六角穴付き止めネジで回転不能に固定支持し、ベース独楽3底端30と自転独楽2底端20との間にスラストボールベアリング43を挟み込み状配置とした上、自転独楽2底端20内となる回転軸ボルト4の中途適所、および、先端がわ適所の夫々にラジアルボールベアリング40,40を装着し、該回転軸ボルト4の先端にナット41を螺着して、当該ベース独楽3に対して当該自転独楽2を低摩擦回転自在に一体化してなるものとすることが可能である。
【実施例2】
【0030】
図12の発電機内蔵慣性回転装置の縦断面図、図13の三角錐形慣性回転装置の縦断面図、図14の三角錐形慣性回転装置の平面図、図15の異なる形状の発電機内蔵慣性回転装置の縦断面図、図16の異なる形状の発電機内蔵慣性回転装置の底面図、図17の外殻カプセルを有する慣性回転装置の縦断面図、図18の外殻カプセルを有する慣性回転装置の正面図、図19の外殻カプセルを有する慣性回転装置の平面図、図20の操作ハンドルを有する慣性回転装置の斜視図、図21の操作ハンドルを有する慣性回転装置の斜視図、および、図22の操作ハンドルを分解した慣性回転装置の斜視図に示す事例は何れも、この発明の慣性回転装置における代表的な他の実施例を示すものである。
【0031】
図12に示すように、この発明の慣性回転装置1は、回転軸ボルト4が、自転独楽2と共に回転するよう結合一体化し、同回転軸ボルト4のベース独楽3内に延伸した端部がわに永久磁石からなる発電用回転子50を同心状に設けると共に、該発電用回転子50に対峙するベース独楽3内周壁には導電コイルからなる発電用固定子51を設けて内部発電機5を形成し、当該ベース独楽3先端がわ内部に、該内部発電機5からの導電コイルを図示しない抵抗器を介してLED(発光ダイオード)60に接続して発光回路6を形成し、同ベース独楽3のLED60に対応する外壁に透明合成樹脂製または強化ガラス製の透光窓61を形成したものとしてある。
【0032】
当該ベース独楽3内の発光回路6には、内部発電機5からの導電コイルを抵抗器を介して、図示しない音声再生機およびスピーカーに接続してなる発音回路を追加するか、または、置き換えることが可能であり、該スピーカー(図示せず)に対応する外壁には、スリット状の孔やパンチング孔、メッシュ状孔などからなる透音窓を形成したものとすることができ、また、必要に応じて当該自転独楽2内周壁の適所一箇所か、または、複数適所かの何れかに、大小適切なバランスウエイト23,23,……を装着したものとすることが可能であり、ベース独楽3内にも同様のバランスウエイト(図示せず)を装着したものとすることができる。
【0033】
図13および図14に示すように、この発明の慣性回転装置1は、その自転独楽2を概略円盤形であって中央軸心Cを通る縦断面形が、同中央軸心Cを対称軸として線対称となる二等辺三角形による扁平円錐形状とし、その円錐形先端を球面状に面取りしてあり、同底端20を該中央軸心Cに直交する同心真円形に形成したものとする一方、ベース独楽3は、中央軸心Cを通る縦断面形が、同中央軸心Cを対称軸として線対称となる薄い矩形による円盤状とし、その外周縁が、自転独楽2周縁の周外回りに達して、当該扁平円錐形状に連続する周縁部31を形成したものとした上、当該自転独楽2底端20に中央軸心C上に一致するようナット41を埋設し、ベース独楽3の中央軸心C上に一致するようラジアルボールベアリング(低摩擦軸受け機構)40を介して装着した回転軸ボルト4の先端を該ナット41に螺合し、当該ベース独楽3に対して当該自転独楽2が低摩擦回転自在に一体化してなるものとすることができる。
【0034】
図15および図16に示すように、この発明の慣性回転装置1は、自転独楽2を概略円盤形であって中央軸心Cを通る縦断面形が、同中央軸心Cを対称軸として線対称となる二等辺三角形による扁平円錐形状とし、その円錐形先端を球面状に面取りし、外周縁を端柱状に仕上げたものとしてあり、同底端20を該中央軸心Cに直交する同心真円形に形成したものとする一方、ベース独楽3は、外周が自転独楽2と一致する円柱状であって、その底端30寄り内部には内部発電機5を内蔵し、中央軸心Cに対して直交するよう形成した先端接地平面32に相当する部分には、複数個のLED(発光ダイオード)60、または、帯状あるいは複数個、点在状の有機EL(有機エレクトロ・ルミネッセンス)(図示せず)を、その円筒周壁に沿って均等配置に内蔵した上、それら発光部分60,60,……に対応する外周壁を透明合成樹脂製か、透明強化ガラス製かの何れか一方の透光窓61としたものとなっている。
【0035】
図17ないし図19に示すように、概略砲弾形であって中央軸心Cを通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形の階段状輪郭を有する半球形状とし、同立体形状の底端20を該中央軸心Cに直交する同心真円形とした自転独楽2、および、該自転独楽2と同一寸法形状としたベース独楽3を有し、それら自転独楽2とベース独楽3との夫々を透明合成樹脂製の球形殻体であって、中央軸心Cに一致する上下端に円形露出口80,80を開口すると共に、球形殻体の内部中央に円盤状隔壁81を設け、当該自転独楽2用の収容ドーム部82と、ベース独楽3用収容ドーム部83とを隔離形成してなる外殻カプセル8の各収容ドーム部82,83内に収容した上、当該自転独楽2とベース独楽3との互いの底端20,30を隔壁81を挟んで対峙し、相互一致させた中央軸心C上に、複数個のラジアルボールベアリング(低摩擦軸受け機構)40,40,……を介在した回転軸ボルト4を装着し、ナット41,41で連結し、各自転独楽2およびベース独楽3の各端柱状の球状先端面21,33が、対応する円形露出口80,80から外がわに露出してなるものとした慣性回転装置1をすることができる。
【0036】
図20ないし図22に示すように、中央軸心Cを通る縦断面形が、同中央軸心Cを対称軸として線対称となる小半円形による小半球体とし、同半球体の底端20を該中央軸心Cに直交する同心真円形とした自転独楽2を設けると共に、中央軸心Cを通る縦断面形が、同中央軸心Cを対称軸として線対称となる概略矩形によるドーナツ型大円板形としたベース独楽3を設け、該自転独楽2の底端20外周壁に、ベース独楽3中央の装着孔34を、滑り軸受け(図示せず)を介して互いの中央軸心Cを中心に低摩擦回転自在に一体化し、さらに、ベース独楽3中央の装着孔34から反対がわに、ベース独楽3外壁面よりも没した状態に露出する自転独楽2底端20には、中央軸心C回りに回転自在な低摩擦回転機構22を組み込むと共に、磁石などの吸着機構または着脱嵌合機構90を介在して細長い砲弾形の操作ハンドル9を、互いの中央軸心Cが一致するよう着脱自在に装着可能なものとした慣性回転装置1とすることができる。
【0037】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の慣性回転装置1は何れも、この発明の始動方法に従って誰でも簡単に始動することが可能であり、例えば、図1ないし図3または図4ないし図7の慣性回転装置1を始動する場合には、図7の始動する慣性回転装置の斜視図、図8の始動する慣性回転装置の底面図、図9の垂直姿勢で回転する慣性回転装置の正面図、図10の僅かに傾斜した姿勢で回転する慣性回転装置の正面図、および、図11の自転独楽を接地して回転する慣性回転装置の正面図に示すように、ベース独楽3を確り把持して自転独楽2外周壁面の回転軸心Cから僅かに偏心する適所Tを接地させるよう、回転軸ボルト4(図1ないし図7に示す)を僅かに傾斜させた姿勢で、図7の二点鎖線矢印に示すよう円弧状か、または、図8中の二点鎖線矢印に示すよう直線状かの何れか一方、あるいは、それらを適宜組み合わせるなど任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させ、必要に応じて同様の付勢動作を繰り返すようにして、図7および図8中の各実線矢印に示すように、当該ベース独楽3に対して自転独楽2を安定高速回転させた後、図9または図10に示すように、同高速回転している自転独楽2を上向きに、該ベース独楽3を下向きの姿勢として接地し、該ベース独楽3上配置とした自転独楽2が、各種ベアリング(低摩擦軸受け機構)40,43を有する回転軸ボルト4(図1ないし図7に示す)回りに、低摩擦且つ高速で安定回転するようにしてなるものとすることが可能である。
【0038】
図9に示すように、接地しているベース独楽3は静止しているから、回転軸心Cを垂直にした場合は勿論、図10に示すように、回転軸心Cを任意の角度α傾斜させた場合でも、自転独楽2の低摩擦高速安定回転が維持されて各段に長時間に亘って(現在最長15分間継続回転の記録有り)回転し続けるものとなり、また、図11中に示すように、自転独楽2を接地するようにした場合には、接地面からの摩擦を受けるが、ステンレス製の平滑面に仕上げられたものであるから、硬質なテーブル上などで回転させると、一般的な独楽と同等以上の高速安定回転を得ることができる。
【0039】
(実施例2の作用・効果)
図12に示すように、ベース独楽3内に内部発電機5および発光回路6を設けたものは、前述のように簡単な操作によって該ベース独楽3に対して自転独楽2を高速安定回転させると、その回転に伴って内部発電機5が発電する電力を受けてLED(発光ダイオード)60が発光し、透光窓61を通じて外部を照明可能なものとなって、ボタン電池などが無くとも、自ら発電、発光するものとなり、また、自転独楽2内壁に装着したバランスウエイト23,23,……が、自転独楽2の重量バランスを一段と高精度に調節して、より安定した高速回転を実現化するものとなる。
【0040】
図13および図14に示すように、短尺円錐状の外郭形状に形成した慣性回転装置1は、ベース独楽3の外周縁を確りと把持して、自転独楽2の先端の球面状に面取りされた先端面の、中央軸心Cから僅かに外れた周壁を接地させて、任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させるようにして、誰でも簡単に始動することが可能であり、回転が高速で安定したら、上下を反転させて円形平面状に形成したベース独楽3先端を接地させて置き、自転独楽2の回転を低摩擦抵抗の状態に安定維持することができる。
【0041】
図15および図16に示すように、短尺円錐状の外郭形状に形成した自転独楽2と、円柱形の外郭形状に形成し、適所に内部発電機5および発光回路6を内蔵したベース独楽3とを有する慣性回転装置1は、前述と同様の要領で自転独楽2を安定高速回転させると、ベース独楽3先端接地平面32の内がわに沿って配列された複数個のLED(発光ダイオード)60,60,……が発光するから、同ベース独楽3先端接地平面32を接地するよう置くと、自転独楽2が回転している間に亘って周囲360°を照明可能なものとなり、バッテリーや外部電力などを使わずに自ら発光する照明器具として利用可能となる。
【0042】
図17ないし図19に示すように、球形状の外殻カプセル8内に自転独楽2およびベース独楽3を回転軸ボルト4(中央軸心C)の回りに夫々回転自在に内蔵してあるものは、外殻カプセル8のベース独楽3が内蔵されたがわを把持して、一方の露出口80に露出する自転独楽2球状先端面21の中央軸心Cから僅かに外れた適所を接地させて、任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させるようにして始動することが可能であり、自転独楽2を高速回転させた後に、上下を反転して球状先端面21に触れないよう注意しながら、外殻カプセル8の自転独楽2が内蔵されたがわを把持し、他方の露出口80に露出するベース独楽3球状先端面33の中央軸心Cから僅かに外れた適所を接地させて、任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させるようにして始動させることが可能であり、外殻カプセル8を中央軸心Cが水平になるよう横転した場合であっても、自転独楽2およびベース独楽3は外部から隔離されていて、双方の高速回転を安定維持できる。
【0043】
図20ないし図22に示す慣性回転装置1のもののように、操作ハンドル9を着脱自在に装着したものは、操作ハンドル9を把持して自転独楽2外周壁面の回転軸心Cから僅かに偏心する適所を接地させるよう、滑り軸受け(図示せず)の中心を僅かに傾斜させた姿勢で、直線状または円弧状の任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させ、必要に応じて同様の付勢動作を繰り返すようにして、当該ベース独楽3に対して自転独楽2を安定高速回転させた後、図22中に示すように、操作ハンドル9を着脱嵌合機構90で分離した上、ベース独楽3の接地平面を平置きして、上向きとなった自転独楽2が、滑り軸受け(図示せず)を介して高速安定回転するよう低摩擦状態に支持可能なものとすることができる。
【0044】
(結 び)
叙述の如く、この発明の慣性回転装置、およびその始動方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの独楽技術に比較して各段に低抵抗高速回転が得られる高性能で、誰にでも簡単、即座に始動することができ、部品点数も最小限度に抑えて経済的なものとすることができるから低廉にて製造、提供できる上、耐久性に秀れていて長期間に渡る利用が可能で、発電機能の内蔵によって玩具としての利用に止まらず、さらに多様な応用が期待されるものとなり、従前までの独楽では、回転始動後短時間の中に停止、横転してしまい、子供達にも飽きられ易いという致命的欠点があり、永年に亘って独楽の販売促進が困難な状況にあった玩具業界は固より、さらに高性能な玩具を希望する子供達や、高品質で趣味性や美感に秀れたインテリアの提供を望む大人は勿論のこと、バッテリー不要の小型発電器や、各種インターフェイス、姿勢維持装置などといった様々な製品の開発、利用および応用などを目論む家電業界、電子機器業界、自動車業界ならびに重工業業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図面は、この発明の慣性回転装置、およびその始動方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】慣性回転装置を示す縦断面図である。
【図2】分解した慣性回転装置を示す縦断面図である。
【図3】慣性回転装置を示す正面図である。
【図4】軸構造が異なる慣性回転装置を示す縦断面図である。
【図5】軸構造が異なる慣性回転装置の分解状態を示す縦断面図である。
【図6】慣性回転装置を示す正面図である。
【図7】始動する慣性回転装置を示す斜視図である。
【図8】始動する慣性回転装置を示す底面図である。
【図9】垂直姿勢で回転する慣性回転装置を示す正面図である。
【図10】傾斜姿勢で回転する慣性回転装置を示す正面図である。
【図11】自転独楽を接地して回転する慣性回転装置を示す正面図である。
【図12】発電機内蔵の慣性回転装置を示す縦断面図である。
【図13】三角錐形の慣性回転装置を示す縦断面図である。
【図14】三角錐形の慣性回転装置を示す平面図である。
【図15】異なる形状の発電機内蔵の慣性回転装置を示す縦断面図である。
【図16】異なる形状の発電機内蔵の慣性回転装置の底面図である。
【図17】外殻カプセルを有する慣性回転装置を示す縦断面図である。
【図18】外殻カプセルを有する慣性回転装置を示す正面図である。
【図19】図外殻カプセルを有する慣性回転装置を示す平面図である。
【図20】操作ハンドルを有する慣性回転装置を示す斜視図である。
【図21】別の角度から見た操作ハンドルを有する慣性回転装置を示す斜視図である。
【図22】操作ハンドルを分解した慣性回転装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 慣性回転装置
2 自転独楽
20 同 底端
21 同 球状先端面
22 同 低摩擦回転機構
23 同 バランスウエイト
T 同 接地箇所
3 ベース独楽
30 同 底端
31 同 周縁部
32 同 先端接地平面
33 同 球状先端面
4 回転軸ボルト(回転軸)
40 同 ラジアルボールベアリング(低摩擦軸受け機構)
41 同 ナット
42 同 固定環
43 同 スラストボールベアリング(低摩擦軸受け機構)
C 中央軸心
α 同 傾斜角度
5 内部発電機
50 同 発電用回転子
51 同 発電用固定子
6 発光回路
60 同 LED(発光ダイオード(発光部))
61 同 透光窓(発光部対応外壁)
8 外殻カプセル
80 同 露出口
81 同 隔壁
82 同 収容ドーム部(自転独楽用)
83 同 収容ドーム部(ベース独楽用)
9 操作ハンドル
90 同 着脱嵌合機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砲弾形または円盤形であって中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形、半楕円形、二等辺三角形、または、それら何れかを先端がわ断面形とした短円柱形の何れか一つによる立体形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する同心真円形とした自転独楽を設けると共に、中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形、半楕円形、矩形、または、それら何れかを先端がわ断面形とした短柱形、もしくは、線対称以外で該中央軸心に直角な先端接地平面を有する多角形の何れか一つか、あるいは、それらの組み合わせかの何れか一つの立体形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する扁平形としたベース独楽を設けた上、同ベース独楽底端と当該自転独楽底端とを非接触で近接対峙し、相互一致させた中央軸心上に低摩擦軸受け機構を有する回転軸を組み込み、当該ベース独楽に対して当該自転独楽が低摩擦回転自在に一体化してなるものとした慣性回転装置。
【請求項2】
砲弾形であって中央軸心を通る縦断面形が、同中央軸心を対称軸として線対称となる半円形の半球面形状とし、同立体形状の底端を該中央軸心に直交する同心真円形とした自転独楽を設けると共に、該自転独楽と同一寸法形状の半球面形状、底端を有するベース独楽を設けた上、同ベース独楽底端と当該自転独楽底端とを非接触で近接対峙し、相互一致させた中央軸心上に低摩擦軸受け機構を有する回転軸を組み込み、当該ベース独楽に対して当該自転独楽が低摩擦回転自在に一体化してなるものとした慣性回転装置。
【請求項3】
回転軸が、自転独楽と共に回転するよう結合一体化し、同回転軸のベース独楽内に延伸した端部がわに発電用回転子を同心状に設けると共に、該発電用回転子に対峙するベース独楽内適所には発電用固定子を設けて内部発電機を形成し、当該ベース独楽内適所には、該内部発電機からの発電電力を受けて発光する発光回路および/または発音回路を内蔵した上、同ベース独楽の発光部対応外壁に透光窓を形成し、発音部対応外壁には透音窓を形成してなるものとした、請求項1または2何れか一方記載の慣性回転装置。
【請求項4】
回転軸が、ベース独楽に結合一体化し、同回転軸の自転独楽内に延伸した端部がわに発電用固定子を同心状に設けると共に、該発電用固定子に対峙する自転独楽内適所には発電用回転子を設けて内部発電機を形成し、当該自転独楽内適所には、該内部発電機からの発電電力を受けて発光する発光回路および/または発音回路を内蔵した上、同自転独楽の発光部対応外壁に透光窓を形成し、発音部対応外壁には透音窓を形成してなるものとした、請求項1または2何れか一方記載の慣性回転装置。
【請求項5】
ベース独楽を確り把持し、自転独楽外周壁面の回転軸心から僅かに偏心する適所を接地させるよう、回転軸を僅かに傾斜させた姿勢で、直線状または円弧状の任意の接地軌道を描くよう素早く転動移動させ、必要に応じて同様の付勢動作を繰り返すようにして、当該ベース独楽に対して自転独楽を安定高速回転させた後、同高速回転している自転独楽を上向きに、該ベース独楽を下向きの姿勢として接地し、該ベース独楽上配置とした自転独楽が、低摩擦軸受け機構を有する回転軸回りに、低摩擦且つ高速で安定回転するようにしてなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の慣性回転装置の始動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−125579(P2011−125579A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288513(P2009−288513)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(509349185)
【Fターム(参考)】