説明

扁平状温調具とそれを用いた掛け布団及び衣類

【課題】布団や衣類等に対する扁平状基材の取付け作業に容易化と管状部材の配設作業の能率化を促進しながら、冷却又は加熱の立ち上がり性能の向上と放熱・放冷効率の向上及び縦横方向での温度分布の均一化とを図る。
【解決手段】可撓性のある扁平状基材1の表面1aに、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材2が、それの少なくとも一部を扁平状基材1の表面1a側に突出させた状態で配設されているとともに、前記管状部材2の突出部位に接触する状態で該管状部材2を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材3が、前記扁平状基材1の表面1aに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トラックの車内において横臥状態で仮眠する場合、或いは、高温の雰囲気下で作業に従事する場合等において快適な環境を現出することのできる扁平状温調具及びそれを用いた掛け布団及び衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の扁平状温調具としては、弾性変形可能なスポンジ材製のマットの表面に凹部を形成し、この凹部の底面には、熱媒流体の流路を構成する管状部材の配設パターンに相当する配設形状で、且つ、前記管状部材の外径よりも大なる深さの配設溝を形成するとともに、前記マットの配設溝内に沿って前記管状部材を配設し、前記マットの凹部には、前記配設溝の開口を含めた凹部の底面全体を覆う通気性のあるカバーが、着脱自在に装着されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3029094号公報
【特許文献2】実開平7−39616号公報
【特許文献3】特開2006−255010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の扁平状温調具では、前記マットの凹部に形成された配設溝に沿って管状部材を配設するため、管状部材を所定の配設パターンで容易に配設することができるとともに、この管状部材をスポンジ材製のマットで保護することができる利点を有する。その反面、前記配設溝が管状部材の外径よりも大なる深さで形成され、且つ、この配設溝の開口を含めた凹部の底面全体を通気性のあるカバーで覆うため、前記熱媒流体が流動する管状部材との熱交換によって冷却又は加熱された配設溝内の空気が通気性のあるカバーを通して外部に自然対流で拡散することになり、冷却又は加熱の立ち上がり性能が低下するとともに、マットの縦横方向での温度分布にバラツキを生じ易い。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その第1・第2の課題は、布団や衣類等に対する扁平状基材の取付け作業に容易化と管状部材の配設作業の能率化を促進しながら、冷却又は加熱の立ち上がり性能の向上と放熱・放冷効率の向上及び縦横方向での温度分布の均一化とを図ることのできる扁平状温調具を提供する点にあり、さらに、第3・第4の課題は、扁平状温調具を用いて快適な睡眠環境及び快適な作業(着衣)環境を効率良く簡易に現出することのできる掛け布団及び衣類を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1の特徴構成は、可撓性のある扁平状基材の表面に、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材が、それの少なくとも一部を扁平状基材の表面側に臨ませた状態で配設されているとともに、前記管状部材における扁平状基材の表面側に臨む部位に接触する状態で該管状部材を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材が、前記扁平状基材の表面に設けられている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、可撓性を備えた扁平状基材の表面に、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材を配設することにより、この管状部材によって布団や衣類等に取付け易い扁平状基材の可撓性を損なうことを抑制することができるとともに、管状部材自体の可撓性を利用して配設作業の能率化を図ることができる。
【0008】
さらに、前記管状部材における扁平状基材の表面側に臨む部位に接触する状態で該管状部材を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材を、前記扁平状基材の表面に設けることにより、管状部材の露出部位との直接接触によって授受した冷熱又は温熱を、放熱・放冷用被覆材を介して扁平状基材の表面方向に沿って効率良く伝播することができる。
【0009】
したがって、布団や衣類等に対する扁平状基材の取付け作業の容易化と管状部材の配設作業の能率化を促進しながら、冷却又は加熱の立ち上がり性能及び放熱・放冷効率の向上を図ることができるとともに、縦横方向での温度分布の均一化を図ることができる。
【0010】
本発明による第2の特徴構成は、可撓性のある扁平状基材の表面に、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材が、それの少なくとも一部を扁平状基材の表面側に突出させた状態で配設されているとともに、前記管状部材の突出部位に接触する状態で該管状部材を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材が、前記扁平状基材の表面に設けられている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、可撓性を備えた扁平状基材の表面に、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材を配設することにより、この管状部材によって布団や衣類等に取付け易い扁平状基材の可撓性を損なうことを抑制することができるとともに、管状部材自体の可撓性を利用して配設作業の能率化を図ることができる。
【0012】
さらに、管状部材の少なくとも一部が扁平状基材の表面側に突出することによって、扁平状基材の表面側での放熱・放冷表面積を増加することができるとともに、この管状部材の突出部位に接触する状態で該管状部材を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材を、前記扁平状基材の表面に設けることにより、管状部材の突出部位との直接接触によって授受した冷熱又は温熱を、放熱・放冷用被覆材を介して扁平状基材の表面方向に沿って効率良く伝播することができる。
【0013】
したがって、布団や衣類等に対する扁平状基材の取付け作業の容易化と管状部材の配設作業の能率化を促進しながら、冷却又は加熱の立ち上がり性能及び放熱・放冷効率の向上を図ることができるとともに、縦横方向での温度分布の均一化を図ることができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記扁平状基材が弾性変形可能な弾性発泡樹脂から構成されているとともに、前記扁平状基材の表面には、前記管状部材の配設パターンに対応する配設形状で、且つ、前記管状部材の外径よりも浅い深さの配設溝が形成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、前記扁平状基材の表面に形成された管状部材の外径よりも浅い配設溝に沿って管状部材を配設するため、管状部材の突出部位との直接接触によって授受した冷熱又は温熱を、放熱・放冷用被覆材を介して扁平状基材の表面方向に沿って効率良く伝播しながらも、管状部材を所定の配設パターンで容易に配設することができるとともに、この管状部材を弾性変形可能な弾性発泡樹脂製の扁平状基材で保護することができる。
【0016】
本発明による第4の特徴構成は、前記放熱・放冷用被覆材がシート状又は膜状に構成され、前記管状部材の突出部位の全面に接触する状態で前記扁平状基材の表面全域に設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、シート状又は膜状の放熱・放冷用被覆材を管状部材の突出部位における前面の曲面に沿って確実・容易に被覆することができるとともに、前記放熱・放冷用被覆材の放熱表面積の増加と扁平状基材の表面全域での温度分布の均一化とを図ることができる。
【0018】
本発明による第5の特徴構成は、前記扁平状基材の裏面には、シート状又はマット状に形成された断熱発泡体が設けられている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、前記扁平状基材の裏面に設けられたシート状又はマット状の断熱発泡体により、扁平状基材の裏面側での放熱ロスを抑制しいて、放熱・放冷用被覆材による放熱効率の向上を図ることができる。
【0020】
本発明による第6の特徴構成は、前記扁平状基材と管状部材及び放熱・放冷用被覆材を密封状態で内装する袋状の外装フイルムが設けられているとともに、前記外装フイルムの内部が脱気されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、前記管状部材の変形・破損に起因する熱媒流体の漏洩を袋状の外装フイルムで防止しながらも、この外装フイルム内の空気を外部に排出することにより放熱・放冷用被覆材による放熱・放冷効率の向上を図ることができる。
【0022】
本発明による第7の特徴構成は、前記管状部材には、熱媒流体の流入用接続口部と流出用接続口部とが備えられているとともに、前記管状部材が、前記流入用接続口部から流入した熱媒流体を扁平状基材の外周縁側から中心側に向かって渦巻き状に流動案内する往行用管状体と、当該往行用管状体に連続して熱媒流体を扁平状基材の中心側から外周縁側に向かって渦巻き状に流動案内したのち前記流出用接続口部に導く復行用管状体から構成されている点にある。
【0023】
前記管状部材の流入用接続口部に流入した熱媒流体は、管状部材の往行用管状体に沿って扁平状基材の外周縁側から中心側に向かって渦巻き状に流動案内されたのち、管状部材の復行用管状体に沿って扁平状基材の中心側から外周縁側に向かって渦巻き状に流動案内され、前記流出用接続口部に導かれる。
そのため、管状部材の往行用管状体においては、扁平状基材の外周縁側から中心側に向かって次第に熱媒流体の放熱量が低下し、管状部材の復行用管状体においては、扁平状基材の中心側から外周縁側に向かって次第に熱媒流体の放熱量が低下するため、扁平状基材の全体における温度分布の均一化を図ることができる。
【0024】
本発明による第8の特徴構成は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の扁平状温調具が下面側に付設されている掛け布団である点にある。
【0025】
例えば、トラックの車内において横臥状態で仮眠する際、前記扁平状温調具の放熱・放冷用被覆材との熱交換で冷却又は加温された布団内の空気によって快適な睡眠環境を効率良く簡易に現出することができる。
【0026】
本発明による第9の特徴構成は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の扁平状温調具が内面側に付設されている衣類である点にある。
【0027】
例えば、高温の雰囲気下で作業に従事する場合、上着や帽子等の衣類に設けた扁平状温調具の放熱・放冷用被覆材との熱交換によって、衣類の身体側に存在する空気を冷却又は加温することにより、衣類の身体側において快適な作業(着衣)環境を効率良く簡易に現出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態を示す空調装置の分解斜視図である。
【図2】扁平状温調具の拡大断面図ある。
【図3】扁平状温調具の扁平状温調具を示す平面図である。
【図4】空調装置を適用した掛け布団の斜視図である。
【図5】空調装置を適用したトラックの車内の側面図である。
【図6】空調装置を適用した衣類の斜視図である。
【図7】空調装置の第2実施形態を示す扁平状温調具の拡大断面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
図1〜図3に示す空調装置は、熱媒流体を循環流動層させるための流路を備えた扁平状温調具Aと、該扁平状温調具Aに熱媒流体を循環供給する熱媒流体供給手段Bとから構成されている。
【0030】
前記扁平状温調具Aは、弾性変形可能な弾性発泡樹脂の一例であるウレタンフォーム製で矩形の薄板状に構成された可撓性のある扁平状基材1の表面1aに、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材の一例である軟質合成樹脂製の熱媒ホース2が、それの少なくとも一部を扁平状基材1の表面1a側に突出させた状態で配設されているとともに、前記熱媒ホース2の突出部位となる上側管状部2aの外周面全域に接触する状態で該熱媒ホース2の熱交換部(熱媒ホース2をもって構成される放熱・放冷部)を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材の一例であるアルミ箔3が、前記扁平状基材1の表面1aの全域に密着状態で設けられている。
【0031】
前記扁平状基材1の表面1aには、前記熱媒ホース2の熱交換部での配設パターンに対応する渦巻き状の配設形状で、且つ、前記熱媒ホース2の外径よりも浅く、半径よりも深い配設溝4が形成されているとともに、前記配設溝4の開口幅が、熱媒ホース2の外径よりも短い寸法に構成されている。
【0032】
そのため、前記熱媒ホース2の熱交換部を扁平状基材1の配設溝4に装着する場合には、この扁平状基材1の弾性復元力に抗して配設溝4の開口を押し広げながら装着することになり、装着状態では熱媒ホース2の外周面が配設溝4の内周面に密着して挾持保持されている。
【0033】
また、前記扁平状基材1の裏面には、当該扁平状基材1と同じ大きさでシート状又はマット状に形成された断熱性に優れた発泡樹脂の一例である発泡ポリエチレン製の断熱発泡体5が設けられ、この断熱発泡体5の裏面全体には、防水層を構成するアルミ蒸着フイルム6がラミネート加工により形成されている。
【0034】
さらに、前記配設溝4に沿って熱媒ホース2が配設され、且つ、熱媒ホース2に接触する状態で表面1a全域をアルミ箔3で被覆してある扁平状基材1と、裏面側にアルミ蒸着フイルム6がラミネートされている断熱発泡体5とを一体化してある組み物を、バリア性に優れた合成樹脂製の袋状の外装フイルム7内に入れ、この外装フイルム7の内部を減圧状態又は真空状態に脱気した状態で当該外装フイルム7の開口部をヒートシール機による熱融着等の適宜密封手段で密封する。
【0035】
前記熱媒ホース2には、熱媒流体の流入用接続口部8と流出用接続口部9とが備えられているとともに、前記熱媒ホース2が、前記流入用接続口部8から流入した熱媒流体を扁平状基材1の外周縁側から中心側に向かって渦巻き状に流動案内する往行用管状体である往行用ホース体2Aと、当該往行用ホース体2Aに連続して熱媒流体を扁平状基材1の中心側から外周縁側に向かって渦巻き状に流動案内したのち前記流出用接続口部9に導く復行用管状体である復行用ホース体2Bとから構成されている。
【0036】
前記扁平状基材1の配設溝4は、前記熱媒ホース2の往行用ホース体2Aを渦巻き状に四回巻回するための矩形相似形の往行用環状溝部4Aと、前記熱媒ホース2の復行用ホース体2Bを渦巻き状に四回巻回するための矩形相似形の復行用環状溝部4Bと、四つの往行用環状溝部4A及び四つの復行用環状溝部4Bを一連の流路形成溝に連通接続する接続溝部4Cとから構成されている。
【0037】
前記熱媒流体供給手段Bの可搬式の断熱容器11は、一般の保冷ボックスと同様、蓋部11A及び容器本体11Bの外壁材に断熱材を使用して収容物の放冷や放熱を抑制するようにしたものであり、容器本体11Bの底部に設けた制御ケース10には、容器本体11Bの内部空間Sから熱媒流体としての水Wを吐出するポンプP、当該ポンプPの駆動源となる電源電池14と、前記ポンプPからの熱媒流体としての水Wを取り出すための取出側接続口部12と、一巡した熱媒流体としての水Wを容器本体11Bの内部空間S内に戻すための戻し側接続口部13とが設けられている。
【0038】
前記制御ケース10の取出側接続口部12に脱着自在に接続された往行用接続ホース16の先端部、及び、前記制御ケース10の戻し側接続口部13に脱着自在に接続された復行用接続ホース17の先端部には、前記熱媒ホース2の流入用接続口部8及び流出用接続口部9に対して脱着自在に接続される往行用接続具18及び復行用接続具19が設けられている。
【0039】
上述の如く構成された空調装置では、次の(イ)、(ロ)の運転を選択的に実施する。
(イ)氷使用の冷風運転
前記断熱容器11に冷熱源としての氷Iを収容しておき、また、前記制御ケース10の取出側接続口部12から導出された往行用接続ホース16の先端側の往行用接続具18を、前記熱媒ホース2の流入用接続口部8に接続するとともに、前記制御ケース10の戻し側接続口部13から導出された復行用接続ホース17の先端側の復行用接続具19を、前記熱媒ホース2の流出用接続口部9に接続する。
【0040】
この状態で前記制御ケース10のポンプPを運転することにより、前記断熱容器11の内部空間Sに貯留されている冷水W(断熱容器11内での氷Iの融解水)を、往行用接続ホース16、熱媒ホース2の往行用ホース体2A、復行用ホース体2B、復行用接続ホース17を介して循環させて、断熱容器11の収容氷Iから熱媒ホース2の熱交換部に冷熱を送る状態にし、この冷熱により熱交換部でアルミ箔3を冷却することで、冷却の立ち上がり性能及び放冷効率の向上を図ることができるとともに、縦横方向での温度分布の均一化を図ることができる。
【0041】
(ロ)温水使用の温風運転
前記断熱容器11の内部に電気ヒータをセットした状態で前記断熱容器11に水W又は温熱源としての温水Wを収容しておき、また、前記制御ケース10の取出側接続口部12から導出された往行用接続ホース16の先端側の往行用接続具18を、前記熱媒ホース2の流入用接続口部8に接続するとともに、前記制御ケース10の戻し側接続口部13から導出された復行用接続ホース17の先端側の復行用接続具19を、前記熱媒ホース2の流出用接続口部9に接続する。
この状態で前記制御ケース10のポンプPを運転することにより、前記断熱容器11の内部空間Sから往行用接続ホース16、熱媒ホース2の往行用ホース体2A、復行用ホース体2B、復行用接続ホース17を介して温水W(すなわち、水から電気ヒータにより加熱生成した温水、又は、電気ヒータにより保温した温水)を循環させて、断熱容器11の収容温水Wから熱媒ホース2の熱交換部に温熱を送る状態にし、この温熱により熱交換部でアルミ箔3を冷却することで、加熱の立ち上がり性能及び放熱効率の向上を図ることができるとともに、縦横方向での温度分布の均一化を図ることができる。
【0042】
そして、図4及び図5は、上述の如く構成された扁平状温調具Aを掛け布団(敷き布団や毛布等の寝具類に扁平状温調具Aを付設することは可能である)20の下面側(内面側)に脱着可能に付設するとともに、この扁平状温調具Aを覆う繊維製のカバー21を脱着自在に取付ける。
【0043】
例えば、図5に示すように、トラックCの車内後部に配設されたベッド22おいて横臥状態で仮眠する場合、このベッド22の上面との間に人の胴体が余裕を持って入り込み可能な空間を形成する状態で、特に、前記掛け布団20の内面に設けられた扁平状温調具Aと横臥姿勢の身体との間に空調空間を現出する状態で前記掛け布団20を吊り紐23で吊り下げ支持する。
【0044】
トラックCの車内口部のベッド22において横臥状態で仮眠する際、前記扁平状温調具Aの放熱・放冷用被覆材(例えば、アルミ箔)3との熱交換で冷却又は加温された掛け布団20内の空気によって快適な睡眠環境を効率良く簡易に現出することができる。
【0045】
尚、図4及び図5において、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0046】
次に、図6は、上述の如く構成された扁平状温調具Aを衣類(身体に装着されるものを全て含む)の一例である上着25のポッケット25A及び帽子26のポッケット26Aの各々に脱着自在に装着したものである。
【0047】
この実施形態の場合、前記制御ケース10の取出側接続口部12から導出された往行用接続ホース16及び制御ケース10の戻し側接続口部13から導出された復行用接続ホース17は、その途中に設けた三方弁27により、上着(作業服やレインコート、耐熱服,耐寒服等でも可能)25のポッケット25Aに装着される扁平状温調具Aに熱媒流体を循環供給する系統と、帽子(作業帽やヘルメット等でも可能)26のポッケット26Aに装着される扁平状温調具Aに熱媒流体を循環供給する系統とに分岐構成されている。
【0048】
そして、例えば、高温の雰囲気下で作業に従事する場合、上着25や帽子26等の衣類に設けた扁平状温調具Aの放熱・放冷用被覆材(例えば、アルミ箔)3との熱交換によって、衣類の身体側に存在する空気を冷却又は加温することにより、衣類の身体側において快適な作業(着衣)環境を効率良く簡易に現出することができる。
【0049】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0050】
〔第2実施形態〕
図7に示すように、前記扁平状基材1の表面1aには、前記熱媒ホース2の熱交換部での配設パターンに対応する渦巻き状の配設形状で、且つ、前記熱媒ホース2の外径と同一深さの配設溝4が形成されるとともに、前記配設溝4の開口幅が、熱媒ホース2の外径と同一寸法に構成されている。
【0051】
そして、前記熱媒ホース2における扁平状基材1の表面1a側に臨む部位2aに接触する状態で該熱媒ホース2を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材の一例であるアルミ箔3が、前記扁平状基材1の表面1aに設けられている。
【0052】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0053】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記断熱容器11に収容した氷Iの融解水W(冷水)や収容温水Wを直接に扁平状温調具Aの管状部材2に対し循環させる例を示したが、これに代え、扁平状温調具Aの管状部材2に対して循環させる熱媒流体W(例えば水)を断熱容器11内の収容物I(例えば、氷とその融解水)と熱交換させる容器側熱交換器を断熱容器11に設けた構造にし、これにより、扁平状温調具Aの管状部材2に対する熱媒流体の循環系と断熱容器11の収容部とを物質的に縁を切った構成にしてもよい。
【0054】
(2)上述の各実施形態では、冷熱源として断熱容器11に氷Iを収容したが、冷物質は氷に限られるものではなく、ドライアイスや冷却固化させた潜熱蓄熱剤などであってもよく、また、温熱源として断熱容器11に収容する温物質も温水に限られるものではなく、加熱融解させた潜熱蓄熱剤などであってもよい。
【0055】
(3)前記扁平状温調具Aの管状部材2と断熱容器11との間で循環流動させる熱媒流体Wは水に限られるものではなく、不凍液などの各種液体であってもよく、また、冷熱源としてドライアイスを断熱容器11に収容する場合などでは、炭酸ガスなどの気体を熱源流体Wとして扁平状温調具Aの管状部材2と断熱容器11との間で循環させるようにしてもよい。
【0056】
(4)前記扁平状温調具Aの管状部材2の配設パターンは、上述の実施形態の配設パターンに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0057】
(5)前記扁平状温調具Aを構成する扁平状基材1、管状部材2、放熱・放冷用被覆材3、断熱発泡体5の各形状、材質、合わせ構造は前述の実施形態で示した構造に限らず、種々の変更が可能である。
【0058】
(6)前記熱媒流体供給手段Bとしても前述の実施形態で示した構造に限らず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 扁平状基材
1a 表面
2 管状部材(熱媒ホース)
2A 往行用管状体(往行用ホース体)
2B 復行用管状体(復行用ホース体)
3 放熱・放冷用被覆材(アルミ箔)
4 配設溝
5 断熱発泡体
7 外装フイルム
8 流入用接続口部
9 流出用接続口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある扁平状基材の表面に、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材が、それの少なくとも一部を扁平状基材の表面側に臨ませた状態で配設されているとともに、前記管状部材における扁平状基材の表面側に臨む部位に接触する状態で該管状部材を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材が、前記扁平状基材の表面に設けられている扁平状温調具。
【請求項2】
可撓性のある扁平状基材の表面に、熱媒流体の流路を構成する可撓性の管状部材が、それの少なくとも一部を扁平状基材の表面側に突出させた状態で配設されているとともに、前記管状部材の突出部位に接触する状態で該管状部材を被覆する熱伝導性に優れた放熱・放冷用被覆材が、前記扁平状基材の表面に設けられている扁平状温調具。
【請求項3】
前記扁平状基材が弾性変形可能な弾性発泡樹脂から構成されているとともに、前記扁平状基材の表面には、前記管状部材の配設パターンに対応する配設形状で、且つ、前記管状部材の外径よりも浅い深さの配設溝が形成されている請求項1又は2記載の扁平状温調具。
【請求項4】
前記放熱・放冷用被覆材がシート状又は膜状に構成され、前記管状部材の突出部位の全面に接触する状態で前記扁平状基材の表面全域に設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の扁平状温調具。
【請求項5】
前記扁平状基材の裏面には、シート状又はマット状に形成された断熱発泡体が設けられ、この断熱発泡体の裏面には防水層が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の扁平状温調具。
【請求項6】
前記扁平状基材と管状部材及び放熱・放冷用被覆材を密封状態で内装する袋状の外装フイルムが設けられているとともに、前記外装フイルムの内部が脱気されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の扁平状温調具。
【請求項7】
前記管状部材には、熱媒流体の流入用接続口部と流出用接続口部とが備えられているとともに、前記管状部材が、前記流入用接続口部から流入した熱媒流体を扁平状基材の外周縁側から中心側に向かって渦巻き状に流動案内する往行用管状体と、当該往行用管状体に連続して熱媒流体を扁平状基材の中心側から外周縁側に向かって渦巻き状に流動案内したのち前記流出用接続口部に導く復行用管状体から構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の扁平状温調具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の扁平状温調具が下面側に付設されている掛け布団。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の扁平状温調具が内面側に付設されている衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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