説明

扁平錠剤の外観検査装置

【解決手段】 搬送ベルト1,2上に搬送方向に沿って形成された不良品レーン41と、該不良品レーンから分岐して形成された良品レーン42と、これら不良品レーンと良品レーンとの分岐部に設けられ、搬送ベルト上の扁平錠剤を上記不良品レーンから良品レーンへと移動させる選別手段45とを具備してなり、良否判定部の判定結果に基づいて、外観不良の無い良品錠剤を上記選別手段により不良品レーンから良品レーンへと導入して扁平錠剤を良品錠剤と不良錠剤とに分別することを特徴とする扁平錠剤の外観検査装置。
【効果】 不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率を限りなく低くすることができ、極めて信頼性の高い検査を行うことができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平錠剤を搬送ベルト上に載置して搬送すると共に、搬送途中で扁平錠剤を撮影して扁平錠剤の画像を取り込み、その画像を画像処理して外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて良品錠剤と不良錠剤とに分別する扁平錠剤の外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、錠剤に異物の付着や汚れ、欠けや割れ等の変形、或いは印刷不良などの欠陥が生じていないかを検査する外観検査は、外観検査装置を用いて自動的に行われている。
【0003】
従来、扁平形状の錠剤(以下、「扁平錠剤」という)の外観検査を行う装置としては、複数の搬送ドラムを互いの外周面を近接させた状態に配置し、これら搬送ドラムの外周面に扁平錠剤を保持して各ドラム間で受け渡しを行いながら扁平錠剤を搬送すると共に、その搬送途中で表裏面を反転させるなどの姿勢変換を行い、搬送途中で各姿勢の錠剤を撮影して画像を取り込み、その画像を画像処理して外観不良の有無を検査し、更にその検査結果に基づいて、外観不良の無い良品錠剤と外観不良を有する不良錠剤とを分別し回収するように構成された外観検査装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、搬送ドラムの表面に錠剤を保持し、複数の搬送ドラム間で受け渡しを行うことにより、錠剤を搬送すると共に錠剤の姿勢を変換するように構成された装置の場合、錠剤をドラム表面に吸着保持するための吸引機構などをドラム内部の非常に狭い領域に構成する必要があると共に、ドラム間での受け渡しのためにその吸引操作を高度に制御する必要もあり、更に複数のドラムによる搬送は、必然的に搬送経路が非常に複雑になり、各ドラムの回転速度や同期調整などに極めて高度な制御が必要となって、装置が高度に複雑化しやすいという欠点がある。
【0005】
また、搬送ドラム間での受け渡し操作は、錠剤に大きな負荷を与えることになり、錠剤に欠けや割れが発生しやすい。この場合、欠けや割れの発生は、当該錠剤が不良品となるだけでなく、発生した欠片や粉末が正常な錠剤に付着することにより、正常な錠剤が不良品として検出されてしまう虞もある。
【0006】
更に、このような自動検査装置の場合、不良と判定された錠剤の除去率を100%とすることは非常に困難であり、不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率を限りなく0%に近づけることが大きな課題の1つとなっている。
【0007】
一方、無端ベルトが循環回転する搬送ベルト上に扁平錠剤を載置保持して搬送するように構成された外観検査装置も知られている(例えば、下記特許文献2参照)。
【0008】
このような、ベルト搬送を行う装置では、上記ドラム搬送の場合に比べて搬送経路が単純となり、また搬送中に錠剤に加わる負荷もドラム搬送の場合に比べて小さいものとすることができ、錠剤破損の不都合が生じにくい。
しかしながら、このようなベルト搬送を行う装置の場合でも、不良錠剤除去率の課題はドラム搬送の場合と同様であり、不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率をより低くして、より信頼性の高い検査を行うことができる装置の開発が望まれる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−33392号公報
【特許文献2】特開平9−288061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、扁平錠剤を比較的単純な搬送経路で搬送し、煩雑な姿勢変換操作や受け渡し操作を要することなく、比較的単純な機構で扁平錠剤を搬送しながら外観検査を行うことができ、しかも不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率を可及的に低くして、より信頼性の高い検査を行うことができる扁平錠剤の外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、無端ベルトが循環回転することにより、表面に載置された扁平錠剤を搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルト上に扁平錠剤を平伏状態で供給して、該搬送ベルト上に扁平錠剤を載置する錠剤供給部と、該搬送ベルト上に載置された扁平錠剤を撮影して、該扁平錠剤の画像を取り込む撮像装置と、取り込んだ画像を画像処理して外観不良の有無を判定する良否判定部と、上記搬送ベルト上の扁平錠剤を良品錠剤と不良錠剤とに分別する分別手段とを具備し、上記錠剤供給部から扁平錠剤を上記搬送ベルト上に供給して、該扁平錠剤を搬送ベルト上に整列載置し、該扁平錠剤を搬送ベルトで連続的に搬送すると共に、その搬送途中で上記撮像装置により撮影して該扁平錠剤の画像を取り込み、取り込んだ画像を上記良否判定部で画像処理して外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて上記分別手段により良品錠剤と不良錠剤とに分別する扁平錠剤の外観検査装置において、上記分別手段が、上記搬送ベルト上に搬送方向に沿って形成された不良品レーンと、該不良品レーンから分岐して形成された良品レーンと、これら不良品レーンと良品レーンとの分岐部に設けられ、搬送ベルト上の扁平錠剤を上記不良品レーンから良品レーンへと移動させる選別手段とを具備してなり、上記良否判定部の判定結果に基づいて、外観不良の無い良品錠剤を上記選別手段により不良品レーンから良品レーンへと導入して扁平錠剤を良品錠剤と不良錠剤とに分別することを特徴とする扁平錠剤の外観検査装置を提供する。
【0012】
即ち、本発明の外観検査装置は、搬送ベルト上に検査対象の扁平錠剤を整列載置して搬送し、その搬送途中で扁平錠剤を撮影してその画像を取り込み、その画像を画像処理して外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて外観不良の無い良品錠剤と外観不良を有する不良錠剤とを分別するものであり、搬送ベルト上に扁平錠剤を整列載置して、該錠剤を直線的に搬送し、その搬送中に画像の取り込み、良否判定、分別操作を行うように構成されているため、ドラム搬送の場合に比べて単純な搬送経路で錠剤を搬送し、煩雑な姿勢変換操作や受け渡し操作を要することなく、比較的単純な機構で扁平錠剤の外観検査を行うことができる。
【0013】
更に、本発明の外観検査装置では、上記のように、搬送ベルト上に形成した不良品レーンと良品レーンとに、それぞれ良品錠剤と不良錠剤とを分別するようになっている。この場合、不良錠剤が導入される不良品レーンが搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられており、搬送ベルト上を搬送される全ての錠剤は一旦この不良品レーンへと導入され、良否判定部の判定結果に基づいて良品錠剤がこの不良品レーンから分岐した上記良品レーンへと選別手段によって移動し、良品錠剤はこの良品レーン内を搬送され、不良錠剤はそのまま不良品レーン内を搬送されて、良品錠剤と不良錠剤が分別されるようになっている。
【0014】
即ち、本発明の外観検査装置では、搬送ベルトによる搬送方向から不良錠剤を方向移動させて良品錠剤と不良錠剤とを分別するのではなく、搬送ベルトによる搬送方向に沿って設けられた不良品レーンから良品錠剤を上記選別手段により移動させて、該不良品レーンから分岐して設けられた良品レーンへと導入し良品錠剤と不良錠剤とを分別するようになっている。従って、選別手段による分別動作の同期不良や動作不良などが発生して分別動作が正確に行われなかった場合でも良品錠剤が不良品レーンから方向移動せずにそのまま不良品レーンを流れて、回収された不良錠剤の中に良品錠剤が混入するだけで、良品錠剤として回収した錠剤群中に不良錠剤が混入することは無い。
よって、選別手段による分別動作の同期不良や動作不良によって不良錠剤が良品錠剤中に混入することを確実に防止することができ、不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率を低下させて、検査の信頼性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の外観検査装置には、上記不良品レーン上に、上記分岐部よりも下流側に存して、不良錠剤の通過を検出する錠剤通過センサーを設け、上記良否判定部により不良錠剤が検出されたにもかかわらず、該錠剤通過センサーにより不良錠剤の通過が検出されなかった場合に、上記錠剤供給部による扁平錠剤の供給を停止すると共に、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出して回収するように構成することができる。
更にこの場合、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出する機構として、上記搬送ベルトの少なくとも下流側の一部を下方へとスイングするように構成し、上記錠剤通過センサーにより不良錠剤の通過が検出されなかった場合に、この搬送ベルトの下流側を下方へとスイングさせて、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出するように構成することができる。
これにより、検査の信頼性を更に向上させることができる。
【0016】
即ち、上記不良品レーンと良品レーンと選別手段とで構成された分別手段によって、分別動作が正確に行われなかった場合の不良錠剤の混入は確実に防止することができるが、外観不良が検出された不良錠剤であるにもかかわらず、選別手段の誤動作やその他の不都合の発生によってこの不良錠剤が良品レーンへと移動してしまった場合には、上記分別手段の構成のみでは、不良錠剤が良品錠剤に混入してしまうことになる。このような誤動作等の不都合の発生は、処理能力を低めに調整することなどによって、ほとんど場合は防止することができるが、不良錠剤が混入する虞がある限り、その可能性をより低くすることが強く望まれる。
これに対し、本発明では、上記のように、錠剤通過センサーを不良品レーン下流側に設けると共に、全ての錠剤を系外へと排出する機構を設けることにより、不良錠剤が検出されたにもかかわらず該錠剤通過センサーにより不良錠剤の通過が検出されなかった場合、即ち不良錠剤が良品錠剤から確実に分別されたことが確認されなかった場合には、分別動作及び検査動作を中止して、搬送ベルト上の錠剤の全てを系外に排出し、不良錠剤が混入した虞がある錠剤群を系外に除去することができ、検査の信頼性を更に向上させることができるものである。
【0017】
更にこの場合、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出する機構として、上記のように、搬送ベルトの少なくとも下流側の一部を下方へとスイングするように構成することによって、搬送ベルト上から錠剤を排除するための煩雑な機構や特別な装置を別途設ける必要なく、比較的簡単な機構によって搬送ベルト上の全ての錠剤を確実に系外へと排出することができるものである。
【0018】
なお、このようにして系外へと排出された錠剤群は、回収して再び外観検査に供すればよい。
【0019】
また、本発明の外観検査装置は、上記搬送ベルトとして、第1搬送ベルトと第2搬送ベルトとを設け、かつ両搬送ベルトに対してそれぞれ上記撮像装置、良否判定部及び分別手段を設けると共に、上記第1搬送ベルトと第2搬送ベルトとの間に、上記良品レーンからの良品錠剤を表裏反転させる錠剤反転手段を設け、かつ上記錠剤供給部として、ランダムに供給される扁平錠剤を平伏状態に姿勢制御して上記第1搬送ベルト上に供給し、該第1搬送ベルト上に扁平錠剤を整列載置する第1供給部と、上記錠剤反転手段によって表裏反転した扁平錠剤を所定速度で上記第2搬送ベルト上に供給し、該第2搬送ベルト上に表裏反転した扁平錠剤を整列載置する第2供給部とを設けることができる。
これにより、上記第1搬送ベルトから第2搬送ベルトへと受け渡す際に、扁平錠剤を表裏反転させて錠剤の両面を確実に外観検査することができ、更に第1搬送ベルト上での表面検査、及び第2搬送ベルト上での裏面検査において、それぞれ上述した信頼性の高い検査を行うことができるものである。
【0020】
更にこの場合、上記第1搬送ベルト上での画像の取り込み、又は第2搬送ベルト上での画像の取り込みを行う2つの撮像装置の内の少なくとも一方を、好ましくは両方を凹面レンズを用いた二次元カメラとし、扁平錠剤の表面又は裏面と周側面部(以下、側面という)とが展開した画像を取り込むようにすることもできる。これにより、扁平錠剤の側面の画像を表面又は裏面の画像と同時に取り込み、錠剤の表裏両面及び側面全周の錠剤全面を外観検査することができる。
【0021】
ここで、扁平錠剤を表裏反転させる上記錠剤反転手段としては、例えば、第1搬送ベルトから第2搬送ベルトへと下降傾斜して配置された微振動する基板上に、第1搬送ベルト側から第2搬送ベルト側へと断面形状が漸次変化する錠剤反転溝を形成した反転プレートを用いることができ、上記第1搬送ベルト上から上記錠剤反転溝内に導入された扁平錠剤が反転プレートの傾斜と微振動により錠剤反転溝内を第2搬送ベルトへと移動すると共に、該錠剤反転溝の断面形状の変化によって扁平錠剤を反転させるようにすることができる。
【0022】
この場合、上記反転プレートの錠剤反転溝は、特に制限されるものではないが、後述する実施例のように形成することが好ましい。即ち、上記反転プレートに形成された上記錠剤反転溝が、第1搬送ベルト側の端部において扁平錠剤が平伏状態で収容される幅及び深さを有する断面形状から、一側方の深さが漸次深くなって底面が一側方へと下降傾斜して行くと共に、他側方の壁面が内側へと斜行して溝の幅が漸次狭くなって行くと同時に底面の他側方側が立ち上がって行き、ほぼ中間部で扁平錠剤が直立した状態で収容される幅及び深さを有する断面形状となり、更に一側方の壁面が外側へと漸次倒れて行くと共に溝の幅が一側方へと広がって行き、所定幅まで広がった溝の一側方の深さが漸次深くなり、第2搬送ベルト側の端部において、底面がほぼ平坦となって扁平錠剤が反転した平伏状態で収容される深さの深くなった断面形状へと変化する溝とすることが好ましい。
これにより、扁平錠剤の反転動作をスムーズに行って確実に第2搬送ベルトへと表裏反転した扁平錠剤を供給することができるものである。
【0023】
即ち、上記錠剤反転溝の断面形状は、第1搬送ベルト側から形状を漸次変化させながら、徐々に深さが深くなるように構成されており、これによって扁平錠剤の一部を重力方向に逆らって持ち上げるような操作を一切することなく、扁平錠剤一部を重力方向に沿って下方へと下げるように姿勢制御して、扁平錠剤を表裏反転させるものである。従って、上記反転プレートの傾斜と微振動によって、この錠剤反転溝内を扁平錠剤がスムーズに移動すると同時にスムーズに姿勢制御されて表裏反転するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の扁平錠剤の外観検査装置は、上述のように、扁平錠剤を比較的単純な搬送経路で搬送し、煩雑な姿勢変換操作や受け渡し操作を要することなく、比較的単純な機構で扁平錠剤を搬送しながら外観検査を行うことができ、しかも不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率を限りなく低くすることができ、極めて信頼性の高い検査を行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態及び実施例】
【0025】
以下、実施例を示し、本発明の外観検査装置をより具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施例にかかる外観検査装置を示すものであり、この外観検査装置は、錠剤を直線的に搬送する第1搬送ベルト1及び第2搬送ベルト2と、第1搬送ベルト1に扁平錠剤を供給する第1供給部(錠剤供給部)3と、第1搬送ベルト1及び第2搬送ベルト2の下流部分にそれぞれ設けられた分別部(分別手段)4,4と、第1搬送ベルト1から第2搬送ベルト2へと扁平錠剤を表裏反転させて受け渡す反転プレート(錠剤反転手段)5と、この反転プレート5から第2搬送ベルト2へと扁平錠剤を所定速度で供給する第2供給部(錠剤供給部)6と、第1搬送ベルト1及び第2搬送ベルト2の中間部上方にそれぞれ設けられた二次元カメラ(撮像装置)7,7とを具備しており、扁平錠剤を上記第1供給部から上記第1搬送ベルト1上に供給して搬送し、上記反転プレート5で扁平錠剤を表裏反転させて更に第2供給部6により上記第2搬送ベルト2上に供給して搬送し、排出シュート81から装置外へと排出するものである。そして、上記搬送中に上記二次元カメラ7,7によって扁平錠剤が撮影されて表裏面画像が取り込まれ、図示しない良否判定部により画像処理が行われて外観不良の有無が判定され、連続的に供給される扁平錠剤を上記分別部4,4で外観不良を有する不良錠剤と、外観不良を有しない良品錠剤とに分別するものである。
【0026】
上記錠剤供給部3は、図1に示されているように、扁平錠剤を平伏状態に姿勢制御して所定速度で第1搬送ベルト1へと供給するボールフィーダ31と、ホッパー33からシュート331を通して供給される検査対象の扁平錠剤を上記ボールフィーダ31へと所定速度で供給する振動フィーダ32とを有している。
【0027】
上記ボールフィーダ31は、図2,3に示されているように、周壁を有する円盤311の中心部に高さの低い略円錐台状の膨出部312が設けられたものであり、バイブレータ313によって自転運動することなく極小さい旋回運動を繰り返す微振動が与えられ、この微振動によって上記円盤311上に供給された扁平錠剤が、図3中の矢印方向に旋回移動するようになっている。
【0028】
上記円盤311の一部には、図3に示されているように、複数(本例では6本)の姿勢制御溝341が形成されたフィードプレート34が嵌め込まれおり、このフィードプレート34によって円盤311の上面に上記姿勢制御溝341が形成されている。
【0029】
この6本の姿勢制御溝341は、図4(A)に示したように、ボールフィーダー31上での錠剤の流れ方向(図中矢印方向)に沿って前後にずれた状態に並設されており、その断面形状は図(B)及び図(C)の通りである。即ち、図(B)に示したa,b,c,d部分の断面を示したのが図(C)であるが、この図(B),(C)の通り、姿勢制御溝341の断面形状は、流れ方向上流側端部において、扁平錠剤が平伏状態で収容される幅及び深さに形成されており(a部分)、下流側に向かうに従って、一側方の深さが漸次深くなって底面が一側方へと下降傾斜して行くと共に、他側方の壁面が内側へと斜行して溝の幅が漸次狭くなって行くと同時に底面の他側方側が立ち上がって行き(b,c部分)、流れ方向下流側端部において、扁平錠剤が直立した状態で収容される幅及び深さを有する断面形状となっている(d部分)。
【0030】
これにより、ボールフィーダ31上を流れる扁平錠剤tは、この図4(C)に示されているように、平伏状態で姿勢制御溝341に進入してこの溝341内を下流側へと流れて行き、この姿勢制御溝341の断面形状の変化にガイドされて平伏状態から直立状態へと姿勢変換される。そして、図4(C)のdに示されているように、姿勢制御溝341の流れ方向下流側端部は、底面のない貫通穴となっており、直立状態に姿勢制御された扁平錠剤tが下方に配置されたシュートブロック35の供給シュート351内に投入されるようになっている。
【0031】
上記シュートブロック35は、図1,2に示されているように、上記ボールフィーダ31に取り付けられたフィードプレート34の下方に配置されており、図5に示されているように、上記姿勢制御溝341に対応して6本の供給シュート351が形成された四角ブロック状の部材である。上記6本の供給シュート351は、断面四角形の空洞通路であり、図5(A)に示されたように、両端がシュートブロック35の上面及び右側面(第1搬送ベルト1に向いた面)に開口している。その開口位置は、シュートブロック35の上面においては、図5(A),(C)のとおり、上記姿勢制御溝341の下流側端部に設けられた貫通穴に対応して斜めに配置されており、姿勢制御溝341の貫通穴と供給シュート351が連通するようになっている。一方、シュートブロック35の右側面(第1搬送ベルト1に向いた面)においては、図5(B)(C)のとおり、シュートブロック35の下端部近傍に存して水平方向に沿って一列に配列され、開口している。
【0032】
このように、上記ボールフィーダ31には、上記振動フィーダ32から所定の速度で扁平錠剤が投入され、この扁平錠剤が上記姿勢制御溝341によって姿勢制御されて上記シュートブロックの供給シュート351に投入されるようになっている。
【0033】
更に、図1〜3に示されているように、上記シュートブロック35と第1搬送ベルト1との間には、プレート状の供給ガイド36が配設されている。この供給ガイド36には、図3に示されているように、上面に扁平錠剤が平伏状態で通過し得る6本のガイド溝361が形成されており、該ガイド溝361の一端は上記シュートブロック35の各供給シュート351の開口部に近接して配置されており、他端側は各ガイド溝361間の間隔を広げるようにカーブして、供給ガイド36の先端に開放している。また、供給ガイド36の第1搬送ベルト1側の端縁部には、図3に示されているように、略櫛歯状に6箇所の切り込み部が形成されており、この切込み部内に上記各ガイド溝361の端部が開放している。
【0034】
この供給ガイド36は、図1,2に示されているように、シュートブロック35側から第1搬送ベルト1側に向けて下降傾斜した状態に配置され、上述のように、一端は上記各供給シュート351の開口部に近接し、他端は搬送ベルト1の上面に近接した状態となっている。更に、この供給ガイド36はバイブレータ362に支持されており、このバイブレータ362により前後(図1,2中の左右方向)に微振動するようになっている。
【0035】
これにより、上記シュートブロック35の各供給シュート351から扁平錠剤がこの供給ガイド351の各ガイド溝361内に平伏状態で移動し、供給ガイド36の傾斜と微振動によって扁平錠剤が各ガイド溝361内を第1搬送ベルト1側へと所定速度で移動するようになっている。
【0036】
更に、図1,2に示されているように、上記供給ガイド36の第1搬送ベルト1側端部上には、外周面がシリコーンゴム等の軟質材で形成された第1切出ローラ37が配設されており、所定速度で連続的又は間欠的に回転するようになっている。
これにより、供給ガイド36の各ガイド溝361内を移動する扁平錠剤がこの第1切出ローラ37に接触してその移動が一旦停止又は減速し、この第1切出ローラ37の回転によって所定の速度で第1搬送ベルト1上に送り出されるようになっている。
【0037】
これによって、第1搬送ベルト1上に供給載置された扁平錠剤同士が互いに接触又は極めて近接した状態となることなく、一定以上の間隔をもって扁平錠剤が一列に整列して第1搬送ベルト1上に載置されるようになっている。
【0038】
上記第1搬送ベルト1には、図1に示されているように、無端ベルトが一対のローラ11,12間に架設されて循環回転するものであり、水平方向に沿って配設されている。またこの第1搬送ベルト1には、図1,6,7に示されているように、中間部下流側に存して無端ベルトの内側に中間ローラ13が配設されていると共に、この中間ローラ13よりもやや上流側の下方には無端ベルトの外側に補助ローラ14が配設されている。そして、図7に示されているように、上記中間ローラ13から下流側のローラ12までの下流側端部が中間ローラ13を中心にして下方へとスイングし得るようになっており、このとき無端ベルトの中間部が、上記中間ローラ13及び補助ローラ14に支持され、この状態で無端ベルトが常時と同様に循環回転し得るようになっている。
【0039】
この第1搬送ベルト1の下流側端部の上面には、図1,6,7に示されているように、分別プレート4が配設されており、この分別プレート4によって第1搬送ベルト1上に扁平錠剤を良品錠剤と不良錠剤とに分別する分別部(分別手段)が構成されている。
【0040】
上記分別プレート4は下面を上記第1搬送ベルト1の上面に近接させて配置されており、その下面側に設けられた複数の溝によって、図8に示したように、不良品レーン41と良品レーン42の組み合わせで構成された分別レーン43が6組形成されており、この分別レーン43により第1搬送ベルト1上に載置されて搬送されている扁平錠剤を良品錠剤と不良錠剤とに分別するようになっている。
【0041】
即ち、図8に示されているように、分別プレート4の下面に形成された複数の溝によって、第1搬送ベルト1の搬送方向に沿って直線的に形成された不良品レーン41とこの不良品レーン41の中間部から分岐して設けられた良品レーン42との組み合わせからなる分別レーン43が第1搬送ベルト1の搬送方向に沿って形成されており、この分別レーン43が6組並設されている。また、各分別レーン43の分岐部には、不良品レーン側に存して圧空噴射ノズル(選別手段)45が配設されており、圧空を良品レーン42へと向けて噴射するようになっている。
【0042】
これにより、第1搬送ベルト1上を流れる扁平錠剤は、全て分別レーン43の不良品レーン41側へと進入し、その扁平錠剤に圧空噴射ノズル45からタイミングを合わせて圧空が噴射され、扁平錠剤を上記良品レーン42へと移動させてこの良品レーン42内を下流へと搬送する一方、流れてきた扁平錠剤が外観不良が検出された不良錠剤である場合には、図示しない良否判定部からの指令によって、圧空噴射ノズル45からの圧空噴射が行われずに、不良錠剤t´はそのまま不良品レーン41を下流へと搬送され、外観不良の無い良品錠剤と外観不良を有する不良錠剤t´が、それぞれ良品レーン42と不良品レーン41とにそれぞれ分別されるようになっている。
【0043】
ここで、上記圧空噴射ノズル45からの圧空噴射は、上述のような、図示しない良否判定部によって制御される。この良否判定部は、第1搬送ベルト1の中間部上方に配設された上記二次元カメラ7(図1参照)によって取り込まれた画像を画像処理して外観不良の有無を判定し、圧空の噴射をするか否かについて圧空噴射ノズル45を制御すると共に、圧空の噴射タイミングの制御を行うようになっている。なお、上記二次元カメラ7は凹レンズを用いたもので、この二次元カメラ7で平伏状態で平面上に載置された扁平錠剤を上方から撮影することにより、扁平錠剤の上面と周側面部(以下、側面という)とが展開した画像を取り込むことができ、これにより扁平錠剤の片面と側面とを同時に外観検査することができるようになっている。
【0044】
次に、上記反転プレート(錠剤反転手段)5は、上記分別部4により分別された良品錠剤を表裏反転させて上記第2搬送ベルト2へと供給するものである。
この反転プレート5は、図1,6,7に示されているように、バイブレータ53に支持されて第1搬送ベルト1の下流側端部と第2搬送ベルト2の上両側端部との間に掛け渡されたように配置されており、第1搬送ベルト1側から第2搬送ベルト2側へ向けて下降傾斜した状態で、上記バイブレータ53により前後方向(図1,6,7の左右方向)に微振動するようになっている。
【0045】
この反転プレート5の上面側には、図9に示したように、上記各分別レーン43の良品レーン42に対応した6本の錠剤反転溝51と、上記各分別レーン43の不良品レーン41に対応した6本の不良錠剤排出溝52とが形成されており、図8に示されているように、各錠剤反転溝51と各良品レーン42、各不良錠剤排出溝52と各不良品レーン41とがそれぞれ連通した状態となるように配置されている。また、図9に示されているように、上記各不良品排出溝52は一端部が反転プレート5の上流側端部に開放していると共に、他端部が中間部上流側に設けられた不良品排出穴54に連通している。一方、各錠剤反転溝51は、両端がそれぞれ反転プレート5の上下流両端に開放していると共に、図10に示したように、断面形状が上流側から下流側へと漸次変化するように形成されている。
【0046】
即ち、図9に示した反転プレート5の上流側Aから下流側K部分の断面を示したのが図10のA〜Kであるが、この図10の通り、錠剤反転溝51の断面形状は、第1搬送ベルト1側の端部において扁平錠剤tが平伏状態で収容される幅及び深さを有する断面形状から(A)、一側方(図中、右側)の深さが漸次深くなって底面が一側方へと下降傾斜して行く(B,C)と共に、他側方(図中、左側)の壁面が内側へと斜行して溝の幅が漸次狭くなって行くと同時に底面の他側方側が立ち上がって行き(D,E)、ほぼ中間部で扁平錠剤tが直立した状態で収容される幅及び深さを有する断面形状となり(F)、更に一側方(図中、右側)の壁面が外側へと漸次倒れて行くと共に溝の幅が一側方へと広がって行き(G,H)、所定幅まで広がった溝の一側方(図中、右側)の深さが漸次深くなり(I,J)、第2搬送ベルト側の端部において、底面がほぼ平坦となって扁平錠剤が反転した平伏状態で収容される深さの深くなった断面形状(K)となっている。
【0047】
これにより、第1搬送ベルト1の循環回転により上記良品レーン42からこの錠剤反転溝51内へと導入された扁平錠剤は、反転プレート5の傾斜と微振動によって第2搬送ベルト1側へと錠剤反転溝51内を流れて行き、図10のA〜Kに順次示されているように、扁平錠剤tはこの錠剤反転溝51の断面形状の変化にガイドされて表裏反転した平伏状態へと姿勢変換される。
【0048】
一方、上記分別レーン43の不良品レーン41から、反転プレート5の上記不良錠剤排出溝52に導入された不良錠剤t´は、上記不良品排出穴54から下方へと落下して系外に排出される。ここで、図6,7に示されているように、この反転プレート5の上流側の下方には、第1排出シュート55が配設されており、この第1排出シュート55の不良品排出部551を通して、上記不良品排出穴54から落下した不良錠剤t´が不良錠剤回収缶56に回収されるようになっている。
【0049】
ここで、上記第1排出シュート55には、上記不良品排出部551と共に、全錠剤排出部552が設けられており、図7に示されているように、第1搬送ベルト1の下流側端部が下方へとスイングした際に、第1搬送ベルト1上の全ての錠剤を、全錠剤排出部552が受け止め、排出錠剤回収缶57へと導いて回収するようになっている。このような全錠剤の排出は、上記分別部4で不良錠剤の分別が確認されなかった場合に行われる。
【0050】
即ち、上記分別プレート4には、図8に示されているように、各不良品レーン41上に分岐部よりも下流側に存して錠剤の通過を検出する錠剤通過センサー46が設けられており、この錠剤通過センサー46によって錠剤の通過を検出することにより、不良錠剤t´が良品レーン42へと移動せずに不良品レーン41内を下流へと流れていることを確認するようになっている。この場合、上記良否判定部により不良錠剤が検出されたにもかかわらず、分別部4の不良品レーン41に設けられた上記錠剤通過センサー46により不良錠剤t´の通過が検出されなかった場合に、上記第1供給部3による扁平錠剤の供給を停止すると共に、図7に示されたように、第1搬送ベルト1下流側端部を下方へとスイングスイングさせて、第1搬送ベルト1上の全ての扁平錠剤を、上記反転プレート5へと移動させずに系外へと排出し、第1排出シュート55の上記全錠剤排出部552を通して排出錠剤回収缶57へ回収するようになっている。
【0051】
次に、上記反転プレート5の錠剤反転溝51内を下流へと流れて表裏反転した扁平錠剤は、この反転プレート5の下流側端部と第2切出ローラ61とで構成された第2供給部6によって上記第2搬送ベルト2上に供給される。
【0052】
即ち、図1,6,7に示されているように、上記反転プレート5の第2搬送ベルト2側端部上には、上記第1供給部3の第1切出ローラ37と同様に、第2切出ローラ61が配設されており、この第2切出ローラ61が所定速度で連続的又は間欠的に回転するようになっている。これによって、上記第1供給部3の場合と同様に、反転プレート5の各錠剤反転溝51内を移動する扁平錠剤がこの第2切出ローラ61に接触してその移動が一旦停止又は減速し、この第2切出ローラ61の回転によって所定の速度で第2搬送ベルト2上に送り出されるようになっている。
【0053】
上記第2搬送ベルト2は、図1に示されているように、無端ベルトが一対のローラ21,22間に架設されて循環回転するものであり、水平方向に沿って配設されている。また、この第2搬送ベルト2の中間部上方には、第1搬送ベルト1と同様に二次元カメラ7が配設されており、また下流側端部上にも第1搬送ベルト1と同様の分別プレート4が配設されており、上記第1搬送ベルト1上と同様の操作によって外観不良の有無が判定され良品錠剤と不良錠剤とが分別されるようになっている。
【0054】
この、第2搬送ベルト2の下流側端部には、図1,11に示されているように、上記分別プレート4の分別レーン43と連通した選別ボックス8が取り付けられている。この選別ボックス8には、図11に示されているように、投入された錠剤を装置外へと導く排出シュート81と排出錠剤回収缶91へと導く第2排出シュート9の全錠剤排出部93とに振り分ける切替フラップ82が設けられており、また投入された扁平錠剤を不良錠剤回収缶92へと導く第2排出シュート9の不良品排出部94へと案内する不良錠剤通路83が設けられている。
【0055】
そして、上記分別プレート4の不良品レーン41が上記不良錠剤通路83と連通しており、不良錠剤がこの不良錠剤通路83及び上記第2排出シュート9の不良品排出部94を通して不良錠剤回収缶92に回収されるようになっている。また上記切替フラップ82は、常時は排出シュート81側を開いた状態となっており、分別プレート4の良品レーン42からの扁平錠剤が排出シュート81を通して装置外へと排出されるようになっている。更に、良否判定部により不良錠剤が検出されたにもかかわらず、錠剤通過センサーにより不良錠剤の通過が検出されなかった場合には、上記第1供給部3及び第2供給部6による扁平錠剤の供給を停止すると共に、上記切替フラップ82を切替えて排出シュート81側を塞ぐと共に、第2排出シュート9側を開いて、良品レーン42からの全ての扁平錠剤を、上記第2排出シュート9の全錠剤排出部93を通して排出錠剤回収缶91に回収するようになっている。
【0056】
この外観検査装置による外観検査の動作を順次説明すれば、次の通りである。
まず、ホッパー33に投入された検査対象の扁平錠剤は、シュート331を通して振動フィーダ32に供給され、この振動フィーダ32から所定の速度でボールフィーダ31へと供給される。
【0057】
ボールフィーダ31に投入された扁平錠剤は、上述したように、ボールフィーダ31の旋回微振動により、ボールフィーダ31の円盤311上を旋回移動して、図4(C)に示されたように、姿勢制御溝341で姿勢制御され、シュートブロック35の供給シュート351、供給ガイド36のガイド溝361を順次通過して、上記第1切出ローラ37により所定速度で第1搬送ベルト1の上面に整列載置される。
【0058】
第1搬送ベルト1上に載置された扁平錠剤は、無端ベルトの循環駆動によって搬送され、その搬送途中で二次元カメラ7により撮影されて画像の取り込みが行われ、良否判定部により外観不良の有無が判定され、上記分別レーン43へと導入される。そして、上述した動作によって不良錠剤と良品錠剤とが分別され、不良錠剤は不良錠剤回収缶56に回収され、外観不良のない良品錠剤のみが上記反転プレート5を通過して第2搬送ベルト2へと供給される。
【0059】
この際、良否判定部により外観不良が検出され不良錠剤と判定されたにもかかわらず、上記錠剤通過センサー46により不良錠剤t'の通過が検出されなかった場合には、上述したように、上記第1供給部3による扁平錠剤の供給を停止すると共に、図7に示されたように、第1搬送ベルト1下流側端部を下方へとスイングさせて、第1搬送ベルト1上の全ての扁平錠剤を、上記反転プレート5へと移動させずに系外へと排出し、第1排出シュート55の上記全錠剤排出部552を通して排出錠剤回収缶57へ回収し、不良錠剤が良品錠剤中に混入することを確実に防止する。
【0060】
反転プレート5へと導入された良品錠剤は、反転プレート5の錠剤反転溝51内を通過して上記第2供給部6によって第2搬送ベルト2上へと搬送される。この際、上記錠剤反転溝51内を通過することにより、上述した動作によって扁平錠剤の表裏が反転し、表裏反転した状態で第2搬送ベルト2へと供給される。
【0061】
そして、第2搬送ベルト2上を搬送されて行き、第1搬送ベルト1上の場合と同様に、画像の取り込みが行われて表裏反転した裏面の外観検査が行われ、良品錠剤と不良錠剤とに分別され、上記選別ボックス8によって、上述した動作により外観不良の無い良品錠剤が排出シュート81から装置外へと排出され、外観不良が検出された不良錠剤は不良錠剤回収缶92に回収される。
【0062】
この際にも、良否判定部により不良錠剤が検出されたにもかかわらず、分別部4の不良品レーン41に設けられた錠剤通過センサー46により不良錠剤t´の通過が検出されなかった場合には、上述した動作によって、良品レーン42からの全ての扁平錠剤を、上記第2排出シュート9の全錠剤排出部93を通して排出錠剤回収缶91に回収し、不良錠剤が良品錠剤中に混入することを確実に防止する。
【0063】
なお、この排出錠剤回収缶91及び上記排出錠剤回収缶57に回収された扁平錠剤は、ホッパー33に戻して、再び検査に供すればよい。
【0064】
このように、本実施例の外観検査装置は、搬送ベルト1,2上に検査対象の扁平錠剤を整列載置して搬送し、その搬送途中で扁平錠剤を撮影してその画像を取り込み、その画像を画像処理して外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて外観不良の無い良品錠剤と外観不良を有する不良錠剤とを分別するものであり、搬送ベルト1,2上に扁平錠剤を整列載置して、該錠剤を直線的に搬送し、その搬送中に画像の取り込み、良否判定、分別操作を行うように構成されているため、ドラム搬送の場合に比べて単純な搬送経路で錠剤を搬送し、煩雑な姿勢変換操作や受け渡し操作を要することなく、比較的単純な機構で扁平錠剤の外観検査を行うことができる。
【0065】
更に、本実施例では、図8に示されているように、搬送ベルト1,2上に形成した不良品レーン41と良品レーン42とに、それぞれ良品錠剤と不良錠剤とを分別するようになっている。この場合、不良錠剤が導入される不良品レーン41が搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられており、搬送ベルト1,2上を搬送される全ての錠剤は一旦この不良品レーン41へと導入され、良否判定部の判定結果に基づいて良品錠剤がこの不良品レーン41から分岐した上記良品レーン42へと圧空噴射(選別手段)によって移動し、良品錠剤はこの良品レーン42内を搬送され、不良錠剤t´はそのまま不良品レーン41内を搬送されて、良品錠剤と不良錠剤が分別されるようになっている。
【0066】
即ち、この外観検査装置では、搬送ベルトによる搬送方向から不良錠剤を方向移動させて良品錠剤と不良錠剤とを分別するのではなく、搬送ベルト1,2による搬送方向に沿って設けられた不良品レーン41から良品錠剤tを上記選別手段45により移動させて、該不良品レーン41から分岐して設けられた良品レーン42へと導入し良品錠剤と不良錠剤とを分別するようになっている。従って、選別手段45による分別動作の同期不良や動作不良などが発生して分別動作が正確に行われなかった場合でも良品錠剤が不良品レーン41から移動せずにそのまま不良品レーン41を流れて回収された不良錠剤の中に良品錠剤が混入するだけで、良品錠剤として回収した錠剤群中に不良錠剤が混入することがない。
よって、選別手段による分別動作の同期不良や動作不良によって不良錠剤が良品錠剤中に混入することを確実に防止することができ、不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率を低下させて、検査の信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、この外観検査装置は、上記不良品レーン41上に、不良品レー41と良品レーン42との分岐部よりも下流側に存して、不良錠剤の通過を検出する錠剤通過センサー46を設け、上記良否判定部により不良錠剤が検出されたにもかかわらず、該錠剤通過センサー46により不良錠剤の通過が検出されなかった場合に、錠剤の供給部3,6による扁平錠剤の供給を停止すると共に、搬送ベルト1,2上の全ての扁平錠剤を系外へと排出して回収するように構成されている。
これにより、検査の信頼性を更に向上させることができる。
【0068】
即ち、上記不良品レーン41と良品レーン42と選別手段45とで構成された分別手段によって、上述のように分別動作が正確に行われなかった場合の不良錠剤の混入は確実に防止することができるが、外観不良が検出された不良錠剤であるにもかかわらず、選別手段45の誤動作やその他の不都合の発生によってこの不良錠剤が良品レーン42へと移動してしまった場合には、上記分別手段の構成のみでは、不良錠剤が良品錠剤に混入してしまうことになる。
そこで、本実施例では、錠剤通過センサー46を不良品レーン41の下流側に設けると共に、搬送ベルト1,2上の全ての錠剤を系外へと排出する機構を設けることにより、不良錠剤が検出されたにもかかわらず該錠剤通過センサー46により不良錠剤の通過が検出されなかった場合、即ち不良錠剤が良品錠剤から確実に分別されたことが確認されなかった場合には、分別動作及び検査動作を中止して、搬送ベルト1,2上の錠剤の全てを系外に排出し、不良錠剤が混入した虞がある錠剤群を系外に除去することができ、検査の信頼性を更に向上させることができるものである。
【0069】
更にこの場合、第1搬送ベルト1では、この第1搬送ベルト1上の全ての扁平錠剤を系外へと排出する機構として、該第1搬送ベルト1の下流側の一部を下方へとスイングするように構成し、上記錠剤通過センサー46により不良錠剤の通過が検出されなかった場合に、この第1搬送ベルト1の下流側を下方へとスイングさせて、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出するように構成されている。
このように、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出する機構として、搬送ベルトの少なくとも下流側の一部を下方へとスイングするように構成することによって、搬送ベルト上から錠剤を排除するための煩雑な機構や特別な装置を別途設ける必要なく、比較的簡単な機構によって搬送ベルト上の全ての錠剤を確実に系外へと排出することができるものである。
【0070】
また、この外観検査装置は、第1搬送ベルト1と第2搬送ベルト2とを設け、かつ両搬送ベルト1,2上にそれぞれ二次元カメラ7、良否判定部及び分別手段4を設けると共に、上記第1搬送ベルト1と第2搬送ベルト2との間に、良品錠剤を表裏反転させる錠剤反転手段5を設け、かつ該第1搬送ベルト上に扁平錠剤を供給する第1供給部3と、上記錠剤反転手段によって表裏反転した扁平錠剤を所定速度で上記第2搬送ベルト上に供給する第2供給部6とを設けたことにより、上記第1搬送ベルト1から第2搬送ベルト2へと扁平錠剤を受け渡す際に、該扁平錠剤を表裏反転させて錠剤の両面を確実に外観検査することができ、更に第1搬送ベルト1上での表面検査及び第2搬送ベルト2上での裏面検査において、それぞれ上述した信頼性の高い検査を行うことができるものである。
【0071】
更にこの場合、上記第1搬送ベルト1上での画像の取り込み、及び第2搬送ベルト上での画像の取り込みを行う撮像装置を、凹面レンズを用いた二次元カメラ7とし、扁平錠剤の表面又は裏面と側面とが展開した画像を取り込むようにされている。これにより扁平錠剤の側面の画像を表面又は裏面の画像と同時に取り込み、錠剤の表裏両面及び側面全周の錠剤全面を外観検査することができる。
【0072】
ここで、本実施例では、扁平錠剤を表裏反転させる上記錠剤反転手段として、第1搬送ベルト1から第2搬送ベルト2へと下降傾斜して配置された微振動する基板に、第1搬送ベルト1から第2搬送ベルト2へと断面形状が漸次変化する錠剤反転溝51を形成した反転プレート5を用い、上記第1搬送ベルト1上から上記錠剤反転溝51内に導入された扁平錠剤が反転プレート5の傾斜と微振動により錠剤反転溝51内を第2搬送ベルト2へと移動すると共に、該錠剤反転溝51の断面形状の変化によって扁平錠剤を反転させるようにしたものである。
【0073】
この場合、上記反転プレート5の錠剤反転溝51は、図10に示されているように、第1搬送ベルト1側の端部において扁平錠剤が平伏状態で収容される幅及び深さを有する断面形状から(A)、一側方の深さが漸次深くなって底面が一側方へと下降傾斜して行く(B,C)と共に、他側方の壁面が内側へと斜行して溝の幅が漸次狭くなって行くと同時に底面の他側方側が立ち上がって行き(D,E)、ほぼ中間部で扁平錠剤が直立した状態で収容される幅及び深さを有する断面形状となり(F)、更に一側方の壁面が外側へと漸次倒れて行くと共に溝の幅が一側方へと広がって行き(G,H)、所定幅まで広がった溝の一側方の深さが漸次深くなり(I,J)、第2搬送ベルト2側の端部において、底面がほぼ平坦となって扁平錠剤が反転した平伏状態で収容される深さの深くなった断面形状(K)へと変化する溝とされている。
これにより、扁平錠剤の反転動作をスムーズに行って確実に第2搬送ベルト2へと表裏反転した扁平錠剤を供給することができるものである。
【0074】
即ち、上記錠剤反転溝51の断面形状は、第1搬送ベルト1側から形状を漸次変化させながら、徐々に深さが深くなるように構成されており、これによって扁平錠剤の一部を重力方向に逆らって持ち上げるような操作を一切することなく、扁平錠剤一部を重力方向に沿って下方へと下げるように姿勢制御して、扁平錠剤を表裏反転させるものである。従って、上記反転プレート5の傾斜と微振動によって、この錠剤反転溝51内を扁平錠剤がスムーズに移動すると同時にスムーズに姿勢制御されて表裏反転するものである。
【0075】
このように、本実施例の外観検査装置は、扁平錠剤を比較的単純な搬送経路で搬送し、煩雑な姿勢変換操作や受け渡し操作を要することなく、比較的単純な機構で扁平錠剤を搬送しながら外観検査を行うことができ、しかも不良錠剤が良品錠剤中に混入する確率を限りなく低くすることができ、極めて信頼性の高い検査を行うことができるものである。
【0076】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、各部の構成や形状、配置、組み合わせなどは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施例にかかる扁平錠剤の外観検査装置を示す概略図である。
【図2】同装置を構成する第1供給部を示す一部を断面とした概略図である。
【図3】同第1供給部を構成するボールフィーダを示す平面図である。
【図4】同ボールフィーダに取り付けられたフィードプレートを示すもので、(A)は平面図、(B)はフィードプレートに形成された姿勢制御溝を示す拡大平面図、(B)は同姿制御溝の断面形状を示す部分断面図である。
【図5】同第1供給部を構成するシュートブロック示すもので、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は(B)のC−C線に沿った断面図である。
【図6】同装置の錠剤反転部を示す概略図である。
【図7】同装置の錠剤反転部を示す概略図であり、第1搬送ベルトの下流側端部が下方へとスイングした状態を示すものである。
【図8】同装置の分別部を示す一部を断面とした平面図である。
【図9】同装置を構成する反転プレートを示す平面図である。
【図10】同反転プレートに形成された錠剤反転溝の断面形状を示す部分断面図である。
【図11】同装置を構成する第2搬送ベルトの下流側端部部分を示す概略図である。
【符号の説明】
【0078】
1 第1搬送ベルト(搬送ベルト)
2 第2搬送ベルト(搬送ベルト)
3 第1供給部(錠剤供給部)
31 ボールフィーダ
35 切出ローラ
36 供給ガイド
4 分別プレート(分別部、分別手段)
41 不良品レーン
42 良品レーン
43 分別レーン
45 圧空噴射ノズル(選別手段)
46 錠剤通過センサー
5 反転プレート(錠剤反転手段)
51 錠剤反転溝
52 不良錠剤排出溝
54 不良品排出穴
6 第2供給部(錠剤供給部)
61 切出ローラ
7 二次元カメラ(撮像装置)
8 選別ボックス
81 切り替えフラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ベルトが循環回転することにより、表面に載置された扁平錠剤を搬送する搬送ベルトと、
該搬送ベルト上に扁平錠剤を平伏状態で供給して、該搬送ベルト上に扁平錠剤を載置する錠剤供給部と、
該搬送ベルト上に載置された扁平錠剤を撮影して、該扁平錠剤の画像を取り込む撮像装置と、
取り込んだ画像を画像処理して外観不良の有無を判定する良否判定部と、
上記搬送ベルト上の扁平錠剤を良品錠剤と不良錠剤とに分別する分別手段とを具備し、
上記錠剤供給部から扁平錠剤を上記搬送ベルト上に供給して、該扁平錠剤を搬送ベルト上に整列載置し、該扁平錠剤を搬送ベルトで連続的に搬送すると共に、その搬送途中で上記撮像装置により撮影して該扁平錠剤の画像を取り込み、取り込んだ画像を上記良否判定部で画像処理して外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて上記分別手段により良品錠剤と不良錠剤とに分別する扁平錠剤の外観検査装置において、
上記分別手段が、
上記搬送ベルト上に搬送方向に沿って形成された不良品レーンと、
該不良品レーンから分岐して形成された良品レーンと、
これら不良品レーンと良品レーンとの分岐部に設けられ、搬送ベルト上の扁平錠剤を上記不良品レーンから良品レーンへと移動させる選別手段とを具備してなり、
上記良否判定部の判定結果に基づいて、外観不良の無い良品錠剤を上記選別手段により不良品レーンから良品レーンへと導入して扁平錠剤を良品錠剤と不良錠剤とに分別することを特徴とする扁平錠剤の外観検査装置。
【請求項2】
上記選別手段が、良品レーンへと向けて圧空を噴射する圧空噴射ノズルであり、搬送ベルト上の良品錠剤に圧空を噴射して該良品錠剤を上記良品レーンへと導入するように構成された請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
上記不良品レーン上に、上記分岐部よりも下流側に存して不良錠剤の通過を検出する錠剤通過センサーが設けられ、上記良否判定部により不良錠剤が検出されたにもかかわらず、該錠剤通過センサーにより不良錠剤の通過が検出されなかった場合に、上記錠剤供給部による扁平錠剤の供給を停止すると共に、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出して回収するように構成した請求項1又は2記載の外観検査装置。
【請求項4】
上記搬送ベルトの少なくとも下流側の一部が下方へとスイングするように構成され、上記錠剤通過センサーにより不良錠剤の通過が検出されなかった場合に、この搬送ベルトの下流側が下方へとスイングして、搬送ベルト上の全ての扁平錠剤を系外へと排出するように構成した請求項3記載の外観検査装置。
【請求項5】
上記搬送ベルトとして、第1搬送ベルトと第2搬送ベルトとを設け、かつ両搬送ベルトに対してそれぞれ上記撮像装置、良否判定部及び分別手段を設けると共に、上記第1搬送ベルトと第2搬送ベルトとの間に、上記良品レーンからの良品錠剤を表裏反転させる錠剤反転手段を設け、更に上記錠剤供給部として、ランダムに供給される扁平錠剤を平伏状態に姿勢制御して上記第1搬送ベルト上に供給し、該第1搬送ベルト上に扁平錠剤を整列載置する第1供給部と、上記錠剤反転手段によって表裏反転した扁平錠剤を所定速度で上記第2搬送ベルト上に供給し、該第2搬送ベルト上に表裏反転した扁平錠剤を整列載置する第2供給部とを設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
上記錠剤反転手段が、第1搬送ベルトから第2搬送ベルトへと下降傾斜して配置された微振動する基板上に、第1搬送ベルト側から第2搬送ベルト側へと断面形状が漸次変化する錠剤反転溝を形成した反転プレートにより構成されており、上記第1搬送ベルト上から上記錠剤反転溝内に導入された扁平錠剤が反転プレートの傾斜と微振動により錠剤反転溝内を第2搬送ベルトへと移動すると共に、該錠剤反転溝の断面形状の変化によって扁平錠剤を反転させるものである請求項5記載の外観検査装置。
【請求項7】
上記反転プレートに形成された上記錠剤反転溝が、第1搬送ベルト側の端部において扁平錠剤が平伏状態で収容される幅及び深さを有する断面形状から、一側方の深さが漸次深くなって底面が一側方へと下降傾斜して行くと共に、他側方の壁面が内側へと斜行して溝の幅が漸次狭くなって行くと同時に底面の他側方側が立ち上がって行き、ほぼ中間部で扁平錠剤が直立した状態で収容される幅及び深さを有する断面形状となり、更に一側方の壁面が外側へと漸次倒れて行くと共に溝の幅が一側方へと広がって行き、所定幅まで広がった溝の一側方の深さが漸次深くなり、第2搬送ベルト側の端部において、底面がほぼ平坦となって扁平錠剤が反転した平伏状態で収容される深さの深くなった断面形状へと変化するものである請求項6記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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