説明

扉のエッジ材及びその製造方法

【課題】扉の端面を、エッジ材の意匠面と直交する方向及び意匠面と平行な方向のいずれから見ても透明なエッジ本体を介して意匠面が見える。
【解決手段】扉材1の端面に固着されるエッジ材2である。このエッジ材2は、透明のエッジ本体3と、このエッジ本体3の前記扉材1の端面に固着される面である内側面に形成された意匠面4とを備える。前記エッジ本体3の厚み内の前後方向の略中間位置に、前記意匠面4と交差する方向に反射膜5が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の端面に固定される扉のエッジ材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように扉材の端面にエッジ材を貼付けた扉が知られている。
【0003】
従来の扉材の端面に貼付けられるエッジ材は、例えば、細長板状をした透明のエッジ本体の扉材の端面に貼付けられる面である内側面に意匠面を形成することで構成される。
【0004】
したがって、扉の端面を、エッジ材の意匠面と直交する方向(エッジ本体の厚み方向)から見ると、透明なエッジ本体を通してエッジ本体の内側面に形成した意匠面が視認できる。
【0005】
一方、扉の端面を、エッジ材の意匠面と平行な方向(エッジ本体の厚み方向と直交する方向)からエッジ材を見ると、意匠面が見えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−180051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のように、透明のエッジ本体の厚み方向と直交する方向からエッジ本体を見ると、意匠面が見えない(特に、扉を閉じた場合、前面側からエッジ材を見ても意匠面が見えない)という問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて発明したもので、扉の端面を、エッジ材の意匠面と直交する方向及び意匠面と平行な方向のいずれから見ても透明なエッジ本体を介して意匠面が見える扉のエッジ材及びその製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、扉材の端面に固着されるエッジ材であって、このエッジ材は、透明のエッジ本体と、このエッジ本体の前記扉材の端面に固着される面である内側面に形成された意匠面とを備え、前記エッジ本体の厚み内の前後方向の略中間位置に、前記意匠面と交差する方向に反射膜が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、扉のエッジ材の製造方法は、断面矩形状をした透明のエッジ素体の内側面に意匠面を形成し、その後、断面矩形状をした透明のエッジ素体の内側面に意匠面を形成し、その後、前記意匠面を残すように前記透明のエッジ素体の略前半部をカットして除去することでカット段部を形成し、次に、前記エッジ素体の後半部の前記カット段部に面する前端面にインクジェットにより反射膜を塗布し、次に、前記カット段部にインクジェットにより前記意匠面の前半部を覆い且つ隅部分が面取りされた透明の前部透明層を形成し、前記透明のエッジ素体の前記カットされずに残った部位と、前記前部透明層とで内部に反射膜が形成された透明のエッジ本体を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、扉の端面を、意匠面と直交する方向及び意匠面と平行な方向のいずれから見ても透明なエッジ本体を介して意匠面が見えるエッジ材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のエッジ材の断面図である。
【図2】同上のエッジ材を扉材の端面に固着して構成した扉の斜視図である。
【図3】同上の図2のA−A線の拡大断面図である。
【図4】(a)(b)(c)(d)は本発明のエッジ材の製造順序を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0014】
扉13は、扉13の主体を構成する扉材1の端面(いわゆる木口面)にエッジ材2が接着剤のような固着手段により固着することで構成される。
【0015】
このように、扉材1の端面にエッジ材2を固着することで、このエッジ材2により扉材1の外周端面の化粧、保護がなされる。
【0016】
図2に示す実施形態では扉材1の上下端面、左右端面にエッジ材2を設けた例が示されている。もちろん、扉材1の上下端面、左右端面のいずれか1又は複数の端面にエッジ材2が設けられたものであってもよい。
【0017】
扉材1の前面には扉意匠面10が形成されており、また、扉材1の前面には把手12が設けられている。
【0018】
以下の説明において、扉材1の扉意匠面10や把手12が設けられた前面側を前、扉材1の前面と反対側の面側を後と定義して、この定義に基づいてエッジ材2の前後方向を規定する。
【0019】
エッジ材2は図1のように、透明合成樹脂により形成された透明のエッジ本体3と、このエッジ本体3の扉材1の端面に固着される面である内側面に形成された意匠面4とを備えている。
【0020】
更に、エッジ本体3の厚み内の前後方向の略中間位置には、意匠面4と交差する方向に反射膜5が形成されている。
【0021】
また、透明のエッジ本体3の前側の隅部分が傾斜面9となっている。図1の実施形態では、エッジ本体3の前面の全体又は略全体が傾斜面9となっているが、エッジ本体3の前面と外側面とのなす隅部分のみが面取りされて傾斜面9となっていてもよい。
【0022】
このようにエッジ本体3の前側の隅部分を傾斜面9とすることで、エッジ本体3の前側の隅部分を水が伝っても下に垂れ易くなる。
【0023】
上記の構成の扉13は、扉13を開いて、扉13の端面(エッジ材2の外側面)を見た場合(図2、図3の矢印イ方向から見た場合)、透明のエッジ本体3を通してエッジ本体3の内側面に形成された意匠面4が見える。
【0024】
一方、扉13の前方(図2、図3の矢印ロ方向)から扉13のエッジ材2の前面を見た場合、意匠面4が反射膜5に反射して見える。
【0025】
このように、本実施形態によれば、扉13の端面(エッジ材2の外側面)を見た場合、扉13の前方(図2、図3の矢印ロ方向)から扉13のエッジ材2の前面を見た場合のいずれの場合も、意匠面4が見えることになる。
【0026】
以下、扉材1の端面に固着されるエッジ材2の製造方法を説明する。
【0027】
まず、断面矩形状をした透明合成樹脂製の透明のエッジ素体6が形成される。次に、この透明のエッジ素体6の片面(内側面)に図4(a)に示されるように意匠面4が形成される。意匠面4は透明のエッジ素体6の内側面に印刷、あるいは、塗料の塗布、あるいは、意匠を施したシートや木質単板のラミネート、貼付け等により形成される。
【0028】
次に、図4(b)に示されるように、意匠面4を残すように透明のエッジ素体6の略前半部をカットして除去されることでカット段部7が形成される。
【0029】
次に、図4(c)に示されるように、エッジ素体6の後半部のカット段部7に面する前端面に銀材料のような反射材料を混合した塗料をインクジェットにより塗布することで反射膜5が形成される。
【0030】
反射膜5は、意匠面4に対して直角に形成されるのが好ましいが、意匠面4に対して鈍角、又は、鋭角となるように形成されてもよい。
【0031】
次に、図4(d)に示されるように、カット段部15に透明なクリア塗料をインクジェットにより塗布して意匠面4の前半部を覆うことで、透明の前部透明層8が形成される。この透明の前部透明層8を形成する際、隅部分に傾斜面9が形成されるようにインクジェットでクリア塗料が塗布される。
【0032】
前部透明層8が形成されることで、透明のエッジ素体6の前記カットされずに残った部位と、前部透明層8とで内部に反射膜5が形成された透明のエッジ本体3が形成される。
【0033】
このようにして、透明のエッジ本体3の内側面に意匠面4を備え、且つ、透明のエッジ本体3の厚み内の前後方向の略中間位置に、意匠面4と交差する反射膜5を備えたエッジ材2が簡単に製造される。
【符号の説明】
【0034】
1 扉材
2 エッジ材
3 エッジ本体
4 意匠面
5 反射膜
6 エッジ素体
7 カット段部
8 前部透明層




【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉材の端面に固着されるエッジ材であって、このエッジ材は、透明のエッジ本体と、このエッジ本体の前記扉材の端面に固着される面である内側面に形成された意匠面とを備え、前記エッジ本体の厚み内の前後方向の略中間位置に、前記意匠面と交差する方向に反射膜が形成されていることを特徴とする扉のエッジ材。
【請求項2】
断面矩形状をした透明のエッジ素体の内側面に意匠面を形成し、その後、前記意匠面を残すように前記透明のエッジ素体の略前半部をカットして除去することでカット段部を形成し、次に、前記エッジ素体の後半部の前記カット段部に面する前端面にインクジェットにより反射膜を塗布し、次に、前記カット段部にインクジェットにより前記意匠面の前半部を覆い且つ隅部分が面取りされた透明の前部透明層を形成し、前記透明のエッジ素体の前記カットされずに残った部位と、前記前部透明層とで内部に反射膜が形成された透明のエッジ本体を形成することを特徴とする扉のエッジ材の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−87552(P2013−87552A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230891(P2011−230891)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】