説明

【課題】手に荷物を持ったままでも開けられる、開けやすい扉の提供。
【解決手段】扉体1a,1bと、扉体に取付けたハンドル2a,2b,2c,2dとを備え、ハンドルは、上下に間隔を空けて平行に配置したアーム3aと、アームの先端部に架設した握り部4とを有し、アーム3aは、根元部から先端部にかけて扉体1a,1bから次第に離れるように曲線状となっており、握り部4は、アーム3aから少なくとも上方に突出しており、握り部4とアーム3aの全体が操作部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルの操作性を向上させた門扉等の扉に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には玄関ドアのハンドルとして、上下2本のアームと、アームの先端部に上下に架設したバーハンドルとを有するものが記載されている。買い物の帰りなど、両手に荷物を持った状態で扉を出入りしたいときがあるが、上記のようなハンドルでは、手に荷物を持ったままではバーハンドルを掴んで引く操作ができず、荷物を一旦下ろさなければならなかった。また、両手に荷物を持ったまま、肘等でバーハンドルを押して扉を開けようとすると、肘等が滑ってうまく開けられないことがあった。さらに、握る力の弱い子供やお年寄りにあっては、バーハンドルを握っても手が滑って開けられないことがあった。
従来、門扉のハンドルは、デザイン性を重視する観点から地面から850mm前後の高さに設けてあって、両手で荷物を抱えているとき、あるいは赤ちゃんを抱いて手がふさがっているときに門扉を開ける場合、腰を屈めてなんとかハンドルを操作し、体で門扉を押しながら開けることはできても、引いて開けることは困難だった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−220083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、手に荷物を持ったままでも開けられる、開けやすい扉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による扉は、扉体と、扉体に取付けたハンドルとを備え、ハンドルは、上下に間隔を空けて平行に配置したアームと、アームの先端部に架設した握り部とを有し、アームは、根元部から先端部にかけて扉体から次第に離れるように曲線状となっており、握り部は、アームから少なくとも上方に突出しており、握り部とアームの全体が操作部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による扉は、ハンドルのアームが根元部から先端部にかけて扉体から次第に離れるように曲線状となっており、握り部はアームから少なくとも上方に突出しており、握り部とアームの全体が操作部であるため、握り部に手を掛けて押し引きすることで扉を開閉できるのはもちろん、荷物で両手がふさがっているときでも、握り部の後方に手首や前腕、肘等を差し入れて引くことで扉を容易に開けることができ、さらにはアームに手を掛けて扉を開けることもでき、ハンドルを多様な使い方で操作して扉を開けられるので、扉の開けやすさが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】門扉のハンドル部を拡大して示す平面図である。
【図2】(a)は門扉のハンドル部を拡大して示す正面図であり、(b)は右側の扉体のハンドル部を戸先側から見た側面図である。
【図3】(a)は門扉の平面図、(b)は門扉の正面図である。
【図4】ハンドルの操作方法の例を示す斜視図である。
【図5】ハンドルの操作方法の例を示す横断面図である。
【図6】図1のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3は本発明の一実施形態に係る門扉を示している。この門扉は、左右の支柱7a,7bに扉体1a,1bが蝶番8で取付けてあり、各扉体1a,1bが敷地側に回動して開くようになっている。各扉体1a,1bは、戸先側の両面にハンドル2a,2b,2c,2dがそれぞれ取付けてある。ハンドル2a,2b,2c,2dは、腰を屈めなくても操作できるように従来よりも高い位置に設けてあり、ハンドルの地面からの高さHは、大人が腕を下に垂らして肘を直角に曲げたときの手の高さと略同じ高さ、具体的には約1000mmとしてある。
【0009】
図1,2に示すように、各ハンドル2a,2b,2c,2dはそれぞれ台座9a,9b,9c,9dに取付けてあり、右側の扉体1aの敷地側の台座9aにはラッチボルト10が内蔵してあり、右側の扉体1aのハンドル2a,2bはバネで付勢して前後方向に揺動可能に設けてあり、敷地側のハンドル2aを引くか道路側のハンドル2bを押すとラッチボルト10が引っ込むようになっている。また右側の扉体1aの敷地側のハンドル2aにはサムターン11が、道路側のハンドル2bには鍵穴12が設けてあり、これらを操作することでラッチボルト10のロック及び解除が行える。左側の扉体1bの敷地側の台座9cにはラッチボルト10の受け穴13が設けてある。左側の扉体1bのハンドル2c,2dは、台座9c,9dに固定してある。
【0010】
ハンドル2a,2b,2c,2dは4つとも同じ形態となっており、台座9a,9b,9c,9dに取付けるための板状の取付け部14と、取付け部14より前方に湾曲しながら吊元側にのびる上下2本のアーム3a,3bと、アーム3a,3bの先端部に上下に架設した棒状の握り部4とを一体に有している。アーム3a,3bは、図1に示すように、根元部から先端部にかけて扉体1a,1bから次第に離れるように平面視略S字状に湾曲した形状となっており、先端側に扉体1a,1bに面した円弧状の凹部20を有している。図6に示すように、上側のアーム3aは扉体1a,1b側の下側のコーナー部を円弧状にえぐり取って指の掛かり部5を形成してあり、下側のアーム3bは扉体1a,1b側の上側のコーナー部を円弧状にえぐり取って指の掛かり部5を形成してある。
握り部4は、図1に示すように、アーム3a,3b側の側面に窪み15を設けて扉体1a,1b側の幅を正面側よりも狭くしてあり、断面形状としてはアーム3a,3bの延長線上から扉体1a,1b側に向けて曲がって突出した略勾玉状断面となっている。握り部4の正面側の見付面には平坦部6を有しており、アーム3a,3bは先端部の正面側の見付面が握り部4と同面となるように握り部4の側面に連結されている。扉体1a,1bと握り部4との間には空間Sが形成されている。空間Sの広さWは、肘が入れられる広さ、具体的には67mmとしてある。また握り部4は、図2に示すように、上下のアーム3a,3bから上方と下方にそれぞれ突出している。握り部4の突出長さLは、30mmとなっている。
さらに本ハンドル2a,2b,2c,2dは、図2(a)に示すように、上下のアーム3a,3bと握り部4と取付け部14との間に四角い穴16が形成されている。穴16の大きさは、正面視で横寸法xが46mm、縦寸法yが55mmとなっている。
【0011】
以上のように構成されたハンドル2a,2b,2c,2dによれば、手に荷物を持ったままでも、図4(a)に示すように、握り部4のアーム3a,3bから突き出た部分に手首や肘、前腕17等を掛けて引くことで、容易に扉体1a,1bを開けることができる。また、図4(b)に示すように、アーム3a,3bの後側の凹部20に前腕17等を縦に差し入れて引くようにして開けることもでき、このとき握り部4がアーム3a,3b先端部よりも扉体1a,1b側に突出しているため、前腕17等が外れるのを防いで確実に引くことができる。さらには、図4(c)に示すように、握り部4を正面から肘21等で押して開けることも可能で、握り部4の正面側の見付面に平坦部6を有していることで、肘21等が滑るのを防いで確実に押すことができる。
もちろん握り部4に手を掛けて押し引きしてもよく、その場合には握り部4が略勾玉状断面となっていることで、図5(a)に示すように、握り部4に指18を掛けたときに指18が掛かりやすく、さらに上下のアーム3a,3bと握り部4と取付け部14との間に四角い穴16が形成されていることで、図5(b)(c)に示すように、左右のどちらの手19a,19bでも握ることができ、しかも手に握り部4がフィットして握りやすい。よって、握力の弱い人でも扉体1a,1bを容易に開けることができる。
さらに本ハンドル2a,2b,2c,2dは、図4(d)と図6に示すように、アーム3a又は3bに手19aを掛けて引くこともでき、アーム3a,3bがS字状に湾曲していることでアーム3a,3bを持ちやすい上、アーム3a,3bに指の掛かり部5を設けてあるため指18が掛かりやすく、アーム3a,3bから指18が外れにくい。
以上に述べたように本ハンドル2a,2b,2c,2dは、コンパクトでありながら多様な使い方に対応した使い勝手の非常に優れたものとなっており、本ハンドルの採用により門扉の開けやすさを大きく向上できる。ハンドル2a,2b,2c,2dを地面から約1000mmの高さ位置に設けたことで、両手がふさがっているときでも腰を屈めずに前腕等でハンドル2a,2b,2c,2dを容易に操作できる。
【0012】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。握り部は、円形や楕円形断面であってもよく、またアームから握り部が上方にのみ突出するものでもよい。本発明の扉は、左右両開きのものに限らず片開きのものでもよく、また門扉に限らず家や店舗等の出入口に用いることもできる。扉体の構成は任意であり、板状のものに限らず格子状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0013】
1a,1b 扉体
2a,2b,2c,2d ハンドル
3a,3b アーム
4 握り部
5 指の掛かり部
6 平坦部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体と、扉体に取付けたハンドルとを備え、ハンドルは、上下に間隔を空けて平行に配置したアームと、アームの先端部に架設した握り部とを有し、アームは、根元部から先端部にかけて扉体から次第に離れるように曲線状となっており、握り部は、アームから少なくとも上方に突出しており、握り部とアームの全体が操作部であることを特徴とする扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−15013(P2013−15013A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213395(P2012−213395)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2009−67931(P2009−67931)の分割
【原出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)