説明

手動調整可能なノズルを有する自動噴霧装置

シャワー室又は浴室の囲壁に向けて液体洗剤を噴霧するための自動噴霧装置(10)。噴霧ヘッド(32)は、略垂直な軸周りを回転する。その吐出ノズル(23)は、略水平な軸(その限りではない)周りを回転して、噴霧の鉛直角を調整し、これによって、噴霧装置は、大きさの異なる囲壁及び洗浄困難な部分的な汚れに対処できるように調整可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー室/浴室の囲壁(特に、居住用建物内のシャワー室/浴室の囲壁)を自動的に洗浄するために設計された噴霧装置に係る。より詳細には、本発明は、大きさの異なる囲壁及び洗浄困難な局所的な汚れに対処できるように噴霧方向の垂直性の調整が可能なノズルを有する回転式噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャワー室の囲壁の壁/ドアは、普通に使用している間、カビが生えたり、石鹸垢、水垢及び/又は鉱床が付着したりするなど、いずれにしろ、汚れる。従来、特に、掃除間隔が長時間を経ている場合、これらの堆積物や汚れを除去するために壁やドアを手で磨く必要があった。
【0003】
この作業を補助するため、洗浄対象となる面に、洗浄薬品が、噴霧され、噴出され、或いは別の方法で、塗布されていた。そして、壁は、布、ブラシ、雑巾などで磨かれてから、水で洗い流されていた。
【0004】
最近では、特に、洗剤が毎日のように噴霧される場合は、掃除を妥協せずに、磨き量が削減され得るか、又は、磨きが省略され得るように設計されている洗剤もある。一般的に、特許文献1及び特許文献2を参照されたい。これらの洗剤は、塗布後、数時間または数日間洗い流さなかったとしても、しみや他の目に見える汚れが残らないように設計されている。
【0005】
「磨かない」洗剤は、好ましくは、シャワーが使用された後に塗布される。これは、消費者が、シャワー室の囲壁又はその近辺に洗剤のポンプ式噴霧ボトルを置いておき、忘れずに噴霧し(消費者の起床時にはやや困難であろうが)、囲壁に噴霧するために自主的に必要な時間を費やす(又は費やすことができる)ことによって達成される。
【0006】
磨かない手法に代わるものとしては、シャワー室用自動噴霧装置を提供することができる。例えば、特許文献3は、内部ポンプを使用することによりタンク内の洗浄液を回転式ノズルから囲壁へ噴霧する自動洗浄噴霧装置を開示している。使用者は、起動ボタンを押し、シャワー室を出て、噴霧周期に従って装置を作動させる。この場合、囲壁を磨いたり、洗浄液を洗い流したりする必要がない。
【0007】
しかしながら、全ての囲壁が同じ大きさというわけではない。例えば、シャワー室の囲壁は、平面視では略四角形であり、相対的に小さい。浴室の囲壁は、平面視では長方形の矩形であり、相対的に大きい。小さいシャワー室を掃除するために構成された回転ノズルは、もっと大きな浴室の囲壁の全ての所望される部分に洗浄液を方向付けることができない場合もある。
【0008】
この問題に対応すべく、噴霧範囲を拡大するために複数のノズル孔を使用したり、又は、装置を予想される最大と最小の囲壁に対して最適化された設定の折衷位置で装置を構成したりすることが考えられた。しかしながら、どちらの方法も、所望される洗浄を達成するためには必要以上の洗浄液を使用する必要があった。
【0009】
また、囲壁が局所的に頑固に汚れてしまった後でこのような装置を初めて取り付ける場合、最も汚れている部分に必要以上の洗浄剤を使いたい要求が生じる。しかしながら、このような装置は、原則として、より均一に噴霧されるように設計されている。このため、消費者は、洗浄を達成するために装置の必要以上の周期を使用しなければならなかったり、及び/又は、その洗浄能力に不満を感じたりするという問題があった。
【0010】
非関連文献である、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6は、方向付けノズルの様々な構造を示している。しかしながら、これらのシステムは、現在の環境に容易に適応できなかった。例えば、本発明との関連において、ノズルの自在継手の使用は、回転力がノズルを選択位置から外れて駆動する傾向があるため、好適ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際特許第96/22346号
【特許文献2】国際特許第98/02511号
【特許文献3】国際特許第98/02511号
【特許文献4】米国特許第5,992,404号
【特許文献5】米国特許第5,536,200号
【特許文献6】米国特許第5,248,094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、改良された自動シャワー洗浄装置、特に、大きさの異なる囲壁に応じて調整可能であり、局所的な汚れに対処できる能力に対する要求がいまだに根強い。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの態様によれば、本発明は、囲壁に液体洗剤を噴霧するための自動噴霧装置を提供している。(噴霧装置がこのような液体洗剤の供給と連動した場合、)噴霧装置の作動中、洗浄剤が吐出される吐出口を有する噴霧ヘッドが提供されている。また、吐出口上に配置されたノズルと(好ましくは、略垂直な軸を中心に)噴霧ヘッドを回転させるモータも提供されている。
【0014】
ノズルの垂直位置は、手動調整可能にされることにより、噴霧装置によって液体洗剤を方向付けるように調整される。例えば、(噴霧装置がこのような液体洗剤の供給と連結した場合、)噴霧装置の作動中、ノズルを、噴霧ヘッドに対して、手動回転可能にすることにより、液体洗剤を方向付ける角度が調整される。ノズルの連結部は、噴霧ヘッドが回転しただけで角度が移動されないように十分に安定している。
【0015】
いくつかの好ましい形態において、吐出口は、第1の管に連結されており、ノズルは、略水平の回転軸に沿って第1の管に連結されている第2の管の形態を取っている。最も好ましくは、ノズルが、第1の管に対して自在に回転可能ではない、または、噴霧ヘッドの回転方向において回転可能なことである。
【0016】
噴霧装置の作動中に、ノズルは、液体洗剤が方向付けられる角度を、噴霧ヘッドに対して手動回転可能にすることにより、少なくとも90度まで、好ましくは、少なくとも120度まで、更に好ましくは、少なくとも160度まで、最も好ましくは、少なくとも180度まで調整される。
【0017】
他の実施の形態において、ノズルは、吐出口に直接取り付けられた接管を含む。つまり、接管は、噴霧ヘッド内で、好ましくは、吐出口の上流側にある継手によって、回転可能となる。
【0018】
或いは、ノズルの垂直位置は、他の手段によって手動で調整され得る。例えばタレットは、噴霧装置主要本体へ押されたり、噴霧装置主要本体から離れるようにラチェットや他の接続手段に連結され、一方で更にタレットが回転するようにラチェットや他の接続手段に連結される。
【0019】
用語「手動」を用いることによって、発明者は、好ましくは、調整を行うために道具を使用せずに達成できる物を好ましいとしているが、ねじ回しや他の人力道具を使用して調整を容易にすることができる調整システムの可能性を排除するものではない。
【0020】
通常、小さな囲壁に対して、ノズルは、(洗浄したい部分汚れがない)大きな囲壁に対する場合と同じ程度に上向きに配置されない/方向付けされない。この点に関して、一般的に、大きな囲壁に対するノズルは、最も遠く離れた壁の更に上方の部分でも、十分に噴霧することができるように垂直性の高い噴霧方向が求められる。このような装置を囲壁に設置しようとする消費者は、一般にその寸法を測定し、最良の取付位置となる場所(例えば、シャワー吐出パイプ)を考慮に入れ、次に、噴霧を最適化するようにノズルを角度付けする(例えば、「推奨パッケージ」を考慮に入れる)。
【0021】
或いは、消費者が、既に汚れが部分的にこびりついた囲壁へ噴霧装置の使用を開始して、これらの位置に洗浄努力を向けたい場合、初期方向としての垂直位置の設定はそれを考慮に入れる。次に、その汚れに十分に対処できたとき、その囲壁に対して最適化されたもっと均一な処理に対して設定を最適化する。
【0022】
これらの調整可能性の利点は、追加コストをあまり掛けずに、達成され得る。また、このタイプの調整メカニズムは、このタイプの既存の装置に組み込まれてもよい。
【0023】
本発明の以上の利点は、以下の詳細な説明及び図面によってより明確に理解されよう。以下の記載が好ましい実施の形態の説明にすぎないことも理解されたい。これらの記載は、請求の範囲の全体を限定するものではなく、むしろ、請求の範囲は、本発明の全容を判断するために参考にされたい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、シャワー室の囲壁などに自動的に噴霧するための噴霧装置であって、この噴霧装置は、大きさの異なる囲壁に使用できるように最適化されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好ましい実施の形態による自動噴霧装置を示す斜視図である。
【図2】手動調整可能なノズルに注目した噴霧装置の下部を示す拡大斜視図である。
【図3】配向を変えた場合の手動調整可能なノズルを示す他の斜視図である。
【図4】噴霧装置の部分的概略側面図である。
【図5】図2の線5−5に沿った切断断面図である。
【図6】他の実施の形態による斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
噴霧装置10は、洗浄液の供給能力を含むボトル12、調整可能なハンガー26を有するハウジング14、及び手動調整可能なノズル20を有する回転可能な噴霧ヘッド32を含む。或いは、取り付け目的のために固定ワイヤハンガーを使用してよい。
【0027】
図3に示されている部分に関係なく、装置は、原則として、その全体が本明細書中に参照することによって組み込まれている米国特許出願第2004/0050959号に記載される種類の装置に基づいている。これらの装置は、モータに電力を供給する内部交換可能な電池を設けられている。モータは、ポンプと噴霧ヘッドのための回転駆動装置とを共に駆動する。
【0028】
ポンプは、ボトル12から噴霧ヘッド32へ洗浄液を送出する。噴霧装置10は、一般に、シャワーパイプ等から吊るされている。このため、室内電源を設ける必要もないし、室内水道との連結部も必要としない。
【0029】
ボタン35を押圧することによって一旦起動されると、内部コンピュータコントローラが噴霧周期を、短期間、遅延させ、その間に、消費者がシャワー室から出ることができる。噴霧周期は自動的に開始及び終了される(例えば、一分間の回転噴霧)。噴霧周期は、好ましくは、消費者がシャワーを浴び終わって、まさにシャワー室から出ようとしている直後に開始される。このため、一般的な用途においてすすぎはない。すすぎは、少なくとも、シャワーが通常に使用される次回まで、行われない。
【0030】
図5に示されるように、吐出口202は、回転可能な噴霧ヘッド32上に提供される。吐出口202の上流には、ハウジング208と取入口210とポンプ(図示しない)に接続された供給管216を有する流体パルス装置が配置され得る。
【0031】
吐出口202は、第1の管203に連結されており、第1の管203は、ノズル20に連結されている。ノズル20は、第2の管/接管23をピン留めする心棒41を収容したサイドアーム40を有するタレット(櫓)22を含む。心棒41は、アーム40の収容凹部へスナップ留めされる管23の各側から突出している短い突起であってよい。或いは、心棒41は、アームと管23を貫通する貫通心棒であってよい。
【0032】
いずれにせよ、概念は、第2の管23を第1の管203に対してアーム40間で回転させることである。この概念は、管23及び203の内側の各末端部が、アーム40間に画定された拡大ポケット内に案内され、各末端部が互いに十分に離間されて回転を可能にすることができるので、流体の連通を絶やさずに、達成することができる。
【0033】
アーム40は、第2の管23との摩擦力を利用した係合により、所望の角度への調整を可能とするだけでなく、重力又は回転力による予期しない角度調整に抵抗することもできる。要望があれば、アーム40の内面間にラチェット構造を設け、対応する突起を第2の管23に設けることにより、これらのラチェット構造と相互作用し、更に所望の取り付け角度を確保する。
【0034】
噴霧装置10は、その吐出口202が、約30°下方に延出するように吊り下げられてもよい。図4に示されるように、第2の管/接管23は、約180度の範囲で角度調整が可能なように、吐出口202から延出されている。これによって、遠く離れた壁まで弧を描きながら噴霧できるだけでなく、シャワーヘッドが取り付けられている壁に局所的な汚れがあったとしても、その汚れを十分に洗浄することができる。
【0035】
最も好ましくは、アーム40は、噴霧ヘッドが回転する方向へのノズル23の予期しない角度付けを回避する垂直スロットを提供する。これにより、アームは回転しようとする力に抵抗する。
【0036】
他の実施の形態において、図7に示されるように、同様の構成部品には、記号Aを含んで、同様の参照番号が付されている。この実施の形態において、前述の実施の形態との主な違いは、ノズルの角度調整の殆どが、噴霧ヘッド32A内の継手、例えば、吐出口202の上流部の継手によって行われる点にある。
【0037】
更なる実施の形態において、回転によって調整を行うより寧ろ、タレット22が取り付けられることによって、支持構造202内で全体的に垂直方向へのノズルの調整が可能であり、ノズルが、特定の垂直位置に好適に固定される。とは言え、これによって、角度方向というよりはむしろ垂直性のみから得られる手動調整が達成される。
【0038】
更に他の実施の形態において、回転調整と、上記段落における垂直方向の調整の両方が組み込まれてもよい。これによって、より大きな柔軟性が提供される。例えば、汚れの少ない小さな囲壁においては、ユーザは、タレットを上昇させずに、ノズルを下に向けようとする。一方、汚れの少ない大きな囲壁においては、ユーザは、タレットを上昇させながら、ノズルを下に向けようとする。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態は、上記に説明された通りである。しかしながら、好ましい実施の形態が、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、変更及び変更が可能であることは、本開示の内容によって当業者により明確に理解されよう。
【0040】
従って、本発明は、上記の実施の形態に限定されるべきものではなく、本発明の全容を確認するために以下の請求の範囲を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
囲壁に液体洗剤を噴霧するための自動噴霧装置であって、
前記噴霧装置がこのような液体洗剤の供給と連動した場合、前記噴霧装置の作動中、洗浄剤が吐出される吐出口を有する噴霧ヘッドと、
前記吐出口に配置されたノズルと、
前記噴霧ヘッドを回転させるためのモータと、を含み、
前記ノズルの垂直位置は、手動調整可能にされることにより、前記噴霧装置によって前記液体洗剤を方向付けるように調整される
自動噴霧装置。
【請求項2】
前記ノズルを前記噴霧ヘッドに対して手動回転可能にすることにより前記液体洗剤が方向付けられる角度が調整される請求項1に記載の自動噴霧装置。
【請求項3】
前記噴霧ヘッドは略垂直軸を中心に回転可能である請求項2に記載の自動噴霧装置。
【請求項4】
前記吐出口は、第1の管と連結されており、
前記ノズルは、略水平の回転軸に沿って第1の管に回転可能に連結された第2の管の形態を成す請求項2に記載の自動噴霧装置。
【請求項5】
前記ノズルは、前記第1の管に対して自在に回転可能ではない請求項4に記載の自動噴霧装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記噴霧ヘッドの回転方向における角度付けが可能ではない請求項2に記載の自動噴霧装置。
【請求項7】
前記ノズルを、前記噴霧ヘッドに対して手動回転可能にすることにより、前記噴霧装置の作動中に前記液体洗剤が方向付けられる角度を少なくとも160度まで調整する請求項2に記載の自動噴霧装置。
【請求項8】
前記ノズルは、前記吐出口に直接取り付けられた接管を含む請求項2に記載の自動噴霧装置。
【請求項9】
前記ノズルは、垂直方向に手動調整可能なタレットの一部を成す請求項1に記載の自動噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−522637(P2010−522637A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500964(P2010−500964)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/003927
【国際公開番号】WO2008/118447
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】