説明

手浴桶

【課題】手浴を行う際に生じる、手首17や肘、肩などにかかる負担を軽減し、また、お湯が冷めにくくなるよう蓋を設け、使用時に容易に閉まるようにすることもできる手浴桶を提供する。
【解決手段】手首17の力を抜き、指先16を下に向け伸展できるよう手浴桶50の深さを考慮し、指先16から腕を挿入させる左手用開口部5および右手用開口部5aを設け、手首17、腕を支える左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aを具備することで肩への負担を軽減する。本体に被さる蓋2を具備することで湯温を維持し、蓋支え板4や支え板はめ込み部3、ステー22等の保持機構により蓋2を支え、使用時に保持機構を解除して蓋2を閉じることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桶にお湯をはり、手を挿入して暖める手湯に使うための桶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手浴(手湯)を行うのに、従来では洗面器を用いることが多く、手首を曲げたままの姿勢を維持し、手首や肘、肩も硬直しやすく、洗面器の開口部が広いため、手浴をする際のお湯が冷めやすかった。そのため、肩こりの緩和などを目的としているが、十分な効果が得られにくく、冬等、寒い時の利用が多いため、お湯が冷めやすい。
背景技術として足湯洗面器の出願(特許文献1参照。)がある。
【0003】
手浴用の出願は温浴容器(特許文献2参照。)や、手浴ベースン(特許文献3参照。)等がある。
特許文献2の温浴用器は、実用新案の説明として、このように記載されている。
本案は患者の体を楽にして温浴を行い得るようにした温浴用器の構造に関する。
これは、従来バケツなどで行っていた温浴から、患者の体を楽にして(足などの屈折困難な場合も)温浴するための物であり、比較的広い患部を温浴するものである。また、おそらく患者本人による入浴というより、看護士などが容易に入浴させることができるよう考案されたものとおもわれる。
しかし、桶状部に腕や足などで加重された際の安定感に欠けることで浴室以外の使用が難しいことや、開口部が広いため保温効果は期待できない。その他、洗うことを目的とする温浴容器と、首や、肩こりの緩和を目的とする、今回の発明である手浴桶とはことなる部分がある。
【0004】
特許文献3の手浴ベースンは、請求項1として、このように記載されている。
手浴対象者の手を浸漬させて洗浄するための浴湯を貯留する浴槽空間を有する手浴ベースンにおいて、手を縦向き姿勢でかつ手指を伸展位にした状態で手関節部まで収容可能な深さを有する前記浴槽空間と、その浴槽空間の底部を閉塞する底板と、その底板に連設され前記浴槽空間の周囲を包囲する周壁板と、その浴槽空間の上方に開口形成されその浴槽空間内へ手を挿入するための挿入口とが設けられる容器部材と、その容器部材の周壁板における一部の上端部に一体的に連設形成され、その周壁板の上端部から更に上方へ略舌片状に延設され、その容器部材の横幅方向に幅広の板状に形成される押さえ部材とを備えていることを特徴とする手浴ベースン。
【0005】
この手浴ベースンは、看護士や介護士が、手浴対象者が臥床状態にある患者などの手を浴湯で洗浄するものである。これは、手浴対象者が横向きで寝ている状態で、ベッドの上などで使用するための物であり、椅子に座った状態や、その他の座った状態で入浴するための桶ではない。
目的以外の使用も可能だが、効率的とは言えず、寧ろ洗面器を用いた方が効率的か、もしくは、ほぼ大差はないように思われる。また、開口部が広いため、保温効果は期待できない。
これを寝姿勢以外で使用した場合、腕や手首を支える部分は特に設けておらず、長時間の入浴は難しい。その他、洗うことを目的とする手浴ベースンと、首や、肩こりの緩和を目的とする、今回の発明である手浴桶とはことなる部分がある。
【0006】
従来用いられる洗面器だと、図11のように掌を底面につけるようにして手浴を行なうため、手首を上に反り上げ、力を入れた状態のままで手浴を行うことになる。また手首だけでなく、洗面器では十分な幅を持ち合わせていることも少なく、幅はあるが、洗面器内部から外周淵部分にかけて浅くなっているものが多い為、図10のような両手を重ねた状態になり、肘を伸ばし、肩も上がりやすく、力が入りやすくなってしまう。この状態を改善する為に本発明の手浴桶を提案したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3148471号
【特許文献2】実開昭36−1595公報
【特許文献3】特開2009−183438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
手浴をする際、洗面器にお湯をはり、手をつけると、まず手首を上に反らした状態での維持が必要になり、両肘を内側によせ、肩にも力が入りやすい、洗面器は開口部が広いため、手浴をする際のお湯が冷めやすく、そのため、肩や、首こりの緩和などを目的としているが、十分な効果が得られにくく、冬等、寒い時の利用が多いため、お湯が冷めやすい。上記問題点を解決し、洗面器よりお湯が冷めにくく、安定した姿勢で手浴のできる手浴桶を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の手浴桶は、指先を下に向け、手指を伸展させた状態で指先から手首まで十分につかる深さを有する、手浴用のお湯を入れる手浴桶であって、前記手浴桶が、該手浴桶の面に設けられた指先から手首まで挿入することができる程度の大きさの開口部と、前記開口部に挿入された手首及び腕を支える手首支え部とを具備している手浴桶である。
【0010】
この請求項1の手浴桶によれば、手浴を目的とするお湯を入れる手浴桶は、その容器の形状に関わらず、隣同士の指を接触させるように揃え、指先から肘までをほぼ水平に保った状態で、容器に指先から手首まで挿入することができる程度の大きさの穴(洗面器の開口部のように大きな物ではなく、大体の大人の手が挿入できない程小さくない開口部。また、手浴桶の面に部分的に設ける、例えば上面に開口部を設けた場合、上面全てが開口部ではなく、上面の部分的に、手が通る程度の開口部を設けたものである。)があり、その穴へと挿入された手首、腕を支えるために、穴の下部に手首支え部を具備した容器であることがわかる。
【0011】
この手浴桶は保温効果も重要なため、密閉容器であることが好ましく、開口部には手を挿入して、ある程度塞いで使用するため、ほぼ密閉となり温度を維持しやすい。また、開口部や、左手用開口部、右手用開口部に、シリコーン等、伸縮性のあるやわらかいゴム素材で、薄いドーナツ状のようにしてゴム挿通部(図23参照。)を備えることで、開口部の隙間を塞ぎ、お湯の温度を維持しやすくすることができる。
また、蓋が接続されたタイプには蓋側に三日月形に形成したゴム挿通部を備えると、効率よく保温効果を付随することができる。
その他、前記手首支え部で腕を支え、指先を下に向け、手指を伸展させた状態でも指先から手首まで十分につかる深さを有することにより、課題である手首を上に反り上げた状態を回避し、力を抜き指先を下に向けた楽な姿勢での手浴を可能とするものである。
【0012】
この手浴桶に、いずれかの開口部よりお湯を入れ、手を挿入するための開口部へ片手、もしくは両手を挿入し、手首支え部で腕を支え、浴槽空間部に満たされたお湯で入浴を行うものである。手浴桶を置く場所は、床や、テーブルの上など、その他置き易い所であれば場所は選ばない。
【0013】
また、請求項1の手浴桶は、片手のみの開口部、片手のみの手首支え部を備えた手浴桶(右手用と左手用との二つセットで使用する。図22参照。)や、一つの容器に両手用の開口部および両手用の手首支え部を設けた手浴桶、その他、二名以上で同時に入浴をすることができる、人数分の両手用の開口部と手首支え部を設けた手浴桶なども含むものである。片手用の手浴桶の利点は、片方ずつに分かれた本体を、それぞれ置き易い位置に置くことができるものだが、デメリットとしては使用後の手入れをそれぞれ行わなければならないことが上げられる。
【0014】
その他、請求項1の手浴桶は、開口部の数を限定するものではない為、開閉可能な蓋があるもの(図8、図20参照。)や、手を挿入するための開口部以外の開口部がなく、手浴桶の上部が同素材等でおおわれているもの(図1参照。)や、手浴桶の上部が洗面器などのように開き、開口部になっているものや、蓋および、手浴桶の上部に蒸気口としていくつかの穴(お湯の温度が急激に下がらない程度の開口部。スチーム効果等を
期待できる。)があるもの等も含むものである。
【0015】
また、手を挿入するための開口部、左手用開口部および右手用開口部と、手首支え部、左手用手首支え部および右手用手首支え部は、前面、側面、上面など、手浴桶のどの位置に備えても、本発明の範囲内であり、これらを備えることや、指先から手首まで十分につかる深さを有することにより、課題である安定した楽な姿勢での手浴を可能にするものである。
【0016】
両手用手浴桶は、指先から両手首をそれぞれ挿入させる二つの開口部、左手用開口部および右手用開口部と、その二つの開口部に挿入された手首、腕をそれぞれ支える左手用手首支え部および右手用手首支え部とを具備し、指先から手首まで十分につかる深さをもち、二つ穴があるものもある。
【0017】
前記、両手用手浴桶は、手を挿入させる開口部は右手用と左手用の二つを備え、それ以外の穴(開口部。)はないとしている。つまり、上部は塞がっている容器で、保温性を高めることを目的としており、手浴用のお湯を入れる際には、左手用開口部および右手用開口部から行うものである。(図1参照。)これは両手を同時に入浴することを目的とする手浴桶であり、左手用開口部および右手用開口部の下部にはそれぞれ左手用手首支え部および右手用手首支え部が具備されており、これもまた手浴桶の形状は様々である。
【0018】
前記、両手用手浴桶に、いずれかの開口部よりお湯を入れ、左手用開口部および右手用開口部へ手をそれぞれ挿入し、左手用手首支え部および右手用手首支え部で腕を支え、浴槽空間部に満たされたお湯で入浴を行うものである。この両手用手浴桶は、入浴する際に浴槽空間部内でお互いの手を揉み解すことができるという利点をもつ。
【0019】
また、左手用手首支え部および右手用手首支え部や、左手用開口部および右手用開口部は、手浴桶の、前面、側面、上面など、手浴桶のどの位置に備えてもよい。側面に備えたものは、テーブルの上などに置き、両肘をテーブルに付けるようにして入浴しても安定した楽な姿勢となりやすく、手浴桶を胸部に近づけて置くことができるため、安定感もましやすい特徴をもつ。
【0020】
また、左手用開口部および右手用開口部を上面に備えた手浴桶は、上部開口部から前方(使用者の体側。)に向かって手浴桶本体上部を窪ませることにより備えた、左手用手首支え部および右手用手首支え部を使用すると、肘付近まで腕を支えられる為、これもまた安定した楽な姿勢を維持しやすい形状と言える。(図21参照。)
【0021】
請求項2の手浴桶は、前記手浴桶が、手浴桶本体と、前記手浴桶本体に開閉可能に取り付けられた蓋とから構成され、前記開口部が、前記手浴桶本体、もしくは手浴桶本体と蓋との間に設けられており、手首支え部が、前記手浴桶本体に備えられていることを特徴とする手浴桶である。
【0022】
上記、開閉可能な蓋を設けた手浴桶は、前記開口部が、前記手浴桶本体(蓋は図示していないが、図1のような位置の開口部。)、もしくは手浴桶本体と蓋との間(図2の位置の開口部。)に設けられている。蓋を設けるとこにより、保温性を高めるとともに、使用後に本体を洗浄する際や、水分の拭き取りや乾燥させる等、取り扱いの利便性も兼ね備えた手浴桶を提供することができる。
【0023】
また、蓋は、接続せずに開閉(被せるだけの蓋。)させるものや、一部を接続し、その対面側より開閉するもの等、様々なしようの蓋を含むものである。(例としては、後方を蓋接続部によって接続し、前方から開閉するものがあげられる。)(図4参照。)
【0024】
請求項3の手浴桶は、前記蓋が、使用開始時に開き、使用中及び不使用時には閉じるよう開閉可能に構成され、開いた状態で蓋を保持する保持機構をさらに設け、使用時に手首を挿入することによって前記保持機構を解除して蓋が閉じるよう構成されている手浴桶である。
【0025】
この請求項3の手浴桶によれば、使用前には蓋が保持機構(蓋支え板。)により支えられ、使用時に手を挿入した際、保持機構が外れ、入浴中には蓋が閉じた状態になるものである。この保持機構を設けた手浴桶は、例として図4、図14、図19のように手浴桶本体に蓋支え板が接続されたものや、図25、図26の蓋に支え板が接続されたもの等が上げられる。
【0026】
請求項4の手浴桶は、前記開口部に、ゴム挿通部をさらに設けている手浴桶である。
【0027】
この請求項4の手浴桶によれば、桶の形状に関わらず、開口部にゴム挿通部として薄く伸縮性のあるゴム素材(シリコーン等。)をドーナツ状や三日月形にしたもの等で設けることにより、開口部の隙間を埋め、保温効果を高めるようにしたものである。
【0028】
請求項5の手浴桶は、前記手首支え部が内部に空洞を有し、該空洞内に手浴桶内の湯が入るようつながっている手浴桶である。
【0029】
この請求項5の手浴桶によれば、手首支え部が内部に空洞を有しており、その空洞自体が浴槽空間部であり、その空間にお湯を入れて使用することができる手浴桶である。(図21参照。)
開口部は本体の上部に設けられ、そこからお湯を注ぎ、手首支え部に腕を置き、手を開口部に挿入させる。
この手浴桶の素材の選択によって、本体(手首支え部。)から熱が伝わり、肘付近までの、腕を含む広範囲を暖めることも特徴としてあげられる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、従来の洗面器ではなしえなかった楽な姿勢での手浴を、手を挿入するための開口部20、左手用開口部5および右手用開口部5aと、手首支え部21、左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aを備えた容器を使用することで、洗面器より安定した手浴を可能にし、片手用の手浴桶50は片手で開口部20をある程度ふさぎ、両手用の手浴桶50は二つの開口部20に、両手を挿入させてある程度ふさいで使用する。(ゴム挿通部を設けることによりさらに湯温の維持が期待できる。)洗面器のように上部に広い開口部20がない為、冷めやすかったお湯の保温効果も高めることができる。また、蓋2を接続し、使用時に蓋2を自然に閉じることもできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】両手用手浴桶の斜視図である。
【図2】蓋を支えるタイプの手浴桶本体と蓋の正面図である。
【図3】図2のA−A線における縦断面図である。
【図4】図2のA−A線における縦断面の蓋が開いている状態の図である。
【図5】蓋支え板の正面図である。
【図6】支え板固定具、支え板取り付け部を主に示す斜視図である。
【図7】蓋内側の支え板はめ込み部を示す斜視図である。
【図8】蓋を支えるタイプの手浴桶の水位ラインを示した斜視図である。
【図9】本発明使用時(過程)の力を抜いた手首を示す図である。
【図10】従来洗面器での手浴の姿勢を示す図である。
【図11】従来洗面器使用中(過程)手首を上に反らした図である。
【図12】蓋を支えるタイプの手浴桶後面、底面、蓋接続部を主に示す斜視図である。
【図13】蓋を支えるタイプの手浴桶の平面図である。
【図14】図13のB−B線における手浴桶本体の(蓋なし)縦断面図である。
【図15】高さ調節機能がついた手浴桶の一例を示す斜視図である。
【図16】高さ調節機能がついた手浴桶の側面図である。
【図17】高さ調節機能がついた手浴桶の正面図である。
【図18】片側高さ調節後を示す、図16のC−C線における縦断面図である。
【図19】本発明の一実施例を示す、図2のA−A線における縦断面図である。
【図20】側面に左右の開口部を付けた、本発明一例の、一実施例を示す正面図である。
【図21】本体上部に両手を入れる開口部を付けた、本発明一例を示す平面図(a)と斜視図(b)である。
【図22】右手用と左手用の本体を別にした、本発明一例の斜視図である。
【図23】ゴム挿通部の斜視図とゴム挿通部を設けた手浴桶の斜視図とゴム挿通部に手を通した図である。
【図24】(a)は蓋を支えるタイプに、ゴム挿通部を設けた蓋が閉じた状態の正面図。(b)は蓋が開いた状態の正面図である。
【図25】蓋支え板を蓋側に設け、蓋にゴム挿通部を設けた両手用手浴桶の斜視図である。
【図26】蓋支え板を蓋側に設けた手浴桶の、図25のD−D線における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づいて一例を説明する。なお本文中に用いる前方とは、使用者が挿入させた掌側を前方とするものである。
【0033】
図1は、蓋2等はなく、開口部20は左手用と右手用の二つのみ備えた手浴桶50を示す斜視図であり、図2は、蓋2を支えるタイプの手浴桶50であり、手浴桶本体1と蓋2を正面からみた外観図をしめしてある。図3は、図2のA−A線における縦断面図であり、図4は、図2のA−A線における縦断面の蓋2が開いている状態の図であり、図5は、蓋支え板4の正面図である。また、手浴桶50の外観側面図は、図8や図12によって容易に把握できるものとして、省略したものである。なお、外観側面は左右対称に表れる。
【0034】
図6は、支え板固定具外側用7および支え板固定具内側用7aや、支え板取り付け部9を主に示す、蓋2を外した状態の斜視図であり、図7は、蓋内側2dの支え板はめ込み部3を示す斜視図であり、図8は、水位ライン10を示した斜視図であり、図9は、本発明を使用していると過程する際の、力を抜いた手首17を示す図であり、図10は、従来洗面器での手浴の姿勢を示す図であり、図11は、従来洗面器を使用していると過程する際の手首17を上に反らした図であり、図12は、蓋2を支えるタイプの本体後面1d、本体底面1c、蓋接続部11を主に示す斜視図である。
【0035】
図13は、蓋2を支えるタイプの手浴桶50の平面図であり、図14は、図13のB−B線における手浴桶本体1のみの縦断面図であり、図15は、高さ調節機能がついた手浴桶50の一例を示す斜視図であり、図16は、高さ調節機能がついた手浴桶50の左側面図であり、図17は、高さ調節機能がついた手浴桶50の正面図であり、図18は、片側だけを、最も高くなるように調節し、もう片方は、高さ調節板12を調節板格納部13へと格納し、もっとも低い状態に調節した状態を示した、図16のC−C線における縦断面図であり、図19は、本発明の一実施例を示す、図2のA−A線における縦断面図である。
【0036】
図20は、使用する手浴桶50に向かって側面に左手用開口部5および右手用開口部5aを付けた、本発明一例の、一実施例を示す正面図であり、図21は、本体上部1dに両手をそれぞれ挿入する左手用開口部5および右手用開口部5aを付けた、本発明一例を示す斜視図であり、図22は、右手用と左手用の手浴桶50を別にした、本発明一例の斜視図であり、図23は、ゴム挿通部60を示した図で、(a)はゴム挿通部60の斜視図、(b)はゴム挿通部60を取り付けた手浴桶50の図であり、(c)はゴム挿通部60に手を挿入した図であり、図24の(a)は、蓋2を支えるタイプに、ゴム挿通部60を設けた蓋2が閉じた状態の正面図であり、(b)は、蓋2が開いた状態の正面図である。
【0037】
図25は、蓋支え板4を蓋2側に設け、蓋2にゴム挿通部60を設けた蓋2を支えるタイプの手浴桶50の斜視図であり、図26は、蓋支え板4を蓋2側に設けた手浴桶50の、図25のD−D線における縦断面図で、(a)は、蓋2が開いた状態、(b)は、閉じた状態を示した図である。
【0038】
手浴桶50の素材は、一例としては合成樹脂などで形成したり、その他、お湯の温度を保ちやすい素材を用いて形成する。図22は、片手用の手浴桶50を示した図である。この図では、蓋2はなく、本体上部1dが同素材などでおおわれている物を図示している。この手浴桶50をテーブル等に置き、お湯を開口部20より注ぎ、手を挿入して入浴を行う。
【0039】
手浴桶50の深さは、手首支え部21や、左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aに腕を置いた状態(手首17より上の肘側を置き、深く入浴することも含む。また、浴槽空間部18がやや浅く、手首17の一部しかつからない深さの物も、一例として含む。)で、浴槽空間部18で自然に力を抜いたままでの入浴(図9、図19参照。)ができる深さであることが理想である。(手を開き、手指を伸展させた状態や握られた状態、その他の状態も含む。)
【0040】
開口部20や、左手用開口部5および右手用開口部5aは、横に長く、縦に短い楕円形等で備えることが好ましい。あくまでも目安であるが、長辺半径約6cm、短辺半径約3cm程で備える。その他、手を挿通しやすく、かつ手首17を置きやすい負担のかかりにくい形状がよい。
【0041】
手浴桶50の浴槽空間部18にお湯を入れる際、手を入れた状態で、お湯が溢れない、かつ十分な量を個人的に把握してもらう為に、図8に示すお湯の量の目安になる水位ライン10を設けてもよい。
【0042】
左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aを、手浴桶50の左右側面に取り付け、その上部に、蓋2の開閉に関わらず手を挿通することができるサイズの、左手用開口部5および右手用開口部5aを設けて、両サイドから手を挿入させて入浴するタイプがあってもよい。その際、手浴桶50の形を横長に形成したり、深さをやや浅めにする等して調整するなどの、工夫、改良してもよい。(図20参照。)また、このように蓋支え板4を取り付けるのが困難な形状なら取り付けず、蓋2は必要であれば、接続しないタイプのフタを備えるとよい。開閉は浴槽空間部18にお湯を注ぐ際などに行い、手を挿入し入浴する。
【0043】
図2は、蓋2を支えるタイプの手浴桶50の外観斜視図をしめしてある。この図のように左手用開口部5、右手用開口部5aを前面に付けたものは、左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aを外側にハの字のようにやや開いた状態で取り付けておき、前方に向かって少し斜め上に傾斜させて備えることで、より楽な姿勢で手浴ができる。(一例。)
【0044】
上記、左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aは斜め上に傾斜しているとあるが、傾斜の角度や、二つの手首支え部の長さなどは、手浴桶50の大きさにあわせる等、大きさや長さ、角度などは、個人により一定には定まらないため、いくつかのサイズを用意してもよい。また、前方に向かって下に傾斜させたり、傾斜させないものがあってもよく、左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aを手浴桶50の内側(浴槽空間部18側。)に突き出すように備えてもよい。(図20の手首支え部参照。)なお、これらのことは、手首支え部21でも同じことが言えるものである。
【0045】
また、左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aは、手浴桶50のサイズを小さめに用意した場合、前面に付けると、手浴中の両手がぶつかるなどして狭くなることも考えられるため、前面角部19付近に取り付けてもよい。
【0046】
図2、3、4、8、12、13、14は、使用前に蓋支え板4で蓋2を支えておき、入浴する際に蓋2が閉じる仕組みの手浴桶50(蓋2を支えるタイプ。)の図である。このタイプの手浴桶50は、蓋内側2d上部に細めの筒状などで突起を横に二本備え、凹凸を付けてあり、そこに蓋支え板4をはめ込み、準備完了となる。また、前方より開閉するため、後方は蓋接続部11によって接続されている。
また、図25、26は、蓋2側に蓋支え板4が備えられており、手浴桶本体1内側の左右にそれぞれ設けたステー22によって蓋支え板4及び蓋2を支え準備完了となる。
【0047】
上記、蓋2を支えるタイプの手浴桶50の、左手用開口部5および右手用開口部5aは、上半分が蓋2から、下半分が手浴桶本体1からと、半分の開口部により形成されるものである。
蓋2が閉じた状態でも、大体の人が手を挿通することができる大きさで備えておけば、上部開口部8の開閉により、蓋2が閉まる際、強く挟まれることをさけることができる。
また、蓋2を支えるタイプは、蓋2に三日月形のゴム挿通部60を設けることで、お湯の温度を保ちやすくすることもできる。
【0048】
図8は、手浴桶本体1と蓋2を斜めに上から見た図で、蓋2が開いた状態を示した図である。
この左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aは、左手用開口部5および右手用開口部5aの下に供えてあり、それぞれの開口部に向かって挿入された手首17を支え、浴槽空間部18へ十分に手を入れて手浴を行なうが、その際、手首17の力や肩の力を抜き、できるだけ自然なかたちを求めると、図9のような指先16を下に向けた状態になる。(実施例図19参照。)
【0049】
蓋2を支えるタイプの手浴桶50を実施するにあたって、まず手浴桶本体1に水位ライン10を目安にお湯を入れ、蓋支え板4を支え板はめ込み部3にはめ込んでおき、左手用開口部5および右手用開口部5aへ向かって手を挿入する。その際、予めはめ込んでいた(もしくはステーにより支えていた)蓋支え板4の左手用支え板網部4aおよび右手用支え板網部4bに指先16でふれるようにし、そのまま奥へと蓋支え板4を押し込んでいくことで、蓋2が閉じ、手浴を行う。
【0050】
蓋2が閉じる際、勢いよく閉じることをさけるため、蓋接続部11で摩擦抵抗をつけられるようにし、蓋2の閉じ方を緩やかにすることが望ましい。その他、ステー22に支えられた蓋支え板4の縦ラインの中央付近にヒンジを設け、奥側に折れ曲がるよう形成し、摩擦抵抗をつけることで緩やかに閉じることができる。
【0051】
蓋支え板4がそのままの板である場合、押し込んだ際、水の抵抗により沈みにくくなる為、できるだけ水の抵抗をなくすことを目的とし棒状にすることを考えた。が、全て棒状にしてしまうと、挿入された指先16で押し込みにくくなってしまう。それをさける為、左手用支え板網部4aおよび右手用支え板網部4bを設けてある。
【0052】
図6は、支え板固定具外側用7および支え板固定具内側用7aと、支え板取り付け部9を主に示した図である。
蓋支え板4が手浴桶本体1に接続されたタイプのものは、(図2、図3、図4参照。)手浴桶本体1にそれぞれ二箇所、支え板固定具外側用7および支え板固定具内側用7aにより、手浴桶本体1側の支え板取り付け部9に蓋支え板4の支え板先端部4cが固定されているため、両手の指先16で押し込まれると、網がついている側が水面に倒れていき、図4の状態から、図3の位置へと蓋支え板4が移動する。
【0053】
蓋支え板4が、支え板はめ込み部3から外されると、蓋前面2a側より蓋2が閉まっていき、上部開口部8は閉じるため、図2や、図3のように蓋2が閉じた状態になる。そのまま浴槽空間部18へ両手を挿入した状態(図19参照。)で手浴を行なう。
また入浴後には、浴槽空間部18からそのまま手を上方へと上げることにより、上部開口部8、蓋2を開けることもでき、左手用開口部5および右手用開口部5aのサイズによっては閉じたまま左手用開口部5および右手用開口部5aより手を抜き出すこともできる。
【0054】
以上、本発明を実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を剥脱しない範囲内で色々な改良、変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0055】
例えば、後方を蓋接続部11により接続したものも、本体と蓋2とを分解できるように設計することにより、使用後の手入れのしやすさにも効果を奏する。
【0056】
例えば、手浴桶50の図示例では、ほぼ長方形で示してあるが、両サイドを丸くして楕円形にしたり、手浴桶本体1の本体底面1cにかけて幅を広げて安定感をだす等、外観はこだわらない。また、本体底面1cに、滑り止めとして数箇所ゴム素材等(図示例なし。)を取り付けてもよい。
【0057】
また、上部開口部8は、手浴桶本体1と蓋2の先端に凹凸を付けてかみ合うように備え、温度を保ちやすく冷めにくい形状にしたり、シリコーン素材等のやわらかい素材を上部開口部8に沿って具備し、蓋2開閉時の指先16や手首17などの挟みこみによる衝撃を軽減するなどの工夫(図示例なし。)を施してもよい。
【0058】
手浴桶50の一部に電気や、その他の熱源を利用し、お湯の温度を維持したり、再度温度を上げることができるタイプがあってもよい。また、手浴桶50や、手浴桶本体1および、蓋2自体が、お湯の温度を維持しやすい素材で作る事が望ましい。
【0059】
図15、図16、図17、図18に示した手浴桶50は、高さ調節機能付のもの(一例。)だが、これ以外の別の方法や形状の高さ調節機能を施してもよい。また、必要に応じてこのような機能を有した手浴桶があってもよいと考えるもので、必ずしも高さ調節機能が必要なわけではない。
【0060】
手浴桶50の一部に、お湯の温度を把握できるように温度計を具備したタイプがあってもよい。また、手浴桶50の素材を選択する際、クリア素材や、半透明な物を使用することにより、容易にお湯の水位を確認することができる。
【0061】
その他、本体(お湯を入れる容器。上部が塞がった物や開口したものも含む。)のいずれかの一部分に、開口部20、左手用開口部5および右手用開口部5aを設けたもの。腕を支えやすい位置に、手首支え部21、左手用手首支え部6および右手用手首支え部6aを具備した手浴をする容器が本発明の手浴桶50である。
【符号の説明】
【0062】
1 手浴桶本体
1a 本体前面
1b 本体後面
1c 本体底面
1d 本体上部
2 蓋
2a 蓋前面
2b 蓋後面
2c 蓋上部
2d 蓋内側
3 支え板はめ込み部
4 蓋支え板
4a 左手用支え板網部
4b 右手用支え板網部
4c 支え板先端部
5 左手用開口部
5a 右手用開口部
6 左手用手首支え部
6a 右手用手首支え部
7 支え板固定具外側用
7a 支え板固定具内側用
8 上部開口部
9 支え板取付部
10 水位ライン
11 蓋接続部
12 高さ調節板
13 調節板格納部
14 調節ネジ
15 調節ネジ穴
16 指先
17 手首
18 浴槽空間部
19 前面角部
20 開口部
21 手首支え部
22 ステー
50 手浴桶
60 ゴム挿通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指先を下に向け、手指を伸展させた状態で指先から手首まで十分につかる深さを有する、手浴用のお湯を入れる手浴桶であって、前記手浴桶が、該手浴桶の面に設けられた指先から手首まで挿入することができる程度の大きさの開口部と、前記開口部に挿入された手首及び腕を支える手首支え部とを具備している手浴桶。
【請求項2】
前記手浴桶が、手浴桶本体と、前記手浴桶本体に開閉可能に取り付けられた蓋とから構成され、前記開口部が、前記手浴桶本体、もしくは手浴桶本体と蓋との間に設けられており、手首支え部が、前記手浴桶本体に備えられている、請求項1に記載の手浴桶。
【請求項3】
前記蓋が、使用開始時に開き、使用中及び不使用時には閉じるよう開閉可能に構成され、開いた状態で蓋を保持する保持機構をさらに設け、
使用時に手首を挿入することによって前記保持機構を解除して蓋が閉じるよう構成 されている、請求項2に記載の手浴桶。
【請求項4】
前記開口部に、ゴム挿通部をさらに設けている、請求項1から請求項3に記載の手浴桶。
【請求項5】
前記手首支え部が内部に空洞を有し、該空洞内に手浴桶内の湯が入るようつながっている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の手浴桶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−56241(P2011−56241A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23252(P2010−23252)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(309024848)
【Fターム(参考)】