説明

手紙および平形郵便物の収納箱

【課題】郵便物を箱から自動的に取り出すことを可能とする郵便物収納箱を提供する。
【解決手段】郵便物2用の収納箱3は、複数の側壁7と一つの底とを備える。この底は互いに傾斜した2つの壁6、8を備え、これらの2つの壁6、8の一方は、収納箱3の底に郵便物2を揃えるための揃え壁8を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の側壁と一つの底とを備える、郵便物を収納するための収納箱に関する。
【0002】
より詳細には本発明は、郵便物、一般に手紙および平形郵便物を収納する、主として、コンベアバケットを有する郵便仕分け(区分)機において、郵便物を受け取って収納するために使用される収納箱に関する。
【背景技術】
【0003】
特に、米国特許第5290025号明細書に示されているように、コンベアバケットを有する郵便仕分け機において、郵便物は回転コンベアバケットによって仕分け機の仕分け出口を構成する複数の収納箱上に搬送されて、単にバケットの底を開くことによってバケットから収納箱内に落下させられる。
【0004】
米国特許第6648284号明細書は郵便物収納用の収納箱を開示している。この箱は、箱の互いに正反対の位置にある2つのコーナの間に傾斜して差し渡された一つの壁によって形成される底を有しており、これにより、箱の底に郵便物をより良く積み重ねることができると同時に、箱の底に積み重ねられた郵便物を、水平な底または箱の側壁に対して垂直な底を有する箱よりも良好に適正な位置に保つことができる。
【0005】
残念ながら、この構成によっては、郵便物(特に雑誌のような開封郵便物)は箱の底に達して揃えて整列される前に、はね返って箱の側壁からずれてしまいがちである。より詳細には、この種の箱内に落下させられる郵便物は、箱の側壁に当たって揃えられる前に、向きを変えてしまいがちであり、これは残りの郵便物自動仕分けプロセスにとって好ましくない。しかもさらに、積重ねの安定性、つまり郵便物をうまくまとめて保持しておくことは、現行の仕分け機に、不均一な、つまりサイズがさまざまに異なる郵便物を仕分けすることが求められているにもかかわらず、均一な平形郵便物にしか保証されない。またさらに、上述した明細書から公知の箱構成によっては、仕分け機の入口でのばらし作業中に必要となる、収納箱からの積み重ねられた郵便物の自動取り出しは不可能である。
【特許文献1】米国特許第5290025号明細書
【特許文献2】米国特許第6648284号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述した短所を有することなく、特に、郵便物の縦方向と横方向とが仕分け機のバケット出口で不変のままであることを可能とし、これにより、バケットから箱内に降ろされた郵便物の順序を保持することを可能とし、こうして、箱内に収容された積み重ねられた郵便物を、自動箱搬送中ならびに箱取扱い作業中も含めてまとめて保持することを可能にし、したがって郵便物を箱から自動的に取り出すことを可能とする、郵便物収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために本発明は、郵便仕分け機の仕分け出口で郵便物を収納する、ほぼ矩形ブロック形状の収納箱であって、該収納箱は、箱の水平頂部と箱の水平底部とを画定する側壁によって囲まれた底を備え、該箱の底が、箱の底部に設けられたベースと箱の水平底部に対して傾斜して箱の水平頂部に向かって延びるブランチとを有してV字形の断面を形成する2つの傾斜壁から構成され、箱の側壁は箱の底部に向かって広がっていることを特徴とする、収納箱を提供する。したがって、本発明の箱は、V字形を画定し、箱の外側水平底部に対して傾斜した内側壁で形成される、V字形の内底を有するように設計されていることが理解される。側壁(外側壁)は、箱の頂部から箱の底部に向かって広がってゆき、これにより、V字底を有する箱を積み重ねることが可能となる。
【0008】
本発明の収納箱の特定の一実施形態において、2つの傾斜壁の端部は水平面に対して、垂直方向にずれている。
【0009】
さらに別の特定の実施形態において、箱の頂部が水平位置にある場合、底の第一の壁は水平面に対して約40°の角度を形成し、底の第二の壁は水平面に対して約70°の角度を形成している。
【0010】
さらに別の特定の実施形態において、箱の底の傾斜壁の一方または両方は穴あけされている。
【0011】
さらに別の特定の実施形態において、箱の底の傾斜壁の一方または両方が波形の輪郭を有している。
【0012】
さらに別の特定の実施形態において、箱の底の傾斜壁の一方は波形形状を有し、他方は穴あき形状を有している。
【0013】
さらに別の特定の実施形態において、2つの傾斜壁から形成される箱の底は箱の側壁に対して着脱自在である。
【0014】
本発明はまた、複数の上述した収納箱上に郵便物を搬送するバケットを有する、郵便物仕分け用の郵便仕分け機も提供する。バケットを離れる各々の郵便物は、収納箱内に降着する(ランディング)までに一つの経路をたどり、収納箱の2つの傾斜壁の一方は、郵便物を箱の底に揃えて(ジョギング)整列させるための揃え壁を構成し、収納箱の2つの傾斜壁の他方は箱の底で郵便物を受け取るための降着壁を構成している。箱の揃え壁は郵便物の経路に対してほぼ接線方向に向くように傾斜させられ、箱の降着壁は郵便物がその上に平らに降着し得るように傾斜させられている。
【0015】
以下、本発明の収納箱の特定の一実施形態をもっと詳細に説明し、図示する。以下に行われる説明は例示であって、本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は郵便仕分け機のバケット1を示している。このバケットは郵便物2を本発明の収納箱3上に搬送する。郵便物2はバケット1内で縦方向に配置されている。バケットはほぼ垂直に、ただしある程度の傾斜角をなして延びている。バケット1と、したがって、それに収容された郵便物とは、水平面に対して例えば60°時計回り方向に傾斜している。
【0017】
郵便仕分け機において、例えばバケット1は、回転式コンベア(図1には図示せず)により例えば秒速約1m(1m/s)の速度で運動する。図1は、右から左へ向かう水平矢印4によって、固定収納箱3上へのバケット1の運動を示している。
【0018】
郵便物2はバケット1(その際、バケットの底は開いている)を離れる際に、バケット1によって押され、収納箱3の底に降着するまでに、図1に郵便物2の連続的な位置と関連させて鎖線で表した、ほぼ放物線状の経路5をたどる。重さが約10グラム(g)未満から3キログラム(kg)までの範囲、幅が約90ミリメートル(mm)から300mmまでの範囲、長さが約100mmから400mmまでの範囲内にある郵便物の場合、郵便物2の経路は総じて主にバケット1の角度位置と移動速度とに依存している。
【0019】
したがって、郵便物2は収納箱3内で、箱の底面の一方の壁を構成する、符号6で表された降着壁で受け取られる。ほぼ矩形ブロック形状をなす収納箱3は、箱の底を包囲する複数の側壁7、例えば4つの側壁7で構成されている。本発明の箱の底は、互いにかつ水平面(水平な場合、箱の底部および頂部)に対して傾斜した2つの壁、つまり降着壁6と揃え壁8とで形成されており、これらの2つの壁はV字形の断面を形成している。降着壁6と揃え壁8とは、それぞれV字の第一および第二のブランチに相当している。図1から、V字底を画定している箱の内側壁は、箱の底部(鎖線で示した水平底面)と箱の頂部(鎖線で示した水平開口部)とに対して傾斜していることが見て取れる。
【0020】
より詳細には、降着壁6の傾きはバケット1の傾きとほぼ同じであるため、郵便物2は、降着壁6に平らに受け取られる。したがって、郵便物2ははね返ることはなく、したがって、バケットの底に降着する際に角度位置を変えることはない。それゆえ、降着壁6の傾きは、上述した経路5と、バケット1から郵便物2が落下する高さとに依存している。落下するときに郵便物が角度位置を変えないようにするため、郵便物の落下高さを最小化する試みが何度も行われたが、一般に、バケット1の底と収納箱3の頂部との間の間隔は約100mmであるのが好適である。さらに、降着壁6の奥行き、つまりV字形の第一のブランチの長さは、問題となる郵便物のサイズ範囲における最大郵便物幅、例えば300mmよりも大きくなければならない。しかしながら、第二の郵便物が降着壁6において先に降着した第一の郵便物の上に積み重ねて受け取られるようにするため、降着壁6の奥行きは大きすぎてもならない。第二の郵便物が第一の郵便物の下側に滑り込むことがあり、これによって積重ねがばらばらになってしまう危険が生ずる。またさらに、V字形のベース9はほぼ箱の底に配置されなければならず、同所で郵便物2は収納箱3と接触するに至る。
【0021】
実験により、水平面に対して約40°傾斜した降着壁6が上述した制約条件を満たすことが判明した。
【0022】
降着壁6を越えて箱頂部に向かって延びる側壁7は、箱3の収納能力を高めることを可能にする延長部を形成している。
【0023】
実際、郵便物2は降着壁6に降着し、次いでV字形のベース9に向かって少々すべり、揃え壁8に当接して揃えられる。
【0024】
揃え壁8は、V字形3の内部に降着する際の郵便物2の経路に対して、ほぼ接線方向に延びるようにして傾斜させられている。したがって、降着面6上をすべる郵便物は揃え壁8に当たって起き上がることはない。本発明の好ましい実施形態において、揃え壁8はV字形のベース9から側壁7の頂端まで延びており、水平面に対して約70°傾いている。
【0025】
本発明の収納箱の上記のような構成により、郵便物2はその角度位置を変えることなく降着壁6上に平らに降着し、箱の頂部に向かって立ち上がることなく接線壁8に当接して揃えられるため、箱の底に安定してまとめられた積み重ねられた郵便物層を構成することができ、また、こうした箱を、積重ねをばらす恐れなく、自動的に搬送しあるいは取り扱うことができる。
【0026】
さらに、郵便物は箱の底に端に積み重ねられるため、これによって収納箱の中味をチェックすることが容易となる。
【0027】
図2は、収納箱3の底にある複数の不均一な郵便物10を示している。揃え壁8に対して揃えられることにより、連続した不均一な郵便物は郵便物の数が増すにつれてますます平らになる積重ね層10を形成することが理解される。積重ね層10の高さは、降着壁6に対して垂直で、積重ね層10の頂部まで延びる直線線分の長さに相当する。約230mmの高さの積重ね層によって、自動搬送にとって十分に安定した積重ね層10と、十分な収納能力を供する箱3とを実現することができる。
【0028】
より大型の収納箱3と、降着壁6と揃え壁8とで形成される箱3の底の位置を調節することのできる装置、したがって、郵便物が箱3内に積み重ねられるにつれて郵便物の落下高さを調整することができ、こうして落下高さが正しい値に維持されて郵便物の角度位置が変化することを回避できる装置とによって、箱3の収納能力を拡大することが可能である。
【0029】
図3は図1のA−A線で切断した収納箱3の断面図であり、同図において揃え壁8は鋸壁形の(狭間のついた、ギザギザのついた、crenellated)輪郭30を有している。本発明の好ましい実施形態において、降着壁6も鋸壁形の輪郭を有している。一例として、鋸壁形輪郭30により、不均一な郵便物の積重ね層10の下を通過し、こうして積重ね層10が保持されている間にも郵便物を取り出すことのできる取出しフィンガ(図示せず)によって構成される装置を使用することが可能である。自動または手動取出しプロセスの例は、仕分け機の第一の仕分け段階と第二の仕分け段階との間、またはこの箱から引渡し専用の箱への移送中に実施することができる。
【0030】
本発明の収納箱3の特定の一実施形態において、降着壁6および/または揃え壁8の輪郭は、適切な取出し装置との関連で波形であってもよい。
【0031】
図4は、降着壁6と揃え壁8とが鋸壁形輪郭30を有している収納箱3の斜視図である。図4からは、箱の外側側壁は頂部(開口)から箱の底部(底)に向かって広がっていることも見て取ることができる。
【0032】
図5は収納箱3の平面図であり、この箱において、降着壁6と揃え壁8とは、降着壁6から揃え壁8まで延在する複数個のスロット50によって穴あけされているため、取出しフィンガ(図示せず)によって構成される装置を使用して、積重ね層10が保持されている間に、自動的または手動によって不均一な郵便物10の積重ね層を取り出すことができる。
【0033】
図6は、降着壁6と揃え壁8とが、降着壁6から揃え壁8まで延在する複数個のスロット50によって穴あけされている、収納箱3の斜視図である。
【0034】
本発明の収納箱3の特定の一実施形態において、降着壁6と揃え壁8とは、両者のうちの一方が穴あき形状を有し、他方が波形形状を有するように形成されていてもよい。
【0035】
本発明の収納箱3の好ましい実施形態において、側壁7は収納箱3の底に向かって広がっている。したがって、収納箱が使用されないときには、それらを互いに入れ子式に積み重ねることができ、これによって所要のスペースを最小化することが可能である。
【0036】
本発明の収納箱3の特定の一実施形態において、識別するため、および仕分け機内における収納箱の順序の監視とを可能とするために、収納箱3にはバーコードが付されている。
【0037】
本発明の収納箱3のさらに別の特定の実施形態において、降着壁6と揃え壁8とで形成される収納箱3の底は、例えば平らな底面を有する収納箱に嵌め込むのに適した着脱式の底である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】仕分け機のバケットから郵便物を受け取る、本発明の収納箱の概略断面図である。
【図2】不均一な複数の郵便物を箱の底に積み重ねて収容する、本発明の収納箱の概略断面図である。
【図3】箱の底を構成し、鋸壁形輪郭を有する2つの傾斜壁を有する、本発明の収納箱を図1のA−A線で切断した断面図である。
【図4】箱の底を構成し、鋸壁形輪郭を有する傾斜壁を備える、本発明の収納箱の斜視図である。
【図5】箱の底を構成する穴あき傾斜壁を有する、本発明の収納箱の平面図である。
【図6】箱の底を構成する穴あき傾斜壁を有する、本発明の収納箱の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 バケット
2 郵便物
3 収納箱
6 降着壁
7 側壁
8 揃え壁
9 V字形のベース
10 積重ね層
30 鋸壁形輪郭
50 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便仕分け機の仕分け出口で郵便物(2)を収納する、ほぼ矩形ブロック形状の収納箱(3)であって、該収納箱は、箱の水平頂部と箱の水平底部とを画定する側壁(7)によって囲まれた底を備え、該箱の底が、箱の底部に設けられたベースと箱の水平底部に対して傾斜して箱の水平頂部に向かって延びるブランチとを有してV字形の断面を形成する2つの傾斜壁(6、8)から構成され、箱の側壁(7)は箱の底部に向かって広がっていることを特徴とする、前記収納箱(3)。
【請求項2】
2つの傾斜壁(6、8)の端部が水平面に対して垂直方向にずれている、請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
箱の頂部が水平位置にあるとき、底の第一の壁が水平面に対して約40°の角度を形成し、底の第二の壁が水平面に対して約70°の角度を形成している、請求項1または2に記載の収納箱。
【請求項4】
箱の底の傾斜壁(6、8)の一方または両方が穴あけされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の収納箱。
【請求項5】
箱の底の傾斜壁(6、8)の一方または両方が波形の輪郭を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の収納箱。
【請求項6】
箱の底の傾斜壁(6、8)の一方が波形形状を有し、他方が穴あき形状を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の収納箱。
【請求項7】
2つの傾斜壁(6、8)から構成される箱の底が、箱の側壁(7)に対して着脱自在である、請求項1から6のいずれか一項に記載の収納箱。
【請求項8】
郵便物(2)を、請求項1から8のいずれか一項に記載の複数の収納箱(3)上に移動するバケット(1)を有する、郵便物を仕分けするための郵便仕分け機であって、該仕分け機において、バケット(1)を離れる各郵便物(2)は、収納箱(3)内に降着するまでに一つの経路(5)をたどり、収納箱の2つの傾斜壁(6、8)の一方(8)が、郵便物(2)を箱の底に揃えて整列させるための揃え壁を構成し、収納箱の2つの傾斜壁(6、8)の他方(6)が、箱の底で郵便物(2)を受け取るための降着壁を構成し、箱の揃え壁(8)は、郵便物(2)の経路に対してほぼ接線方向に向くように傾斜させられ、箱の降着壁(6)は、郵便物(2)がその上に平らに降着するように傾斜させられている、前記郵便仕分け機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−6940(P2006−6940A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−180233(P2005−180233)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(597038530)
【Fターム(参考)】