説明

手荷物検査の際に掛け金を切断してその後再施錠することができる、例えば南京錠用の施錠機構

筐体(16)と、第1側部(44)および第2側部(46)を有する掛け金(14)とを備える施錠機構(10)。掛け金(14)は、第1側部および第2側部(44および46)がそれぞれ筐体(16)と係合する一次閉鎖位置と、第1側部(44)が筐体(16)と係合し第2側部(46)が筐体(16)から外れる一次開放位置との間で摺動可能である。筐体(16)内にポート(65)が設けられ、一次閉鎖位置で掛け金(14)の第1側部(44)の一部を露出させる。このポート(65)を介して掛け金(14)を切断することで掛け金(14)が一次開放位置から二次開放位置に移動することが可能になり、掛け金(14)はそこから二次閉鎖位置へと戻るように移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば南京錠など鍵を使用して開けることができる装置での利用することを目的とした施錠機構に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製品が施錠機構を採用しており、そこではその製品にアクセスしようとする人が適切な鍵手段を持たない限り不正なアクセスは阻止される。利用できる最も一般的な施錠機構は、標準的なシリンダロックで使用されるピンタンブラー機構である。この機構は比較的容易に生産される一方で、その機能がよく知られており、ピッキング、バンピング、レーキング、ドリリングなどの複数の既知の手法を被りやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記に挙げた手法に対する抵抗性が改善された改良型の施錠機構を提供することを目的としている。また本発明の施錠機構は、多くの鍵の並べ替えが可能な比較的簡単な機構の錠前を提供することを目的としている。
【0004】
別の問題は、空港などの場所の警備スタッフが施錠装置によって保証されている荷物の物品にアクセスすることができるという点に関するものである。無作為な検査が荷物に行なわれるのが一般的であり、検査される荷物を保証する施錠装置は一般に一組のボルトカッターによって単に錠前の掛け金を切断するだけで開けられる。本発明はまた、例えば南京錠などの施錠装置で使用され、例えばボルトカッターなどの一般的な工具によってこの装置を開けることができ、開放した後でこの装置をその後再施錠することが可能であり、かつこの施錠装置が検査の際に開けられたことの視覚的な指示を提供する施錠機構に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によって、
筐体と、
第1側部および第2側部を有し、第1および第2側部がそれぞれ筐体と係合する一次閉鎖位置と、第1側部が筐体と係合し第2側部が筐体から外れる一次開放位置との間で摺動可能な掛け金と、
一次閉鎖位置において掛け金の第1側部の一部を露出させる筐体内のポートとを備え、
このポートを介して掛け金を切断することにより、掛け金が一次開放位置から二次開放位置へと移動し、掛け金がそこから二次閉鎖位置へと戻るように移動することができる施錠機構が提供される。
【0006】
好ましくは、施錠機構はさらに、
一次閉鎖位置で掛け金と係合し、鍵を使用して操作することによって掛け金から解放可能である一次ラッチ部材と、
一次開放位置および一次閉鎖位置で掛け金から分離される二次ラッチ部材とを備え、
掛け金を切断しそれが二次開放位置に移動することにより二次ラッチ部材が解放され、その結果掛け金が二次閉鎖位置に移動する際、二次ラッチ部材は掛け金と自由に係合する。
外れる
【0007】
好ましくは、掛け金は、鍵を利用して操作することによって二次閉鎖位置から開放させることができ、その後掛け金を筐体から取り外して交換することができる。
【0008】
好ましくは掛け金の第1側部は第2側部より長く、一次ラッチ部材は、掛け金の第1側部の方向に直交する方向で筐体内のスロット内で摺動可能であり、その結果掛け金が一次閉鎖位置に移動する際、一次ラッチ部材の第1端部は、その端部に隣接する掛け金の第1側部にある第1ノッチ内に収容される。
【0009】
一次ラッチ部材は好ましくは、スロット内に配置され一次ラッチ部材を付勢して掛け金の第1側部の方に移動させる一次ラッチばねを含む。一実施形態において第1ノッチは、掛け金が一次閉鎖位置から摺動する際、一次ラッチ部材が持ち上がって第1ノッチから出ることができるように先細になった側部を含む。
【0010】
さらに摺動部材が設けられるのが好ましく、この摺動部材は、筐体内に鍵を挿入することによって第1施錠位置と第2解錠位置との間で可動であり、第1施錠位置においてこのスライダーは一次ラッチ部材と係合して一次ラッチ部材が移動して第1ノッチから出るのを阻止し、これにより掛け金が一次開放位置に移動するのを阻止する。
【0011】
好ましい一実施形態において摺動部材は摺動式のバーであり、その第1端部が、第2解錠位置に移動する際掛け金の第2側部の遠位端と係合して掛け金を一次開放位置へと移動させる。
【0012】
好ましくはバーの第2端部は、一次閉鎖位置において一次ラッチ部材と係合して一次ラッチ部材の第1ノッチから出る動きを阻止する。
【0013】
施錠機構はさらに、
掛け金の第1側部と第2側部の間に延在し、二次ラッチ部材がその中に摺動可能に配置されるスロットと、
一次閉鎖位置にあるとき掛け金の第2側部がこの部分を貫通して係合する二次ラッチ部材にある切り抜き部と、
二次ラッチばねと、
掛け金の第1側部に設けられた第二ノッチとを備えてよく、
バーがその施錠位置に移動することで二次ラッチばねを移動させて二次ラッチ部材を掛け金の第1側部の方に移動させるように一定の力を加え、掛け金の切断された部分が移動することによって二次ラッチ部材を解放して掛け金の第1側部の方に移動させ、二次閉鎖位置に戻るように移動する際二次ラッチ部材が第2ノッチに係合することができる。
【0014】
一実施形態において筐体は第1および第2端部壁と、第1および第2側壁とを含み、第1端部壁は、掛け金の第1および第2側部を収容するための第1および第2凹部を含む。第1凹部は第2側壁に隣接して位置し、第2凹部は第1側壁に隣接して位置し、ポートは第2側壁内に位置することができる。
【0015】
好ましくはバーは第1側壁に隣接して掛け金の第2側部と同一直線上に位置し、第1側壁は、バーと係合しかつこれを施錠位置から解錠位置に解放するように鍵を収容する鍵溝を備える。切断された掛け金を筐体内に保持するために掛け金保持器が設けられるのが好ましい。
【0016】
好ましい一実施形態において掛け金保持器は可撓性のストリップ材であり、その第1端部は筐体内部に固定され、その第2端部は、掛け金の第1側部のその細くなった部分にもたれ掛かることで、切断された掛け金が筐体の外に向かって移動する際、第2端部がこの細くなった部分の縁部と係合して掛け金が筐体から完全に離脱するのを阻止する。
【0017】
本発明の第2の態様によって、
筐体内に摺動可能に設置され、そのそれぞれがその長さに沿った所定の位置において中に開口を有する1つまたは複数のロックウエハーと、
筐体内を長手方向に摺動するように設置され、その長さに沿って隆起部を有する摺動部材と、
各ウエハーと係合する係合部を有する関連する鍵と、
摺動部材と連通する解除機構とを備え、
関連する鍵の係合部がウエハーと係合しこれを移動させることで、各ウエハーの開口と摺動部材の隆起部が位置合わせされ、摺動部材が施錠位置から解錠位置に長手方向に摺動することが可能になり、これにより解除機構を作動させる施錠機構が設けられる。
【0018】
摺動部材は好ましくは開口内を通過するバーである。好ましくは各ウエハーは筐体内のスロット内に位置しており、スロットの第1端部と関連するウエハーの間にウエハーばねが設けられ、その結果鍵によってウエハーが係合することでウエハーばねが圧縮される。
【0019】
一実施形態において、各ウエハーは概ね平坦な矩形の板であり、各開口は少なくともその長さの一部に沿って延在する。鍵は好ましくは平たいカードであり、係合部は鍵の第1縁部から一定の距離だけそれぞれ引っ込んだ切り抜き部であり、その結果各ウエハーは、各々の切り抜き部によって事前設定された距離を移動されてウエハー内の開口と位置合わせされる。
【0020】
一実施形態において施錠機構は、
筐体と、
第1側部および第2側部を有し、第1側部および第2側部がそれぞれ筐体と係合する閉鎖位置と、第1側部が筐体と係合し、第2側部が筐体から外れる開放位置との間で摺動可能な掛け金とを備える南京錠に設けられる。
【0021】
好ましくは掛け金の第1側部にある第1ノッチと、一次ラッチ部材と設けられ、その結果掛け金が閉鎖位置にあるとき一次ラッチの一端が第1ノッチに収容され、施錠位置にあるときバーが一次ラッチ部材と係合して、一次ラッチ部材が移動して第1ノッチから出るのを阻止し、これにより掛け金が開放位置に移動するのを阻止する。
【0022】
好ましくは一次ラッチ部材は、スロット内に配置され、一次ラッチ部材を付勢して掛け金の第1側部の方に移動させる一次ラッチばねを含む。好ましくは第1ノッチは、掛け金が一次閉鎖位置から摺動する際、一次ラッチ部材が持ち上がって第1ノッチから出ることができるように先細になった側部を含む。
【0023】
本発明を添付の図面を参照して一例として以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a】一次開放位置の本発明の施錠機構を利用する南京錠と鍵の前面図である。
【図1b】図1aの南京錠と鍵の上部斜視図である。
【図2】図1bの南京錠の分解組立図である。
【図3】一次開放位置の図1の南京錠の前方断面図である。
【図4】一次閉鎖工程の第1ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図5】一次閉鎖工程の第2ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図6】一次閉鎖工程の第3ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図7】一次閉鎖位置の図1の南京錠の前方断面図である。
【図8】一次開放工程の第1ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図9】一次開放工程の第2ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図10】一次開放工程の第3ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図11】二次開放工程の第1ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図12】二次開放位置の図1の南京錠の前方断面図である。
【図13】二次閉鎖位置の図1の南京錠の前方断面図である。
【図14】二次閉鎖位置から開放する第1ステップの図1の南京錠の前方断面図である。
【図15】二次閉鎖位置から開放された図1の南京錠の前方断面図である。
【図16】掛け金の取り外しを示す、図1の南京錠の前方断面図である。
【図17】交換用の掛け金の挿入を示す、図1の南京錠の前方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して施錠機構10の第1の実施形態が示されており、これは施錠状態と解錠状態の間で可動の固定部材を有する施錠可能装置で使用することを目的としている。示される実施形態で施錠装置は、南京錠12と、開放位置と閉鎖位置の間で可動な掛け金14である固定部材とを備える。施錠機構10は南京錠で示されているが、この施錠機構が他の施錠可能装置に適合される場合もあることを理解されたい。
【0026】
南京錠12は比較的平坦な筐体16を備える。筐体16は第1および第2の平行な側壁21および23を備える外側フレームを含んでおり、これらの側壁は筐体の対向する端部において第1および第2の平行な端部壁25および27によって相互に接続されている。筐体の第1側部上で第1側壁21と第2側壁23、および第1端部壁25と第2端部壁27の間に延在するように第1カバー部材18が設けられる。筐体の第2側部上で第1側壁21と第2側壁23、および第1端部壁25と第2端部壁27の間に延在するように第2カバー部材20が設けられる。
【0027】
本発明の施錠機構10は比較的平らな鍵22を使用して開けられる。示される実施形態の鍵22は矩形のカードであり、南京錠12の中の鍵溝26に収容され得る第1縁部24を有している。示される実施形態では鍵溝26は第1側壁21の中に位置している。掛け金14は第1端部壁25から外に向かって延在している。
【0028】
施錠機構10は、筐体16内に複数のロックウエハー28を含む。ロックウエハー28は概ね平坦な矩形のプレートであり、ウエハー28がスロット30内を長手方向に摺動することができるように筐体内のスロット30に設置される。各ウエハー28にウエハーばね32が連結される。ウエハーばね32が、連結されたウエハー28上に設けられた突起29と、スロット30の第1端部との間で各スロット内に設けられることで、ウエハー28がスロット30の第1端部の方へ移動される際ウエハー28がウエハーばね32を圧縮する。
【0029】
鍵溝26は、鍵22の第1縁部24が鍵溝26に挿入される際第1縁部24がウエハー28と係合し、ウエハー28をスロット30の第1端部の方へ移動させるように配置されている。鍵22の第1縁部24は複数の係合部34を含んでおり、そのそれぞれがウエハー28の1つと関連付けられている。係合部34がそれぞれ鍵22の縁部24から一定の距離だけ引っ込められることで、鍵22が挿入される際ウエハー28は鍵22によって事前設定された距離をそれぞれ移動する。
【0030】
示される実施形態において、係合部34は第1縁部24にある切り抜き部である。代替の実施形態(図示せず)では、係合部が第1縁部24に隣接するカードの表面に設けられた突起である場合もある。
【0031】
ウエハー28はそれぞれ開口36(図2に最もよく見られる)を含んでいる。各開口36は、ウエハー28の長さの少なくとも一部に沿ってその長さに沿った所定の場所に設けられる。また施錠機構10は摺動部材を含んでおり、これはウエハー28を横切るように配置されたバー40である。バー40はその長さに沿って隆起部42を含んでおり、この隆起部は施錠位置でウエハー28の間に配置される。隆起部42は、それらがウエハー28内の開口36内のみを通過することができるように寸法が決められている。よってバー40は、ウエハー28が移動されることで開口36の全てがバー40と一列に並ぶ場合のみ長手方向に自由に摺動する。施錠機構10に関連する鍵22の係合部34は、縁部24を鍵溝26に挿入することによってこのような現象が生じるように設定される。鍵22が挿入される際にバー40が摺動することによって、南京錠を一次開放位置に移動させるように解除機構が設けられる。
【0032】
掛け金14は、筐体16内の第1凹部45に収容される第1側部44と、筐体16内の第2凹部47に収容される第2側部46とを備える。第1および第2側部44、46はそれぞれ細長い部材であり、U字型の相互接続部48によって接合されている。第1凹部45は、第1端部壁25から第2端部壁27まで筐体16の長さ全体に延在している。
【0033】
掛け金14の第1側部44は第2側部46より長く、その結果第1側部44は、第2側部46より筐体16内のさらに先まで延在する。第2凹部47、したがって掛け金14の第2側部46がバー40と同一直線上にあることで、使用中掛け金14が閉鎖位置に移動する際、バー40の第2側部46がバー40の第1端部50と接触する。
【0034】
閉鎖構成において第1および第2側部44および26は共に凹部45および47にそれぞれ収容される。開放構成において掛け金14は筐体16から離れるように摺動して、第2側部46が第2凹部47を出ることで掛け金14は標準的な南京錠の様式で開けられる。
【0035】
一次ラッチ部材52が掛け金14の第1側部44と係合するように筐体16内に設けられ、その結果一次ラッチ部材52が掛け金14を一次閉鎖位置に保持することができる。一次ラッチ部材52は、筐体16内のスロット54内で掛け金14の第1側部44の方向と直交する方向に摺動可能である。一次ラッチ部材52は、一次ラッチ部材52を付勢して掛け金14の第1側部44の方に移動させるために設けられた一次ラッチばね58を含む。掛け金14が一次閉鎖位置に移動する際、一次ラッチ部材52の第1端部は、その端部に隣接する掛け金14の第1側部44にある第1ノッチ56に収容される。
【0036】
第1ノッチ56は、掛け金14が一次閉鎖位置から摺動する際一次ラッチ部材52が持ち上がって第1ノッチ56から出るように先細になった側部を含む。しかしながら一次閉鎖位置にあるときは、一次ラッチ部材52が摺動して掛け金14の第1側部44から離れないようにバー40が配置されている。
【0037】
バー40と一次ラッチ部材52が相互作用にすることで、掛け金14が一次開放位置(図3に示される)と一次閉鎖位置(図7に示される)の間を行ったり来たり移動することが可能になる。一次開放位置で、バー40の隆起部42はウエハー28の開口36に収容される。一次閉鎖位置に移動するために、掛け金14が、掛け金14の第1側部44の遠位端60が一次ラッチ部材52の第1端部に接触するまで筐体16内に押し込まれる(図4に示される)。遠位端60は、遠位端60がスロット54に沿って一次ラッチ部材52を押すように先細にされている。図5に示されるように、一次ラッチ部材52はその後一次ラッチばね58によって第1ノッチ56内に戻るように押される。
【0038】
また図5に示されるように、掛け金14の第2側部46の遠位端61がバー40の第1端部50と係合し、掛け金14と同一方向にバー40を押す。隆起部42がウエハー28の開口36から出るように移動されて初めて、ウエハー28がその後ウエハーばね32によって自由に移動される。次いでウエハー28が移動することで、開口36がバー40と位置合わせされた状態から抜けだし、これによりバー40のさらなる移動が阻止される。バー40の第2端部51はこのとき一次ラッチ部材52の第2端部と隣接し、これにより一次ラッチ部材52が掛け金14の第1側部44から離れるように移動するのを阻止する。掛け金14はこのとき一次閉鎖位置にある。
【0039】
鍵22を挿入することによって掛け金14を一次開放位置に戻るように移動させることができる。鍵22の係合部34がウエハー28と係合し、ウエハー28を正しい距離だけ移動させることで、そこにある開口36がバー40と位置合わせされる。その後隆起部42は開口36内を通って自由に移動する。鍵22はまた鍵溝26内で摺動ばね62と係合し、この摺動ばねはバー40と係合する。これにより鍵溝26への鍵22の挿入がバー40に対して作用してそれを掛け金14の第2側部46の端部61の方へ移動させる。摺動ばね62は最も端のウエハー28に対しても作用し、そのウエハーのためのウエハーばねの機能を形成することに留意されたい。
【0040】
バー40が掛け金14の方へ移動することで一次ラッチ部材52が解放され、その結果それは自由に持ち上がって第1ノッチ56から出て掛け金14を解放し、バー40の第1端部50が、掛け金14の第2側部46の遠位端61と係合して掛け金14を一次開放位置へと移動させる。
【0041】
南京錠12の筐体16はポート65を含んでおり、掛け金14の第1側部44の一部がこれを貫通して露出する。ポート65が設けられることで、掛け金14の第1側部44をボルトカッターなどの適切な工具によって切断し、これにより掛け金14を一次閉鎖位置から二次開放位置へと解放することができる。施錠機構10はまた、二次開放位置から二次閉鎖位置に移動する際に掛け金14を固定するために二次ラッチ部材66を備えている。
【0042】
ポート65は、掛け金14の第1側部44を第1ノッチ56に隣接して切断することができるように設けられており、その結果第1ノッチ56を有する第1側部44の部分は保持され、その後掛け金14の残りの部分は第2開放位置に自由に移動する(図11に見ることができるように)。
【0043】
切断された掛け金14が筐体16から完全に出てしまうのを阻止するために掛け金保持器68が設けられる。掛け金保持器68は可撓性のストリップ材であり、その第1端部は筐体16内部に固定され、その第2端部は掛け金14の第1側部44にもたれ掛かっている。
【0044】
第2端部が第1側部44とその細くなった部分70で係合することで、切断された掛け金14が筐体から外向きに移動する際、(図12に示されるように)第2端部がこの細くなった部分70の縁部と係合して掛け金14が筐体16から完全に外れるのを阻止する。
【0045】
二次ラッチ部材66は、筐体16の第1端部壁25に隣接して掛け金14の第1側部44と第2側部46の間に延在するように設けられたスロット内に摺動可能に配置された細長い部材である。一次開放構成および一次閉鎖構成において、二次ラッチ部材66は掛け金14の第2側部46に隣接しており、掛け金の第2側部46がそこを貫通して摺動するように設けられた切り抜き部72を含む。第2側部46が切り抜き部72の中を通過する際、二次ラッチ部材66が掛け金14の第1側部44の方に摺動するのが阻止される。
【0046】
二次ラッチばね74が、バー40の第1端部50から延出するように設けられた横向きの端部部分76と係合して設けられる。一次閉鎖位置に移動する際バー40が掛け金14から離れるように移動することによって二次ラッチばね74を移動させ、その結果それが二次ラッチ部材66と係合して二次ラッチ部材66を掛け金14の第1側部44の方に移動させるように一定の力を加える。しかしながら掛け金14第2側部46が切り抜き部72内に収容されるため、二次ラッチばね74の力が二次ラッチ部材66を移動させることはない。
【0047】
掛け金14が切断される際バー40は依然として施錠位置にある。掛け金14が筐体16から出るように移動する際、その第2側部46が切り抜き部72から分離する。したがって二次ラッチ部材66が掛け金14の第1側部44の方へ移動されて、それと係合する。掛け金14が二次開放位置にあるとき第2ノッチ78が筐体16の外にあるように、掛け金14の第1側部44に第2ノッチ78が設けられる。よって掛け金14を筐体16内に戻るように押し込むことができ、(図13に見ることができるように)二次ラッチ部材66は第2ノッチ78と係合して掛け金14を二次閉鎖位置に保持する。
【0048】
二次閉鎖位置から上記に記載するように鍵22を挿入することにより、バー40を再び掛け金14の方へ移動させることができる。この動作が二次ラッチばね74を移動させるように作用することで、(図14に示されるように)ばねが二次ラッチ部材66を二次閉鎖位置から出るように引っ張る。ここから、掛け金保持器68を屈曲させるのに十分な力を与えることによって(図16に示されるように)切断された掛け金14を筐体16から完全に引っ張り出すことができる。
【0049】
この後図17に示されるように、交換用の掛け金14をその第1側部を摺動させることによって第1凹部45に挿入することができる。交換用掛け金14を間違った進路で反対方向に挿入しないように、掛け金14の第2側部46の遠位端61および対応する第2凹部47は、第1側部44および第1凹部45より細くなっている。第1側部44の遠位端60は、切断された掛け金14の残った部分と係合する。力が加えられることによって一次ラッチ部材52が持ち上がって第1ノッチ56から出てこの残った部分を解放する。切断された掛け金14の残った部分はこれにより、筐体16の第2端縁部27から押し出される。
【0050】
使用中南京錠12は、標準的な方法で施錠および解錠するように操作することができる。掛け金は、それを筐体16内に押し込むことによって標準的な方法で一次閉鎖位置へと移動され、先に記載したように鍵22を挿入することによって一次開放位置へと解錠される。
【0051】
例えば空港の警備スタッフの一員など鍵22を持たない人間が南京錠を開ける必要がある場合、ポート65を介して掛け金14を切ることができる。掛け金14はその後二次開放位置に移動し、南京錠12によって保証されている荷物にアクセスすることが可能になる。南京錠はその後掛け金14を筐体内に戻るように押し込んで二次閉鎖位置にすることで今まで通り閉鎖することができる。この位置から南京錠の所有者は、鍵22を使用して今まで通り南京錠12を開けることができるだけでなく、ポート65内に切断された掛け金14を見ることができることによって南京錠が開けられたことの視覚的な指示を有することができる。鍵22の所有者によって再び開けられる際、切断された掛け金14もまた記載されるように交換されて南京錠12を元の作用構成に戻すことができる。
【0052】
本発明の基本となる進歩的な概念から逸脱することなく、既に記載したものに加えて、上記の実施形態に様々な修正および改良を行なうことができることは当業者には容易であるように思われる。
【符号の説明】
【0053】
10 施錠機構
12 南京錠
14 掛け金
16 筐体
18 第1カバー部材
20 第2カバー部材
21 第1側壁
22 鍵
23 第2側壁
24 縁部
25 第1端部壁
26 鍵溝
27 第2端部壁
28 ウエハー
29 ウエハーの突起
30 スロット
32 ウエハーばね
34 係合部
36 ウエハーの開口
40 バー
42 バーの隆起部
44 掛け金の第1側部
45 第1凹部
46 掛け金の第2の側部
47 掛け金の第2凹部
48 相互接続部
50 バーの第1端部
51 バーの第2端部
52 一次ラッチ部材
54 スロット
56 第1ノッチ
58 一次ラッチばね
60 第1側部の遠位端
61 第2側部の遠位端
62 摺動ばね
65 ポート
66 二次ラッチ部材
68 掛け金保持器
70 第1側部の細くなった部分
72 切り抜き部
74 二次ラッチばね
76 バーの端部部分
78 第2ノッチ
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
第1側部および第2側部を有し、前記1および第2側部がそれぞれ前記前記筐体と係合する一次閉鎖位置と、前記第1側部が前記筐体と係合し前記第2側部が前記筐体から外れる一次開放位置との間で摺動可能な掛け金と、
前記一次閉鎖位置において前記掛け金の前記第1側部の一部を露出させる前記筐体内のポートとを備え、
前記ポートを介して前記掛け金を切断することにより、前記掛け金が前記一次開放位置から二次開放位置へと移動し、前記掛け金がそこから二次閉鎖位置へと戻るように移動することができる施錠機構。
【請求項2】
前記一次閉鎖位置で前記掛け金と係合し、鍵を使用して操作することによって前記掛け金から解放可能である一次ラッチ部材と、
前記一次開放位置および一次閉鎖位置で前記掛け金から分離される二次ラッチ部材とをさらに備え、
前記掛け金を切断しそれが前記二次開放位置に移動することにより前記二次ラッチ部材が解放され、その結果前記掛け金が前記二次閉鎖位置に移動する際、前記二次ラッチ部材が掛け金と自由に係合する、請求項1に記載の施錠機構。
【請求項3】
前記掛け金が、前記鍵を利用して操作することによって前記二次閉鎖位置から開放させることができ、その後前記掛け金を前記筐体から取り外して交換することができる、請求項2に記載の施錠機構。
【請求項4】
前記掛け金の前記第1側部が前記第2側部より長く、前記一次ラッチ部材が、前記掛け金の前記第1側部の方向に直交する方向で前記筐体内のスロット内で摺動可能であり、その結果前記掛け金が前記一次閉鎖位置に移動する際、前記一次ラッチ部材の第1端部が、その端部に隣接する前記掛け金の前記第1側部にある第1ノッチ内に収容される、請求項3に記載の施錠機構。
【請求項5】
前記一次ラッチ部材が、前記スロット内に配置され前記一次ラッチ部材を付勢して前記掛け金の前記第1側部の方に移動させる一次ラッチばねを含む、請求項4に記載の施錠機構。
【請求項6】
前記第1ノッチが、前記掛け金が前記一次閉鎖位置から摺動する際、前記一次ラッチ部材が持ち上がって前記第1ノッチから出ることができるように先細になった側部を含む、請求項5に記載の施錠機構。
【請求項7】
摺動部材が設けられ、該摺動部材が、前記筐体内に前記鍵を挿入することによって第1施錠位置と第2解錠位置との間で可動であり、前記第1施錠位置においてこのスライダーが前記一次ラッチ部材と係合して前記一次ラッチ部材が移動して前記第1ノッチから出るのを阻止し、これにより前記掛け金が前記一次開放位置に移動するのを阻止する、請求項6に記載の施錠機構。
【請求項8】
前記摺動部材が摺動式のバーであり、その第1端部が、前記第2解錠位置に移動する際前記掛け金の前記第2側部の遠位端と係合して前記掛け金を前記一次開放位置へと移動させる、請求項7に記載の施錠機構。
【請求項9】
前記バーの第2端部が、前記一次閉鎖位置において前記一次ラッチ部材と係合して前記一次ラッチ部材の前記第1ノッチから出る動きを阻止する、請求項8に記載の施錠機構。
【請求項10】
前記掛け金の前記第1側部と第2側部の間に延在し、前記二次ラッチ部材がその中に摺動可能に配置されるスロットと、
前記一次閉鎖位置にあるとき前記掛け金の前記第2側部がこの部分を貫通して係合する前記二次ラッチ部材にある切り抜き部と、
二次ラッチばねと、
前記掛け金の前記第1側部に設けられた第二ノッチとをさらに備え、
前記バーがその施錠位置に移動することで前記二次ラッチばねを移動させて前記二次ラッチ部材を前記掛け金の前記第1側部の方に移動させるように一定の力を加え、前記掛け金の切断された部分が移動することによって前記二次ラッチ部材を解放して前記掛け金の前記第1側部の方に移動させ、前記二次閉鎖位置に戻るように移動する際前記二次ラッチ部材が前記第2ノッチに係合することができる、請求項2から9のいずれか一項に記載の施錠機構。
【請求項11】
前記筐体が第1および第2端部壁と、第1および第2側壁とを含み、前記第1端部壁が、前記掛け金の前記第1および第2側部を収容するための第1および第2凹部を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の施錠機構。
【請求項12】
前記第1凹部が前記第2側壁に隣接して位置し、前記第2凹部が前記第1側壁に隣接して位置し、前記ポートが第前記2側壁内に位置する、請求項11に記載の施錠機構。
【請求項13】
前記バーが前記第1側壁に隣接して前記掛け金の前記第2側部と同一直線上に位置し、前記第1側壁が、前記バーと係合しかつこれを前記施錠位置から前記解錠位置に解放するように前記鍵を収容する鍵溝を備える、請求項12に記載の施錠機構。
【請求項14】
前記切断された掛け金を前記筐体内に保持するために掛け金保持器が設けられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の施錠機構。
【請求項15】
前記掛け金保持器が可撓性のストリップ材であり、その第1端部が前記筐体内部に固定され、その第2端部が、前記掛け金の前記第1側部のその細くなった部分にもたれ掛かることで、前記切断された掛け金が前記筐体の外に向かって移動する際、前記第2端部がこの細くなった部分の縁部と係合して前記掛け金が前記筐体から完全に離脱するのを阻止する、請求項14に記載の施錠機構。
【請求項16】
筐体内に摺動可能に設置され、そのそれぞれがその長さに沿った所定の位置において中に開口を有する1つまたは複数のロックウエハーと、
前記筐体内を長手方向に摺動するように設置され、その長さに沿って隆起部を有する摺動部材と、
前記各ウエハーと係合する係合部を有する関連する鍵と、
前記摺動部材と連通する解除機構とを備え、
前記関連する鍵の前記係合部が前記ウエハーと係合しこれを移動させることで、各ウエハーの前記開口と前記摺動部材の前記隆起部が位置合わせされ、前記摺動部材が施錠位置から解錠位置に長手方向に摺動することが可能になり、これにより前記解除機構を作動させる施錠機構。
【請求項17】
前記摺動部材が前記開口内を通過するバーである、請求項16に記載の施錠機構。
【請求項18】
前記各ウエハーが前記筐体内のスロット内に位置しており、前記スロットの第1端部と前記関連するウエハーの間にウエハーばねが設けられ、その結果前記鍵によって前記ウエハーが係合することで前記ウエハーばねが圧縮される、請求項17に記載の施錠機構。
【請求項19】
各ウエハーが概ね平坦な矩形の板であり、各開口が少なくともその長さの一部に沿って延在する、請求項18に記載の施錠機構。
【請求項20】
前記鍵が平たいカードであり、前記係合部が前記鍵の第1縁部から一定の距離だけそれぞれ引っ込んだ切り抜き部であり、その結果前記各ウエハーが、前記各々の切り抜き部によって事前設定された距離を移動されて前記ウエハー内の前記開口と位置合わせされる、請求項16から19のいずれか一項に記載の施錠機構。
【請求項21】
筐体と、
第1側部および第2側部を有し、前記第1および第2側部がそれぞれ前記筐体と係合する閉鎖位置と、前記第1側部が前記筐体と係合し、前記第2側部が前記筐体から外れる開放位置との間で摺動可能な掛け金とを備える南京錠に設けられる、請求項20に記載の施錠機構。
【請求項22】
前記掛け金の前記第1側部にある第1ノッチと、一次ラッチ部材とが設けられ、その結果前記掛け金が前記閉鎖位置にあるとき前記一次ラッチの一端が前記第1ノッチに収容され、前記施錠位置にあるとき前記バーが前記一次ラッチ部材と係合して前記一次ラッチ部材が移動して第1ノッチから出るのを阻止し、これにより前記掛け金が前記開放位置に移動するのを阻止する、請求項21に記載の施錠機構。
【請求項23】
前記一次ラッチ部材が、前記スロット内に配置され、前記一次ラッチ部材を付勢して前記掛け金の前記第1側部の方に移動させる一次ラッチばねを含む、請求項22に記載の施錠機構。
【請求項24】
前記第1ノッチが、前記掛け金が前記一次閉鎖位置から摺動する際、前記一次ラッチ部材が持ち上がって前記第1ノッチから出ることができるように先細になった側部を含む、請求項23に記載の施錠機構。

【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−519243(P2012−519243A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551373(P2011−551373)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000222
【国際公開番号】WO2010/096876
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(511207110)オリジニアリング ピーティーワイ リミテッド (1)