説明

手荷物用タグ

【課題】手荷物への取付操作を容易に行うことができる手荷物用タグを提供する。
【解決手段】手荷物用タグ1は表面シート20と剥離シート30とを有し、表面シート20の一端部には分離用スリット24を介して顧客用控部22が設けられている。剥離シート30の一端部には剥離用スリット34を介して剥離領域32が設けられている。手荷物用タグ1を手荷物の取手にループ状に巻き付けるときには剥離シート30に粘着される貼付部28が剥離領域32により覆われるようになっており、剥離領域32には顧客用控部22が粘着されている。剥離領域32には折り曲げ線37が設けられ、折り曲げ線37を境界として剥離領域32を折り曲げると、顧客用控部22の粘着層が外部に露出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空手荷物の行き先や便名などの荷物情報が記載され、手荷物に取り付けられて手荷物の輸送や受け渡し時の標識として使用される手荷物用タグに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機搭乗者が航空会社に手荷物を預ける場合には、手荷物の行き先や航空機の便名等の荷物情報が記載された帯状の手荷物用タグが使用されている。この手荷物用タグは飛行場の手荷物受け渡しカウンタにおいて手荷物に取り付けられ、手荷物用タグに記載されている情報に従って手荷物の輸送や受け渡し業務が行われている。この手荷物用タグとしては、手荷物の取手にループ状に取り付けるようにしたタイプのものが提案されている。
【0003】
特許文献1には、帯状のタグ本体とこの背面に設けられる熱融着性基材とを有する手荷物用タグが記載されている。この手荷物用タグは、タグ本体を手荷物の取手にループ状に巻き付けて、ループの背面の熱融着性基材同士を重ね合わせた状態のもとで、超音波加熱や高周波加熱等の加熱手段により熱融着性基材を加熱することにより取手に取り付けられる。
【0004】
特許文献2には、ICチップと通信用アンテナとを有する非接触型ICモジュールが貼り付けられた基材シートと、この基材シートの粘着層により粘着される剥離シートとを有する手荷物用タグが記載されている。剥離シートの両端はスリットの部分で剥離自在となっており、手荷物の取手にループ状に巻き付けて剥離シートの両端部を取り除くことにより、露出された粘着層同士を接着することで手荷物用タグが取手に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−56513号公報
【特許文献2】特開2008−299603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、超音波加熱等の加熱装置を用いて熱融着性基材同士を接着するようにすると、手荷物用タグを手荷物に取り付けるために加熱装置が必要となるので、タグの取付作業性が悪くなるだけでなく、手荷物に取り付ける操作は専門のオペレータによってのみ行うオペレータ取付方式となる。一方、特許文献2に記載されるように、剥離シートを取り除くようにすると、オペレータのみならず、手荷物の所有者自身も手荷物に取り付けることができるセルフ取付方式となる。
【0007】
しかし、セルフ取付方式においては、手荷物の所有者自身が手荷物用タグを手荷物に取り付ける操作を行うので、タグの取付操作に不慣れな手荷物所有者がタグ取付操作を行うことがある。そのため、セルフ取付方式の手荷物用タグとしては、より簡単な操作により手荷物に取り付けることができることが好ましい。さらに、表面シートの粘着層を露出するために剥離シートを一部取り除くようにすると、取り除いた剥離シートの部分がゴミとなるという問題点がある。取り除かれて不要となった部分が不用意に廃棄されると、手荷物カウンタの周囲を汚すことになる。
【0008】
そこで、手荷物取付時に廃棄される部分を減少させつつ、タグ取付操作に不慣れな手荷物所有者であっても簡単な操作により手荷物用タグを手荷物に取り付けるようにすることができる手荷物用タグの研究開発が行われた。
【0009】
外面に荷物情報が記載される表面シートと、この表面シートの内面に設けられた粘着層に粘着される剥離シートとにより形成される手荷物用タグにおいては、手荷物の取手に手荷物用タグを取り付ける際に、剥離シートを一部剥離させて表面シート内面の粘着層を露出させることになる。剥離シートの特手の部分を剥離させ、次いで剥離により露出させた部分を特定の部分に貼り付けて手荷物用タグを手荷物に取り付ける操作は、不慣れな作業者にとっては時間が掛かることになる。しかも、粘着層を露出させるために剥離させた剥離シートの部分を廃棄しなければならない構造では、ゴミが発生することになる。
【0010】
ループ状に取り付けられた手荷物用タグが手荷物の積み込み作業や輸送中に手荷物から外れないようにするには、剥離シートを部分的に剥がして露出された粘着層をタグ背面の所定の位置に貼り付ける必要がある。しかしながら、手荷物の所有者である顧客自身が取手に取り付ける場合のように、セルフ取付方式が採用される場合には、タグの操作に不慣れな使用者がタグの取付操作を行うと、粘着層が所定の位置から外れて貼り付けられてしまうことがある。粘着層が所定の位置に貼り付けられない状態で手荷物の積み込み作業等が行われると、タグが外れるおそれがある。
【0011】
本発明の目的は、手荷物への取付操作を容易に行うことができる手荷物用タグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の手荷物用タグは、外面に荷物情報が印刷され内面に粘着層が設けられる帯状の表面シートと、前記粘着層に剥離自在に粘着される帯状の剥離シートとを有し、手荷物に取り付けられる手荷物用タグであって、前記表面シートの表面本体部から分離用スリットにより分離される顧客用控部を前記表面シートの一端部に設け、前記剥離シートから剥離されるとともに前記表面本体部からそれぞれ分離される複数の航空会社用控部を前記表面シートの他端部に設け、前記剥離シートの剥離本体部から剥離用スリットにより分離されるとともに、前記表面本体部を手荷物の取手にループ状に巻き付けるときには前記剥離シートに粘着されるように前記表面本体部に設けられた貼付部から、前記顧客用控部が粘着された状態として剥離される剥離領域を前記剥離シートの一端部に設け、前記剥離領域を前記顧客用控部の粘着層に粘着される粘着部分と露出される露出部分とに区分する折り曲げ線を前記剥離領域に設け、前記折り曲げ線を境界として前記剥離領域を折り曲げて前記顧客用控部の粘着層を露出させることを特徴とする。
【0013】
本発明の手荷物用タグは、前記剥離シートの他端部を残留部とし当該残留部と前記剥離本体部とに前記剥離シートを区分する除去用スリットを前記剥離シートに設け、前記表面シートを手荷物に貼り付ける際に、前記剥離本体部を前記表面シートから除去することを特徴とする。本発明の手荷物用タグは、前記剥離用スリットの長手方向中央部に両端部よりも前記剥離本体部に向けて突き出すように湾曲した凸部を設け、前記剥離シートが外側となるように前記剥離用スリットの両端部を中心に折り曲げると前記凸部が前記貼付部から剥離されることを特徴とする。本発明の手荷物用タグは、前記剥離シートに前記剥離用スリットの位置を表示する剥離表示マークを設けることを特徴とする。本発明の手荷物用タグは、前記顧客用控部の前記表面本体部側の角部と、前記表面本体部の前記顧客用控部側の角部とをそれぞれ円弧状に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、剥離シートの剥離領域を表面シートから剥離させると、剥離領域には顧客用控部が貼り付けられた状態となっており、手荷物用タグは手荷物に取り付けられる部分と手荷物所有者が保持する部分とに二分される。手荷物所有者が保持するための顧客用控部を表面シートから分離すると、表面シートの貼付部が外部に露出される。露出された貼付部を剥離シートに粘着すると、手荷物用タグは手荷物の取手に取り付けられる。
【0015】
剥離領域を表面シートから剥離するとともに剥離本体部を表面シートから剥離すると、表面シートに設けられた粘着層が貼付部よりも広く露出されるので、露出された粘着部を手荷物の側面に貼り付けると、手荷物用タグは手荷物に取り付けられた状態で取り付けられることになる。この状態においては残留部が手荷物用タグに残っているので、手荷物用タグが不使用となったときには、残留部を手に持って容易に手荷物から取り除くことができる。
【0016】
剥離シートの剥離領域を表面シートから剥離して剥離領域に取り付けられた顧客用控部を使用者が保持する際には、剥離領域を折り曲げ線の部分で折り曲げて顧客用控部の粘着層の部分を外部に露出させると、使用者の持ち物に顧客用控部を貼り付けることができる。これにより、比較的小型の顧客用控部を使用者が紛失してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態である手荷物用タグの表面シートの外面を示す平面図であり、(B)は手荷物用タグの剥離シートの外面を示す平面図であり、(C)は(A)における1C−1C線断面図である。
【図2】(A)は図1(A)の一部省略拡大図であり、(B)は図1(B)の一部省略拡大図である。
【図3】航空会社用控部と剥離領域とを表面シートから剥離した状態における手荷物用タグを示す斜視図である。
【図4】使用者用持ち物に貼り付けられた状態の顧客用控部を示す斜視図である。
【図5】手荷物の取手に巻き付けた状態の手荷物用タグを示す斜視図である。
【図6】(A)〜(C)は手荷物用タグを手荷物の取手に巻き付ける手順を示す工程図である。
【図7】(A)〜(D)は手荷物用タグを手荷物の側面に貼り付ける手順を示す工程図である。
【図8】(A)は取手に手荷物用タグが巻き付けられた手荷物を示す斜視図であり、(B)は側面に手荷物用タグが貼り付けられた手荷物を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。手荷物用タグ1は、図1に示されるように、外面に荷物情報が記載され内面に粘着層10が接着された帯状の表面シート20と、この表面シート20の粘着層10に剥離自在に粘着される帯状の剥離シート30とを有している。このように、手荷物用タグ1は、上紙となる表面シート20と、表面シート20の内面に設けられた粘着層10と、表面シート20の内面つまり裏面に下紙となって粘着される剥離シート30との三層構造となっている。内面側に粘着層10が塗布された表面シート20は、これに粘着される剥離シート30よりも腰が強い硬めの素材により形成されている。剥離シート30の長さは約50cmであり、幅は約5.5cmであり、表面シート20の長さと幅は、剥離シート30よりもそれぞれ2mm程度小さい寸法となっている。なお、図1(C)においては、表面シート20と剥離シート30は便宜的に1本の線で示されている。
【0019】
表面シート20は、図1(A)に示されるように、その長さ方向中央部つまり長手方向中央部が表面本体部21となっており、図1において表面本体部21の右側には顧客用控部22が設けられ、左側には3つの航空会社用控部23a〜23cが設けられている。顧客用控部22はクレームタグとも言われており、表面本体部21に対して分離用スリット24により分離されるようになっている。このクレームタグつまり顧客用控部22の表面には、航空会社名、便名および荷物番号等の荷物情報が記載される。
【0020】
一方、それぞれの航空会社用控部23a〜23cは、分割用スリット25a〜25cにより相互に分離され、表面本体部21から分離されるとともに剥離シート30からも剥離されるようになっている。それぞれの航空会社用控部23a〜23cには、バーコードで荷物情報が記載される。3つの航空会社用控部のうち、1つは手荷物が預けられる窓口カウンタの控えとして使用され、他の1つは荷物輸送時の控えとして使用され、残りの1つは予備として使用される。航空会社用控部としては、最小限2つ設けられていれば良く、3つに限られることはない。
【0021】
このように、帯状の表面シート20は中央部の表面本体部21と、一端部側の顧客用控部22と他端部側の航空会社用控部23a〜23cとを有している。顧客用控部22と表面本体部21とは分離用スリット24により区分され、航空会社用控部相互間は分割用スリット25a,25bにより分離され、航空会社用控部23cと表面本体部21とは分割用スリット25cにより区分されている。このように、分離用スリット24と分割用スリット25cとの間の一続きとなった領域が表面本体部21となっている。
【0022】
分離用スリット24と3本の分割用スリット25a〜25cの形態としては、使用者が容易に顧客用控部22および航空会社用控部23a〜23cを表面本体部21から分離できる形態とすることが好ましい。そのようなスリットの形態としては、表面シート20の幅方向全体、つまりそれぞれのスリットの長さ方向全体に伸びる切り込みにより形成するようにした形態と、部分的には切り込みを設けないようなスリットの形態とがある。部分的に切り込みを設けないような形態としては、0.5mmの長さの非切り込み部を3箇所程度有するスリットの形態としても良い。例えば、図2(A)に示されるように、分離用スリット24は長さ全体に伸びる切り込みにより形成された形態となっており、分割用スリット25a〜25cは部分的に切り込みを設けない形態となっている。
【0023】
表面本体部21の外面には、荷物情報がバーコードと文字により記載される。バーコード表示部26は、表面本体部21の両端部に印字方向を相互に直角方向にずらして2個所ずつ設けられており、表面本体部21の中央部には文字により荷物情報を表示する文字表示部27が設けられている。
【0024】
図1(B)に示されるように、剥離シート30はその長手方向中央部分が剥離本体部31となっており、図1において剥離本体部31の右側つまり一端部側には剥離領域32が設けられ、左側つまり他端部側には残留部33が設けられている。剥離本体部31と剥離領域32は剥離用スリット34により区分され、剥離本体部31と残留部33は除去用スリット35により区分されている。図1(B)に示されるように、剥離用スリット34と除去用スリット35は、剥離シート30の幅方向つまり全体つまりスリットの長さ方向全体に伸びる切り込みにより形成されている。除去用スリット35は、図示するように剥離シート30の幅方向に真っ直ぐに伸びている。これに対し、剥離用スリット34はその長さ方向の両端部34aが剥離シート30の側辺に対して直角となっており、長さ方向の中央部は剥離本体部31に向けて突出する方向に湾曲して凸部34bとなっている。このように、剥離用スリット34の中央部に凸部34bが設けられているので、剥離用スリット34の部分を中心に剥離シート30が外側となるように手荷物用タグ1を折り曲げると、凸部34bが跳ね上げられるように表面シート20から剥離される。これにより、剥離領域32を容易に表面シート20から剥離することができる。
【0025】
図1(B)において剥離領域32の一部が切り欠かれて示されており、表面本体部21の背面側つまり粘着層10側のうち分離用スリット24と剥離用スリット34の間の部分は貼付部28となっている。このように表面本体部21の一端部の背面に設けられた貼付部28は、剥離領域32により覆われるようになっている。剥離領域32はその表面側に顧客用控部22が粘着された状態として貼付部28から剥離されるようになっており、剥離領域32を貼付部28から剥離すると、図3に示されるように、貼付部28が外部に露出される。
【0026】
貼付部28は、手荷物用タグ1が手荷物の取手にループ状に巻き付けられるときには剥離シート30の外面に粘着される。その粘着位置を表示するために、剥離シート30には、露出された貼付部28が粘着される貼付領域表示部36が標記されている。貼付領域表示部36は、図1(B)に示されるように、輪郭線とその内部に付されたハッチングを標記することにより形成されている。このように、剥離シート30に貼付領域表示部36が設けられているので、不慣れな手荷物所有者であっても確実に所定の位置に貼付部28を貼り付けることができる。
【0027】
手荷物所有者が航空機に搭乗する際に手荷物を航空会社に預けるときには、手荷物用タグ1が手荷物に取り付けられるとともに、手荷物所有者は手荷物用タグ1から顧客用控部22を分離して受け取ることになる。顧客用控部22を分離するには、上述のように、剥離用スリット34の両端部を中心として剥離シート30が外側となるように手荷物用タグ1を折り曲げると、中央部の凸部34bが容易に跳ね上げられるように剥離することになる。したがって、使用者は凸部34bを手に持って剥離シート30の剥離領域32を貼付部28から容易に剥離することができる。剥離領域32を貼付部28から剥離すると、この剥離領域32に貼り付けられている顧客用控部22は剥離領域32に付着した状態で表面本体部21から分離される。
【0028】
手荷物所有者は顧客用控部22を提示することにより到着地において手荷物を受け取ることができるので、顧客用控部22を紛失しないように保持する必要がある。顧客用控部22の紛失を防止するために、手荷物所有者は顧客用控部22をその内面に設けられた粘着層10を利用して航空券、手帳、財布等の使用者持ち物に粘着させることができる。そのために、剥離領域32には、顧客用控部22の一端と分離用スリット24に対応する部分の中間の位置に折り曲げ線37がミシン目により形成されている。この折り曲げ線37を境界として剥離領域32を剥離領域32が外側となるように折り曲げると、図3に示すように、顧客用控部22の内面は一部が外部に露出される露出部分22aとなる。その内面の他の部分は折り曲げられた剥離領域32が粘着される粘着部分22bとなる。図1(B)および図2(B)において折り曲げ線37よりも左側の部分が露出部分22aであり、右側の部分が粘着部分22bである。
【0029】
図4は、顧客用控部22をその露出部分22aにより使用者持ち物(図示省略)に貼り付けた状態を示しており、顧客用控部22は剥離領域32を折り畳まれた状態として使用者持ち物に貼り付けられる。これにより、剥離領域32が邪魔となることなく、到着地において手荷物を顧客用控部22と交換する際には、剥離領域32を持ち上げることにより、使用者持ち物に粘着されていた顧客用控部22を容易に使用者持ち物から剥離させることができる。
【0030】
手荷物所有者が手荷物用タグ1から顧客用控部22を分離する際には、上述のように、剥離領域32を表面本体部21の貼付部28から剥離する。このときに、使用者に剥離用スリット34の位置を表示させて、使用者が剥離領域32の剥離用の先端部を容易に見つけることができるように、剥離シート30には剥離用スリット34に沿って剥離表示マーク38が剥離用スリット34の両側に位置させて設けられている。剥離表示マーク38は幅が2mm程度の線を剥離シート30に印刷することにより形成されている。
【0031】
図1(A)および図2(A)に示されるように、顧客用控部22の表面本体部21側の角部29aは円弧状に形成されており、それぞれに対応して表面本体部21の顧客用控部22側の角部29bも円弧状に形成されている。このように、それぞれの角部を円弧状にすると、何れかの角部に指を押し当てて、顧客用控部22を表面本体部21から分離する操作を容易に行うことができる。
【0032】
手荷物用タグ1を手荷物に取り付ける形態としては、手荷物の取手に手荷物用タグ1を巻き付ける形態と、手荷物の外面に手荷物用タグ1を直接貼り付ける形態とがある。巻き付ける形態で手荷物用タグ1が使用されるときには、まず、剥離シート30の剥離領域32を表面シート20から剥離する。次いで、剥離領域32を剥離することにより露出された貼付部28を、手荷物用タグ1を取手に巻き付けた状態で貼付領域表示部36に貼り付けることになる。このような2段階操作によって手荷物所有者は顧客用控部22を受け取ることができるとともに手荷物用タグ1を手荷物の取手に巻き付けることができる。
【0033】
このような一連の2段階操作を不慣れな使用者でも容易に行うことができるように、剥離用スリット34を挟んで剥離本体部31には、丸数字1が印刷されるとともに文字印刷部39aには「この線からはがして下さい」という文字が印刷されている。剥離領域32には、剥離方向を示す矢印と文字印刷部39bには「Pull off here」の文字が印刷されている。さらに、貼付領域表示部36には、丸数字2が印刷されるとともに文字印刷部39cには「丸数字1部分をはがした後粘着部分をこの枠内に貼って下さい」の文字が印刷されている。
【0034】
一方、手荷物に直接貼り付ける形態で手荷物用タグ1が使用されるときには、上述した巻付け形態と同様に、まず剥離シート30の剥離領域32を表面シート20から剥離する。これにより、手荷物所有者は顧客用控部22を所持することができる。次いで、除去用スリット35の部分で剥離本体部31を表面シート20から剥離して取り除く。これにより、表面本体部21のうち剥離シート30が粘着された部分が露出されるので、露出された部分を手荷物に粘着させることになる。この状態のもとでは、表面シート20には剥離シート30の残留部33が粘着されているので、この部分が手荷物に粘着されることがない。したがって、手荷物用タグ1を使用した後にこれを手荷物から剥離する際に残留部33を手に持って剥離作業を容易に行うことができる。
【0035】
次に、図5,6を参照して、図8(A)に示すように、手荷物40の取手41に手荷物用タグ1を巻き付ける手順について説明する。なお、図6(A)(B)においては剥離シート30が表面シート20よりも上側となって示されている。
【0036】
出発地において手荷物を航空会社に預ける際には、図6(B)に示すように、航空会社の手荷物カウンタでは航空会社用控部23aを剥離シート30から剥離する。これが剥離された状態で、手荷物用タグ1は顧客に手渡される。手荷物用タグ1を受け取った使用者は、まず、図6(A)に示す状態から図6(B)に示すように、剥離シート30の剥離領域32を表面シート20から剥離する。この剥離操作によって剥離領域32には顧客用控部22が貼り付けられた状態となって剥離領域32が剥離されるとともに顧客用控部22は表面シート20から分離される。分離された顧客用控部22の外面には荷物番号が記載されているので、到着地では表面シート20に記載されている荷物番号と顧客用控部22の荷物番号とを照合することができる。一方、手荷物カウンタにおいては、航空会社用控部23aを台紙等に貼り付けることにより、航空会社用控部23aに基づいて預かった手荷物の数を行き先と便名とを含めてまとめることができる。
【0037】
使用者は、次いで、図5および図6(C)に示すように、航空会社用控部23aと剥離領域32とが剥離された手荷物用タグ1を手荷物40の取手41に巻き付ける。このときには、手荷物用タグ1を取手41に巻入れて通した状態のもとで、図6(C)に示されるように、貼付部28を剥離シート30に貼り付ける。これにより、手荷物用タグ1は取手41に取り付けられることになる。貼付部28を剥離シート30に貼り付ける際には、図1(B)に示されるように、剥離シート30には貼付領域表示部36が設けられているので、使用者は手荷物用タグ1の取付操作に不慣れであっても、貼付部28の貼付位置を容易に想定ないし理解して貼付領域表示部36の位置に貼付部28を正確に貼り付けることができる。このように、剥離領域32の剥離操作と、露出された貼付部28の貼付領域表示部36への貼付操作との2段階の操作により、容易に手荷物用タグ1を手荷物40の取手41に取り付けることができる。
【0038】
次に、図7を参照して、図8(B)に示すように、手荷物40の側面42に手荷物用タグ1を取り付ける手順について説明する。
【0039】
図7(A),(B)に示すように、図6に示した使用形態と同様に、使用者は剥離シート30の剥離領域32を表面シート20から剥離する。この剥離操作によって剥離領域32には顧客用控部22が貼り付けられた状態となって剥離領域32が剥離されるとともに顧客用控部22は表面シート20から分離される。次いで、図7(C)に示すように、除去用スリット35を中心として剥離シート30が外側となるように剥離シート30を折り曲げる。剥離シート30を図示するように折り曲げると、剥離本体部31の左端部が粘着層10から跳ね上がるようにして剥離されることになる。これにより、使用者は剥離された部分を手に持って、剥離本体部31を表面シート20から剥離除去する。図7(D)は剥離本体部31が剥離除去された状態を示す。剥離除去操作を行うと、表面シート20の内面側に設けられた粘着層10が、図7(D)に示されるように、残留部33により覆われる部分を残して露出されることになる。露出された粘着層10を図8(B)に示すように手荷物40の側面42に貼り付けることにより、手荷物用タグ1は手荷物に取り付けられることになる。この状態のもとでは、表面シート20の端部には残留部33が残っているので、表面シート20の全体が手荷物に貼り付けられることなく、使用後の手荷物用タグ1を手荷物から取り外す際には、残留部33の部分から容易に手荷物用タグ1を剥離することができる。このように、手荷物用タグ1を手荷物40の側面42に貼り付ける場合には、取手41に巻き付ける場合よりも、剥離本体部31の除去操作が加わるが、露出された粘着層10を側面42に貼り付けるのみで容易に手荷物用タグ1を取り付けることができる。
【0040】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、表面シート20の内面に非接触型ICモジュールを貼り付けるようにすると、手荷物用RFIDタグとして本発明のタグを使用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…粘着層、20…表面シート、21…表面本体部、22…顧客用控部、22a…露出部分、22b…粘着部分、23a〜23c…航空会社用控部、24…分離用スリット、25a〜25c…分割用スリット、26…バーコード表示部、27…文字表示部、28…貼付部、29a,29b…角部、30…剥離シート、31…剥離本体部、32…剥離領域、33…残留部、34…剥離用スリット、34a…両端部、34b…凸部、35…除去用スリット、36…貼付領域表示部、37…折り曲げ線、38…剥離表示マーク、40…手荷物、41…取手、42…側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に荷物情報が印刷され内面に粘着層が設けられる帯状の表面シートと、前記粘着層に剥離自在に粘着される帯状の剥離シートとを有し、手荷物に取り付けられる手荷物用タグであって、
前記表面シートの表面本体部から分離用スリットにより分離される顧客用控部を前記表面シートの一端部に設け、
前記剥離シートから剥離されるとともに前記表面本体部からそれぞれ分離される複数の航空会社用控部を前記表面シートの他端部に設け、
前記剥離シートの剥離本体部から剥離用スリットにより分離されるとともに、前記表面本体部を手荷物の取手にループ状に巻き付けるときには前記剥離シートに粘着されるように前記表面本体部に設けられた貼付部から、前記顧客用控部が粘着された状態として剥離される剥離領域を前記剥離シートの一端部に設け、
前記剥離領域を前記顧客用控部の粘着層に粘着される粘着部分と露出される露出部分とに区分する折り曲げ線を前記剥離領域に設け、前記折り曲げ線を境界として前記剥離領域を折り曲げて前記顧客用控部の粘着層を露出させることを特徴とする手荷物用タグ。
【請求項2】
請求項1記載の手荷物用タグにおいて、前記剥離シートの他端部を残留部とし当該残留部と前記剥離本体部とに前記剥離シートを区分する除去用スリットを前記剥離シートに設け、前記表面シートを手荷物に貼り付ける際に、前記剥離本体部を前記表面シートから除去することを特徴とする手荷物用タグ。
【請求項3】
請求項1または2記載の手荷物用タグにおいて、前記剥離用スリットの長手方向中央部に両端部よりも前記剥離本体部に向けて突き出すように湾曲した凸部を設け、前記剥離シートが外側となるように前記剥離用スリットの両端部を中心に折り曲げると前記凸部が前記貼付部から剥離されることを特徴とする手荷物用タグ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の手荷物用タグにおいて、前記剥離シートに前記剥離用スリットの位置を表示する剥離表示マークを設けることを特徴とする手荷物用タグ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の手荷物用タグにおいて、前記顧客用控部の前記表面本体部側の角部と、前記表面本体部の前記顧客用控部側の角部とをそれぞれ円弧状に形成することを特徴とする手荷物用タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−255968(P2012−255968A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129960(P2011−129960)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)