説明

手術器具の管理システム及びそれに使用するラベル

【課題】医療現場における業務の省力化と手術器具の安全性の向上を低コストで達成できるようにした手術器具の管理システム及びそれに使用するラベルを提供する。
【解決手段】手術器具又は手術器具のグループ毎に識別番号を付与し、識別番号単位で、手術器具の情報及び手術器具のステータスデータを記録する記録手段としてのコンピュータ1(記憶手段2)と、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片及びこの第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片からなるラベルを出力するラベル出力手段3と、手術器具又は手術器具のグループ毎に付与された識別番号を読み取るためのリーダ手段としてのスキャナ4と、手術器具のステータスデータを表示する表示手段としてのディスプレイ5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療現場において使用される各種の手術器具を管理するための手術器具の管理システム及びそれに使用するラベルに関するもので、特に、手術器具毎のステータスデータ等を管理することにより、医療現場における業務の省力化と手術器具の安全性の向上を達成できるようにした手術器具の管理システム及びそれに使用するラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療現場において使用される手術器具は、通常の手術に加え、救急患者等の手術にも対処できるように、所要の手術器具を取り揃えて準備するようにしている。
【0003】
ところで、これらの手術器具は、メス、鉗子、ピンセットを始めとして、多種に亘るとともに、手術によって患者の組織や血液に触れた手術器具や滅菌効果の有効期限が経過した手術器具によって二次感染等の医療事故が発生しないように、衛生管理において細心の注意を払う必要があり、このため、手術器具の管理をシステム化しようとした場合、システムが著しく複雑化するという問題があった。
【0004】
また、手術器具を管理するためには、手術器具毎に識別番号を付与する必要があるが、手術器具に識別番号を直接記録する従来の識別番号の付与方式(例えば、特許文献1及び2参照)は、洗浄処理及び滅菌処理に耐え得るようにする必要があることと相俟って、コスト高になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−178107号公報
【特許文献2】特開2003−111772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の手術器具の管理システムの有する問題点に鑑み、医療現場において使用される各種の手術器具に識別番号を直接記録せずに、ラベルを使用する簡易なシステムによって、手術器具毎のステータスデータ等を管理することにより、医療現場における業務の省力化と手術器具の安全性の向上を低コストで達成できるようにした手術器具の管理システム及びそれに使用するラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の手術器具の管理システムは、医療現場において使用される手術器具を管理するための手術器具の管理システムにおいて、手術器具又は手術器具のグループ毎に識別番号を付与し、該識別番号単位で、手術器具の情報及び手術器具のステータスデータを記録する記録手段と、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片及び該第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片からなるラベルを出力するラベル出力手段と、手術器具又は手術器具のグループ毎に付与された識別番号を読み取るためのリーダ手段と、手術器具のステータスデータを表示する表示手段とを備えてなることを特徴とする。
【0008】
この場合において、手術器具の情報が、手術器具の滅菌方法及び滅菌時の占有容積を含み、該手術器具の情報及び手術器具のステータスデータに基づき、滅菌装置による手術器具の滅菌工程を管理する滅菌工程管理手段を備えてなるようにすることができる。
【0009】
また、手術器具の情報が、手術器具の滅菌効果の有効期間を含み、該手術器具の情報及び手術器具のステータスデータに基づき、手術器具の滅菌効果の有効期限を管理する滅菌期限管理手段を備えてなるようにすることができる。
【0010】
また、手術器具のグループを収容する容器に取り付けた容器識別タグを併用するようにすることができる。
【0011】
また、上記の手術器具の管理システムに使用する本発明のラベルは、ラベル出力手段によって発行されるラベルであって、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片と、該第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片とからなることを特徴とする。
【0012】
この場合において、第1のラベル片から切り取り可能に設けられたカルテに貼り付けて使用される識別番号を記載した第3のラベル片を備えてなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の手術器具の管理システムによれば、医療現場において使用される手術器具を管理するための手術器具の管理システムにおいて、手術器具又は手術器具のグループ毎に識別番号を付与し、該識別番号単位で、手術器具の情報及び手術器具のステータスデータを記録する記録手段と、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片及び該第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片からなるラベルを出力するラベル出力手段と、手術器具又は手術器具のグループ毎に付与された識別番号を読み取るためのリーダ手段と、手術器具のステータスデータを表示する表示手段とを備えてなることにより、医療現場において使用される各種の手術器具に識別番号を直接記録せずに、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片及び該第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片からなるラベルを使用する簡易なシステムによって、手術器具毎のステータスデータ等を管理することができ、これにより、医療現場における業務の省力化と手術器具の安全性の向上を低コストで達成することができる。
【0014】
また、手術器具の情報が、手術器具の滅菌方法及び滅菌時の占有容積を含み、該手術器具の情報及び手術器具のステータスデータに基づき、滅菌装置による手術器具の滅菌工程を管理する滅菌工程管理手段を備えてなるようにすることにより、滅菌工程管理手段によって、特定の滅菌装置で処理可能な手術器具及びその量を管理することができ、これにより、手術器具の滅菌処理を円滑かつ確実に行うことができる。
【0015】
また、手術器具の情報が、手術器具の滅菌効果の有効期間を含み、該手術器具の情報及び手術器具のステータスデータに基づき、手術器具の滅菌効果の有効期限を管理する滅菌期限管理手段を備えてなるようにすることにより、滅菌期限管理手段によって、手術器具の滅菌効果の有効期限を管理することができ、これにより、手術器具の安全性の向上を達成することができる。
【0016】
また、手術器具のグループを収容する容器に取り付けた容器識別タグを併用するようにすることにより、識別番号を記載した第1のラベル片を容器に貼り付ける代わりに容器識別タグを用いることができ、容器へのラベルの貼り付け及び貼り付けたラベルを剥がす手間を省くことができる。
【0017】
また、上記の手術器具の管理システムに使用する本発明のラベルは、ラベル出力手段によって発行されるラベルであって、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片と、該第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片とからなることにより、医療現場において使用される各種の手術器具に識別番号を直接記録せずに、手術器具毎のステータスデータ等を管理することができる。
【0018】
また、第1のラベル片から切り取り可能に設けられたカルテに貼り付けて使用される識別番号を記載した第3のラベル片を備えてなるようにすることにより、使用した手術器具の記録をカルテに残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の手術器具の管理システムの一実施例を示す説明図である。
【図2】同手術器具の管理システムの使用例を示す説明図である。
【図3】同手術器具の管理システムに使用するラベルの説明図である。
【図4】1つの容器に収容されている手術器具の情報を記載した管理票の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の手術器具の管理システム及びそれに使用するラベルの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図4に、本発明の手術器具の管理システムの一実施例を示す。
なお、図中の日付等の数字は、仮のものであって、現実のものではない。
この手術器具の管理システムは、図1〜図2に示すように、医療現場において使用される手術器具を管理するための手術器具の管理システムであって、手術器具又は手術器具のグループ毎に識別番号を付与し、識別番号単位で、手術器具の情報及び手術器具のステータスデータを記録する記録手段としてのコンピュータ1(記憶手段2)と、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片L1及びこの第1のラベル片L1から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片L2からなるラベルLを出力するラベル出力手段3と、手術器具又は手術器具のグループ毎に付与された識別番号を読み取るためのリーダ手段としてのスキャナ4と、手術器具のステータスデータを表示する表示手段としての(コンピュータ1の)ディスプレイ5とを、主要部として備えている。
【0022】
この場合において、コンピュータ1のマシントラブルに備えて、補助コンピュータ1’を備えるようにしたり、大規模な医療機関の場合には、ネットワークを介して接続した複数台のコンピュータ1をホストコンピュータ(図示省略)で一元管理するようにすることもできる。
【0023】
この手術器具の管理システムにおいて管理される手術器具には、手術で使用された後、洗浄処理及び滅菌処理して再使用される、メス、鉗子、ピンセット等の手術器具を始めとして、ワンウェイの手術器具、プレート、ピン、ワイヤー、ボルト等の治療具、消耗品等を含めることができる。
【0024】
手術器具は、例えば、再使用される手術器具は、洗浄処理後、滅菌処理可能な袋に挿入され、滅菌処理を行うようにされている。
また、その他の手術器具も、袋に挿入されて管理される。
また、特定の手術で使用する複数の手術器具は、1つの容器に収容して管理することもでき、これらの手術器具は、洗浄処理後、滅菌処理可能な容器に収容され、容器ごと滅菌処理を行うようにされている。
【0025】
手術器具の情報は、手術器具の種類のほか、本実施例においては、手術器具の滅菌方法、滅菌時の占有容積及び滅菌効果の有効期間を含むようにする。
そして、手術器具の情報(滅菌方法及び滅菌時の占有容積)及び手術器具のステータスデータ(手術器具の現在場所、滅菌日(滅菌処理を行う日)等)(並びに特定の滅菌装置の内容積)に基づき、コンピュータ1に備えられた滅菌装置による手術器具の滅菌工程を管理する滅菌工程管理手段によって、特定の滅菌装置で処理可能な手術器具及びその量を管理することができ、これにより、手術器具の滅菌処理を円滑かつ確実に行うことができる。
また、手術器具の情報(滅菌効果の有効期間)及び手術器具のステータスデータ(手術器具の現在場所、滅菌日(滅菌処理を行った日)等)に基づき、コンピュータ1に備えられた手術器具の滅菌効果の有効期限を管理する滅菌期限管理手段によって、手術器具の滅菌効果の有効期限を管理することができ、これにより、手術器具の安全性の向上を達成することができる。
【0026】
手術器具の滅菌方法は、滅菌処理を行う手術器具によって、適宜選択することができるが、本実施例においては、代表的な滅菌方法である、高圧蒸気殺菌方法(装置)、エチレンオキシドガス(EOG)滅菌方法(装置)、過酸化水素低温滅菌方法(装置)を選択して用いることができるようにしている。
この場合、高圧蒸気殺菌装置、エチレンオキシドガス(EOG)滅菌装置、過酸化水素低温滅菌装置の情報(台数及び内容積等)をコンピュータ1(記憶手段2)に記録しておき、滅菌工程管理手段による手術器具の滅菌処理の管理に用いることができるようにする。
【0027】
ラベルLは、図3に示すように、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号(本実施例では、識別番号及びその他の手術器具の情報をスキャナ4により読み取ることができるように、バーコード及び数字で表示するようにしている。)を記載した第1のラベル片L1及びこの第1のラベル片L1から切取線Laを介して切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号(本実施例では、識別番号及びその他の手術器具の情報をスキャナにより読み取ることができるように、バーコード及び数字で表示するようにしている。)を記載した第2のラベル片L2に加え、第1のラベル片L1の中央部に第1のラベル片L1から切取線Lbを介して切り取り可能に設けられたカルテに貼り付けて使用される識別番号(本実施例では、識別番号及びその他の手術器具の情報を数字で表示するようにしている。)を記載した第3のラベル片L3を備えるようにし、これにより、使用した手術器具の記録をカルテに残すことができるようにしている。
この場合、第1のラベル片L1の裏面には、粘着剤層を設け、剥離紙L0から剥がすことにより、第1のラベル片L1を手術器具を収容した袋に貼り付けることができるようにする。
また、第2のラベル片L2の裏面には、粘着剤層を設けないようにする。
また、第3のラベル片L3の裏面には、粘着剤層を設け、剥離紙L0から剥がすことにより、第3のラベル片L3をカルテに貼り付けることができるようにする。
ここで、第3のラベル片L3の裏面に粘着剤層を介して位置する剥離紙L0は、第1のラベル片L1の裏面に粘着剤層を介して位置する剥離紙L0と共通の1枚のものからなり、当該剥離紙L0を第3のラベル片L3よりも若干外側を切取線Lcを介して切り取り可能となるようにしている。これにより、第1のラベル片L1を剥離紙L0から剥がしたときに、第1のラベル片L1の側に、第3のラベル片L3及び第3のラベル片L3の裏面に粘着剤層を介して位置する剥離紙L0の小片が残り、第1のラベル片L1を手術器具を収容した袋に貼り付けた状態で、第3のラベル片L3を簡単に剥がしてカルテに貼り付けることができる。
【0028】
また、特定の手術で使用する複数の手術器具を1つの容器に収容して管理する場合には、手術器具毎に識別番号を付与するのではなく、1つの容器に収容される手術器具のグループ毎に識別番号を付与することができる。
この場合、手術器具のグループを収容する容器に取り付けた容器識別タグTを併用することもできる。
なお、容器識別タグTは、それのみでは情報を目視できないため、必要に応じて、容器に、ラベルLを同梱するようにする。
また、1つの容器に収容されている手術器具の情報は、手術器具の情報として、記憶手段2に記録されており、必要に応じて、管理票出力手段7によって、図4に示すような管理票(セット基材票)を出力し、手術器具の管理に利用することができるようにしている。
容器識別タグTには、RFID(radio frequency identification)タグを好適に用いることができ、手術器具のグループ毎に付与された識別番号を読み取るためのリーダライタ手段として、RFIDリーダライタ6を備えるようにする。
これにより、識別番号を記載した第1のラベル片L1を容器に貼り付ける代わりに容器識別タグTを用いることができ、容器へのラベルの貼り付け及び貼り付けたラベルを剥がす手間を省くことができる。
【0029】
次に、この手術器具の管理システムの運用方法を、図2に基づいて説明する。
まず、管理部門において、手術器具の情報(手術器具の種類、手術器具毎(又は滅菌処理可能な容器に収容されている手術器具のグループ毎)の識別番号のほか、本実施例においては、手術器具の滅菌方法、滅菌時の占有容積及び滅菌効果の有効期間等の不変情報)を予め記録手段としてのコンピュータ1(記憶手段2)に記録しておく。
【0030】
次に、管理部門において、滅菌処理可能な袋に挿入されている手術器具毎(又は滅菌処理可能な容器に収容されている手術器具のグループ毎)に識別番号をコンピュータ1(及び記憶手段2)を用いて呼び出し(初回だけ。次回以降については、後述。)、該識別番号単位で、手術器具のステータスデータを記録する記録手段としてのコンピュータ1(記憶手段2)に記録するとともに、ラベル出力手段3を用いて、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片L1、この第1のラベル片L1から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片L2及び第1のラベル片L1から切り取り可能に設けられたカルテに貼り付けて使用される識別番号を記載した第3のラベル片L3からなるラベルLを出力し、出力したラベルLを手術器具を収容した袋に貼り付ける(手術器具を収容した容器に、管理票出力手段7を用いて出力した管理票と共に同梱する。)。
【0031】
手術器具の情報には、手術器具の種類のほか、本実施例においては、手術器具の滅菌方法、滅菌時の占有容積及び滅菌効果の有効期間を含むようにされている。
そして、手術器具の情報(滅菌方法及び滅菌時の占有容積)及び手術器具のステータスデータ(手術器具の現在場所、滅菌日(滅菌処理を行う日)等)(並びに特定の滅菌装置の内容積)に基づき、コンピュータ1に備えられた滅菌装置による手術器具の滅菌工程を管理する滅菌工程管理手段によって、特定の滅菌装置で処理可能な手術器具及びその量を管理しながら、手術器具の滅菌処理を行うようにする。
【0032】
滅菌処理された手術器具は、必要に応じて、ラベルLの第2のラベル片L2(この場合、第2のラベル片L2は、第1のラベル片L1から切り離されていないため、第1のラベル片L1を用いることもできる。)(又は容器識別タグT)の識別番号に基づいて、手術器具のステータスデータを付与した後、そのまま集中保管されたり、医療現場に移送される。
【0033】
これと併せて、手術器具の情報(滅菌効果の有効期間)及び手術器具のステータスデータ(手術器具の現在場所、滅菌日(滅菌処理を行った日)等)に基づき、コンピュータ1に備えられた手術器具の滅菌効果の有効期限を管理する滅菌期限管理手段によって、手術器具の滅菌効果の有効期限を管理するようにする。
手術器具の滅菌効果の有効期限が近づいたり、経過した場合には、例えば、手術器具のステータスデータを表示する表示手段としての(コンピュータ1の)ディスプレイ5に警告を表示するようにし、当該手術器具を回収するようにする。
【0034】
ここで、この手術器具の管理システムに手術器具の情報及び手術器具のステータスデータとして、記録手段としてのコンピュータ1(記憶手段2)に記録されるデータの一例を表2に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
医療現場に移送され、手術で使用された手術器具のうち、再使用される手術器具は、当該使用済の手術器具(及び容器)と第2のラベル片L2(又は容器識別タグT)が洗浄工程に返送され、洗浄処理後、手術器具は滅菌処理可能な袋に挿入され(又は容器に収容され)、第2のラベル片L2(又は容器識別タグT)とともに、管理部門に移送される。
この場合、必要に応じて、第3のラベル片L3をカルテに貼り付けるようにする。
また、第1のラベル片L1は、袋と共に、医療現場で廃棄処分するようにする。
【0037】
管理部門においては、滅菌処理可能な袋に挿入されている手術器具毎(又は滅菌処理可能な容器に収容されている手術器具のグループ毎)に識別番号を第2のラベル片L2(又は容器識別タグT)を用いて呼び出し、該識別番号単位で、手術器具のステータスデータを記録する記録手段としてのコンピュータ1(記憶手段2)に記録するとともに、ラベル出力手段3を用いて、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片L1、この第1のラベル片L1から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片L2及び第1のラベル片L1から切り取り可能に設けられたカルテに貼り付けて使用される識別番号を記載した第3のラベル片L3からなるラベルLを出力し、出力したラベルLを手術器具を収容した袋に貼り付ける(手術器具を収容した容器に、管理票出力手段7を用いて出力した管理票と共に同梱する。)。
そして、以下、上記と同様の方法で、手術器具の管理を行うようにする。
【0038】
また、医療現場に移送され、手術で使用された手術器具のうち、ワンウェイの手術器具、治療具及び消耗品等の再使用されない手術器具は、第2のラベル片L2のみが、管理部門に返送される。
【0039】
管理部門においては、第2のラベル片L2を用いて識別番号を呼び出し、その識別番号に該当する新たな手術器具を用意し、以下、上記と同様の方法で、新たな手術器具の管理を行うようにする。
【0040】
ここで、この手術器具の管理システムで記録手段としてのコンピュータ1(記憶手段2)に記録された手術器具の情報及び手術器具のステータスデータ等の情報(履歴データの一例を表2に示す。)は、更新されたものを含め、少なくとも所定期間(例えば、医師法第24条により5年間の保存義務が課されているカルテと同程度の期間)保存するようにすることが望ましい。
【0041】
【表2】

【0042】
以上、本発明の手術器具の管理システム及びそれに使用するラベルについて、その実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の手術器具の管理システム及びそれに使用するラベルは、医療現場において使用される各種の手術器具に識別番号を直接記録せずに、ラベルを使用する簡易なシステムによって、手術器具毎のステータスデータ等を管理することにより、医療現場における業務の省力化と手術器具の安全性の向上を低コストで達成できることから、医療現場において使用される各種の手術器具の管理、より具体的には、滅菌工程の管理や滅菌期限の管理の用途に好適に用いることができ、その対象も、中規模及び小規模の医療機関のほか、ネットワークを介して接続した複数台のコンピュータをホストコンピュータで一元管理することにより大規模な医療機関にも対応することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 コンピュータ(記録手段)
2 記憶手段(記録手段)
3 ラベル出力手段
4 スキャナ
5 ディスプレイ(表示手段)
6 RFIDリーダライタ
7 管理票出力手段
L ラベル
L0 剥離紙
L1 第1のラベル片
L2 第2のラベル片
L3 第3のラベル片
T 容器識別タグ(RFIDタグ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療現場において使用される手術器具を管理するための手術器具の管理システムにおいて、手術器具又は手術器具のグループ毎に識別番号を付与し、該識別番号単位で、手術器具の情報及び手術器具のステータスデータを記録する記録手段と、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片及び該第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片からなるラベルを出力するラベル出力手段と、手術器具又は手術器具のグループ毎に付与された識別番号を読み取るためのリーダ手段と、手術器具のステータスデータを表示する表示手段とを備えてなることを特徴とする手術器具の管理システム。
【請求項2】
手術器具の情報が、手術器具の滅菌方法及び滅菌時の占有容積を含み、該手術器具の情報及び手術器具のステータスデータに基づき、滅菌装置による手術器具の滅菌工程を管理する滅菌工程管理手段を備えてなることを特徴とする請求項1記載の手術器具の管理システム。
【請求項3】
手術器具の情報が、手術器具の滅菌効果の有効期間を含み、該手術器具の情報及び手術器具のステータスデータに基づき、手術器具の滅菌効果の有効期限を管理する滅菌期限管理手段を備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の手術器具の管理システム。
【請求項4】
手術器具のグループを収容する容器に取り付けた容器識別タグを併用するようにしてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の手術器具の管理システム。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の手術器具の管理システムに使用する、ラベル出力手段によって発行されるラベルであって、手術器具を収容した袋に貼り付けて使用される識別番号を記載した第1のラベル片と、該第1のラベル片から切り取り可能に設けられた手術器具のステータスデータを付与するために使用される識別番号を記載した第2のラベル片とからなることを特徴とする手術器具の管理システムに使用するラベル。
【請求項6】
第1のラベル片から切り取り可能に設けられたカルテに貼り付けて使用される識別番号を記載した第3のラベル片を備えてなることを特徴とする請求項5記載の手術器具の管理システムに使用するラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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